JP2001160610A - 半導体装置の製法と半導体装置用リードフレームの管理法 - Google Patents

半導体装置の製法と半導体装置用リードフレームの管理法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】CuまたはCu合金リードフレームと半導体素
子の半田付け不良を無くし、半導体装置の歩留りを向上
させる。 【解決手段】CuまたはCu合金から成るリードフレー
ム表面に半導体素子を半田付けする半導体装置の製法に
おいて、半田付け工程前に前記リードフレーム表面の酸
化膜の厚さを測定し、所望の酸化膜の厚さのものについ
て還元性雰囲気中で加熱し、所望の酸化膜の厚さにした
後、前記半田付けを行なうことを特徴とする半導体装置
の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置に関し、
特に、CuまたはCu合金から成る半導体用リードフレ
ームの製法、並びに、半導体素子を半田部材を介して上
記リードフレームに半田付けした半導体装置の製法、並
びに、半導体装置用リードフレームの管理法に関する。
【0002】
【従来の技術】トランジスタやIC等のリードフレーム
は、従来CuまたはCu合金材料にNiめっき等を施し
た後、プレス加工を経て所望の形状に打ち抜く方法で作
成されてきた。
【0003】最近、製造工程の短縮化、並びに、コスト
低減を目的として製造工程中のNiめっきを省略し、C
uまたはCu合金材料に直接半導体素子を半田付けする
方法が検討されている。しかし、CuまたはCu合金材
料は、Niめっきに比較して酸化皮膜を形成し易く、酸
化皮膜が形成されると半田付け性が極端に悪くなる。
【0004】従来、リードフレームの半田付けに関する
ものは、半導体素子とリードフレームを機械的に接続す
るペレット付け機に関するものが多く、例えば、特開平
3−116843号公報に記載されるように、ペレット
が半田部材を介してリードフレーム上に半田付けされる
ペレットボンディングステージの前段階において、リー
ドフレームを還元する還元ステージを設けることによ
り、CuまたはCu合金材料の半田濡れ性を高める方法
が提案されている。
【0005】また、特開平11−13955号公報に記
載されるように、ペレットボンディングステージ内のフ
ォーミングガス中のH2濃度およびO2濃度を測定し、ス
テージ内が還元雰囲気の場合のみ、ペレットボンディン
グする方法等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
従来技術は、リードフレーム上に半導体素子を半田付け
するペレット付け機に関するものであり、リードフレー
ム上の酸化膜の厚さ、特に、CuまたはCu合金リード
フレームの酸化膜の厚さについては言及しておらず、半
田付け工程における信頼性の向上を達成するには至って
いない。特に、酸化の進み易いCuまたはCu合金リー
ドフレームに、半田付けする方法については全く言及し
ていない。
【0007】従って、半田付け工程前にCuまたはCu
合金リードフレームの酸化膜の厚さを規制し、半田濡れ
性が良いと判断される表面のみに半田付けする技術の開
発が望まれている。
【0008】本発明の目的は、CuまたはCu合金リー
ドフレームと半導体素子との半田付けの不良を無くし、
半導体装置の歩留りを向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の要旨は、次のとおりである。
【0010】〔1〕 CuまたはCu合金から成るリー
ドフレーム表面に半導体素子を半田付けする半導体装置
の製法において、半田付け工程前に前記リードフレーム
表面の酸化膜の厚さを測定し、所望の酸化膜の厚さのも
のについて還元性雰囲気中で加熱し、所望の酸化膜の厚
さにした後、前記半田付けを行なうことを特徴とする半
導体装置の製法にある。
【0011】〔2〕 前記リードフレームは、その表面
にめっきが施されていないものを用いる前記の半導体装
置の製法にある。
【0012】〔3〕 前記還元性雰囲気は、H2が5〜
20体積%、残りが実質的にN2である還元性ガスであ
る前記の半導体装置の製法にある。
【0013】前記の半田付け工程導入前のリードフレー
ム表面の酸化膜厚が60Å以下のものを選択することが
望ましい。酸化膜厚が60Åよりも膜厚の場合には、該
膜を還元処理するなどして60Å以下にするのがよい。
【0014】なお、上記のCuまたはCu合金から成る
リードフレームは、温度25±5℃、湿度60%RH以
下の環境下で保管することが望ましい。また、前記リー
ドフレームはベンゾトリアゾールによる酸化防止処理を
施して保管することが、より望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図により
説明する。図1は本発明の実施例の工程を説明するフロ
ーチャートである。
【0016】図1に示すように、通常の半導体装置の製
造プロセスに従って、CuまたはCu合金材をリードフ
レーム形状に打ち抜き加工するプレス加工、および、プ
レス時に付着した油分を除去する洗浄工程を経た後、半
田付け工程の前にカソード還元法によるリードフレーム
表面の酸化膜の厚さを測定する酸化膜厚検査工程を設け
る。
【0017】ここで、表面の酸化膜の厚さが所定膜厚
(60Å以下)である場合には、通常の工程であるリー
ドフレームに半導体素子を半田付けする工程に進み、ワ
イヤボンディング工程、樹脂モールド工程等を経て半導
体製品となる。
【0018】もし、酸化膜の厚さが所定の膜厚を超える
場合には、そのリードフレームは半田付けに供しない
か、該リードフレームを還元処理し、再度酸化膜の厚さ
を測定後、所定の膜厚以下であることを確認してから、
通常の製造工程に進む。
【0019】図2は本発明により製造されたパワートラ
ンジスタの一実施例を示す模式断面図で、(a)は平面
断面図、(b)は正面断面図である。
【0020】また、図3はその製法に使用されるリード
フレーム、ペレット(半導体素子)およびワイヤの組み
立て体を示す模式図で、(a)は平面図、(b)は側面
図である。
【0021】本実施例の半導体装置の製法は、ヘッダ付
き樹脂封止パッケージを備えたパワートランジスタを製
造するのに使用されており、パワートランジスタは、図
2に示すように構成されている。そして、本発明に係わ
るパワートランジスタの製法には、ペレットが半田接合
される基板としてのヘッダを形成するのにリードフレー
ムが使用されている。
【0022】まず、パワートランジスタの製法の一工程
であるリードフレームの製造工程を図3について説明す
る。
【0023】リードフレーム1は銅系材料(Cuまたは
Cu合金)のような導電性の良好な材料が使用され、プ
レス加工によって一体成形されている。実際にはリード
フレーム1は単位リードフレームが一列に連結された多
連リードフレーム構造に形成される。但し、以下の説明
および図においては、一単位のみを示した。
【0024】リードフレーム1の外枠2には、位置決め
孔2aが開設されている。外枠2とダム部材3との間に
は第1アウターリード4、第2アウターリード5および
第3アウターリード6が等間隔に配され、その直角方向
にそれぞれ架設されている。
【0025】ダム部材3には、第1インナリード7およ
び第2インナリード8が、左右の両端に位置する第1ア
ウタリード4および第2アウタリード5と反対側位置
で、一体的に連続するように形成されており、両インナ
リード7,8は、その一部がダム部材3と平行に延設さ
れている。
【0026】また、ダム部材3には、ヘッダ吊りリード
9が中央に位置する第3アウタリード6の反対側の位置
で、一体的に連続するように形成されており、このヘッ
ダ吊りリード9には、ペレットが半田接合される基板と
してのヘッダ10が一体的に形成されている。
【0027】リードフレーム1は、ヘッダ10の厚さが
その他の部分に対して厚く(例えば2倍以上)なるよう
に異なる厚さの板材が使用され、プレス加工によって一
体的に成形されている。即ち、ヘッダ10は、リードフ
レーム1の他の部分よりも厚いほぼ正方形の板形状に一
体成形されている。
【0028】また、ヘッダ吊りリード9には、クランク
形状の屈曲部11が形成されており、この屈曲部11に
よって、ヘッダ10の高さはペレットの概略厚さ分だけ
インナリード7,8の高さよりも低く下げられている。
【0029】以上のように構成されたリードフレーム1
には、ペレットボンディング工程において図3に示すよ
うに、ヘッダ10にペレット12が半田層13を介して
ボンディングされる。
【0030】本実施例では、ペレットがボンディングさ
れるヘッダ部10の酸化膜の厚さをカソード還元法を用
いて測定した。なお、カソード還元法による酸化膜厚の
測定法を図10で説明する。
【0031】Cuの表面には一般的に図10(a)に示
すようにCu/Cu2O/CuOの構造の酸化皮膜が形
成される。これを電界中で一定カソード電流i(mA/
cm2)を与えながら電位を測定すると、図10(b)
に示すように、最初にCu2OがCuに、次いで、Cu
OがCuに還元される電位の応答曲線が観測される。
【0032】還元電位は、ファラデーの奉仕区に従うの
で、還元終了時間t(秒)から次式により厚さd(Å)
が求められる。
【0033】
【数1】 d(Cu2O)=12.36it1(Å) …〔1〕 d(CuO) = 6.39it2(Å) …〔2〕 なお、電解液には脱気した0.1mol/lKOH,対極に
はPt板を用い、ポテンショスタットにより0.5mA
/cm2のカソード電流を試料に与えて、Ag/AgC
l参照電極を基準とし、電位を測定した。
【0034】図4は、半田ペレット付け機のCuリード
フレームの還元能力を示す。これは初期の酸化膜の厚さ
を変えたリードフレームをペレット付け機に投入後、ペ
レット付け機から出てきた直後の該リードフレームの酸
化膜の厚さを測定したものである。
【0035】ここで、リードフレームの材料にはCu−
0.12%Sn(略称12SnOFC)を用い、ペレッ
ト付け機の温度は、ペレット付けの条件を模擬して40
0℃に設定し、雰囲気ガスはN2:H2=4:1(体積
比)のフォーミングガス中、2〜3分で行った。
【0036】初期リードフレームの酸化膜の厚さが60
Å以下であるなら、ペレット付け機通過後の酸化膜の厚
さは10Åとなり、ペレット付け機内の雰囲気ガスで還
元されることが分かった。
【0037】そこで、ペレット付け機通過後の酸化膜の
厚さ10Åの場合の半田濡れ性について調べた。
【0038】図5は、Cuリードフレームの酸化膜厚と
半田濡れ広がりの関係を示す。酸化膜厚が増加するに伴
ない、半田濡れ広がりの大きさは低下し、酸化膜厚と半
田濡れ広がりの間には相関性が認められる。ペレット付
け機を通過したフレームは、初期フレームおよび酸化処
理したフレームよりも半田濡れ広がりが良い。なお、本
実施例における半田濡れ広がりは、滴下された溶融半田
の広がりの縦幅をa,横幅をbとし(a+b)/2で示
す。
【0039】図6は、Cuリードフレームの酸化膜厚
と、ペレット付け後の半田ボイド発生率の関係を示す。
酸化膜の厚さが増加するに伴ない、半田ボイド発生率が
高くなり、酸化膜厚と半田ボイド発生率の間には相関性
がある。
【0040】即ち、半田濡れ広がりの場合と同様に半田
ボイド発生率は、ペレット付け機を通過したフレームで
は初期フレームおよび酸化処理したフレームよりもその
発生率が低い。
【0041】このように、初期フレームの酸化膜厚が6
0Å以下なら、ペレット付け機を通過した後の膜厚が1
0Å程度となり、良好な半田濡れ性を示すことが分かっ
た。
【0042】上記の結果から、CuおよびCu合金リー
ドフレームは、初期フレームの酸化膜厚を60Å以下と
することで、ペレット付け機通過直後の酸化膜厚を10
Å程度とすることができ、良好な半田濡れ性を有するこ
とが明らかとなった。
【0043】また、CuおよびCu合金リードフレーム
の保管について検討した。図7は、Cuリードフレーム
の30℃における相対湿度と保管期間との関係を示すグ
ラフである。
【0044】いずれの湿度条件でも酸化膜は放物線則に
従って成長している。40%RHでは、酸化膜は時間が
経過してもほとんど成長しないが、60%RH以上の湿
度では、時間と共に酸化膜が厚くなっている。図7か
ら、ペレット付け機で還元できるCu酸化膜厚60Å以
下の場合は60%RH以下である。この結果から、リー
ドフレームの保管条件として、温度25±5℃、湿度6
0%RHの環境下に保管するのがよいことが分かった。
【0045】図8は有機系インヒビタ溶液で処理したC
uリードフレームの酸化膜厚の経時変化を示す。ここ
で、インヒビタ処理は、ベンゾトリアゾール(BTA)
およびトリアゾールの0.1mol/l水溶液(液温6
0℃)中に1分間浸漬し、処理後、水洗乾燥したものを
酸化試験に供し、その酸化抑制効果を調べた。
【0046】インヒビタ処理したものは、無処理のもの
に比べて酸化が抑制されている。特に、BTA処理した
ものの酸化抑制効果が大きい。図8から、ペレット付け
機で還元されなくなる酸化膜厚60Å以下のものではB
TAのみである。この結果から、Cuリードフレームの
酸化抑制のためBTA処理を施してから保管するのがよ
いことが分かる。
【0047】次に、製造工程におけるCuリードフレー
ムのペレット付け機内での酸化膜厚の変化を調べた。
【0048】図9はペレット付け機の雰囲気ガス(N2
−H2ガス)組成と、Cuリードフレームの酸化膜厚の
関係を示すグラフである。ペレット付け機の温度を37
0℃に設定し、雰囲気ガス流量は総量で30l/分とし
た。
【0049】ペレット付け機通過後の酸化膜厚は、いず
れのガス組成中においても約10Å程度で、雰囲気ガス
組成による有意差はほとんど無い。通常の半田ペレット
付けプロセスでは雰囲気ガス組成をN2/20%H2で行
っているが、この結果から、H2ガスの割合が5%付近
まで低下してもCuリードフレームに対するペレット付
け機の還元力は十分あることが分かった。
【0050】この結果から、半導体装置の製造工程にお
けるペレット付け機の雰囲気ガスは、H2ガスが5〜2
0%で残りが実質的にN2ガスよりなる還元性ガスがよ
いことが分かった。
【0051】以上本発明の一実施例に基ずき説明した
が、例えば、ペレットが半田接合される基板はヘッダに
限らず、一般的なリードフレームにおけるタブであって
もよく、また、気密封止パッケージにおけるベース、あ
るいは、ハイブリッドIC等におけるモジュール基板や
プリント配線基板等の実装基板であってもよい。
【0052】また、以上の説明では、パワートランジス
タに適用した場合で説明したが、パワーICや一般的な
IC、ハイブリッドIC等の半導体装置全般に適用する
ことができる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、CuまたはCu合金か
らなる半導体用リードフレーム表面の酸化膜厚を半田付
け工程導入前に測定し、前記で規定した膜厚のリードフ
レーム表面に半田付けすることによって、リードフレー
ムと半導体素子の半田付け不良を無くすことができ、半
導体装置の半田ペレット付け時における歩留りを向上す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の製造工程を説明するフローチ
ャートである。
【図2】本発明の一実施例であるパワートランジスタの
模式断面図である。
【図3】本発明の一実施例であるパワートランジスタに
使用されるリードフレーム、ペレットおよびワイヤの組
み立て体の模式図である。
【図4】本発明の半田ペレット付け機のCu合金リード
フレームの還元能力を示すグラフである。
【図5】本発明のリードフレームのCu酸化膜厚と半田
濡れ広がりの関係を示すグラフである。
【図6】本発明のリードフレームのCu酸化膜厚とペレ
ット付け後の半田ボイド率の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の30℃における各相対湿度での保管期
間とリードフレームのCu酸化膜厚の関係を示すグラフ
である。
【図8】本発明のインヒビタ処理したリードフレームの
Cu酸化膜厚の経時変化を示すグラフである。
【図9】本発明のペレット付け機の雰囲気ガス組成とリ
ードフレームのCu酸化膜厚の関係を示すグラフであ
る。
【図10】カソード還元法による酸化膜厚の測定法の説
明図である。
【符号の説明】
1…リードフレーム、2…外枠、2a…位置決め孔、3
…ダム部材、4,5,6…アウタリード、7,8…イン
ナリード、9…ヘッダ吊りリード、10…ヘッダ(基
板)、11…屈曲部、12…ペレット、13…半田層、
21…ワイヤ、22…樹脂封止体。
フロントページの続き (72)発明者 羽鳥 和夫 群馬県高崎市西横手町111番地 株式会社 日立製作所半導体グループ内 Fターム(参考) 5F067 AB01 AB10 BD01 BE04 CA04 EA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuまたはCu合金から成るリードフレ
    ーム表面に半導体素子を半田付けする半導体装置の製法
    において、半田付け工程前に前記リードフレーム表面の
    酸化膜の厚さを測定し、所望の酸化膜の厚さのものにつ
    いて還元性雰囲気中で加熱し、所望の酸化膜の厚さにし
    た後、前記半田付けを行なうことを特徴とする半導体装
    置の製法。
  2. 【請求項2】 前記リードフレームは、その表面にめっ
    きが施されていないものを用いる請求項1に記載の半導
    体装置の製法。
  3. 【請求項3】 前記還元性雰囲気は、H2が5〜20体
    積%、残りが実質的にN2である還元性ガスである請求
    項1または2に記載の半導体装置の製法。
  4. 【請求項4】 CuまたはCu合金から成るリードフレ
    ーム表面に半導体素子を半田付けする半導体装置用リー
    ドフレームの管理法において、前記リードフレームは、
    温度25±5℃、湿度60%RH以下の環境下で保管す
    ることを特徴とする半導体装置用リードフレームの管理
    法。
  5. 【請求項5】 CuまたはCu合金から成るリードフレ
    ーム表面に半導体素子を半田付けする半導体装置用リー
    ドフレームの管理法において、前記リードフレームは、
    ベンゾトリアゾール処理による酸化防止処理を施してか
    ら保管することを特徴とする半導体装置用リードフレー
    ムの管理法。
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