JP4603295B2 - 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法 - Google Patents

顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4603295B2
JP4603295B2 JP2004164723A JP2004164723A JP4603295B2 JP 4603295 B2 JP4603295 B2 JP 4603295B2 JP 2004164723 A JP2004164723 A JP 2004164723A JP 2004164723 A JP2004164723 A JP 2004164723A JP 4603295 B2 JP4603295 B2 JP 4603295B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
objective lens
immersion objective
specimen
lens
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004164723A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005345726A (ja
Inventor
健司 川崎
博章 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2004164723A priority Critical patent/JP4603295B2/ja
Publication of JP2005345726A publication Critical patent/JP2005345726A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4603295B2 publication Critical patent/JP4603295B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Lenses (AREA)

Description

本発明は、標本との間に液体を媒介として観察する顕微鏡対物レンズに関し、特に対物レンズと試料との間に液体を充填して観察する顕微鏡液浸対物レンズに関する。
従来、顕微鏡においては、対物レンズと標本との間に水や油等の液体を媒介として観察する方法がある。
しかし、このような観察方法では、液体が対物レンズの交換時(レボルバーの回転時)にこぼれたり流れて、対物レンズを構成するレンズ鏡筒の隙間の摺動部に浸入して、レンズを汚染したり、レンズ鏡筒の動きを悪化させるといった問題が生ずる。
しかるに、従来、対物レンズを構成する複数のレンズ鏡筒の隙間への液体の侵入を防ぐために、例えば、次の特許文献1〜3に記載のような技術が提案されている。
特開平5−60981号公報 特開平9−304702号公報 特開2003−185926号公報
特許文献1に記載の技術は、倒立顕微鏡用の液浸対物レンズの先端レンズの周囲に液体保持部を設けて、標本と対物レンズとの間から液体があふれ出ないように保持するとともに、先端レンズのレンズ環の周囲に防水キャップを設けて、液体保持部からあふれ出た液体を受け止め、対物レンズの下方への液体の漏出を防止する、というものである。
また、特許文献2に記載の技術は、顕微鏡対物レンズ本体の取付け端部付近の外周面に防水部材を設け、さらには、対物レンズのレンズ環の先端部外周から対物レンズ本体の外周面までを覆う防水カバーを設けて、倒立顕微鏡として使用する場合であっても標本から流れ出た液体の対物レンズ内部及び顕微鏡本体内への浸入を阻止する、というものである。
また、特許文献3に記載の技術は、レンズ系が収められた円筒状ホルダと、この円筒状ホルダを光軸方向に移動可能なハウジングを備えた液浸対物レンズにおける円筒状ホルダの先端部の外周面及びハウジングの先端部の内周面の少なくともいずれか一方に環状溝を設けて、余分な液体が対物レンズの先端部から流れ落ちたときに、液体を環状溝に滞留させることで、対物レンズ内部への液体の浸入を防止する、というものである。
しかし、特許文献1に記載の技術のように防水キャップを対物レンズの先端部に設けるのでは、対物レンズの先端部が複雑化、大型化し標本観察位置での操作スペースが大きく取られてしまい、観察の際に標本と干渉する等、操作性が悪くなる。
また、特許文献2に記載の技術も、対物レンズに防水部材を設けるため、その分、部材点数が増加し、対物レンズが大型化し標本観察位置での操作スペースが大きく取られてしまう。
特許文献3に記載の技術によれば、対物レンズの大型化は避けられるが、対物レンズ先端部の構成が複雑化する。
また、これら特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも、液体が流れ出た場合において対物レンズの内部に浸入しないようにしたものであり、液体の流出自体を積極的に阻止することはできない。
このため、従来の液体を媒介とした顕微鏡観察においては、対物レンズを交換したり、観察対象の標本を変えたりするときに、液体が流れやすく、その都度液体を充填する必要性が生じ、操作が煩雑化するという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、液体を媒介とした顕微鏡観察において、対物レンズの操作スペースを損なうことなく、対物レンズ内部への液体の浸入を防止すると同時に、対物レンズを交換するたびごとの液体の流出を極力抑えて、液体を充填する必要性を減らし、操作を簡単化できる顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による顕微鏡対物レンズは、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズにおいて、前記鏡筒先端の標本と対向する環状面に、疎液性の膜を備えるとともに、前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部全体に、親液性の膜を備えたことを特徴としている。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記鏡筒先端の標本と対向する環状面全体に、疎液性の膜を備えるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記鏡筒先端の標本と対向する環状面における一部の環状領域に、疎液性の膜を備えるのが好ましい。
また、本発明による顕微鏡対物レンズは、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズにおいて、前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部における外側の環状領域に、疎液性の膜を備えるとともに、前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部における外側の環状領域よりも内側の領域に、親液性の膜を備えたことを特徴としている。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記鏡筒先端の標本と対向する環状面全体に、疎液性の膜を備えるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記対物レンズの先端部における疎液性の膜を備えた領域の外側に、親液性の膜からなり、先端に液溜部を有する通路と、疎液性の膜からなり、前記通路の周囲を囲む通路包囲部とを備えるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記鏡筒が、前記対物レンズの先端部における親液性の膜を備えた領域の外側の領域の所定箇所から該対物レンズの側面に通じる排出機能または送液機能のための管路を有し、前記管路の内側の面に、親液性の膜を備えるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡対物レンズにおいては、前記親液性の膜が、光触媒で構成されているのが好ましい。
また、本発明による顕微鏡対物レンズを用いた観察方法は、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、先端の標本と対向する側の面に親液性の膜を備えた液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面全体に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、前記液浸対物レンズと前記カバーガラスとの間を液体で充填し、該液体が前記液浸対物レンズ先端の標本と対向する側の面に吸着した状態を保持し、かつ、カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面をスライドするようにしながら、該液浸対物レンズと前記カバーガラスとを該カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面に沿って相対的に移動させることによって、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴としている。
また、本発明による顕微鏡対物レンズを用いた観察方法は、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、上記本発明における先端の標本と対向する側の面に親液性の膜を備えた液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、前記液浸対物レンズと前記カバーガラスとの間を液体で充填し、該液体が前記液浸対物レンズ先端の標本と対向する側の面に吸着した状態を保持し、かつ、カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面をスライドするようにしながら、該液浸対物レンズと前記カバーガラスとを該カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面に沿って相対的に移動させることによって、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴としている。
また、本発明による顕微鏡対物レンズを用いた観察方法は、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、先端の標本と対向する側の面に疎液性の膜を備えた液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面のうち各標本に対応した領域に親液性の膜を備え、前記親液性の膜を備えた領域の周囲に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、前記カバーガラスに備えられた各親液性の膜の上に液体を供給し、液体を付着した状態が保持されるようにしておき、前記液浸対物レンズのレンズ面を前記カバーガラスの各標本面に対応した領域に備わる親液性の膜に付着した液体への接触及び離脱を順次行うことで、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴としている。
また、本発明による顕微鏡対物レンズを用いた観察方法は、レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、前記液浸対物レンズ側の面に、親液性の膜で形成された、標本観察領域、前記標本観察領域に接続する所定長の通路、及び該通路に接続する注入部を備えるとともに、該親液性の膜が備えられた領域の周囲に疎液性の膜を備えたカバーガラスを用いて、前記注入部より液体を注入し、該液体を前記通路を伝わらせて、前記標本観察領域に到達させ、次いで、前記対物レンズを前記カバーガラスの前記標本上の位置に到達した液体に接触させて観察することを特徴としている。
また、本発明の顕微鏡対物レンズを用いた観察方法においては、前記親液性の膜が、光触媒で構成されているのが好ましい。
本発明によれば、液体を媒介とした顕微鏡観察において、対物レンズの操作スペースを損なうことなく、対物レンズ内部への液体の浸入を防止すると同時に、対物レンズを交換するたびごとの液体の流出を極力抑えて、液体を充填する必要性を減らし、操作を簡単化できる顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法が得られる。
小さな領域に付着する液体は、表面張力の影響が重力による影響よりも支配的になる。このため、親液性、疎液性での表面張力を利用して液体の挙動を制御することが重要となる。
本発明の顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法のように、対物レンズや標本のカバーガラスの所定領域に親液性、疎液性を持たせると、その間に充填、あるいは注入される液体を、対物レンズ先端部で積極的に保持しやすくして流れ出ないようにすることができ、対物レンズ内部への液体の浸入を阻止することができる。また、複数の標本を観察する場合においては、対物レンズ或いはカバーガラスの一方で液体を吸着させた状態にして他方で液体と離れやすくすることで、対物レンズと標本との間に液体をその都度充填しないで、複数の標本を観察することができる。
また、本発明のように、親液性、疎液性の膜を対物レンズに備えると、従来技術のような、防水キャップ等が不要となり、対物レンズの先端部が小型化でき、標本観察位置での操作スペースを十分に取ることができる。
まず、本発明の各実施例に共通で適用される親液性の膜、疎液性の膜について説明する。
親液性、疎液性は、基材表面と液体との接触角により評価される性質である。本発明では、親液性の膜は、液体との接触角が70°以下となる膜を用いる。また、疎液性の膜は、液体との接触角が80°以上となる膜を用いる。
具体的には、親液性の膜としては、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、水性シリコン、シリコン樹脂とアクリル樹脂とのブロック重合体、アクリルスチレン樹脂、ソルビタン脂肪酸エチレンオキサイド、ソルビタン脂肪酸エステル、ウレタン系アセテート、ポリカーボネートジオール及び/又はポリイソシアネートの架橋型ウレタン、ポリアクリル酸アルキルエステル架橋体などからなる親液性塗料からなる膜を用いることができる。
なお、長期間、高度に親液性を維持するには、光触媒による親液性の膜を用いるのが好ましい。
ここでの光触媒とは、価電子帯中の電子の光励起によって生成する正孔或いは伝導電子を介した反応により、表面に極性を付与し、吸着液層を形成し、表面を高度に親水化しうる材料をいう。例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウム等が使用できる。
本発明の光触媒性コーティングに使用可能な他の光触媒としては、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、Bi23、Fe23のような金属酸化物がある。これらの金属酸化物は、チタニアと同様に、表面に金属元素と酸素が存在するので、表面水酸基(OH-)を吸着しやすいと考えられる。なお、光触媒の粒子を金属酸化物の層内に配合することにより光触媒性コーティングを形成してもよい。特に、シリカ又は酸化錫に光触媒を配合した場合には、表面を高度に親水化することができる。
複合材最表面に形成する親液性の層の材質には、シリカ、アルミナ、酸化錫等の無機酸化物や、シリコン原子に結合された有機基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコン樹脂が好適に利用できる。ここで、親液性の層の膜厚は100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下にする。このようにすると、光触媒性半導体の光励起によって生成する正孔或いは伝導電子は表面まで拡散する確率をある程度確保できるので、光触媒性半導体の光励起による親水化反応を促進できる。親液性の層を、光触媒性半導体よりも屈折率の低い物質で形成すると、さらに親液性の膜は反射防止膜を兼ねることができる。ここで、光触媒性半導体よりも屈折率の低い物質とは、例えば、光触媒性半導体がアナターゼ型酸化チタン(屈折率2.5)の場合、シリカ(同1.5)、アルミナ(同1.6)、酸化錫(同1.9)、シリコン原子に結合された有機基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコン樹脂(同1.4〜1.6)が好適に利用できる。
ここで、シリコン原子に結合された有機基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコン樹脂は、シリコン樹脂に光触媒性半導体を接触させて、光触媒性半導体を光励起させる方法、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等の方法で作製できる。ここで、シリコン樹脂とはオルガノアルコキシシラン、その加水分解物、その脱水縮重合物の少なくとも1種を含む塗膜形成要素の加水分解、脱水縮重合により形成される樹脂をさす。ここでオルガノアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、n−プロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、フェニルメチルジイソプロポキシシラン、n−プロピルメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジt−ブトキシシラン、ジエチルジt−ブトキシシラン、フェニルメチルジt−ブトキシシラン、n−プロピルメチルジt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、及びそれらの混合物を使用することができる。
本発明の親液性の膜に使用する光触媒としては、チタニア(TiO2)が最も好ましい。チタニアは、無害であり、化学的に安定であり、かつ、安価に入手可能である。更に、チタニアはバンドキャップエネルギーが高く、従って、光励起には紫外線を必要とし、光励起の過程で可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こらない。従って、ガラスやレンズや鏡のような透明部材にコーティングするのに最も適している。
チタニアとしてはアナターゼとルチルのいずれも使用することができる。アナターゼ型チタニアの利点は、非常に細かな微粒子を分散させたゾルを市場で容易に入手することができ、非常に薄い薄膜を容易に形成することができることである。他方、ルチル型チタニウムは、高温で焼結することができ、強度と耐摩耗性に優れた被膜が得られるという利点がある。
基材をチタニアからなる光触媒性コーティングで被覆し、チタニアを紫外線によって光励起すると、光触媒作用によって水が水酸基(OH-)の形で表面に化学吸着され、その結果、表面が超親液性になると考えられる。
本発明に用いる疎液性の膜は、液体との接触角が、約80°以上であれば“高撥水性”、約150°以上であれば、“超撥水性”といえる。超撥水性の場合、液滴はほぼ球状となり、表面からコロコロ転げ落ちる。
撥水処理法としては、大別してウェットプロセス、ドライプロセス、複合プロセスがある。
ウェットプロセスには、有機シリコン化合物(フルオロアルキルシラン、フッ化アルキルトリクロロシランなど)、有機ジルコニウム化合物を原料とし、処理温度400°C程度以下で行うゾル−ゲル法、有機シリコン化合物(フッ化アルキルトリクロロシランなど)を原料とし、処理温度が室温から150°C程度で行う化学吸着法、フッ化グラファイト、カオチン系界面活性剤、ニッケル分散液を原料とし、処理温度が45°C程度で行う分散めっき法がある。
ドライプロセスには、フッ化炭素、フッ化シリコン、フッ化窒素、メタンを原料とし、処理温度が室温付近で行う低温プラズマ処理法、フッ化炭素、有機フッ化化合物を原料とし、処理温度が室温付近で行うプラズマ重合法、有機シリコン化合物(フルオロアルキルシラン、トリメチルメトキシランなど)を原料とし、処理温度が室温付近で行うプラズマCVD法、テフロン(登録商標)、有機フッ素化合物を原料とし、処理温度が室温付近で行うスパッタリング法がある。
複合プロセスには、有機シリコン化合物、酸素を原料とし、処理温度が室温付近で行う化学吸着法とプラズマ処理法とを複合した方法がある。
例えば、疎液性の膜として、透明超撥水コーティング膜は、次のようにして作製する。
花弁状組織を持つアルミナ薄膜に撥水処理を行う。撥水処理は、フルオロアルキルトリメトキシシラン(FAS)の一つであるヘプタデカフルオトリメトキシシランをアルコール中で加水分解し、コーティングした後、400°C程度で熱処理することによって行う。薄膜上にFASをコーティングした場合の水に対する接触角は、沸騰水処理せずに多孔質アルミナ薄膜を撥水処理した場合には約120°、沸騰水処理を30秒行った場合には、接触角は約160°となり、完全に水をはじく超撥水要表面となる。
得られた超撥水薄膜は、350nm以上の波長において透過率が90%以上である。薄膜が多孔質であることから、透過率はガラス基板よりもむしろ大きくなっている。このことより、花弁状組織は可視光を散乱するほどは大きくないが、超撥水性を与えるには十分な大きさである。
また、60℃以下のプロセスでポリマー基板上の作製した花弁状アルミナ表面においても、加水分解したFASで撥水処理することによって極めて高い撥水性が得られ、完全に水をはじく超撥水表面となる。PET基板上へのコーティング膜について、粘着性テープ剥離による密着性試験を行ったところ、非常に密着性に優れていることがわかった。コーティング膜を湾曲させても、膜にはクラックが生じない。このコーティング膜は、極性のあまり大きくない高分子基板であるPET基板とでも、非常に優れた密着性を有している。低温プロセスで透明な超撥水コーティング膜が得られることから、様々な基板へ適用が可能である。
一方、花弁状組織上にフッ素を含有しない長鎖アルキルトリエトキシシランをコーティングした場合にも、超撥水状態が得られる。長鎖アルキルトリエトキシシランを平滑なPET基板にコーティングした場合には、水に対する接触角が約100°であったのに対し、PET基板にアルミナゲル膜を形成し、温水処理して得られた花弁組織上にコーティングした場合には、超撥水状態が得られる。
図1は本発明の実施例1にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図であり、(a)は標本を観察する状態の対物レンズの先端部断面図、(b)は対物レンズ先端部に設ける親液性の膜及び疎液性の膜の配置を示す説明図である。
実施例1の顕微鏡対物レンズ1は、鏡筒2先端の標本5と対向する環状面2a全体に疎液性の膜Aを備えた液浸対物レンズとして構成されている。また、環状面2aの内側に位置する最も標本側のレンズ(先端レンズ)3の面の露出部3a全体には、親液性の膜Bを備えている。
疎液性の膜A、親液性の膜Bには、実施例に先立ち説明した疎液性の膜、親液性の膜がそれぞれ用いられる。
先端レンズ3と鏡筒2との間隙部4にはシール剤6が充填されており、液体が間隙部4を通って対物レンズ1の内部へ浸入するのを阻止している。
なお、図1(a)中、7はカバーガラス、8は水や油等の充填液である。また、カバーガラス7とともに標本5を挟むスライドガラスは省略してある。また、図1では、先端レンズ3のみを示したが、対物レンズ1は、鏡筒2の内部に先端レンズ3の他にもレンズを備えている(便宜上、図示を省略してある)。鏡筒2はそれぞれのレンズを保持している。
さらに、図1(a)では、対物レンズ1を倒立顕微鏡対物レンズとして用いた例で示してあるが、実施例1の対物レンズ1は、正立顕微鏡対物レンズに用いることも可能である。
このように構成された実施例1の顕微鏡液浸対物レンズ1によれば、カバーガラスと対物レンズとの間に充填された充填液8は、疎液性の膜Aが備えられた環状面2a全体に付着し難くなるとともに、その内側の親液性の膜Bが備えられた露出部3aに付着し易くなる。このため、観察対象の標本5を変えても、充填液8は、対物レンズ1の先端に付着した状態で保持され、周囲への流出が阻止される。
このため、実施例1の対物レンズ1によれば、対物レンズの先端部分に従来の機械式のキャップ等の部材を設けずに対物レンズ内部への液体の浸入を防止することができる。それにより、対物レンズ部を小型化でき、対物レンズ先端部の操作スペースを確保することができる。また、充填液をその都度補充する煩雑さを解消することができる。
なお、図1の例では、鏡筒2の環状面2a全体に疎液性の膜Aを、露出部3a全体に親液性の膜Bをそれぞれ備えたが、露出部3aには親液性の膜Bを備えないで構成してもよい。このように構成しても、疎液性の膜Aを備えた環状面2aに比べて、露出部3aの方が表面張力が強いため、充填液8は露出部3aに付着した状態で保持されやすい。
その他、図1の変形例として、疎液性の膜A、親液性の膜Bを、次の(a)〜(f)のように配置してもよい。これらの構成においても、図1の構成とほぼ同様の作用効果が得られる。
(a)環状面2aにおける内側の環状領域に親液性の膜Bを、外側の環状領域に疎液性の膜Aをそれぞれ備えた構成。
(b)環状面2aにおける内側の環状領域に親液性の膜Bを、外側の環状領域に疎液性の膜Aをそれぞれ備えるとともに、露出部3a全体に親液性の膜Bを備えた構成。
(c)露出部3aにおける外側の環状領域にのみ、疎液性の膜Aを備えた構成。
(d)露出部3aにおける内側の環状領域に親液性の膜Bを、外側の環状領域に疎液性の膜Aをそれぞれ備えた構成。
(e)環状面2a全体に疎液性の膜Aを備えるとともに、露出部3aにおける内側の環状領域に親液性の膜Bを、外側の環状領域に疎液性の膜Aをそれぞれ備えた構成。
(f)環状面2aにおける内側の環状領域に疎液性の膜Aを備えるとともに、露出部3aにおける内側の環状領域に親液性の膜Bを、外側の環状領域に疎液性の膜Aをそれぞれ備えた構成。
図2は本発明の実施例2にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図であり、(a)は要部説明図、(b)は観察対象である標本の配置を示す説明図、(c)はカバーガラス(標本)を移動するときの液体の状態説明図である。
実施例2の顕微鏡対物レンズを用いた観察方法では、顕微鏡対物レンズ1は、先端の標本5と対向する側の面に親液性の膜Bを備えた液浸対物レンズとして構成されている。なお、実施例1の液浸対物レンズを用いてもよい。また、実施例2の対物レンズ1は正立、倒立いずれのタイプの顕微鏡にも適用できる。ただし、倒立顕微鏡の対物レンズとして用いる場合には、顕微鏡対物レンズ1は、標本5と対向する側の面のいずれかの領域に親液性の膜Bを備えておく。
標本5は仕切り部9を一体又は別体に備えたスライドガラス10にマイクロアレイ状に配置されている。また、図2では、標本5が培養液11中に存在している。また、マイクロアレイ状に配置された標本5をカバーガラス7が覆っている。カバーガラス7は、標本5とは反対側の面すなわち液浸対物レンズ1側の面7a全体に疎液性の膜Aを備えている。
実施例2の観察方法においては、倒立顕微鏡の対物レンズとして観察する場合は、対物レンズ1の先端部に充填液8を付着させ、次いで、カバーガラス7の所望の標本5の位置で充填液8が接触するように対物レンズ1を近付ける。また、正立顕微鏡の対物レンズとして観察する場合は、対物レンズ1をカバーガラス7の所望の標本5の位置に近付け、次いで、カバーガラス7と対物レンズ1との間を充填液8で充填する。
このとき、対物レンズ1の先端の標本5と対向する側の面が親液性の膜Bを備えているため、カバーガラス7と対物レンズ1との間の充填液は、対物レンズ1に吸着した状態に保持される。そして、次の標本5を観察する場合、対物レンズ1を固定した状態で、カバーガラス7をカバーガラス7の面7aに沿って移動させる。すると、カバーガラス7における液浸対物レンズ1側の面7a全体に疎液性の膜Aを備えているため、充填液8は対物レンズ1に吸着した状態を保持したままカバーガラス7上をスライドして、次の標本5の位置に移動する。
このため、実施例2の対物レンズを用いた観察方法によれば、マイクロアレイ状に配置された標本5を観察する場合に、カバーガラス7を移動させることにより、標本5ごとに対物レンズ1をカバーガラス7上の所定位置に近付け、その都度、充填液8で充填する煩雑さが不要となり、また、対物レンズ1の操作スペースも損なうことがない。さらに、1つの標本を観察するために充填する充填液8の量で、マイクロアレイ状に配置された各標本5の観察をすることができるため、カバーガラス7全体を充填液8で濡らさずに済み、クリーニングも楽になる。
また、充填液8が、対物レンズ1とカバーガラス7とに接触した状態を保ちながら、カバーガラス7上をスライドするので、気泡が入りにくい。
また、倒立顕微鏡に用いた場合には、対物レンズ1の先端の標本5と対向する側の面に親液性の膜Bを備えることにより、対物レンズ1を移動させても充填液8が保持された状態が保たれ、液だれを防止できる。
なお、マイクロアレイ状に配置された次の標本5(例えば、図2(c)に示す標本51を観察していた場合における標本52)を観察する場合には、図2(c)に示すように、カバーガラス7を対物レンズ1から少し離れる方向に移動させると、充填液8のカバーガラス7との接触面積が小さくなり、充填液8を対物レンズ8に付着した状態でカバーガラス7上をスライドさせ易くなる。
また、本実施例2では、対物レンズを固定させ、カバーガラスを対物レンズに対して移動させることで、次の標本を観察する場合について説明したが、このような場合に限らず、適宜、対物レンズを移動させる場合でもあっても良い。
図3は本発明の実施例3にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図であり、(a)は要部説明図、(b)はカバーガラスに設ける親液性の膜及び疎液性の膜の配置を示す説明図である。
実施例3の顕微鏡対物レンズを用いた観察方法では、顕微鏡対物レンズ1は、先端の標本5と対向する側の面に疎液性の膜Aを備えた正立顕微鏡用の液浸対物レンズとして構成されている。
標本5は仕切り部9を一体又は別体に備えたスライドガラス10にマイクロアレイ状に配置されている。また、図3では、標本5が培養液11中に存在している。また、マイクロアレイ状に配置された標本5をカバーガラス7が覆っている。カバーガラス7は、標本とは反対側の面すなわち液浸対物レンズ1側の面7aのうち各標本5に対応した領域7a1に親液性の膜Bを備え、親液性の膜Bを備えた領域7a1の周囲の領域7a2に疎液性の膜Aを備えている。
実施例3の観察方法は、正立顕微鏡での観察に用いられる。
まず、カバーガラス7における各標本5に対応して親液性の膜Bを備えたそれぞれの領域7a1に充填液8を注入しておく。次いで、対物レンズ1がカバーガラス7の所望の標本5位置に注入されてある充填液8に接触するように、カバーガラスを移動させる。
そして、次の標本を観察する場合、次の標本を対物レンズで観察できるように、カバーガラスを移動させる。このとき、対物レンズ1の先端の標本5と対向する側の面が疎液性の膜Aを備えており、かつ、カバーガラス7の充填液8が注入されている標本5位置の領域7a1が親液性の膜Bを備え、領域7a1の周囲の領域7a2が疎液性の膜Aを備えているため、充填液8は、カバーガラス7の標本5位置の領域7a1に吸着された状態を保持したまま、対物レンズ1から簡単に離れる。次いで、対物レンズ1と対向する位置に次の観察対象となるカバーガラスの所望の標本5位置が来るようにスライドガラス10を移動させ、次の観察対象となるカバーガラスの所望の標本5位置に吸着した充填液8に接触するようにカバーガラス7を対物レンズ1に近付ける。
このため、実施例3の対物レンズを用いた観察方法によれば、マイクロアレイ状に配置された標本を観察する場合、充填液8をこぼすことなく対物レンズ1を各標本位置に移動させて観察することができる。
また、予め、充填液8をカバーガラス7上に充填しておけば、カバーガラス7を所定位置に移動させるだけで各標本を観察することができ、各標本を観察する都度充填液で充填する煩雑さが解消される。また、対物レンズの操作スペースを損なうこともない。
なお、充填液に潮解性を有する液体を用いれば、乾燥し難くなる。このため、全ての標本を観察するために比較的長時間を要しても、充填液を補充することなく観察することができる。
また、本実施例3では、対物レンズを固定させ、カバーガラスを対物レンズに対して移動させることで、次の標本を観察する場合について説明したが、このような場合に限らず、適宜、対物レンズを移動させる場合でもあっても良い。
図4は本発明の実施例4にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図である。
実施例4の顕微鏡対物レンズは、実施例1の対物レンズ1の構成に加えて、対物レンズ1の先端部における疎液性の膜Aを備えた領域2aの外側に、親液性の膜Bからなり、先端に液溜部12aを有する通路12と、疎液性の膜Aからなり、通路12の周囲を囲む通路包囲部13とを備えた倒立顕微鏡用液浸対物レンズとして構成されている。
操作上のミス等で通常の使用量を超える充填液を注入してしまった場合には、実施例1の対物レンズを用いても、対物レンズの先端部から液体がこぼれでることがあり得る。
しかるに、実施例4の顕微鏡液浸対物レンズによれば、対物レンズ1の先端部から液体がこぼれそうになった場合に、こぼれそうな液体が、親液性の膜Bからなる通路12を介して液溜部12aに溜められる。このため、実施例4の顕微鏡対物レンズによれば、こぼれる液体の流路を、鏡筒の摺動部等、浸入して欲しくない領域を避けるように導くことができる。同時に、対物レンズ1の先端部分に従来の機械式のキャップ等の部材を設けずに済むので、対物レンズを小型化でき、対物レンズの先端部の操作スペースを確保することができる。
図5は本発明の実施例5にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す断面図である。
実施例5の顕微鏡対物レンズ1は、実施例1の対物レンズの構成に加えて、対物レンズ1の先端部における親液性の膜Bを備えた領域の外側の領域の所定箇所14から、対物レンズ1の側面に通じる管路15を有している。
管路15は、内側の面に親液性の膜Bを備えている。
管路15の先端は、ポンプ等の排出・送液手段に接続されている。そして、排出・送液手段を介して、管路15を通る液体を対物レンズ1から離れた外部に排出させたり、外部から対物レンズ1へ送液することができるようになっている。
このように構成された実施例5の顕微鏡液浸対物レンズによれば、対物レンズ1の先端部から液体がこぼれそうになった場合に、こぼれそうな液体は、親液性の膜Bを備えた管路15の内部を通って対物レンズ1の側面に導かれる。対物レンズ1の側面に導かれた液体は、ポンプ等の排出・送液手段を介して、対物レンズ1から離れた外部に排出される。
また、対物レンズ1の先端に液体を供給した場合は、ポンプ等の排出・送液手段を用いて、外部から管路15の内部を通って液体を供給することができる。
このため、実施例5の顕微鏡対物レンズによれば、実施例4と同様、こぼれる液体の流路を、鏡筒の摺動部等、浸入して欲しくない領域を避けるように導くことができる。同時に、対物レンズ1の先端部分に従来の機械式のキャップ等の部材を設けずに済みので、対物レンズを小型化でき、対物レンズの先端部の操作スペースを確保することができる。
また、対物レンズの先端部に設けた親液性の膜Bの領域よりも外側(例えば、疎液性の膜Aを備えた環状領域)の所定箇所から該対物レンズの側面に通じる管路を設けたので、対物レンズを大型化させずにすむ。また、管路の内部に親液性を持たせたので、管路自体につけられる傾斜や、ポンプ等の排出手段を介して、液体が管路の内部に溜まることがなく排出や送液されやすくなる。
図6は本発明の実施例6にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図である。
実施例6にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法は、正立顕微鏡観察において、液浸対物レンズ1側の面7aに、親液性の膜Bで形成された、標本観察領域7a3、標本観察領域7a3に接続する所定長の通路7a4、及び通路7a4に接続する注入部7a5を備えるとともに、親液性の膜Bが備えられた領域の周囲に疎液性の膜Aを備えたカバーガラス7を用いる。そして、注入部7a5より液体8を注入し、液体8を通路7a4を伝わらせて、標本観察領域7a3に到達させ、次いで、対物レンズ1をカバーガラス7の標本5上の位置に到達した液体8に接触させて観察する。
実施例6の観察方法によれば、対物レンズ1と標本5との間に充填液8を充填する場合に、対物レンズ1の先端部から離れた位置から充填液8を充填することができる。このため、例えば、夫々別個のスライドガラス上に備えられた複数の標本を観察するような場合において、次の標本を観察する際に、その都度対物レンズを標本位置から離さないでそのまま、次の標本を備えたカバーガラスに取り替えた後に、充填液を標本観察位置に充填させることができる。このため、実施例6の観察方法によれば、対物レンズ先端の標本観察位置での操作スペースを大きくとらずに済み、従来、標本ごとに行っていた対物レンズの移動操作の煩雑さも解消できる。
図7は本発明の参考例としての実施例7にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図である。
実施例7の対物レンズは、標本を覆うカバーガラス7に備えられた親液性の膜Bに付着した球面状の液体8に対物レンズ1を構成するレンズ機能の一部(例えば、実施例1の対物レンズ1における先端レンズ3と同様の機能)を担わせるように、対物レンズ1内に備わるレンズ系が設計された、正立顕微鏡用対物レンズとして構成されている。
このように構成された実施例7の顕微鏡液浸対物レンズによれば、対物レンズを構成する硝子又はプラスチックレンズの構成枚数を減らすことができ、その分レンズ製作コストを低減し、また、対物レンズを小型化することができる。
また、実施例7の対物レンズによれば、対物レンズの先端レンズとしての機能を、カバーガラス上に充填される半球面状の液体に担わせるので、任意の場所に簡単に先端レンズを作ることができる。
本発明の実施例1にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図であり、(a)は標本を観察する状態の対物レンズの先端部断面図、(b)は対物レンズ先端部に設ける親液性の膜及び疎液性の膜の配置を示す説明図である。 本発明の実施例2にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図であり、(a)は要部説明図、(b)は観察対象である標本の配置を示す説明図、(c)は対物レンズを移動するときの液体の状態説明図である。 本発明の実施例3にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図であり、(a)は要部説明図、(b)はカバーガラスに設ける親液性の膜及び疎液性の膜の配置を示す説明図である。 本発明の実施例4にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図である。 本発明の実施例5にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す断面図である。 本発明の実施例6にかかる顕微鏡対物レンズを用いた観察方法を示す説明図である。 本発明の参考例としての実施例7にかかる顕微鏡対物レンズの要部を示す説明図である。
符号の説明
1 顕微鏡対物レンズ
2 鏡筒
3 先端レンズ
3a 露出部
4 間隙部
5、51、52 標本
6 シール剤
7 カバーガラス
7a カバーガラス7における液浸対物レンズ1側の面
7a1 面7aのうち各標本5に対応した領域
7a2 領域7a1の周囲の領域
7a3 標本観察領域
7a4 通路
7a5 注入部
8 充填液
9 仕切り部
10 スライドガラス
11 培養液
12 通路
12a 液溜部
13 通路包囲部
14 対物レンズ1の先端部における親液性の膜Bを備えた領域の外側の領域の所定箇所
15 管路
A 疎液性の膜
B 親液性の膜

Claims (15)

  1. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズにおいて、
    前記鏡筒先端の標本と対向する環状面に、疎液性の膜を備えるとともに、
    前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部全体に、親液性の膜を備えたことを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズ。
  2. 前記鏡筒先端の標本と対向する環状面全体に、疎液性の膜を備えたことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  3. 前記鏡筒先端の標本と対向する環状面における一部の環状領域に、疎液性の膜を備えたことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  4. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズにおいて、
    前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部における外側の環状領域に、疎液性の膜を備えるとともに、
    前記レンズ系における最も標本側のレンズ面の露出部における外側の環状領域よりも内側の領域に、親液性の膜を備えたことを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズ。
  5. 前記鏡筒先端の標本と対向する環状面全体に、疎液性の膜を備えたことを特徴とする請求項に記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  6. 前記対物レンズの先端部における疎液性の膜を備えた領域の外側に、
    親液性の膜からなり、先端に液溜部を有する通路と、
    疎液性の膜からなり、前記通路の周囲を囲む通路包囲部とを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  7. 前記鏡筒が、前記対物レンズの先端部における親液性の膜を備えた領域の外側の領域の所定箇所から該対物レンズの側面に通じる排出機能または送液機能のための管路を有し、
    前記管路の側の面に、親液性の膜を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  8. 前記親液性の膜が、光触媒で構成されていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の顕微鏡液浸対物レンズ。
  9. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、
    先端の標本と対向する側の面に親液性の膜を備えた液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面全体に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、
    前記液浸対物レンズと前記カバーガラスとの間を液体で充填し、該液体が前記液浸対物レンズ先端の標本と対向する側の面に吸着した状態を保持し、かつ、カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面をスライドするようにしながら、該液浸対物レンズと前記カバーガラスとを該カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面に沿って相対的に移動させることによって、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  10. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、
    請求項1又は4に記載の液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、
    前記液浸対物レンズと前記カバーガラスとの間を液体で充填し、該液体が前記液浸対物レンズ先端の標本と対向する側の面に吸着した状態を保持し、かつ、カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面をスライドするようにしながら、該液浸対物レンズと前記カバーガラスとを該カバーガラスの前記液浸対物レンズ側の面に沿って相対的に移動させることによって、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  11. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、
    先端の標本と対向する側の面に疎液性の膜を備えた液浸対物レンズと、マイクロアレイ状に配置された標本を覆い、前記液浸対物レンズ側の面のうち各標本に対応した領域に親液性の膜を備え、前記親液性の膜を備えた領域の周囲に疎液性の膜を備えたカバーガラスとを用いて、
    前記カバーガラスに備えられた各親液性の膜の上に液体を供給し、液体を付着した状態が保持されるようにしておき、前記液浸対物レンズのレンズ面を前記カバーガラスの各標本面に対応した領域に備わる親液性の膜に付着した液体への接触及び離脱を順次行うことで、マイクロアレイ状に配置された各標本を観察することを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  12. レンズ系と、前記レンズ系を保持する鏡筒を有する顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法において、
    前記液浸対物レンズ側の面に、親液性の膜で形成された、標本観察領域、前記標本観察領域に接続する所定長の通路、及び該通路に接続する注入部を備えるとともに、該親液性の膜が備えられた領域の周囲に疎液性の膜を備えたカバーガラスを用いて、
    前記注入部より液体を注入し、該液体を前記通路を伝わらせて、前記標本観察領域に到達させ、
    次いで、前記対物レンズを前記カバーガラスの前記標本上の位置に到達した液体に接触させて観察することを特徴とする顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  13. 前記親液性の膜が、光触媒で構成されていることを特徴とする請求項に記載の顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  14. 前記親液性の膜が、光触媒で構成されていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の顕微鏡液浸対物レンズを用いた請求項1に記載の顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
  15. 前記親液性の膜が、光触媒で構成されていることを特徴とする請求項1又は1に記載の顕微鏡液浸対物レンズを用いた観察方法。
JP2004164723A 2004-06-02 2004-06-02 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法 Expired - Fee Related JP4603295B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004164723A JP4603295B2 (ja) 2004-06-02 2004-06-02 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004164723A JP4603295B2 (ja) 2004-06-02 2004-06-02 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005345726A JP2005345726A (ja) 2005-12-15
JP4603295B2 true JP4603295B2 (ja) 2010-12-22

Family

ID=35498175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004164723A Expired - Fee Related JP4603295B2 (ja) 2004-06-02 2004-06-02 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4603295B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102017119095A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Mikroskopobjektiv und Mikroskop mit einem solchen Objektiv
DE102017119093A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Immersionsmikroskopie
DE102017119094A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Scannende Immersionsmikroskopie

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007135762A1 (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Tokai Hit Co., Ltd. 液浸用液の供給装置、対物レンズ及び液浸用液の供給制御方法
WO2009036192A1 (en) * 2007-09-13 2009-03-19 Applied Precision, Inc. Method of dispersing immersion liquid on a specimen substrate for high resolution imaging and lithographie
JP2012078439A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Olympus Corp 液浸対物レンズ及びそれを用いた倒立顕微鏡
WO2019073111A1 (en) * 2017-10-11 2019-04-18 Aalto University Foundation Sr COATING OF AN OBJECT
WO2021044543A1 (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 平田機工株式会社 標本作製装置

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003185926A (ja) * 2001-12-20 2003-07-03 Nikon Corp 安全装置付液浸対物レンズ

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04305917A (ja) * 1991-04-02 1992-10-28 Nikon Corp 密着型露光装置
JP3203698B2 (ja) * 1991-09-02 2001-08-27 株式会社ニコン 顕微鏡の液浸対物レンズ及び防水キャップ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003185926A (ja) * 2001-12-20 2003-07-03 Nikon Corp 安全装置付液浸対物レンズ

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102017119095A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Mikroskopobjektiv und Mikroskop mit einem solchen Objektiv
DE102017119093A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Immersionsmikroskopie
DE102017119094A1 (de) 2017-08-21 2019-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Scannende Immersionsmikroskopie
WO2019038070A1 (de) 2017-08-21 2019-02-28 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Mikroskopobjektiv und mikroskop mit einem solchen objektiv
WO2019038071A1 (de) 2017-08-21 2019-02-28 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Immersionsmikroskopie
WO2019038084A1 (de) 2017-08-21 2019-02-28 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Scannende immersionsmikroskopie
US11474335B2 (en) 2017-08-21 2022-10-18 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Microscope objective and microscope having such an objective
US11543643B2 (en) 2017-08-21 2023-01-03 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Immersion microscopy
US11586025B2 (en) 2017-08-21 2023-02-21 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Scanning immersion microscopy

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005345726A (ja) 2005-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4603295B2 (ja) 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズを用いた観察方法
JP6511654B2 (ja) 培養容器並びに該培養容器を使用した細胞培養方法及び細胞観察方法
US8279402B2 (en) Optical arrangement for immersion lithography with a hydrophobic coating, as well as projection exposure apparatus comprising the same
JP4851953B2 (ja) 光学部材
JPH09224874A (ja) 樹脂製便器
CN111263910B (zh) 透镜单元
JP2013152425A (ja) 反射防止膜及び光学素子
US9158207B2 (en) Optical component comprising radiation protective layer
WO2017013810A1 (ja) 防汚構造体及びその製造方法
JP3087682B2 (ja) 光触媒性親水性部材
JP2006065038A (ja) 光学部材及びその製造方法
JP2007076940A (ja) 撥水性ガラス材料及びその製造方法
JP2020122912A (ja) 膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュール
JP2019159174A (ja) 膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュール
CN111095039B (zh) 显微镜物镜和具有这样的物镜的显微镜
US20230174789A1 (en) Light transmitting member, transparent protective cover, and image pickup system
JP2010275542A (ja) 光触媒塗工液及び塗膜
JP2002293085A (ja) インキタンク及びこれを備えるボールペン
JP6876246B2 (ja) 透明被膜、透明被膜の製造方法及び自動車用防汚性部品
JP2009256472A (ja) 防曇性塗膜
JP2005165014A (ja) 光触媒性多層薄膜を形成した光学体
JP2023083219A (ja) 透光部材、透明保護カバー、および撮像システム
JP2020181073A (ja) 膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュール
JPH10225393A (ja) 浴 槽
JPH10170701A (ja) 水滴付着防止性を有するガラスレンズ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20100706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100928

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101001

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131008

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4603295

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131008

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees