JP4602566B2 - スピン処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を回転体によって回転駆動しながら処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置の製造過程においては、ガラス製の矩形状の基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して成膜処理、洗浄処理及び乾燥処理とが繰り返し行われる。
【0003】
上記基板の洗浄処理及び洗浄処理後の乾燥処理を行うためにはスピン処理装置が用いられる。このスピン処理装置はカップ体を有し、このカップ体内には駆動源によって回転駆動される回転体が設けられている。この回転体には基板の四隅部下面を支持する支持ピン及び基板の四隅部の側面に係合当接する係合ピンからなる保持部が設けられ、この保持部によって上記基板が回転体に着脱可能に保持される。
【0004】
基板が保持部によって保持された状態で、上記回転体を回転駆動すると、この基板の四隅部の側面が上記係合ピンに係合当接するから、基板が回転体と一体的に回転することになる。
【0005】
基板を処理液によって処理する場合には、回転体の回転速度は数10〜数100r.p.mの低速回転であるが、基板を乾燥処理する場合には、基板の回転速度が1000r.p.m以上の高速回転となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、上記係合ピンは円柱状の部材から形成されていて、回転体を回転させると、上記基板の四隅部の側面は曲面状の面取り加工がなされているため、係合ピンの外周面に点接触する。基板と係合ピンとが点接触すると、その接触部分に応力が集中し、その応力は基板の回転速度に比例して大きくなる。
【0007】
そのため、乾燥処理時に基板を高速回転させると、基板には係合ピンとの点接触部分に応力が集中発生するから、その応力によって基板にチッピング(欠け)が発生するということがあった。とくに、最近では基板が大型化する傾向にあるため、乾燥処理時に基板に発生する応力が大きくなり、チッピングが発生し易いということがあった。
【0008】
この発明は、係合ピンとの当接によって基板にチッピングが発生し難いようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、矩形状の基板を回転させて処理するスピン処理装置において、
カップ体と、
このカップ体内に設けられ駆動源によって回転駆動される回転体と、
この回転体に設けられ上記基板の各角部の両側面をそれぞれ保持する保持体とを具備し、
上記保持体は、上記回転体に取付け固定された固定部材と、
この固定部材の側面に一方の側面を接着固定して設けられた板状の弾性部材と、
この弾性部材の他方の側面に接着固定して設けられ上記回転体とともに上記基板を回転させることで上記基板が上記回転体に対して相対的に回転して上記基板の側面で押圧されたときに、上記弾性部材を弾性変形性させて傾いて上記基板の角部の側面に所定の長さで線接触する接触部材とから構成されていることを特徴とするスピン処理装置。
【0011】
この発明によれば、回転体を回転させることで、この回転体に設けられた保持体の接触部材に基板が圧接すると、弾性部材が弾性変形して接触部材が基板に線接触するから、基板に発生する応力が低減されて基板に欠けが生じるのを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1はたとえば液晶用のガラス製の基板Wを処理するスピン処理装置を示し、このスピン処理装置はカップ体1を備えている。このカップ体1は、上面が開放した有底状の下カップ1aと、この下カップ1aの上端に着脱自在に保持された上カップ1bと、この上カップ1bの内面側にねじ2によって着脱自在に取付けられた中カップ1cとからなる。
【0014】
上記下カップ1aの底部中心部には通孔3が形成されている。この通孔3には中空状の回転軸4が挿通されている。この回転軸4の上記カップ体1内に突出した上端は回転体5に取付けられている。この回転体5は、図2に示すように円盤状の基部6を有し、この基部6には周方向に90度間隔で4本のアーム7の基端部が連結固定されている。
【0015】
各アーム7の先端部はL字状に屈曲され、その屈曲部分の上面には上記基板Wの角部を保持する保持手段8が設けられている。この保持手段8は、基板Wの角部の下面を支持する支持ピン9と、基板Wの角部の一対の側面に当接してこの基板Wを保持する一対の保持体10を有する。
【0016】
上記保持体10は、上記アーム7の先端部に固定された所定の幅寸法の板状をなした固定部材11aと、この固定部材11aの一方の側面(基板Wの側面に対向する面)に一方の側面を接着固定した所定の厚さを有する板状の弾性部材11bと、この弾性部材11bの他方の側面に接着固定され上記弾性部材11が圧縮されることで弾性的に変位可能に設けられた接触部材11cとから構成されている。
【0017】
各アーム7の先端部に設けられたそれぞれ一対の保持体10は、その一対の接触部材11cの板面が水平面上においてほぼ直角になるよう配設されている。なお、上記弾性部材11は、耐薬品性を備えたゴムや樹脂などの圧縮変形可能な弾性材料によって形成されている。
【0018】
それによって、回転体5に供給された基板Wは、その各角部の下面が支持ピン9によって支持され、角部近傍の一対の側面がそれぞれ保持体10の接触部材11cによって保持される。つまり、基板Wは、各アーム7に形成されたそれぞれ一対の保持体10によって上記回転体5に着脱可能に支持されるようになっている。
【0019】
上記基部6には、基板Wの中心部分の下面を支持する4本の支持ピン12が設けられ、これら支持ピン12によって回転体5に保持された基板Wが撓むのを防止している。
【0020】
なお、回転体5に保持された基板Wの角部側面と、各保持体10の接触部材11cとの間には、基板Wを図示しないロボットなどによって着脱可能とするためにわずかな隙間がある。そのため、回転体5を回転させると、この回転体5に対して上記基板Wが上記隙間分だけ回転体5上で相対的に回転することになる。
【0021】
上記カップ体1の下カップ1aの底部には複数の排出管13が周方向に所定間隔で接続されている。これら排出管13は図示しない排気ダクトに接続されている。
【0022】
上記排気ダクトにより、カップ体1の上方から下方に向かうクリーンルーム内の清浄空気(ダウンフロー)がカップ体1内を通って円滑に排出されるとともに、基板Wに向かって噴射されてこの基板Wを処理した処理液が排出されるようになっている。
【0023】
上記下カップ1aに形成された通孔3はカバー部材14によって覆われている。このカバー部材14は、カップ体1内で噴射された気体や液体が上記通孔3を通じて外部へ流出するのを阻止している。
【0024】
上記回転軸4の下端は駆動モータ16の回転子16aに連結固定されている。この回転子16aは中空状をなしていて、同じく中空状の固定子16bの内部に回転自在に挿通されている。この固定子16bの上端は取付板17に取付けられ、下端面には回転子6aを回転自在な状態で上記固定子16b内部から落下しないよう支持する中空状のホルダ18が設けられている。
【0025】
上記回転軸4と回転子16aとの内部には挿通管21が挿通されている。この挿通管21の上端は上記回転体5の基部6に形成された通孔22から回転体5の上面側に突出し、その突出端にはノズルヘッド23が設けられている。
【0026】
上記ノズルヘッド23の周辺部には、図2に示すように一対の純水ノズル24と一対の薬液ノズル25とがそれぞれ周方向に180度間隔で設けられ、さらにノズルヘッド23の中心部にはガスノズル26が設けられている。
【0027】
各ノズル24,25,26にはそれぞれチューブ27の一端が接続されている。各チューブ27は上記挿通管21に挿通され、他端は上記ホルダ18を通されて外部に導出されている。
【0028】
そして、上記純水ノズル24に接続されたチューブ27は純水の供給源に接続され、薬液ノズル25に接続されたチューブ27は薬液の供給源に接続され、ガスノズル26に接続されたチューブ27はたとえば窒素などの気体の供給源に接続されている。
【0029】
一対の純水ノズル24と薬液ノズル25のうちの一方は、上記回転体5に保持された基板Wの裏面中心部に向けて純水及び薬液を直線状に噴射するようになっており、他方は周辺部に向けて純水及び薬液を扇状に噴射するようになっている。
【0030】
なお、図示しないが、回転体5の上方には、この回転体5に保持された基板Wの上面に向かって純水、薬液及び気体を噴射するためのノズルが配置されている。
【0031】
このような構成のスピン処理装置において、基板Wをスピン処理する場合、基板Wを保持した回転体5を数10〜数100r.p.mの低速度で回転駆動したならば、基板Wの上面及び下面に向けてフッ酸などの薬液を噴射する。
【0032】
基板Wの上面及び下面を薬液によって所定時間処理したなら、ついで基板Wの上面と下面とに純水を噴射し、基板Wの上面と下面に付着した薬液を洗浄除去する。
【0033】
純水による基板Wの洗浄が終了したならば、回転体5を低速回転から1000r.p.m以上で高速回転させるとともに、基板Wの上面と下面とにそれぞれ気体を噴射する。それによって、基板Wに発生する遠心力及び基板Wに噴射された気体によって基板Wの上面と下面とに付着した純水が除去され、基板Wが乾燥処理されることになる。
【0034】
回転体5を回転させると、その回転体5に対して基板Wが相対的に回転し、その角部の側面が保持体10の接触部材11cに圧接する。とくに、基板Wを乾燥処理するために、この基板Wを1000r.p.m以上の高速度で回転させると、基板Wの四隅部の側面を支持した保持体10の接触部材11cに上記基板Wの側面が強く圧接する。
【0035】
上記接触部材11cは固定部材11aに弾性部材11bを介して弾性的に変位可能に設けられている。そのため、基板Wの側面が接触部材11cに圧接すると、この接触部材11cは弾性部材11bを圧縮して弾性的に変位する。しかも、接触部材11cは平板状であるから、基板Wの側面に対して所定の長さで線接触する。
【0036】
つまり、基板Wの角部の側面が接触部材11cに線接触すると、点接触に比べて基板Wに発生する単位長さ当たりの応力が低減される、つまり応力が1点に集中することがないから、基板Wの角部側面にチッピングが生じるのを防止することができる。
【0037】
なお、回転体5が回転することで、基板Wが回転体5に対し相対的に回転し、基板Wの側面と接触部材11cの板面との平行度がわずかにずれる。しかしながら、接触部材11cが基板Wの側面によって押圧されることで、接触部材11cは弾性部材11bを弾性変形させて傾くから、基板Wの角部側面は接触部材11cと線接触した状態が維持される。つまり、基板Wが回転体5に対して相対的に回転しても、その角部側面が接触部材11cと線接触して応力が集中するのを防止できる。
【0038】
【発明の効果】
この発明によれば、回転体を回転させることで、この回転体に設けられた保持体の接触部材に基板の角部の側面が圧接すると、接触部材に加わる圧力によって弾性部材が弾性変形するから、上記接触部材が基板に線接触する。
【0039】
そのため、基板の角部側面に生じる単位長さ当たりの応力を低減できるから、基板の角部側面にチッピングが生じるのを、確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示すスピン処理装置の概略的構成の断面図。
【図2】回転体の平面図。
【図3】回転体のアームの先端部分を拡大した平面図。
【図4】図3のX−X線に沿う拡大断面図。
【符号の説明】
1…カップ体
5…回転体
8…保持手段
10…保持体
11a…固定部材
11b…弾性部材
11c…接触部材
W…基板

Claims (1)

  1. 矩形状の基板を回転させて処理するスピン処理装置において、
    カップ体と、
    このカップ体内に設けられ駆動源によって回転駆動される回転体と、
    この回転体に設けられ上記基板の各角部の両側面をそれぞれ保持する保持体とを具備し、
    上記保持体は、上記回転体に取付け固定された板状の固定部材と、
    この固定部材の側面に一方の側面を接着固定して設けられた板状の弾性部材と、
    この弾性部材の他方の側面に接着固定して設けられ上記回転体とともに上記基板を回転させることで上記基板が上記回転体に対して相対的に回転して上記基板の側面で押圧されたときに、上記弾性部材を弾性変形性させて傾いて上記基板の角部の側面に所定の長さで線接触する接触部材とから構成されていることを特徴とするスピン処理装置。
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