JP4601844B2 - ボンディング装置及びボンディンク方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばTAB(Tape Automated Bonding)技術を用いて、シネフィルム状のキャリアテープのリードにICチップを接続実装して半導体装置等の電子部品を組立て製造するのに好適なボンディング装置及びボンディング方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、TAB(Tape Automated Bonding)技術を利用したICチップの接続には、通常、インナーリードボンディング装置(以下、ILB装置と略称する)が使用される。
【0003】
図5は、ILB装置の主要部を示した拡大正面図で、ヒータを内蔵したボンディングステージ(以下、第1ツールと称する)1上には、ICチップ2が吸着搭載され、そのICチップ2は、同じくヒータを内蔵したボンディングツール(以下、第2ツールと略称する)3との間に搬送供給されてきたキャリアテープ(以下、テープと略称する)4に接続されるべく、不図示の位置決め機構により位置合わせが行われる。
【0004】
テープ4には、デバイスホール4aが等間隔で設けられ、その内側にインナリード4bが形成されている。インナリード4bと、ICチップ2の電極2a1とが対向一致した状態となるように第1ツール1が位置決め調整され、その後、第1ツール1は矢印Z1方向に上昇移動する。そして、電極2a1の上面がテープ4のインナリード4bの下面に近接または接触したところで第1ツール1の上昇は停止し、その状態で上方から第2ツール3が矢印Z2方向に降下する。いずれ第2ツール3の下面はインナリード4bの上面に接触し、以降第2ツール3と第1ツール1とにより電極2a1とインナリード4bとの間では熱圧着が行なわれる。
【0005】
従って、電極2a1とインナリード4bとは、約100℃に加熱された第1ツール1と例えば350ないし400℃程度に加熱された第2ツール3とによる熱圧着を受け、接続される。
【0006】
熱圧着によるICチップ2とテープ4との接続後は、まず高温である上方の第2ツール3が先に上昇移動してテープ4から離脱し、続いて下方の第1ツール1がICチップ2の吸着を解除して下降移動し、第1ツール1への次のICチップ2の吸着搭載が行われる。
【0007】
ところで最近、耐熱温度が270℃程度からなるポリイミド等の樹脂製フィルムを用いたいわゆるCOF(Chip On Film)が登場してきている。
通常、ILB装置に用いられるテープには、上述したように、そのボンディング部にテープの厚み方向に貫通する孔部(デバイスホール)を有している(本明細書では、この孔部を有するテープを「有孔テープ」とも略称する)が、このCOFに用いられるテープ4は、下(裏)面にリード線が形成されてなり、かつ窓部のないもの(本明細書では、「無孔テープ」とも略称する)で、そのリード線とICチップ2の金パンプ2aとが共晶結合により接続されてCOFが製造される。
【0008】
さて、COFの製造装置における手順を図を用いて説明する。このCOFの製造の場合、前述したようにテープの下(裏)面にリード線が形成されているため、前述したILBの使用態様とは異なり、下側のツールであるボンディングステージ1は例えば350ないし400℃に、上側のツールであるボンディングツール3は約100℃に温度設定される。
【0009】
図6(a)は、COFの製造において熱圧着工程の手順をより詳しく示したもので、図6(b)は図6(a)に示した各工程におけるテープ4上表面の温度推移を示している。
【0010】
すなわち、まず図6(a)に示すように、ステップ1では、搬送されてきたテープ4に対し、第1ツール1に吸着搭載されたICチップ2の位置決めが行われる。
【0011】
ステップ1における位置決め後、350ないし400℃程度に加熱された第1ツール1は不図示のシリンダ等の操作により上昇移動し、ICチップ2の金バンプ2aがテープ4のリード線に接触した状態で停止してICチップ2を支持する(ステップ2)。
【0012】
ステップ2の工程の後、約100℃に加熱された第2ツール3は、不図示のシリンダやサーボモータによるボールねじ機構等の操作により下降移動し、テープ4を例えば100ないし200N(ニュートン)の力で約2秒間にわたり押圧する。その結果、テープ4とICチップ2は、100℃の第2ツール3と350ないし400℃の第1ツール1とにより押圧加熱を受けるので、リード線と金バンプ2aとは共晶結合により接続される(ステップ3)。
【0013】
ステップ3における熱圧着後は、テープ4に接続されたICチップ2を第1ツール1が引続き支持し、熱圧着により加熱したテープ4の下方へのたわみを回避した状態で、シリンダやサーボモータによるボールねじ機構等の操作により、第2ツール3を上昇離脱させ(ステップ4)、続いて第1ツール1はICチップ2の吸着を解除すると同時に、シリンダ等の操作により下降離脱して、ICチップ2のテープ4への接続実装は終了する(ステップ5)。
【0014】
ここで、上記ステップ4において、第2ツール3を先に離脱させるのは、テープ4に与える機械的負荷(ストレス)を回避させるためであり、テープ2に接続されたICチップ4を第1ツール1が下方で吸着支持した状態を保持しつつ、第2ツール3を上昇移動させる。
【0015】
上記のように、ICチップ2とテープ4との間の接続は、約100℃に加熱された第2ツール3と、350ないし400℃程度に加熱された第1ツール1との間の押圧加熱によって行われるが、その間、ポリイミド樹脂製のテープ4の上面(すなわち、約100℃の第2ツール3側の面)の温度は、図6(b)に示す経緯で推移する。
【0016】
すなわち、ステップ1の段階で、常温(たとえば25℃前後)状態にあるテープ4は、ステップ2において、その下端面がICチップ2を介して350℃ないし400℃程度の第1ツール1により一旦支持されるので、テープ4の上面温度は上昇し始める。その後、直ちに常温よりは高い約100℃の第2ツール3による降下押圧を受け加温されるので、テープ4の上面温度は約200℃に到達し、この状態で推移して約2秒間の熱圧着が開始される(ステップ3)。
【0017】
ステップ4において、第2ツール3をテープ4から引離して離脱させた後は、ステップ5に移行し、ステージ1はICチップ2の吸着を解除して下方へ降下するが、このステップ4からステップ5への移行過程において、テープ4の上面から、高温(350ないし400℃程度)の第1ツール1よりも低い温度(約100℃)で接触していた第2ツール3が離れてしまうので、その瞬間、テープ4の上面温度は図6(b)に示すように一時的に上昇することが知られている。
【0018】
従来のボンディング装置では、上記のように、ステップ4からステップ5への移行に際し、一時的ではあるがテープ4の温度が上昇し、その過渡的な温度上昇によって、ICチップ2の金バンプ2aとテープ4の銅箔のリードとの間の接続状態が、共晶結合から溶融状態へと変化してしまい損傷を受けるので、良好な電気的導通が得られなくなる恐れがあった。
【0019】
そこで、上記ステップ4からステップ5への移行に際し、テープ4の過渡的な温度上昇を抑制すべく、上記ステップ4における工程内容を変更し、テープ4の上面側を第2ツール3に接触させた状態で、第1ツール1をICチップ2の吸着を解除して下降させ、その後第2ツール3を上昇移動によりテープ4から離脱させることも試みられている。
【0020】
すなわち、図7(a)は、図6(a)に示したステップ4の工程を変更し、熱圧着によるICチップ2のテープ4への接続後は、まず先に下方の350ないし400℃の第1ツール1をICチップ2から下方に離脱させ、その後に第2ツール3を上方に移動させてテープ4から離脱させるようにしたものである。
【0021】
その結果、テープ4の上面温度は図7(b)に示すように推移し、図6(b)に示した特性曲線と比較し、ステップ4からステップ5に移行する際に発生した高温のピーク値は抑えられる。しかしながら、依然として過渡的な温度変化が大きく、熱圧着時の温度(約200℃)を越える部分が残存した。
【0022】
また図6、図7を用いて説明した2つの試行においては、いずれも次に述べる不具合を有していた。すなわち、いずれの工程においても約2秒間にわたる熱圧着操作の実行開始に先立ち、ステップ2に示したように、テープ4はICチップ2を介して、高温(350ないし400℃程度)の第1ツール1上に載置されているので、テープ4とICチップ2との間の接続部の温度は上昇した。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のボンディング装置及びボンディング方法では、まず第1に、熱圧着の工程において、熱圧着後にICチップ2がテープ4に接続された状態から、第1ツール1及び第2ツール3を引離して離脱させる際、テープ4の上表面温度が過渡的に上昇し、その結果、共晶結合による接続状態が損なわれ、電気的導通特性が低下する恐れが生じた。
【0024】
また、同じく熱圧着の工程では、ステップ3に示した熱圧着操作に先立ち、テープ4はステップ2に示した段階からすでに、350ないし400℃程度の高温の第1ツール1上に載置されていて、ICチップ2の金バンプ2aとテープ4において錫めっきされたリード線との間の接続部の温度は上昇しており、熱圧着操作を経た後は、その接続部は共晶結合から溶融状態へと移行してしまい、同様に良好な電気的導通特性が得られず、製造上の歩留まりを低下させたので改善が要望されていた。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、ICチップとキャリアテープ(テープ)との接続部が、熱圧着後、あるいは熱圧着中においても、共晶結合から溶融状態へと変化するのを回避したボンディング装置及びボンディング方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、第1ツールとこの第1ツールに対向して設けられた第2ツールとの間の押圧加熱により、前記第1ツールにて保持されたICチップを前記第1ツールと前記第2ツールとの間に配置されたキャリアテープに接続するボンディング装置において、前記押圧加熱により前記キャリアテープに接続された前記ICチップから前記第1ツールを引離す離脱操作と、前記押圧加熱により前記ICチップが接続された前記キャリアテープから前記第2ツールを引離す離脱操作とが時間差がなく同一タイミングで行われるように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
第2の発明は、第1ツールとこの第1ツールに対向して設けられた第2ツールとの間の押圧加熱により、前記第1ツールにて保持されたICチップを前記第1ツールと前記第2ツールとの間に配置されたキャリアテープに接続するボンディング方法において、前記第1ツールと前記第2ツールとの間の相対移動により、前記ICチップと前記キャリアテープとが接続される熱圧着工程と、この熱圧着工程後に、前記第2ツールの前記キャリアテープからの離脱操作と、前記第1ツールの前記ICチップからの離脱操作とが時間差がなく同一タイミングで行われる離脱工程と、からなることを特徴とする。
【0028】
上記のように、第1及び第2の発明によれば、熱圧着後における、第2ツールのキャリアテープからの離脱操作と第1ツールのICチップからの離脱操作とを時間差がなく同一タイミングで行うようにしたので、キャリアテープの下方へのたわみ変形が回避されるとともに、接続部分における温度上昇が抑制されるので、共晶結合による接続状態は良好に維持され、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるボンディング装置及びボンディング方法の一実施の形態を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。なお、図5ないし図7に示した従来の構成と同一構成には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
図1は、本発明によるボンディング装置の一実施の形態を示した要部構成図で、図2は図1に示した装置によるボンディング工程図である。
【0038】
本発明によるボンディング装置及びボンディング方法は、まず第1に、熱圧着終了時に、接続されたキャリアテープとICチップから、第2ツールであるボンディングツール及び第1ツールであるボンディングステージをほぼ同じタイミングで引離し離脱させることによって、ICチップを接続したキャリアテープ自体の安定が図られ、同時に、接続部における温度上昇が回避されることに着目してなされたものである。
【0039】
また、本発明のボンディング装置及びボンディング方法は、第2に、ICチップとキャリアテープとの間の熱圧着接続に際し、ICチップを保持した第1ツールと第2のツールとの間の押圧接触の開始とほぼ同一タイミングで、ICチップとキャリアテープとの間の接触が開始されるように構成し、熱圧着操作開始前における接続部の温度上昇を回避することをねらいとしたものである。
【0040】
すなわち、本発明によるボンディング装置は、図1に示したように、無孔テープでポリイミド樹脂製のキャリアテープ(以下、テープと略称する)4が順次間欠搬送されてきて、そのテープ4に形成された不図示のリードを含む回路パターンがボンディング位置に位置して一旦停止する。テープ4の回路パターンは例えば銅箔で形成され、その銅箔には錫めっきが施されている。
【0041】
一方、図1に示すように、ウエハ7に形成されたICチップ2のうちの1つが、ピックアンドプレースユニット8によりピックアップされ、第1ツール1上に供給載置され、ここで制御手段である制御器5による不図示の吸着機構の制御により吸着され、その後、図2(a)のステップ(イ)に示すように、第1ツール1上のICチップ2がテープ4に対向するように位置合わせが行なわれる。
【0042】
この状態でさらに制御器5は、第2ツール3に連結され第2ツール3を昇降駆動するたとえばサーボモータによるボールねじ機構3a、及び第1ツール1に連結され第1ツール1を昇降駆動するたとえばサーボモータによるボールねじ機構1aをそれぞれ制御する。
【0043】
制御器5は、各ボールねじ機構3a,1aを制御し、約100℃に加熱された第2ツール3を降下させると同時に、下方から1Cチップ2を吸着搭載し、350ないし400℃程度に加熱される第1ツール1を上昇させ、第2ツール3がテープ4の上面に接触押圧するのとほぼ同一のタイミングで、そのICチップ2の金バンプ2aがテープ4のリードに接触してテープ4を下方で支持するように制御する(ステップ(ロ))。
【0044】
図2(a)のステップ(ロ)の状態において、テープ4とICチップ2は、第2ツール3と第1ツール1との間の約2秒間にわたる押圧加熱を受けるので、ICチップ2の金バンプ2aとテープ4のリードとの間の接続部は共晶結合が行われる。
【0045】
ICチップ2とテープ4とが接続された後、制御器5によるボールねじ機構3a,1aの制御、及び第1ツール1における吸着機構の制御により、図2(a)のステップ(ハ)に示すように、第2ツール3のテープ4上面からの上昇離脱と、同じく第1ツール1のICチップ2への吸着解除並びに下降離脱とがほぼ同一タイミングで行うように制御を受けて、ICチップ2のテープ4への接続実装が終了する。
【0046】
上記工程の熱圧着に際し、約100℃に加熱された第2ツール3と、350ないし400℃に加熱された第1ツール1とによりICチップ2及びテープ4は押圧加熱されるが、このときテープ4自体の上面(第2ツール3側面)温度は、図2(b)に示す経緯で推移する。
【0047】
すなわち、ステップ(イ)で常温(たとえば25℃前後)状態のテープ4の上面温度は、ステップ(ロ)において、ICチップ2を介して第1ツール1による支持と、約100℃の第2ツール3の下降による熱圧着開始がほぼ同時に行われるので、テープ4の上面は200℃に到達し、以後熱圧着中の約2秒の間、テープ4の上面温度はほぼ一定の約200℃で推移する。
【0048】
次に、ステップ(ハ)において、制御部5によるボールねじ機構1a,3aの操作による第2ツール3のテープ4からの離脱操作と、第1ツール1のICチップ2からの離脱操作等とがほぼ同時に行われるが、このほぼ同時の離脱操作によりICチップ2を接続したテープ4は機械的ストレスを受けないので、上下方向に変形することなく安定するとともに、同時離脱により、テープ4の上面温度は熱圧着時における200℃の温度より上昇することなく、図2(b)に示すように直ちに円滑に低下する傾向を示した。
【0049】
このように、本実施の形態のボンディング装置及びボンディング方法によれば、制御器5による制御により、熱圧着終了時におけるICチップ2を搭載したテープ4からの離脱動作に時間差がなく、共通してほぼ同時に行なわれるので、ICチップ2の金バンプ2aとキャリアテープ4のリード線との間の接続部における過渡的な温度上昇は回避され、良好な共晶結合状態が得られるので、電気的特性の良好な半導体装置等の電子部品を組立て製造することができるとともに、半導体装置の組み立て時間の短縮化が可能となり、製造効率を向上させることができる。また、上記実施の形態では、制御器5による制御により、熱圧着操作開始時において、テープ4に対する第1ツール1及び第2ツール3との間の押圧接触の開始とほぼ同一タイミングで、ICチップとキャリアテープとの間だの接触が開始されるので、熱圧着操作開始前における接続部の温度上昇を回避することができ、また半導体装置の組み立て時間のより短縮化も可能となる。
【0050】
また、上記実施の形態において、第1ツール1を上昇させてICチップ2の金バンプ2aをテープ4のリードに接触させるタイミングと、第2ツール3を下降させてテープ4を上から押圧するタイミングとをほぼ同時に行なうものとして説明したが、必ずしもこれに厳格にとらわれることなく構成し、実質上、同様な作用効果を得ることができる。
【0051】
例えば、応用例の工程を図3(a)に示すように、第2ツール3をテープ4に接触させた後、ICチップの金バンプ2aとテープ4のリードとを接触させるようにしてもよく、或いは図3(b)に示すように、ICチップの金バンプ2aとテープ4のリードとを接触させると同時に、第2ツール3をテープ4に接触させるようにしても、実質的に同様な効果が得られる。
【0052】
すなわち、図3(a)に示す工程では、まず、搬送されてきたテープ4に対して第1ツール1上のICチップ2が位置決めされる(ステップ(イ))。次に、制御器5の制御を受けたボールねじ機構1aの操作により第1ツール1が上昇する。このときの第1ツール1の上昇距離は、第1ツール1上に吸着搭載されたICチップ2の金バンプ2aとテープ4下面のリード線とが接触せず、隙間gが得られる程度に設定される(ステップ(ロ))。
【0053】
次に、制御器5によるボールねじ機構3aの操作により第2ツール3が下降し、第2ツール3はテープ4をICチップ2の金バンプ2aとの間の隙間g分さらに下方に押し下げるので、ここではじめてテープ4の下面は100ないし200Nの荷重を受け、ICチップ2の金バンプ2aに押し付けられ接触する(ステップ(ロ’))。
【0054】
従って、ステップ(ロ’)の工程における第1及び第2ツール1,3間の熱圧着操作を経て後、図2(a)におけるステップ(ハ)の工程と同様に、制御器5のボールねじ機構3aの操作による第2ツール3の上昇離脱操作と、同じく制御器5による第1ツール1におけるICチップ3の吸着解除並びにボールねじ機構1aによる下降離脱操作等の一連の動作がほぼ同一タイミングで行なわれる(ステップ(ハ))。
【0055】
一方、他の応用例の図3(b)に示す工程では、まず、搬送されてきたテープ4に対して第1ツール1上のICチップ2が位置決めされる(ステップ(イ))。次に、制御器5の制御によるボールねじ機構3aの操作により第2ツール3を下降させる。このときの第2ツール3の下降量は、第2ツール3の押圧面がテープ4の上面とに間に微小な隙間gが得られる程度に設定される(ステップ(ロ))。
【0056】
制御器5の制御によるボールねじ機構1aの操作により第1ツール1が上昇する。このときの第1ツール1の上昇動作は、テープ4はICチップ2の金バンプ2aと接触を経るのとほとんど同時に、第2ツール3とテープ4の間の隙間g分押し上げるので、ICチップ2とテープ4との接触と、テープ4を介した第2ツール3への第1ツール1の押圧操作が行われ、第1ツール1との第2ツール3との間の100ないし200Nの荷重押圧により熱圧着が行われる(ステップ(ロ’))。
【0057】
図3(b)のステップ(ロ’)による熱圧着の後は、ここでも図2(a)並びに図3(a)におけるステップ(ハ)の動作と同様に、制御器5のボールねじ機構3aの操作による第2ツール3の上昇離脱操作と、同じく制御器5による第1ツール1におけるICチップ3の吸着解除、並びにボールねじ機構1aによる下降離脱操作等とがほぼ同一タイミングで行なわれる(図3(b)のステップ(ハ))。
【0058】
このように、図3(a)及び(b)に示した各変形例によれば、上記図2に示した工程と同様に、第1ツール1及び第2ツール3は、熱圧着により接続されたICチップ2及びテープ4からほぼ同時に離脱するので、熱圧着後にテープ4とICチップ1の接続部の温度上昇が過渡的に上昇し、共晶結合されたICチップ2の金バンプ2aとテープ4のリードとの間の接続部が溶融等して損傷するような不具合は回避され、電気的特性の良好な結合状態を得ることができる。
【0059】
また、いずれの変形例においても、第1ツールと第2ツールとの間の押圧接触の開始とほぼ同一タイミングでICチップとキャリアテープとの間の接触が開始されるので、熱圧着操作開始前における接続部の温度上昇を回避することができる。
【0060】
次に、上記のように、本実施の形態及び各応用例の説明では、図2(a)のステップ(ロ)及び図3(a)及び図3(b)の各ステップ(ロ)からステッブ (ロ’)における熱圧着工程において、COF等のテープ4のリード線とICチップ2の金バンプ2aとの間は、第1ツール1と第2ツール3との間には100ないし200N(ニュートン)程度に押圧荷重力が付加される。
【0061】
しかしながら、前述のように、第1ツール1と第2ツール3との間に、100ないし200Nの荷重が一挙に付加されると、ICチップ2はその衝撃力で破損してしまうことがあるので、上記実施の形態及び各応用例における、ステップ (ロ)ないしはステップ(ロ)からステップ(ロ’)に至る熱圧着操作においては、以下図4を参照して説明するように、2段階による降下制御を経た押圧操作が行なわれ、ICチップ2に破損につながるような衝撃力が加わらないように制御される。
【0062】
すなわち、図4(a)に示したステップ1Aからステップ4Aまでの工程は、上記COFのテープ4にICチップ2を熱圧着により接続するまでの手順を詳細に示したもので、本実施の形態に示した図2(a)のステップ(イ)及びステップ(ロ)、並びに各応用例を示した図3(a)及び図3(b)におけるステップ(イ)からステップ(ロ’)までの間の工程に対応する。
【0063】
また、図4(b)は、ILB装置の特に上下ツールの駆動系に主眼をおいて示した概略構成図であって、このILB装置を用いて、以下、COFの製造に用いられる無孔テープを用いたボンディングについて説明する。
【0064】
すなわち、図4(b)に示すように、350〜400℃程度に加熱された第1ツール1上にはICチップ2が吸着搭載されていて、ICチップ2と第2ツール3との間には、順次間欠搬送されてきたポリイミド樹脂製のテープ4が配置される。
【0065】
制御手段であるマイコン搭載の制御器5により、テープ4は、そのリード線を含む回路パターンが、第1ツール1上のICチップ2に対向位置するように位置合わせが行なわれる。
【0066】
次に制御器5は、第2ツール3を搭載支持した水平(X−Y)及び回転(θ)駆動機構6を制御し、図4(a)のステップ1Aに示すように、第2ツール3の下方ヘッド先端部の位置及び向きが、位置決めされた第1ツール1に対向一致するように制御する。
【0067】
このようにして、テープ4の回路パターンと第1ツール1上に搭載されたICチップ2とが位置決めされた状態では、図4(a)のステップ1Aに示すように、テープ4は上下に間隔を置いて、第2ツール3が第1ツール1と対峙するように配置される。
【0068】
次に、制御器5は、モータドライバ6aを介したサーボモータ6bの駆動制御により、第2ツール3を制御して下方にゆやかに下方に押し下げ、図4(a)のステップ2Aに示すように、約100℃の第2ツール3の下端部をテープ4に接触させるか、それに近い程度に近接させる。
【0069】
次に、制御器5は1Cチップ2を搭載した第1ツール1を不図示のサーボモータを用いたボールねじ機構を作動させることで押し上げ、熱圧着操作が開始される。
【0070】
まず第1段階として、図4(a)のステップ3Aに示すように第2ツール3の下端面に対し、テープ4が50N(ニュートン)程度の軽荷力で押上げられるように接触させる。
【0071】
この制御器5による50Nの押圧力制御は、サーボモータ6bの作動アーム6cに取り付けられた荷重センサ(ロードセル)6dからの検出信号のロードセル調整器6eを介したフィードバック制御により行われる。従って、荷重センサ6bは、第1ツール1の押し上げ時の面検出センサとしても作動する。
【0072】
次に、制御器5は、第2段階として、モータドライバ6aを介したサーボモータ6の駆動制御により、作動アーム6cの先端部の矢印Z方向への押圧力を強めて、第2ツール3が100ないし200N程度の荷重力で、第1ツール1に向け押し下げる制御を約2秒間行い、ICチップ2の金バンプ2aとテープ4の銅箔のリードとが共晶結合により接続されるように制御する(ステップ4A)。
【0073】
この後のステップは図示していないが、温度の比較的高い第1ツール1をまず下げ、その後温度の低い第2ツールを上昇させる。
【0074】
このように、第1ツールと第2ツール3との間の押圧開始操作は、2段階制御により行われて熱圧着が実行されるので、その熱圧着操作によりICチップ2に大きな衝撃力が加わるのが回避される。
【0075】
また、上記のように少なくとも第1ツール1と第2ツール3との間の相対移動により、熱圧着操作が行われるものであるが、第2ツール3をキャリアテープであるテープ4の一方の上面に近接または接触させて停止させる第1の制御と、この第1の制御により第2ツール3の一方の面に近接または接触したテープ4の他方の下面に、第1ツールに保持されたICチップ2を軽荷重の第1の押圧力で押圧する第2の制御と、この第2の制御により第1の押圧力により押圧されたテープ4の上面に対し、第2のツール3をより大きな荷重である第2の押圧力で押圧させる第3の制御とが行われて、ICチップ2のテープ4へのボンディングが行われる。
【0076】
なお、図4(b)に示したILB装置を用いて有孔テープのボンディングを行なう場合は、図5を用いて説明したと同様な動作にて行なうことができる。つまり、まず第1ツール1(この場合は例えば約100℃)に保持されたICチップ2が、この第1ツール1の上昇により、キャリアテープ4のリード4bの一方の面に近接または接触させられる。次に、第2ツール3(この場合例えば350℃ないし400℃)が下降してキャリアテープ4のリード4bの他方の面に接触する。そしてその後は、キャリアテープ4のリード4bがICチップ2に押圧されるように、第1ツールと第2ツールが制御されて電極2a1にリード4bが熱圧着される。
【0077】
以上説明のように、本実施の形態及びその応用例によれば、ICチップ2とテープ4との間の熱圧着による接続に際し、実質上、ICチップ2を保持した第1ツール1の制御移動による第2のツールとの間の押圧接触が行われてはじめて、ICチップ2とテープ4との間の接触が開始される。
【0078】
従って従来のように、第1ツール1と第2ツール3との間で押圧接触が開始される前に、第1ツール1の熱がキャリアテープ4のリード線に伝達されてしまい、本圧着操作前に、ICチップ2の金バンプとキャリアテープ4のリード線とが接触して温度が上昇し、本圧着時において、その接触部すなわち接続部の必要以上にに温度上昇し、接続部が溶融状態となるような不具合は回避される。
【0079】
なお、上記実施の形態では、熱圧着に際して、ボンディングステージからなる第1ツール1は350ないし400℃程度に、またボンディングツールである第2ツール3は約100℃に設定されるものとして説明したが、温度設定はキャリアテープ4の形状や材質等によって適宜選択変更することができ、例えば第1ツール1が約100℃に、また第2ツール3が約500℃に設定される場合もある。 また、上記説明の本発明の実施の形態等において、キャリアテープは、COFの下面に所定の間隔でリード等の回路パターンが形成されたものとして説明したが、キャリアテープ本体に、所定の間隔毎にデバイスホールが形成されていて、各デバイスホールに複数のインナーリードが突出形成されたものにも本発明装置及び本発明方法を適用可能であることは言うまでもない。
【0080】
また、上記実施の形態等では、第1ツール1をボンディングステージとし第2ツール3をボンディングツールとした例で説明したが、第1ツール1をボンディングツールとするとともに、第2ツール3をボンディングステージとしても良い。この場合、ICチップは、上方からボンディングツールにて吸着保持され、ボンディングツールとボンディングステージとの間に配置されたキャリアテープに対して上方から加熱押圧される。
【0081】
いずれにしても本発明によるボンディング装置、及びボンディング方法によれば、熱圧着ツールによる熱圧着開始操作、ないしは熱圧着後の熱圧着ツールの引離し操作がほぼ同じタイミングで行なわれるので、テープ(キャリアテープ)4自体の安定が保持され、またテープ4とICチップとの接続部における不要な温度上昇が回避され、接続部の溶融状態化を防止して良好な結合状態を維持できるので、高品質で信頼性の高い半導体装置等の電子部品を効率良く製造することができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、ICチップとキャリアテープとの間の熱圧着による接続に際し、接続部の温度が所要の熱圧着温度を越えないように制御されるので、接続部分では安定かつ良好な電気的導通が確保され、信頼性の高い半導体装置を効率良く製造することができ、実用に際し得られる効果大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるボンディング装置の一実施の形態を示した概略構成図である。
【図2】図2(a)は図1に示したボンディング装置で行われる熱圧着の工程説明図、図2(b)は図2(a)の熱圧着の工程に対応したキャリアテープの温度経緯を示した特性図である。
【図3】図1及び図2に示した本発明によるボンディング装置の変形例の工程説明図である。
【図4】図4(a)は本発明によるボンディング装置において、第1ツール及び第2ツールにより熱圧着されるまでの詳細工程図、図4(b)は図4(a)に示した工程が実行される装置の概略構成図である。
【図5】従来のボンディング装置を示した構成図である。
【図6】図6(a)は図5に示したボンディング装置で行われる熱圧着の工程説明図、図6(b)は図6(a)の熱圧着の工程に対応したキャリアテープの温度経緯を示した特性図である。
【図7】図7(a)は図5に示したボンディング装置で行われる他の熱圧着の工程説明図、図7(b)は図7(a)の熱圧着の工程に対応したキャリアテープの温度経緯を示した特性図である。
【符号の説明】
1 ボンディングステージ(第1ツール)
1a シリンダ
2 ICチップ
2a 金バンプ
3 ボンディングツール(第2ツール)
3a シリンダ
4 キャリアテープ(テープ)
5 制御器(制御手段)
6 X−Y、θ駆動機構

Claims (8)

  1. 第1ツールとこの第1ツールに対向して設けられた第2ツールとの間の押圧加熱により、前記第1ツールにて保持されたICチップを前記第1ツールと前記第2ツールとの間に配置されたキャリアテープに接続するボンディング装置において、
    前記押圧加熱により前記キャリアテープに接続された前記ICチップから前記第1ツールを引離す離脱操作と、前記押圧加熱により前記ICチップが接続された前記キャリアテープから前記第2ツールを引離す離脱操作とが時間差がなく同一タイミングで行われるように制御する制御手段を備えたことを特徴とするボンディング装置。
  2. 前記制御手段は、前記ICチップと前記キャリアテープとの熱圧着による接続に際し、前記ICチップの前記キャリアテープに対する接触と、前記第2ツールの前記キャリアテープに対する接触とが同一タイミングで開始されるように前記第2ツールを下降させると同時に、前記第1ツールを上昇させることを特徴とする請求項1記載のボンディング装置。
  3. 前記制御手段は、前記ICチップと前記キャリアテープとの熱圧着による接続に際し、まず、前記第1ツールに保持された前記ICチップが前記キャリアテープとの間に微小間隔を隔てて位置するように前記第1ツールを制御し、その後、前記キャリアテープを前記ICチップに押圧するように前記第2ツールを制御することを特徴とする請求項1記載のボンディング装置。
  4. 前記制御手段は、前記ICチップと前記キャリアテープとの熱圧着による接続に際し、まず、前記第2ツールが前記キャリアテープとの間に微小間隔を隔てて位置するように前記第2ツールを制御し、その後、前記ICチップを前記キャリアテープに押圧するように前記第1ツールを制御することを特徴とする請求項1記載のボンディング装置。
  5. 第1ツールとこの第1ツールに対向して設けられた第2ツールとの間の押圧加熱により、前記第1ツールにて保持されたICチップを前記第1ツールと前記第2ツールとの間に配置されたキャリアテープに接続するボンディング方法において、
    前記第1ツールと前記第2ツールとの間の相対移動により、前記ICチップと
    前記キャリアテープとが接続される熱圧着工程と、
    この熱圧着工程後に、前記第2ツールの前記キャリアテープからの離脱操作と、前記第1ツールの前記ICチップからの離脱操作とが時間差がなく同一タイミングで行われる離脱工程と、
    からなることを特徴とするボンディング方法。
  6. 前記熱圧着工程は、前記ICチップの前記キャリアテープに対する接触と、前記第2ツールの前記キャリアテープに対する接触とが同一タイミングで開始されるように前記第2ツールを下降させると同時に、前記第1ツールを上昇させることを特徴とした請求項5記載のボンディング方法。
  7. 前記熱圧着工程は、前記第1ツールにより前記ICチップを前記キャリアテープとの間に微小間隔を隔てて配置する工程と、前記第2ツールにより前記キャリアテープを前記ICチップに押圧する工程と、を有することを特徴とする請求項5記載のボンディング方法。
  8. 前記熱圧着工程は、前記第2ツールを前記キャリアテープとの間に微小間隔を隔てて配置する工程と、前記第1ツールにより前記ICチップを介して前記キャリアテープを前記第2ツール押し付けることにて前記ICチップを前記キャリアテープに押圧する工程と、を有することを特徴とする請求項5記載のボンディング方法。
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