JP4601519B2 - 有機系燃料供給システム - Google Patents

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本発明は、例えば農林業などで排出される樹皮などの動植物由来のバイオマスを有機系燃料として利用するシステムに係り、特にその有機系燃料を粉砕機で粉砕して粒状物質を得て、その粒状物質を例えば燃焼器などの粒状物質利用設備に供給するのに好適な有機系燃料供給システムに関する。
通常、バイオマスとは、エネルギー源や工業原料として利用可能な生物体(例えば木材、各種植物、農業生産物など)をいう。
例えば木質バイオマスは、粉砕機で所定の大きさに粉砕してから燃焼器で燃焼して水蒸気などを得るシステムになっている。図2は、従来、特開平8−117634号公報(特許文献1)として提案されたバイオマス粉砕用のハンマー式粉砕機の概略構成図である。
このハンマー式粉砕機は、外周部に複数のハンマー51を取り付けた回転円板52が回転軸53に支持されている。一方、ケーシング54の内面には、前記ハンマー51と対向するように複数の固定刃55が取り付けられていると共に、前記回転円板52の下方には断面形状がほぼ半円状のスクリーン56が固定されている。
ケーシング54の上方には投入口57が形成され、その投入口57の上方には投入コンベア58が配置されている。ケーシング54の途中の側壁には送風機59がケーシング54の排出口60側に向けて設けられており、排出口60の下方には排出コンベア61が配置されている。
前記投入コンベア58で搬送されてきた木質バイオマス等の被粉砕物62は、投入口57から機内に投入され、高速で回転する複数のハンマー51と固定刃55により細かく粉砕される。そしてスクリーン56を通過して落下した粉砕物63は送風機59からの空気流64によって排出口60側に流れ、排出コンベア61によって機外に搬出されるシステムになっている。
前述の粉砕された粉砕物63、特に樹皮などのような繊維質のものは水分を含んでおり、それによってスクリーン56が目詰りを生じることが多々あるため、この粉砕機では送風機59を用い、それによって形成される空気流64を粉砕物63に当てていた。
またバイオマスを燃焼炉に効率よく供給する粒状物供給装置として、特開2004−353933号公報に記載されたような提案もある。
特開平8−117634号公報(図1) 特開2004−353933号公報(図1)
前述のように従来の粉砕機では送風機59を用いているが、水分を多く含んだ粉砕物63に対して空気流64を当てるだけでは水分の蒸発は起こらず、そのためにスクリーン56の目詰りが生じたり、微粉状の粉砕物63がケーシング54の内面などに付着、堆積して汚れるなどの欠点を有している。
木質チップなど水分を30重量%〜60重量%含むバイオマスを機械的に粉砕する場合、粉砕粒度にも依るが粉砕に伴い粉砕前と比較して、数重量%〜数十重量%程度以上水分含有率が低下する。これはバイオマス中の水分の約70重量%を占める自由水の一部が、粉砕に伴う衝撃、切断などの機械的な力でバイオマスから分離するからである。分離した水分は粉砕機内に付着し、一部はバイオマスと共に粉砕機外に排出される。幾分かの水分は粉砕に伴う発熱により雰囲気ガス中に蒸発・揮散する。
また、バイオマスを数ミリ程度まで粉砕する代表的なものとして、粒度調整用に出口部にスクリーンを設置したハンマー式粉砕機がある。しかしこの粉砕機においても、粉砕に伴って発生した水分が内部に付着し、その上にバイオマスの微粉末が付着して堆積し、前記スクリーンが閉塞するという問題がある。特にスクリーンの目開きが小さい場合、スクリーンの閉塞が顕著である。
粉砕物の粒度は用途により異なるが、5mm程度以下とする場合、スクリーンの目開きは6mm程度以下となり、水分が多いと閉塞しやすくなり、閉塞の度毎に粉砕機を一時停止して閉塞物を除去した後、再起動する必要があり、操作が面倒である。
また、微粉バイオマスを燃焼する用途に使用する場合、水分を含有したままの微粉バイオマスを燃焼系統に供給することは、燃焼効率の低下を招来することになり好ましいことではない。
前記特開2004−353933号公報にはバイオマスを粉砕して得た粒状物質の供給機構については記載されているが、前述のようなスクリーンの目詰り、閉塞についての考慮はなされていない。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、水分を含んだ粒状物質が粉砕機内で付着して堆積するようなことのない有機系燃料供給システムを提案することにある。
前記目的を達成するため本発明は、水分を含んだ例えば木質バイオマスなどの有機系燃料を粉砕機で粉砕して粒状物質を得て、その粒状物質を例えば燃焼器やガス化炉などの粒状物質利用設備に供給する有機系燃料供給システムを対象とするものである。
そして本発明の第1の手段は、前記有機系燃料を粉砕して得た粒状物質を気流搬送した後、粒状物質と例えば空気などの搬送ガスに分離し、その粒状物質を前記粒状物質利用設備に供給するとともに、前記分離した搬送ガスを凝縮して搬送ガス中の水分を除去した後、その乾燥した搬送ガスを前記粉砕機に戻して粒状物質の気流搬送に供することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記凝縮した搬送ガスを例えば後述するガス再加熱器などで加熱して前記粉砕機に戻すことを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記粉砕された粒状物質が通過するスクリーンを前記粉砕機内に設けたことを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段において、前記粉砕機内の前記粒状物質が接触する部分を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、前記加熱手段により前記スクリーンが加熱されることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第2の手段において、前記粒状物質利用設備からの有機系燃料要求信号に応じて、前記搬送ガスを凝縮する例えば冷却水などの冷却媒体の供給量ならびに凝縮した搬送ガスを加熱する加熱温度が調整可能になっていることを特徴とするものである。
本発明は前述のように、分離した搬送ガスを凝縮して搬送ガス中の水分を除去した後、その乾燥した搬送ガスを粉砕機に戻して粒状物質の気流搬送に供するように構成されているから、水分を含んだ粒状物質が粉砕機内で付着して堆積するようなことのない有機系燃料供給システムを提案することができる。
次に本発明の実施形態を図と共に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る粉砕機ならびに燃焼器を備えた有機系燃料供給システムの系統図である。
ホッパ1の下部に定量供給機2が設けられ、その下方に粉砕機3が設置されている。粉砕機3は機内に、外周部に複数のハンマー4を取り付けた回転円板12と、その回転円板12の下方に設置された断面形状が円弧状のスクリーン5と、前記ハンマー4と対向するように設けられた複数の固定刃(図示せず)を有している。
粉砕機3の出口は導管21を介してサイクロンセパレータ6に接続され、さらにサイクロンセパレータ6の下部は導管25を介して燃焼器11に接続されている。サイクロンセパレータ6の上部は、導管24を介してファン7,凝縮機8,ガス再加熱器9ならびに粉砕機3の系統に接続されている。
また粉砕機3には、機内の温度を設定温度に維持するための加熱器10が接続され、本実施形態の場合この加熱器10は前記スクリーン5に接続され、スクリーン5全体を水分が蒸発し易い温度まで加熱している。
水分を多く含んだ例えば樹皮などのチップ状のバイオマス(図示せず)は、ホッパ1内に貯留されている。燃焼器11からの要求量(要求信号)に応じて供給量が設定可能になっているコンベア式の定量供給機2を通して、ホッパ1内のバイオマス(被粉砕物)が定量ずつ粉砕機3の上部投入口(図示せず)から機内に投入される。
投入された被粉砕物は高速で回転するハンマー4と固定刃との共働により細かく粉砕され、スクリーン5の目を通過した細かい粉砕物は粉砕機3の下部に設置されている排出コンベア(図示せず)上に落下して機外に排出される。前述のようにスクリーン5全体は加熱器10によって水分が蒸発し易い温度まで加熱されているから、スクリーン5上にあるの被粉砕物ならびに粉砕物はこの時点である程度水分の蒸発・揮散がなされる。
このようにして取り出された粉砕物は導管21を通してサイクロンセパレータ6に気流搬送され、そこで固体(粉砕物)と気体(空気)に分離される。分離された粉砕物は、ファン(図示せず)により導管25を通って燃焼器11に送られて、それ単独あるいは石炭など他の燃料と混合して燃焼されて、水蒸気を発生する。
一方、サイクロンセパレータ6で分離された空気はファン7で昇圧され、その空気中に含まれている水分は導管22を通して凝縮機8に供給した冷却水で凝縮して空気から分離し、凝縮した水は導管23から系外に排出する。このようにして水分を除いた乾燥した空気は、粉砕機3に投入される。バイオマス(被粉砕物)の水分含有率が多い場合は必要に応じてガス再加熱器9で昇温して、導管24を通して粉砕機3の内部に噴射する。
本実施形態の場合、水分を除去したあるいは更に加熱した空気を、ハンマー4や固定刃を有する粉砕部あるいはスクリーン5に向けて噴射することにより、被粉砕物ならびに粉砕物の水分の蒸発に寄与している。
微分バイオマスを製造する場合、その製造量を燃焼器11からの要求量によりバイオマス(粉砕物)の供給量が定まる。燃焼器11からの要求量に応じた量のバイオマス(被粉砕物)を粉砕器3に投入しても、更に要求量が増加する場合は、スクリーン5で目詰りを生じる可能性がある。
この場合、前記凝縮機8に供給する冷却水量を増やして、循環空気中の水分量を少なくすると共に、水分除去後の空気の温度を上げるガス再加熱器9、ならびに粉砕機3内の空気の温度を上げる加熱器10の設定温度を上げることにより、スクリーン5の目詰りを迅速に防止することができる。
また、粉砕機3に投入されるバイオマス(被粉砕物)の水分含有率は諸条件によって一定していないため、燃焼器11から要求量(要求信号)を送っても、熱量的に過不足を生じるケースがある。このような場合も前述と同様の操作により、凝縮機8への冷却水供給量のコントロール、ならびにガス再加熱器9,加熱器10の設定温度のコントロールがなされ、水分含有率の少ない微粉バイオマスを燃焼器11に供給することができる。
前記実施形態では固気分離器としてサイクロンセパレータを用いたが、それに代えて例えばバグフィルターなどの他の固気分離器を用いることも可能である。
前記実施形態では微粉バイオマスを燃焼器で燃焼する場合を説明したが、微粉バイオマスをガス化炉に供給し、ガス化によって得られた生成ガスを用いてメタノールなどの液体燃料に転換することも可能である。
以上説明したように本実施形態によれば、水分含有率の多いバイオマスを粉砕機3で粉砕して、燃焼器11で燃焼する場合、粉砕機3のスクリーン5に微粉バイオマスが付着、堆積して閉塞するようなトラブルが有効に防止できる。
また微粉バイオマス中の水分を除去した状態で燃焼器11に供給することができるから、燃焼器11での燃焼効率の向上が図れる。更にバイオマスに例えば水溶性ペンキなどの水溶性物質を含む場合、凝縮器8において凝縮水23とともに系外に排出できるため、水溶性物質による燃焼器11や空気循環設備(本実施形態ではサイクロンセパレータ6,ファン7,凝縮機8,ガス再加熱器9,各導管21,24など)への悪影響が軽減できる。
本発明の実施形態に係る粉砕機ならびに燃焼器を備えた有機系燃料供給システムの系統図である。 従来提案されたこの種粉砕機の概略構成図である。
符号の説明
1:ホッパ1、2:定量供給機、3:粉砕機、4:ハンマー、5:スクリーン、6:サイクロンセパレータ、7:ファン、8:凝縮機、9:ガス再加熱器、10:加熱器、11:燃焼器、12:回転円板、21,22,24,25:導管、23:凝縮水。

Claims (6)

  1. 水分を含んだ有機系燃料を粉砕機で粉砕して粒状物質を得て、その粒状物質を粒状物質利用設備に供給する有機系燃料供給システムにおいて、
    前記有機系燃料を粉砕して得た粒状物質を気流搬送した後、粒状物質と搬送ガスに分離し、その粒状物質を前記粒状物質利用設備に供給するとともに、
    前記分離した搬送ガスを凝縮して搬送ガス中の水分を除去した後、その乾燥した搬送ガスを前記粉砕機に戻して粒状物質の気流搬送に供することを特徴とする有機系燃料供給システム。
  2. 請求項1記載の有機系燃料供給システムにおいて、前記凝縮した搬送ガスを加熱して前記粉砕機に戻すことを特徴とする有機系燃料供給システム。
  3. 請求項1または2記載の有機系燃料供給システムにおいて、前記粉砕された粒状物質が通過するスクリーンを前記粉砕機内に設けたことを特徴とする有機系燃料供給システム。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の有機系燃料供給システムにおいて、前記粉砕機内の前記粒状物質が接触する部分を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする有機系燃料供給システム。
  5. 請求項4項記載の有機系燃料供給システムにおいて、前記加熱手段により前記スクリーンが加熱されることを特徴とする有機系燃料供給システム。
  6. 請求項2記載の有機系燃料供給システムにおいて、前記粒状物質利用設備からの有機系燃料要求信号に応じて、前記搬送ガスを凝縮する冷却媒体の供給量ならびに凝縮した搬送ガスを加熱する加熱温度が調整可能になっていることを特徴とする有機系燃料供給システム。
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