JP4600374B2 - クレーンのブームヘッド - Google Patents

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本発明は、クレーンのブームヘッドの改善に係り、より詳しくは、シーブ付フックブロックを備えた2本掛けの補巻フックを使用しても、補巻用シーブ装置のシーブ支持フレームの長さを短尺にすることを可能ならしめるようにしたクレーンのブームヘッドに関するものである。
主巻用トップシーブを備えてなるクレーンのブームヘッドの先端には、着脱自在な補巻用シーブ装置が設けられるように構成されている。このような補巻用シーブ装置の補巻フックは補巻ロープにより1本吊りされてなる構成のものであって、補巻フックによる吊り荷の荷重が軽量の場合に、このような形態の補巻用シーブ装置が使用される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−238992号公報
ところが、補巻フックにてより大重量の吊り荷を吊持するためには、一般的に補巻ロープを2本掛けにする必要があり、この場合補巻フックも主巻フックの場合と同様に、シーブ付のフックブロックを備えた補巻フックを採用しなければならない。この場合、主巻フックとシーブ付の補巻フックとが互いに干渉しないようにするために、例えば従来例に係る一般的な補巻用シーブ装置の構成説明図の図3に示すように、補巻用シーブ装置50のシーブ支持フレーム(特許文献1でいう補助シーブ保持部材に該当する)51を長尺にすることにより、主巻フック52とシーブ付の補巻フック53との間の間隔Sを拡げなければならない。
図3から良く理解されるように、主巻フック52と補巻フック53のシーブ支軸52a,53aの軸心が互いに平行であるから、これら主巻フック52と補巻フック53の接近時における互いの干渉を避けるためには、シーブ支持フレーム51の長さを、補巻ロープにより1本吊りされてなる構成の補巻フックの場合よりは,ある程度長尺にしなければならない。このシーブ支持フレーム51のある程度の長尺化により、主巻フック52と補巻フック53の干渉を避けることが可能になる。
ところで、吊り荷重を主巻フックと補巻フックとにより同時吊りすることが要求される作業として、例えば図4に示すようなアースドリル工法における作業がある。このアースドリル工法の場合には、垂直な掘削穴60にコンクリートを打設するトレミー61をシーブ付の補巻フックにより吊持すると共に、掘削穴60に嵌合した円胴状のケーシング62を主巻フックにより吊持して、コンクリートCの打設を継続しながら、このコンクリートCの打設面の上昇に応じて、トレミー61とケーシング62とを同時に吊上げて引抜く作業である。
アースドリル工法におけるこのような作業の場合には、主巻フックと補巻フックとの間の間隔が大きいと、トレミー61とケーシング62との引抜量の進行に応じて、例えばケーシング62が傾いてトレミー61に干渉することがある。さらに、これに加えて、トレミー61が抜けたときに、このトレミー61が大きく揺れたりするため安全上の不具合が生じることもある。
従って、同時吊りの場合に両フックをできるだけ接近させたい作業であることから、主巻ロープの場合と同様に、補巻ロープの自由端をブームヘッドに止着させることが考えられるが、そのようにすれば、主巻ロープと補巻ロープとが干渉することとなるから、補巻ロープの自由端をシーブ支持フレームに止着せざるを得ない。その場合、長尺化したシーブ支持フレームに大きな負荷が作用することになるから、シーブ支持フレームに強度上の問題が発生するので好ましくない。
従って、本発明の目的は、シーブ付フックブロックを備えた2本掛けの補巻フックを使用しても、補巻用シーブ装置のシーブ支持フレームの長さを短尺にすることを可能ならしめるクレーンのブームヘッドを提供することである。
補巻用シーブ装置の補巻シーブにより、補巻フックのシーブを軸支するシーブ支軸が主巻フックのシーブを軸支するシーブ支軸に対して直交する向きになるように補巻フックを吊持し得る構成にする。さすれば、主巻フックと補巻フックをより接近させることができるから、補巻用シーブ装置のシーブ支持フレームの長さを短尺にすることが可能になると考えて、本発明を具現したものである。
従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るクレーンのブームヘッドが採用した手段は、先端側に主巻用トップシーブを備え、背面側にガイドシーブを備えたブームヘッドの先端に補巻用シーブ装置を備えてなるクレーンのブームヘッドにおいて、前記補巻用シーブ装置は、ブームヘッドの先端に対して着脱可能に取付けられたシーブ支持フレームと、前記シーブ支持フレームに前記主巻用トップシーブのトップシーブ支軸と平行な補助シーブ支軸を介し、適宜間隔が隔てられて軸支された2枚の補助シーブとを備え、これら2枚の補助シーブのうちの一方の補助シーブを経てシーブ付の補巻フックのシーブを介して2本掛けし、この2本掛けの補巻ロープによって吊持された補巻フックのシーブ支軸が、主巻フックシーブ支軸と直交する向きとなるように、補巻ロープの自由端が他方の補助シーブを経て前記ブームヘッドの背面側に止着されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係るクレーンのブームヘッドでは、シーブ支持フレームに、主巻用トップシーブのトップシーブ支軸と平行な補助シーブ支軸を介して軸支された2枚の補助シーブのうちの一方の補助シーブを経てシーブ付の補巻フックのシーブを介して2本掛けし、この2本掛けの補巻ロープによって吊持された補巻フックのシーブ支軸が、主巻フックシーブ支軸と直交する向きとなるように、補巻ロープの自由端が他方の補助シーブを経て前記ブームヘッドの背面側に止着されている。
従って、本発明の請求項1に係るクレーンのブームヘッドによれば、補巻ロープにより、補巻フックのシーブを軸支するシーブ支軸が主巻フックのシーブを軸支するシーブ支軸に対して直交する向きになるように補巻フックを吊持することができ、しかも2本掛けの補巻ロープが捩れても補巻フックが回転するようなことがない。そのため、主巻フックと補巻フックをより接近させることができるから、従来よりもシーブ支持フレームの長さを短尺にすることができる。
更に、本発明の請求項に係るクレーンのブームヘッドでは、2枚の補助シーブのうちの一方の補助シーブを経てシーブ付の補巻フックのシーブを介して2本掛けされた自由端は、他方の補助シーブを経てブームヘッドに止着されている。従って、本発明の請求項に係るクレーンのブームヘッドによれば、シーブ支持フレームに対してブームの背面側方向の力(吊り荷に抗する力)が作用する結果、シーブ支持フレームに作用する負荷が軽減されるため、シーブ支持フレームの軽量化が可能になる。
以下、本発明の実施の形態に係るクレーンのブームヘッドを、添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係るクレーンのブームヘッドの側面図であり、図2は図1のA矢視図(補巻シーブ、補巻ロープ、補巻フックのみを示す)である。
図1に示す符号1は、クレーンの起伏自在なブームで、このブーム1の先端にブームヘッド2が設けられている。このブームヘッド2の先端側にトップシーブ支軸4を介して複数枚の主巻用トップシーブ(図では1枚の主巻用トップシーブのみが示されている)3が軸支されている。また、このブームヘッド2の背面側に、図示しない主巻ウインチにより巻取り、繰出される主巻ロープLと、図示しない補巻ウインチにより巻取り、繰出される補巻ロープLとが掛けられ、掛けられたこれらロープを方向変換するガイドシーブ5がガイドシーブ支軸6を介して軸支されている。そして、このブームヘッド2の先端に後述する構成になる補巻用シーブ装置10が装着されている。
なお、前記主巻用トップシーブ3に主巻ロープLを介して吊持されてなるものは主巻フック7であって、この主巻フック7のフックブロックに主巻フックシーブ支軸9を介して取付けられた主巻フックシーブ8に前記主巻ロープLが掛回されている。
前記補巻用シーブ装置10は、前記ブームヘッド2の先端に対して着脱可能に取付けられたシーブ支持フレーム11を備えている。このシーブ支持フレーム11に、適宜間隔が隔てられ、前記主巻用トップシーブ3のトップシーブ支軸4と平行な補助シーブ支軸14を介して2枚の補助シーブ12,13が軸支されている。
そして、これら2枚の補助シーブ12,13のうちの一方の補助シーブ13を経てシーブ付の補巻フック15の補巻フックシーブ16を介して2本掛けされた補巻ロープLの自由端が、他方の補助シーブ12を経て前記ブームヘッド2の背面側に設けられてロープ止着部にロープ止着金具18を介して止着されている。前記補巻フックシーブ16は、図2に示すように、前記主巻フック7の主巻フックシーブ支軸9と直交する向きの補巻フックシーブ支軸17を介して補巻フック15のフックブロックに軸支されている。
以下、上記本発明の実施の形態に係るクレーンのブームヘッドの作用態様を説明する。
即ち、本発明の実施の形態に係るブームヘッド2では、上記のとおり、補巻用シーブ装置10のシーブ支持フレーム11に、主巻用トップシーブ3を軸支するトップシーブ支軸4と平行な補助シーブ支軸14を介して軸支された2枚の補助シーブ12,13のうちの一方の補助シーブ13を経てシーブ付の補巻フック15の補巻フックシーブ16を介して2本掛けされた補巻ロープLSの自由端が、他方の補助シーブ12を経てブームヘッド2の背面側に設けられたロープ止着部に止着されている。
従って、本発明の実施の形態に係るブームヘッド2によれば、補助シーブ12,13に掛けられた2本掛けの補巻ロープLによって補巻フック15が吊持されているが、補巻フックシーブ16を軸支する補巻フックシーブ支軸17は、主巻フック7の主巻フックシーブ8を軸支する主巻フックシーブ支軸9に対して直交する向きになる。しかも、2本掛けの補巻ロープLが捩れたとしても、補助シーブ12,13の間隔が適宜隔てられていて、2本掛けの補巻ロープLの間隔が、図2に示すように、補巻フックシーブ16の直径程度になっているから、補巻フック15が回転するようなことがない。そのため、主巻フック7と補巻フック15をより接近させることができるから、従来よりもシーブ支持フレーム11の長さを短尺にすることができる。
また、本発明の実施の形態に係るブームヘッド2では、上記のとおり、補巻ロープLの自由端は、ブームヘッドに止着されているから、シーブ支持フレーム11に対してブーム1の背面側方向の力(吊り荷に抗する力)が作用する結果、シーブ支持フレーム11に作用する負荷が軽減されるため、シーブ支持フレーム11の軽量化が可能になる。
従って、本発明の実施の形態に係るブームヘッド2によれば、主巻フック7と補巻フック15とにより吊荷を同時吊りする場合に、これら主巻フック7と補巻フック15を従来よりも接近させることができるので、後述するような作業を、能率よく安全に実施することができる。即ち、単一の吊り荷を主巻フックと補巻フックとにより同時吊りする縦長の荷の吊上げのような作業の場合には、主巻フック7と補巻フック15との間の間隔が小さいので、両フックの重心線上に近いため、フック速度の差が生じたときにも、荷が前後に揺れるというような不具合が生じるようなことがない。
また、アースドリル工法におけるコンクリートの打設面の上昇に応じてトレミーとケーシングを同時に吊上げて引抜く作業であっても、主巻フック7と補巻フック15との間の間隔が小さいため、引抜の進行に際してトレミーとケーシングが干渉したりするような恐れが少なくなるのに加えて、掘削穴から抜けたときにケーシングが大きく揺れたりするような安全上の不具合が生じる恐れが少なくなるという優れた効果を得ることができる。
本発明の上記実施の形態に係るクレーンのブームヘッド2は、本発明の1具体例に過ぎないから、上記実施の形態によって本発明のクレーンのブームヘッドの形態が限定されるものではない。また、本発明の技術的思想を悦脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
本発明の実施の形態に係るクレーンのブームヘッドの側面図である。 図1のA矢視図(補巻シーブ、補巻ロープ、補巻フックのみを示す)である。 従来例に係る一般的な補巻用シーブ装置の構成説明図である。 アースドリル工法の説明図である。
符号の説明
1…ブーム,2…ブームヘッド,3…トップシーブ,4…主巻用トップシーブ支軸,5…ガイドシーブ,6…ガイドシーブ支軸,7…主巻フック,8…主巻フックシーブ,9…主巻フックシーブ支軸
10…補巻用シーブ装置,11…シーブ支持フレーム,12…補助シーブ,13…補助シーブ,14…補助シーブ支軸,15…補巻フック,16…補巻フックシーブ,17…補巻フックシーブ支軸,18…ロープ止着金具
…主巻ロープ
…補巻ロープ

Claims (1)

  1. 先端側に主巻用トップシーブを備え、背面側にガイドシーブを備えたブームヘッドの先端に補巻用シーブ装置を備えてなるクレーンのブームヘッドにおいて、前記補巻用シーブ装置は、ブームヘッドの先端に対して着脱可能に取付けられたシーブ支持フレームと、前記シーブ支持フレームに前記主巻用トップシーブのトップシーブ支軸と平行な補助シーブ支軸を介し、適宜間隔が隔てられて軸支された2枚の補助シーブとを備え、これら2枚の補助シーブのうちの一方の補助シーブを経てシーブ付の補巻フックのシーブを介して2本掛けし、この2本掛けの補巻ロープによって吊持された補巻フックのシーブ支軸が、主巻フックシーブ支軸と直交する向きとなるように、補巻ロープの自由端が他方の補助シーブを経て前記ブームヘッドの背面側に止着されてなることを特徴とするクレーンのブームヘッド。
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