以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の第1の形態(クレーン10A)の側面図である。図1に示されるクレーン10Aは、いわゆるラッフィング形態(ジブブーム形態ともいう)に相当する。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係るクレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。また、本実施形態に係るクレーン10は、一部の部材を組み替えることで、後記の第2の形態(基本形態のクレーン10B)および第3の形態(ロング形態のクレーン10C)に変更することができる。
クレーン10は、クレーン本体に相当する旋回体12と、この旋回体12を旋回可能に支持する走行体14と、ブーム16及びジブ18を含む起伏部材と、ブーム起伏用部材であるマスト20と、を備える。また、旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト13が積載されている。また、旋回体12の前端部には、キャブ15が備えられている。キャブ15は、クレーン10の運転席に相当する。
図1に示されるブーム16は、旋回体12に起伏可能に軸支される。ブーム16は、いわゆるラチス型であり、下部ブーム16Aと、一または複数(図例では2個)の中間ブーム16B,16Cおよび16Dと、上部ブーム16Tとから構成される。具体的に、下部ブーム16Aは、旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。中間ブーム16B,16Cおよび16Dは、その順に下部ブーム16Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ブーム16Tは中間ブーム16Dの先端側に着脱可能に継ぎ足され、この上部ブーム16Tの先端部に、ジブ18を回動させるためのリアストラット21及びフロントストラット22が回動可能に連結される。ブーム16は、下端部に備えられたブームフットピン16Sを支点として旋回体12に水平な回転中心軸回りに回動可能に軸支される。
ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、中間部材がないものでもよく、また、上記とは中間ブームの数が異なるものでもよい。更に、ブームは、単一の部材で構成されたものでもよい。
ジブ18も、その具体的な構造は限定されないが、図例ではラチス型の構造を有する。ジブ18は、ブーム16の先端部に起伏可能に軸支される。そして、このジブ18の基端部は、ブーム16の上部ブーム16Tのジブ支持部16Wに回動可能に連結(軸支)されており、ジブ18の回動中心軸は、旋回体12に対するブーム16の回動中心軸(ブームフットピン16S)と平行な横軸になっている。
ジブ18は、下部ジブ18Aと、一または複数(図例では1個)の中間ジブ18Bと、上部ジブ18Cとから構成される。具体的に、下部ジブ18Aは、ブーム16の上部ブーム16Tに配置されたジブ支持部16Wに起伏方向に回動可能となるように連結される。中間ジブ18Bは、下部ジブ18Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ジブ18Cは中間ジブ18Bの先端側に着脱可能に継ぎ足される。
マスト20は、基端及び回動端を有し、その基端が旋回体12に回動可能に連結される。マスト20の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつ当該ブーム16の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20はブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端は左右一対のブーム用ガイライン24を介してブーム16の先端に連結される。この連結は、マスト20の回動とブーム16の回動とを連携させる。
旋回体12上には左右一対のバックストップ23が設けられる。これらのバックストップ23は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で当該ブーム16の下部ブーム16Aの左右両側部に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。なお、他の実施形態において、左右一対のバックストップ23は下部ブーム16Aに設けられており、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で旋回体12の左右両側部に当接する態様でもよい。
リアストラット21およびフロントストラット22は、ブーム16の先端部(上部ブーム16T)に回動可能に軸支される。リアストラット21は、フロントストラット22の後側の位置に配置される。リアストラット21は、上部ブーム16Tの先端からブーム起立側(図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、リアストラット21とブーム16との間に左右一対のバックストップ25及び左右一対のガイリンク26が介在する。バックストップ25は、中間ブーム16Dとリアストラット21の中間部位との間に介在し、リアストラット21を下から支える。ガイリンク26はリアストラット21の先端部とブーム16の下部ブーム16Aとを接続するように張設され、その張力によってリアストラット21の位置を規制する。なお、他の実施形態において、リアストラット21およびフロントストラット22は、ジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。また、リアストラット21がブーム16の先端部に回動可能に軸支され、フロントストラット22がジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。
フロントストラット22は、ジブ18の後方においてブーム16の先端部に回動可能に軸支されるとともに、ジブ18と連動して(一体的に)回動するようにこのジブ18に連結される。詳しくは、このフロントストラット22の先端部とジブ18の先端部とを結ぶように左右一対のジブ用ガイライン28が張設される。従って、このフロントストラット22の回動駆動によってジブ18も回動駆動される。なお、前述のリアストラット21は、フロントストラット22との間で略二等辺三角形形状を形成する。
クレーン10には、各種ウインチが搭載される。具体的には、ブーム16を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、ジブ18を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34とが搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、ブーム起伏用ウインチ30がマスト20の基端近傍部位に据え付けられる。また、ジブ起伏用ウインチ32、主巻用ウインチ34がブーム16における下部ブーム16Aに据え付けられる。これらのウインチ30,32,34は旋回体12に搭載されていてもよい。
ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取り及び繰り出しによりマスト20が回動するようにブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的には、マスト20の回動端部及び旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、ブーム起伏用ウインチ30から引き出されたブーム起伏用ロープ38がシーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ30がブーム起伏用ロープ38の巻き取りや繰り出しを行うことにより、両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによってマスト20さらにはこれと連動するブーム16が起伏方向に回動する。
ジブ起伏用ウインチ32は、リアストラット21とフロントストラット22との間に巻き回されたジブ起伏用ロープ44の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取りや繰り出しによってフロントストラット22がリアストラット21に対して相対的に回動するようにジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、リアストラット21の長手方向中間部にはガイドシーブ46が設けられるとともに、リアストラット21の回動端部及びフロントストラット22の回動端部にそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック47,48が設けられている。そして、ジブ起伏用ウインチ32から引き出されたジブ起伏用ロープ44がガイドシーブ46に掛けられ、かつ、シーブブロック47,48間(リアストラット21の先端部とフロントストラット22の先端部との間)に掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ32によるジブ起伏用ロープ44の巻き取りや繰り出しは、両シーブブロック47,48間の距離を変え、フロントストラット22さらにはこれと連動するジブ18を起伏方向に回動させる。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50(吊り荷用ロープ)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、リアストラット21の基端近傍部位、フロントストラット22の基端近傍部位にはそれぞれ主巻用ガイドシーブ52,53が回転可能に設けられ、ジブ18の先端部(上部ジブ18C)には、アイドラシーブ54が装着されている。さらにアイドラシーブ54に隣接する位置には複数の主巻用ポイントシーブ56が幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50が主巻用ガイドシーブ52,53およびアイドラシーブ54に順に掛けられ、かつ、シーブブロックの主巻用ポイントシーブ56と吊荷用の主フック57(フック)に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34(巻き取り用ウインチ)が主巻ロープ50の巻き取りや繰り出しを行うと、両シーブ56,58間の距離が変わって、ジブ18の先端部から垂下された主巻ロープ50に連結された主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
図2は、本実施形態に係るクレーン10の第2の形態(クレーン10B)の側面図である。図1に示されるクレーン10(10A)が地上で分解され、その一部の部材によって、図2に示されるクレーン10Bが組み立てられる。クレーン10Bは、いわゆる基本形態に相当する。
クレーン10Bでは、図1に示されるクレーン10Aのうち主にジブ18、リアストラット21、フロントストラット22などが装備されていない。また、これらの部材を支持するための部材(バックストップ25、ガイリンク26)も装備されていない。
図2に示されるクレーン10Bでは、ブーム16の先端部(上部ブーム16T)から主巻ロープ50が垂下される。具体的に、上部ブーム16Tの背面側には、アイドラシーブ54が回転可能に装着されている。また、上部ブーム16Tのうち、ジブ支持部16Wの下方であってアイドラシーブ54に隣接する位置には、複数の主巻用ポイントシーブ16Xが幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。そして、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50がアイドラシーブ54に掛けられ、かつ、シーブブロックの主巻用ポイントシーブ16Xと、吊荷用の主フック57に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ50の巻き取りや繰り出しを行うと、両シーブ16X,58間の距離が変わって、ブーム16の先端部から垂下された主巻ロープ50に連結された主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
図1および図2を参照して、本実施形態では、図1のクレーン10Aにおいてジブ18の先端部に装着されていたアイドラシーブ54が、図2のクレーン10Bではブーム16の先端部に装着される。すなわち、アイドラシーブ54は、クレーン10Aのジブ18の先端部およびクレーン10Bのブーム16の先端部に、選択的に装着される。
図3は、本実施形態に係るクレーン10(10B)の上部ブーム16Tの側面図である。なお、図3では、図2のクレーン10Bの上部ブーム16Tが前後方向において反転して配置されている。図4乃至図6は、本実施形態に係るクレーン10Bのアイドラシーブ54の装着手順を示した側面図である。図7は、クレーン10Bのシーブ装着部16Pの斜視図である。図8は、本発明の一実施形態に係るクレーンのシーブユニット54Sの斜視図である。図9は、本実施形態に係るクレーン10Bのシーブ装着部16Pにシーブユニット54Sが装着された様子を示す斜視図である。
図2に示すように、クレーン10の基本形態(クレーン10B)では、リアストラット21およびフロントストラット22がブーム16から脱離され、ブーム16の先端部から主巻ロープ50が垂下される。また、クレーン10Bでは、アイドラシーブ54が上部ブーム16Tに装着される。なお、ブーム16が下部ブーム16A、中間ブーム16B~16Dおよび上部ブーム16Tに分解されると、安全上の観点から上部ブーム16Tは図3に示されるような姿勢で地面G上に配置されることが多い(ブーム16の長手方向と直交する方向に延びる、上部ブーム16Tの底面部が地面Gに接する姿勢)。
上部ブーム16Tは、前述の主巻用ポイントシーブ16X、ジブ支持部16Wに加え、左右一対の上部ブームフレーム板160と、ブーム第1パイプ161と、ブーム第2パイプ162と、シーブ装着部16P(第1ユニット保持部)と、を有する。
左右一対の上部ブームフレーム板160は、上部ブーム16Tの左右方向の端部をそれぞれ画定する部材である。ブーム第1パイプ161およびブーム第2パイプ162は、それぞれ左右方向に沿って延びるパイプ材であって、左右一対の上部ブームフレーム板160を互いに接続する。なお、ブーム第1パイプ161は、ブーム第2パイプ162の上方に配置されている。また、ブーム第1パイプ161およびブーム第2パイプ162以外にも他のパイプ材が左右一対の上部ブームフレーム板160を互いに接続するように配置されている。
シーブ装着部16Pは、ブーム第1パイプ161およびブーム第2パイプ162(ブーム16の先端部)に配置され、シーブユニット54Sが装着されることを許容する。図3、図7を参照して、シーブ装着部16Pは、左右一対の第1固定部161Aおよび左右一対の第2固定部162Aを有する。シーブ装着部16Pは、クレーン10Bにおいて、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50がアイドラシーブ54によって支持されるとともにブーム16の先端部から垂下されるように、シーブユニット54Sを保持する。
一対の第1固定部161Aは、ブーム第1パイプ161の左右方向の中央部において間隔を置いて配置される。第1固定部161Aは、ブーム第1パイプ161の外周面から図3、図7の前方かつ下方(図2では後方かつ下方)に突出するようにブーム第1パイプ161に固定された板状部材である。第1固定部161Aは、第1固定用孔部161Bと、ピン係合部161C(被係合部)と、を有する。第1固定用孔部161Bは、第1固定部161Aの中央部付近において第1固定部161Aを左右方向に貫通するように形成された円形状の孔部である。ピン係合部161Cは、第1固定部161Aのうち第1固定用孔部161Bよりも先端側に配置されており、フック形状を有する。ピン係合部161Cは、シーブユニット54Sの位置決めピン544が係合することを許容する。
一対の第2固定部162Aは、図7に示すように、一対の第1固定部161Aの下方に間隔を置いて配置される。また、一対の第2固定部162Aは、ブーム第2パイプ162の左右方向の中央部において間隔を置いて配置される。第2固定部162Aは、ブーム第2パイプ162の外周面から図3、図7の前方かつ上方(図2では後方かつ上方)に突出するようにブーム第2パイプ162に固定された板状部材である。第2固定部162Aは、第2固定用孔部162Bを有する。第2固定用孔部162Bは、第2固定部162Aの先端部付近において第2固定部162Aを左右方向に貫通するように形成された円形状の孔部である。なお、図4に示すように、第1固定用孔部161Bの中心と第2固定用孔部162Bの中心を結ぶ直線は、略鉛直方向に沿って延びている。
なお、左右一対の第1固定部161Aおよび第2固定部162Aは、本発明の一対の保持部側支持部を構成する。一対の保持部側支持部は、シーブユニット54Sを受け入れることでシーブ回転軸541の軸方向において一対の固定用ブラケット54Tにそれぞれ対向して配置される。また、当該一対の保持部側支持部には、前記軸方向において前記一対のブラケット第1孔部542に合致するように配置されることが可能な一対の第1固定用孔部161B(保持部側第1孔部)と、前記軸方向において前記一対のブラケット第2孔部543に合致するように配置されることが可能な一対の第2固定用孔部162B(保持部側第2孔部)とがそれぞれ開口されている。
一方、図8を参照して、シーブユニット54Sは、前述のアイドラシーブ54に加え、アイドラシーブ54を回転可能に支持する左右一対の固定用ブラケット54T(シーブ支持部)と、左右一対の吊上げ用ブラケット54Wと、位置決めピン544(ユニット位置決め部)と、を有する。アイドラシーブ54は、主巻ロープ50を支持可能とされている。
一対の固定用ブラケット54Tは、シーブ回転軸541(所定の第1回転軸)を中心に回転可能なようにシーブユニット54Sを支持する。一対の固定用ブラケット54Tは、それぞれ略V字状の部材であって、左右方向において互いに間隔をおいて配置されている。一対の固定用ブラケット54Tの屈曲部には、シーブ回転軸541が一対の固定用ブラケット54Tを互いに接続するように左右方向に沿って延びている。シーブ回転軸541は、アイドラシーブ54を回転可能に軸支しており、アイドラシーブ54の回転における回転軸となる。図7に示すように、シーブ回転軸541に軸支されたアイドラシーブ54は、左右一対の固定用ブラケット54Tの間に配置される。また、V字形状を有する固定用ブラケット54Tの2つの先端部には、それぞれブラケット第1孔部542およびブラケット第2孔部543が形成されている。これらの孔部は、それぞれ固定用ブラケット54Tを左右方向に沿って貫通するように開口された円形の孔部である。ブラケット第1孔部542は、アイドラシーブ54の回転における径方向においてシーブ回転軸541に対して間隔をおいた位置に配置される。ブラケット第2孔部543は、前記径方向においてシーブ回転軸541に対して間隔をおいた位置であってブラケット第1孔部542に対してアイドラシーブ54の回転方向に間隔をおいた位置に配置される。
一対の吊上げ用ブラケット54Wは、一対の固定用ブラケット54Tの屈曲部近傍から突出するように固定用ブラケット54Tに固定されている。吊上げ用ブラケット54Wは、固定用ブラケット54Tのうちシーブ回転軸541に対してブラケット第1孔部542およびブラケット第2孔部543とは反対側の部分に固定されている。図8に示すように、吊上げ用ブラケット54Wの先端部には、吊り上げ用孔部54W1が開口されている。吊上げ用ブラケット54Wは、吊り上げ用孔部54W1を介して、補助クレーンAC(補助吊り上げ装置)(図4)に接続される。
位置決めピン544は、シーブ回転軸541とブラケット第1孔部542との間において、左右一対の固定用ブラケット54Tを互いに接続するように延びるピンであり、円柱形状を有している。アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sがシーブ装着部16Pに装着される際に、位置決めピン544がピン係合部161Cに係合される。この結果、アイドラシーブ54は、シーブ装着部16Pおよびシーブ装着部18P(特定ユニット保持部)に対するシーブユニット54Sの位置を決定する。
次に、図4乃至図9を参照して、クレーン10が基本形態に設定される工程について、説明する。シーブ装着部18Pから脱離された状態の前記シーブユニット54Sをシーブ装着部16Pに装着した上でブーム16を旋回体12に装着し、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50をシーブ装着部16Pに装着されたシーブユニット54Sのアイドラシーブ54によって案内し、ブーム16の先端部から主巻ロープ50を垂下させることで、クレーン10を基本形態にする(基本クレーン組立工程)。次に、上記の工程の前において、シーブユニット54Sが図3の上部ブーム16Tに装着される準備工程について説明する。
図4に示すように、補助クレーンACのフックから垂下されたロープが吊上げ用ブラケット54Wの吊り上げ用孔部54W1に接続される。補助クレーンACによってシーブユニット54Sが吊り上げられながら、シーブユニット54Sが上部ブーム16Tのシーブ装着部16Pに近づけられる。やがて、図5に示すように、シーブユニット54Sが下降しながら(図5の矢印D1)、シーブユニット54Sの位置決めピン544が左右一対のピン係合部161Cに上から係合される。
更に、補助クレーンACによってシーブユニット54Sが下降されると、シーブユニット54Sが位置決めピン544を支点として後方に回動する(図5の矢印D2)。この結果、図6、図9に示すように、シーブユニット54Sのブラケット第1孔部542と第1固定部161Aの第1固定用孔部161Bとが合致するとともに、シーブユニット54Sのブラケット第2孔部543と第2固定部162Aの第2固定用孔部162Bとの位置が合致する。そして、作業者が、連結ピンS1をブラケット第1孔部542および第1固定用孔部161Bに挿入するとともに、連結ピンS2をブラケット第2孔部543および第2固定用孔部162Bに挿入する。この結果、アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sが、ブーム16の上部ブーム16Tのシーブ装着部16Pに装着、固定される。なお、図4(シーブ回転軸541と平行な方向から見た図)を参照して、上記のようにシーブユニット54Sの位置決めピン544回りの回動によって各孔部の位置が合致するように、位置決めピン544とブラケット第1孔部542との距離とピン係合部161Cと第1固定用孔部161Bとの距離が同じに設定されている一方、ブラケット第1孔部542とブラケット第2孔部543との距離と第1固定用孔部161Bと第2固定用孔部162Bとの距離が同じに設定されている。
なお、上部ブーム16Tからシーブユニット54Sが取り外される際には、連結ピンS1、S2が引き抜かれた上で、図6、図5および図4の順に、上記の装着工程とは逆の工程が実施される。
以上のように、アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sが上部ブーム16Tのシーブ装着部16Pに装着されると、図2のクレーン10Bにおいて、ブーム16の先端部から主巻ロープ50が垂下され、不図示のフックによって吊り荷の巻上げ、巻下げ作業が実施可能とされる。
一方、クレーン10が図2に示される基本形態のクレーン10Bから図1に示されるラッフィング形態のクレーン10Aに形態変更される際には、上部ブーム16Tから取り外されたシーブユニット54Sが、ジブ18の上部ジブ18Cのシーブ装着部18Pに装着される。クレーン10をラッフィング形態で組み立てる際には、ブーム16を旋回体12に装着し、シーブ装着部16Pから脱離された状態のシーブユニット54Sをシーブ装着部18Pに装着した上でジブ18、リアストラット21およびフロントストラット22をブーム16に装着し、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50をシーブ装着部18Pに装着されたシーブユニット54Sのアイドラシーブ54によって案内し、ジブ18の先端部から主巻ロープ50を垂下させることで、クレーン10をラッフィング形態にする(ラッフィングクレーン組立工程、ジブブームクレーン組立工程)。図10は、本実施形態に係るクレーン10(10A)のアイドラシーブ54の上部ジブ18Cに対する装着手順を示した側面図である。図11は、本実施形態に係るクレーン10Aの上部ジブ18Cの側面図である。なお、図11は、上部ジブ18Cが地上に倒伏された状態を示している。ラッフィング形態10Aでは、リアストラット21およびフロントストラット22がブーム16に装着され、ジブ18の先端部から主巻ロープ50が垂下される。
図11を参照して、上部ジブ18Cは、左右一対の上部ジブ第1メインフレーム18Xと、左右一対の上部ジブ第2メインフレーム18Yと、複数の上部ジブラチス18Zと、左右一対の上部ジブフレーム板18Wと、を備える。なお、図11では、右側の上部ジブ第1メインフレーム18Xおよび上部ジブ第2メインフレーム18Yが現れている。一対の上部ジブ第1メインフレーム18Xおよび上部ジブ第2メインフレーム18Yによって上部ジブ18Cの断面四角形状が形成される。すなわち、上部ジブ第1メインフレーム18Xおよび上部ジブ第2メインフレーム18Yは、上部ジブ18Cの四つの角部に配置されている。複数の上部ジブラチス18Zは、それぞれ上部ジブ第1メインフレーム18Xおよび上部ジブ第2メインフレーム18Yを互いに連結している。左右一対の上部ジブフレーム板18Wは、上部ジブ18Cの先端部(図11の前端部)に配置され、上部ジブ第1メインフレーム18Xの先端部と上部ジブ第2メインフレーム18Yの先端部とを接続する板状部材である。更に、上部ジブ18Cは、主巻用ポイントシーブ56と、ジブ第1パイプ181と、ジブ第2パイプ182と、シーブ装着部18P(図10)(第2ユニット保持部)と、を有する。
主巻用ポイントシーブ56は、左右一対の上部ジブ第1メインフレーム18Xの先端側に回転可能に支持されている。
ジブ第1パイプ181およびジブ第2パイプ182は、それぞれ左右方向に沿って延びるパイプ材であって、左右一対の上部ジブ第2メインフレーム18Yを互いに接続する。なお、図11では、ジブ第1パイプ181はジブ第2パイプ182の後方に配置されており、図1では、ジブ第1パイプ181はジブ第2パイプ182の下方に配置されている(図1では不図示)。また、ジブ第1パイプ181およびジブ第2パイプ182以外にも他のパイプ材が上部ジブ第2メインフレーム18Yおよび上部ジブ第1メインフレーム18Xを互いに接続するように配置されている。
シーブ装着部18Pは、前述のシーブ装着部16Pと同様の構造を備えている。シーブ装着部18Pは、ジブ第1パイプ181およびジブ第2パイプ182(ジブ18の先端部)に配置され、シーブユニット54Sが装着されることを許容する(図10)。シーブ装着部18Pは、クレーン10のラッフィング形態10Aにおいて、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50がアイドラシーブ54によって支持されるとともにジブ18の先端部から垂下されるように、シーブユニット54Sを保持する。図10を参照して、シーブ装着部18Pは、左右一対の第1固定部181Aおよび第2固定部182Aを有する。なお、図10では、右側(紙面手前側)の第1固定部181Aおよび第2固定部182Aが現れている。第1固定部181Aは、前述の第1固定部161Aと同様に、第1固定用孔部181Bおよびピン係合部181Cを有する。また、第2固定部182Aは、前述の第2固定部162Aと同様に、第2固定用孔部182Bを有する。
次に、図10および図11を参照して、シーブユニット54Sが図11の上部ジブ18Cに装着される工程について説明する。
図11に示すように、上部ジブ18Cが地上に倒伏された状態で、図10に示すように、補助クレーンACによってシーブユニット54Sが吊り上げられながら、シーブユニット54Sが上部ジブ18Cのシーブ装着部18Pに上から近づけられる。やがて、シーブユニット54Sが下降しながら、シーブユニット54Sの位置決めピン544が左右一対のピン係合部181Cに上方かつ後方から係合される。
この結果、シーブユニット54Sのブラケット第1孔部542と第1固定部181Aの第1固定用孔部181Bとが合致するとともに、シーブユニット54Sのブラケット第2孔部543と第2固定部182Aの第2固定用孔部182Bとの位置が合致する。そして、作業者が、予め準備された連結ピンS1(図6)をブラケット第1孔部542および第1固定用孔部181Bに挿入するとともに、連結ピンS2(図6)をブラケット第2孔部543および第2固定用孔部182Bに挿入する。この結果、アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sが、ジブ18の上部ジブ18Cのシーブ装着部18Pに装着、固定される。
なお、上部ジブ18Cからシーブユニット54Sが取り外される際には、連結ピンS1、S2が引き抜かれた上で、上記の装着工程とは逆の工程が実施される。
また、図11に示される上部ジブ18Cが、図3の上部ブーム16Tと同様に、地面Gから垂直方向に沿って延びるように地面G上に立設された状態において、図4乃至図9と同様の工程で、シーブユニット54Sがシーブ装着部18P(特定ユニット保持部)に装着されてもよい。
以上のように、アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sが上部ジブ18Cのシーブ装着部18Pに装着されると、図1のクレーン10Aにおいて、ジブ18の先端部から主巻ロープ50が垂下され、不図示のフックによって吊り荷の吊り上げ、吊り下げ作業が実施可能とされる。なお、図1に示されるクレーン10A(ラッフィング形態)は、本発明のジブブーム形態の一部を構成する。この場合、ブーム16全体が旋回体12に装着され、ジブ18全体が前記ブーム16に装着される。
更に、図12は、本実施形態に係るクレーン10の第3の形態(ロング形態またはメインブーム形態、クレーン10C)の側面図である。図12では、クレーン10Cのロングブーム70(メインブーム)が地上に倒伏された状態を示している。ロングブーム70は、旋回体12の前端部に起伏可能に支持される。ロングブーム70は、下部ブーム16Aと、中間ブーム16Bと、中間ブーム71~中間ブーム76と、上部ジブ18Cと、を含む。ここで、下部ブーム16Aおよび中間ブーム16Bは、前述のブーム16の一部の部材であり、上部ジブ18Cは、前述のジブ18の一部の部材である。すなわち、図1に示されるクレーン10Aが分解され、下部ブーム16A、中間ブーム16Bおよび上部ジブ18Cに、中間ブーム71~中間ブーム76が組み合わされることで、ブーム16よりも長尺のロングブーム70が構成される。
クレーン10Cは、更に、左右一対のガイライン81と、アイドラシーブ82と、を有する。ガイライン81は、マスト20の先端部(回動端部)とロングブーム70の先端部(上部ジブ18Cの先端部)とを連結する。アイドラシーブ82は、ガイライン81の略中央部を支持する。図12に示される状態から、ブーム起伏用ウインチ30によってブーム起伏用ロープ38の巻き取りが行われると、ロングブーム70が起立される。
クレーン10Cにおいても、上部ジブ18Cの先端部の背面側にアイドラシーブ54が備えられている。すなわち、前述のとおり、図10、図11で示されるような装着工程によって、シーブユニット54Sが上部ジブ18Cのシーブ装着部18Pに装着されることで、ロングブーム70の先端部から主巻ロープ50が垂下され、不図示のフックによって吊り荷の吊り上げ、吊り下げ作業が実施可能とされる。なお、ロングブーム70を備えるクレーン10C(ロング形態)は、本発明のジブブーム形態の一部を構成する。この場合、ブーム16の一部が旋回体12に装着され、ジブ18の一部が前記ブーム16の一部に装着される。
以上のように、本実施形態では、クレーン10は、ブーム16の先端部から主巻ロープ50が垂下される基本形態と、ジブ18の先端部から主巻ロープ50が垂下されるラッフィング形態(ジブブーム形態)と、の間で形態変更が可能とされる。そして、クレーン10は、アイドラシーブ54を含むシーブユニット54Sと、ブーム16に配置されシーブユニット54Sを保持可能なシーブ装着部16Pと、ジブ18に配置されシーブユニット54Sを保持可能なシーブ装着部18Pと、を備える。クレーン10が基本形態に設定される際には、シーブユニット54Sがシーブ装着部16Pに保持されることで、主巻ロープ50をブーム16の先端部でアイドラシーブ54によって支持することができる。一方、クレーン10がラッフィング形態に設定される際には、シーブユニット54Sがシーブ装着部18Pに保持されることで、主巻ロープ50をジブ18の先端部でアイドラシーブ54によって支持することができる。したがって、基本形態およびラッフィング形態の2つの形態において主巻ロープ50を支持するために、ブーム16の先端部およびジブ18の先端部に個別のシーブが回転可能に保持されている態様と比較して、クレーン10のコストを低減することができる。また、ラッフィング形態では、シーブユニット54Sがシーブ装着部16Pに装着されていないため、ブーム16の先端部に不要なモーメントがかかることを抑止することができる。
また、上記の実施形態によれば、シーブユニット54Sをシーブ装着部16P(特定ユニット保持部)に容易に装着、固定することができる。具体的に、補助クレーンACなどの補助吊り上げ装置がシーブユニット54Sの吊上げ用ブラケット54Wに接続された状態で、シーブユニット54Sが吊り上げられる。そして、シーブユニット54Sの位置決めピン544がシーブ装着部16Pのピン係合部161Cに係合され、シーブユニット54Sがシーブ回転軸541と平行な位置決めピン544の回転軸(第2回転軸)回りに回動されると、左右一対のブラケット第1孔部542が左右一対の第1固定用孔部161Bに合致するとともに、左右一対のブラケット第2孔部543が左右一対の第2固定用孔部162Bに合致する。このため、作業者は、合致した各孔部に連結ピンS1、S2を挿入することで、シーブユニット54Sを容易にシーブ装着部16Pに固定することができる。
特に、本実施形態では、ブーム16の上部ブーム16Tが地上に載置された状態において、シーブ装着部16Pの第1固定用孔部161Bは、第2固定用孔部162Bの上方に間隔をおいた位置に配置されており、ピン係合部161Cは、位置決めピン544を下方から支持可能なように第1固定用孔部161Bに隣接して配置されている。このような構成によれば、シーブユニット54Sの位置決めピン544がシーブ装着部16Pのピン係合部161Cに係合されると、補助クレーンACがシーブユニット54Sを下降させることで、シーブユニット54Sの自重によってシーブユニット54Sが位置決めピン544の回転軸回りに回動することができる。したがって、シーブユニット54Sをシーブ装着部16Pに更に容易に固定することができる。
また、本実施形態では、位置決めピン544は、シーブ回転軸541とブラケット第1孔部542との間においてシーブ回転軸541と平行に延びるとともに左右一対の固定用ブラケット54Tを互いに接続するように配置され、ピン係合部161Cは、位置決めピン544を下方から保持可能なフック形状を有している。このような構成によれば、フック形状を有するピン係合部161Cに位置決めピン544を係合させることで、シーブユニット54Sを位置決めピン544の回転軸回りに容易に回動させることができる。
更に、本実施形態では、ブーム16は、シーブ装着部16Pを含みブーム16の上端部に配置される上部ブーム16Tと上部ブーム16Tよりも下方に位置する複数のブーム部材(下部ブーム16A、中間ブーム16B、16C、16D)とに分割可能とされる。また、ジブ18は、シーブ装着部18Pを含みジブ18の上端部に位置する上部ジブ18Cと上部ジブ18Cよりも下方に位置する複数のジブ部材(下部ジブ18A、中間ジブ18B)とに分割可能とされる。また、クレーン10は、基本形態と、ラッフィング形態と、ロング形態(メインブーム形態)との間で更に形態変更が可能である。ロング形態では、リアストラット21およびフロントストラット22がブーム16から脱離されるとともに、前記複数のブーム部材の少なくとも一部および上部ジブ18Cから構成されるロングブーム70が旋回体12に起伏可能に接続される。そして、ロングブーム70の上端部に位置する上部ジブ18Cの先端部から主巻ロープ50が垂下される。シーブ装着部18Pは、上部ジブ18Cに配置されており、ロング形態において主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50がアイドラシーブ54に支持されるとともにロングブーム70の上部ジブ18Cの先端部から垂下されるようにシーブユニット54Sを保持する。
このような構成によれば、クレーン10は、基本形態と、ラッフィング形態と、ロング形態との間で更に形態変更が可能とされる。クレーン10がロング形態に設定される際には、シーブユニット54Sがシーブ装着部18Pに保持されることで、主巻ロープ50をロングブーム70の先端部でアイドラシーブ54によって支持することができる。したがって、基本形態、ラッフィング形態およびロング形態の3つの形態において主巻ロープ50を支持するために、ブーム16の先端部およびジブ18の先端部に個別のシーブが回転可能に保持されている態様と比較して、クレーン10のコストを低減することができる。
また、本実施形態に係るクレーンの組立方法は、主巻ロープ50を支持可能なアイドラシーブ54とアイドラシーブ54を回転可能に支持する固定用ブラケット54Tとを含み、ジブ18の先端部に配置されたシーブ装着部18Pおよびブーム16の先端部に配置されたシーブ装着部16Pに選択的に着脱可能なシーブユニット54Sを準備する工程と、シーブ装着部18Pから脱離された状態のシーブユニット54Sをシーブ装着部16Pに装着した上でブーム16を旋回体12に装着し、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50をシーブ装着部16Pに装着されたシーブユニット54Sのアイドラシーブ54によって案内し、ブーム16の先端部から主巻ロープ50を垂下させることで、クレーン10を基本形態にする基本クレーン組立工程と、少なくともブーム16の一部を旋回体12に装着し、シーブ装着部16Pから脱離された状態のシーブユニット54Sをシーブ装着部18Pに装着した上で少なくともジブ18の一部をブーム16に装着し、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50をシーブ装着部18Pに装着されたシーブユニット54Sのアイドラシーブ54によって案内し、ジブ18の先端部から主巻ロープ50を垂下させることで、前記クレーンをラッフィング形態にするラッフィングクレーン組立工程(ジブブーム組立工程)と、を備える。
このような方法によれば、基本形態およびラッフィング形態の2つの形態において主巻ロープ50を支持するために、ブーム16の先端部およびジブ18の先端部に個別のシーブを回転可能に保持する態様と比較して、クレーン10のコストを低減することができる。また、ラッフィング形態では、シーブユニット54Sをシーブ装着部16Pに装着していないため、ブーム16の先端部に不要なモーメントがかかることを抑止することができる。
更に、本実施形態に係るクレーン10の組立方法は、クレーン10をメインブーム形態にするメインクレーン組立工程を更に備え、前記メインクレーン組立工程は、ブーム16を、ブーム16の上端部に配置される上部ブーム16Tと、上部ブーム16Tよりも下方に位置する複数のブーム部材とに分割するブーム分割工程と、ジブ18を、シーブ装着部18Pを含みジブ18の上端部に位置する上部ジブ18Cと、上部ジブ18Cよりも下方に位置する複数のジブ部材とに分割するジブ分割工程と、少なくとも前記複数のブーム部材の一部と上部ジブ18Cとを含みブーム16よりも長尺のロングブーム70であって当該ロングブーム70の先端部に上部ジブ18Cが配置されるようにロングブーム70を組み立てる工程と、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50をシーブ装着部18Pに装着されたシーブユニット54Sのアイドラシーブ54によって案内し、ロングブーム70に含まれる上部ジブ18Cの先端部から主巻ロープ50が垂下されるように、ロングブーム70を旋回体12に起伏可能に装着する工程と、を備えるものでもよい。
このような方法によれば、クレーン10を、基本形態と、ラッフィング形態と、ロング形態との間で更に形態変更することができる。クレーン10をロング形態に設定する際には、シーブユニット54Sをシーブ装着部18Pに保持することで、主巻ロープ50をロングブーム70の先端部でアイドラシーブ54によって支持することができる。したがって、基本形態、ラッフィング形態およびロング形態の3つの形態において吊り荷用ロープを支持するために、ブーム16の先端部およびジブ18の先端部に個別のシーブを回転可能に保持する態様と比較して、クレーン10のコストを低減することができる。なお、各形態間で、共通のシーブユニット54Sを使用するために、予めシーブ装着部16Pおよびシーブ装着部18Pの一方から他方にシーブユニット54Sを付け替える工程が含まれる。
以上、本発明の実施形態に係るクレーン10(10A、10B、10C)およびクレーン10の組立方法(形態変更方法)について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、上部ブーム16Tに対してシーブユニット54Sが着脱される際には、図3に示すように上部ブーム16Tが地面G上に載置される態様にて説明したが、ブーム16が地上に倒伏された状態で、図11の上部ジブ18Cと同様の姿勢で、ブーム16の上部ブーム16Tに対してシーブユニット54Sが着脱されてもよい。
(2)上記の実施形態では、クレーン10がロング形態10C(メインブーム形態)に形態変更される態様にて説明したが、クレーン10は基本形態10Bとラッフィング形態10A(ジブブーム形態)との間だけで形態変更されるものでもよい。
(3)また、上記の実施形態では、本発明に係るジブブーム形態としてラッフィング形態(10A)を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。ジブブーム形態とは、旋回体12に少なくともブーム16の一部が起伏可能に支持され、ブーム16の先端部に少なくともジブ18の一部が装着される。ジブブーム形態の他の態様として、固定ジブ形態があげられる。当該固定ジブ形態では、ブーム16の先端部にジブ18が支持されるが、クレーン10の作業時にジブ18は起伏しない(固定ジブ)。この場合、ジブ18の後方においてブーム16の先端部に装着される1つの不図示のストラットがジブ18を保持する機能を有する。また、前述のように、ストラットが配置されないロング形態も、本発明のジブブーム形態に含まれる。