JP4599682B2 - トラクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタのPTO軸回転センサに関し、PTO軸の回転を検出する回転センサ及びこの取付構造を有するトラクタに関するものである。また、PTO軸を回転させるミッションケース内に配置している前後進切替の油圧クラッチへの送油構成を備えたトラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタでは、走行速度に応じた作業速(PTO軸の回転数)の調整や、作業負荷により作業機を所定量上昇させる所謂負荷制御等では、エンジンの回転や伝動機構のギヤの回転等を検出して間接的にPTO軸の回転数を演算する構成となっている。また、トラクタの前後進の切替は、前後進切替の油圧クラッチに送油して行う構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記PTO軸の回転数を検出する回転センサは、同センサの取付によりミッションケ−スの表面に突起類ができたり、配線が長くなって構成が複雑化されるという課題が有る上、回転センサの検出値が異常である場合は、同センサが故障しているのか検出部に至る伝達経路に異常が生じているのを区別するのに、各箇所を点検する必要が生じ、メンテナンスが行ない難いといった課題が有った。また、油温によって前後進切替時にショックが生じていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
従って、この発明は上記課題に鑑み以下のように構成した。
【0005】
請求項1の発明は、PTO軸1を軸受けする軸受部2近傍のミッションケース3後端に、このPTO軸1と一体回転する部位5の回転を検出する回転センサ4を取付け、前記回転センサ4によって回転を検出される部位5をプレート形態とし、同部位5をPTO軸1の軸受部2と、この軸受部2に接近して軸装される伝動ギヤー6との間に設け、前記ミッションケース3後端の回転センサ4取付部は、この回転センサ4を収容して取付る取付穴7として形成し、同取付穴7には回転センサ4の配線をミッションケ−ス側面より内側に収納する溝部9を連設する構成とし、さらに、前記ミッションケース3内に配置している前後進切替の油圧クラッチ47F,47Rに送油するにあたり、オイルの流れを制御する方向切替部52と圧力制御を行う昇圧部53によって構成される方向切替バルブ54を設け、該方向切替バルブ54へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス50と、前記昇圧部53のリリーフバルブ49のリリーフポートオリフィス51とを設け、前記方向切替バルブ54へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス50の長さを短かくして、油温による流量変化を小さくする構成とし、前記リリーフポートオリフィス51の長さを長くして、昇圧部53の温度特性を悪くすると共に低温時にリリーフポートオリフィス51部の背圧によってリリーフ圧を高くして昇圧スプール55への供給油量を増して昇圧時間を短かくするように構成したことを特徴とするトラクタとした。
【0006】
請求項1においては、方向切替バルブ54へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス50と、昇圧部53のリリーフバルブ49のリリーフポートオリフィス51において、それぞれの温度特性を変える。
【0007】
即ち、方向切替バルブ(54)へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス(50)の長さを短かくして、油温による流量変化を小さくする。そして、リリーフポートオリフィス(51)の長さを長くして、昇圧部(53)の温度特性を悪くする。
【0008】
【発明の効果】
以上のように構成した請求項1に記載の発明は、回転センサ4がPTO軸1軸受部2近傍のミッションケース3後端に取付けられるために、PTO軸の回転状態及び回転センサ4の検出状態が確認しやすく、メンテナンスを簡単に的確に行うことができる。また、この回転センサ4によって検出される部位5をプレート状とし、PTO軸1後端の軸受部2とこの内側のギヤー6との間に設けられるため、直接PTO軸1の回転を検出する構成にあたり、狭い間隔部を利用して取付けることができ構成を極力コンパクトにすることができる。回転センサ4を取付穴7に収容させて取付けることができるため、このミッションケース3の後側に取付ける部材や、連結の作業機との引っかかりが少なく、安全な取付構成とすることができる。回転センサ4と取り付けるに際し、この配線も収納する構成としたので、作業者や可動部位との接触、引っかかりを防止することができる。
【0009】
また、油温によってオリフィスの通過流量が変動を防止できるようになる。油温が低温と高温とでは昇圧性能に大きく差が生じてしまうことを防止して、前後進切替時のショックを低減可能となる。
【0010】
そして、前後進切替油圧クラッチ47F,47Rの作動性能を維持可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて更に詳細に説明する。
トラクタ10は、前部のエンジン11から後部ミッションケース3に亘って、クラッチハウジング12、及び前部ミッションケース13等を一体的に連結して構成する。エンジン11の下部のフロントアクスルハウジングの両端には、ステアリングハンドル14で操向される前輪15が軸装され、後部ミッションケース3の両側には、リヤアクスルハウジング16の外側に後輪17が軸装されて、該エンジン11の駆動で伝動されて走行できる。18はボンネット、19は運転席20の左右両側に位置するフェンダー、21は安全フレームである。
【0012】
前記クラッチハウジング12から前部ミッションケース13及び後部ミッションケース3に渡って、主クラッチや、前後進切替装置、主変速装置、副変速装置等を配置して、最終のピニオンベベルギヤ22からは、リヤディファレンシャルギヤ23を介して後車軸24を伝動して、後輪17を駆動できる。該主クラッチからはPTO伝動軸25が後部ミッションケース3に亘って設けられて、最終部において、変速シフター26によって操作される変速ギヤ27,28,6がPTO軸1上に配置されて、該PTO伝動軸25と連結して回転されるカウンタ軸29上のカウンタギヤ30,31,32との噛合によって、PTO軸1が変速伝動される。
【0013】
前記後部ミッションケース3の上側には、シリンダケース33が設けられて、内部には油圧によって伸縮されるリフトシリンダ34、このリフトシリンダ34によってリフト軸35回りに上下回動されるリフトアーム36が設けられる。このリフトアーム36と、前記リヤアクスルハウジング16に対して上下回動自在のロワリンク37との間をリフトロッド38で連結し、ロワリンク37を昇降できる。
【0014】
後部ミッションケース3の後端面には、トップリンクブラケット8を介してトップリンク39が連結され、このトップリンク39と前記左右ロワリンク37,37とからなる三点リンク機構の後端部間に渡って、ロータリ耕耘装置等の作業機が連結される。この作業機の入力軸と前記PTO軸1との間を連動軸で連結して伝動することができる。
【0015】
前記ミッションケース3の後端壁40の軸受部2には、前記PTO軸1をベアリング41で軸受けすると共に、この下側部にはカウンタ軸29をベアリング42で軸受けする。PTO軸1の後端はこの軸受部2から後方へ突出させて、連動軸を連結することができる。又、カウンタ軸29の後端の軸受部2はキャップ43を嵌合させて軸穴の後端を閉鎖している。
【0016】
このPTO軸1には、ベアリング41と変速ギヤ6との間に回転検出用プレート(以下、検出プレート5)をスプライン嵌合させて一体回転する構成としている。この検出プレート5にはセンサ穴を形成して、このセンサ穴を回転センサ4で磁気的に検出して、同プレート5が一回転されたことを検出でき、これに基づいてPTO軸1の回転数を検出できる。
【0017】
この回転センサ4を取付ける取付穴7は、PTO軸1の上側に接近させて形成し、この回転センサ4の磁力線乃至投光を検出プレート5側へ向けて発生させるように透孔44を穴底部に形成して、この透孔44に回転センサ4のプラグ部46を螺合させて取付ける。この取付穴7の開放部は、後端壁40壁面に沿ってリード線溝9を適宜深さに形成して、この取付穴7に取付けた回転センサ4のリード線45をこのリード線溝9内に敷設して、コントローラに接続させる。
【0018】
これにより、作業者や可動部位との接触、引っかかりを防止することができる。また前記トップリンク39を取付けるためのヒッチブラケット8は、該後端壁40にボルト締め等で取付けられるが、該取付穴7、及びリード線溝9を覆うような形態として取付ける構成となっている。これにより、取付穴用の蓋材を別途用いる構成と比較して、部品点数を削減し安価に構成することができる。
【0019】
前記前後進切替クラッチ等の油圧力で作動される形態の油圧クラッチ47において、この油圧回路48のリリーフバルブ49の手前にポンプポートオリフィス50やリリーフポートオリフィス51等を設けて、油温の変化に拘らず安定した油圧クラッチ47の作動性能を維持させるものである。
【0020】
次にトラクタ10の油圧回路構成について説明する。
前記トラクタ10の前後進切替装置は、夫れ夫れの油圧クラッチ47F,47Rの多板を圧着させるべくメカニカルバルブによって昇圧する構成となっている。しかしながらこの場合、油温によってオリフィスの通過流量が変動するため、油温が低温と高温とでは昇圧性能に大きく差を生じ、前後進切時にショックを生じるという課題が有った。
【0021】
そこで、オイルの流れを制御する方向切替部52、及び圧力制御を行う昇圧部53によって構成される方向切替バルブ54において、この方向切替バルブ54へのオイル流量を決定するポンプポートオリフィス50と、昇圧部53のリリーフバルブ49のリリーフポートオリフィス51を設けると共に、これらポンプポートオリフィス50とリリーフポートオリフィス51との温度特性に差を設けるようにしたことを特徴とするものである。即ち、ポンプポートオリフィス50の温度特性を良くし、リリーフポートの温度特性を悪くする。
【0022】
そして、方向切替バルブ54へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス50の長さを極力短かくし、油温による流量変化を小さくし、リリーフポートオリフィス51の長さを長くすることによって、リリーフ昇圧部53の温度特性を悪くし、低温時にリリーフポートオリフィス51部の背圧によってリリーフ圧を高くして昇圧スプール55への供給油量を増し、昇圧時間を短かくする。56は方向切替部52のパイロットバルブ、57はパイロット回路、Pはポンプポート、Tはタンクポート、Fは油圧クラッチ47の前進側切替ポート、Rは後進側切替ポートである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミッションケースのPTO軸部の側面図。
【図2】そのミッションケース部の背面図。
【図3】その一部の平断面図。
【図4】油圧クラッチ部の油圧回路図と、リリーフバルブ部の圧力線図。
【図5】トラクタ全体の側面図。
【符号の説明】
1 PTO軸
2 軸受部
3 ミッションケース
4 回転センサ
5 検出プレート
6 ギヤー
7 取付穴
9 溝部
47F,47R 前後進切替の油圧クラッチ
49 リリーフバルブ
50 ポンプポートオリフィス
51 リリーフポートオリフィス
52 方向切替部
53 昇圧部
54 方向切替バルブ
55 昇圧スプール

Claims (1)

  1. PTO軸(1)を軸受けする軸受部(2)近傍のミッションケース(3)後端に、このPTO軸(1)と一体回転する部位(5)の回転を検出する回転センサ(4)を取付け、前記回転センサ(4)によって回転を検出される部位(5)をプレート形態とし、同部位(5)をPTO軸(1)の軸受部(2)と、この軸受部(2)に接近して軸装される伝動ギヤー(6)との間に設け、前記ミッションケース(3)後端の回転センサ(4)取付部は、この回転センサ(4)を収容して取付る取付穴(7)として形成し、同取付穴(7)には回転センサ(4)の配線をミッションケ−ス側面より内側に収納する溝部(9)を連設する構成とし、さらに、前記ミッションケース(3)内に配置している前後進切替の油圧クラッチ(47F,47R)に送油するにあたり、オイルの流れを制御する方向切替部(52)と圧力制御を行う昇圧部(53)によって構成される方向切替バルブ(54)を設け、該方向切替バルブ(54)へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス(50)と、前記昇圧部(53)のリリーフバルブ(49)のリリーフポートオリフィス(51)とを設け、前記方向切替バルブ(54)へのオイル供給流量を決定するポンプポートオリフィス(50)の長さを短かくして、油温による流量変化を小さくする構成とし、前記リリーフポートオリフィス(51)の長さを長くして、昇圧部(53)の温度特性を悪くすると共に低温時にリリーフポートオリフィス(51)部の背圧によってリリーフ圧を高くして昇圧スプール(55)への供給油量を増して昇圧時間を短かくするように構成したことを特徴とするトラクタ。
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