JP4599221B2 - 融雪屋根施工方法 - Google Patents

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本発明は、屋根に積もった雪を降ろすことなく積雪する前に融雪する、無落雪式の融雪屋根施工方法に係るものである。
従来、この種無落雪式の屋根は、(1)屋根の中央に横樋と縦樋を持つM型屋根、(2)屋根面を水平(排水のため1/100程度の勾配を形成)に形成した屋根、(3)雪止用の立ち上げ部を形成した横葺きの無落雪式屋根、等である。(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−038658号公報 特開2002−155602号公報
しかしながら、(1)、(2)は屋根面での融雪が多いと、軒先に巻垂れが生じる、鉄板との接触面は氷盤になっていたりする、先端につららができる、等があり、暖気の時にこれらが落ちる危険性があった。また、(1)〜(3)では屋根に積もった雪の重量によって、建具が開かなくなる等の不都合がないように、建物の設計時に積雪量に応じて梁の大きさを決定する必要があった。
本発明はこのような欠点を解決するために、幅方向の側端縁に雄雌連結構造を形成し、雄雌連結構造により上部に立ち上がった雪止部を形成して凹状の樋状部を設けた金属製屋根材と、樋状部に形成した熱媒体保持シートとからなる屋根材の雪止部を屋根の棟に対して略平行になるようにして下地に固定し、屋根材の樋状部の上端近傍に熱媒体散布装置を形成した融雪屋根施工方法を提供するものである。
本発明に係る融雪屋根施工方法によれば、(1)落雪の危険性が無い。(2)雪降ろしの危険性を排除できる。(3)雪降ろしの重労働を排除できる。(4)既存の屋根材の上に施工できる。(5)施工時に雪止部が足場となるために施工性がよい。(6)少ない散水量でかつ低温の熱媒体で融雪が可能である。(7)新築時でも改修時でも、部分的に施工が可能である。等の特徴、効果がある。
以下に図面を用いて本発明に係る融雪屋根施工方法について詳細に説明する。図1(a)〜(c)、図2(a)、(b)、図3、図4(a)〜(c)、および図5は、本発明に係る融雪屋根施工方法を示す説明図、本発明で使用する金属製屋根材Bと熱媒体保持シートCよりなる屋根材Aの一例を示す説明図、施工状態を示す説明図である。また、Hは熱媒体散布装置、αは下地、βは固定具である。
下地αは、新築の際は垂木上に野地板を敷設し、野地板上に防水シート(一点鎖線で示す)を配設した一般的な構造の下地αである。また、下地αとしてH形鋼、I形鋼、ミゾ形鋼、軽量ミゾ形鋼、リップ溝形鋼、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、角形鋼(角パイプ)、円形鋼(円形パイプ)、等を使用した鉄骨下地でもよいものである。勿論、既存の屋根をそのまま改修する屋根の際には、これら下地α上に横葺き屋根、新生瓦や瓦棒等の既存屋根(図示せず)が形成された既存屋根構造が下地αとなるものである。
金属製屋根材Bは、例えば金属板(カラー鋼板、銅板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、サンドイッチ鋼板、クラッド鋼板等)等をロール成形、プレス成形、押出成形、等によって形成したものである。勿論、屋根材Aの表面材として、屋根材Aの代わりに窯業系素材、もしくは合成樹脂材(プラスチック)、等で形成してもよいものである。
さらに説明すると、金属製屋根材Bは長尺板状であり、その一例を示すと、図4(a)に示すように水平面状の化粧面1と、化粧面1の幅方向の両側端縁に形成した雄型連結部2と、雌型連結部3よりなるものである。勿論、図示しないが長尺瓦棒屋根を金属製屋根材Bとして使用しても良いものである。
雄型連結部2は、化粧面1の一端縁を上方に突出した立ち上がり面4と、立ち上がり面4の先端を外側方に突出した支持面5と、支持面5のい先端を下方に垂下した係止面6と、立ち上がり面4と支持面5と係止面6とから形成した嵌合溝7とから形成したものである。
雌型連結部3は、化粧面1の他端縁を上方に突出した立ち上がり片8と立ち上がり片8の先端を外側方に突出した係合片9と、化粧面1の先端をさらに外側方に突出した固定片10とから形成したものである。
立ち上がり面4と立ち上がり片8は、図4(b)に示すように雄型連結部2、雌型連結部3を連結してはぜ折りすることにより、雪止部Pを形成し、屋根を無落雪式屋根構造に形成するものである。
熱媒体保持シートCは布製の織物であり、化学繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、等であり、天然繊維としては綿、麻類、羊毛、絹、等である。また、その織り方は平織、綾織、錦織、朱子織、等の織り方によるものである。具体的な合成繊維としてはナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、含ハロゲン系、等がある。
熱媒体保持シートCは、金属製屋根材Bの樋状部11の化粧面1上に接着材を介して添付されたものである。この熱媒体保持シートCは文字通り、液状の物質をその毛細管現象により繊維内に保持し、その液状の物質が温水等の熱媒体である場合に熱媒体保持シートC全面で融雪効果を発揮するシートとなるものである。そのために、従来の散水量の1/10で融雪が可能であると共に、低温(9℃〜15℃)の熱媒体H2で融雪が可能である。勿論、熱媒体保持シートCと接着材は、その地方に合った耐候性、耐光性、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐汚染性、のある材質を使用するものである。
屋根材A同士の連結は図1(a)〜(c)、図2(a)に示すものであり、図1(a)に示すように固定片10が固定具により固定された下段の屋根材Aの雌型連結部3の立ち上がり面4に、上段の屋根材Aの雄型連結部2の嵌合溝7を挿入し、図1(b)に点線矢印で示すようにはぜ折りし、図1(c)に示すように連結固定されるものである。また、屋根材Aは水切り用(水勾配)に1/50〜1/100程度の傾斜を有して施工されるものである。
立ち上がり面4の高さは、雪の落雪を防止する樋状部11を形成するために、立ち上がり面4の高さが雪止能力を決定する部分である。勿論、通常は熱媒体散布装置Hにより積雪する前に融雪するものである。
なお、その地域の降雪量を考慮して立ち上がり面4の高さは決定されるものである。
熱媒体散布装置Hは図2(a)に示すように樋状部11の上端部分に形成するものであり、例えば、金属製パイプよりなるパイプH1内に温水等の熱媒体H2を流し、一定間隔で形成した散布バルブH3により、熱媒体H2を熱媒体保持シートC上に均一に散布するものである。なお、熱媒体散布装置Hの電源のオンオフ、熱媒体H2の散布位置、熱媒体H2の温度、散布バルブH3の調整(散布量)、等は家屋内の配電盤(制御盤)により制御でき、降雪センサー、積雪量感知センサー、等のセンサーを利用して熱媒体散布装置Hを作動させるものである。勿論、これらの動作は手動でも可能な状態にしておいても良いものである。
パイプH1の素材としては、金属製パイプ、樹脂製パイプ、樹脂製ホース、補強材入りホース、等よりなるものである。また、熱媒体H2としては、温水(ボイラー加熱水)、地下水(温湯・水)、工場等から排水される温水、ソーラーを利用して加温された温水、等を利用するものである。勿論、屋根材Aから回収した融雪水は再利用するものである。
以上説明したのは本発明に係る融雪屋根施工方法の一実施例であり、図6(a)〜(d)に示すように形成することもできる。
図6(a)〜(d)は屋根材Aのその他の実施例を示すものであり、(b)図は(a)図の、(d)図は(c)図の施工状態を示す説明図である。特に(c)、(d)図は吊子B1により固定するようにした屋根材Aである。
本発明に係る融雪屋根施工方法の代表的一例を示す説明図である。 本発明に係る融雪屋根施工方法の代表的一例を示す説明図である。 本発明に係る融雪屋根施工方法の施工状態を示す斜視図である。 本発明に係る融雪屋根施工方法に使用する屋根材の一例を示す説明図と施工状態を示す説明図である。 本発明に係る融雪屋根施工方法の施工状態を示す説明図である。 本発明に係る融雪屋根施工方法に使用する屋根材のその他の実施例を示す説明図である。
符号の説明
α 下地
β 固定具
A 屋根材
B 金属製屋根材
B1 吊子
C 熱媒体保持シート
H 熱媒体散布装置
H1 パイプ
H2 熱媒体
H3 散布バルブ
I 樋
P 雪止部
1 化粧面
2 雄型連結部
3 雌型連結部
4 立ち上がり面
5 支持面
6 係止面
7 嵌合溝
8 立ち上がり片
9 係合片
10 固定片
11 樋状部

Claims (1)

  1. 幅方向の側端縁に雄雌連結構造を形成し、該雄雌連結構造により上部に立ち上がった雪止部を形成して凹状の樋状部を設けた金属製屋根材と、該樋状部に形成した熱媒体保持シートとからなる屋根材の雪止部を屋根の棟に対して略平行になるようにして下地に固定し、該屋根材の樋状部の上端近傍に熱媒体散布装置を形成したことを特徴とする融雪屋根施工方法。
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