JP4598743B2 - 多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法 - Google Patents

多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法に関するものである。
現状において、硫黄を利用した重金属安定剤は、通称“キレート剤”として有機系,無機系,その反応性向上目的では、高多硫化や応用技術開発に見られるように種々の技術的開発及検討がなされているのが現状であるが、いずれもその反応安定性及コストダウン、を目的としている(たとえば、特許文献1参照。)。
一方、これらの開発技術は薬液の使用条件等を、安定的で優位なものとすることを目的として、硫黄をベースとした母液(例えばカルシウムや、マグネシウム、ナトリウム反応体)と鉄及びその酸化反応体や硫化反応体を組合せて使用することで、目的を達しようという手法であり、強アルカリ灰や強酸性灰の処理において、処理コストの増大をやむなしとした解決法といえる。
特に、焼却炉や、発電所等から発生する、強アルカリ灰の処理に関しては、重金属の電気的溶出特性から見て、単独の薬剤による処理は難しく事前又は事後のPH調整が必要とされてきた。
また、従来より、多硫化物を主成分とする処理剤は、様々な用途で広く使用されてきているが、これらの処理剤に含有される多硫化物は、全てSx(x=2〜5)を含有するものであった。
たとえば、汚泥、粉塵、集塵などの廃棄物は、その廃棄物中に含有される鉛・亜鉛・水銀・クロム・マンガン・コバルト・ニッケルなどの重金属が溶出することがないように、セメント固化法、薬剤添加法、溶融固化法、溶媒抽出法などの処理方法を用いて中間処理された後に埋め立て処分されていた(たとえば、特許文献2参照)が、この薬剤添加法においては、消石灰と硫黄とを混合することによって生成したCaSx(x=2〜5)を主成分とする廃棄物処理剤が使用されていた(たとえば、特許文献3参照)。
特開2001−342461号公報 特開平9−155314号公報 特開昭59−59281号公報
ここで問題となるのは、脱硫や脱塩目的で混合された、消石灰を初めとするカルシウム成分であり、硫黄系キレート剤は、その反応性の良さが原因となり、目的とする重金属類と反応する前に、カルシウムと反応することとなり、薬液の使用量が、これらカルシウム体を含まない場合に比較し3倍〜10倍に拡大することであった。
また、処理剤に含有される多硫化物がSx(x=2〜5)を含有するものであったのは、Sx(x=2〜5)を含有する多硫化物、現実的には、Sx(x=2〜3)を含有する多硫化物しか安定的かつ安全に生成することができなかったことによるものである。
すなわち、上記従来の消石灰と硫黄とを混合することによって生成したCaSx(x=2〜5)を主成分とする処理剤にあっては、消石灰と硫黄とを熱水中で混合するだけで比較的容易に生成することができる反面、その生成過程で硫化水素をはじめとする硫黄の水酸化物を含有する蒸気が発生していた。
そのため、水酸化物の蒸発によって当然に水酸基が不足を生じ、それを補うために水酸化物を補充することによって硫黄の結合数の低いSx(x=2〜5)を含有する多硫化物が安定して生成されてしまっていた。
また、従来においては、処理剤の生成過程で硫黄の水酸化物や水素反応物を含有する蒸気の処理が必要となり、そのための設備投資や処理労力や処理時間を要することになり、さらには、蒸気の蒸発によって水溶液の体積が減少することになり、水と硫黄と水酸化物との必要バランスを保持できなくなり、結果的に処理剤の製造効率が低減していた。
そして、多硫化物を主成分とする処理剤では、硫黄の結合数(xの値)の低下によって被処理物の処理に要する処理剤の量が増大してしまい、処理コストの増大を招いていた。
また、従来においては、水酸化カルシウムを例にとると、温度の上昇に伴って硫黄の溶解度は上昇するのに対して消石灰の溶解度は低下するといった硫黄と消石灰の溶解特性を考慮することなくただ単に硫黄と消石灰とを混合させていたため、全ての消石灰が硫黄と反応せずに、硫黄粒子の表面に消石灰がコーティングされた状態で固体化してしまうものが生じ、硫黄と消石灰との反応が良好に行われず、Sx(x=2〜5)を含有する多硫化物が安定して生成されなかった。特に、硫黄と消石灰との反応を促進するためにはpHを確認しながら消石灰を数回に分けて徐々に投入する必要があり、このために反応槽の蓋を開閉することになり、有害な硫化水素を含む蒸気の発生による危険を伴い、また、反応温度の低下による製造時間の増大を招いていた。
さらに、従来においては、硫黄と消石灰との反応速度が硫黄の溶解度の上昇に伴って低下することから、反応速度の低下とともに不足した水酸基を供給するために必要以上の消石灰を溶解させることとなり、その分硫黄の溶解度が理論的溶解限度よりも低くなってしまう。これらの理由によってSx(x=2〜5)を含有する多硫化物のxの値が低下し、それに伴って被処理物の処理に要する処理剤の量が増大してしまい、高濃度の多硫化物を生成するために必要な反応時間が理論的な反応時間の約9〜12倍(90分〜120分)も要するようになり、処理コストの増大を招いていた。
しかも、従来においては、処理剤の使用量の増大に伴って被処理物のpHがアルカリ側へ変化してしまい、重金属の再溶出を招くおそれがあり、そのために、pH調整剤の使用やセメント剤の使用を余儀なくされ、体積の増大を招くことで埋め立て処理を行う上で不利益となっていた。
そこで、請求項1に係る本発明では、以下の(1)〜(4)に記載の工程を有する多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法とした。すなわち、(1)アルカリ灰と水とを反応缶に入れて混合した混合液に、予め粉砕した硫黄を投入して前記反応缶を閉蓋密閉する工程と、(2)前記反応缶内の前記混合液を110℃以上345℃以下の温度範囲内で昇温しつつ攪拌混合して前記アルカリ灰と前記硫黄とを熱水反応させる工程と、(3)昇温を停止し、反応缶内の圧力が安定したら前記熱水反応により生成した沈殿物及び液体を排出バルブより回収する工程と、(4)回収した多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする沈殿物及び多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする液体を冷却し、沈殿分離して液体状の薬剤と沈殿物からなる固体状の薬剤とを得る工程とを有することとした。
本発明に係る多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤は、アルカリ灰を原料として生成した多硫化物(但し、Sx(x=6〜12))を主成分としているために、処理コストを低減することができる。
また、本発明に係る多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法は、多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤を安定して製造することができ、しかも、その生成過程で有毒な硫化水素をはじめとする硫黄の水酸化物を含有する蒸気の発生を抑制することができ、従来必要とされていた蒸気の処理設備や処理工程を省略することができるとともに、薬剤の製造効率を向上させることができる。
本発明では、産業廃棄物であり、また、重金属を含有した物質として知られるアルカリ灰を原料とし、それ自体の無害化を図ると同時に、重金属を安定的に固定することができる重金属固定化処理剤や補強剤などとして機能する多硫化物からなる処理剤を生成し、その処理剤を用いて、重金属の固定化や補強などを行うようにしたものである。
しかも、生成された処理剤は、生成時に生じた液体状のものに限られず、その沈殿物にも有効成分が含有されており、両方とも有効な処理剤として利用することができるものである。
また、本発明では、産業廃棄物であるアルカリ灰の一部を原料として用いて重金属固定化処理剤を生成するとともに、その生成された重金属固定化処理剤を用いて残りのアルカリ灰を同時に処理することもできる。これにより、産業廃棄物の処理に要する労力や時間やコストを大幅に低減することができる。
具体的には、本発明に係る処理剤は、アルカリ灰を原料として熱水中又は加熱蒸気中で硫黄と反応させることによって生成した多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤である。
ここで、本発明でいう「アルカリ灰」とは、焼却場、発電所、電気炉、溶解炉、流動床ボイラー等の石炭ボイラー、溶融炉、焼成炉(キルン)などから排出されるpH9以上のアルカリ性の灰及び飛灰の総称であると同時に、これら一種又は二種以上の混合体を含み、また、産業廃棄物で旧来処理の対象物であったもの及びそれとともに生成される水中沈殿物をも含むものを指している。
また、多硫化物には、反応で生成される液体状のものに限られず、沈殿物も含まれ、この沈殿物には、アルカリ灰と硫黄との熱水反応によって生成される沈殿物に限られず、熱水反応中又は反応後に混入した酸性体や中性体や粘土やシルト等の金属体を含んだ反応材を含んだ沈殿物をも含むものであり、しかも、これらの混合体であってもよく、また濃縮体や乾燥物であってもよい。
かかる処理剤は、汚泥、粉塵、集塵などの主に産業廃棄物に添加混合することによって、鉛・亜鉛・水銀・クロム・マンガン・コバルト・ニッケルなどの重金属と硫黄とが反応し、不溶性硫化物が生成され、重金属を固定化し、これにより、廃棄物(被処理物)から重金属が溶出するのを未然に防止して、無害化する重金属固定化処理剤(廃棄物処理剤)として用いることができる。
また、自然の岩石、盛土、レンガ、窯業製品などの被処理物に塗布又は含浸させることによって、多硫化物の作用で被処理物の強度を増大させて補強を行うことができる補強処理剤としても用いることができる。
ここで、被処理物としては、自然の岩石、盛土、レンガ、窯業製品に限られず、一般的に用いられる土木用無機質材料や重金属を含む有害物やコンクリート破砕材、有害成分を含む自然石やその微粒体も含まれ、当然に、アルカリ灰やアルカリ灰が生成されるときに発生する水中沈殿物も対象となり、酸性有害物や中性体無機質有害物なども含まれる。
また、木質素材からなる被処理物の表面に塗布又は含浸させることによって、多硫化物の作用で抗菌効果や防虫効果を発揮させることができ、これによって被処理物の保護を行うことができる保護処理剤としても用いることができる。
さらに、金属素材からなる被処理物の表面に塗布又は含浸させることによって、多硫化物の作用で表面に硫化金属膜を形成し、この硫化金属膜によって被処理物の保護を行うことができる保護処理剤としても用いることができる。
しかも、本発明に係る処理剤は、アルカリ灰を原料として生成した多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分としているために、従来の処理剤を使用した場合に問題となる処理剤に含有される有機物の分解による二硫化炭素の発生を防止することができる。
また、本発明では、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させることによって、重金属と反応して固定化する重金属固定化処理剤を製造することができる。硫黄は、固体状のものでも、液体状のものでも、気体状のもの(蒸気化したもの)でもよい。
この重金属固定化処理剤は、原料とは異なるアルカリ灰と反応させることによってアルカリ灰中に含有される重金属を固定化することができる。
この原料となるアルカリ灰に、石、粘土、真砂、又は灰を混入させてもよい。たとえば、石炭フライアッシュと硫黄とを熱水反応させ、一定時間経過後に酸性スラッジを混合させたところ、石炭フライアッシュと酸性スラッジの両方を無害化させることができた。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させて重金属固定化処理剤を生成し、この重金属固定化処理剤を用いて酸性体中の重金属を固定化させることによって、アルカリ性を示す重金属固定化処理剤を中和処理する必要がなくなり、中和処理のための作業やコストを削減することができる。
また、反応装置内で廃棄物としてのアルカリ灰の一部と硫黄とを混合し、このアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させて重金属固定化処理剤を生成し、この重金属固定化処理剤を用いて残りのアルカリ灰中の重金属を固定化することによって、廃棄物全体を処理することができ、経済性を向上させることができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させて補強処理剤を生成し、この補強処理剤を用いて被処理物の補強を行うことができる。
たとえば、地盤や路床の強度改良を目的として、飛灰と、硫黄、真砂、粘土とを混合反応させた場合には、重金属安定剤としての性能以外に金属との結合や、灰中成分(カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、シリカ)と反応させ、これをローラ等で転圧することで地耐力の強化を図ることができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させて処理剤を生成し、この処理剤の生成と同時に原料となるアルカリ灰の沈殿生成物を生成することができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させて処理剤を生成し、この処理剤の生成と同時に原料となるアルカリ灰の沈殿生成物からなる重金属安定剤を生成することができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させ、蒸発減水させることによって金属反応剤を生成することができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中
のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させ、蒸発減水させ、さらに乾燥させることによって金属反応剤を生成することができる。
また、反応装置内で原料となるアルカリ灰と硫黄とを混合し、原料となるアルカリ灰中のカルシウム、カリウム、ナトリウム、又はマグネシウムと硫黄を反応させ、液状の処理剤と沈殿生成物からなる固体状の処理剤とを生成し、液体状の処理剤から濃縮液を生成したり、液体状の処理剤を乾燥させて水溶性の粉状又は粒状の処理剤を生成したり、さらには、沈殿生成物を加熱濃縮してウエット状又は乾燥状の処理剤を生成することができる。
上記した処理剤は、アルカリ灰を原料として多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を安定かつ安全に生成する必要があり、そのための方法としては、アルカリ灰に含有される水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物と硫黄とを密閉容器内で蒸気の排出をすることなく98℃〜345℃の高圧下で撹拌混合しながら反応させることによって生成する方法がある。
たとえば、水酸化カルシウムと硫黄とを用いた場合には、消石灰と硫黄と水とを混合することによって生成でき、このとき、
Ca(OH)2→Ca+++2OH--
Ca+++S→CaS
の反応が起こる。
このCaSは、
2CaS+4OH--→H2S+Ca(OH)2+S+Ca+O2
となる。
ここで、従来の製法では、一部の硫化水素及び酸素が蒸気として大気に開放されていたが、本発明では、この反応を密閉容器内で行わせることで蒸気の排出をしないようにしている。
そのため、上記反応が正確に進んで、
H2S+Ca(OH)2+S+Ca→Ca(HS)2+Ca(OH)2
となる。
また、CaSは、
2CaS+2H2O→Ca(HS)2+Ca(OH)2
となる。
さらに、CaSは、
CaS+(x−1)S→CaSx
となって、CaSxが安定して生成される。
これは、水酸化カルシウムを用いた場合に限られず、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物を用いた場合でも、Sxを含有する処理剤を安定して生成できる。
特に、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物と硫黄とを硫黄の粒子表面に付着したカリウム、マグネシウム、カルシウム、又はナトリウムを破砕し剥離させるように撹拌混合しながら反応させることによって多硫化物を主成分とする処理剤をより安定して生成することができる。
また、硫黄の溶解温度以上の温度で反応を行わせた場合には、多硫化物(但し、Sx(x=8))を主成分とする処理剤を安定して生成することができる。
また、硫黄と熱水との混合液に、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物を所定量連続的に混入させた場合には、多硫化物(但し、Sx(x=8〜10))を主成分とする処理剤を安定して生成することができる。
また、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物と硫黄と熱水との混合液に低温環境下(−20℃〜0℃)で消石灰を混入させた場合には、多硫化物(但し、Sx(x=6〜12))を主成分とし、被処理剤を固化することができるミルク状の固化剤を含んだ処理剤を安定して生成することができる。
また、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物と硫黄と熱水との混合液に低温環境下(−30℃〜−25℃)でカルシウムを混入させた場合には、多硫化物(但し、Sx(x=8))を主成分とする処理剤を安定して生成することができる。
また、予め100μ以下(好ましくは、50μ以下)に粉砕した硫黄と、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムのいずれか又はこれらの混合物を粉体又はシルト状態で用いた場合には、多硫化物(但し、Sx(x=10〜12))を主成分とする処理剤を安定して生成することができる。
また、原料となるアルカリ灰として松浦石灰火力発電所産フライアッシュ(炭種;マッセルブルグ50%、ドレイトン50%の混焼により発生したもので、アルカリ度PH13.5)を用い、フライアッシュ20重量部、硫黄20重量部、水100重量部の配合比とした。
そして、まず、フライアッシュ20重量部と水100重量部を反応缶に入れ、上蓋を閉じ、混合機を作動させて10分程度混合する。
次に、混合機を停止後、上蓋を開放し、硫黄20重部を投入する。
次に、安全弁を設定し目的とする排気圧・約2.5kg/cm2にセットし排水バルブ及冷却バルブを開放するとともに冷却水入口バルブを開放して通水する。
次に、上蓋を閉じ、混合機を作動させて混合する。
次に、バーナに点火して、圧力計と温度計とを確認し、混合しながら昇温する。この時に、圧力は2.5kg/cm2以下とし温度は90℃以上とする必要がある。
次に、温度計の表示が110℃に達してから、約30分間混合反応させる。
次に、バーナを停止し、圧力計が下降するまで放置し、安定したら安全弁により最終残圧を完全に排出し、大気圧と同化させる。
次に、混合機を停止させ、上蓋を開放し、排出バルブを開放して、沈澱物及び液体を排出して、これらを回収する。
次に、回収物を冷却し、沈澱分離し薬液と沈澱物を得る。
このようにして、薬液98重量部と沈澱物102重量部を得ることができる。
この薬液は、多硫化カルシウム、多硫化カリウムを含有しており、液比重が1.02g/ccで黄緑色のpH10の液体であった。
また、原料とし焼却場飛灰PH13.5を用いたところ、多硫化カルシウムを含有した液比重が1.15g/ccの茶色のpH19の液体を得た。
そして、上記pH10の薬液30重量部とpH19の薬液5重量部とをそれぞれ用いて、pH13.5のアルカリ灰(鉛含有量1300mg/kg/dry、溶出値12mg/L)100重量部及び調整水40重量部を混合したところ、環告46号(溶出試験)に従って分析すると、上記pH10の薬液を用いた場合には、鉛溶出12mg/Lから0.005mg/Lに低減され、また、上記pH13.5の薬液を用いた場合には、鉛溶出12mg/Lから0.001/mg/L以下に低減され、最も固定化が困難な鉛を固定化することができ、重金属安定剤としての十分な効果を発揮することが確認された。

Claims (1)

  1. 以下の(1)〜(4)に記載の工程を有する多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする薬剤の製造方法。
    (1)アルカリ灰と水とを反応缶に入れて混合した混合液に、予め粉砕した硫黄を投入して前記反応缶を閉蓋密閉する工程。
    (2)前記反応缶内の前記混合液を110℃以上345℃以下の温度範囲内で昇温しつつ攪拌混合して前記アルカリ灰と前記硫黄とを熱水反応させる工程。
    (3)昇温を停止し、反応缶内の圧力が安定したら前記熱水反応により生成した沈殿物及び液体を排出バルブより回収する工程。
    (4)回収した多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする沈殿物及び多硫化物(但し、Sx(x=2〜12))を主成分とする液体を冷却し、沈殿分離して液体状の薬剤と沈殿物からなる固体状の薬剤とを得る工程。
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