JP4597847B2 - 成膜装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の装置では、薬液を回収する観点からの工夫が欠けていた。
本発明の請求項2に記載の成膜装置は、請求項1において、前記冷却手段は、前記排気手段の導入部近傍に水ミスト吐出口を配してなり、成膜に利用されなかった薬液ミストに対して水ミストを噴霧することにより、該薬液ミストの熱を奪い、噴霧状を保ちつつ、前記排気手段へ導くことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の成膜装置は、請求項1において、前記排気手段の導入部を通して誘導された薬液ミストを処理するミストスクラバを、該排気手段の導出部に備えていることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の成膜装置は、請求項1において、前記被処理体と前記吐出手段とを含む空間を包み込むようにフードを備えてなることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の成膜装置は、請求項4において、前記水ミスト吐出口は、前記フード内にあることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の成膜装置は、請求項5において、前記導入部は、前記フード内において、前記被処理体の外周近傍、かつ、上方に配されており、前記水ミスト吐出口は、前記吐出手段の備える吐出口と前記導入部との間に配されていることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の成膜装置は、請求項4において、前記水ミスト吐出口は、前記フード外にあることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の成膜装置は、請求項7において、前記導入部は、前記フード外において、前記被処理体の外周近傍、かつ、側方に配されており、前記水ミスト吐出口は、前記導入部と前記フードとの間に配されていることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の成膜装置は、請求項7において、前記導入部は、前記フード内において、前記被処理体の外周近傍、かつ、側方に配されており、前記水ミスト吐出口は、前記排気手段の内部に配されていることを特徴とする。
本発明の成膜装置1は、スプレー熱分解法により被処理体2の一面上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記被処理体2を載置する支持手段11と、前記被処理体の一面に向けて、前記薄膜の原料溶液からなる薬液ミスト3を噴霧する吐出手段12と、成膜に利用されなかった薬液ミスト3の熱を奪うための冷却手段15と、前記被処理体の近傍に導入部13aを配してなる排気手段13と、を少なくとも備える。
成膜後の薬液ミスト3に水ミスト4を混入させることにより、薬液ミスト温度を急激に低下させる。この冷却は、水の蒸発潜熱による冷却であり、薬液ミスト流量にもよるが、薬液ミスト温度を150℃から60℃以下にまで冷却することが可能となる。
これにより、薬液ミスト3の気化による薬液の排気手段13の内壁への付着を防止してミストスクラバまで薬液ミスト3を搬送することができる。その結果、スクラバ処理の際に回収できる薬液の回収効率を飛躍的に向上させることができる。
吐出手段12は、例えばノズルである。そして吐出手段12から噴霧する原料溶液は、ミスト3(液状微粒子)とされている。
このミスト3は、後述する調整室20において予め原料溶液を噴霧することにより生成されたものであってもよい。
また、被処理体2は、上記温度制御手段からの伝熱等により表面が加熱されており、200〜600℃の温度範囲に制御されている。
前記導入部13aは、前記被処理体2の外周近傍にあって、その側方または上方に配されていることが好ましい。導入部13aを、被処理体2の側方または上方に設けることにより、浮遊物を巻き込むことなく除去することができる。
ミストスクラバ16は、例えば、半導体製造で使用する、例えばCVD装置から排出されたガスを、室外に廃棄処理する手前において、水噴霧中を通過させることにより。前記ガスを洗浄処理するような装置を用いることができる。
水ミスト4の大きさとしては、特に限定されるものではないが、液ダレをしない程度に小さく、しかしミスト間の吸着が起こりやすいサイズが好ましく、例えば、5〜150μm程度が好ましい。
水ミスト4の温度は、特に限定されるものではないが、液だまりや液ダレが発生しない程度であることが好ましく、例えば、20〜80℃程度が好ましい。
フード14は、ステンレススチール等の耐食性金属により構成されている。底部近傍の両側に開口部が形成されている。
この生成される薬液ミスト3は、60.0〜98.8vol%のエアーを含んでいることが好ましい。
搬送路21は、仕切り部材によって外部と隔離され、内壁の温度がミスト3と同じかあるいは高めで、かつ、原料溶液の溶媒の蒸発速度が極端とならない温度を保つように制御されている。すなわち、薬液ミストの温度>搬送路内壁の温度>溶媒の蒸発温度という関係にある。
また。搬送路21の内壁は、フッ素樹脂等の撥水性を有する材料を採用するか、または表面に撥水性を付与する処理を施すことにより、外部と隔離されている。この際、搬送路21を金属等の熱伝導性の良好な材料を使用したものとすると、外気温度の影響を受けやすく、搬送路内壁へのミスト3の付着に繋がることから、塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂等の熱伝導の低い樹脂材料を採用することが好ましい。なお、金属材料を採用する場合は、搬送路外壁の温度制御を行うことで対応できる。
さらに、搬送路21の距離は短いほど望ましい。しかしながら、ミスト温度や内壁温度、各手段の配置からの制約などの設計の観点から距離を必要とする場合も考えられることを考慮し、長くする場合は、10m未満とすることが望ましい。
なお、以下の説明では、本発明の成膜装置1を用いて、被処理体2である基板上に、透明導電膜としてITO膜を形成する場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な薄膜を形成するのに用いることができる。
基板としては、例えば、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどのガラスが好ましく、その厚さは0.3〜5mm程度が好適である。
基板表面温度が所定の温度に到達し、安定したら、ITO膜の成膜を開始する。
ITO膜の原料溶液としては、加熱することによりスズ添加インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物となる成分を含む溶液が好適に用いられる。
ITO膜の原料溶液としては、塩化インジウム・四水和物を0.2mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液に対し、塩化スズ・五水和物を0.01mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液が好適に用いられる。
ITO膜の成膜が終了したら、基板温度が所定の温度になるまで冷却し、基板を取り出す。
以上のようにして、基板上にITO膜からなる透明導電膜が形成される。
<第二の実施形態>
また、以下の説明では、上述した第一の実施形態と相違する部分を中心に説明し、第一の実施形態と同様の部分は、その説明を省略する。
本実施形態に係る成膜装置30は、被処理体2を載置する支持手段31と、原料溶液からなる薬液ミスト3を噴霧する吐出手段32と、成膜に利用されなかった薬液ミスト3の熱を奪うための冷却手段35と、前記被処理体の近傍に導入部33aを配してなる排気手段33と、吐出手段32と被処理体2との間を包み込むように配されたフード34と、を少なくとも備える。
すなわち、本実施形態では、上記構成要素(特に、排気手段33の導入部33aおよび冷却手段35の水ミスト吐出口35a)の配置が第一の実施形態と異なる。
<第三の実施形態>
また、以下の説明では、上述した第一の実施形態と相違する部分を中心に説明し、第一の実施形態と同様の部分は、その説明を省略する。
本実施形態に係る成膜装置40は、被処理体2を載置する支持手段41と、原料溶液からなる薬液ミスト3を噴霧する吐出手段42と、成膜に利用されなかった薬液ミスト3の熱を奪うための冷却手段45と、前記被処理体の近傍に導入部43aを配してなる排気手段43と、吐出手段42と被処理体2との間を包み込むように配されたフード44と、を少なくとも備える。
すなわち、本実施形態では、上記構成要素(特に、排気手段43の導入部43aおよび冷却手段45の水ミスト吐出口45a)の配置が第一の実施形態と異なる。
例えば、排気手段の導入口および冷却手段の水ミスト吐出口の数や配置は、上記の例に限定されるものではない。
まず、以下のようにして、原料溶液を調製した。
<ITO原料溶液の調製>
塩化インジウム(III)五水和物(InCl3・4H2O)5.58g/100mlと塩化スズ(IV)五水和物(SnCl4・5H2O)0.36g/100mlの比の薬剤を水に溶解させて調製した。
<ITO成膜>
図1に示したような構造を有する成膜装置を用いて行った。
500mm×500mm×2mmの硼珪酸ガラス基板(TEMPAX#8330)を支持台上に設置し、室温から350〜400℃の表面温度に達するまで加熱した。なお、加熱方法は、ガラス基板の下部に配された加熱基板からの伝熱に加えて、フード上部に配された赤外線ランプからの熱線照射によるものとした。
基板表面温度が安定したことを確認してから、ITO成膜を開始した。
ITO原料溶液は調整室において予備噴霧され、ミスト(液状微粒子)とされている。調整室および搬送路におけるミスト条件を表1に示す。なお、搬送路には、伸縮性を有する塩ビ製蛇腹パイプを採用し、内壁にはテフロン(登録商標)樹脂コートを施して撥水性を確保した。
また、500mm角成膜を実現するため、噴霧ノズルとガラス基板間距離は20mmとし、基板側でX方向に±150mm、ノズル側でY方向に±150mmづつ揺動させることで噴霧濃度の偏りを防いだ。ITO膜の成膜に要した時間は、15分であった。
またさらに、導入部近傍にそれぞれ水ミスト吐出口を配し、該水ミスト吐出口から、成膜に利用されなかった薬液ミストに対して水ミストを噴霧した。このときの水ミストの噴霧速度は、流速20,000cm/分であり、水ミストの大きさは、平均80μmであり、水ミストの温度は、40℃であった。
図2に示したような構造を有する成膜装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
図3に示したような構造を有する成膜装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
冷却手段を配さずに、図4に示したような構造を有する成膜装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
Claims (9)
- スプレー熱分解法により被処理体の一面上に薄膜を形成する成膜装置であって、
前記被処理体を載置する支持手段と、
前記被処理体の一面に向けて、前記薄膜の原料溶液からなる薬液ミストを噴霧する吐出手段と、
成膜に利用されなかった薬液ミストの熱を奪うための冷却手段と、
前記被処理体の近傍に導入部を配してなる排気手段と、を少なくとも備えることを特徴とする成膜装置。 - 前記冷却手段は、前記排気手段の導入部近傍に水ミスト吐出口を配してなり、成膜に利用されなかった薬液ミストに対して水ミストを噴霧することにより、該薬液ミストの熱を奪い、噴霧状を保ちつつ、前記排気手段へ導くことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記排気手段の導入部を通して誘導された薬液ミストを処理するミストスクラバを、該排気手段の導出部に備えていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記被処理体と前記吐出手段とを含む空間を包み込むようにフードを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記水ミスト吐出口は、前記フード内にあることを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
- 前記導入部は、前記フード内において、前記被処理体の外周近傍、かつ、上方に配されており、
前記水ミスト吐出口は、前記吐出手段の備える吐出口と前記導入部との間に配されていることを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。 - 前記水ミスト吐出口は、前記フード外にあることを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
- 前記導入部は、前記フード外において、前記被処理体の外周近傍、かつ、側方に配されており、
前記水ミスト吐出口は、前記導入部と前記フードとの間に配されていることを特徴とする請求項7に記載の成膜装置。 - 前記導入部は、前記フード内において、前記被処理体の外周近傍、かつ、側方に配されており、
前記水ミスト吐出口は、前記排気手段の内部に配されていることを特徴とする請求項7に記載の成膜装置。
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