JP4708130B2 - 成膜装置および透明導電膜の製法 - Google Patents
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Description
成膜時、基板110上に噴霧されたミスト140はその反動により四方へ跳ね返ってしまう(図2)。図3に示すようにノズル(吐出手段130)に角度をつけた場合も同じことで、基板110にあたった後は跳ね返って四方へ分散してしまう。このため、膜として堆積するミストの量は限られてしまい、目標とする膜厚を成膜するためには長時間を要した。
この方法が扱っている基板のサイズは2インチ程度であり、押圧ガスを吹き付ける際のガス出口系は100mmであった。このため、200mm角以上のサイズの基板を成膜する場合には、押圧ガス出口を大きく取るため、押圧ガスに分布が生じてしまう。このため、この方法では均一な成膜を行うことができなかった。
本発明の請求項2に係る成膜装置は、請求項1において、前記吐出口から噴霧されたミストを前記被処理体の一面に対して斜めから入射させて供給することを特徴とする
本発明の請求項3に係る透明導電膜の製法は、スプレー熱分解法による被処理体の一面上への透明導電膜の製法であって、吐出手段により、被処理体の一面に向けて、透明導電膜の原料溶液からなるミストを噴霧するとともに、前記吐出手段の吐出口の近傍に給気口を配してなる給気手段により、前記ミストを、前記被処理体の一面に押さえ込むように、該給気口から該ミストの上方かつ該ミストの噴霧方向と同じ方向に、気体を入射させて供給することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る透明導電膜の製法は、請求項3において、前記ミストを前記被処理体の一面に対して斜めから入射させて供給することを特徴とする。
本発明の成膜装置1は、スプレー熱分解法により被処理体2上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記被処理体2を載置する支持手段11と、前記被処理体2の一面に向けて、前記薄膜の原料溶液からなるミスト3を噴霧する吐出手段12と、前記吐出手段の吐出口の近傍に給気口13aを配してなる給気手段13と、を少なくとも備える。
給気手段13を設け、その給気口13aから気体4を供給することでノズル吐出後のミスト進行方向を制御する。これにより、ミスト3の被処理体2上における跳ね返りが抑制され、結果として被処理体2の一面にミスト3が滞留する時間を長くすることができる。この結果、熱分解して膜形成に寄与するミストの割合が増大し、成膜速度および成膜効率を向上することが可能となった。
吐出手段12は、例えばノズルである。そして吐出手段12から噴霧する原料溶液は、ミスト3(液状微粒子)とされている。
このミスト3は、後述する調整室20において予め原料溶液を噴霧することにより生成されたものであってもよい。
また、被処理体2は、上記温度制御手段からの伝熱等により表面が加熱されており、200〜600℃の温度範囲に制御されている。
図1において、吐出口12aの被処理体の一面に対する傾斜角をθ1とし、給気口13aの被処理体の一面に対する傾斜角をθ2 としたとき、θ1 ≦θ2 である。
気体4の供給方向を、ミスト3の上方かつミスト3の噴霧方向と同じ方向とすることにより、ミスト3が被処理体2の一面近傍に滞留しやすくなる。これにより膜の成長速度が安定する。
また、気体4を高温エアーとすることで、単位面積あたりの熱供給量が増大し、結果として、加熱基板の設定温度を下げても目標温度に制御することが可能になる。この結果、被処理体の空間的、時間的温度分布範囲が縮小し、成膜時における膜厚均一性を向上することが可能となる。
フード14は、ステンレススチール等の耐食性金属により構成されている。底部近傍の両側に開口部が形成されている。
調整室20では、上記の吐出手段12とは異なる噴霧手段により原料溶液を予備噴霧し、径の小さい(細かな)液滴だけをミスト3として効率よく取り出してサイズを均一化するよう選別する制御を行う。より細かいミストを吹き付けることができるため、特性のよい膜を形成できる。
この生成されるミスト3は、60.0〜98.8vol%のエアーを含んでいることが好ましい。
搬送路21は、仕切り部材によって外部と隔離され、内壁の温度がミスト3と同じかあるいは高めで、かつ、原料溶液の溶媒の蒸発速度が極端とならない温度を保つように制御されている。すなわち、ミスト3の温度>搬送路21内壁の温度>溶媒の蒸発温度という関係にある。
また。搬送路21の内壁は、フッ素樹脂等の撥水性を有する材料を採用するか、または表面に撥水性を付与する処理を施すことにより、外部と隔離されている。この際、搬送路21を金属等の熱伝導性の良好な材料を使用したものとすると、外気温度の影響を受けやすく、搬送路内壁へのミスト3の付着に繋がることから、塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂等の熱伝導の低い樹脂材料を採用することが好ましい。なお、金属材料を採用する場合は、搬送路外壁の温度制御を行うことで対応できる。
さらに、搬送路21の距離は短いほど望ましい。しかしながら、ミスト温度や内壁温度、各手段の配置からの制約などの設計の観点から距離を必要とする場合も考えられることを考慮し、長くする場合は、10m未満とすることが望ましい。
なお、以下の説明では、本発明の成膜装置1を用いて、被処理体2である基板上に、透明導電膜としてITO膜を形成する場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な薄膜を形成するのに用いることができる。
基板としては、例えば、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどのガラスからなる厚さが0.3〜5mm程度のガラス板が好適に用いられる。
基板表面温度が所定の温度に到達し、安定したら、ITO膜の成膜を開始する。
ITO膜の原料溶液としては、加熱することによりスズ添加インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物となる成分を含む溶液が好適に用いられる。
ITO膜の原料溶液としては、塩化インジウム・四水和物を0.2mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液に対し、塩化スズ・五水和物を0.01mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液が好適に用いられる。
ITO膜の成膜が終了したら、基板温度が所定の温度になるまで冷却し、基板を取り出す。
以上のようにして、基板上にITO膜からなる透明導電膜が形成される。
また、ミスト流れを制御することにより、成膜室の隔壁やノズル等の部材へのミスト付着が防止され、洗浄のためのメンテナンスに要する時間を低減することができた。
例えば、上述した説明では、給気口を1つのみ設けた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、給気口の数は2つ以上であってもよい。また、給気口の配置も、上記の例に限定されるものではない。
まず、以下のようにして、原料溶液を調製した。
<ITO原料溶液の調製>
塩化インジウム(III)五水和物(InCl3・4H2O、Fw:293.24)5.58g/100mlと塩化スズ(IV)五水和物(SnCl4・5H2O、Fw:350.60)0.36g/100mlの比の薬剤を水に溶解させて調製した。
<ITO成膜>
500mm×500mm×2mmt の硼珪酸ガラス基板(TEMPAX #8330)を支持台上に設置し、室温から350〜400℃の表面温度に達するまで加熱した。なお、加熱方法は、ガラス基板の下部に配された加熱基板からの伝熱に加えて、フード上部に配された赤外線ランプからの熱線照射によるものとした。
基板表面温度が安定したことを確認してから、ITO成膜を開始した。
ITO原料溶液は調整室において予備噴霧され、ミスト(液状微粒子)とされている。調整室および搬送路におけるミスト条件を表1に示す。なお、搬送路には、伸縮性を有する塩ビ製蛇腹パイプを採用し、内壁にはテフロン(登録商標)樹脂コートを施して撥水性を確保した。
この給気手段13においては、スリット型の給気ノズル(ノズル出口サイズ:7×270mm)4本を、噴霧ノズルの近傍にそれぞれ配置して、アシストエアーを供給した。このとき、アシストエアーの供給角度(図1中にθ2 と記載)は基板表面に対して48°とした。また、ノズル出口におけるアシストエアー温度は40℃(低温エアー)であり、ノズル出口におけるアシストエアー流速は、22500cm/分であった。
成膜時に、アシストエアーの温度を、400℃(高温エアー)としたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
成膜時に、アシストエアーを供給しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
以上のようにしてガラス基板上にITO膜を形成した。
Claims (4)
- スプレー熱分解法により被処理体の一面上に薄膜を形成する成膜装置であって、
前記被処理体を載置する支持手段と、
前記被処理体の一面に向けて、前記薄膜の原料溶液からなるミストを噴霧する吐出手段と、
前記吐出手段の吐出口の近傍に給気口を配してなる給気手段と、を少なくとも備え、
前記給気手段は、前記吐出口から噴霧されたミストを、前記被処理体の一面に押さえ込むように、かつ、前記給気口から該ミストの上方かつ該ミストの噴霧方向と同じ方向に、気体を入射させて供給することを特徴とする成膜装置。 - 前記吐出口から噴霧されたミストを前記被処理体の一面に対して斜めから入射させて供給することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- スプレー熱分解法による被処理体の一面上への透明導電膜の製法であって、
吐出手段により、被処理体の一面に向けて、透明導電膜の原料溶液からなるミストを噴霧するとともに、
前記吐出手段の吐出口の近傍に給気口を配してなる給気手段により、前記ミストを、前記被処理体の一面に押さえ込むように、該給気口から該ミストの上方かつ該ミストの噴霧方向と同じ方向に、気体を入射させて供給することを特徴とする透明導電膜の製法。 - 前記ミストを前記被処理体の一面に対して斜めから入射させて供給することを特徴とする請求項3に記載の透明導電膜の製法。
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