JP2014005502A - 薄膜成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜をより均一に成膜し、透明導電膜が成膜された被成膜物の特性を向上させる。
【解決手段】ガラス基板70の被成膜面72上に透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法であって、ミストを噴霧する工程では、各々のノズルの被成膜面72に対する噴射角度θ1は75°以上90°以下であり、各々のノズルと被成膜面72との間の噴霧距離Lは150mm以上300mm以下であり、各々のノズルは、1つのノズルあたり10ml/min以上30ml/min未満の噴霧量となる原料溶液を、0.2MPa以上0.4MPa以下の噴霧気体圧力で噴霧する。
【選択図】図7

Description

本発明は、薄膜成膜方法に関し、特に、原料溶液からなるミストを基板に向けて噴霧し、基板の被成膜面上に透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法に関する。
透明導電膜は、半導体、ディスプレイ、および、太陽電池等の分野で広く利用されている。透明導電膜は、STO(チタン酸ストロンチウム)、または、ITO(Snドープ酸化インジウム)等の金属酸化物からなる。透明導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、有機金属化学気相成長法、またはミスト法(スプレー法ともいう)等で成膜される。
スパッタリング法および蒸着法においては、真空プロセスにより透明導電膜が成膜されるため、真空容器などを用いて真空雰囲気を形成および維持することが必要となる。有機金属化学気相成長法において原料として用いられる有機金属化合物は、爆発性および毒性を有する。有機金属化学気相成長法においては、排ガス処理装置などを設けることにより、高度な安全性を確保することが必要となる。スパッタリング法、蒸着法、および、有機金属化学気相成長法のいずれも、低コストで実施されることは難しい。
ミスト法は、原料金属を溶質として含む原料溶液を霧化し、これを基板上に噴霧することによって透明導電膜を成膜する。ミスト法によれば、大気圧下で透明導電膜を成膜することができるため、真空容器およびポンプ類などは不要である。ミスト法によれば、有機金属化合物のような危険物質は用いられず、成膜装置の構成を簡素化でき、かつ低コストで透明導電膜を成膜することが可能となる。ミスト法を用いた成膜技術を開示する文献としては、たとえば次のようなもの(特許文献1〜3)が知られている。
特開2002−289803号公報(特許文献1)は、強誘電体材料を含む溶液をミスト化して基板上に堆積させて強誘電体薄膜を形成する方法に関する発明を開示している。当該方法においては、ミストを帯電させ、基板上に設けられた導電性電極と基板から離れた位置に設置した電極との間に加えた電界でミストを加速することにより、基板上に設けられた導電性電極上にミストを堆積させる。同公報は、当該方法によれば、材料の利用効率と段差被覆性とを向上させ、製造コストを低減することができると述べている。
特開2007−077433号公報(特許文献2)は、スプレー熱分解法により被処理体上に薄膜を形成する成膜装置に関する発明を開示している。当該成膜装置は、被処理体を所定の温度まで加熱する前処理室と、所定の温度に保持した被処理体に向けて吐出手段から原料溶液を噴霧することにより、被処理体に薄膜を形成する成膜室と、薄膜を形成した被処理体を所定の温度まで冷却する後処理室と、を備えている。同公報は、当該成膜装置によれば、一連の処理を効率よく行い、生産速度を向上することができると述べている。
特開2000−044238号公報(特許文献3)は、二酸化錫膜の製造方法に関する発明を開示している。当該製造方法は、錫化合物とフッ素化合物またはアンチモン化合物とを溶解した溶液を霧化して微粒子化する工程と、微粒子を加熱された基板に接触させ、基板上に二酸化錫膜を形成する工程と、を備える。同公報は、当該製造方法によれば、均一な膜質で、透明性、導電性および耐候性に優れ、大面積化可能なの二酸化錫膜を安価に製造することができると述べている。
特開2002−289803号公報 特開2007−077433号公報 特開2000−044238号公報
本発明は、ミスト法を使用して透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法であって、透明導電膜をより均一に成膜し、透明導電膜が成膜された被成膜物の特性を向上させることが可能な薄膜成膜方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく薄膜成膜方法は、ガラス基板の被成膜面上に透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法であって、複数の噴霧器内に原料溶液および圧縮気体を導入する工程と、上記ガラス基板を加熱する工程と、上記原料溶液および上記圧縮気体が混合されることにより得られたミストを複数の上記噴霧器の各々のノズルから上記被成膜面に向けて噴霧する工程と、を備え、上記ミストを噴霧する工程では、各々の上記ノズルの上記被成膜面に対する噴射角度は75°以上90°以下であり、各々の上記ノズルと上記被成膜面との間の噴霧距離は150mm以上300mm以下であり、各々の上記ノズルは、1つの上記ノズルあたり10ml/min以上30ml/min未満の噴霧量となる上記原料溶液を、0.2MPa以上0.4MPa以下の噴霧気体圧力で噴霧する。
好ましくは、上記ミストを噴霧する工程では、上記ガラス基板の温度は480℃以上600℃以下に加熱されている。
本発明によれば、ミスト法を使用して透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法であって、透明導電膜をより均一に成膜し、透明導電膜が成膜された被成膜物の特性を向上させることが可能な薄膜成膜方法を得ることができる。
実施の形態における薄膜成膜装置の全体構成を模式的に示す断面図である。 実施の形態における薄膜成膜装置に用いられる第2噴霧ボックスを模式的に示す断面図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる噴霧器の噴霧形状を模式的に示す斜視図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる噴霧器の1つから噴霧されたミストの幅方向の噴霧量分布を示す図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる噴霧器の1つから噴霧されたミストの長さ方向の噴霧量分布を示す図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる複数の噴霧器を示す斜視図である。 図6中におけるVII−VII線に沿った矢視断面図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる11個の噴霧器を幅方向にピッチP(P=100mm)で配置したときの幅方向の噴霧量の分布を示す図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる11個の噴霧器を幅方向にピッチP(P=120mm)で配置したときの幅方向の噴霧量の分布を示す図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる11個の噴霧器を幅方向にピッチP(P=150mm)で配置したときの幅方向の噴霧量の分布を示す図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる冷却手段を示す断面図である。 実施の形態における噴霧成膜装置に用いられる冷却手段の変形例を示す断面図である。 実施の形態に関する実施例およびその比較例の実験条件および実験結果を示す図である。
本発明に基づいた各実施の形態および各実施例について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態および各実施例の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。各実施の形態および各実施例の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(薄膜成膜装置100)
図1は、実施の形態における薄膜成膜装置100の全体構成を模式的に示す断面図である。詳細は後述されるが、薄膜成膜装置100は、ガラス基板70の被成膜面72上に透明導電膜を成膜する。ガラス基板70は、たとえばソーダガラスからなる。薄膜成膜装置100は、第1噴霧ボックス10、第2噴霧ボックス20、加熱処理室12、再加熱処理室14、除冷処理室16、搬送ベルト17、駆動装置18、および、載置台19を備える。
搬送ベルト17は、駆動装置18によって駆動される。搬送ベルト17は、載置台19上に載置されたガラス基板70を、基板搬送方向(矢印AR1方向)に沿って搬送する。加熱処理室12、第1噴霧ボックス10、再加熱処理室14、第2噴霧ボックス20、および、除冷処理室16は、基板搬送方向に沿って、この順で並んで配置されている。
加熱処理室12の中には、搬送ベルト17を取り囲むように加熱炉が配置され、この加熱炉によって加熱部13が形成されている。ガラス基板70は、加熱処理室12の加熱部13内に到達するまで、たとえば10mm/secの速度で搬送される。ガラス基板70が加熱部13内に到達した後、駆動装置18は搬送ベルト17を停止する。ガラス基板70は、静止した状態で、加熱部13内で所定の温度に到達するまで加熱される。
第1噴霧ボックス10は、加熱炉によって形成された加熱部11を有する。第2噴霧ボックス20についての詳細は後述されるが、第1噴霧ボックス10は、第2噴霧ボックス20と略同様に構成される。ガラス基板70が第1噴霧ボックス10内に到達した後、第1噴霧ボックス10内では、ガラス基板70の被成膜面72にアルカリバリア層が成膜される。アルカリバリア層が成膜されることによって、ガラス基板70(ソーダガラス)の中のアルカリ成分が外部に流出することは防止される。
再加熱処理室14の中には、搬送ベルト17を取り囲むように加熱炉が配置され、この加熱炉によって加熱部15が形成されている。ガラス基板70が加熱部15内に到達した後、駆動装置18は搬送ベルト17を停止する。ガラス基板70は、静止した状態で、加熱部15内で所定の温度に到達するまで再加熱される。
第2噴霧ボックス20は、加熱炉によって形成された加熱部21を有する。ガラス基板70が第2噴霧ボックス20内に到達した後、第2噴霧ボックス20内では、ガラス基板70のアルカリバリア層が成膜された被成膜面72に透明導電膜が成膜される。透明導電膜が形成されたガラス基板70は、除冷処理室16内に搬送される。ガラス基板70は、静止した状態で、除冷処理室16内で所定の温度に到達するまで除冷される。
透明導電膜を有するガラス基板70は、除冷された後、薄膜成膜装置100から取り出される。透明導電膜を有するガラス基板70は、後工程を経ることによって、たとえば薄膜太陽電池などとして用いられることができる。
(第2噴霧ボックス20)
図2を参照して、本実施の形態における第2噴霧ボックス20についてより詳細に説明する。第2噴霧ボックス20は、ミスト27を用いて、ガラス基板70の被成膜面72に透明導電膜を成膜する。第2噴霧ボックス20は、加熱部21、噴霧成膜装置22、噴霧器23、原料溶液24を貯留する溶液タンク25、溶液供給管26、および、噴霧器23内に供給された原料溶液24を冷却する冷却手段(図示せず)を備える。当該冷却手段は、水冷式のものであってもよく、空冷式のものであってもよい。当該冷却手段の一例については、図11および図12を参照して後述する。
加熱部21は、上述のとおり、加熱炉によって形成されている。加熱部21の上部に、噴霧成膜装置22および噴霧器23が配置される。ガラス基板70は、加熱部21内部の下方の部分を通過するように搬送され、加熱部21内で加熱される。加熱部21の内部の温度は、たとえば450℃以上600℃以下に保持される。SnOの透明導電膜をガラス基板70の被成膜面72上に成膜する場合、好ましくは、加熱部21内の温度は480℃以上600℃以下に保持され、より好ましくは、520℃以上580℃以下に保持される。
噴霧器23から噴霧されたミスト27は、加熱部21内を通過する際に加熱される。加熱部21内の温度が450℃未満であると、ミスト27に含まれる溶媒が揮発しにくくなるため、成膜レートが低下しやすくなる。加熱部21内の温度が600℃を超えると、ミスト27がガラス基板70の被成膜面72に到達する前にミスト27中の溶媒が揮発し、ミスト27がガラス基板70の被成膜面72に到達しにくくなる。
噴霧成膜装置22は、キャリアガス導入口22A、キャリアガス供給口22B、噴霧口22C、余剰ミスト導入口22D、および、余剰ミスト排気口22Eを含む。噴霧成膜装置22の内部には、複数の噴霧器23(図6参照)が配置される。複数の噴霧器23は、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向に並んで配置されている。噴霧口22Cおよび余剰ミスト導入口22Dは、噴霧成膜装置22の下部に位置している。噴霧成膜装置22の下部は、加熱部21に設けられた開口21H内に位置している。
噴霧器23は、噴霧口22Cの上方に配置される。噴霧器23は、2流体スプレーノズルで構成され、超音波霧化またはスプレー噴霧によって原料溶液24をミスト27に変えて、ミスト27をガラス基板70の被成膜面72に向けて噴霧する。噴霧器23が超音波霧化を用いてミスト27を発生させる場合には、超音波振動子などが用いられる。超音波振動子が用いられる場合、噴霧器23は、比較的均一な平均粒子径を有するミスト27を噴霧することが可能となる。ミスト27同士が凝集しにくくなり、噴霧器23は、良好な噴霧を行うことが可能となる。
ここで言う「ミスト」とは、平均粒子径が0.1μm以上100μm以下の液滴が気体に分散された状態のものを意味する。かかるミストの平均粒子径は、液浸法によって算出された値を採用するものとする。噴霧器23の個数は、タクトタイムに必要とされる単位時間当たりの噴霧量によって変更してもよいし、成膜に必要な成膜レートに応じて変更してもよい。
図3を参照して、一例として、本実施の形態に用いられる噴霧器23(2流体スプレーノズル)の噴霧形状について説明する。噴霧器23の下端には、ノズル23Nが設けられる。図3は、噴霧器23のノズル23Nから噴霧距離L(ここでは、L=300mm)だけ離れた箇所の噴霧形状を示している。
図4は、1つの噴霧器23から噴霧されたミストの幅方向の噴霧量分布を示している。図4に示されるように、2つの噴霧器23から噴霧されたミストは、幅方向に2つの噴霧量のピークが形成されるような噴霧形状を有している。
図5は、1つの噴霧器23から噴霧されたミストの長さ方向(基板搬送方向(矢印AR1方向))の噴霧量分布を示している。図5に示されるように、1つの噴霧器23から噴霧されたミストは、長さ方向に1つの噴霧量のピークが形成されるような噴霧形状を有している。
図4および図5に示されるように、1つの噴霧器23から噴霧されたミストの噴霧形状としては、幅方向の方が、長さ方向に比べて広くなっている。
図6は、本実施の形態における噴霧成膜装置22に用いられる複数の噴霧器23を示す斜視図である。図7は、図6中におけるVII−VII線に沿った矢視断面図である。図6および図7を参照して、本実施の形態における噴霧成膜装置22(図2参照)では、上述のとおり複数の噴霧器23が用いられる。
複数の噴霧器23は、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向に、ピッチPを空けて並んで配置されている。ピッチPとは、隣り合う噴霧器23のノズル23N(図3参照)同士の、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向における間隔である。図6中では5つの噴霧器23が図示されているが、噴霧器23の個数は、5つに限られるものではない。
図7を参照して、本実施の形態においては、各々のノズル23Nの被成膜面72に対する噴射角度θ1が、75°以上90°以下に設定される。噴射角度θ1とは、ノズル23Nの軸線(噴射方向)と、ガラス基板70の被成膜面72との間に形成される角度のことである。噴射角度θ1が90°の場合とは、ノズル23Nの軸線(噴射方向)がガラス基板70の被成膜面72に対して直交していることを意味する。噴射角度θ1が75°の場合とは、ノズル23Nの軸線(噴射方向)と、被成膜面72のうちのノズル23Nよりも上流側の部分との間に形成される噴射角度θ1が75°となることを意味する。
また、本実施の形態においては、各々のノズル23Nと被成膜面72との間の噴霧距離Lは、150mm以上300mm以下に設定される。噴霧距離Lとは、ノズル23Nの下端位置と被成膜面72との間の鉛直方向(重力方向)における距離である。
図8は、以上のように設定された噴霧器23を11個準備し、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向に11個の噴霧器23をピッチP(P=100mm)で配置したときの、噴霧量の分布を示す図である。
図9は、以上のように設定された噴霧器23を11個準備し、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向に11個の噴霧器23をピッチP(P=120mm)で配置したときの、噴霧量の分布を示す図である。
図10は、以上のように設定された噴霧器23を11個準備し、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向に11個の噴霧器23をピッチP(P=150mm)で配置したときの、噴霧量の分布を示す図である。
図8〜図10に示すように、本実施の形態で用いられる噴霧器23(2流体スプレーノズル)としては、120mmピッチ(図9の場合)で配置されることにより、ガラス基板70の搬送方向(矢印AR1方向)に対して直交する方向において噴霧量が均一となり、噴霧状態が安定し、均一な成膜ができることがわかる。
図2を再び参照して、溶液タンク25内に収容された原料溶液24は、溶液供給管26を通して噴霧器23内に供給される。原料溶液24としては、亜鉛、スズ、インジウム、カドミウム、および、ストロンチウムからなる群より選択される無機材料の塩化物または有機金属化合物を、溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。原料溶液24に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、または、ブタノール等を挙げることができる。原料溶液24としては、酸化亜鉛を含む水溶液、酸化インジウム錫を含む水溶液、酸化錫を含む水溶液等を挙げることができる。原料溶液24の濃度は、特に限定されないが、0.1mol/L以上3mol/L以下の濃度の塩化物または有機金属化合物を含むものを用いることが好ましい。
図11を参照して、本実施の形態の噴霧成膜装置22に用いられる冷却手段80について説明する。冷却手段80は、いわゆる水冷式の冷却方法を採用している。冷却手段80は、噴霧器23の周囲に配置された配管81を有する。配管81には、導入口82および排出口83が設けられる。導入口82から導入された水等の熱交換媒体84(矢印DR1)は、噴霧器23内に供給された原料溶液24、および、噴霧器23の全体を冷却し、排出口83から排出される(矢印DR2)。
冷却手段80によって噴霧器23内の原料溶液24を冷却することにより、噴霧器23の先端のノズル23Nが詰まったり、噴霧器23が変形したりすることを効果的に防止することができる。ノズル23Nが詰まることを防止するという観点からは、噴霧器23内の原料溶液24を、原料溶液24の沸点以下に冷却することが好ましく、より好ましくは、噴霧器23内の原料溶液24を、室温程度に冷却することが好ましい。
このような温度に冷却することにより、原料溶液24中の溶媒が揮発しにくくなるため、原料溶液24の濃度を一定に保つことも可能となる。噴霧気体圧力、キャリアガスの流量、および排気流量を適切に設定することにより、ミスト27を安定して発生させることができ、熱対流の影響を受けることなく、ミスト27をガラス基板70の被成膜面72に均一に到達させることが可能となる。
図12を参照して、本実施の形態においては、水冷式を採用する冷却手段80(図11参照)が用いられるが、空冷式を採用する冷却手段80Aが用いられてもよい。冷却手段80Aは、噴霧器23内に供給された原料溶液24、および、噴霧器23の全体を、1つまたは複数のファン85を用いて冷却する。冷却手段80Aが用いられる場合であっても、冷却手段80(図11参照)と同様の作用および効果を得ることができる。
(薄膜成膜方法)
図2を再び参照して、以上のように構成される第2噴霧ボックス20において行われる薄膜成膜方法について説明する。上述のとおり、当該薄膜成膜方法によれば、大気圧下近傍で、ガラス基板70の被成膜面72上に透明導電膜が成膜される。
当該薄膜成膜方法においては、まず、複数の噴霧器23内に圧縮空気(圧縮気体)が導入される。圧縮空気は、圧縮気体の一例である。圧縮気体としては、窒素、炭酸ガス、またはアルゴンなどの不活性気体が用いられてもよい。圧縮空気が導入された噴霧器23は、溶液供給管26を通して溶液タンク25内から原料溶液24を吸い上げる。原料溶液24は、複数の噴霧器23内にそれぞれ導入される。複数の噴霧器23内では、原料溶液24および圧縮空気が混合され、各々のノズルからは、ミスト27が噴霧される。
本実施の形態においては、各々のノズルが、1つのノズルあたり10ml/min以上30ml/min未満の噴霧量となる原料溶液24を、0.2MPa以上0.4MPa以下の噴霧気体圧力(噴霧圧力)となるように噴霧する。キャリアガス導入口22Aから導入されたキャリアガス(矢印AR2)は、噴霧成膜装置22の内部でキャリアガス供給口22Bにまで案内され、各々のノズルの近傍に供給される(矢印AR3)。
各々のノズルから噴霧されたミスト27は、このキャリアガス(矢印AR3)(圧縮空気)と混合されて、このキャリアガスとともにガラス基板70の被成膜面72に向けてほぼ垂直(噴射角度θ1は75°以上90°以下である)に運搬される。上記のキャリアガス(矢印AR3)は、噴霧器23のノズルから噴霧されたミスト27を、ガラス基板70の被成膜面72に搬送するのをサポートするために導入されるものである。このようなキャリアガスとしては、たとえば窒素、酸素、水素、およびこれらの混合ガスを用いることができる。
噴霧器23のノズルとガラス基板70の被成膜面72との間の距離を150mm以上300mm以下に設定すれば、熱対流に起因するガラス基板70からの上昇気流の影響を受けることがない。ミスト27の流速が衰えることなく、ガラス基板70の被成膜面72においては、噴霧器23による垂直方向に流れるミスト27(矢印AR4)の成膜に加え、水平方向に流れるミスト27(矢印AR5)によっても成膜がなされる。この際、ミスト27を噴霧して透明導電膜を成膜する際、ガラス基板70の温度が480℃以上600℃以下となるように、ガラス基板70は加熱部21によって加熱されているとよい。透明導電膜を成膜する際、ガラス基板70は噴霧器23に対して走査されてもよいし、停止していてもよい。
成膜されなかった余剰なミスト27は、余剰ミスト導入口22Dに導入され、余剰ミスト排気口22Eから排出される(矢印AR6)。余剰ミスト排気口22Eから排出されたミストは、除害装置(図示せず)を通して外部に放出される。キャリアガス導入口22Aを通して噴霧成膜装置22に導入されるキャリアガスの流量、および、余剰ミスト排気口22Eを通して噴霧成膜装置22から排出されるキャリアガスの流量は、適宜設定することができる。
以上のように構成される噴霧成膜装置22を用いた薄膜成膜方法によれば、ミスト法を使用して透明導電膜を成膜する際、透明導電膜をより均一に成膜し、透明導電膜が成膜された被成膜物の特性を向上させることが可能となる。
[実施例および比較例]
図13を参照して、上述の実施の形態に関する実施例およびその比較例について説明する。上述の実施の形態における薄膜成膜装置100を用いてガラス基板上に透明導電膜を成膜した。噴霧器23としては、10個の2流体スプレーノズルを準備し、ガラス基板の搬送方向に対して直交する方向(幅方向)に沿って、幅方向の噴霧量が均一になるように120mmピッチでこれらを配列した。
これらのスプレーノズルを用いて1000mm×1400mm□の大きさを有する基板に対して、透明導電膜を成膜した。基板の搬送速度は、2.8m/minの一定値である。原料溶液24としては、0.9mol/LのSnCl・5HOと、0.3mol/LのNHFとを含み、30体積%のHClと2.5体積%のメタノールとを含む水溶液を用いた。この水溶液の沸点は、約70℃程度であった。
図13は、実験番号1〜23におけるその他の実験条件と、各実験結果とを示している。実験番号のNo1,2,5,6,7,11,12,13,16,17,20,21,22は、実施例に相当する。実験番号のNo3,4,8,9,10,14,15,18,19,23は、各実施例に対する比較例である。
実験番号No.1〜3は、2流体スプレーノズルの噴射角度θ1による効果を明確にするために検討した結果である。噴霧器23がガラス基板70の被成膜面72に対して垂直である場合(噴射角度θ1=90°の場合)、最も安定した結果となった。噴射角度θ1を70°以下にすると抵抗値が悪くなり、太陽電池としての特性が悪くなっていた。噴射角度θ1は、75°以上90°以下であるとよく、90°であることがより好ましいことがわかる。
実験番号No.4〜9は、ガラス基板70の被成膜面72と噴霧器23のノズル23Nとの間の噴霧距離Lによる効果を明確にするために検討した結果である。噴霧距離Lを100mm以下に近づけると塗布ムラが発生し、噴霧距離Lが350mm以上では抵抗値が高く、太陽電池としての特性も悪くなっていた。噴霧距離Lは、150mm以上300mm以下であるとよいことがわかる。
実験番号No.10〜14は、原料溶液の噴射量による効果を明確にするために検討した結果である。原料溶液の噴射量が80ml/min以下の場合(1ノズルあたりの噴射量が8ml/min以下の場合)では、抵抗値が高く、原料溶液の噴射量が300ml/min以上の場合(1ノズルあたりの噴射量が30ml/min以上の場合)では、透過率が低い結果となった。タクトタイムを維持するためには、原料溶液の噴射量が100ml/min以上(1ノズルあたりの噴射量が10ml/min以上)であるとよく、特に150ml/min以上(1ノズルあたりの噴射量が15ml/min以上)が好ましいことがわかる。
実験番号No.15〜19は、噴霧気体圧力による効果を明確にするために検討した結果である。噴霧気体圧力が0.1MPa以下ではヘイズ率が低く、また抵抗値も大きい結果となった。0.5MPa以上では所望の値より、透過率が低く、安定した塗布膜が得られない結果となった。噴霧気体圧力は、0.2MPa以上0.4MPa以下であるとよいことがわかる。
実験番号No.19〜23は、成膜温度(成膜時のガラス基板70の温度)による効果を明確にするために検討した結果である。成膜温度が460℃以下では熱分解による成膜が完全には行われずにヘイズ率、抵抗値が所望の値より大きい結果となった。600℃以上でも同様の結果となった。成膜温度(成膜時のガラス基板70の温度)は、480℃以上600℃以下であるとよいことがわかる。
以上の実施例からも、上述の実施の形態における噴霧成膜装置22を用いた薄膜成膜方法によれば、ミスト法を使用して透明導電膜を成膜する際、透明導電膜をより均一に成膜し、透明導電膜が成膜された被成膜物の特性を向上させることが可能となることがわかる。
以上、本発明に基づいた各実施の形態および各実施例について説明したが、今回開示された各実施の形態および各実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 第1噴霧ボックス、11,13,15,21 加熱部、12 加熱処理室、14 再加熱処理室、16 除冷処理室、17 搬送ベルト、18 駆動装置、19 載置台、20 第2噴霧ボックス、21H 開口、22 噴霧成膜装置、22A キャリアガス導入口、22B キャリアガス供給口、22C 噴霧口、22D 余剰ミスト導入口、22E 余剰ミスト排気口、23 噴霧器、23N ノズル、24 原料溶液、25 溶液タンク、26 溶液供給管、27 ミスト、70 ガラス基板、72 被成膜面、80,80A 冷却手段、81 配管、82 導入口、83 排出口、84 熱交換媒体、85 ファン、100 薄膜成膜装置、AR1,AR2,AR3,AR4,AR5,AR6,DR1,DR2 矢印、L 噴霧距離、P ピッチ。

Claims (2)

  1. ガラス基板の被成膜面上に透明導電膜を成膜する薄膜成膜方法であって、
    複数の噴霧器内に原料溶液および圧縮気体を導入する工程と、
    前記ガラス基板を加熱する工程と、
    前記原料溶液および前記圧縮気体が混合されることにより得られたミストを複数の前記噴霧器の各々のノズルから前記被成膜面に向けて噴霧する工程と、を備え、
    前記ミストを噴霧する工程では、
    各々の前記ノズルの前記被成膜面に対する噴射角度は75°以上90°以下であり、
    各々の前記ノズルと前記被成膜面との間の噴霧距離は150mm以上300mm以下であり、
    各々の前記ノズルは、1つの前記ノズルあたり10ml/min以上30ml/min未満の噴霧量となる前記原料溶液を、0.2MPa以上0.4MPa以下の噴霧気体圧力で噴霧する、
    薄膜成膜方法。
  2. 前記ミストを噴霧する工程では、前記ガラス基板の温度は480℃以上600℃以下に加熱されている、
    請求項1に記載の薄膜成膜方法。
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JP2018142637A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 株式会社Flosfia 処理方法

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