JP4597426B2 - 蒸気加硫装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は未加硫物を蒸気で加硫するものに関し、特に未加硫物の全体が均一な所定温度で加熱され、その結果、未加硫物の全体を均一に加硫することのできる蒸気加硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の蒸気加硫装置として、例えばゴムロールを加硫するものが特開昭50−3483号公報に示されている。これは、ゴム原料を圧延してシート状にし、心材のまわりに積層した後、心材の内部にパイプ5,12から熱蒸気を供給して加硫するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものでは、心材の空胴内にただ単にパイプを通して熱蒸気を供給するものであるために、心材の空胴の全体に且つ均一に熱蒸気が行き渡らず、未加硫物の全体を均一に加硫できない問題があった。特に、空胴部の容積が大きな場合や形状が複雑な場合は、熱蒸気が全体に且つ均一に行き渡らないことが多い。
【0004】
従って本発明の課題は、容器の大きさや形状がどのようなものであっても、容器の全体に且つ均一に蒸気を供給できるようにして、未加硫物の全体を均一に加硫することのできる蒸気加硫装置を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は、ゴムの未加硫物を密閉状容器内に配置し、当該容器内に蒸気を供給して未加硫物を加硫するものにおいて、蒸気供給管に蒸気エゼクタを接続して、当該蒸気エゼクタの出口側を密閉状容器内と連通し、蒸気エゼクタの吸引室を密閉状容器内と連通することによって、蒸気エゼクタで密閉状容器内の流体の一部を吸引して蒸気と共に容器内に供給することにより、蒸気エゼクタの吸引室へ向けて容器内の蒸気を含む流体の対流を促進させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
密閉状容器内と連通した吸引室を有する蒸気エゼクタを配設したことにより、この蒸気エゼクタで容器内の蒸気を含む流体を吸引して蒸気と混合させて容器内に供給することによって、蒸気エゼクタの吸引室へ向けて蒸気を含む流体を対流させることができる。
【0007】
蒸気を含む流体が対流することによって、容器内の全体に且つ均一に蒸気が行き渡り、未加硫物の全体を均一に加硫することができる。
【0008】
【実施例】
本実施例においては、蒸気と共に空気を供給して加硫する例を説明する。図1において、密閉状容器としての加硫缶1と蒸気供給管2と圧縮空気供給管3、及び、蒸気エゼクタ20とで蒸気加硫装置を構成する。
【0009】
加硫缶1は、横長円筒状で内部に図示しないゴムロール等の未加硫物を戴置する棚4を取り付ける。加硫缶1の側部には一部球形状の蓋5を開閉自在に取り付ける。加硫開始時に蓋5を開いて棚4の上に未加硫物を戴置するものである。
【0010】
加硫缶1の上方に蒸気供給管2と接続した蒸気エゼクタ20を配設する。蒸気エゼクタ20は、内部にノズルを内蔵した吸引室21とディフューザ22とで構成する。ディフューザ22の出口側は出口管23によって加硫缶1内と連通する。吸引室21と加硫缶1の内部を、連通管24で連通する。
【0011】
蒸気供給管2から蒸気エゼクタ20に供給される蒸気が、吸引室21内のノズルを通過して連通管24を介して加硫缶1内の流体を吸引して、蒸気と混合してディフューザ22及び出口管23から加硫缶1内に供給される。
【0012】
本実施例においては、出口管23を加硫缶1内に1本だけ接続した例を示したが、加硫缶1内の全体に蒸気が行き渡り易くするために、複数本の出口管23を接続することもできる。
【0013】
また本実施例においては、蒸気エゼクタ20の吸引室21と加硫缶1内を連通する連通管24を1本だけ用いた例を示したが、連通管24を複数本として加硫缶1の複数箇所と吸引室21を連通することによって、加硫缶1内の蒸気と圧縮空気の対流を更に促進することもできる。連通管24と出口管23を加硫缶1の内部まで延長して連通することもできる。
【0014】
加硫缶1の上部には蒸気供給管2と圧縮空気供給管3を接続する。蒸気供給管2はバルブ6と調節弁7を介して蒸気エゼクタ20と接続し、圧縮空気供給管3はバルブ9と調節弁10を介して加硫缶1内と接続する。
【0015】
加硫缶1の上部には、内部の圧力を検出する圧力センサ12と、温度を検出する温度センサ13を取り付ける。圧力センサ12は図示しない圧力コントローラを介して調節弁7,10と電気的に接続する。それぞれの調節弁7,10は弁開度を大きくしたり、あるいは、小さくすることによって、蒸気や圧縮空気の通過量を調節してそれぞれの分圧を任意に制御することができるものである。
【0016】
温度センサ13は同じく図示しない温度コントローラを介して調節弁7と電気的に接続する。蒸気すなわち飽和蒸気の場合は、その圧力と温度は一義的に定まるために、蒸気の圧力を所定値に制御すれば温度も所定値に維持できる。従って、本実施例においては、温度センサ13は補助的に使用するものであり必ずしも必要ではない。
【0017】
加硫缶1の右側部にはバルブ14を介して大気連通管15を接続する。また、加硫缶1の下部には、蒸気が凝縮した復水を外部に排除するための復水排除管16を接続する。復水排除管16にはバルブ17と、復水だけを出口側に排出するスチームトラップ18を並列に取り付ける。
【0018】
棚4上に戴置した図示しないゴムロール等の未加硫物を加硫する場合、まず、圧縮空気供給管3から調節弁10を介して加硫缶1の内部に所定圧力、例えば3.2KGの圧縮空気を供給する。加硫缶1内部の圧縮空気圧力が3.2KGに到達すると、続いて蒸気供給管2と調節弁7と蒸気エゼクタ20を介して所定圧力、例えば5.0KGの蒸気を供給することによって、加硫缶1の内部には圧縮空気との圧力差に基づく1.8KGの蒸気が注入される。
【0019】
3.2KGの圧縮空気と1.8KGの蒸気を供給することによって、加硫缶1内の圧力は5.0KGとなる。5.0KGとなった時点でバルブ9を閉弁して圧縮空気の供給は停止する。一方、蒸気の供給は、加硫缶1内の圧力が5.0KGを維持するように継続して行うことによって、1.8KGの飽和蒸気の温度は130度Cであるために、加硫缶1内の未加硫物は5.0KG、130度Cの圧力、温度条件で、且つ、未加硫物と蒸気が直接接触して加硫される。
【0020】
蒸気エゼクタ20に蒸気供給管2から蒸気が供給されると、連通管24を介して吸引室21で加硫缶1内の蒸気と圧縮空気の混合流体を吸引して、供給された蒸気と混合されて出口管23から加硫缶1内に供給される。このように、加硫缶1内の蒸気と圧縮空気が蒸気エゼクタ20に吸引されることによって、加硫缶1内で蒸気と圧縮空気の対流が促進され、缶1内の全体に蒸気が行き渡る。
【0021】
本実施例のように、蒸気と圧縮空気を加硫缶1内に供給して加硫を行う場合は、しばらく時間が経つと、蒸気と圧縮空気が分離して加硫缶1内の温度のバラツキが更に大きくなるが、蒸気エゼクタ20で対流を促進することによって、蒸気と圧縮空気を攪拌して混合させることができ、加硫缶1内の温度分布のバラツキをより小さなものとすることができる。
【0022】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、蒸気エゼクタで容器内の蒸気の混合流体を対流させることによって、容器の大きさや形状がどのようなものであっても全体に且つ均一に蒸気を供給でき、未加硫物の全体を均一に加硫することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気加硫装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
1 加硫缶
2 蒸気供給管
3 圧縮空気供給管
7 調節弁
10 調節弁
12 圧力センサ
13 温度センサ
16 復水排除管
20 蒸気エゼクタ
21 吸引室
22 ディフューザ
23 出口管
24 連通管
Claims (1)
- ゴムの未加硫物を密閉状容器内に配置し、当該容器内に蒸気を供給して未加硫物を加硫するものにおいて、蒸気供給管に蒸気エゼクタを接続して、当該蒸気エゼクタの出口側を密閉状容器内と連通し、蒸気エゼクタの吸引室を密閉状容器内と連通することによって、蒸気エゼクタで密閉状容器内の流体の一部を吸引して蒸気と共に容器内に供給することにより、蒸気エゼクタの吸引室へ向けて容器内の蒸気を含む流体の対流を促進させることを特徴とする蒸気加硫装置。
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