JP4597397B2 - 包装用袋用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥剤、脱臭剤、芳香剤、ティーバッグ、麦茶パック等の用途に使用されるヒートシール可能な包装用袋用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乾燥剤、脱臭剤、芳香剤、ティーバッグ、麦茶パック等の用途として、ヒートシール性を有さない表層と、ヒートシール性を有する裏層とを積層一体化した複層構成の包装用袋用紙が知られている。
【0003】
これら複層構成を有する用紙は、表層にヒートシール性を有しないLBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガスなどの非木材繊維、合成繊維を単独で若しくは複数種組み合わせて使用され、裏層には、ヒートシール性を有する比較的融点の低い繊維、たとえばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系熱可塑性繊維を単独で若しくは複数種組み合わせたものが使用されている。
【0004】
これら複層構成の用紙は、包装用袋用紙として裏面同士を対面させ、表面側から所定の部位に加熱溶着、いわゆるヒートシールを施すことで、ヒートシール自動製袋機にて容易にかつ効率的に充填物の袋詰めが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のヒートシール自動製袋機の高速化に伴い、高速でヒートシールを施した場合、ヒートシール部位への熱不足による接着強度の低下、熱過剰によるヒートシール部の剥がれや傷みの問題が生じ、自動製袋機の速度アップの妨げとなっている。
【0006】
熱不足や熱過剰の問題に対応するため、同一の繊維内に低融点と高融点成分を有する、芯鞘型複合繊維、偏心型複合繊維等のバインダー繊維と称される熱可塑性の繊維を使用し、低温接着を可能にすることで加工温度の巾を広げると共に、最低加工温度を下げる試みが行なわれている。
【0007】
しかし、従来のポリオレフィン系繊維のポリプロピレン繊維等を主体とした構成では比熱が高く、ホットタック性が低いためシールバーにより溶融された後に再度冷却されシール部の接着が安定化するまでに時間が掛かるため、冷却途中の接着未安定状態で内容物の荷重によりシール部が一部剥がれる、いわゆるシールダレと称される問題が生じ、接着強度不足や見た目の悪さから著しく商品価値を落とすなどの問題があった。
【0008】
かかる問題を解決するため、自動製袋機のヒートシール直後に急速に冷却する冷風装置の設置等の方策を取っているが十分ではなく、より良い解決策が求められている。
【0009】
近年では、比熱が低くホットタック性の高いポリエステル系共重合体を鞘成分としたヒートシール性を有する合成繊維を使用した自動充填用の2層構造包装用袋用紙が開発されている。
【0010】
このシートは、比熱が低くホットタック性が高いため、合成繊維が溶融した後冷却され接着が完了されるまでの時間が早く、高速充填と低温度設定の両方を満たすものである。
【0011】
しかしながら、同ポリエステル系共重合体を鞘成分としたヒートシール性を有する合成繊維は、融点の低さから、熱水抽出用途、特に麦茶、漢方茶等の煮沸して使用される用途に対しては十分な耐熱性を有しておらず、煮沸途中でヒートシール部が剥がれる問題が発生することがあるため、広範囲な使用には供せず用途が限定されてしまう難点があった。
【0012】
さらに製袋された袋は数段の高さに集積して移動され、自動包装機にてガゼット袋に充填し包装される。移動中もしくはガゼット袋への押し込みの際、集積した上部の袋がずれてしまい、ガゼット袋の中で中折れしたり、包装不能となる難点があった。
【0013】
そこで本発明の課題は、自動製袋機にて高速でヒートシールを行ってもホットタック性に優れ、シールダレを起こさないとともに、煮沸等の高温水での使用においてもヒートシール強度を維持する耐熱性を有しており、かつ製袋加工性及び自動包装機での集積性に優れた包装用袋用紙を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、天然系繊維を主成分とする表層と、ヒートシール性を有する少なくとも2種以上の合成繊維を含有する裏層とからなる複層構成のヒートシール可能な包装用袋用紙において、前記表層の静摩擦力と動摩擦力の平均が4.5N以上となるよう無機填料を1重量%以上含有し、前記裏層のヒートシール性を有する少なくとも2種以上の合成繊維は、ポリエステル芯鞘繊維と、ポリプロピレン繊維又はポリプロピレン芯鞘繊維5重量%以上とを配合して、凝固熱量が35mJ/mg〜59mJ/mgの範囲となるように配合成分を調整したことを特徴とする包装用袋用紙が提供される。この場合、前記表層に使用する無機填料として、アパタイト、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク、焼成クレー、炭酸カルシウムおよび活性アルミナからなる群より選ばれた1種または2種以上が使用可能とされるが、これらの中で少量の含有量で摩擦力が向上するアパタイトが最も望ましい。前記無機填料は、より好適には静摩擦力と動摩擦力の平均が4.5〜6.7Nとなるように1〜5重量%含有されていることが望ましい。
【0015】
一方、前記ポリプロピレン繊維又はポリプロピレン芯鞘繊維と比べて融点が相対的に高い200℃以上の融点を示すポリエステル繊維及びアクリル繊維の少なくとも一方を、前記表層に配合した方が望ましい。
【0016】
本発明者は、表層の物性値として、無機填料を含有することにより、表面の摩擦力が増加し、自動包装機での集積性が向上することを見出すとともに、ヒートシール性を有する裏層の物性値として、複数の合成繊維の成分比を調整し凝固熱量を所定の数値範囲内に調整することによって、高速でのホットタック性および煮沸耐熱性等に優れた包装用袋用紙とすることができることを見出し本発明に至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明では、表層に無機填料(例、アパタイト、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク、焼成クレー、炭酸カルシウム、活性アルミナ等)の1種または2種以上を含有することにより、表層の摩擦力が向上し、重なりあった袋同士の滑りが抑制され、自動包装機での集積性の向上を図り得るようになる。本発明者が行った後述の実験によれば、無機填料を1重量%以上含有することにより、表面の摩擦力を4.5N以上とすることが可能となる。摩擦力は無機填料の含有量に相関して増加するが、逆に含有量が6重量%以上となり表面の摩擦力が6.7N以上になると、層を形成している繊維間結合が低下して煮沸耐熱性が落ちるため、袋が破袋する。
【0018】
一方本発明では、裏層のヒートシール性を有する少なくとも2種の合成繊維の成分を調整することにより凝固熱量を30mJ/mg〜90mJ/mgの範囲とする。凝固熱量は熱融着繊維量に相関し、前記数値範囲内とすることで過不足なく適正なシール強度を確保できるようになり、後述の実施例に示すように、自動製袋機にて高速でヒートシールを行っても、ヒートシール部が充填物の荷重により一部が剥がれることが無くなりシールダレにより商品価値を落とす事が無くなるとともに、ヒートシール強度を維持する煮沸耐熱性が確保されるようになるため、使用用途に限定の必要が無く広範囲に使用可能となる。
【0019】
また、従来のポリプロピレン繊維等を主体としたものよりも比熱を小さくできる。比熱が低くなると、溶融時に必要とされる熱量も少なくて済むようになり加工速度アップ、加工温度の低温設定化ができるため、生産性及び機械の傷みや消費電力を極力抑えることが可能になる。また、自動充填時のヒートシールの際、溶融後冷却しシート内に含まれる熱可塑性繊維の接着が完了するまでの時間が早くなるため、高速充填性が良好になり製袋加工性に優れたものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながらさらに詳説する。
図1に、本発明の通気性及び通液性を有するヒートシールシート1の例を示す。前記通気性及び通液性を有するヒートシールシート1は、熱により溶融しない天然系繊維を主体とする表層2と、少なくとも2種以上の熱可塑性合成繊維を含有し自動充填機のヒートシール温度で熱接着できる裏層3との二層積層構造となっている。
【0021】
前記熱接着しない天然系繊維を主体とする表層2としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、麻パルプ、竹パルプ、藁パルプ、三椏、楮等の天然繊維原料または、熱可塑性でないレーヨン繊維、ビニロン繊維等を用いることができる。また、200℃以上の比較的融点の高いポリエステル繊維、アクリル繊維等を含有していてもよい。200℃未満の合成繊維の使用は、シーラーと直接接触する表層2の一部が溶融してしまい、シーラーが汚れるため好ましくない。また、前記表層2は比較的湿潤強度が確保されづらいので、ポリアミドエピクロルヒドリンなどの架橋剤を使用するようにしてもよい。
【0022】
また、前記表層2には、アパタイト、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク、焼成クレー、炭酸カルシウム、活性アルミナ等からなる群より選ばれた無機填料の1種または2種以上を1重量%以上含有し、表面の摩擦力(静摩擦力と動摩擦力の平均)を4.5N以上とすることにより、重なりあった袋同士の滑りが抑制され、自動包装機での集積性の向上を図り得るようになる。表面摩擦力は無機填料の含有量に相関して増加するが、表面摩擦力が大きくなり過ぎると、層を形成している繊維間の結合が低下して煮沸耐熱性が落ちるため、袋が破袋する。したがって、前記無機填料は1〜5重量%とし表面摩擦力を4.5〜6.7Nとするのが望ましい。
【0023】
一方、前記裏層3のヒートシール可能な合成繊維含有層には、天然系繊維、ポリエチレン系合成パルプ、ポリプロピレン系合成パルプ等と共に、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル系共重合体を有する芯鞘構造繊維、ポリオレフィン系芯鞘構造繊維、ポリエステル系とポリオレフィン系からなる芯鞘繊維等の熱可塑性繊維が使用される。
【0024】
これらの熱可塑性繊維群の内、2種以上の熱可塑性繊維が任意の選択により組合せられ、かつその構成比を調整することにより、その凝固熱量が30mJ/mg〜90mJ/mgの範囲になるように調整される。凝固熱量が30mJ/mg未満の場合は煮沸時の耐熱性に問題が生じ、凝固熱量が90mJ/mgを超える場合はシールダレの問題が生じるようになる。
【0025】
前記裏層3には、好ましくは耐熱性を向上させるため、融点が110℃以上のポリオレフィン系繊維を5重量%以上配合することが望ましい。配合量が5重量%未満では、耐熱性の向上効果が発現しにくい問題があり、110℃未満のポリオレフィン系繊維では融点が低いため自動製袋機での高速充填性は良好となるが、煮沸時のシール強度が確保されなくなるなどの問題が生じる。
【0026】
また、ポリオレフィン系以外の繊維は、融点が相対的に高くなるため、ヒートシールに時間が掛かるようになり自動製袋機での高速化の要請に応えることが出来なくなってしまうという問題が生じるため、前記裏層3に使用される複数の熱可塑性繊維の内の少なくとも1つの合成繊維には、ポリオレフィン系繊維を使用することが好ましい。
【0027】
かくして、裏層3の凝固熱量を30mJ/mg〜90mJ/mgの範囲に調整することにより、自動充填機での製袋の際にシールダレが起きて商品価値を無くすことが無いとともに、煮沸に対しても十分なシール強度が確保されるようになる。
【0028】
また、融点が110℃以上のポリオレフィン系繊維が5重量%以上配合されているため煮沸に耐える耐熱性を有するヒートシールシートを得ることができる。
【0029】
ところで、たとえばホットタック性の高いポリエステル系共重合体を有する芯鞘構造などのバインダー繊維と称される熱可塑性繊維を配合した場合、ホットタック性の高さから熱可塑性樹脂が溶融して表層2の天然繊維層を通過してシールバーを徐々に汚してしまうことが減少し、十分なシール強度を保ったまま、長時間安定的に製袋加工を行なうことができるようになる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例および比較例について、静摩擦力(縦、横)・動摩擦力(縦、横)の測定結果およびその平均摩擦力(摩擦強度)、シール強度、シールダレの有無、煮沸耐熱性、集積性、製袋適性について試験を行った結果を表1に示す。
【0031】
なお、実施例および比較例に供する包装用袋用紙は、湿式抄紙法により表層、裏層を積層して一体化した後、加熱ローラーによって熱可塑性繊維を溶融し、シート化した物を裏層同士を対面させヒートシール化した試料を使用した。
【0032】
【表1】
【0033】
<評価方法>
(1)摩擦強度
JIS P 8147に定められる「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」の測定方法に準じて評価したが、試験片の面積は60cm2、重り1kgf、圧力16gf/cm2とした。評価は4.5N未満を×、4.5N以上を○として判定した。
(2)シール強度
JIS Z 0238に定められる「密封軟包装袋のヒートシール強度試験」測定方法に準じて評価したが、試験片の巾は15mm、シール巾は15mm×10mmとし、シール温度は140℃、160℃、圧力は3kg/cm2とした。評価は、150gf/15mm以下を×、150gf/15mm以上を○として判定した。
シールダレの有無:シールダレの有無は実際の高速製袋機において、製袋を行ないシールダレが発生しないかどうかを確認し、発生した場合は×、発生しない場合は○として判定した。実機製袋機はトパック製のロータリー式自動充填機を使用した。
(3)煮沸耐熱性
煮沸による耐熱性は、市販の2Lのヤカンに1Lの水道水を入れ、実機製袋機にて麦茶を10g充填し、11cm×8cmの袋にしたパックを入れ蓋をした後、プロパンガスを使用したガスコンロに掛け、火を付けて沸騰をし始めた(95℃〜98℃)時点から10分間蓋をしたまま煮沸し続け、火を消し、袋を取り出したのち、シール部分の剥がれが発生したかどうかを確認する。シール部が完全に剥がれ中身が出た場合、若しくは中身は出ていないがシール部の一部に剥がれが見られる場合は×、シール部の剥がれが全く見られない場合は○とする。
(4)集積性
実機製袋機の自動包装工程において、移動中もしくはガゼット袋への押し込みの際、集積した上部の袋がずれてしまい、ガゼット袋の中で中折れしたり、包装不能となった場合は×、問題が無い場合は○とする。
(5)製袋適性
実機製袋機において、シールバーの汚れ等の問題が発生した場合は×、問題が無い場合は○とする。
【0034】
表1より、本発明の実施例がすべての項目について○の評価となったのに対して、比較例はいずれかの項目で×の評価がある結果となった。
したがって、本発明表1の実施例1〜4に係るヒートシールシートは、直接熱湯を注いで煎じるお茶、コーヒー等の抽出用自動充填機に対する適性はもちろんのこと、熱水抽出用途、特に麦茶、漢方茶等の煮沸して使用される用途に対しても十分な耐熱性を有し、かつシールダレによる商品価値を落とすことが無く自動包装機での集積性に優れるため、生産性が向上する。
【0035】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、シール強度等の基本的なパック適性はもちろんのこと、シールバーを汚さない等の製袋加工適性に加え、シールダレを起こさない、接着強度不足が無くなる、見た目が良好になるなど商品価値を落とさない優れたものとなる。また、麦茶、漢方茶等の煮沸して使用される用途に対しても十分な耐熱性を有し、製袋後の包装工程においても集積性に優れた、使用用途に限定のないものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヒートシールシートの断面図である。
【符号の説明】
1…ヒートシールシート、2…表層(天然系繊維主体層)、3…裏層(ヒートシール層)。
Claims (4)
- 天然系繊維を主成分とする表層と、ヒートシール性を有する少なくとも2種以上の合成繊維を含有する裏層とからなる複層構成のヒートシール可能な包装用袋用紙において、
前記表層の静摩擦力と動摩擦力の平均が4.5N以上となるよう無機填料を1重量%以上含有し、前記裏層のヒートシール性を有する少なくとも2種以上の合成繊維は、ポリエステル芯鞘繊維と、ポリプロピレン繊維又はポリプロピレン芯鞘繊維5重量%以上とを配合して、凝固熱量が35mJ/mg〜59mJ/mgの範囲となるように配合成分を調整したことを特徴とする包装用袋用紙。 - 前記無機填料は、アパタイト、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク、焼成クレー、炭酸カルシウムおよび活性アルミナからなる群より選ばれた1種または2種以上が使用されている請求項1記載の包装用袋用紙。
- 前記無機填料は、静摩擦力と動摩擦力の平均が4.5〜6.7Nとなるように1〜5重量%含有されている請求項1、2いずれかに記載の包装用袋用紙。
- 前記ポリプロピレン繊維又はポリプロピレン芯鞘繊維と比べて融点が相対的に高い200℃以上の融点を示すポリエステル繊維及びアクリル繊維の少なくとも一方を、前記表層に配合した、請求項1記載の包装用袋用紙。
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