JP4597312B2 - 制御モータ及び該制御モータの速度制御装置の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子が、モータフレームの内側に固定状態で取り付けられる制御モータ、及び該制御モータの速度を制御する速度制御装置の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子が、モータフレームの内側に固定状態で取り付けられる制御モータは、例えば、誘導型モータや同期回転型(シンクロナス型)モータ、直流モータ、ステッピングモータ等で知られているように、数多くの種類が存在する。
【0003】
これらの制御モータは、例えばインバータ装置のような周波数制御による速度制御、電圧・電流制御、あるいはこれらを組合せた制御によって、回転速度やトルクが変更できるようになっているものも多い。この速度制御を行う装置は、制御モータとは離れた場所に設置されるのが一般的であり、この場合、この速度制御装置と制御モータとが長い配線(ケーブル)を経て接続される。これは、近年の省スペース化の要求により相手側機械の制御モータ取付空間が狭くなっており、制御モータの周囲に速度制御装置を設置する空間が十分に得られないことも原因の1つであるが、最大の原因は、自身の電気回路(スイッチング素子)等が発熱するこの種の速度制御装置はこの自身の熱によって損傷を受け易く、十分に放熱させるためには、高温状態の制御モータから離隔させる必要があるからである。又、仮に制御モータに速度制御装置を近接させる場合には、別途ファン等によって強制的に速度制御装置を冷却(放熱)することが必要と考えられ、製造コスト及び効率等を考慮すると非合理的であった。
【0004】
しかしながら、制御モータと速度制御装置とが離れて配置されると、これらの間を配線する必要があり、更に、速度制御装置専用の取付場所をモータとは別に確保しなければならず、制御モータの使用者にとっては必ずしも便利とは言えなかった。その点を考慮して、例えば特開平9−65596号公報に開示されているように、制御モータと速度制御装置とを一体状態とし、更に速度制御装置を十分に放熱可能としたものが近年提案されている。これを図面を参照して簡単に説明する。
【0005】
図7及び図8は、この種の速度制御装置付きの制御モータ1を示している。この制御モータ1は、モータ軸19に取り付けられる回転子19aの周囲に配置される固定子19bが、モータフレーム10の内側に固定状態で取り付けられており、このモータフレーム10の外周に、インバータケース12に収容されたインバータ装置(速度制御装置)11が密着状態で設置されている。このインバータ装置11は、周波数制御によって制御モータ1の回転速度を制御する。
【0006】
モータフレーム10及びインバータケース12は、熱伝動性の良好な材料、ここではアルミニウム合金で構成され、更に、モータフレーム10にはヒートシンク10aが形成されている。従って、これらによりインバータ装置11の熱が効果的に放出されるようになっている。この構造であれば、制御モータ1とインバータ装置11とが当初から一体になっているので、相手側機械への組付けが容易になり、インバータ装置11から制御モータ1までの配線の手間が省略される。このインバータ装置付きの制御モータ1は、これを採用する設計者や、実際に組み付ける作業者等にとって大変便利であり、現在もこの種の構造の制御モータ1が数多く市場に出回っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このインバータ装置付き制御モータ1は、モータフレーム10の外周にインバータ装置11が突出した状態で設置されているので、モータ取付用の空間がインバータ装置11の分だけ余分に必要であった。従って、制御モータ1自体は近年大幅に小型化されているものの、インバータ装置11が障害となってそのメリットを十分に生かし切れていなかった。
【0008】
又、このインバータ付きの制御モータ1は、モータフレーム10が既に備えているヒートシンクを利用して、インバータ装置11を同時に放熱する構造であり、現状では十分な冷却効果が得られている。しかし、一方で、発熱し易い固定子19bや回転子19aに極めて近い位置に配置されているので、更なる冷却(放熱)効果を期待するには構造上限界があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、大幅にコンパクト化が図られると共に、十分な冷却効果を得ることができる速度制御装置の取付構造を得ることを目的とし、又他の目的としては、このような取付構造が適用されている制御モータを得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子が、モータフレームの内側に固定状態で取り付けられる制御モータの速度を、周波数制御等によって制御する、制御モータの速度制御装置の取付構造において、前記モータフレームの反出力側を延長して筒状に形成され、自身の内部に前記速度制御装置を収容すると共に前記制御モータが組み付けられる外部部材に組み付け可能とされた拡張部と、該拡張部の反出力側を被うと共に前記速度制御装置を保持し、且つ前記外部部材から独立して取り外し可能に構成された保持部材と、を備え、前記外部部材に前記拡張部が組み付けられた状態で、前記保持部材を介して前記速度制御装置が組み付け・取り外し可能とされ、且つ該保持部材を介して前記速度制御装置の熱が前記外部部材側に放出される構成としたことにより、上記目的を達成するものである。
【0011】
このようにすると、(モータフレームの)拡張部の内部に、例えばインバータ装置等の速度制御装置が収容されて外部(半径方向外側)に突出しないので、狭い空間に制御モータを取り付けることが可能になる。一般にモータを相手部材に取付ける場合、(後述のローラモータのようなものなど)モータの軸方向には比較的余裕スペースがあるが、半径方向にはそのようなスペースがないことが多く、従ってこの利点は実用上非常に大きい。
【0012】
更に、上記拡張部内に速度制御装置を収容したことで、モータフレームにおける固定子から比較的離れた位置にある(低温の)速度制御装置の保持部材を放熱板として利用可能になるので、十分な放熱効果を得ることが出来る。即ち、省スペース化と高い放熱効果の双方を合理的に両立させた構造になっている。
また、外部部材に拡張部(制御モータ)が組み付けられた状態で、保持部材を介して速度制御装置が組み付け・取り外し可能とされていることから、速度制御装置のみを制御モータとは独立して交換・修理等することができる。したがって、特に、制御モータ(モータフレーム)が既に高精度に位置決め固定されており、相手機械側から取り外したくない(又は、取り外すことができない)場合でも、その状態を維持したまま速度制御装置のみを修繕できる。
【0013】
なお、上記速度制御装置とは、例えばモータを周波数制御するインバータ装置等を含むものであり、自身が発熱しやすく且つその熱を放熱(冷却)する必要がある場合に本発明は特に適している。
【0014】
又、上記第1発明においては、速度制御装置を、前記拡張部に接触させることで、該拡張部を介して前記速度制御装置の熱が放出されるようにしても良い。このようにすると、制御モータのモータフレームの放熱効果を利用して速度制御装置の熱が放出される。
【0022】
上記の第1発明においては、モータ軸の反出力側を支持する軸受を、モータ軸の回転角度を検出可能な(公知の)回転センサ付き軸受とし、回転センサ付き軸受の信号が速度制御装置に入力されるように構成することが好ましい。このようにすると、速度制御装置と回転センサが近い位置に配置されるので、配線距離が短縮するとともに、該配線がモータフレーム内に位置するので断線等の心配が無くなる。また、モータ軸方向外付けのエンコーダが不要になるので、拡張部に速度制御装置を収容する場合でも制御モータの軸方向長さが長くならずに済む。
【0023】
なお、速度制御装置によって制御される上記制御モータには、あらゆる種類が存在するが、本発明はその種類の如何に限定されない。しかし、その中でも、回転磁界の回転数とローターの回転数とが定格回転数でほぼ一致する同期回転型モータ(シンクロナス型モータ)であることが好ましい。それは、この同期回転型モータは一般的な誘導モータよりもモータ自身の発熱が少ないため、速度制御装置がその発熱の影響を受けにくいからである。
【0024】
又、速度制御装置が収容される拡張部に該拡張部の内外部を貫通する通気孔を形成し、通気孔を介して拡張部内の熱が外部に放出されるようにすることも好ましい。このようにすると、拡張部内にこもった熱が外部に放出されるので、更なる放熱効果を得ることが出来る。これは特に、拡張部(モータフレーム)の外部環境が清潔である場合、例えば外側が更にモータカバーで覆われていたり、クリーンルーム内で使用する場合等に適している。
【0025】
以上に示した構造のある面は、制御モータ自身にも適用可能であり、それを以下に示す。
【0026】
本第2発明は、速度制御装置によって速度制御が可能であり、モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子がモータフレームの内側に固定状態で取り付けられた制御モータにおいて、前記モータフレームの反出力側を延長して筒状に形成され、自身の内部に前記速度制御装置を収容すると共に前記制御モータが組み付けられる外部部材に組み付け可能とされた拡張部と、該拡張部の反出力側を被うと共に前記速度制御装置を保持し、且つ前記外部部材から独立して取り外し可能に構成された保持部材と、を備え、該拡張部の反出力側端に、前記外部部材に対するモータ取付面が形成されることで該モータ取付面によって前記制御モータが前記外部部材に組み付け可能とされると共に、前記外部部材に前記拡張部が組み付けられた状態で、前記保持部材を介して前記速度制御装置が組み付け・取り外し可能とされ、且つ前記保持部材を介して前記速度制御装置の熱が前記外部部材側に放出される構成としたことにより、上記目的を達成するものである。
【0027】
このようにすると、制御モータが後方に配置される外部部材(後方壁及び第2の後方壁の双方の概念を含む)に固定される際に、その組み付けた状態の拡張部内に速度制御装置を収容できるようになる。従って、外観上は速度制御装置が隠れることになり、シンプルな機械設計を可能にする。しかも、この速度制御装置の熱を放出させるためには、これを上記拡張部に接触させても良く(この場合には、拡張部の外周にヒートシンクを設置しても良い)、外部部材側に速度制御装置を接触させて後方から熱を放出させてもよい。これらは、制御モータの使用者が、外部部材の構造等を検討して任意に判断することになる。なお、外部部材側に速度制御装置を固定できない場合を考慮して、拡張部の内周面に速度制御装置の取付面を形成しておいてもよい。
【0030】
なお、以上に示した制御モータにおいては、更に前記モータ軸の反出力側を支持する軸受を、該モータ軸の回転角度を検出可能な(公知の)回転センサー付き軸受としてもよく、別途エンコーダが不要になって軸方向寸法が短縮される。
【0031】
又、上記制御モータにおいては、その種類を同期回転型モータにする事が好ましく、固定子及び回転子等の発熱が抑制されて、速度制御装置に与える影響が低減される。又更に、拡張部に通気孔を形成して、この通気孔を介して拡張部内の熱が放出されるようにしてもよく、更なる放熱効果を得ることが可能となる。
【0032】
以上に示した制御モータは、特に径方向寸法が大幅に短縮され、外径をほぼ円筒形状にすることも可能になる。従って、例えばモータフレームをローラの胴部とすると共に(ローラの胴部の中に固定する概念を含む)、このローラの胴部(モータフレーム)を回転させることにより、全体としてローラモータとして機能するように構成する事も可能である。このようにすると、従来、インバータ装置との一体化が困難と考えられていたローラモータにおいて、その一体化が実現され、このローラモータを利用すればローラコンベア等を至ってシンプルに構成することが可能になる。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
図1に、本発明の第1実施形態に係る制御モータ20を示す。この制御モータ20は、インバータ装置(速度制御装置)22によってその速度が制御され、モータ軸24に取り付けられる回転子26を回転させる固定子28が、モータフレーム30の内側に固定状態で取り付けられている。
【0035】
このモータ軸24の出力側には、揺動内接噛合遊星歯車構造の減速機32が一体的に配置されており、この制御モータ20はギヤドモータとして機能するようになっている。なお、この減速機32の構成・作用等は一般的に広く知られており、例えば特開平6−50394号公報にも開示されていることから、詳細な説明は省略する。
【0036】
モータフレーム30は円筒状の部材であり、内部に固定子28及び回転子26等が収容されているが、反出力側は後部ケーシング34によって覆われている。この後部ケーシング34には、モータ軸24の反出力側端部を支持する軸受36が嵌入され、更に、モータ軸24の回転を抑制するブレーキ38が反出力側に固定されている。
【0037】
モータフレーム30の反出力側は、軸方向に延長されて円筒状の拡張部40が形成されており、この拡張部40の内部にインバータ装置22の収容空間42が確保されている。更に、この拡張部40の反出力側端には、外部部材(図示略:詳細は後述する)に対するモータ取付面40Aが形成されており、このモータ取付面40Aによって制御モータ20全体が外部部材に固定できるようになっている。なお、この第1実施形態の制御モータ20においては、モータ取付面40Aがフランジ状になっており、ボルトによって外部部材等に連結される。
【0038】
モータ軸24の反出力側を支持する上記の軸受36は、このモータ軸24の回転角度を検出可能な(公知の)回転センサ付き軸受となっており、軸受36からの回転角度信号が伝達されるケーブル36Aが、インバータ装置22に連結可能な状態で配線されている。又、拡張部40には、周方向に一定の間隔で該拡張部40の内外部を貫通する3つの通気孔40Bが形成されており、この通気孔40Bを介して拡張部40の内部の熱が放出されるようになっている。
【0039】
なお、この制御モータ20は同期回転型モータ(シンクロナスモータ)であり、固定子28における回転磁界の回転速度と、回転子26の回転速度(モータ軸24の回転速度)が定格回転数でほぼ同期し、その状態でトルクを発生できるようになっている。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態に係るインバータ装置(速度制御装置)22の取付構造について詳細に説明する。
【0041】
図2に拡大して示されるように、インバータ装置22は拡張部40の内部(収容空間42)に収容される。更に、インバータ装置22は、拡張部40の反出力側を覆う後方壁46に接触しており、インバータ装置22の熱がこの後方壁46に伝達されて外部へ放出されるようになっている。従って、インバータ装置22の熱は後方壁46と通気孔40Bの双方から放出されることになる。
【0042】
具体的に後方壁46は、外部部材48と(後面カバーとしての)インバータ保持部材50とから構成されており、このインバータ保持部材50と外部部材48とは相互に独立している。ただ、両者48、50は、共にモータ取付面40Aに連結されているため、ここでは一応双方共「後方壁」の概念に属するものと定義する。即ち、この実施形態では、外部部材48は、モータ取付面40A及びボルト52を介して拡張部40(制御モータ20)を保持しており、一方インバータ保持部材50は、拡張部40の後方を覆うようにしてボルト54によって固定されている。このインバータ保持部材50には、インバータ装置22がねじ56によって固定されており、インバータ装置22とインバータ保持部材50とが密着するようになっている。
【0043】
従って、インバータ装置22を固定している(後方壁46の一部である)インバータ保持部材50は、外部部材48に対して独立して分割・取外し可能となっている。その結果、後方壁46(外部部材48)に拡張部40が組み付けられた状態で、このインバータ保持部材50を取り外せばインバータ装置22を拡張部40内から取り外すことができる。もちろん、反対にインバータ装置22を組み込むこともできる。
【0044】
図1に示した制御モータ20によれば、後方に配置される外部部材48(例えば、モータ固定フレーム)に固定する際に、拡張部40の内部にインバータ装置22を収容しながら固定可能になっている。従って、図2に示されるように、外観上はインバータ装置22が完全に隠れることになり、組付け状態で制御モータ20とインバータ装置22が一体化する。結果として、別途インバータ装置を設置する専用スペースを確保する必要はなく、設計や組立、配線等が大幅に簡略化される。
【0045】
又、拡張部40の内部に収容されたインバータ22の熱は通気孔40Bから放出されるので、インバータ装置22を熱から保護することができる。なお、拡張部40の内部の熱を更に効果的に放出するには、拡張部40の外周面にヒートシンクを設置することが好ましい。
【0046】
又、図1に示す制御モータ20においては、回転角度センサ付きの軸受36が採用されているため、別途モータ軸24の軸端にエンコーダを取り付ける必要がなく、その分だけ制御モータ20を軸方向に短縮することができる。従って、インバータ22を収容する空間を確保した場合でも、全体としては従来の制御モータと軸方向長さがほぼ同等であり、この制御モータ20を使用する場合でも相手機械側を大幅に設計変更する必要はない。
【0047】
又、図2に示したようなインバータ装置の取付構造によれば、制御モータ20の発熱の原因である固定子28や回転子26等に対して、後部ケーシング34を介して離れた位置にインバータ装置22が設置されるので、制御モータ20自身の熱の影響を受け難い。
【0048】
又、インバータ保持部材50が後面カバーを兼ねた放熱板となり、更にその外周に位置する外部部材48を含めた後方壁46の広い面積を利用してインバータ装置22の熱が十分に放出される。結果として、省スペース化と高い放熱効果の双方を合理的に両立することができる。なお、インバータ装置22の放熱効果を高めるためには、インバータ保持部材50を熱伝導性の高いアルミニウム合金等で構成することが好ましく、更に好ましくは、これにヒートシンク等を形成する。
【0049】
又、このインバータ装置22の取付構造によれば、制御モータ20のメンテナンス性が向上する。即ち、インバータ装置22と制御モータ20とを一体状態で取り外したい場合には、ボルト52によって外部部材48と拡張部40とを分解すればよく、又、インバータ装置22のみを交換・修理したい場合には、ボルト54によって拡張部40とインバータ保持部材50とを分解すればよい。このようにすれば、修理・交換の対象や目的に応じて、柔軟な分解態様を選択することができ、組立やメンテナンス性が大幅に向上する。
【0050】
なお、この第1実施形態においては、後方壁46が外部部材48とインバータ保持部材50との2つの部材から構成されている場合を示したが、図3に示されるように、後方壁46Aは一体的な単一の部材であり、そこに直接インバータ装置22がねじ56によって保持されるようにしてもよい。この場合においても、ねじ56の存在によりインバータ装置22を後方壁46Aに固定した状態で、ねじ52を介して制御モータ20のみを独立して後方壁46Aに組付け・取外しすることができ、組立性やメンテナンス性が大幅に向上する。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態に係るインバータ装置の取付構造について説明する。
【0052】
図4に示されるように、インバータ装置122は制御モータ120の拡張部140の内部に収容されており、更に、このインバータ装置122は拡張部140の反出力側を覆う後方壁146に接触して、自身の熱が放出されるようになっている。又、拡張部140の反出力側端面にはモータ取付面140Aが形成されており、このモータ取付面140Aとボルト152によって制御モータ120が後方壁146に取り付けられている。
【0053】
なお、制御モータ120のその他の構成等については、既に図1及び図2で示した第1実施形態に係る制御モータ20とほぼ同様であるので、同一部分及び部材については制御モータ20と下2桁を同一符号を付することによって詳細な説明は省略する。
【0054】
図4に示す取付構造においては、インバータ装置122がねじ156によって後方壁146に固定されているが、この後方壁146は、拡張部140の取付領域を含めた一枚の板状部材となっている。更にこの後方壁146には、自身を第2の後方壁(第2後方壁:外部部材)170に取付可能な外部取付面147が形成されている。従って、後方壁146は、自身に拡張部140やインバータ装置122が取り付けられた状態で、一体的に第2後方壁170に組付け・取外しができるようになっている。この例からも明らかなように本発明でいう「第2の後方壁」とは「後方壁」の外部取付面を介して連結される部材を意味している。
【0055】
このようにすると、第2実施形態における取付構造と同等の放熱効果が得られると共に、インバータ装置122を後方壁146に固定した状態で、制御モータ120のみをボルト152によって取り外すことが可能であり、又、後方壁146の外部取付面147を利用すれば、制御モータ120とインバータ122とを一体状態で、第2後方壁170から取り外すことができる。又、独立部材である後方壁146を熱伝動性の高いアルミニウム等で構成すればインバータ装置122の熱を効果的に放出することができ、一方で、第2後方壁170は強度の高い通常の鉄板を利用することができるので、本発明を安価に実現することができる。
【0056】
次に、参考例として、図5を参照して、制御モータ220について説明する。なお、図5に示されていない部分・部材等については図1で示した制御モータ20とほぼ同様であるので、全体は図示は省略し、又、制御モータ20と同一又は類似する部材について下2桁を同一符号を付することによって構造等の詳細な説明は省略する。
【0057】
この制御モータ220は、モータフレーム230の反出力側が延長されて円筒状の拡張部240が形成されており、この拡張部240の内部にインバータ装置222が収容されている。更に、この拡張部240の反出力側には、ボルト254によって後面カバー280が取り付けられ、この後面カバー280によって拡張部240の反出力側が覆われている。拡張部240の内部に設置されるインバータ装置222は、ねじ256によって後面カバー280に取り付けられ、相互に密着している。従って、インバータ装置222の熱が後面カバー280を介して外部に放出される。この後面カバー280は(独立した)制御モータの一要素であるが、同時に本発明でいう「後方壁」の機能を有している。即ち、本発明における「後方壁」はこのような制御モータの構成要素として捉えられる。「後方カバー」の概念も含んでいる。
【0058】
この制御モータ220によれば、インバータ装置222が拡張部240内に一体的に収容されているにも拘らず、径方向にコンパクトに構成されている。又、拡張部240の反出力側に後面カバー280が配置され、ここからインバータ装置222の熱が効率良く放出されるので、別途ファン等を設置しなくても十分な冷却効果を得ることができる。
【0059】
又、拡張部240や後部ケーシング234が、インバータ装置222の磁気シールドの役目を兼ねているので、インバータ装置222から発生する電磁波等が外部に与える影響を抑制することができる。
【0060】
なお、後面カバー280は例えばアルミニウム合金等の熱伝導性の高い材料によって構成することが好ましく、更に好ましくは、後面カバー280とインバータ装置222との間にサーマルブリースを塗布して、熱伝導性を更に高めるようにしてもよい。
【0061】
又、この参考例に係る制御モータ220においては、後面カバー280にインバータ装置222が固定されているだけであったが、図6に示されるように、拡張部240の内周面にインバータ取付面240Cを形成し、ボルト282によって拡張部240にインバータ装置222を固定するようにした場合には本発明の実施形態となる。その際には、インバータ装置222を拡張部240の内周面に密着させて、この拡張部240を介してインバータ装置222の熱が放出されるようにしてもよい。このようにすると、後面カバー280及び拡張部240の双方からの放熱効果を得ることができ、十分な冷却効果を得ることができる。なお、拡張部240からの放熱効果で十分な場合には、敢えて後面カバー280を設ける(密着させる)必要はない。
【0062】
以上に示した実施形態においては、制御モータがギヤドモータとして機能する場合に限って示したが、本発明はそれに限定されず、減速機を有しない通常のモータにも適用可能である。又、上記実施形態においては同期回転型の制御モータに限って示したが、本発明はそれに限定されず、誘導モータやステッピングモータ、直流モータ等であって速度制御装置によって電圧制御又は周波数制御されるあらゆる種類に適用することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、極めてコンパクトな速度制御装置内蔵型の制御モータを得ることができ、又、速度制御装置の組付けや取外しを容易に行える取付構造が得られる。しかも、速度制御装置の発熱に対しても十分な冷却効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御モータを示す断面図
【図2】同制御モータにインバータ装置が取り付けられた第2実施形態に係る取付構造を示す拡大図
【図3】同制御モータに対してインバータ装置が取り付けられた他の構造を示す部分拡大図
【図4】本発明の第3実施形態に係るインバータ装置の取付構造を示す部分拡大図
【図5】 参考例に係る制御モータを示す部分拡大図
【図6】同制御モータにおけるインバータ装置の他の取付状態を示す部分拡大図
【図7】従来のインバータ付きの制御モータを示す部分断面図
【図8】図7のVIII−VIII断面図
【符号の説明】
20、120、220…制御モータ
22、122、222…インバータ装置
24、124、224…モータ軸
26、126、126…回転子
28、128、228…固定子
30、130、230…モータフレーム
36、136、236…軸受
40、140、240…拡張部
40A、140A、240A…モータ取付面
40B、140B…通気孔
42…インバータ設置空間
46、46A、146…後方壁
48…外部部材
50…インバータ保持部材
147…外部取付面
170…第2後方壁
280…後面カバー
Claims (7)
- モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子が、モータフレームの内側に固定状態で取り付けられる制御モータの速度を、周波数制御等によって制御する、制御モータの速度制御装置の取付構造において、
前記モータフレームの反出力側を延長して筒状に形成され、自身の内部に前記速度制御装置を収容すると共に、前記制御モータが組み付けられる外部部材に組み付け可能とされた拡張部と、
該拡張部の反出力側を被うと共に前記速度制御装置を保持し、且つ前記外部部材から独立して取り外し可能に構成された保持部材と、を備え、
前記外部部材に前記拡張部が組み付けられた状態で、前記保持部材を介して前記速度制御装置が組み付け・取り外し可能とされ、且つ
該保持部材を介して前記速度制御装置の熱が前記外部部材側に放出される構成とした
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 請求項1において、
前記速度制御装置を、前記拡張部に接触させることで、該拡張部を介して前記速度制御装置の熱が放出されるようにした
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 請求項1または2において、
前記速度制御装置のほか、前記制御モータも、独立して組み付け・取外し可能とされている
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記外部部材に対して前記拡張部を、前記速度制御装置とは独立して組み付け・取り外し可能にした
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 請求項4において、
前記保持部材に、前記外部部材に取付可能な外部取付面を形成し、且つ
該保持部材、前記拡張部及び前記速度制御装置を、前記外部部材に一体的に組み付け・取り外し可能にした
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記モータ軸の反出力側を支持する軸受を、該モータ軸の回転角度を検出可能な回転センサ付き軸受とし、該回転センサ付き軸受の信号が前記速度制御装置に入力されるように構成した
ことを特徴とする制御モータの速度制御装置の取付構造。 - 速度制御装置によって速度制御が可能であり、モータ軸に取り付けられる回転子の周囲に配置される固定子がモータフレームの内側に固定状態で取り付けられた制御モータにおいて、
前記モータフレームの反出力側を延長して筒状に形成され、自身の内部に前記速度制御装置を収容すると共に前記制御モータが組み付けられる外部部材に組み付け可能とされた拡張部と、
該拡張部の反出力側を被うと共に前記速度制御装置を保持し、且つ前記外部部材から独立して取り外し可能に構成された保持部材と、を備え、
該拡張部の反出力側端に、前記外部部材に対するモータ取付面が形成されることで該モータ取付面によって前記制御モータが前記外部部材に組み付け可能とされると共に、前記外部部材に前記拡張部が組み付けられた状態で、前記保持部材を介して前記速度制御装置が組み付け・取り外し可能とされ、且つ
前記保持部材を介して前記速度制御装置の熱が前記外部部材側に放出される構成とした
ことを特徴とする制御モータ。
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