JP4444447B2 - シートシャッタ駆動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートシャッタのシートが巻き付けられる巻取ドラム、該巻取ドラムを駆動する制御モータ及びこれらを内部に収容するシートケースを備えたシートシャッタの駆動機構に関するものであり、特に、該シートシャッタ駆動機構にインバータ装置を一体化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場や倉庫等の建物の出入口、建物内の間仕切り等にはシートシャッタが設置されている。このシートシャッタは、建物内に細菌や塵等が侵入するのを防ぐ目的や、建物の内から外へ又は外から内への熱の移動を抑制して空調の効率を高める目的等、様々な用途で用いられている。以下、このシートシャッターの構成について簡単に説明する。
【0003】
図4に示されるように、シートシャッタ1は、シャッタを構成するシート2と、このシート2の両側に配置されてこのシート2を上下方向に案内するサイドフレーム11、11と、このサイドフレーム11、11の上方に配置されるシートシャッタ駆動機構80と、を備える。従って、シートシャッタ1は全体としてゲート構造になっており、倉庫等の内、外壁等に配置されることで開閉自在の出入口の機能を果たす。
【0004】
シートシャッタ駆動機構80は、図5に拡大して示されるように、シート2が巻き付けられる巻取ドラム3と、この巻取ドラム3を駆動する制御モータ4と、この制御モータ4及び巻取ドラム3等を収容するシートケース13と、を備える。従って、制御モータ4によって駆動されて巻取ドラム3が回転すると、シート2が払い出されたり巻き取られたりして、シャッタが開閉するようになっている。
【0005】
制御モータ4は、内部に固定子(図示省略)が固定される円筒状のモータフレーム84と、このモータフレーム84の反出力側に形成される取付フランジ86と、を備えており、この取付フランジ86によってシートケース13の内側に固定されている。更にこの制御モータ4は、内部にブレーキや減速機(図示省略)を備えて構成され、ギヤドモータとして機能する。
【0006】
ところで、この制御モータ4を電圧位相制御又は周波数制御するインバータ装置5は、図4に示されるように、シートケース13の上面に外側に突出して配置されている。このインバータ装置5はコントローラ50からの指示(操作)を受けてシート2の上昇又は下降速度や、停止位置等を任意に変更するようになっている。
【0007】
又、インバータ5の下面はシートカバー13の上面13Aに密着されており、スイッチング素子等の熱がこの上面13Aに伝達されて効果的に放出されるようになっている。このように、インバータ装置5がシートケース13の上方に配置されている理由は、図5からも明らかなように、シートケース13内にインバータ装置5を設置するスペースが十分なく、又、シートケース13内ではインバータ装置5を十分に放熱できないからである。従って、制御モータ4からできるだけ離れた位置に配置し、この制御モータ4の発熱の影響を受けないようにして十分な冷却効果を得るようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このシートシャッタ1のようにインバータ5が上側に凸設配置されると、例えば天井の高さが低い建物ではこのインバータ5が邪魔となって設置できない場合があった。この場合、インバータ5を更に離れた別の場所に設置しなければならず、シートシャッタ1の設計変更やインバータ5と制御モータ4との間の長い配線が必要となった。 従って、使用者のニーズに沿ってインバータ装置5の配置等をその都度変更するのは、シートシャッタ1の製造・設置コストの増大につながっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、シートシャッタ駆動機構とインバータ装置とを一体化してコンパクトな構成とし、部品点数及び製造コストを削減しながらもインバータ装置の冷却効果を十分に得るようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シートシャッタのシートが巻き付けられる巻取ドラムと、この巻取ドラムを駆動する制御モータと、巻取ドラム及び制御モータを収容するシートケースと、を備え、制御モータにおける固定子が円筒状のモータフレームの内周に固定されると共に、そのモータフレームの反出力側にはシートケースに対する取付フランジが形成され、この取付フランジにより制御モータがシートケースに固定されたシートシャッタの駆動機構において、モータフレームの反出力側を延長して円筒状の拡張部を形成すると共に、この拡張部の内部に、制御モータの回転速度を制御可能なインバータ装置を収容し、且つこのインバータ装置をシートケースに接触させることで、このシートケースを介してインバータ装置の熱が外部に放出されるようにして、上記目的を達成するものである。
【0011】
本発明者は、軸方向長の拡大に関しては、この種のシートシャッタの性質上モータフレームはシートの幅の範囲内であれば比較的スペースに余裕があり、特に問題とならない場合が多いことに着目し、反出力側がフランジ状態になっているモータフレームを軸方向に拡張し、インバータ装置をシートケースに接触させた状態でモータフレームの内部に収容する構造を創案した。このようにすると、シートケースの外側にインバータが露出しないので、シートシャッタを狭いスペースに設置することができ、外観も大変シンプルで機能的となる。
【0012】
又、シートケースをインバータ装置の放熱板として利用しているので、制御モータのモータフレーム(拡張部)の内部にインバータ装置が収容されても十分な放熱効果を得ることができる。更に、インバータ装置と制御モータとの間の配線が極めて短くて済み、しかもモータフレーム(拡張部)の内部に位置するので断線の心配もない。更にこの構造によれば、このシートシャッタ駆動機構の部品点数が減ると共に、製造コストが大幅に低減する。
【0013】
なお、このシートシャッタ駆動機構においては、シートケースに加えて、モータフレームの拡張部の内周面にインバータ装置を接触させるようにしてもよい。このようにすると、インバータ装置の熱がシートケース及び拡張部の双方から放出されるので、更に高い放熱効果を得ることができる。
【0014】
又、これらのシートシャッタ駆動機構においては、インバータ装置がシートケースによって保持されることで、このシートケースに対して制御モータを、インバータ装置と独立して組付け・取外し可能にすることが好ましい。このようにすると、事前にシートケースにインバータ装置を取り付けた状態で、制御モータを後から組付けることができ、反対に、インバータ装置をシートケースに残した状態で、制御モータのみを取り外すことができるので、組立性やメンテナンス性が大幅に向上する。
【0015】
更にこの駆動機構においては、シートケースを、インバータ装置及び制御モータを支持するモータ支持部と、モータ支持部を除いた主カバー部とに独立して分割・取外し可能に構成し、且つインバータ装置及び制御モータが取付けられた前記モータ支持部を、主力カバー部に対して一体的に組み付け・取外し可能にすることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、上記のメリットに加えて、制御モータとインバータ装置とを一体的に取外したり、組み付けることが可能になるので、メンテナンス性等が更に向上する。
【0017】
又更に、上記に示した全てのシートシャッタ駆動機構では、前記制御モータにおけるモータ軸の反出力側を支持する軸受を、モータ軸の回転角度を検出可能な回転センサ付き軸受とし、回転センサー付き軸受の信号がインバータ装置に入力されるように構成することが好ましい。
【0018】
このようにすると、軸受の周囲の(従来も依存していた)空スペースを利用して、モータ軸の回転角度を検出することができ、軸方向に更に長大化することがない。結果として、インバータを内部に収容するようにしても制御モータの軸方向寸法を比較的コンパクトな状態に維持できるので、この制御モータによって駆動される巻取ドラム等を大幅に設計変更する必要がなく、又、幅の狭いシートシャッタにも十分組込みが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、シートシャッタ101に適用されるシートシャッタ駆動機構180を示している。なお、シートシャッタ101全体の構成等は図4で示した従来のシートシャッタ1とほぼ同様であるので、同一又は類似する部品等には下2桁をシートシャッタ1と同一符号を付することで全体図示及び構成・作用等の詳細な説明は省略する。
【0021】
このシートシャッタ駆動機構180は、シートシャッタ101のシート102が巻き付けられる巻取ドラム103と、この巻取ドラムを駆動する制御モータ104と、巻取ドラム103及び制御モータ104等を収容するシートケース113と、を備える。
【0022】
制御モータ104は、揺動内接噛合遊星歯車構造の減速機192を備えてギヤドモータとして機能するものであり、又、この減速機192の出力軸192Aにはブラケット103Aを介して巻取ドラム103が連結されている。なお、この制御モータ104の主要部分は巻取ドラム103の内部に挿入(収容)されている。
【0023】
巻取ドラム103は、一端は上記のように制御モータ104の出力軸192Aによって支持されており、他端側はブラケット103B及び軸受112を介して回動自在な状態でシートケース113に固定されている。このシートケース113は、下側にシート102が出入可能な開口を有した箱形状の部材であり、内部に収容される巻取ドラム103及び、これに巻き取られたシート102等を外部から保護する役目を果たしている。
【0024】
制御モータ104は、図2に拡大して示されるように、固定子182が内周面に固定されるモータフレーム184と、このモータフレーム184の反出力側に形成されるシートケース113に対する取付フランジ186と、を備えており、自身(制御モータ104)が取付フランジ186によってシートケース113の側ボルト187を介して壁に取り付けられている。なお、固定子182は、モータ軸194に一体的に設けられている回転子193の周囲に配置されており、このモータ軸194の出力側に減速機192が連結されている。なお、この減速機192における揺動内接噛合遊星歯車構造は一般的に広く知られており、特開平6−50394号公報等にも十分に開示されているので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0025】
モータフレーム184の反出力側は、後部ケーシング104Bによって蓋がされ、この後部ケーシング104Bの中心に配置される軸受140によってモータ軸194の反出力側が支持されている。又、この後部ケーシング104Bの反出力側には、ブレーキ142が配置され、これによってモータ軸194の回転が抑制可能となっている。
【0026】
更に、モータフレーム184の(後部ケーシング104Bの)反出力側は、インバータ装置105を収容できる程度に軸方向に延長されて円筒状の拡張部150が形成されており、この内部には、制御モータ104を周波数制御可能なインバータ装置105が収容されている。又、このインバータ装置105はシートケース113の側壁に密着状態で接触しており、このシートケース113を介してインバータ装置105の熱が外部に放出される。具体的には、鉄やアルミニウム合金等で構成されているシートケース113にインバータ装置105の熱が伝達し、シートケース113から外気に対して広い面積で熱が放出される構造となっている。又、この拡張部150の外周には通気孔150Aが周方向に等間隔で、合計3つ形成されており、内部の熱がここから放出される。
【0027】
インバータ装置105は、ねじ105Aによってシートケース113に保持されている。従って、このシートケース113に対して制御モータ104を、インバータ装置105と独立して(インバータ装置105を残した状態で)ボルト187により組付け・取外しができるようになっている。
【0028】
軸受140は、自身の回転角度を検出できる角度センサ140Aが取り付けられており、この角度センサ140Aからの回転角度信号がインバータ装置105に入力される。従って、インバータ装置105はこの回転角度信号を検出、フィードバックしながら制御モータ104を周波数制御する。
【0029】
以上に示したシートシャッタ駆動機構180は、インバータ装置105がシートケース113の中に直接配置されており、従来に比べて機構全体が、特にその横断面形状の大きさが大型化していない。従って、シートカバー113の外側にインバータが取り付けられていない分だけ、狭い空間にシートシャッタ101を設置することができ、建物の出入口等の外部の環境(状況)に柔軟に対応することができる。
【0030】
又、インバータ装置105はモータフレーム184の拡張部150の内部に収容されているため、外部の衝撃からも十分保護されており、更に、モータフレーム184の内部でインバータ装置105と制御モータ104とが直接配線されるため、断線等の心配が軽減される。
【0031】
この実施形態では、軸受140に角度センサ140Aが取り付けられているので、別途モータ軸194の軸端にエンコーダを取付ける必要がない。従って、インバータ装置105を内部に直接収容しても、制御モータ104のモータフレーム184は軸方向の全長においても従来とほぼ同一となっており、寸法はあまり増大されていない。この結果、巻取りドラム103やブラケット103Aを大幅に設計変更する必要がなく、更に製造コストを低減できるようになっている。又、幅の狭いシートシャッタに対しても容易に組込むことができる。
【0032】
又、インバータ装置105の熱がシートカバー113を介して外部に放出されるので、別途冷却ファン等を設置しなくても十分な冷却効果を得ることができる。又、拡張部150の外周には通気孔150Aが複数形成されているので、この通気孔150Aを介して拡張部150内の熱が放出され、これによってもインバータ装置105は冷却されることになる。なお、制御モータ104の固定子182や回転子193は運転時に発熱するが、インバータ装置105は後部ケーシング104Bによって固定子182等から隔離されているので、直接その熱の影響を受け難く、この点においてもインバータ装置105の冷却効果が高められている。
【0033】
更に、インバータ装置105がシートカバー113に保持されることによって、制御モータ104をインバータ装置105とは独立してシートカバー113から取外したり、このシートカバー113に取り付けたりすることができるので、組立や分解が大変容易である。
【0034】
なお、この第1実施形態に係るシートシャッタ駆動機構180においては、インバータ装置105が主にシートカバー113に密着している場合を示したが、本発明はこれに限定されず、更に拡張部150にも密着してこの拡張部150(モータフレーム184)から積極的に熱を放出してもよい。
【0035】
次に、図3を参照して本発明の第2実施形態に係るシートシャッタ駆動機構280について説明する。
【0036】
図3に示すシートシャッタ駆動機構280は、図1及び2に示した第1実施形態に係るシートシャッタ駆動機構180とは異なり、シートカバー213が、モータ204を支持するモータ支持プレート213Bと、残りの主カバー213Aとに分割可能となっており、この主カバー213Aとモータ支持プレート213Bとが取付ボルト215Cによって連結されている。
【0037】
なお、このシートカバー213を除いた他の構成等は、第1実施形態に係るシートシャッタ駆動機構180とほぼ同様であるので、同一又は類似する部分・部材についてはシートシャッタ駆動機構180と下2桁を同一符号に付することによって詳細な説明は省略する。
【0038】
このシートシャッタ駆動機構280によれば、制御モータ204とインバータ装置205とを一体状態で取外したい場合には、取付ボルト215を外すことによりモータ支持プレート213Bを主カバー213Aから分解(取外し)すればよく、又、制御モータ204のみを取外したい場合には、拡張部250をモータ支持プレート213Bから取り外せばよい。従って、目的に応じた分解(組立)態様を選択することができ、組立性やメンテナンス性が大幅に向上する。
【0039】
なお、以上に示した各実施形態においては、制御モータが減速機を備える場合に限って示したが、本発明は減速機を有する場合に限定されるものではない。又、制御モータは誘導伝動機、同期回転型伝動機(シンクロナスモータ)、直流サーボモータ等、あらゆるものに適用可能であり、インバータ装置はこれらのモータを制御可能なものであればよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、インバータ装置が内部に一体化され、且つコンパクトに構成されたシートシャッタ駆動機構を得ることができ、更に、組立時の配線の手間が軽減されると共に、製造コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシートシャッタ駆動機構を示す部分断面図
【図2】同シートシャッタ駆動機構の制御モータ付近を拡大して示す断面図
【図3】本発明の第2実施形態に係るシートシャッタ駆動機構を部分的に拡大して示す断面図
【図4】従来のシートシャッタを示す正面図
【図5】同シートシャッタの駆動機構を示す分解斜視図
【符号の説明】
101…シートシャッタ
103、203…巻取ドラム
104、204…制御モータ
105、205…インバータ装置
113、213…シートカバー
150、250…拡張部
180、280…シートシャッタ駆動機構
182、282…固定子
184、284…モータフレーム

Claims (5)

  1. シートシャッタのシートが巻き付けられる巻取りドラムと、該巻取りドラムを駆動する制御モータと、前記巻取りドラム及び前記制御モータを収容するシートケースと、を備え、
    前記制御モータにおける固定子が円筒状のモータフレームの内周に固定されると共に、該モータフレームの反出力側には前記シートケースに対する取付フランジが形成され、該取付フランジにより前記制御モータが前記シートケースに固定された前記シートシャッタの駆動機構において、
    前記モータフレームの反出力側を延長して円筒状の拡張部を形成すると共に、該拡張部の内部に、前記制御モータの回転速度を制御可能なインバータ装置を収容し、且つ
    該インバータ装置を前記シートケースに接触させることで、該シートケースを介して前記インバータ装置の熱が外部に放出されるようにした
    ことを特徴とするシートシャッタ駆動機構。
  2. 請求項1において、
    前記シートケースに加えて、前記モータフレームの前記拡張部の内周面に前記インバータ装置を接触させた
    ことを特徴とするシートシャッタ駆動機構。
  3. 請求項1又は2において、
    前記インバータ装置が前記シートケースに保持されるように構成し、該シートケースに対して前記制御モータを、前記インバータ装置と独立して組み付け・取外し可能にした
    ことを特徴とするシートシャッタ駆動機構。
  4. 請求項3において、
    前記シートケースを、前記インバータ装置及び前記制御モータを支持するモータ支持部と、該モータ支持部を除いた主カバー部とに独立して分割・取外し可能に構成し、
    前記インバータ装置及び前記制御モータが取付けられた前記モータ支持部を、該主力カバー部に対して一体的に組み付け・取外し可能とした
    ことを特徴とするシートシャッタ駆動機構。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記制御モータにおけるモータ軸の反出力側を支持する軸受を、該モータ軸の回転角度を検出可能な回転センサ付き軸受とし、該回転センサー付き軸受の信号がインバータ装置に入力されるように構成した
    ことを特徴とするシートシャッタ駆動機構。
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