近年、カーナビゲーションシステム等の自動車の電気装置に内蔵される電子部品やIC(集積回路)等が実装された制御用のプリント回路基板へ伝送される電気信号は高速化(高周波化)され、また、そのプリント基板に形成された回路パターンも密集し高密度化されてきている。一般的に、このような高周波の電気信号を伝送するためにシールドケーブルが用いられるが、伝送される電気信号の更なる高周波化に伴って、このシールドケーブルに接続されるシールドコネクタにも更なる高周波化対応の要求が高まっている。
シールドケーブルの例として、いわゆる同軸ケーブルと呼ばれるものがある。一般的に用いられている同軸ケーブルは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を束ねた信号導体と、同じく複数の素線を編んだ編組線よりなるシールド導体と、これら導体の間に介在される絶縁体と、シールド導体の外周を覆う絶縁性のシースとが同軸状に配された構造になっており、シールド導体が信号導体の外周を隙間なく覆うことで電磁的にシールドしている。
通常、このような高周波信号を伝送する同軸ケーブルの端末部分に接続されるシールドコネクタには、高周波信号を伝達する信号導体と接続される内導体端子と、編組線などのシールド導体と接続される共に内導体端子の外周を覆う外導体端子と、これら内導体端子と外導体端子の間に介在される所定の比誘電率を有する誘電体とが備えられており、同軸ケーブルの端末部分の絶縁体とシースが剥ぎ取られて露出された信号導体とシールド導体にそれぞれ内導体端子と外導体端子が接続される。
このようなシールドコネクタの例としては、特開2000−173725号公報に開示されているものがある。図9はこのシールドコネクタの縦断面を示している。図示されるように、同軸ケーブルWの絶縁体WbとシースWeが剥ぎ取られて信号導体Waとシールド導体Wdが露出した部分にシールドコネクタ20が接続されている。内導体端子21は圧着部21aを介して信号導体Waと接続され、外導体端子23は圧着部23aを介してシールド導体Wdと接続されており、これら両端子を絶縁状態にする誘電体22が両端子間に介在して設けられている。
一般的に、高周波信号の伝送における同軸ケーブルの特性インピーダンスは、例えば50Ωというように設定されて、接続対象である電気装置が備えるプリント回路基板等の特性インピーダンスとの整合(マッチング)が図られている。高周波信号の伝送経路中に特性インピーダンスが整合していない部分(不整合部)が存在すると、その不整合部での信号の反射による伝送効率の低下及びノイズの発生等の不具合が生じる。したがって、シールドコネクタの特性インピーダンスにおいても同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合されている必要がある。
通常、シールドコネクタの特性インピーダンスは、その「外導体端子のシェル部内径と内導体端子の端子部外径の比」および「誘電体の比誘電率」を調整して、同軸ケーブルとのインピーダンス整合が図られているが、図9に示されるように内導体端子21の圧着加工後の圧着部21aの外径は、信号導体Waとの電気的な接続信頼性を優先したサイズ・形状となっており、通常、端子部21bの外径よりも小径になるため、圧着部21a位置における「外導体端子23のシェル部23b内径と内導体端子21の圧着部21a外径の比」と、端子部21b位置における「外導体端子23のシェル部23b内径と内導体端子21の端子部21b外径の比」とが同じになっていない。このため、内導体端子21の圧着部21aにおける特性インピーダンスが同軸ケーブルWの特性インピーダンスと整合されておらず、同軸ケーブルWの特性インピーダンスに比べて高い特性インピーダンスになってしまっていた。
このようなシールドコネクタの特性インピーダンスが同軸ケーブルのそれとは等しくない部分では、伝送された電気信号の反射や放射が起こり、信号が正しく伝送されなかったりノイズの原因になったりするなどの不具合が生じたりする。特に数GHzの高周波信号の伝送においてはその傾向が著しいものとなる。
これを改善するためには、内導体体端子の圧着部位置における特性インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合するように低くすれば良いことから、内導体端子の圧着加工後の圧着部の外径を端子部の外径程度に大きくすることでインピーダンス整合を図ることが可能である。従来、この圧着部の外径を大きくする方法として、その圧着部に筒状の金属スリーブを装着する方法が採られてきた。
以下に、本発明の一実施形態に係るシールドコネクタについて図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態に係るシールドコネクタについて図1〜図3を用いて説明する。図1は同軸ケーブルに接続されたシールドコネクタの縦断面図、図2は信号導体への内導体端子圧着部の圧着加工の工程、図3は信号導体に接続された内導体端子圧着部への接続部圧着片の圧着加工の工程を示している。尚、以下の説明においてはシールドコネクタの図示しない相手側コネクタとの接続側を前として説明する。
図1に示されるようにシールドコネクタ1は、同軸ケーブルWの端末において、同軸ケーブルWの信号導体Waに内導体端子2が接続され、この内導体端子2を誘電体3が収容保持し、この誘電体3を外導体端子4が内装し、外導体端子4が同軸ケーブルWのシールド導体Wdに接続されたもので構成されている。
同軸ケーブルWは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を撚り合わせて束ねられた信号導体Waと、同じく複数の素線を編んだ編組線よりなるシールド導体Wdと、これら導体の間に介在される絶縁体Wbと、シールド導体Wdの外周を覆う絶縁性のシースWeとが同軸状に配された構造になっており、シールド導体Wdが信号導体Waの外周を隙間なく覆うことで信号導体Waが電磁的にシールドされている。
図示されるように同軸ケーブルWは、シースWeが所定長さ皮剥されてシールド導体Wdが露出され、露出されたシールド導体Wdが所定長さ皮剥されて絶縁体Wbが露出され、露出された絶縁体Wbが所定長さ皮剥されて信号導体Waが露出されている。
信号導体Waに接続されるシールドコネクタ1の内導体端子2は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に形成されたもので、いわゆるメス型端子形状を有しており、信号導体Waとの接続部である圧着部2aを後方に備え、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子に接続される端子部2bを前方に備えている。
端子部2bには、端子部2b内に折り返されることにより形成された一対の弾性接触片2c,2cが備えられている。これら弾性接触片2c,2cは弾性変形可能に形成されており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子のタブ部が弾性接触片2c,2cの間に挿入されると弾性接触して信号の受け渡しができるようになる。また、端子部2bの上面には、係止片2dが上方に向けて撓み変形可能に突設されている。
このような内導体端子2を収容保持する誘電体3は、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂により略円柱形状に一体的に形成されており、この誘電体3によって内導体端子2と外導体端子4との間が絶縁状態にされる。この誘電体3の内部には、前後方向に開口した端子収容室3aが貫通形成されており、この端子収容室3a内に内導体端子2が収容保持される。この端子収容室3aの後方の天井面には、内導体端子2の係止片2dが係止される係止孔3bが形成されており、この係止孔3bに内導体端子2の係止片2dが係止されると、内導体端子14は端子収容室3aから容易に抜けないように保持される。そして、誘電体3の後方の下面には、ロック突部3cが下方に向けて突設されている。
このような誘電体3が内装される外導体端子4は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に形成されたもので、誘電体3が内装される略円筒状のシェル部4aが前方に設けられると共に、同軸ケーブルWが圧着加工により固定される圧着部4bが後方に設けられている。
シェル部4aの前方側下面には、図示しないコネクタハウジング内に外導体端子4が収容される際、コネクタハウジングの底面に形成されているスリットに挿入されるスタビライザー4cが下方に突出して形成されている。このスタビライザー4cにより外導体端子4のコネクタハウジング内への挿入方向が規制される。また、スタビライザー4cの形成により生じた開口部4dの先端には、外導体端子4がコネクタハウジング内に挿入される際に、スタビライザー4cがコネクタハウジングの底面スリットに案内される案内片4iがテーパ形状に形成されている。
そして、シェル部4aの後方側下面には、誘電体3の後方側下面に突設されたロック突部3cと係合するロック片4eが上方に向けて撓み変形可能に形成されており、誘電体3が外導体端子4のシェル部42内に前方から挿入されると、誘電体3は容易に抜けないように保持される。尚、シェル部4aの左右両側壁には、相手側コネクタの外導体端子の外壁と弾性的に接触する図示しない舌片状の接触片が形成されている。
外導体端子4の圧着部4bは、同軸ケーブルWのシールド導体Wd端末部分及びシースWe端末部分が適切に載置されるように段差状に形成されている。この圧着部4bには、圧着部4bの底面から延設形成された帯形状の一対のシールド導体圧着片4f,4fと同じく帯形状の一対のシース圧着片4g,4gが設けられている。これら圧着片は、種々の同軸ケーブルに巻き付けできるような十分な長さを有している。
シールド導体Wd端末部分が載置される圧着部4b底面の中央には貫通孔4hが形成されており、シールド導体圧着片4f,4fによりシールド導体Wd端末部分が圧着されると、シールド導体Wdの一部がこの貫通孔4h内に入り込むようになっている。
このような構成のシールドコネクタ1の内導体端子2の圧着部2aには、信号導体Waに圧着加工された後の圧着部2aの外周を覆うように接続部圧着片5が圧着加工により巻き付けられている。この接続部圧着片5は導電性の板材の打ち抜き加工により所定長さを有した帯形状に形成されており、この接続部圧着片5が圧着部2aと導通接続されることで、圧着部2aの外径が電気的に太径化されたことになる。
次に、信号導体Wd端末部分の外周への内導体端子2の圧着部2aによる圧着加工の手順、及び内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aの外周への接続部圧着片5による圧着加工の手順について説明する。図2は信号導体Wd端末部分の外周への内導体端子2の圧着部2aによる圧着加工の工程を順に示している。図示されるように、内導体端子2の圧着部2aには、同軸ケーブルWの信号導体Wa端末部分が載置される圧着部2aの底面から延設形成された帯形状の一対のシールド導体圧着片2f,2fが設けられている。この圧着片2f,2fは、上方に向かって末広がり状に拡開しており、種々の径の同軸ケーブルの信号導体に巻き付けできるような十分な長さを有している。
図2(a)に示されるように、先ず内導体端子2の圧着部2aの底面に信号導体Wa端末部分を載置する。その後、図示しない圧着加工機により圧着加工を施すことにより、それぞれの圧着片2f,2fは内側に折り曲げられて、図2(b)及び図2(c)に示されるような状態になる。これにより、内導体端子2は圧着部2aを介して信号導体Waと導通接続される。
そして、この状態の内導体端子2の圧着部2aに上述した接続部圧着片5が圧着加工により巻き付けられる。図3は内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aの外周への接続部圧着片5による圧着加工の工程を順に示している。図3(a)に示されるように、接続部圧着片5の左右の端部5b,5cは、接続部圧着片5の底面5aから上方に向かって末広がり状に拡開しており、種々なる径の内導体端子の圧着加工後の圧着部に巻き付けできるような十分な長さを有している。
図3(a)に示されるように、先ず接続部圧着片5の底面5aに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aを載置する。その後、図示しない圧着加工機により圧着加工を施すことにより、それぞれの端部5b,5cは内側に折り曲げられて、図3(b)及び図3(c)に示すような状態になる。この場合、図示されるように左側の端部5bの上に右側の端部5cが重ね合わされるように圧着加工されており、圧着加工後の接続部圧着片5の断面は図3(b)に示されるように高さA1、幅B1を有した略楕円形状に形成されている。
このように内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aの外周に接続部圧着片5が圧着加工により巻き付けられることで、圧着部2aの外径が太径化される。これにより内導体端子2の端子部2bよりも細径であった圧着加工後の圧着部2a付近の高い特性インピーダンスを、同軸ケーブルWやシールドコネクタ1の圧着部2a位置以外の部分の特性インピーダンスと整合するように低くすることがきる。
また、導電性の板材からなる接続部圧着片5を内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aに圧着加工するだけで圧着部2aの外径が太径化されるので、従来のような金属スリーブの装着によって圧着部2aを太径化する場合のように金属スリーブを同軸ケーブルWの露出された絶縁体Wb上に先通しする必要がなく、内導体端子2の圧着部2aを太径化する加工性が向上している。
次に、本発明の第2の実施形態に係るシールドコネクタについて図4と図5を用いて説明する。図4は同軸ケーブルに接続されたシールドコネクタの縦断面図、図5は信号導体に接続された内導体端子圧着部への接続部圧着片の圧着加工の工程を示している。尚、上述した第1の実施の形態にシールドコネクタと同一の構成については同符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図4に示されるように、シールドコネクタ10は、図1のシールドコネクタ1とは内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aに圧着加工により巻き付けられた接続部圧着片5の外径が、図1に示した接続部圧着片5の外径とは異なる大きさに形成されている。
このような図1とは異なる外径に形成された接続部圧着片5の圧着加工の手順について説明する。先ず図5(a)に示されるように、接続部圧着片5の底面5aに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aを載置する。その後、図示しない圧着加工機により圧着加工を施すことにより、それぞれの端部5b,5cは内側に折り曲げられて、図5(b)及び図5(c)に示すような状態になる。
この場合、図示されるように左側の端部5bと右側の端部5c同士が突き当たって内側に折れ曲がると共に、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aと端部5b,5cとの間に隙間6,6が形成されるように圧着加工されており、圧着加工後の接続部圧着片5の断面は図5(b)に示されるように高さA2、幅B2を有した略ハート型形状に形成されている。この圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA2、幅B2は、第1の実施形態で説明した図3(b)の圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA1、幅B1よりも大きくなっており、図5(c)に示されるように内導体端子部3の端子部2b外径に更に近いサイズに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aが太径化されている。
上述したように、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aへの接続部圧着片5の圧着加工による巻き付けに際して、一方の端部5aの上に他方の端部5cが重ね合わされるように圧着加工すれば、加工後の接続部圧着片5の外径(高さA1、幅B1)を小さく形成することでき(図3(b)参照)、又、一方の端部5aと他方の端部5c同士が突き当たって内側に折れ曲がるように圧着加工すれば、加工後の接続部圧着片5の外径(高さA2、幅B2)を大きく形成することができる(図5(b)参照)。つまり、導電性の板材からなる接続部圧着片5を一枚用意し、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aへの接続部圧着片5の圧着加工方法を変えるだけで、圧着加工後の接続部圧着片5の外径を大きくしたり小さくしたりすることができる。
したがって、従来の金属スリーブの内導体端子の圧着後の圧着部2aへの装着によって圧着2a部を太径化する方法では、複数種類のシールドケーブルに対応するために、さまざまなサイズの金属スリーブを用意する必要があったが、本発明によれば導電性の板材からなる接続部圧着片5を一枚用意するだけで、種々なるシールドコネクタやシールドケーブルに対応したインピーダンス整合を図ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るシールドコネクタについて図6と図7を用いて説明する。図6は同軸ケーブルに接続されたシールドコネクタの縦断面図、図7は信号導体に接続された内導体端子圧着部への接続部圧着片の圧着加工の工程を示している。尚、上述した第1の実施の形態にシールドコネクタと同一の構成については同符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図6に示されるように、シールドコネクタ20は、図1のシールドコネクタ1および図4のシールドコネクタ10とは内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aに圧着加工により巻き付けられた接続部圧着片5の外径が、図1および図4に示した接続部圧着片5の外径とは異なる大きさに形成されている。
図7(a)に示されるように、接続部圧着片5の左右の端部5b,5cは、接続部圧着片5の底面5aから上方に向かって末広がり状に拡開しており、種々なる径の内導体端子の圧着加工後の圧着部に巻き付けできるような十分な長さを有している。この場合、図示されるように一方の端部5bには先端が内側に折り曲げられた輪状部5dが予め形成されており、輪状部5dの内側にはR形状の凸面5fが形成されている。
このような図1および図4とは異なる外径に形成される接続部圧着片5の圧着加工の手順について説明する。先ず図7(a)に示されるように、接続部圧着片5の底面5aに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aを載置する。その後、図示しない圧着加工機により圧着加工を施すことにより、それぞれの端部5b,5cは内側に折り曲げられて、図7(b)および図7(c)に示すような状態になる。このとき、端部5cは輪状部5dが形成された端部5bの上にオーバーラップされると共に、端部5bの輪状部5dはその内側のR形状の凸面5fが内導体端子2の圧着部2aに弾性的に接触されている。
この場合、圧着加工後の接続部圧着片5の断面は図7(b)されるように高さA3、幅B3を有した略楕円形状に形成されている。この圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA3、幅B3は、第2の実施形態で説明した図5(b)の圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA2、幅B2よりも大きくなっており、図7(c)に示されるように内導体端子部3の端子部2b外径に更に近いサイズに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aが太径化されている。
したがって、信号導体Waと接続される内導体端子2の圧着部2aの外径を太径化する際の接続部圧着片5の外径を輪状部5dの大きさにより設定することができるので、上述した金属スリーブの装着によってインピーダンス整合を図る場合のように複数種類の金属スリーブを用意する必要がなく、多くの種類のシールド電線に対応することが可能になっている。
図8は図7の変形例を示しており、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aの外周への接続部圧着片5による圧着加工の手順を順に示している。図8(a)に示されるように、接続部圧着片5の左右の端部5b,5cは、接続部圧着片5の底面5aから上方に向かって末広がり状に拡開しており、種々なる径の内導体端子の圧着加工後の圧着部に巻き付けできるような十分な長さを有している。圧着加工後は、図8(b)に示されるように両方の端部5b,5cには先端が内側に折り曲げられた輪状部5d,5eが形成されると共に、輪状部5d,5eの内側のR形状の凸面5f,5gが内導体端子2の圧着部2aに弾性的に接触されている。
このような図1および図4とは異なる外径に形成される接続部圧着片5の圧着加工の手順について説明する。図8(a)に示されるように、先ず接続部圧着片5の底面5aに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aを載置する。その後、図示しない圧着加工機により圧着加工を施すことにより、それぞれの端部5b,5cは内側に折り曲げられて、図8(b)および図8(c)に示すような状態になる。このとき、接続部圧着片5の端部5b,5cの先端が内側に折り曲げられて輪状部5d,5eが形成されると共に、輪状部5d,5eのR形状の凸面5f,5gが内導体端子2の圧着部2aに弾性的に接触されている。
この場合も、圧着加工後の接続部圧着片5の断面は図8(b)に示されるように高さA3、幅B3を有した略ハート型形状に形成されている。この圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA3、幅B3は、第2の実施形態で説明した図5(b)の圧着加工後の接続部圧着片5の断面における高さA2、幅B2よりも大きくなっており、図8(c)に示されるように内導体端子部3の端子部2b外径に更に近いサイズに内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aが太径化されている。
図7に示したように、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aへの接続部圧着片5の圧着加工による巻き付けに際して、接続部圧着片5の一方の端部5bには先端側から内側に折り曲げられた輪状部5dが形成されると共に、この輪状部5dが内導体端子2の圧着部2aに弾性的に接触されるように圧着加工すれば、加工後の接続部圧着片5の外径(高さA3,幅B3)を大きく形成することができる(図7(b)参照)。
また、図8に示したように、内導体端子2の圧着加工後の圧着部2aへの接続部圧着片5の圧着加工による巻き付けに際して、接続部圧着片5の両端部5b,5cには先端側から内側に折り曲げられた輪状部5d,5eが形成され、これら両輪状部5d,5eが内導体端子2の圧着部2aに弾性的に接触されるように圧着加工すれば、同様に加工後の接続部圧着片5の外径(高さA3,幅B3)を大きく形成することができる(図8(b)参照)。
したがって、従来の金属スリーブの内導体端子の圧着後の圧着部2aへの装着によって圧着部2aを太径化する方法では、複数種類のシールドケーブルに対応するために、さまざまなサイズの金属スリーブを用意する必要があったが、本発明によれば導電性の板材からなる接続部圧着片5を一枚用意するだけで、種々なるシールドコネクタやシールドケーブルに対応したインピーダンス整合を図ることができる。
以上、本発明に係るシールドコネクタの実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上記実施形態では内導体端子の信号導体との接続部としての圧着部に接続部圧着片を圧着加工する形態について説明したが、内導体端子の信号導体との接続部として溶接により接続された溶接接続部や、内導体端子の信号導体との接続部としてハンダ付けにより接続されたハンダ接続部などの接続部にも適用可能なのは言うまでもない。