JP4596109B2 - エッチング液組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置等の、信号配線に用いる積層配線の形成方法に関し、更に詳しくは、基板上のアルミニウム系金属層とモリブデン等の高融点金属層との積層膜のエッチング方法に関し、信頼性の高い積層配線の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明画素電極をマトリクス状に配列し、これをTFT(Thin Film Transistor)で駆動するアクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、TFTを駆動するためのゲート電極、およびこのゲート電極から延在するゲート配線やデータ配線等を同じガラス基板上に形成したTFTパネル構造が採用される。
最も一般的な逆スタガ型のTFTパネル構造の概略の断面図を図1を参照して説明する。ガラス基板1上にゲート電極2を順テーパ状に形成し、ゲート電極3およびi型半導体層4、n型半導体層5を介してソース電極6とドレイン電極7をゲート電極2と対向して配置することにより、TFTが形成される。通常i型半導体層4はノンドープのa-Siから、n型半導体層5はn型不純物を含むn+ a-Siから形成される。ゲート電極2はAl系金属等からなり、この上層に形成されるi型半導体層4のステップカバレッジを確保したり、ゲート絶縁膜3の絶縁耐性を向上するためにその側面を順テーパ状に加工する。
従来より、Al系金属等からなるゲート電極2やここから延在するゲート配線を順テーパ状に加工するためにはガラス基板1上に全面にAl系金属層をスパッタリング等で成膜し、この上にレジストパターンを選択的に形成後、このレジストパターンをマスクとして等方的にウエットエッチングする方法が採用されている。
ところで、近年のTFTパネルにおいては、Al系金属配線と半導体層との拡散を防止したり、Al系金属配線のヒロック防止するために図2の様に、低抵抗のAl系金属配線21の上層に、モリブデン(Mo)等の高融点金属配線22を積層した積層配線構造、あるいは図3の様に、低抵抗のAl系金属配線21の上層、下層の両面に、Mo等の高融点金属配線22を積層した積層配線構造が多く採用されるようになり、この場合もMo等の高融点金属配線22の側面を順テーパ状に加工することにより絶縁耐性を向上することが出来る。
従来Al系金属のウエットエッチング液としては、燐酸、硝酸、酢酸を混合した混酸が使用される。混酸を使用した場合には、Al系金属と高融点金属との積層構造には順テーパ状に加工することは、種々の原因により極めて困難である。
しかしながら、特開平6-104241号公報には、Mo/Al系積層膜を上記の混酸を使用して、ウエットエッチングを行う場合の手段として、積層膜の膜厚比を制御することが記載されているが、根本的には、解決には至っていない。
以上の事から、上記積層膜のウエットエッチング液に関し、良好な順テーパを与えることのできる優れたエッチング液が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はアルミニウム系金属配線のウエットエッチングに関し、特に、アルミニウム系金属配線とモリブテン等の高融点金属配線との積層膜のウエットエッチングに関するものであり、優れたエッチング液を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために提案するものであり、
Al系金属層の形成方法、特に、Al系金属層と高融点金属層との積層構造を有する積層配線のウエットエッチング法に関するものであり、ウエットエッチング液がリン酸、硝酸、有機酸および陽イオン成分を含有する水溶液からなることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるウエットエッチング液としては、リン酸、硝酸、有機酸、さらには陽イオン成分を含有する水溶液である。
本発明に使用されるリン酸の濃度は全溶液中で50〜80重量%であり、リン酸は、本発明のエッチング液において、主にAl系金属層のエッチングに寄与するものであり、50重量%以下であると、Al系金属層のエッチング速度が遅くなり、また80重量%以上であるとAl系金属層のエッチング速度が速くなり好ましくない。
本発明に使用される硝酸の濃度は、全溶液中で0.5〜10重量%であり、硝酸は本発明のエッチング液において、主にMo等の高融点金属層のエッチングに寄与するものであり、0.5重量%以下では、Mo等の高融点金属層のエッチング速度が遅くなり、10重量%以下ではMo等の高融点金属層のエッチング速度が速くなり好ましくない。
本発明に使用される有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、等のモノカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸等のトリカルボン酸類、ヒドロキシ酢酸、乳酸、サリチル酸等のオキシモノカルボン酸類、リンゴ酸、酒石酸等のオキシジカルボン酸、クエン酸等のオキシトリカルボン酸類、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノカルボン酸類が挙げられる。
本発明に使用される有機酸の濃度は、0.5〜10重量%の範囲であり、有機酸の濃度はリン酸、硝酸の濃度、あるいはエッチングの条件等により、適宜決定すれば良い。本発明に使用される陽イオン成分としては、アンモニア、さらに、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等のポリアミン類、ピロール、ピロリン、ピロリジン、モルホリン等の環式アミン類等が挙げられ、さらに、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物等の、第四級アンモニウムイオンが挙げられる。
また、本発明に使用される陽イオン成分としては、上記アンモニウムイオン、アミンイオン、第四級アンモニウムイオンの他に、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンが挙げられる。
上記、陽イオン成分は全溶液中、0.1〜20重量%の範囲であり、0.1重量%以下では、エッチング液のライフが短くなり、さらに20重量%以下では、モリブデン、アルミニウムのエッチング速度が遅くなり好ましくない。
本発明の使用温度は常温〜70℃の範囲で行われるが、本発明における使用温度は、使用される積層膜の種類、厚さ等から、勘案して、適宜決定すれば良い。
【0006】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0007】
実施例1
図4(a)〜(c)で詳細に説明する。まずTFTガラス基板1上に、アルミニウム21(750Å)、次いでモリブデン22(750Å)をスパッタし、図4(a)の様な積層膜を形成する。さらに、図4(b)に示すようにモリブデン/アルミニウム積層膜上に、フォトレジスト23を塗布、あらかじめ用意したパターンマスクを露光転写後、現像し所望のフォトレジストパターンを形成した構造を得る。
上記図4(b)の基板を用いて、リン酸70重量%、硝酸4重量%、酢酸3.5重量%、水酸化アンモニウム2重量%、残分が水であるエッチング液で40℃、100秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。その結果、図4(c)で示す様に、良好な順テーパ状の、モリブデン/アルミニウム積層膜が得られた。
【0008】
比較例1
前記図4(b)の基板を用いて、リン酸70重量%、硝酸4重量%、酢酸3.5重量、残分が水であるエッチング液で40℃、55秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図4(d)で示す様に、順テーパ状のモリブデン/アルミニウム積層膜は得られなかった。
【0009】
実施例2
図5(a)〜(c)で詳細に説明する。まずTFTガラス基板1上に、モリブデン22(750Å)、アルミニウム21(1500Å)、次いでモリブデン22(750Å)をスパッタし、図5(a)の様な積層膜を形成する。さらに、図5(b)に示すようにモリブデン/アルミニウム積層膜上に、フォトレジスト23を塗布、あらかじめ用意したパターンマスクを露光転写後、現像し所望のフォトレジストパターンを形成した構造を得る。
上記図5(b)の基板を用いて、リン酸75重量%、硝酸3重量%、酢酸5重量%、水酸化アンモニウム3.5重量%、残分が水であるエッチング液で45℃、55秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図5(c)で示す様に、良好な順テーパ状のモリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜が得られた。
【0010】
実施例3
前記図5(b)の基板を用いて、リン酸70重量%、硝酸4重量%、プロピオン酸5重量%、水酸化アンモニウム3.5重量%、残分が水であるエッチング液で45℃、40秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図5(c)で示す様に、良好な順テーパ状のモリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜が得られた。
【0011】
実施例4
前記図5(b)の基板を用いて、リン酸70重量%、硝酸4重量%、プロピオン酸5重量%、水酸化ナトリウム4重量%、残分が水であるエッチング液で45℃、50秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図5(c)で示す様に、良好な順テーパ状のモリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜が得られた。
【0012】
比較例2
前記図5(b)の基板を用いて、リン酸75重量%、硝酸3重量%、酢酸5重量%、残分が水であるエッチング液で45℃、30秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図5(d)で示す様に、順テーパ状のモリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜は得られなかった。
【0013】
比較例3
前記図5(b)の基板を用いて、リン酸70重量%、硝酸4重量%、プロピオン酸5重量%、残分が水であるエッチング液で45℃、30秒(30%オ−バ−エッチ時間)エッチングを行い水でリンス後、乾燥し、さらにアミン系剥離液でフォトレジスト23を剥離した後、電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
その結果、図5(d)で示す様に、順テーパ状のモリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜は得られなかった。
【0014】
【発明の効果】
本発明のエッチング液組成物を使用することにより、アルミニウム系金属配線とモリブテン等の高融点金属配線との積層膜のウエットエッチングを良好に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】逆スタガ型のTFTパネル構造の概略の断面図
【図2】Al系金属配線の上層に、Mo系の高融点金属配線を積層した積層配線構造
【図3】Al系金属配線の上層、下層の両面に、Mo系の高融点金属配線を積層した積層配線構造
【図4】モリブデン/アルミニウム積層膜の製造工程図
【図5】モリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜の製造工程図
【符号の説明】
1:ガラス基板 2:ゲート電極 3:ゲート絶縁膜 4:n型半導体層
5:i型半導体層 6:ソース電極 7:ドレイン電極 21:Al系ゲート電極 22:Mo系ゲート電極 23:フォトレジスト

Claims (3)

  1. 基板上のアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜を、エッチングする際に使用する、リン酸、硝酸、有機酸および水酸化アンモニウムを含有する水溶液からなるエッチング液組成物。
  2. 基板上のアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜が、モリブデン/アルミニウム積層膜または、モリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜であることを特徴とする請求項1記載のエッチング液組成物。
  3. 有機酸が酢酸および/またはプロピン酸であることを特徴とする請求項1記載のエッチング液組成物。
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