JP4596098B2 - 光学活性α−アミノ酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光学活性α−アミノ酸の製造方法に関する。光学活性α−アミノ酸は各種工業薬品などの中間体ならびに、農薬、化粧品、飼料添加物、食品添加物、および医薬品として極めて重要な物質である。
【0002】
【従来の技術】
α−アミノ酸アミドを生化学的に加水分解して、光学活性α−アミノ酸を製造する方法は公知である。例えば、D,L−α−アミノ酸アミドにシゾサッカロミセス属、ロドスポリジウム属、キャンデイダ属、クリプトコッカス属、ピチロスポラム属、ロドトルラ属、トルロプシス属、トリコスポロン属またはトレメタ属に属しL−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するL−α−アミノ酸を製造する方法(特開昭59−159789)、D,L−α−アミノ酸アミドにロドスピリラム属、ロドシュードモナス属、スピリラム属、ミクロシクラス属、シュードモナス属、グルコノバクター属、アグロバクテリウム属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、アセトバクター属、エッシエリヒア属、エントロバクター属、セラチア属、アエロモナス属、フラボバクテリウム属、パラコッカス属、チオバチラス属、ストレプトコッカス属、コリネバクテリウム属、アルスロバクター属、ミクロバクテリウム属、ノカルジア属、ムコール属、リゾプス属、アスペルギラス属、ペニシリウム属、フサリウム属、ナドソニア属、ハンセニアスポラ属、ウイケルハミア属、サッカロマイセス属、ロッデロマイセス属、ピチア属、ハンセヌラ属、パチソレン属、シテロマイセス属、デバリオマイセス属、デッケラ属、サッカロマイコプシス属、リポマイセス属、ロイコスポリジウム属、スポロボロマイセス属、スポリジオボラス属、オオスポリジウム属、ステリグマトマイセス属またはトリコノプシス属に属しL−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するL-α−アミノ酸を製造する方法(特開昭60−36446)、D,L−α−アミノ酸アミドにミコプラナ属またはプロタミノバクター属に属しL−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するL-α−アミノ酸を製造する方法(特開平01−277499)、D,L−α−アミノ酸アミドにミコバクテリウム・メタノリカ属に属しL−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するL-α−アミノ酸を製造する方法(特開平01−215297)、D−α−アミノ酸アミドにアクロモバクター属、アルカリゲネス属またはクルチア属に属しD−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するD−α−アミノ酸を製造する方法(特開昭60−184392)、D−α−アミノ酸アミドにシュードモナス属、ロドコッカス属またはセラチア属に属しD−α−アミノ酸アミド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するD−α−アミノ酸を製造する方法(特開昭61−274690)、D,L−α−アミノ酸アミドにロドコッカス属に属しD−α−アミノ酸アミドを選択的に加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体あるいは菌体処理物を作用させ、対応するD−α−アミノ酸を製造する方法(特開昭63−087998)、などが知られている。
この反応で使用される、原料のα−アミノ酸アミドは、通常、アルデヒドとシアン化水素よりシアンヒドリンを得、次いで液体アンモニアあるいはアンモニア水にてアミノ化を行いα−アミノニトリルとした後、カルボニル化合物の存在下α−アミノニトリルの部分加水分解反応後、アンモニアおよびケトン類を除去することにより製造される。
従来、生化学的加水分解反応で使用される原料のα−アミノ酸アミドは、上記α−アミノニトリルの部分加水分解反応で得られるα−アミノ酸アミド含有水溶液を、そのまま、あるいは濃縮脱水後再結晶精製を行い、使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、アルデヒドとシアン化水素およびアンモニアから製造されるα−アミノ酸アミド含有水溶液を、そのまま生化学的加水分解反応に用いた場合には酵素の活性低下が著しく、また、酵素活性の低下を避けるためにα−アミノ酸アミドの再結晶精製を行った場合には、精製収率が低く、実用上問題があった。
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、生化学的加水分解反応において酵素活性の低下が少ない、光学活性α−アミノ酸の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の如き課題を有する光学活性α−アミノ酸の製造方法について鋭意検討を行った結果、上述のようにして製造したα−アミノ酸アミド含有水溶液を水と混和しない有機溶媒と接触させた後、生化学的加水分解反応の原料として使用することにより、α−アミノ酸アミドの精製収率が高く、且つ生化学的加水分解反応において酵素活性の低下少なく、光学活性α−アミノ酸を製造出来ることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
即ち本発明は、アルデヒドとシアン化水素およびアンモニアから製造される一般式(1)で表されるα−アミノ酸アミド含有水溶液を、水と混和しない有機溶媒と接触させた後、生化学的加水分解反応の原料として使用することを特徴とする、一般式(2)で表される光学活性α−アミノ酸の製造方法である。
R1 CH(NH2 )CONH2 (1)
(R1 は低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基、置換ベンジル基、複素環基または置換複素環基である)
R1 CH(NH2 )COOH (2)
(R1 は低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基、置換ベンジル基、複素環基または置換複素環基である)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は通常、α−アミノ酸アミド含有水溶液に水と混和しない有機溶媒を添加し、α−アミノ酸アミド含有水溶液と接触させ、酵素活性阻害物質を有機溶媒中へ抽出分離し、次いで、α−アミノ酸アミドを生化学的加水分解反応に供することにより行われる。
【0007】
本発明の一般式(1)で示されるα−アミノ酸アミドのR1 の低級アルキル基には特に制限はないが、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルなどのC1 〜C4 の直鎖または分岐した低級アルキル基であり、複素環基としては、フリル基、ピリジル基、チアゾリル基、イミダゾリル基およびインドリル基であり、また、置換低級アルキル基、置換シクロヘキシル基、置換フェニル基、置換ベンジル基および置換複素環基のそれぞれに含まれる置換基は、例えばヒドロキシ、メトキシ、メルカプト、メチルメルカプト、アセタール、カルボキシル、カルボクサミド、ハロゲン、イミダゾリルおよびインドリルなどである。一般式(1)で表されるα−アミノ酸アミドの代表例としては、グリシンアミド、アラニンアミド、バリンアミド、ロイシンアミド、イソロイシンアミド、t-ロイシンアミド、セリンアミド、スレオニンアミド、システインアミド、シスチンアミド、メチオニンアミド、アリシンエチレンアセタールアミド、アスパラギンアミド、グルタミンアミド、フェニルグリシンアミド、フェニルアラニンアミド、チロシンアミド、トリプトファンアミドおよびヒスチジンアミドなどが挙げられる。
【0008】
また、本発明の一般式(2)で示される光学活性α−アミノ酸は、上記α−アミノ酸アミドに対応した光学活性α−アミノ酸である。使用原料であるα−アミノ酸アミド含有水溶液中のα−アミノ酸アミド濃度は、特に限定されるものではないが、通常は10〜50重量%である。
【0009】
本発明で使用される水と混和しない有機溶媒は、限定されるものではないが、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、脂肪族エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族炭化水素類、置換芳香族炭化水素類等が特に好ましく、具体的には、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチル-t- ブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンおよびアニソールなどが挙げられる。有機溶媒の使用量および抽出処理回数は、使用原料であるα−アミノ酸アミドの種類および製造法、使用する溶媒種等により異なり一概には言えないが、通常は経済性を考慮して、原料のα−アミノ酸アミド含有水溶液に対して0.1〜3倍量および1〜5回の範囲である。有機溶媒を接触させる時の接触温度、圧力および接触時間は、特に限定されるものではなく、通常は常温、常圧、1時間程度である。水と混和しない有機溶媒で接触させた後に有機溶媒は分離除去される。有機溶媒を分離除去されて得られるα−アミノ酸アミド含有水溶液は、そのまま、あるいは溶解している少量の有機溶媒を減圧留去した後、生化学的加水分解反応の原料に使用する。
【0010】
D,L−α−アミノ酸アミドの生化学的加水分解に使用される微生物は、特に限定されるものではない。微生物の培養は、使用微生物が通常資化し得る炭素源、窒素源、各微生物に必須の無機塩、栄養等を含有させた培地を用いて行われるが、高い酵素活性を得るために培地へ予めD,L−α−アミノ酸アミドを添加することも効果的である。この際に使用されるD,L−α−アミノ酸アミドは、目的とする光学活性α−アミノ酸に対応するD,L−α−アミノ酸アミドであることが好ましいが、他のα−アミノ酸アミドでも良い。培養時のPHは4〜10の範囲であり、温度は20〜50℃である。培養は1日〜1週間好気的に行われる。このようにして培養した微生物は、培養液、分離菌体、乾燥菌体、菌体破砕物さらには精製した酵素などの菌体処理物として反応に使用される。勿論、常法に従って菌体または酵素を固定化して使用することもできる。
【0011】
D,L−α−アミノ酸アミドの生化学的加水分解反応の条件は、D,L−α−アミノ酸アミドの反応液中の濃度1〜40wt%、D,L−α−アミノ酸アミドに対する微生物の使用量は特に制限はないが、通常は乾燥菌体基準で重量比0.005〜10、反応温度20〜70℃およびPH5〜13の範囲である。D,L−α−アミノ酸アミドの生化学的加水分解反応で生成したL−またはD−α−アミノ酸は、反応生成液から、例えば遠心分離あるいは濾過膜などの通常の固液分離手段により微生物菌体を除いた後、イオン交換電気透析により分離後晶出あるいは減圧濃縮後エタノールを加えてL−またはD−α−アミノ酸を析出させ濾取する、などの方法により容易に分離することができる。
【0012】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
実施例1
▲1▼ D,L−バリンアミド合成
(イ)イソブチルアルデヒドシアンヒドリン合成
撹拌機、温度計および滴下ロートを付した200ml三ツ口フラスコにイソブチルアルデヒド72.1gおよびトリエチルアミン0.3gを加え、冷却撹拌下、20℃を越えないようにしてシアン化水素27.8gを滴下し、シアン化水素の滴下終了後そのまま30分間熟成反応を行いイソブチルアルデヒドシアンヒドリンを得た。反応液組成をガスクロマトグラフィーで分析したところイソブチルアルデヒドシアンヒドリン98.1gが生成していた。この結果は、仕込イソブチルアルデヒドに対するイソブチルアルデヒドシアンヒドリンの収率99%である。
(ロ)α−アミノイソバレロニトリル合成
撹拌機、温度計および滴下ロートを付した500ml三ツ口フラスコに25%アンモニア水204gを加え、5〜10℃撹拌下、(イ)で得られたイソブチルアルデヒドシアンヒドリン合成液の全量100.2gを添加し、次いで25℃で3時間熟成反応を行いα−アミノイソバレロニトリル含有液を得た。反応液組成を液体クロマトグラフィーで分析したところα−アミノイソバレロニトリル91.0gが生成していた。この結果は、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するα−アミノイソバレロニトリルの収率92.8%である。
(ハ)D,L−バリンアミド合成
(ロ)で得られたα−アミノイソバレロニトリル含有液中へアセトン29gを添加し、0℃へ冷却、次いで撹拌下20%苛性ソーダ水溶液4gを加え6時間反応した。反応終了後、塩化アンモニウム1.1gを溶解した水溶液150gを加え苛性ソーダを中和した後、減圧下少量の水と共にアンモニアおよびアセトンを留去し、D,L−バリンアミド含有水溶液295.2gを得た。反応液組成を液体クロマトグラフィーで分析したところD,L−バリンアミド106.6gが生成していた。この結果は、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するD,L−バリンアミドの収率91.7%である。
【0013】
▲2▼ D,L−バリンアミド含有水溶液中の不純物の抽出処理
▲1▼で得られたD,L−バリンアミド含有水溶液147.6g中へ塩化メチレン50gを加え、室温で30分間撹拌後分液し、次いで上層のD,L−バリンアミド含有水相へ溶解している少量の塩化メチレンを減圧留去し、不純物抽出処理D,L−バリンアミド含有水溶液143.5gを得た。反応液組成を液体クロマトグラフィーで分析したところDL−バリンアミド52.5gを含有していた。この結果は、不純物の抽出処理工程でのD,L−バリンアミド回収率は98.4%であり、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するD,L−バリンアミドの収率90.3%である。
【0014】
▲3▼ 使用菌の培養
グルコース1.0wt%、ペプトン1.0wt%および酵母エキス1.0wt%を含有する種培地を調製し、この種培地30mlを100ml三角フラスコに入れ、滅菌後、種菌としてミコプラナ・ブラタ(NCIB 9440)を接種し、30℃で48時間振とう培養を行い種培養液を得た。この種培養液を次の組成の本培地1Lに移植し、30℃で48時間通気撹拌培養を行った。
次いで、培養液から遠心分離により生菌体44gを得た。この生菌体の水分含量は83%であった。
【0015】
▲4▼ D,L−バリンアミドの生化学的加水分解反応
前記▲2▼で得られた不純物抽出処理後のD,L−バリンアミド含有水溶液57.4gおよび水42.6gを200ml三角フラスコに秤取し、さらに前記▲3▼で得られた生菌体1.24gを加え40℃で22時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応生成液を18000rpm で10分間遠心し、上澄液を得た。この上澄液を液体クロマトグラフィーで分析し、生成したL−バリンの収率を求めたところ、仕込D,L−バリンアミド含有水溶液中のL−バリンアミドに対して98.7%であった。この結果は、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するL−バリンの収率44.6%である。
【0016】
比較例1
実施例1のD,L−バリンアミド含有水溶液中の不純物の抽出処理工程を省いた以外は、実施例1と同様にしてD,L−バリンアミドの生化学的加水分解反応を行った。
▲1▼ D,L−バリンアミド合成
実施例1と同様
▲2▼ D,L−バリンアミド含有水溶液中の不純物の抽出処理
この工程は省略
▲3▼ 使用菌の培養
実施例1と同様
▲4▼ D,L−バリンアミドの生化学的加水分解反応
実施例1の▲1▼で得られたD,L−バリンアミド含有水溶液58.2gおよび水41.8gを200ml三角フラスコに秤取し、さらに実施例1の▲3▼で得られた生菌体1.24gを加え40℃で22時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応生成液を18000rpm で10分間遠心し、上澄液を得た。この上澄液を液体クロマトグラフィーで分析し、生成したL−バリンの収率を求めたところ、仕込D,L−バリンアミド含有水溶液中のL−バリンアミドに対して65.8%であった。この結果は、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するL−バリンの収率30.2%である。
【0017】
比較例2
実施例1の▲2▼のD,L−バリンアミド含有水溶液中の不純物の抽出処理工程に換え、D,L−バリンアミド含有水溶液を濃縮脱水後ベンゼンを用い再結晶精製を行い、精製D,L−バリンアミドを得、これを生化学的加水分解反応に使用した以外は実施例1と同様にして反応を行った。
▲1▼ D,L−バリンアミド合成
実施例1と同様
▲2▼ D,L−バリンアミドの再結晶精製
実施例1の▲1▼で得られたD,L−バリンアミド含有水溶液73.8gを200mlナス型フラスコに秤取し、含有する水を完全に留去後、ベンゼン80mlを加え加熱溶解、不溶物を熱時濾過後冷却し、析出する結晶を濾取した。乾燥後、18.1gのD,L−バリンアミドを得た。この結果は、再結晶精製収率は67.8%であり、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するD,L−バリンアミドの収率62.2%である。
▲3▼ 使用菌の培養
実施例1と同様
▲4▼ D,L−バリンアミドの生化学的加水分解反応
▲2▼で得られたD,L−バリンアミド18.1gおよび水68.1gを200ml三角フラスコに秤取し、さらに実施例1の▲3▼で得られた生菌体1.06gを加え40℃で22時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応生成液を18000rpm で10分間遠心し、上澄液を得た。この上澄液を液体クロマトグラフィーで分析し、生成したL−バリンの収率を求めたところ、仕込D,L−バリンアミド中のL−バリンアミドに対して98.5%であった。この結果は、最初の仕込イソブチルアルデヒドに対するL−バリンの収率30.6%である。
【0018】
実施例2〜5
D,L−バリンアミド含有水溶液中の不純物の抽出処理溶媒に、各種溶媒を使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。結果を表1に示す。
【0019】
実施例6〜10
出発原料に各種アルデヒドを使用した以外は、実施例1および比較例1と同様にして反応を行い、アミド含有水溶液の塩化メチレン抽出処理効果について比較した。結果を表2に示す。
【0020】
実施例11〜14
出発原料にグルタルアルデヒドエチレンアセタールを用いて得られたD,L−α−アリシンエチレンアセタールアミド水溶液をα−アミノ酸アミド水溶液として用いたこと、及び生化学的加水分解反応に実施例1で用いた菌株とは異なる各種菌株を用いた以外は、実施例1および比較例1と同様にして反応を行い、アミド含有水溶液の塩化メチレン抽出処理効果について比較した。結果を表3に示す。
【0021】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、生化学的加水分解反応における酵素活性の低下が少ないので、光学活性α−アミノ酸を効率的に製造できる。
Claims (2)
- アルデヒドとシアン化水素およびアンモニアから製造される一般式(1)で表されるα−アミノ酸アミドの水溶液を、水と混和しない有機溶媒と接触させ、該有機溶媒を分離除去した後、生化学的加水分解反応の原料として使用することを特徴とする、一般式(2)で表される光学活性α−アミノ酸の製造方法。
R1 CH(NH2 )CONH2 (1)
(R1 は低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基、置換ベンジル基、複素環基または置換複素環基である)
R1 CH(NH2 )COOH (2)
(R1 は低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基、置換ベンジル基、複素環基または置換複素環基である) - 水と混和しない有機溶媒の使用量は、前記α−アミノ酸アミドの水溶液に対して0.1〜3倍量であることを特徴とする請求項1記載の光学活性α−アミノ酸の製造方法。
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