JP4595954B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
ところが、例えば、射出成形法に供される原料粉末は、その射出成形時の流動性を向上させる目的等で結合材を比較的多く含有している。この結合材を除去するためには、長時間の加熱が必要となり、生産効率が低下したり、加熱処理中に成形体が変形する等の問題がある。
かかる問題点を解決するために、無機材料粉末とポリアセタールを含有する結合材とを混合した原料粉末で構成された成形体を、気体状の酸含有雰囲気中または三フッ化ホウ素含有雰囲気中で加熱処理して脱脂体を得た後、この脱脂体を焼結させて焼結体を得る焼結体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸および三フッ化ホウ素は、金属溶解性が高く、設備に耐食性の高い材料を用いる必要があるため、コスト高となる。
これに加え、ポリアセタールと酸含有雰囲気との反応により、ホルムアルデヒドが発生する。ホルムアルデヒドは、可燃性・引火性が高く、また、発ガン性・毒性も高いことから、火災・爆発等の危険や、作業従事者への健康被害をもたらすおそれがある。
しかしながら、オゾン含有雰囲気中で脱脂処理を行っても、処理条件によっては、成形体を十分に脱脂することができないことがわかってきた。
また、オゾンは酸化力が極めて強いため、無機材料粉末として金属粉末を用いた場合、金属粉末が酸化されるという問題もある。
さらに、脱脂処理の際にオゾンを大量に消費するが、オゾンが非常に高価なガスであるため、脱脂工程の高コスト化が課題となっている。
本発明の焼結体の製造方法は、主として無機材料で構成された粉末と、脂肪族炭酸エステル系樹脂を含む結合材とを含有する組成物を所定の形状に成形し、成形体を得る成形体形成工程と、
該成形体を、温度50〜190℃のアンモニア含有雰囲気に曝すことにより、前記成形体中から前記脂肪族炭酸エステル系樹脂を分解・除去し、脱脂体を得る脱脂工程と、
該脱脂体を、少なくとも1回、前記アンモニア含有雰囲気よりアンモニア濃度が低い低アンモニア含有雰囲気に曝す中間工程と、
前記低アンモニア含有雰囲気に曝された脱脂体を焼結させて焼結体を得る焼結工程とを有することを特徴とする。
これにより、優れた特性(寸法精度、機械的特性、外観等)を有する焼結体を、安全、容易かつ安価に製造することができる。
これにより、効率よく確実に脂肪族炭酸エステル系樹脂の分解・除去を行うことができる。
これにより、脂肪族炭酸エステル系樹脂は、より容易かつ速やかに分解し得るものとなる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、炭酸エステル基以外の部分において、不飽和結合を有しないものであることが好ましい。
これにより、脂肪族炭酸エステル系樹脂がアンモニアと接触することで分解する際の効率が向上し、前記結合材の分解・除去をより効率よく行うことができる。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の融点および粘度が最適なものとなり、前記成形体の形状の安定性(保形性)向上を図ることができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記結合材中の前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の含有率は、20wt%以上であることが好ましい。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂が分解・除去される効果がより確実に得られ、前記結合材全体の脱脂をより促進させることができる。
前記脱脂工程の直後に、前記成形体を加熱することにより、前記成形体中から前記第2の樹脂を分解・除去する第2の脱脂工程を有することが好ましい。
これにより、前記成形体中の前記脂肪族炭酸エステル系樹脂と前記第2の樹脂とを、それぞれ前記脱脂工程と前記第2の脱脂工程とに分けて、選択的に脱脂することができる。その結果、前記成形体の脱脂の進度を制御することができ、保形性、すなわち寸法精度に優れた前記脱脂体を容易かつ確実に得ることができる。
これにより、効率よく確実に前記第2の樹脂の分解・除去を行うことができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記第2の脱脂工程における雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものであることが好ましい。
これにより、前記低アンモニア含有雰囲気に曝された前記脱脂体中の特に金属材料の酸化を確実に防止しつつ、前記第2の樹脂を分解・除去することができる。
これらの材料は、前記脱脂体中での結合強度が高く、前記脱脂体が変形するのを確実に防止することができる。また、これらの材料は、流動性が高く、加熱により分解し易いことから、容易に脱脂することができる。その結果、寸法精度に優れた前記脱脂体をより確実に得ることができる。
これにより、前記脱脂体中からアンモニアをほぼ排除することができるので、前記脱脂体中の無機材料の窒化をより確実に防止することができる。
これにより、前記脱脂体中に存在する前記低アンモニア含有雰囲気中のアンモニアの還元作用をより低下させ、前記脱脂体中の無機材料の窒化をさらに確実に抑制することができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記低アンモニア含有雰囲気は、前記アンモニア以外に、非酸化性ガスを主成分とするものであることが好ましい。
これにより、無機材料の窒化を防止するとともに、無機材料、特に金属材料の酸化を防止することができる。
これにより、複数の前記脱脂体を同時かつ連続的に処理して前記焼結体を製造することができるので、前記焼結体の製造効率を高めることができる。また、連続炉によれば、製造途中で、前記脱脂体が大気に曝されることが防止される。このため、前記脱脂体と大気との接触によって、前記脱脂体中に含まれる特に金属材料が酸化するのを確実に防止することができる。
該空間中を前記成形体を通過させることにより、前記脱脂工程から前記中間工程までを連続して行うことが好ましい。
これにより、これらの工程をより短時間で行うことができる。
前記射出成形法は、成形型の選択により、複雑で微細な形状の前記成形体を容易に形成することができる。また、前記押出成形法は、成形型の選択により、所望の押出面形状を有する柱状または板状の前記成形体を、特に容易かつ安価に形成することができる。
前記第2の脱脂工程において、前記成形体中から前記第2の樹脂とともに、前記添加剤を分解・除去するのが好ましい。
これにより、前記結合材に、前記添加剤が有する機能を発揮させるとともに、前記脱脂体の保形性や寸法精度に悪影響を与えることなく前記添加剤を分解・除去することができる。
これにより、前記組成物中において、前記粉末と、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂および前記第2の樹脂とがより均一に分散し、得られる前記脱脂体および前記焼結体は、その特性にバラツキが少なく、より均一なものとなる。
これにより、前記組成物中において、前記粉末の分散性を特に高めることができる。
前記高級脂肪酸は、その炭素数が16〜30のものであるのが好ましい。
これにより、前記組成物は、成形時の成形性の低下を防止しつつ、保形性に優れたものとなる。また、前記高級脂肪酸は、比較的低温でも容易に分解し得るものとなる。
図1は、本発明の焼結体の製造方法の実施形態を示す工程図、図2は、本実施形態で用いる焼結体製造用の組成物を模式的に示す図である。
まず、焼結体の製造に用いる組成物(焼結体製造用の組成物)10について説明する。
組成物10は、主として無機材料で構成された粉末1と、脂肪族炭酸エステル系樹脂3を含む結合材2とを含有するものである。
[1]粉末
粉末1は、主として無機材料で構成されたものである。
この無機材料としては、特に限定されないが、例えば、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属材料、アルミナ、マグネシア、ベリリア、ジルコニア、イットリア、フォルステライト、ステアタイト、ワラステナイト、ムライト、コージライト、フェライト、サイアロン、酸化セリウムのような酸化物系セラミックス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのような非酸化物系セラミックス材料、グラファイト、ナノカーボン(カーボンナノチューブ、フラーレン等)の炭素系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、金属材料の具体例としては、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS329J1、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630のようなステンレス鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼等に代表されるFe系合金、TiまたはTi系合金、WまたはW系合金、Co系超硬合金、Ni系サーメット等が挙げられる。
また、組成の異なる2種以上の材料を組み合わせて用いることにより、従来、鋳造では製造できなかった組成の焼結体を得ること可能となる。また、新規の機能や多機能を有する焼結体が容易に製造でき、焼結体の機能・用途の拡大を図ることができる。
なお、本発明において、「平均粒径」とは、対象となる粉末の粒度分布において、体積の累積で50%の部分に分布する粉末の粒径を指す。
結合材2は、後述する成形体を得る工程における、組成物10の成形性(成形のし易さ)、成形体の形状の安定性(保形性)に大きく寄与する成分である。組成物10が、このような成分を含むことにより、寸法精度に優れた焼結体を容易かつ確実に製造することができる。
この脂肪族炭酸エステル系樹脂3は、アンモニアを含有する雰囲気に曝すことにより、分解する性質を有するため、後述する第1の脱脂工程において、容易かつ速やかに除去、すなわち、脱脂することができるものである。その結果、保形性を維持しつつ、脱脂工程トータルに要する時間を短縮して、脱脂体の生産効率、すなわち焼結体の生産効率を向上させることができる。
このような脂肪族炭酸エステル系樹脂3は、例えば、ホスゲンまたはその誘導体と脂肪族ジオールとを塩基存在下で反応させるホスゲン法、エポキシ系化合物と二酸化炭素との亜鉛系触媒による共重合法、ジオールと有機炭酸エステルとのエステル交換法等により合成することができる。
また、脂肪族炭酸エステル系樹脂3としては、その重量平均分子量が、1〜30万程度のものが好ましく、2〜20万程度のものがより好ましい。これにより、脂肪族炭酸エステル系樹脂3の融点および粘度が最適なものとなり、成形体の形状の安定性(保形性)向上を図ることができる。
このような第2の樹脂4としては、結合材2が含有する脂肪族炭酸エステル系樹脂3の融点より熱分解温度が高いものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、またはこれらの共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
このような結合材2の形態は、特に限定されず、いかなる形態であってもよいが、例えば、粉末状、液状、ゲル状等が挙げられる。
この添加剤は、前述の第2の脱脂工程において、第2の樹脂4とともに分解・除去されるものが好ましい。これにより、結合材に、添加剤が有する機能を発揮させるとともに、脱脂体の保形性や寸法精度に悪影響を与えることなく添加剤を分解・除去することができる。
このうち、分散剤5は、図2に示すように、粉末1の周囲に付着し、組成物10中における粉末1の分散性を向上させる機能を有するものである。すなわち、組成物10が分散剤を含有することにより、粉末1と、脂肪族炭酸エステル系樹脂3および第2の樹脂4とがより均一に分散し、得られる脱脂体および焼結体は、その特性にバラツキが少なく、より均一なものとなる。
また、分散剤5は、滑剤としての機能、すなわち、後述する成形体形成工程において、組成物10の流動性を高める機能を有していてもよい。これにより、成形金型内への充填性を高め、均一な密度の成形体を得ることが可能となる。
また、高級脂肪酸は、その炭素数が16〜30であるのが好ましく、16〜24であるのがより好ましい。高級脂肪酸の炭素数が前記範囲内であることにより、組成物10は、成形性の低下を防止しつつ、保形性に優れたものとなる。また、炭素数が前記範囲内であることにより、高級脂肪酸は、比較的低温でも容易に分解し得るものとなる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられる。
また、酸化防止剤は、結合材を構成する樹脂の酸化を防止する機能を有するものである。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。
また、必要に応じて、混合の後に、混練等を行ってもよい。これにより、例えば、組成物10の嵩密度が高くなり、組成の均一性も向上するため、成形体をより高密度で均一性の高いものとして得ることができ、脱脂体、焼結体の寸法精度も向上する。
また、得られた混練物(コンパウンド)は、必要に応じ、粉砕されてペレット(小塊)化される。ペレットの粒径は、例えば、1〜10mm程度とされる。
混練物のペレット化には、ペレタイザ等の粉砕装置を用いて行うことができる。
次に、組成物10を用いて焼結体を製造する方法(本発明の焼結体の製造方法)について説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の焼結体の製造方法の第1実施形態について説明する。
図3は、本実施形態で得られた成形体を模式的に示す縦断面図、図4は、本実施形態で得られた第1の脱脂体を模式的に示す縦断面図、図5は、本実施形態で得られた第2の脱脂体を模式的に示す縦断面図、図6は、本発明の焼結体の製造方法により製造された焼結体を模式的に示す縦断面図、図7は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
本発明の焼結体の製造方法は、いかなる炉を用いて行ってもよく、例えば、連続脱脂焼結炉、バッチ式脱脂炉・焼結炉等を用いることができるが、本実施形態では、連続脱脂焼結炉(以下、省略して「連続炉」と言う。)100を用いて行う場合を例に説明する。
これらの各ゾーン110、120、130、140内には、成形体、第1の脱脂体、中間脱脂体、第2の脱脂体、焼結体等のワーク90を搬送するコンベア150が連続して配設されている。すなわち、連続炉100によれば、各ゾーン110、120、130、140内を、それぞれワーク90を通過させることにより、第1の脱脂工程[B]、中間工程[C]、第2の脱脂工程[D]、および焼結工程[E]を連続して行うことができる。そして、このコンベア150により、入炉口101からワーク90を炉内に入れるとともに、ゾーン110、ゾーン120、ゾーン130およびゾーン140を順次通過させて、出炉口102からワーク90を炉外に取り出すことができる。これにより、複数のワーク90を同時に処理して焼結体を製造することができるので、焼結体の製造効率を高めることができる。また、連続炉100によれば、焼結体の製造途中で、ワーク90が大気に曝されることが防止される。このため、特に、金属粉末を含むワーク90が大気と接触することによって、金属粉末が酸化するのを確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、ゾーン110のアンモニア濃度が、図7のグラフに示すように、ゾーン110内でほぼ一定になっている。
なお、図7に示す連続炉100は、平面視で直線状をなしているが、途中で屈折していてもよい。
[A] 成形体形成工程
まず、組成物10を混練してなる混練物または該混練物より造粒されたペレットを、所定の形状に成形して、図3に示すような成形体20を得る。
成形体20の形成は、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法(プレス成形法)、カレンダ成形法等の各種成形法により行うことができる。例えば、圧縮成形法の場合の成形圧力は、5〜100MPa程度であるのが好ましい。
このような各種成形法の中でも、成形体20は、射出成形法または押出成形法により形成されるのが好ましい。
射出成形の成形条件としては、用いる粉末1の組成や粒径、結合材2の組成、およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げると、材料温度は、好ましくは80〜210℃程度、射出圧力は、好ましくは2〜15MPa(20〜150kgf/cm2)程度とされる。
押出成形の成形条件としては、用いる粉末1の組成や粒径、結合材2の組成、およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げると、材料温度は、好ましくは80〜210℃程度、押出圧力は、好ましくは1〜10MPa(10〜100kgf/cm2)程度とされる。
なお、形成される成形体20の形状寸法は、以後の各脱脂工程、中間工程および焼結工程における成形体20の収縮分等を見込んで決定される。
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉100のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110を通過させつつ、成形体20を後述する中間工程における雰囲気より相対的にアンモニア濃度が高い高アンモニア含有雰囲気に曝す。これにより、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
これらの各効果に加え、特に成形体20が金属粉末を含んでいる場合には、アンモニアが金属粉末を酸化させるおそれがないことから、第1の脱脂体30の酸素含有率の上昇を防止することができる。
アンモニアは、脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解する作用が特に強いため、本発明に用いるガスとして好適である。
このとき、供給する高アンモニア含有雰囲気ガスの流量は、ゾーン110の容積に応じて適宜設定され、特に限定されないが、1〜30m3/h程度であるのが好ましく、3〜20m3/h程度であるのがより好ましい。
また、第1の脱脂の時間は、脂肪族炭酸エステル系樹脂3の含有率や高アンモニア含有雰囲気の温度等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、1〜30時間程度であるのが好ましく、3〜20時間程度であるのがより好ましい。これにより、効率よく確実に脂肪族炭酸エステル系樹脂3の分解・除去を行うことができる。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン120に搬送する。そして、ゾーン120を通過させつつ、第1の脱脂体30を前記高アンモニア含有雰囲気よりアンモニア濃度が低い低アンモニア含有雰囲気に曝す。
ここで、第1の脱脂工程を経た第1の脱脂体30においては、形成された流路31中に、アンモニア濃度の高い高アンモニア含有雰囲気ガスが残存している。アンモニアは、その還元作用により、脂肪族炭酸エステル系樹脂3の結合を切断して分解するが、窒素原子を含むガス(アンモニア)を用いた場合、第1の脱脂体30が含む無機材料粉末の組成によっては、無機材料の窒化を招くおそれがある。特に、流路31に高濃度のアンモニアが残存した状態で、第1の脱脂体30を第2の脱脂工程や焼結工程に移行させた場合には、熱が加わることで、かかる無機材料の窒化の進行がより顕著になる。
そこで、本実施形態では、第1の脱脂体30を低アンモニア含有雰囲気に曝す中間工程を設けることとした。
ここで、低アンモニア含有雰囲気のアンモニア濃度は、高アンモニア含有雰囲気より低ければよいが、できるだけ低いのが好ましい。
また、低アンモニア含有雰囲気は、実質的にアンモニアを含有しないのがさらに好ましい。これにより、流路31からアンモニアをほぼ排除することができるので、無機材料の窒化をより確実に防止することができる。
このとき、供給する低アンモニア含有雰囲気ガスの流量は、ゾーン120の容積に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.5〜30m3/h程度であるのが好ましく、1〜20m3/h程度であるのがより好ましい。
また、低アンモニア含有雰囲気の温度は、第1の脱脂工程における高アンモニア含有雰囲気の温度より低いのが好ましい。これにより、流路31中に存在する低アンモニア含有雰囲気中のアンモニアの還元作用をより低下させ、第1の脱脂体30中の無機材料の窒化をさらに確実に抑制することができる。
以上のようにして、第1の脱脂体30の流路31中の高アンモニア含有雰囲気を低アンモニア含有雰囲気で置換してなる中間脱脂体を得る。
なお、本工程は、必要に応じて行えばよく、省略することもできる。この場合、第1の脱脂工程および後述する第2の脱脂工程を経て、脱脂体を得ることができる。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン130に搬送する。そして、ゾーン130を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
なお、中間脱脂体中の流路31は、後述する焼結工程において消滅するか、または残存したとしても極めて微小な空孔(ポア)として残存する。このため、得られる焼結体は、密度が特に高いものとなる。また、得られる焼結体には、その美的外観が低い、または、機械的強度が低い等の問題は、ほとんど生じない。
特に、本工程を行う雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものであるのが好ましい。本工程は比較的高温下で行われるものの、還元性ガスを主成分とする雰囲気下であれば、中間脱脂体中の特に金属材料の酸化を確実に防止することができる。
なお、本工程は、必要に応じて行えばよく、例えば、組成物10中に第2の樹脂4および添加物を含有しない場合は、省略することもできる。この場合、第1の脱脂工程および中間工程を経て、脱脂体を得ることができる。また、中間工程も省略されている場合には、第1の脱脂工程を経て脱脂体を得ることができる。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン140に搬送する。そして、ゾーン140を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。
第2の脱脂体40を加熱すると、内部の粉末1は、接しているもの同士の界面において、相互に拡散が生じ、粒成長して、結晶粒となる。その結果、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率である図6に示すような焼結体50が得られる。
なお、焼結工程における焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
また、焼結工程を行う雰囲気は、粉末1を構成する無機材料の組成に応じても適宜選択され、特に限定されないが、水素のような還元性雰囲気、窒素、ヘリウム、アルゴンのような不活性雰囲気、これら各雰囲気を減圧した減圧雰囲気、または加圧した加圧雰囲気等が挙げられる。
なお、減圧雰囲気の場合、その圧力は特に限定されないが、3kPa(22.5Torr)以下であるのが好ましく、2kPa(15Torr)以下であるのがより好ましい。
なお、焼結工程を行う雰囲気は、工程の途中で変化してもよい。例えば、最初に3kPa程度の減圧雰囲気とし、途中で前記のような不活性雰囲気に切り替えることができる。
また、焼結工程は、2段階またはそれ以上に分けて行ってもよい。これにより、粉末1の焼結の効率が向上し、より短い焼結時間で焼結を行うことができる。
以上のようにして、優れた特性(寸法精度、機械的特性、外観等)を有する焼結体を、安全、容易かつ安価に製造することができる。
次に、本発明の焼結体の製造方法の第2実施形態について説明する。
図8は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる焼結体の製造方法は、使用する連続炉の雰囲気の設定が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、図8に示す連続炉200では、ゾーン110の内部において、ワーク90の進行方向に沿ってアンモニア濃度が連続的に変化している。
なお、このようにゾーン110内でアンモニア濃度に勾配を設ける場合、例えば、ゾーン110に設けられた複数のノズル170のうち、領域Hに対応するノズル170から供給するガスの種類と流量を、領域Lに対応するノズル170から供給するガスと異ならせるようにすればよい。
[A] 成形体形成工程
まず、前記第1実施形態と同様にして、図3に示すような成形体20を得る。
[B] 第1の脱脂工程
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉200のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110内の領域Hを通過させつつ、成形体20を高アンモニア含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態と同様にして、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン110内の領域Lに搬送する。そして、領域Lを通過させつつ、第1の脱脂体30を低アンモニア含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態と同様にして、第1の脱脂体30の流路31中に残存した高アンモニア含有雰囲気を低アンモニア含有雰囲気で置換する。
次に、1回目の中間工程を経た第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン120内に搬送する。そして、ゾーン120内を通過させつつ、前記第1の脱脂体30を実質的にアンモニアを含有しない雰囲気に曝す。これにより、第1の脱脂体30の流路31中に残存したアンモニアをほぼ全て除去してなる中間脱脂体を得る。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン120内に搬送する。そして、ゾーン120内を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、前記第1実施形態と同様にして、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン130内に搬送する。そして、ゾーン130内を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。これにより、前記第1実施形態と同様にして、第2の脱脂体40を焼結させ、図6に示すような焼結体50が得られる。
また、1つのゾーン110内で第1の脱脂工程と中間工程とを連続して行うことにより、これらの工程をより短時間で行うことができる。
さらに、中間工程を2回に分けて行うことにより、第1の脱脂体30の流路31中に残存したアンモニアをより確実に除去することができる。
以上のような第2実施形態にかかる焼結体の製造方法においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
次に、本発明の焼結体の製造方法の第3実施形態について説明する。
図9は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる焼結体の製造方法は、使用する連続炉の構成が異なる以外は、前記第2実施形態と同様である。
これらの各ゾーン110、130、140内には、前記第1実施形態と同様に、コンベア150が配設されている。
ここで、本実施形態では、ゾーン110の内部において、図8のゾーン110と同様に、ワーク90の進行方向に沿ってアンモニア濃度が変化している。
[A] 成形体形成工程
まず、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、図3に示すような成形体20を得る。
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉300のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110内の領域Hを通過させつつ、成形体20を高アンモニア含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン110内の領域Lに搬送する。そして、領域Lを通過させつつ、第1の脱脂体30を低アンモニア含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、第1の脱脂体30の流路31中に残存した高アンモニア含有雰囲気を低アンモニア含有雰囲気で置換し、中間脱脂体を得る。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン130内に搬送する。そして、ゾーン130内を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン140内に搬送する。そして、ゾーン140内を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、第2の脱脂体40を焼結させ、図6に示すような焼結体50が得られる。
以上、本発明の焼結体の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、焼結体の製造方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
1.成形体の作製
以下では、各サンプルNo.の成形体をそれぞれ所定数量ずつ作製した。
(サンプルNo.1)
水アトマイズ法により製造されたSUS316L粉末と、ポリプロピレンカーボネート(重量平均分子量:5万)とを混合し、以下に示す混練条件で、加圧ニーダー(混練機)を用いて混練した。
なお、SUS316L粉末の平均粒径は10μmであった。
また、粉末とそれ以外の成分(結合材と添加物)との混合比は、重量比で93:7とした。
・混練温度:200℃
・混練時間:0.75時間
・雰囲気 :窒素ガス
次に、この混練物を粉砕して、平均粒径3mmのペレットとし、該ペレットを用い、以下に示す成形条件で、射出成形機にて射出成形を繰り返し行い、所定数量のサンプルNo.1の成形体を作製した。
なお、成形体は、15×15×15mmの立方体形状とした。また、この成形体は、その対向する2面の中央部に内径5mmの貫通孔を有している。
<成形条件>
・材料温度:210℃
・射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm2)
粉末以外の成分の混合比および結合材の組成を、表1に示すように変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.2〜10の各成形体をそれぞれ作製した。
(サンプルNo.11〜12)
無機材料粉末の組成をジルコニアに変更するとともに、無機材料粉末とそれ以外の成分との混合比および結合材と添加剤の組成を表1に示すように設定した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.11〜12の各成形体をそれぞれ作製した。
無機材料粉末の組成を窒化ケイ素に変更するとともに、無機材料粉末とそれ以外の成分との混合比および結合材と添加剤の組成を表1に示すように設定した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.13〜14の各成形体をそれぞれ作製した。
(サンプルNo.15〜16)
結合材に第1の樹脂を添加せず、第2の樹脂および添加剤の組成を表1に示すように設定した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.15〜16の各成形体をそれぞれ作製した。
(実施例1)
次に、サンプルNo.1の成形体に対し、図7に示すような連続炉を用いて、以下に示す条件で第1の脱脂工程を行い、脱脂体を得た。
<第1の脱脂工程の条件>
・温度 :150℃
・時間 :6時間
・雰囲気 :アンモニアガス含有窒素ガス(アンモニアガス濃度:75vol%)
次いで、得られた脱脂体を、連続炉を用いて、以下に示す条件で焼結工程を行い、焼結体を得た。
<焼結工程の条件>
・温度 :1350℃
・時間 :3時間
・雰囲気 :水素ガス(大気圧)
用いる成形体のサンプルNo.と、第1の脱脂工程の条件と、焼成工程の条件とを、表2に示すように設定するとともに、第1の脱脂工程と焼結工程との間に、以下に示す条件で中間工程を行った以外は、それぞれ、前記実施例1と同様にして焼結体を得た。
<中間工程の条件>
・温度 :100℃(実施例11では30℃)
・時間 :1時間
・雰囲気 :窒素ガス(実施例9、10では、アンモニアガス含有窒素ガス)
用いる成形体のサンプルNo.と焼成工程の条件とを、表2に示すように設定するとともに、中間工程と焼結工程との間に、以下に示す条件で第2の脱脂工程を行った以外は、それぞれ、前記実施例5と同様にして焼結体を得た。
<第2の脱脂工程の条件>
・温度 :500℃
・時間 :1時間(実施例22、23では2時間)
・雰囲気 :水素ガス
中間工程を省略した以外は、前記実施例17と同様にして焼結体を得た。
(実施例27)
図8に示すような連続炉を用い、この連続炉の第1の脱脂工程を行うゾーン中のアンモニアガス含有窒素ガスを、アンモニアガス濃度が75vol%から5vol%に連続的に減少するよう設定した以外は、前記実施例17と同様にして、焼結体を得た。
図9に示すような連続炉を用い、この連続炉の第1の脱脂工程および中間工程を行うゾーン中のアンモニアガス含有窒素ガスを、アンモニアガス濃度が75vol%から0vol%に連続的に減少するよう設定し、このゾーン中を成形体を通過させることにより、第1の脱脂工程と中間工程とを連続して行うようにした以外は、前記実施例17と同様にして、焼結体を得た。
アンモニアガス濃度を0vol%に変更するとともに、第1の脱脂工程の時間を20時間に変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
(比較例2)
アンモニアガス濃度を0vol%に変更するとともに、第1の脱脂工程の時間を80時間に変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
第1の脱脂工程と焼結工程との間に、以下に示す条件で中間工程を行った以外は、それぞれ、前記比較例1〜2と同様にして、焼結体を得た。
<中間工程の条件>
・温度 :100℃
・時間 :1時間
・雰囲気 :窒素ガス
第1の脱脂工程における雰囲気を、オゾン濃度1000ppmのオゾン含有窒素ガスに変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
(比較例6〜7)
用いる成形体のサンプルNo.および第2の脱脂工程の条件を、それぞれ表2に示すように変更した以外は、前記実施例17と同様にして、焼結体を得た。
3−1.重量減少率の評価
実施例1〜28および比較例1〜7について、第1の脱脂工程後における重量減少率をそれぞれ測定した。
また、実施例17〜28および比較例6〜7については、第2の脱脂工程後における重量減少率もそれぞれ測定した。
そして、各実施例および各比較例に算出した脱脂工程トータルにおける重量減少率と、この重量減少率から算出される、無機材料粉末以外の成分(結合材および添加剤)の除去率と、脱脂工程トータルに要した時間とを表2に示す。
また、各実施例の脱脂工程では、結合材の組成や、第1の脱脂工程の雰囲気中のアンモニアガス濃度、雰囲気の温度等によって若干異なるが、短時間であっても十分な脱脂がなされており、脱脂工程トータルに要する時間を短縮することができたと言える。これは、第1の脱脂工程において、脂肪族炭酸エステル系樹脂が速やかに分解・除去され、これにより、第2の樹脂の分解・除去も速やかに行われたためである。
一方、各比較例のうち、比較例1〜4では、長時間の脱脂を行っても半分以上の結合材が残留し、脱脂が不十分であった。これは、第1の脱脂工程の雰囲気中にアンモニアガスが含まれていないため、脂肪族炭酸エステル系樹脂の分解・除去が進まず、多量に残留したためである。
また、比較例6、7で用いた成形体は、脂肪族炭酸エステル系樹脂を含有していないため、第1の脱脂工程において、150℃という低温下で結合材が十分に分解せず、これにより、第2の脱脂工程を長時間行っても十分な脱脂がなされなかった。
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ密度を測定した。なお、密度の測定は、アルキメデス法(JIS Z 2505に規定)により、100個のサンプルについて行い、その平均値を測定値とした。
次いで、各測定値から焼結体の相対密度を算出した。なお、この相対密度は、SUS316Lの密度の相対基準を7.98g/cm3(理論密度)、ジルコニアの密度の相対基準を6.07g/cm3(理論密度)、窒化ケイ素の密度の相対基準を3.30g/cm3(理論密度)とし、これらの相対基準に基づいて算出した。
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ幅方向の寸法を測定し、その寸法のバラツキを評価した。寸法の測定は、マイクロメータにより、100個のサンプルについて行い、そのバラツキを算出した。
次いで、各焼結体について、それぞれ中心穴の真円度を測定した。真円度の測定では、三次元測定器を用いて行い、平均値を求めた。
なお、比較例1、3の各焼結体は、ほぼ全数に割れが発生していたため、密度・寸法の測定を省略した。
まず、各実施例および各比較例と同様にして、ISO 2740の規定の試験片となる焼結体を作製した。
次いで、JIS Z 2241に規定の試験方法にしたがって、試験片の引張強度を測定した。
そして、得られた測定結果を、以下の基準にしたがって相対的に評価した。
◎:引張強度が非常に大きい
○:引張強度がやや大きい
△:引張強度がやや小さい
×:引張強度が非常に小さい
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ美的外観を評価した。なお、評価は、以下の基準にしたがって行った。
◎:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが全くない
○:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが若干ある
△:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが多数ある
×:ほぼ全数に割れがある
以上、3−2〜3−5の各評価結果を表3に示す。
また、各実施例で得られた焼結体は、いずれもその機械的特性(引張強度)も優れていた。特に、中間工程を経て作製された焼結体は、その傾向が顕著であった。
さらに、各実施例で得られた焼結体は、いずれも美的外観に優れていた。
Claims (16)
- 主として無機材料で構成された粉末と、脂肪族炭酸エステル系樹脂を含む結合材とを含有する組成物を所定の形状に成形し、成形体を得る成形体形成工程と、
該成形体を、温度50〜190℃のアンモニア含有雰囲気に曝すことにより、前記成形体中から前記脂肪族炭酸エステル系樹脂を分解・除去し、脱脂体を得る脱脂工程と、
該脱脂体を、少なくとも1回、前記アンモニア含有雰囲気よりアンモニア濃度が低い低アンモニア含有雰囲気に曝す中間工程と、
前記低アンモニア含有雰囲気に曝された脱脂体を焼結させて焼結体を得る焼結工程とを有することを特徴とする焼結体の製造方法。 - 前記アンモニア含有雰囲気中のアンモニア濃度は、20〜100vol%である請求項1に記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、その炭酸エステル基同士の間に存在する炭素の数が2〜11のものである請求項1または2に記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、炭酸エステル基以外の部分において、不飽和結合を有しないものである請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、その重量平均分子量が1〜30万のものである請求項1ないし4のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記結合材中の前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の含有率は、20wt%以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記結合材は、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の融点より熱分解温度が高い第2の樹脂を含み、
前記脱脂工程の直後に、前記成形体を加熱することにより、前記成形体中から前記第2の樹脂を分解・除去する第2の脱脂工程を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の焼結体の製造方法。 - 前記第2の脱脂工程における加熱の温度は、190〜600℃である請求項7に記載の焼結体の製造方法。
- 前記第2の脱脂工程における雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものである請求項7または8に記載の焼結体の製造方法。
- 前記第2の樹脂は、ポリスチレンおよびポリオレフィンのうちの少なくとも1種を主成分とするものである請求項7ないし9のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記中間工程の少なくとも最終段階における前記低アンモニア含有雰囲気は、実質的に前記アンモニアを含有しない請求項1ないし10のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記アンモニア含有雰囲気の温度は、前記アンモニア含有雰囲気の温度より低い請求項1ないし11のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記低アンモニア含有雰囲気は、前記アンモニア以外に、非酸化性ガスを主成分とするものである請求項1ないし12のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記脱脂工程から前記焼成工程までの各工程を、連続炉を用いて連続して行う請求項1ないし13のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記連続炉は、その内部に、アンモニア濃度が前記成形体の進行方向の途中で低下するように設定された空間を有しており、
該空間中を前記成形体を通過させることにより、前記脱脂工程から前記中間工程までを連続して行う請求項14に記載の焼結体の製造方法。 - 前記成形体形成工程において、前記成形体を射出成形法または押出成形法により形成する請求項1ないし15のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
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