JP4380679B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents
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ところが、例えば、射出成形法に供される原料粉末は、その射出成形時の流動性を向上させる目的等で結合材を比較的多く含有している。この結合材を除去するためには、長時間の加熱が必要となり、生産効率が低下したり、加熱処理中に成形体が変形する等の問題がある。
かかる問題点を解決するために、金属材料粉末とポリアセタールを含有する結合材とを混合した原料粉末で構成された成形体を、気体状の酸含有雰囲気または三フッ化ホウ素含有雰囲気で加熱処理して脱脂体を得る脱脂体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸および三フッ化ホウ素は、金属溶解性が高く、設備に耐食性の高い材料を用いる必要があるため、コスト高となる。
さらに、酸含有雰囲気は、加熱処理後に大気中に放出されると、大気汚染の原因となり、これを防ぐためのコストがかかる。
本発明の焼結体の製造方法は、主として金属材料で構成された粉末と、脂肪族炭酸エステル系樹脂および前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の融点より熱分解温度が高い第2の樹脂を含む結合材とを含有する組成物を所定の形状に成形し、成形体を得る成形体形成工程と、
該成形体を、温度が50〜190℃のオゾン含有雰囲気に曝すことにより、前記成形体中から前記脂肪族炭酸エステル系樹脂を分解・除去し、脱脂体を得る第1の脱脂工程と、
該脱脂体を、少なくとも1回、前記オゾン含有雰囲気よりオゾン濃度が低い低オゾン含有雰囲気に曝す中間工程と、
前記低オゾン含有雰囲気に曝された前記脱脂体を、前記オゾン含有雰囲気の温度より高温で加熱することにより、該脱脂体中から前記第2の樹脂を分解・除去する第2の脱脂工程と、
前記第2の脱脂工程を経た前記脱脂体を焼結させて、焼結体を得る焼結工程とを有することを特徴とする。
これにより、金属酸化物の含有量が少なく、かつ優れた特性(寸法精度)を有する金属焼結体を、安全、容易かつ安価に製造することができる。
また、より容易かつ速やかに前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の分解・除去を行うことができる。また、前記脱脂体の保形性が低下するのを防止することができる。その結果、最終的に得られる前記焼結体の寸法精度が低下するのをより確実に防止することができる。
これにより、効率よく確実に前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の分解・除去を行うことができる。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂はより容易かつ速やかに分解し得るものとなる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、不飽和結合を有しないものであることが好ましい。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂がオゾンと接触することで分解する際の効率が向上し、前記結合材の分解・除去をより効率よく行うことができる。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の融点および粘度が最適なものとなり、前記脱脂体の形状の安定性(保形性)の向上を図ることができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記結合材中の前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の含有率は、20wt%以上であることが好ましい。
これにより、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂が分解・除去される効果がより確実に得られ、前記結合材全体の脱脂をより促進させることができる。
これにより、前記脱脂体中からオゾンをほぼ排除することができるので、前記脱脂体中の前記金属材料の酸化を確実に防止することができ、最終的に得られる前記焼結体中に金属酸化物が残存するのを防止することができる。その結果、特に機械的強度(靭性等)に優れた焼結体が得られる。
これにより、前記低オゾン含有雰囲気中のオゾンの酸化作用を低下させ、前記脱脂体中の前記金属材料の酸化をさらに抑制することができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記低オゾン含有雰囲気は、オゾン以外に、非酸化性ガスを主成分とするものであることが好ましい。
これにより、前記中間工程における前記金属材料の酸化を特に確実に抑制することができる。
これにより、複数の前記脱脂体を同時に処理して前記焼結体を製造することができるので、前記焼結体の製造効率を高めることができる。また、前記連続炉によれば、製造途中で、前記脱脂体が大気に曝されることが防止される。このため、前記脱脂体と大気との接触によって、前記脱脂体中に含まれる金属材料が酸化するのを確実に防止することができる。
該空間中を前記成形体を通過させることにより、前記第1の脱脂工程および前記中間工程を連続して行うことが好ましい。
これにより、これらの工程をより短時間で行うことができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記空間中のオゾン濃度は、連続的に変化するよう設定されていることが好ましい。
これにより、前記成形体から露出した前記粉末がオゾンに曝される頻度が抑制され、前記粉末を構成する前記金属材料の酸化を特に抑制することができる。
これにより、効率よく確実に前記第2の樹脂の分解・除去を行うことができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記第2の脱脂工程における雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものであることが好ましい。
これにより、前記低オゾン含有雰囲気に曝された前記脱脂体中の前記金属材料の酸化を確実に防止しつつ、前記第2の樹脂を分解・除去することができる。
これらの材料は、前記脱脂体中での結合強度が高く、前記脱脂体が変形するのを確実に防止することができる。また、これらの材料は、流動性が高く、加熱により分解し易いことから、容易に脱脂することができる。その結果、寸法精度に優れた前記脱脂体をより確実に得ることができる。
前記第2の脱脂工程において、前記低オゾン含有雰囲気に曝された前記脱脂体中から、前記第2の樹脂とともに前記分散剤を分解・除去することが好ましい。
これにより、前記組成物中において、前記粉末と、前記脂肪族炭酸エステル系樹脂および前記第2の樹脂とがより均一に分散し、得られる前記脱脂体および前記焼結体は、その特性にバラツキが少なく、より均一なものとなる。
これにより、前記組成物中において、前記粉末の分散性を特に高めることができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記高級脂肪酸は、その炭素数が16〜30のものであることが好ましい。
これにより、前記組成物は、成形時の成形性の低下を防止しつつ、保形性に優れたものとなる。また、前記高級脂肪酸は、比較的低温でも容易に分解し得るものとなる。
前記射出成形法は、成形型の選択により、複雑で微細な形状の前記成形体を容易に形成することができる。また、前記押出成形法は、成形型の選択により、所望の押出面形状を有する柱状または板状の前記成形体を、特に容易かつ安価に形成することができる。
図1は、本発明の焼結体の製造方法の実施形態を示す工程図、図2は、本実施形態で用いる焼結体製造用の組成物を模式的に示す図である。
<焼結体製造用の組成物>
まず、焼結体の製造に用いる組成物(焼結体製造用の組成物)10について説明する。
組成物10は、主として金属材料で構成された粉末1と、脂肪族炭酸エステル系樹脂3を含む結合材2とを含有するものである。
粉末1は、主として金属材料で構成されたものである。
この金属材料としては、特に限定されないが、例えば、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属材料、またはこれらの各元素を含む化合物等が挙げられる。
そのような金属材料の具体例としては、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS329J1、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630のようなステンレス鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼等に代表されるFe系合金、TiまたはTi系合金、WまたはW系合金、Co系超硬合金、Ni系サーメット等が挙げられる。
また、組成の異なる2種以上の材料を組み合わせて用いることにより、従来、鋳造では製造できなかった組成の焼結体を得ること可能となる。また、新規の機能や多機能を有する焼結体が容易に製造でき、焼結体の機能・用途の拡大を図ることができる。
なお、本発明において、「平均粒径」とは、対象となる粉末の粒度分布において、体積の累積で50%の部分に分布する粉末の粒径を指す。
結合材2は、後述する成形体を得る工程における、組成物10の成形性(成形のし易さ)、成形体の形状の安定性(保形性)に大きく寄与する成分である。組成物10が、このような成分を含むことにより、寸法精度に優れた焼結体を容易かつ確実に製造することができる。
この脂肪族炭酸エステル系樹脂3は、オゾンを含有する雰囲気に曝すことにより、分解する性質を有するため、後述する第1の脱脂工程において、容易かつ速やかに除去、すなわち、脱脂することができるものである。その結果、保形性を維持しつつ、脱脂工程トータルに要する時間を短縮して、脱脂体の生産効率、すなわち焼結体の生産効率を向上させることができる。
このような脂肪族炭酸エステル系樹脂3は、その繰り返し単位中における炭酸エステル基を除く部分の炭素の数、すなわち、樹脂中の炭酸エステル基同士の間に存在する炭素の数が、2〜11であるのが好ましく、3〜9であるのがより好ましく、4〜7であるのがさらに好ましい。前記炭素の数とは、例えば、一般式が−((CH2)m−O−CO−O)n−で表される脂肪族炭酸エステル系樹脂の場合は、mの数のことを言う。前記炭素の数が前記範囲内であることにより、脂肪族炭酸エステル系樹脂はより容易かつ速やかに分解し得るものとなる。
ここで、脂肪族炭酸エステル系樹脂3は、オゾンと接触することにより分解し、その分解物が気化して成形体の外部にガスとして放出される。なお、この分解物としては、例えば、酸化アルケン(例えば、酸化エチレン、酸化プロペン等)やその分解物、水、二酸化炭素等が挙げられる。アルカンジオールポリカーボネートは、その分解性が特に高く、第1の脱脂工程において、より確実に脱脂を行うことができる。したがって、脱脂工程トータルに要する時間をより短縮することができる。
また、脂肪族炭酸エステル系樹脂3としては、その重量平均分子量が、1〜30万程度のものが好ましく、2〜20万程度のものがより好ましい。これにより、脂肪族炭酸エステル系樹脂3の融点および粘度が最適なものとなり、成形体の形状の安定性(保形性)向上を図ることができる。
このような第2の樹脂4としては、結合材2が含有する脂肪族炭酸エステル系樹脂3の融点より熱分解温度が高いものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、またはこれらの共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
このような結合材2の形態は、特に限定されず、いかなる形態であってもよいが、例えば、粉末状、液状、ゲル状等が挙げられる。
この添加剤は、前述の第2の脱脂工程において、第2の樹脂4とともに分解・除去されるものが好ましい。これにより、結合材に、添加剤が有する機能を発揮させるとともに、脱脂体の保形性や寸法精度に悪影響を与えることなく添加剤を分解・除去することができる。
ここで、添加剤としては、例えば、分散剤(滑剤)、可塑剤、酸化防止剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、分散剤5は、滑剤としての機能、すなわち、後述する成形体形成工程において、組成物10の流動性を高める機能を有している。これにより、成形型内への充填性を高め、均一な密度の成形体を得ることが可能となる。
また、高級脂肪酸は、その炭素数が16〜30であるのが好ましく、16〜24であるのがより好ましい。高級脂肪酸の炭素数が前記範囲内であることにより、組成物10は、成形性の低下を防止しつつ、保形性に優れたものとなる。また、炭素数が前記範囲内であることにより、高級脂肪酸が比較的低温でも容易に分解し得るものとなる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられる。
また、酸化防止剤は、結合材を構成する樹脂の酸化を防止する機能を有するものである。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。
また、必要に応じて、混合の後に、混練等を行ってもよい。これにより、例えば、組成物10の嵩密度が高くなり、組成の均一性も向上するため、成形体をより高密度で均一性の高いものとして得ることができ、脱脂体および焼結体の寸法精度も向上する。
また、得られた混練物(コンパウンド)は、必要に応じ、粉砕されてペレット(小塊)化される。ペレットの粒径は、例えば、1〜10mm程度とされる。
混練物のペレット化には、ペレタイザ等の粉砕装置を用いて行うことができる。
次に、組成物10を用いて焼結体を製造する方法(本発明の焼結体の製造方法)について説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の焼結体の製造方法の第1実施形態について説明する。
図3は、本実施形態で得られた成形体を模式的に示す縦断面図、図4は、本実施形態で得られた第1の脱脂体を模式的に示す縦断面図、図5は、本実施形態で得られた第2の脱脂体を模式的に示す縦断面図、図6は、本発明で得られた焼結体を模式的に示す縦断面図、図7は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
本発明の焼結体の製造方法は、いかなる炉を用いて行ってもよく、例えば、連続脱脂焼結炉、バッチ式脱脂炉・焼結炉等を用いることができるが、本実施形態では、連続脱脂焼結炉(以下、省略して「連続炉」と言う。)100を用いて行う場合を例に説明する。
これらの各ゾーン110、120、130、140内には、成形体、第1の脱脂体、中間脱脂体、第2の脱脂体、焼結体等のワーク90を搬送するコンベア150が連続して配設されている。すなわち、連続炉100によれば、各ゾーン110、120、130、140内を、それぞれワーク90を通過させることにより、第1の脱脂工程[B]、中間工程[C]、第2の脱脂工程[D]、および焼結工程[E]を連続して行うことができる。そして、このコンベア150により、入炉口101からワーク90を炉内に入れるとともに、ゾーン110、ゾーン120、ゾーン130およびゾーン140を順次通過させて、出炉口102からワーク90を炉外に取り出すことができる。これにより、複数のワーク90を同時に処理して焼結体を製造することができるので、焼結体の製造効率を高めることができる。また、連続炉100によれば、焼結体の製造途中で、ワーク90が大気に曝されることが防止される。このため、ワーク90と大気との接触によって、ワーク90中に含まれる金属材料が酸化するのを確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、ゾーン110のオゾン濃度が、図7のグラフに示すように、ゾーン110内でほぼ一定になっている。
なお、図7に示す連続炉100は、平面視で直線状をなしているが、途中で屈折していてもよい。
[A] 成形体形成工程
まず、組成物10を混練してなる混練物または該混練物より造粒されたペレットを、所定の形状に成形して、図3に示すような成形体20を得る。
成形体20の形成は、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法(プレス成形法)、カレンダ成形法等の各種成形法により行うことができる。例えば、圧縮成形法の場合の成形圧力は、5〜100MPa程度であるのが好ましい。
このような各種成形法の中でも、成形体20は、射出成形法または押出成形法により形成されるのが好ましい。
射出成形の成形条件としては、用いる粉末1の組成や粒径、結合材2の組成、およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げると、材料温度は、好ましくは80〜210℃程度、射出圧力は、好ましくは2〜15MPa(20〜150kgf/cm2)程度とされる。
押出成形の成形条件としては、用いる粉末1の組成や粒径、結合材2の組成、およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げると、材料温度は、好ましくは80〜210℃程度、押出圧力は、好ましくは1〜10MPa(10〜100kgf/cm2)程度とされる。
なお、形成される成形体20の形状寸法は、以後の各脱脂工程、中間工程および焼結工程における成形体20の収縮分等を見込んで決定される。
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉100のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110を通過させつつ、成形体20を後述する中間工程における雰囲気より相対的にオゾン濃度が高い高オゾン含有雰囲気に曝す。これにより、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
このとき、供給する高オゾン含有雰囲気ガスの流量は、ゾーン110の容積に応じて適宜設定され、特に限定されないが、1〜30m3/h程度であるのが好ましく、3〜20m3/h程度であるのがより好ましい。
また、第1の脱脂の時間は、脂肪族炭酸エステル系樹脂3の含有率や高オゾン含有雰囲気の温度等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、1〜30時間程度であるのが好ましく、3〜20時間程度であるのがより好ましい。これにより、効率よく確実に脂肪族炭酸エステル系樹脂3の分解・除去を行うことができる。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン120に搬送する。そして、ゾーン120を通過させつつ、第1の脱脂体30を前記高オゾン含有雰囲気よりオゾン濃度が低い低オゾン含有雰囲気に曝す。
ここで、第1の脱脂工程を経た第1の脱脂体30においては、形成された流路31中に、オゾン濃度の高い高オゾン含有雰囲気ガスが残存している。オゾン(O3)は、3つの酸素原子のうち、1つを他の物質に付与して酸素分子(O2)になる性質が強い、すなわち酸化作用が非常に強い物質である。したがって、流路31に残存した高濃度のオゾンは、第1の脱脂体30中の金属材料を著しく酸化させるおそれがある。特に、流路31に高濃度のオゾンが残存した状態で、第1の脱脂体30を第2の脱脂工程や焼結工程に移行させた場合には、熱が加わることで、かかる酸化作用がより顕著になる。
そこで、本発明では、第1の脱脂体30を低オゾン含有雰囲気に曝す中間工程を設けることとした。
また、焼結の際に異物となり得る金属酸化物の含有が抑制されることから、焼結性が向上し、より緻密な焼結体が得られる。
具体的には、低オゾン含有雰囲気のオゾン濃度は、高オゾン含有雰囲気のオゾン濃度に応じて異なるが、500ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましい。これにより、第1の脱脂体30中の金属材料の酸化をより確実に抑制することができる。
また、低オゾン含有雰囲気は、実質的にオゾンを含有しないのがさらに好ましい。これにより、流路31からオゾンをほぼ排除することができるので、金属材料の酸化を確実に防止することができ、最終的に得られる焼結体中に金属酸化物が残存するのを防止することができる。その結果、特に機械的強度(靭性等)に優れた焼結体が得られる。
このとき、供給する低オゾン含有雰囲気ガスの流量は、ゾーン120の容積に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.5〜30m3/h程度であるのが好ましく、1〜20m3/h程度であるのがより好ましい。
具体的には、低オゾン含有雰囲気の温度は、高オゾン含有雰囲気の温度に応じて異なるが、10〜180℃程度であるのが好ましく、30〜120℃程度であるのがより好ましい。これにより、低オゾン含有雰囲気中のオゾンの酸化作用をより確実に抑制しつつ、第1の脱脂体30に急激な温度変化が加わるのを防止することができる。
以上のようにして、第1の脱脂体30の流路31中の高オゾン含有雰囲気ガスを低オゾン含有雰囲気ガスで置換してなる中間脱脂体を得る。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン130に搬送する。そして、ゾーン130を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
なお、中間脱脂体中の流路31は、後述する焼結工程において消滅するか、または極めて微小な空孔(ポア)として残存する。このため、得られる焼結体は、密度が特に高いものとなる。一方、焼結体の美的外観が低下したり、機械的強度が低下する等の問題が生じるおそれは極めて少なくなる。
特に、本工程を行う雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものであるのが好ましい。本工程は比較的高温下で行われるものの、還元性ガスを主成分とする雰囲気下であれば、中間脱脂体中の金属材料の酸化を確実に防止しつつ、第2の樹脂4および添加剤を分解・除去することができる。
なお、本工程は、必要に応じて行えばよく、例えば、組成物10中に第2の樹脂4および添加物を含有しない場合は、省略することもできる。この場合、第1の脱脂工程および中間工程を経て、脱脂体を得ることができる。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン140に搬送する。そして、ゾーン140を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。
第2の脱脂体40を加熱すると、内部の粉末1は、接しているもの同士の界面において、相互に拡散が生じ、粒成長して、結晶粒となる。その結果、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率である図6に示すような焼結体50が得られる。
なお、焼結工程における焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
焼結時間は、0.5〜7時間程度であるのが好ましく、1〜4時間程度であるのがより好ましい。
このうち、焼結工程を行う雰囲気は、還元性雰囲気であるのが好ましい。還元性雰囲気によれば、第2の脱脂体40中の金属材料を酸化させることなく焼結させることができる。また、減圧雰囲気を形成するための排気ポンプ等も不要であることから、焼結工程にかかるランニングコストの低減を図ることもできる。
なお、減圧雰囲気の場合、その圧力は特に限定されないが、3kPa(22.5Torr)以下であるのが好ましく、2kPa(15Torr)以下であるのがより好ましい。
なお、焼結工程を行う雰囲気は、工程の途中で変化してもよい。例えば、最初に3kPa程度の減圧雰囲気とし、途中で前記のような不活性雰囲気に切り替えることができる。
また、焼結工程は、2段階またはそれ以上に分けて行ってもよい。これにより、粉末1の焼結の効率が向上し、より短い焼結時間で焼結を行うことができる。
また、焼結工程は、前述の第2の脱脂工程と連続して行うのが好ましい。これにより、第2の脱脂工程は、焼結前工程を兼ねることができ、脱脂体40に予熱を与えて、粉末1をより確実に焼結させることができる。
以上のようにして、金属酸化物の含有量が少なく、かつ優れた特性を有する焼結体を、安全、容易かつ安価に製造することができる。
次に、本発明の焼結体の製造方法の第2実施形態について説明する。
図8は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、図8に示す連続炉200では、ゾーン110の内部において、ワーク90の進行方向に沿ってオゾン濃度が連続的に変化している。
図8には、ゾーン110内のオゾン(O3)濃度の分布を示すグラフを示す。このグラフに示すように、ゾーン110では、ワーク90の進行方向前方に向かって、途中からオゾン濃度が低くなっている。すなわち、ゾーン110内は、入炉口側に設けられ、相対的にオゾン濃度が高い高オゾン含有雰囲気の領域Hと、ゾーン120側に設けられ、高オゾン含有雰囲気よりオゾン濃度が低い低オゾン含有雰囲気の領域Lとに分けられている。
なお、このようにゾーン110内でオゾン濃度に勾配を設ける場合、例えば、ゾーン110に設けられた複数のノズル170のうち、領域Hに対応するノズル170から供給するガスの種類と流量を、領域Lに対応するノズル170から供給するガスと異ならせるようにすればよい。
[A] 成形体形成工程
まず、前記第1実施形態と同様にして、図3に示すような成形体20を得る。
[B] 第1の脱脂工程
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉200のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110内の領域Hを通過させつつ、成形体20を高オゾン含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態と同様にして、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン110内の領域Lに搬送する。そして、領域Lを通過させつつ、第1の脱脂体30を低オゾン含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態と同様にして、第1の脱脂体30の流路31中に残存した高オゾン含有雰囲気ガスを低オゾン含有雰囲気ガスで置換する。
次に、1回目の中間工程を経た第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン120内に搬送する。そして、ゾーン120内を通過させつつ、前記第1の脱脂体30を実質的にオゾンを含有しない雰囲気に曝す。これにより、第1の脱脂体30の流路31中に残存したオゾンをほぼ除去してなる中間脱脂体を得る。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン120内に搬送する。そして、ゾーン120内を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、前記第1実施形態と同様にして、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン130内に搬送する。そして、ゾーン130内を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。これにより、前記第1実施形態と同様にして、第2の脱脂体40を焼結させ、図6に示すような焼結体50が得られる。
また、1つのゾーン110内で第1の脱脂工程と中間工程とを連続して行うことにより、これらの工程をより短時間で行うことができる。
さらに、中間工程を2回に分けて行うことにより、第1の脱脂体30の流路31中に残存したオゾンをより確実に除去することができる。
以上のような第2実施形態にかかる焼結体の製造方法においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
次に、本発明の焼結体の製造方法の第3実施形態について説明する。
図9は、本実施形態で用いる連続炉を模式的に示す平面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる焼結体の製造方法は、使用する連続炉の構成が異なる以外は、前記第2実施形態と同様である。
これらの各ゾーン110、130、140内には、前記第1実施形態と同様に、コンベア150が配設されている。
また、各ゾーン110、130、140内には、それぞれ独立して、図7および図8に示す連続炉と同様に、複数のヒーター160と複数のノズル170とが設けられている。さらに、各ヒーター160は、それぞれ出力調整器165に接続され、各ノズル170は、それぞれガス供給源175に接続されている。
図9には、ゾーン110内のオゾン(O3)濃度の分布を示すグラフを示す。このグラフに示すように、ゾーン110では、図8のゾーン110と同様に、ワーク90の進行方向前方に向かって、途中からオゾン濃度が低くなっている。すなわち、ゾーン110内は、高オゾン含有雰囲気の領域Hと、低オゾン含有雰囲気の領域Lとに分けられている。
[A] 成形体形成工程
まず、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、図3に示すような成形体20を得る。
次に、成形体形成工程で得られた成形体20を、連続炉300のコンベア150に載せ、ゾーン110に搬送する。そして、ゾーン110内の領域Hを通過させつつ、成形体20を高オゾン含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、成形体20中から脂肪族炭酸エステル系樹脂3を分解・除去し、図4に示すような第1の脱脂体30を得る。
次に、第1の脱脂工程で得られた第1の脱脂体30を、コンベア150でゾーン110内の領域Lに搬送する。そして、領域Lを通過させつつ、第1の脱脂体30を低オゾン含有雰囲気に曝す。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、第1の脱脂体30の流路31中に残存した高オゾン含有雰囲気ガスを低オゾン含有雰囲気ガスで置換し、中間脱脂体を得る。
次に、中間工程で得られた中間脱脂体を、コンベア150でゾーン130内に搬送する。そして、ゾーン130内を通過させつつ、中間脱脂体を加熱する。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、中間脱脂体中から第2の樹脂4および添加剤(例えば、分散剤5)を分解・除去し、図5に示すような第2の脱脂体40を得る。
次に、第2の脱脂工程で得られた第2の脱脂体40を、コンベア150でゾーン140内に搬送する。そして、ゾーン140内を通過させつつ、第2の脱脂体40を加熱する。これにより、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様にして、第2の脱脂体40を焼結させ、図6に示すような焼結体50が得られる。
以上のような第3実施形態にかかる焼結体の製造方法においても、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様の作用・効果が得られる。
以上、本発明の焼結体の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、焼結体の製造方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
1.成形体の作製
以下では、各サンプルNo.の成形体をそれぞれ所定数量ずつ作製した。
(サンプルNo.1)
水アトマイズ法により製造されたSUS316L粉末と、ブタンジオールポリカーボネート(重量平均分子量:5万)とを混合し、以下に示す混練条件で、加圧ニーダー(混練機)を用いて混練した。
なお、SUS316L粉末の平均粒径は10μmであった。
また、粉末とそれ以外の成分(結合材と添加物)との混合比は、重量比で93:7とした。
・混練温度:200℃
・混練時間:0.75時間
・雰囲気 :窒素ガス
次に、この混練物を粉砕して、平均粒径3mmのペレットとし、該ペレットを用い、以下に示す成形条件で、射出成形機にて射出成形を繰り返し行い、サンプルNo.1の成形体を作製した。
なお、成形体は、15×15×15mmの立方体形状に成形した。また、この成形体は、その対向する2面の中央部に内径5mmの貫通孔を有している。
<成形条件>
・材料温度:210℃
・射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm2)
粉末以外の成分の混合比および結合材の組成を、表1に示すように変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.2〜10の各成形体をそれぞれ作製した。
(サンプルNo.11〜12)
粉末以外の成分の混合比および結合材の組成を、表1に示すように変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.11〜12の各成形体をそれぞれ作製した。
(実施例1)
次に、サンプルNo.4の成形体に対し、図7に示すような連続炉を用いて、以下に示す条件で第1の脱脂工程、中間工程および第2の脱脂工程を順次行い、脱脂体を得た。
<第1の脱脂工程の条件>
・温度 :150℃
・時間 :6時間
・雰囲気 :オゾン含有窒素ガス(オゾン濃度:1000ppm)
<中間工程の条件>
・温度 :100℃
・時間 :1時間
・雰囲気 :窒素ガス
<第2の脱脂工程の条件>
・温度 :500℃
・時間 :1時間
・雰囲気 :水素ガス
<焼結工程の条件>
・温度 :1350℃
・時間 :3時間
・雰囲気 :水素ガス
用いる成形体のサンプルNo.、第1の脱脂工程の条件、中間工程の条件および第2の脱脂工程の条件を、それぞれ表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
図8に示すような連続炉を用い、この連続炉の第1の脱脂工程を行うゾーン中のオゾン含有窒素ガスを、オゾン濃度が1000ppmから50ppmに連続的に減少するよう設定した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
(実施例9)
図9に示すような連続炉を用い、この連続炉の第1の脱脂工程を行うゾーン中のオゾン含有窒素ガスを、オゾン濃度が1000ppmから50ppmに連続的に減少するよう設定した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
第2の脱脂工程を省略するとともに、用いる成形体のサンプルNo.、第1の脱脂工程の条件および中間工程の条件を、それぞれ表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
(比較例1)
オゾン濃度を0ppmに変更した以外は、前記参考例1と同様にして、焼結体を得た。
(比較例2)
オゾン濃度を0ppmに変更するとともに、第1の脱脂工程の時間を80時間に変更した以外は、前記参考例1と同様にして、焼結体を得た。
(比較例3)
中間工程を省略した以外は、前記参考例4と同様にして、焼結体を得た。
第1の脱脂工程の時間を6時間に変更するとともに、中間工程における雰囲気中のオゾン濃度を20000ppmに変更した以外は、前記参考例8と同様にして、焼結体を得た。
(比較例5〜6)
用いる成形体のサンプルNo.および第2の脱脂工程の条件を、それぞれ表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、焼結体を得た。
3−1.重量減少率の評価
実施例1〜9、参考例1〜13および比較例1〜6について、第1の脱脂工程における重量減少率をそれぞれ測定した。
また、実施例1〜9および比較例5〜6については、第2の脱脂工程における重量減少率もそれぞれ測定した。
そして、各実施例、各参考例および各比較例で算出した脱脂工程トータルにおける重量減少率と、この重量減少率から算出される、金属粉末以外の成分(結合材および添加剤)の除去率と、脱脂工程トータルに要した時間とを表2に示す。
また、各実施例の脱脂工程では、結合材の組成や、第1の脱脂工程の雰囲気中のオゾン濃度、雰囲気の温度等によって若干異なるが、脱脂工程トータルに要する時間を短縮することができた。これは、第1の脱脂工程において、脂肪族炭酸エステル系樹脂が速やかに分解・除去され、これにより、第2の樹脂の分解・除去も速やかに行われたためである。
さらに、結合材中の脂肪族炭酸エステル系樹脂の比率が高い成形体では、結合材の分解効率が高いため、処理時間の大幅な短縮がなされていた。
また、比較例5、6で用いた成形体は、脂肪族炭酸エステル系樹脂を含有していないため、第1の脱脂工程において、150℃という低温下で結合材が十分に分解せず、これにより、第2の脱脂工程を長時間行っても十分な脱脂がなされなかった。
各実施例、各参考例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ密度を測定した。なお、密度の測定は、アルキメデス法(JIS Z 2505に規定)により、100個のサンプルについて行い、その平均値を測定値とした。
次いで、各測定値から焼結体の相対密度を算出した。なお、この相対密度は、SUS316Lの密度の相対基準を7.98g/cm3(理論密度)として算出した。
各実施例、各参考例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ幅方向の寸法を測定し、その寸法のバラツキを評価した。寸法の測定は、マイクロメータにより、100個のサンプルについて行い、そのバラツキを算出した。
次いで、各焼結体について、それぞれ中心穴の真円度を測定した。真円度の測定は、三次元測定器(ミツトヨ社製、型番:FT805)を用いて行い、平均値を真円度とした。
なお、比較例1の焼結体は、ほぼ全数に割れが発生していたため、密度・寸法の測定を省略した。
まず、各実施例、各参考例および各比較例で得られた焼結体をそれぞれ切断し、以下の分析、観察を実施した。
3−4−1.各焼結体について含有酸素量の分析を行った。
3−4−2.各焼結体の切断面に研磨を施した後、この切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、切断面の観察像には、酸化物粒子の存在が認められた。
◎:金属酸化物の含有量が非常に少ない
○:金属酸化物の含有量が少ない
△:金属酸化物の含有量がやや多い
×:金属酸化物の含有量が非常に多い
各実施例、各参考例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ美的外観を評価した。評価は、以下の基準にしたがって行った。
◎:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが全くない
○:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが若干ある
△:キズ、割れ(マイクロクラック含む)のあるものが多数ある
×:ほぼ全数に割れがある
以上、3−2〜3−5の各評価結果を表3に示す。
さらに、各実施例で得られた焼結体は、いずれも金属酸化物の含有量が少なく、かつ美的外観に優れていた。
Claims (19)
- 主として金属材料で構成された粉末と、脂肪族炭酸エステル系樹脂および前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の融点より熱分解温度が高い第2の樹脂を含む結合材とを含有する組成物を所定の形状に成形し、成形体を得る成形体形成工程と、
該成形体を、温度が50〜190℃のオゾン含有雰囲気に曝すことにより、前記成形体中から前記脂肪族炭酸エステル系樹脂を分解・除去し、脱脂体を得る第1の脱脂工程と、
該脱脂体を、少なくとも1回、前記オゾン含有雰囲気よりオゾン濃度が低い低オゾン含有雰囲気に曝す中間工程と、
前記低オゾン含有雰囲気に曝された前記脱脂体を、前記オゾン含有雰囲気の温度より高温で加熱することにより、該脱脂体中から前記第2の樹脂を分解・除去する第2の脱脂工程と、
前記第2の脱脂工程を経た前記脱脂体を焼結させて、焼結体を得る焼結工程とを有することを特徴とする焼結体の製造方法。 - 前記オゾン含有雰囲気中のオゾン濃度は、50〜10000ppmである請求項1に記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、その炭酸エステル基同士の間に存在する炭素の数が2〜11のものである請求項1または2に記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、不飽和結合を有しないものである請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記脂肪族炭酸エステル系樹脂は、その重量平均分子量が1〜30万のものである請求項1ないし4のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記結合材中の前記脂肪族炭酸エステル系樹脂の含有率は、20wt%以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記中間工程の少なくとも最終段階における前記低オゾン含有雰囲気は、そのオゾン濃度が500ppm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記低オゾン含有雰囲気の温度は、前記オゾン含有雰囲気の温度より低い請求項1ないし7のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記低オゾン含有雰囲気は、オゾン以外に、非酸化性ガスを主成分とするものである請求項1ないし8のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記第1の脱脂工程、前記中間工程、前記第2の脱脂工程および前記焼結工程を、連続炉を用いて連続して行う請求項1ないし9のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記連続炉は、内部のオゾン濃度が、前記成形体の進行方向の途中で低下するように設定された空間を有しており、
該空間中を前記成形体を通過させることにより、前記第1の脱脂工程および前記中間工程を連続して行う請求項10に記載の焼結体の製造方法。 - 前記空間中のオゾン濃度は、連続的に変化するよう設定されている請求項11に記載の焼結体の製造方法。
- 前記第2の脱脂工程における加熱温度は、190〜600℃である請求項1ないし12のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記第2の脱脂工程における雰囲気は、還元性ガスを主成分とするものである請求項1ないし13のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記第2の樹脂は、ポリスチレンおよびポリオレフィンの少なくとも1種を主成分とするものである請求項1ないし14のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記組成物は、さらに、前記粉末の前記組成物中での分散性を向上させるための分散剤を含み、
前記第2の脱脂工程において、前記低オゾン含有雰囲気に曝された前記脱脂体中から、前記第2の樹脂とともに前記分散剤を分解・除去する請求項1ないし15のいずれかに記載の焼結体の製造方法。 - 前記分散剤は、高級脂肪酸を主成分とするものである請求項16に記載の焼結体の製造方法。
- 前記高級脂肪酸は、その炭素数が16〜30のものである請求項17に記載の焼結体の製造方法。
- 前記成形体形成工程において、前記成形体を射出成形法または押出成形法により形成する請求項1ないし18のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
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