JP4595946B2 - 発光体とその製造方法及び電気光学装置並びに電子機器 - Google Patents

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本発明は、発光体とその製造方法及び製造装置、電気光学装置並びに電子機器に関するものである。
自発光素子であるEL素子(特に、有機EL素子)を利用した表示体や光源等の発光体が従来から種々提案されており、このような発光体においては、カラー表示が可能な有機EL表示装置も公知である。そして、有機EL素子を製造する際には、例えば発光層形成材料及び正孔注入(PEDOT)/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をTFT等の素子基板上にインクジェット方式でR・G・Bの各色のインクによりパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
この種の有機EL表示装置でカラー表示を行うためには、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応して、赤色に発光する有機EL素子(発光単位)と、緑色に発光する有機EL素子(発光単位)と、青色に発光する有機EL素子(発光単位)とで1画素を構成するのが通常であり、例えば、任意の画素を明るい白色とする場合には、その画素を構成する赤、緑及び青の各有機EL素子の全てを発光させればよく、また、1画素を構成する赤、緑及び青の各有機EL素子の発光輝度を適宜制御すれば、任意の画素を所望の色及び輝度で発色させることが可能である。そして、上記のように3色の有機EL素子を利用してカラー表示を行う場合、良好なホワイトバランスをとるのが重要であることが知られている。
特開平10−12377号公報 特開平10−153967号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
製品の出荷直後であれば、良好なホワイトバランスを維持することはできるものの、R・G・B毎で発光材料の経時劣化特性が異なるため、各色の経時変化によりホワイトバランスが崩れてしまい、白色発光させることを意図して各有機EL素子に所定の電流を供給したとしても、実際の発色は綺麗な白色にはならず、また、他の任意の色を任意の輝度で発色させようとしても、やはり意図した発色状態は得られないという問題があった。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、発光特性の経時変化が異なる複数種類の発光単位(例えばEL素子)を含んで構成される発光体(例えばEL装置)において、経時変化が生じても良好な発光状態を得ることができる発光体、さらにはこの発光体の製造方法及び製造装置、電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の発光体は、発光特性の経時変化の度合いが異なる複数種類の発光色の発光単位を有する発光体であって、前記発光単位は、電子を供給する電子供給体と、正孔を供給する正孔供給体と、前記電子供給体から供給される前記電子、及び前記正孔供給体から供給される前記正孔が結合して発光する発光層とをそれぞれ有し、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整する劣化調整手段を備え、 前記劣化調整手段は、前記発光特性の経時劣化の度合いが異なる前記発光単位において異なる厚さに形成されることにより前記発光単位の通電時の電気抵抗を発光色ごとに異なる大きさとした前記電子供給体であり、前記複数種類の発光色の発光単位のうち、前記発光特性の経時劣化の度合いが最も大きい発光単位に合わせて、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いが調整されることを特徴とするものである。
従って、本発明では、所定種類の発光単位における発光特性の経時劣化を調整して他の発光単位における経時劣化に合わせることで、発光特性に経時変化が生じても複数種類の発光単位間での劣化状態を同様にすることができ、複数種類の発光単位による色度バランスを一定に保つことが可能になる。
発光単位が発光層と該発光層に対して電子を供給する電子供給体とをそれぞれ有する場合、劣化調整手段としては、前記所定種類の発光単位において発光特性の経時劣化に基づいて厚さが調整された電子供給体とする構成を採用できる。
劣化調整手段としては、前記複数種類の発光単位のうち、発光特性の経時劣化度合いが最も大きい発光単位に合わせて、前記所定種類の発光単位における前記発光特性の経時劣化を調整する構成を採用できる。
これにより、本発明では、経時劣化度合いが小さい発光単位に対して経時劣化を調整して経時劣化度合いの大きい発光単位に合わせることができるので、発光特性に経時変化が生じても複数種類の発光単位間での劣化状態を同様にすることができ、複数種類の発光単位による色度バランスを一定に保つことが可能になる。
また、本発明の電気光学装置は、上記の発光体を表示装置として備えることを特徴としている。これにより、本発明では、経時変化が生じても良好な発光状態で表示可能な電気光学装置を得ることができる。
また、本発明の電子機器は、上記の発光体を表示装置として備えることを特徴としている。これにより、本発明では、経時変化が生じても良好な発光状態で表示可能な電子機器を得ることができる。
そして、本発明の発光体の製造方法は、発光特性の経時変化の度合いが異なる複数種類の発光色の発光単位を有する発光体の製造方法であって、前記発光単位は、電子を供給する電子供給体と、正孔を供給する正孔供給体と、前記電子供給体から供給される前記電子、及び前記正孔供給体から供給される前記正孔が結合して発光する発光層とをそれぞれ有し、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整する劣化調整工程を有し、 前記劣化調整工程では、前記電子供給体を、前記発光特性の経時劣化の度合いが異なる前記発光単位において異なる厚さに形成して、前記発光単位の通電時の電気抵抗を発光色ごとに異なる大きさとし、かつ、前記複数種類の発光色の発光単位のうち、前記発光特性の経時劣化の度合いが最も大きい発光単位に合わせて、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整することを特徴としている。
れにより、本発明では、所定種類の発光単位における発光特性の経時劣化を調整して他の発光単位における経時劣化に合わせることで、発光特性に経時変化が生じても複数種類の発光単位間での劣化状態を同様にすることができ、複数種類の発光単位による色度バランスを一定に保つことが可能になる。
以下、本発明の発光体とその製造方法及び製造装置、電気光学装置並びに電子機器の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。本実施の形態は、赤の発色が可能な有機EL素子(発光単位)、緑の発色が可能な有機EL素子(発光単位)及び青の発色が可能な有機EL素子(発光単位)の3ドットを1画素とすることによりカラー表示を可能とした有機EL装置(発光体)としての表示装置(有機EL表示装置)に、本発明を適用したものである。なお、参照する各図において、図面上で認識可能な大きさとするために、縮尺は各層や各部材ごとに異なる場合がある。
(第1実施形態)
まず、EL装置を製造するための製造装置について説明する。
図1は、EL製造装置(デバイス製造装置)を構成する製膜装置(インクジェット装置)30の概略的な外観斜視図である。製膜装置30は、後述する発光材料や正孔輸送材料を含むインクをインクジェット方式で基板に吐出する構成となっている。
製膜装置30は、ベース32、第1移動手段34、第2移動手段16、図示しない電子天秤(重量測定手段)、液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド(吐出装置)20、キャッピングユニット22、クリーニングユニット24等を有している。第1移動手段34、電子天秤、キャッピングユニット22、クリーニングユニット24および第2移動手段16は、それぞれベース32上に設置されている。
第1移動手段34は、好ましくはベース32の上に直接設置されており、しかもこの第1移動手段34は、Y軸方向に沿って位置決めされている。これに対して第2移動手段16は、支柱16A、16Aを用いて、ベース32に対して立てて取り付けられており、しかも第2移動手段16は、ベース32の後部32Aにおいて取り付けられている。第2移動手段16のX軸方向は、第1移動手段34のY軸方向とは直交する方向である。Y軸はベース32の前部32Bと後部32A方向に沿った軸である。これに対してX軸はベース32の左右方向に沿った軸であり、各々水平である。
第1移動手段34は、ガイドレール40、40を有しており、第1移動手段34は、例えば、リニアモータを採用することができる。このリニアモータ形式の第1移動手段34のスライダー42は、ガイドレール40に沿って、Y軸方向に移動して位置決め可能である。テーブル46は、ワークとしての基板2を位置決めして、しかも保持するものである。また、テーブル46は、吸着保持手段50を有しており、吸着保持手段50が作動することにより、テーブル46の穴46Aを通して、基板2をテーブル46の上に吸着して保持することができる。テーブル46には、インクジェットヘッド20がインクを捨打ち或いは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリア52が設けられている。
第2移動手段16は、支柱16A,16Aに固定されたコラム16Bを有しており、このコラム16Bは、リニアモータ形式の第2移動手段16を有している。スライダー60は、ガイドレール62Aに沿ってX軸方向に移動して位置決め可能であり、スライダー60は、インク吐出手段としてのインクジェットヘッド20を備えている。
スライダー42は、θ軸用のモータ44を備えている。このモータ44は、例えばダイレクトドライブモータであり、モータ44のロータはテーブル46に固定されている。これにより、モータ44に通電することでロータとテーブル46は、θ方向に沿って回転してテーブル46をインデックス(回転割り出し)することができる。
インクジェットヘッド20は、揺動位置決め手段としてのモータ62,64,66,68を有している。モータ62を作動すれば、インクジェットヘッド20は、Z軸に沿って上下動して位置決め可能である。このZ軸はX軸とY軸に対して各々直交する方向(上下方向)である。モータ64を作動すると、インクジェットヘッド20は、Y軸回りのβ方向に沿って揺動して位置決め可能である。モータ66を作動すると、インクジェットヘッド20は、X軸回りのγ方向に揺動して位置決め可能である。モータ68を作動すると、インクジェットヘッド20は、Z軸回りのα方向に揺動して位置決め可能である。
このように、図1のインクジェットヘッド20は、スライダー60において、Z軸方向に直線移動して位置決め可能で、α、β、γに沿って揺動して位置決め可能であり、インクジェットヘッド20のインク吐出面20Pは、テーブル46側の基板2に対して正確に位置あるいは姿勢をコントロールすることができる。なお、インクジェットヘッド20のインク吐出面20Pには、それぞれがインクを吐出する複数(例えば120個)の開口部としてのノズルが設けられている。
ここで、インクジェットヘッド20の構造例について、図2を参照して説明する。インクジェットヘッド20は、たとえば、ピエゾ素子(圧電素子)を用いたヘッドであり、図2(A)に示すようにヘッド本体90のインク吐出面20Pには、複数のノズル91が形成されている。これらのノズル91に対してそれぞれピエゾ素子92が設けられている。
図2(B)に示すようにピエゾ素子92は、ノズル91とインク室93に対応して配置されており、例えば一対の電極(図示せず)の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そしてこのピエゾ素子92に対して図2(C)に示すように印加電圧Vhを印加することで、図2(D),(F)及び(E)に示すようにして、ピエゾ素子92を矢印Q方向に伸縮させることで、インクを加圧して所定量の液滴(インク滴)99をノズル91から吐出させるようになっている。これらピエゾ素子92の駆動、即ちインクジェットヘッド20からの液滴吐出は、劣化調整装置としての制御装置25(図1参照)により制御される。
図1に戻り、電子天秤は、インクジェットヘッド20のノズルから吐出されたインク滴の1滴の重量を測定して管理するために、例えば、インクジェットヘッド20のノズルから、5000滴分のインク滴を受ける。電子天秤は、この5000滴のインク滴の重量を5000で割ることにより、インク滴1滴の重量をほぼ正確に測定することができる。このインク滴の測定量に基づいて、インクジェットヘッド20から吐出するインク滴の量を最適にコントロールすることができる。
続いて、製膜処理工程について説明する。
作業者がテーブル46の前端側から基板2を第1移動手段34のテーブル46の上に給材すると、この基板2はテーブル46に対して吸着保持されて位置決めされる。そして、モータ44が作動して、基板2の端面がY軸方向に並行になるように設定される。
次に、インクジェットヘッド20がX軸方向に沿って移動して、電子天秤の上部に位置決めされる。そして、指定滴数(指定のインク滴の数)の吐出を行う。これにより、電子天秤は、たとえば5000滴のインクの重量を計測して、インク滴1滴当たりの重量を計算する。そして、インク滴の1滴当たりの重量が予め定められている適正範囲に入っているかどうかを判断し、適正範囲外であれば圧電素子92に対する印加電圧の調整等を行って、インク滴の1滴当たりの重量を適正に収める。
インク滴の1滴当たりの重量が適正な場合には、基板2が第1移動手段34よりY軸方向に適宜に移動して位置決めされるとともに、インクジェットヘッド20が第2移動手段16によりX軸方向に適宜移動して位置決めされる。そして、インクジェットヘッド20は、予備吐出エリア52に対して全ノズルからインクを予備吐出した後に、基板2に対してY軸方向に相対移動して(実際には、基板2がインクジェットヘッド20に対してY方向に移動する)、制御装置25の制御の下、基板2上の所定領域に対して所定のノズルから所定幅でインクを吐出する。インクジェットヘッド20と基板2との一回の相対移動が終了すると、インクジェットヘッド20が基板2に対してX軸方向に所定量ステップ移動し、その後、基板2がインクジェットヘッド20に対して移動する間にインクを吐出する。そして、この動作を複数回繰り返すことにより、基板2上の製膜領域全体にインクを吐出して製膜することができる。
続いて、図3乃至図6を参照して、本発明に係る有機EL装置について説明する。図3は、有機EL装置を示すものであって、特にアクティブマトリクス型の有機EL装置に適用した実施の形態例を模式的に示す図である。また、この有機EL装置(発光体)1は、薄膜トランジスタを用いたアクティブ型の駆動方式を採用している。
有機EL装置1は、基板2の上に、回路素子としての薄膜トランジスタを含む回路素子部14、画素電極(陽極)111、有機EL層(有機EL素子)を含む機能層110、電子供給体としての陰極12、及び封止部3等を順次積層した構造からなる。
基板2としては、本例ではガラス基板が用いられる。本発明における基板としては、ガラス基板の他に、シリコン基板、石英基板、セラミックス基板、金属基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム基板等、電気光学装置や回路基板に用いられる公知の様々な基板が適用される。
基板2上には、発光領域としての複数の画素領域(発光単位)Aがマトリクス状に配列されており、カラー表示を行う場合、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する画素領域Aが所定の配列で並ぶ。各画素領域Aには、画素電極111が配置され、その近傍には信号線132、電源線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線等が配置されている。画素領域Aの平面形状は、図に示す矩形の他に、円形、長円形など任意の形状が適用される。
また、封止部3は、水や酸素の侵入を防いで陰極12あるいは機能層110の酸化を防止するものであり、基板2に塗布される封止樹脂、及び基板2に貼り合わされる封止基板3b(封止缶)等を含む。封止樹脂の材料としては、例えば、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等が用いられ、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂が好ましく用いられる。封止樹脂は、基板2の周縁に環状に塗布されており、例えば、マイクロディスペンサ等により塗布される。封止基板3bは、ガラスや金属等からなり、基板2と封止基板3bとは封止樹脂を介して張り合わされる。
図4は、上記有機EL装置1の回路構造を示している。
図4において、基板2上には、複数の走査線131と、走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、信号線132に並列に延びる複数の電源線133とが配線されている。また、走査線131及び信号線132の各交点毎に上記画素領域Aが形成されている。
信号線132には、例えば、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを含むデータ側駆動回路103が接続されている。また、走査線131には、シフトレジスタ及びレベルシフタを含む走査側駆動回路104が接続されている。
画素領域Aには、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の第1の薄膜トランジスタ123と、この薄膜トランジスタ123を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量135と、保持容量135によって保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動用の第2の薄膜トランジスタ124と、この薄膜トランジスタ124を介して電源線133に電気的に接続したときに電源線133から駆動電流が流れ込む画素電極111(陽極)と、画素電極111と対向電極12(陰極)との間に挟み込まれる機能層110とが設けられている。機能層110は、有機EL素子としての有機EL層を含む。
画素領域Aでは、走査線131が駆動されて第1の薄膜トランジスタ123がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量135に保持され、この保持容量135の状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ124の導通状態が決まる。また、第2の薄膜トランジスタ124のチャネルを介して電源線133から画素電極111に電流が流れ、さらに機能層110を通じて対向電極12(陰極)に電流が流れる。そして、このときの電流量に応じて、機能層110が発光する。
図5は、上記有機EL装置1における表示領域の断面構造を拡大した図である。この図5には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する3つの画素領域の断面構造が示されている。前述したように、有機EL装置1は、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14、画素電極(陽極)111、機能層110が形成された発光素子部11、及び陰極12が順次積層されて構成されている。この有機EL装置1では、機能層110から基板2側に発した光が、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるとともに、機能層110から基板2の反対側に発した光が陰極12により反射されて、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるようになっている。
回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。さらに回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線)が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されている。ゲート電極143は半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に設けられている。また、第1、第2層間絶縁膜144a、144bを貫通して、半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145,146が形成されている。
そして、第2層間絶縁膜144b上には、ITO等からなる透明な画素電極111が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール146が電源線133に接続されている。
このようにして、回路素子部14には、各画素電極111に接続された駆動用の薄膜トランジスタ123が形成されている。なお、回路素子部14には、前述した保持容量135及びスイッチング用の薄膜トランジスタ124も形成されているが、図5ではこれらの図示を省略している。
発光素子部11は、複数の画素電極111…上の各々に積層された機能層110と、機能層110同士の間に配されて各機能層110を区画するバンク部112とを主体として構成されている。機能層110上には陰極12が配置されている。発光素子である有機EL素子は、画素電極111、陰極12、及び機能層110等を含んで構成される。
ここで、画素電極111は、ITOにより形成されてなり、平面視略矩形にパターニングされて形成されている。この画素電極111の厚さは、50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nm程度がよい。
バンク部112は、図5に示すように、基板2側に位置する無機物バンク層112a(第1バンク層)と基板2から離れて位置する有機物バンク層112b(第2バンク層)とが積層されて構成されている。無機物バンク層112aは、例えば、SiO 、TiO 等の無機材料からなる。また、有機物バンク層112bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性のあるレジストから形成されている。
機能層110は、画素電極111上に積層された正孔供給体としての正孔輸送層(正孔注入/輸送層)110aと、正孔輸送層110a上に隣接して形成された有機EL層(発光層)110bとから構成されている。
正孔輸送層110aは、正孔を有機EL層110bに注入(供給)する機能を有するとともに、正孔を正孔輸送層110a内部において輸送する機能を有する。このような正孔輸送層110aを画素電極111と有機EL層110bの間に設けることにより、有機EL層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。また、有機EL層110bでは、正孔輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入(供給)される電子が有機EL層で再結合し、発光が得られる。なお、正孔輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。
有機EL層110bは、赤色(R)に発光する赤色有機EL層110b1、緑色(G)に発光する緑色有機EL層110b2、及び青色(B)に発光する青色有機EL層110b3の発光波長帯域が互いに異なる3種類からなり、各有機EL層110b1〜110b3が所定の配列(例えばストライプ状)で配置されている。なお、詳細については後述するが、本実施の形態では、赤色有機EL層110b1及び緑色有機EL層110b2に隣接する正孔輸送層110a1、110a2は、青色有機EL層110b3に隣接する正孔輸送層110a3よりも薄い膜厚で形成されている。
なお、必要に応じて、有機EL層110aの上(陰極12側)に電子注入層を形成し、これを含めて機能層110としてもよい。電子注入層は、陰極12から有機EL層110bへの電子の注入を促進させる役割を有するものであり、リチウムを中心金属としたリチウムキノリノール錯体によって形成され、その厚さは例えば2〜5nmの範囲が好ましく、特に2nm程度がよい。電子注入層に用いられる材料として、リチウムキノリノール錯体以外のものを用いてもよく、周期律表1A族と、周期律表2A族と、希土類との中から選択される金属元素、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca,Sr,Ba、La、Ce,Pr,Nd,Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される金属元素を有した錯体が好ましい。錯体の例としては、ナトリウムキノリノール錯体等が挙げられる。また、電子注入層においては、上記のリチウムキノリノール錯体が後述の液体材料に溶けた組成物インクを作成し、液体吐出法(インクジェット法)によって有機EL層110b3に吐出することによって形成することができる。
陰極(対向電極)12は、発光素子部11の全面に形成されており、画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、リチウム(Li)イオンを還元できるものとして、本例ではカルシウム層12aとアルミニウム層12bとが積層されて構成されている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数が低いものを設けることが好ましく、特にこの形態においては発光層110bに直接に接して発光層110bに電子を注入する役割を果たす。カルシウム層12aの厚さは、例えば2〜50nmの範囲が好ましい。また、アルミニウム層12bは、有機EL層110bから発した光を基板2側に反射させるもので、Al膜の他、Ag膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲が好ましい。更にアルミニウム層上にSiO、SiO2、SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けてもよい。
なお、本実施形態においては、リチウムイオンを還元できるものとしてカルシウム(Ca)を採用したが、カルシウムに限定することなく、Mg、Alを採用してもよい。
以上の構成では、各画素領域においては、基板2側から、画素電極(陽極)111、正孔輸送層110a、有機EL層110b及び陰極12の順に積層されている。そして、このように構成された有機EL装置1においては、各色の有機EL層110bでは、陰極12のカルシウム層12aが有機EL層110bに直接に接して有機EL層110bに電子を注入する役割を果たす。
また、本実施形態の有機EL装置1は、蒸着法を用いて形成された電子注入層を備えた有機EL装置の場合と比較すると、同程度の発光特性及び発光寿命を得ることができる。
次に、上記有機EL装置1を製造する方法について図6(a)〜(d)を参照して説明する。なお、基板2上には、それぞれ先の図5に示した、薄膜トランジスタを含む回路素子部14、バンク部112(有機物バンク層112a、無機物バンク層112b)、及び画素電極111がすでに形成されているものとする。
本例の製造方法は、(1)正孔輸送層形成工程、(2)有機EL層形成工程、(3)陰極形成工程、及び(4)封止工程等を有する。
なお、ここで説明する製造方法は一例であって、必要に応じてその他の工程が除かれたり追加されたりする。
(1)正孔輸送層形成工程
図6(a)に示すように、画素電極111が形成された基板2上に、正孔輸送層110aを形成する。
正孔輸送層形成工程では、上述した製膜装置30による液体吐出法を用いることにより、既述の正孔輸送層形成材料を含む組成物(液滴)を画素電極111上に吐出する。
液体吐出法による正孔輸送層の形成手順としては、液状体を吐出するためのインクジェットヘッド20に、正孔輸送層110aの材料を含有する組成物インクを充填し、インクジェットヘッド20の吐出ノズルを、バンク部112の開口部内に位置する画素電極111に対向させ、ヘッド20と基板2とを相対移動させながら、ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴を吐出する(吐出工程)。その後、吐出後のインク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒(液体材料)を蒸発させることにより、正孔輸送層が形成される。
ここで用いる組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
より具体的な組成物の組成としては、PEDOT:PSS混合物(PEDOT/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:50重量%のものを例示できる。なお、組成物の粘度は2〜20Ps程度が好ましく、特に4〜15cPs程度が良い。
ここで、本実施の形態では、発光特性の経時変化が異なる複数色(複数種類)の画素領域に対して、発光特性の経時劣化を調整するために、各色の経時劣化度合いに応じて正孔輸送層110aの厚さを変えている。図7に、白色の色度をCIE色度座標にて(0.33,0.33)とした場合のR・G・Bそれぞれの必要輝度を示す。この図に示されるように、例えば白色輝度にて150cd/mの輝度を得るためには、赤色;314cd/m、緑色;629cd/m、青色;209cd/mの輝度がそれぞれ必要になる。また、経時劣化により白色輝度にて100cd/mしか得られなくなった場合は、赤色;209cd/m、緑色;419cd/m、青色;139cd/mの輝度がそれぞれ必要になる。つまり、白色輝度は、有機EL装置に付与する電圧を上げることで経時劣化に対応可能であるが、ホワイトバランスを維持するためにはR・G・Bそれぞれの色の経時劣化が対応している必要がある。
図8に、各色に対応する正孔輸送層110a1〜110a3の厚さと経時劣化との関係を示す。この図に示されるように、同一の厚さ(ここでは70nm)で正孔輸送層110a1〜110a3を形成した場合、青色の劣化度合いが他色に比較して大きい。すなわち、同じ厚さの正孔輸送層110a1〜110a3を用いて有機EL層110b1〜110b3を発光させた場合、青色が先に劣化するため、フルカラーパネルにおいては経時変化により赤色及び緑色により色度のバランスがシフトすることになる。これに対して、青色の正孔輸送層110a3の膜厚を70nmに維持しつつ、赤色及び緑色(所定種類の発光単位)の経時劣化を調整するために、赤色の正孔輸送層110a1及び緑色の正孔輸送層110a2の膜厚を50nmとすると、赤色及び緑色の劣化が速くなり寿命が低下することになるが、R・G・Bの経時劣化が同様になり、フルカラー時の色度バランスを一定にすることができる。なお、赤色及び緑色の寿命は低下するものの、青色の寿命に合わせるだけなので、有機EL装置1としての寿命に影響を及ぼすものではない。
従って、正孔輸送層形成工程においては、制御装置25がピエゾ素子92の駆動を制御することにより、最終的に青色の正孔輸送層110a3の膜厚が70nm、赤色の正孔輸送層110a1の膜厚及び緑色の正孔輸送層110a2の膜厚が50nmとなるように、色に応じて吐出する液滴(液状体)の液滴重量または液滴数が制御される(劣化調整工程)。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上に正孔輸送層110a1〜110a3を形成する。
なお、この正孔輸送層形成工程を含めこれ以降の工程は、水、酸素の無い雰囲気とすることが好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
(2)有機EL層形成工程
次に、図6(b)に示すように、正孔輸送層110aが積層された、例えば青色用の画素電極111上に、青色有機EL層110b3を形成する。即ち、正孔輸送層110aと同様に、例えば液滴吐出法などにより、有機EL層用材料を含む組成物インクを正孔輸送層110a上に吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理して、バンク部112に形成された開口部内に青色有機EL層110b3を形成する。
有機EL層形成工程では、正孔輸送層110aの再溶解を防止するために、有機EL層形成の際に用いる組成物インクの溶媒として、正孔輸送層110aに対して不溶な無極性溶媒を用いる。この場合、無極性溶媒に対する正孔輸送層110aの表面の濡れ性を高めるために、有機EL層形成の前に表面改質工程を行うのが好ましい。表面改質工程は、例えば上記無極性溶媒と同一溶媒又はこれに類する溶媒を液体吐出法、スピンコート法又はディップ法等により正孔輸送層110a上に塗布した後に乾燥することにより行う。なお、ここで用いる表面改質用溶媒としては、組成物インクの無極性溶媒と同一なものとして例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を例示でき、組成物インクの無極性溶媒に類するものとしては、例えばトルエン、キシレン等を例示することができる。
また、液滴吐出法による有機EL層の形成手順としては、インクジェットヘッド20に、例えば青色有機EL層の材料を含有する組成物インクを充填し、ヘッド20の吐出ノズルを、バンク部112の開口部内に位置する青色用の正孔輸送層110aに対向させ、ヘッド20と基板2とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴を吐出する。吐出されたインク滴は、正孔輸送層110a上に広がってバンク部112の開口部内に満たされる。続いて、吐出後のインク滴を乾燥処理することにより組成物インクに含まれる無極性溶媒が蒸発し、青色有機EL層110b3が形成される。この後、青色有機EL層110b3と同様に、赤色有機EL層の材料を含有する組成物インク及び緑色有機EL層の材料を含有する組成物インクを用いて、赤色有機EL層110b1及び緑色有機EL層110b2を形成する(図6(c)参照)。
なお、有機EL層110bを構成する発光材料としては、フルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、その他ベンゼン誘導体に可溶な低分子有機EL材料、高分子有機EL材料等が挙げられる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等も用いることができる。一方、無極性溶媒としては、正孔輸送層110aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
ここで、液滴吐出法としては、上述したピエゾ方式以外にも帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
上記液滴吐出技術のうち、ピエゾ方式は、材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
(3)陰極形成工程
次に、図6(d)に示すように、画素電極(陽極)111と対をなす対向電極(陰極)12を形成する。即ち、有機EL層110bを含む基板2上の領域全面にカルシウム層12aとアルミニウム層12bとを順次積層して陰極12を形成する。これにより、赤色有機EL層110b1、緑色有機EL層110b2及び青色有機EL層110b3が形成された領域を含む有機EL層110bの形成領域全体に、陰極12が積層され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する有機EL素子がそれぞれ形成される。
陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による有機EL層110bの損傷を防止できる点で好ましい。
また陰極12上に、酸化防止のためにSiO2 、SiN等の保護層を設けても良い。
(4)封止工程
最後に、有機EL素子(発光素子)が形成された基板2と封止基板3b(図3参照)とを封止樹脂を介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止基板3bを配置する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
この後、基板2の配線に陰極12を接続するとともに、基板2上あるいは外部に設けられる駆動IC(駆動回路)に回路素子部14(図3参照)の配線を接続することにより、本例の有機EL装置1が完成する。
以上のように、本実施の形態では、正孔輸送層の膜厚を変えることで、赤色及び緑色における発光特性の経時劣化を、最も経時劣化度合いが大きい青色に合わせるように調整しているので、経時変化が生じても各色の経時劣化が同様になり、色度のバランスがシフトすることなく良好な発光状態を維持することが可能になる。従って、消費者が購入後にホワイトバランスを再調整したり、複雑な駆動回路を設ける必要がなくなる。また、本実施の形態では、正孔輸送層材料を含む液状体を液滴として吐出する際の液滴重量または液滴数を制御するという簡単な構成・工程により、上述した発光特性の経時劣化を調整できるので、装置構成を簡素化することが可能になるとともに、生産効率を向上させることも可能になる。
なお、本発明の電気光学装置は、上記有機EL装置(発光体)を表示装置として備えたものであり、具体的には、上述の有機EL装置以外にも、無機エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)等を挙げることができる。
(1)バンクによって囲まれた画素に対して、正孔輸送層形成材料をR(赤)・G(緑)・B(青)画素それぞれに10ng×10shotの印字を行った。結果、R・G・B画素ともに膜厚は60nmであった。
(2)この状態にてR・G・Bそれぞれに発光層(有機EL層)を80nm成膜し、さらにこの上に陰極を真空蒸着法によって成膜して発光素子とした。
(3)この素子の寿命測定を行った結果、R・G・Bの各半減寿命は、R:1800h、G:3000h、Bで1000hであった。しかし、白色表示でカラーバランスがずれるため、白色が得られる時間は700hであった。
(4)次にバンクによって囲まれた画素に対して、正孔輸送層形成材料をそれぞれにR画素には10ng×8shot、G画素には10ng×6shot、B画素には10ng×10shotの液滴吐出を行った。結果、R・G・B画素の膜厚はR画素:50nm、G画素45nm、B画素:60nmとなった。
(5)この状態にてR・G・Bそれぞれに発光層を80nm成膜し、さらにこの上に陰極を真空蒸着法によって成膜して発光素子とした。
(6)この素子の寿命測定を行った結果、R・G・Bの各半減寿命は、R:1200h、G:1300h、Bで1000hであった。ただし、白色が得られる時間は940hであった。
(7)すなわち、R、Gの色毎の寿命は低下するものの、パネルとしての寿命は延びることが立証された。
(第2実施形態)
図9は、本発明における有機EL装置(発光体)を搭載した電子機器の一例としてのモバイル型パーソナルコンピューターを示す斜視図である。
モバイル型パーソナルコンピュータ200は、キーボード201を備えた本体部202と、上記第1の実施の形態に係る有機EL装置(発光体)からなる表示ユニット203と、を備えている。
(第3実施形態)
図10は、本発明における有機EL装置(発光体)を搭載した電子機器の一例としての携帯電話を示す斜視図である。
携帯電話300は、複数の操作ボタン301と、受話口302と、送話口303と、上記第1の実施の形態に係る有機EL装置(発光体)304と、を備えている。
(第4の実施形態)
図11は、本発明における有機EL装置(発光体)を搭載した電子機器の一例としてのディジタルスチルカメラを示す斜視図である。なお、外部機器との接続についても簡易的に示している。
ディジタルスチルカメラ400は、ケース401と、その背後に設けられ、上記第1の実施の形態に係る有機EL装置(発光体)からなる表示パネル402と、ケース401の観察側 (図においては裏面側)に設けられる光学レンズやCCD(ChargeCoupledDevice)等を含んだ受光ユニット403と、シャッタボタン404と、そのシャッタボタン404を押した時点におけるCCDの撮像信号が転送・格納される回路基板405と、を備えている。この表示パネル402には、CCD等の撮像素子により光電変換して生成された撮像信号に基づいて、表示が行われる。
また、このディジタルスチルカメラ400にあっては、ケース401の側面にビデオ信号出力端子406と、データ通信用の入出力端子407とが設けられている。そして、図に示されるように、前者のビデオ信号出力端子406には、テレビモニタ500が、また、後者のデータ通信用の入出力端子407にはパーソナルコンピュータ600が、それぞれ必要に応じて接続され、所定の操作によって、回路基板405のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ500や、パーソナルコンピュータ600に出力される構成となっている。
なお、本発明における有機EL装置(発光体)を備えた電子機器としては、上記のものに限らず、他に例えば、テレビ、携帯用テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、PDA、携帯用ゲーム機、車載用オーディオ機器、自動車用計器、CRT、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、時計、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などを挙げることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、経時劣化を調整(促進)すべき発光単位に対して、有機EL層110bを構成する発光材料や、正孔輸送層110aを構成する正孔輸送層形成材料の少なくともいずれか一方(双方であってもよい)に不純物イオン(例えば、F、HPO 、Cl、NO2−、Br、NO 、SO4−等のアニオン種、またはLi、Na、NH4+、K、Ca2+、Ma2+、Rb2+、Cs、Ba2+等のカチオン種)を混合して、経時劣化度合いを促進させてもよい。この場合も、各色での経時劣化度合いを一様にすることができる。
また、陰極12の厚さを発光単位に応じて変える(パターニングする)構成とすることも可能である。例えば、陰極12はカルシウム層12aとアルミニウム層12bとから形成されているが、経時劣化を調整(促進)すべき発光単位に対して、抵抗の大きいカルシウム層を厚く形成する構成としてもよい。この場合、抵抗が大きくなることで高い電圧が必要になり、効率低下により経時劣化の度合いを大きくすることができる。この場合、陰極12(カルシウム層12a)が劣化調整手段としての電子供給体となる。なお、電子供給体により発光特性の経時劣化を調整する方法としては、陰極以外にも、電子注入層を設ける場合には電子注入層の膜厚を発光単位に応じて変えることも可能である。
さらに、経時劣化を調整(促進)すべき発光単位に対応するバンク部のみ封止樹脂から延出させる構成とすることもできる。この構成では、延出したバンク部から水や酸素等が侵入して陰極が酸化するため、当該発光単位の経時劣化を促進することができる。
本発明に係る製造装置の概略的な外観斜視図である。 インクジェットヘッドの構造を示す図である。 本発明の有機EL装置の構成を模式的に示す図である。 アクティブマトリクス型有機EL装置の回路図である。 有機EL装置の表示領域の断面構造を示す拡大図である。 有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。 白色の色度とR・G・Bそれぞれの必要輝度との関係図である。 正孔輸送層の厚さと経時劣化との関係を示す図である。 有機EL装置を搭載した電子機器の一例としてのモバイル型パーソナルコンピューターを示す斜視図である。 有機EL表示装置を搭載した電子機器の一例としての携帯電話を示す斜視図である。 有機EL表示装置を搭載した電子機器の一例としてのディジタルスチルカメラを示す斜視図である。
符号の説明
A 画素領域(発光単位)、1 有機EL装置(発光体)、2 基板、12 陰極(電子供給体、劣化調整手段)、12a カルシウム層(電子供給体)、20 インクジェットヘッド(吐出装置)、25 制御装置(劣化調整装置)、30 製膜装置、110a 正孔輸送層(正孔供給体、劣化調整手段)、110b 有機EL層(発光層)

Claims (4)

  1. 発光特性の経時変化の度合いが異なる複数種類の発光色の発光単位を有する発光体であって、
    前記発光単位は、電子を供給する電子供給体と、正孔を供給する正孔供給体と、前記電子供給体から供給される前記電子、及び前記正孔供給体から供給される前記正孔が結合して発光する発光層とをそれぞれ有し、
    前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整する劣化調整手段を備え、
    前記劣化調整手段は、前記発光特性の経時劣化の度合いが異なる前記発光単位において異なる厚さに形成されることにより前記発光単位の通電時の電気抵抗を発光色ごとに異なる大きさとした前記電子供給体であり、前記複数種類の発光色の発光単位のうち、前記発光特性の経時劣化の度合いが最も大きい発光単位に合わせて、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いが調整されることを特徴とする発光体。
  2. 請求項1記載の発光体を表示装置として備えることを特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項1記載の発光体を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
  4. 発光特性の経時変化の度合いが異なる複数種類の発光色の発光単位を有する発光体の製造方法であって、
    前記発光単位は、電子を供給する電子供給体と、正孔を供給する正孔供給体と、前記電子供給体から供給される前記電子、及び前記正孔供給体から供給される前記正孔が結合して発光する発光層とをそれぞれ有し、
    前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整する劣化調整工程を有し、
    前記劣化調整工程では、前記電子供給体を、前記発光特性の経時劣化の度合いが異なる前記発光単位において異なる厚さに形成して、前記発光単位の通電時の電気抵抗を発光色ごとに異なる大きさとし、かつ、前記複数種類の発光色の発光単位のうち、前記発光特性の経時劣化の度合いが最も大きい発光単位に合わせて、前記複数種類の発光色の発光単位における前記発光特性の経時劣化の度合いを調整することを特徴とする発光体の製造方法。
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