JP4595149B2 - 粉体塗料用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる粉体塗料用樹脂組成物に関し、より詳細には、特定の結晶化ピーク温度を有する結晶性ポリウレタン樹脂と、その硬化剤を必須の皮膜形成成分として含有することから成る、とりわけ、塗膜の平滑性、柔軟性、低温硬化性、塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)などに優れた粉体塗料を与えるという、極めて実用性の高い粉体塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機溶剤を含有しない塗料の一形態として粉体塗料があるが、近年、大気汚染などの環境問題の観点より、その低公害性が注目され、使用量も、年々増加している。かかる粉体塗料の用途としては、家電・建材用などのような金属製品の塗装用をはじめ、その用途は多岐に亘るが、塗装時に揮発する溶剤が実質的に無いという粉体塗料の特徴から、プラスチックや木材用塗装剤などの耐熱性の低い素材用としても適用の検討が進んでいる。
【0003】
現在、実用に供されている粉体塗料用樹脂組成物には、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系のものが主に知られている。特に、水酸基やカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂と、硬化剤とを組み合わせて得られる組成物は、バランスのとれた塗膜性能を有しており、塗膜の美粧性や、可撓性などの要求されるような用途、たとえば、家電製品用や、建材用などの用途に、広く利用されている。
【0004】
ところが、上掲したような、非結晶性ポリエステル樹脂と硬化剤とからなる形の粉体塗料用樹脂組成物(以下、ポリエステル系粉体塗料という。)は、その分子量が比較的高く、溶融時の粘度も高いため、得られる塗膜の平滑性は、十分でなく、また、低温での硬化には適していないのが実状である。
【0005】
従来、ポリエステル系粉体塗料の塗膜表面の平滑性を改良する方法としては、塗料の主成分であるポリエステル樹脂の平均分子量を小さくして溶融時の粘度を下げたり、柔軟性を付与する成分を共重合することによってポリエステル成分のガラス転移温度を下げたりする方法が採られてきた。しかし、これらの方法は、いずれもポリエステル樹脂の軟化点やガラス転移温度を低下させることになり、塗膜表面の平滑性が改善されるものの、塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)を悪くするという問題があった。
【0006】
また、平滑性を改良する方法として、貯蔵温度より高い融点を有し、かつ溶融時の粘度が低い結晶性ポリエステル樹脂を使用したものが試みられてきた。(特開昭62−240368号、特開平10−195342号)
【0007】
しかし、これらの結晶性ポリエステル樹脂では融点のコントロールが難しく、ごく限られた成分の二塩基酸やジオールの組み合わせしか使用できないため、塗料のブロッキング性と柔軟性、優れた平滑性、低温硬化性などを両立させることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型の技術に従う限りは、高度な塗膜平滑性と、優れた塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)と柔軟性という、極めて実用性の高い性能を成立させる粉体塗料と、そのための粉体塗料用樹脂組成物を提供するということは、頗る、困難であった。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高度な塗膜平滑性と優れた塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)を有し、かつ柔軟性とにもすぐれる極めて実用性の高い粉体塗料用樹脂組成物を提供するということにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の欠点・問題点を解消するべく、加えて、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意検討を重ねた結果、硬化性官能基を有し、かつ、結晶化ピーク温度が30〜150℃の結晶性ポリウレタン樹脂、好ましくは180℃における溶融粘度が10Pa・s以下のポリウレタン樹脂と、その硬化剤とを必須の皮膜形成成分として含有することから成る粉体塗料用樹脂組成物が、低温硬化条件で高度な塗膜平滑性と、優れた塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)と柔軟性と
いう、極めて実用性の高い性能を成立させる粉体塗料を与えること等を見い出した。
【0011】
1.硬化性官能基を有し、かつ、結晶化ピーク温度が30〜150℃の結晶性ポリウレタン樹脂(A)と、該硬化性官能基と反応する硬化剤(B)とを含んでなる粉体塗料用樹脂組成物であって、前記結晶性ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、10〜200mgKOH/gである粉体塗料用樹脂組成物であって、前記結晶性ポリウレタン樹脂(A)が、炭素原子数2〜22のポリカルボン酸(C)と炭素原子数2〜20のポリオール(D2)とから得られた水酸基含有のポリエステル樹脂(E)と、ポリイソシアネート化合物(F)を必須成分とし、更に、鎖伸長剤(G)とを反応させて得られた水酸基含有のポリウレタン樹脂、または、この水酸基含有のポリウレタン樹脂にポリカルボン酸化合物もしくはその酸無水物を反応させて得られたカルボキシル基含有のポリウレタン樹脂であることを特徴とする、粉体塗料用樹脂組成物、
【0012】
2.結晶性ポリウレタン樹脂(A)が、180℃における溶融粘度が10Pa・s以下のポリウレタン樹脂である、上記1に記載の粉体塗料用樹脂組成物、
【0013】
3.硬化剤(B)が、カルボキシル基と反応する化合物である上記1または2記載の粉体塗料用樹脂組成物、
【0014】
4.硬化剤(B)が、β−ヒドロキシアルキルアミド、グリシジル基含有アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物である上記1、2または3に記載の粉体塗料用樹脂組成物、
【0015】
5.結晶性ポリウレタン樹脂(A)の水酸基価が、10〜200mgKOH/gである上記1記載の粉体塗料用樹脂組成物を提供するものである。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、結晶性ポリウレタン樹脂(A)は、結晶化ピーク温度が30〜150℃であることが必要である。30℃未満では粉体塗料の貯蔵安定性が劣るものとなる。また、150℃を越えると塗料化時の溶融混練が困難になり、塗料化時に硬化反応しやすくなるため好ましくない。結晶化ピーク温度はJIS K7121 プラスチックの転移温度測定方法に記載のDSC(示差走査熱量測定)曲線のピーク温度により求めることができる。
【0017】
結晶性ポリウレタン樹脂(A)の溶融粘度は、良好な平滑性を得るためには硬化温度で低粘度であることが求められるため、180℃で10Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは0.005〜1Pa・s以下であることが好ましい。
【0018】
結晶性ポリウレタン樹脂(A)が有する硬化性官能基としては、硬化剤(B)と反応して硬化するものであればよく、特に限定されないが、なかでもカルボキシル基および/または水酸基であることが好ましく、その酸価および水酸基の水準は、硬化剤(B)との反応性を考慮すると、酸価が10〜200mgKOH/g、および/または、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ま
しい。
【0019】
硬化剤(B)は、結晶性ポリウレタン樹脂(A)中のカルボキル基、水酸基などの硬化性官能基と反応して硬化させる化合物であればよく、特に限定されないが、塗膜の平滑性、柔軟性、低温硬化性の点で、カルボキル基との反応の場合には、グリシジル基含有アクリル樹脂、β−ヒドロキシアルキルアミド、トリグリシジルイソシアヌレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の使用が好ましく、水酸基との反応の場合には、ブロックイソシアネート化合物、たとえば、ε−カプロラクタムでブロックされたイソホロンジイソシアネートやウレトジオン結合で内部ブロック化されたブロックイソシアネート化合物などのようなブロックイソシアネート化合物、テトラアルコキシメチルグリコーリル、ヘキサアルコキシメチルメラミンなどが好ましい。結晶性ポリウレタン樹脂(A)がカルボキル基と水酸基を併せて有する場合には、それぞれの硬化剤を併用してもよい。
【0020】
硬化剤(B)の配合量は、結晶性ポリウレタン樹脂(A)のカルボキル基および/または水酸基に対して当量比〔(A)/(B)〕が1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲となることが好ましい。
【0021】
つぎに、結晶性ポリウレタン樹脂(A)を構成する成分について説明する。結晶性ポリウレタン樹脂(A)は、ポリオール成分(D)および/または水酸基含有ポリエステル樹脂(E)とポリイソシアネート化合物(F)との反応により得られる。
【0022】
ポリオール成分(D)としては、低分子量のポリオール成分として代表的なものを例示すると、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられ、なかでも炭素原子数が偶数である直鎖状脂肪族ジオールの使用が好ましい。また、高分子量ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、カーボネートポリオール、カプロラクトンポリエステルポリオール、ブタジエンポリオールなどが挙げられ、なかでもポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール(D1)の使用が好ましく、特に結晶性のポリエステルポリオール
の使用が好ましい。
【0023】
水酸基含有ポリエステル樹脂(E)としては、炭素原子数2〜22のポリカルボン酸(C)と炭素原子数2〜20のポリオール(D2)とを、常法によりエステル化して得られたものが挙げられ、なかでも平均分子量500〜10000の範囲のものが好ましい。
【0024】
炭素原子数2〜22のポリカルボン酸(C)として代表的なものを例示すると、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式ジカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類などが挙げられる。また、少量のトリメリット酸やピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸を併用してもよいし、さらにP−オキシ安息香酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸を少量併用してもよい。なかでも、炭素数が12以下で、かつ、偶数で直鎖状の脂肪族ジカルボン酸類の使用が、低溶融粘度化と結晶性ポリウレタン樹脂の結晶化ピーク温度のコントロールの上で好ましい。
【0025】
炭素原子数2〜20のポリオール成分(D2)として代表的なものを例示すると、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル-1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどがありなかでも炭素原子数が偶数である直鎖状脂肪族ジオールが好ましい。
【0026】
次に、ポリイソシアネート化合物(F)について説明する。ポリイソシアネート化合物(F)として代表的なものを例示すると、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのジイソシアネートとポリオールのアダクト物や、ヌレート化物も使用できる。これらのなかでも、低粘度化の面と結晶化度の面からジイソシアネート化合物が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0027】
ポリイソシアネート化合物(F)と、上記ポリオール成分(D)および/または水酸基含有ポリエステル樹脂(E)との反応は、水酸基含有ポリエステル樹脂(E)が溶融流動化する100〜200℃で行い、通常、ポリオール成分(D)および/または水酸基含有ポリエステル樹脂(E)中の水酸基と、ポリイソシアネート化合物(F)中のイソシアネート基との割合が、水酸基が過剰になるようにして行われる。その際に錫化合物などの反応触媒を用いることもできる。また、この反応時にウレタン基濃度を向上させ、結晶性をコントロールするために鎖伸長剤(G)を併用することができる。
【0028】
鎖伸長剤(G)として代表的なものを挙げれば、上記に示したエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのポリオール類、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル類、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類が挙げられる。
【0029】
結晶性ウレタン樹脂(A)へのカルボン酸基の導入方法については、ポリエステル樹脂(E)の調製時にカルボン酸基を残しておく方法や、ウレタン化反応終了後、残存した水酸基と、ポリカルボン酸とのエステル化反応や、カルボン酸無水物を用いての開環付加反応により導入する方法を用いることができる。
【0030】
結晶性ウレタン樹脂(A)および硬化剤(B)を含んでなる、本発明の粉体塗料用樹脂組成物を用いて、目的とする粉体塗料を調製するには、たとえば公知慣用の種々の方法が、そのまま利用し適用できる。
【0031】
すなわち、一般的には、結晶性ウレタン樹脂(A)および硬化剤(B)と、さらに必要に応じて、非結晶性のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、顔料、硬化促進剤、表面調整剤などのような、種々の添加剤成分とを混合し、溶融混練せしめたのちに、さらに微粉砕せしめるという、いわゆる機械粉砕方式によるのが、特に簡便であるので推奨される。
【0032】
かくして得られる本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物、そして該粉体塗料用樹脂組成物から得られる粉体塗料は、公知慣用の種々の方法によって、被塗物基材上に塗装され、しかるのち、焼き付けされるということにより、目的とする硬化塗膜が、この被塗物基材上に形成されるということになる。
【0033】
ここにおいて、上記した被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板、ブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;瓦類;ガラス類;各種の無機質建材類;耐熱性のあるプラスチック、木材などがあり、具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類;二輪車または二輪車(用)部品類;門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、各種の建築内外装用資材類;アルミホイールなどのような種々の鉄ないしは非鉄金属類の諸素材ないしはプラスチック製品、木工諸製品類などがある。また、それらに化成処理、リン酸亜鉛処理、クロメート処理などの表面処理したものや、電着塗装を施されたものも含まれる。
【0034】
本発明の粉体塗料用樹脂組成物を使用した塗膜は、従来のポリエステル粉体塗料用組成物を使用した場合に比較して、塗膜の平滑性、柔軟性等が格段に向上する。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。また、参考例の特性値は、以下の方法により測定または評価した。
【0036】
・水酸基価:無水酢酸とピリジンとの混合溶液に結晶性ウレタン樹脂試料を溶解して、100℃で一時間加熱環流し、水酸基をアセチル化し、次いでイオン交換水を加えてさらに加熱環流した後、冷却し、水酸化カリウムのトルエン/メタノール溶液で逆滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
【0037】
・酸価:シクロヘキサノンに結晶性ウレタン樹脂試料を溶解して、0.1規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
【0038】
・結晶化ピーク温度:DSC−3100型示差走査型熱量計〔マックサイエンス社(製)〕を用い、JIS K7121に従って測定した(単位:℃)
【0039】
・溶融粘度:コーンプレート型粘度計CV−1S〔東亜工業株式会社(製)〕を用い、コーンCP−5で回転数750rpmに設定して、プレート温度180℃での溶融粘度を測定した(単位:Pa・s)。
【0040】
参考例1〜6〔ポリエステル樹脂(E)の調製〕
第1表に示した原料化合物中のポリオール成分を第1表(1)〜(2)に示した量で、撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら150℃にまで昇温した。
【0041】
ここへ、第1表(1)〜(2)に示した原料化合物中のポリカルボン酸成分(C)の第1表に示した量、およびジブチル錫オキサイド0.5部を加えて、240℃にまで昇温し、同温度で脱水縮合反応を続行せしめることによって、水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。以下、これらをポリエステル樹脂(E−1)〜(E−6)と略記する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
《第1表の脚註》
1)NPG :ネオペンチルグリコール
2)CHMD :1,4−シクロヘキサンジメタノール
3)1,4BG:1,4−ブタンジオール
4)EG :エチレングリコール
【0045】
参考例7〜14〔結晶性ポリウレタン樹脂(A)の調製〕
ポリオール成分とポリエステル成分を第2表(1)〜(3)に示した量で、撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、150℃にまで昇温した。
【0046】
ここへ、必要により、鎖伸長剤と、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートを加えた後、ポリイソシアネート成分を発熱に注意して2時間で加えて、同温度でウレタン化反応を続行せしめることによって、水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。さらに、第2表(1)〜(3)に示した量のカルボン酸無水物を添加、開環付加反応することによりカルボン酸基の導入を行った。以下、これらを結晶性ポリエステルウレタン樹脂(A−1)〜(A−9)と略記する。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
実施例3、参考例21、22、24〜28および比較例1〜2
(粉体塗料組成物および粉体塗料の調製)
それぞれ、第3表(1)〜(4)に示す割合で、各別に、粉体塗料用樹脂組成物を配合せしめ、かくして得られた、それぞれの組成物を、「コ・ニーダーPR−46型」(スイス国ブス社製の一軸混練機)を使用して、90℃で溶融混練せしめたのちに、微粉砕し、さらに200メッシュの金網で分級せしめることによって、平均粒径が30〜40μmなる、各種の粉体塗料を調製した。これらの各粉体塗料を(P−1)〜(P−10)、(p−1)〜(p−2)と略記する。
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
《第3表の脚註》
1)B1530 :ドイツ国ヒュルス社製「VESTAGON B1530」、イソホロンジイソシアネートのヌレート体をε−カプロラクタムでブロック化せしめた形のブロック・ポリイソシアネート化合物。
2)BF1540:同上社製「VESTAGON BF1540」、イソホンジイソシアネートをウレトジオン結合でセルフ・ブロック化せしめたブロック・ポリイソシアネート化合物。
3)XL552 :スイス国エムス社製β−ヒドロキシアルキルアミド。
4)TGIC :スイス国社製のトリグリシジルイソシアヌレート。
5)ファインディックA−261:大日本インキ化学工業(株)製グリシジル基
含有の固形アクリル樹脂(エポキシ当量;500)。
6)エピクロン 4050 :大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル・タイプの固形エポキシ樹脂。
7)アクロナール 4F :ドイツ国BASF社製表面調整剤。
8)キュアゾール C17Z:四国化成(株)製固形イミダゾール化合物。
9)CR−90 :石原産業(株)製ルチル型酸化チタン「タイペーク CR−90」。
10)M−8900:大日本インキ化学工業(株)製、非結晶性のカルボキシル基含有固形ポリエステル樹脂、酸価34mgKOH/g。
【0055】
次いで、得られた粉体塗料(P−1)〜(P−8)、(p−1)〜(p−2)を使用して、下記の塗膜形成方法に従って第4表に示す各種の塗膜を作製した後、それぞれの塗膜について塗膜性能試験を行なった。
【0056】
被塗物として使用する基材としては、0.8mm厚の「ボンデライト#3030」〔日本パーカライジング(株)製の燐酸亜鉛系処理剤で処理された軟鋼板〕を用いた。
【0057】
粉体塗料(P−1)〜(P−10)、(p−1)〜(p−2)を、それぞれ、基材に焼き付けた後の膜厚が50μmとなるようにして静電粉体塗装せしめた後、180℃/20分間なる条件下に焼き付けを行ない、粉体塗料からなる塗膜(以下、粉体塗膜と略記する。)を有する被塗物を得た。
【0058】
かくして得られた、被塗物上の粉体塗膜については平滑性、耐衝撃性の評価を行った。それらの結果をまとめて第4表(1)〜(3)に示した。
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
なお、評価判定の要領は、次の通りである。
・耐ブロッキング性:140メッシュのふるいを通過した粉体塗料を直径7cm、長さ10cmの有底ガラス管に高さ4cmまで充填し、30℃の恒温器中に1週間放置した後、ガラス管を逆さにして粉体塗料を取り出し、塗料の状態を次の2段階で判定した。
○:塗料に塊がない。
×:塗料が凝集して固化した大きな塊がある。
【0063】
・耐溶剤性 :キシレンを含ませたガーゼで塗膜表面を200回擦り、塗膜のツヤ引け程度を目視判定した。
○:良好。
×:不良。
【0064】
・平滑性:下記の判定の基準で、目視により判定した。
○:非常にスムーズなる平滑な塗面。
×:細かいチリ肌が認められる塗面。
【0065】
・耐衝撃性:塗膜面にDu−pont衝撃試験機で、1/2インチ径のポンチに500gの重りを落下させてワレが発生する高さ(cm)で耐衝撃性を判定した。
【0066】
・耐屈曲性:25℃で塗膜を90°に折り曲げて折り曲げ部の塗膜のワレを下記の基準で判定した。
○:まったくワレが認められない。
×:一部または全面にワレが認められる。
【0067】
・耐湿性:50℃、湿度98%以上の条件下に240時間保存した後、カッターナイフで碁盤面にクロスカット(100/100)し、セロハンテープでハクリ試験を行い、付着性を下記の基準で判定した。
○:まったくハガレが認められない。
×:一部または全面にハガレが認められる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物は、塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)に優れるとともに、塗膜の平滑性、柔軟性、付着性にも優れる特徴を有し、従来の粉体塗料組成物に比して塗膜外観、柔軟性、等が格段に向上する。
Claims (5)
- 硬化性官能基を有し、かつ、結晶化ピーク温度が30〜150℃の結晶性ポリウレタン樹脂(A)と、該硬化性官能基と反応する硬化剤(B)とを含んでなる粉体塗料用樹脂組成物であって、前記結晶性ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、10〜200mgKOH/gである粉体塗料用樹脂組成物であって、前記結晶性ポリウレタン樹脂(A)が、炭素原子数2〜22のポリカルボン酸(C)と炭素原子数2〜20のポリオール(D2)とから得られた水酸基含有のポリエステル樹脂(E)と、ポリイソシアネート化合物(F)を必須成分とし、更に、鎖伸長剤(G)とを反応させて得られた水酸基含有のポリウレタン樹脂、または、この水酸基含有のポリウレタン樹脂にポリカルボン酸化合物もしくはその酸無水物を反応させて得られたカルボキシル基含有のポリウレタン樹脂であることを特徴とする、粉体塗料用樹脂組成物。
- 結晶性ポリウレタン樹脂(A)が、180℃における溶融粘度が10Pa・s以下のポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の粉体塗料用樹脂組成物。
- 硬化剤(B)が、カルボキシル基と反応する化合物である請求項1または2記載の粉体塗料用樹脂組成物。
- 硬化剤(B)が、β−ヒドロキシアルキルアミド、グリシジル基含有アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1、2または3に記載の粉体塗料用樹脂組成物。
- 結晶性ポリウレタン樹脂(A)の水酸基価が、10〜200mgKOH/gである請求項1記載の粉体塗料用樹脂組成物。
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