JP4593188B2 - 妨害排除能力試験装置 - Google Patents
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そして,アンテナから放射された電磁波の直接波のみを供試機器の置かれる規定された試験平面に浴びさせるように構成されている。(例えば,特許文献1参照)。
また,電波暗室内に試供体を配置し,同じ電波暗室内に固定したバイコニカルアンテナや対数周期アンテナから,水平もしくは垂直偏波の電磁波を前記供試体に印加する放射電磁界試験法や,TEMセルおよびGTEMセルなどを用いるTEM導波路法などがある。
また,回転電磁界を前記供試体に印加する方法がある。(例えば,特許文献2参照)。
そこで発明者らはこの問題を解決するため上記試験電波の電界強度を上げることを試みたが,600V/mの電界強度が必要であり,これを上記提案の技術のように1台の増幅器・アンテナで実現する場合,高耐電圧のアンテナが必要になるばかりでなく,高耐電圧・高出力の電力増幅装置が必要であり,電磁波発生装置が物理的に大型化すると共に,妨害排除能力試験装置も大型化するという問題があった。また,コストが高くなるというという問題があった。
他の目的は,耐電力が低くて安価なアイソレータやサーキュレータを利用できるようにし,安価な妨害排除能力試験装置を提供することである。
他の目的は,電界を乱すようなサイドローブを除去した安定な電磁界を供試機器に放射して精度のよい妨害排除能力を測定できる妨害排除能力試験装置を提供することである。
他の目的は,電磁波の放射効率を高めることで低消費電力を実現できる妨害排除能力試験装置を提供することである。
電波無響室内の一端側に配置され,供試機器を載置するためのターンテーブルと,
電波無響室内の他端側に配置され,前記供試機器に照射するための電磁波を放射する放射アンテナと,
高周波信号を発生する信号発生器と,
前記信号発生器からの高周波信号を増幅して前記放射アンテナに供給することで,前記放射アンテナから前記供試機器に向けて電磁波を放射させる増幅装置と,
を備えた妨害排除能力試験装置において,
前記放射アンテナは,
第1のパラボラ反射鏡と該第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に設けられた一次放射器とから成るパラボラアンテナと,
前記パラボラアンテナから放射される電磁波の放射軸線と軸線が略一致するように配置され,前記パラボラアンテナから放射された電磁波を前記供試機器に導くための導波管と,
からなることを特徴とする。
前記パラボラアンテナにおいて,前記一次放射器は,前記第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に複数設けられると共に,
前記増幅装置は,前記高周波信号を増幅して前記複数の一次放射器にそれぞれ供給するため,前記一次放射器の数に対応して複数備えられており,
更に,前記信号発生器が発生した高周波信号を前記複数の増幅装置に分配する分配器と,
前記複数の一次放射器から放射された電磁波の位相が,前記供試機器が配置される試験平面にて同位相となるよう,前記分配器から前記各増幅装置に伝送される高周波信号の位相を各々調整するための複数の移相器と,
を備えたことを特徴とする。
前記第1のパラボラ反射鏡の開口面と,該開口面に対向する前記導波管の開口端との間には,前記パラボラアンテナのサイドローブが前記導波管に導波されるのを防止するための空間が形成されていることを特徴とする。
また,請求項4に記載の発明は,請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の妨害排除能力試験装置において,
前記導波管において,前記第1のパラボラ反射鏡とは反対側の開口面側には,前記導波管を通過してきた電磁波を前記供試機器に向けて収束させる第2のパラボラ反射鏡が設けられていることを特徴とする。
また,放射アンテナは,第1のパラボラ反射鏡と該第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に設けられた一次放射器とから成るパラボラアンテナと,このパラボラアンテナから放射される電磁波の放射軸線と軸線が略一致するように配置され,パラボラアンテナから放射された電磁波を供試機器に導く導波管とから構成されている。
このため,放射アンテナにおいては,一次放射器から放射された電磁波(球面波)が,第1のパラボラ反射鏡で反射されることにより平面波に変換され,その平面波が導波管を介して供試機器に放射されることになる。
従って,本発明の妨害排除能力試験装置によれば,電磁波の伝搬路が従来の自由空間から導波管モードに変更されることになり,その伝搬路での電磁波の通過損失を低減することができる。よって,耐電圧の低いアンテナや,低出力の電力増幅装置が使用できる低コストな妨害排除能力試験装置を提供することができる。
また,増幅装置から一次放射器に至る高周波信号の伝送経路にアイソレータやサーキュレータを設ける場合,耐電力が低くて安価なアイソレータやサーキュレータを利用できることになり,安価な妨害排除能力試験装置を提供することができる。
また,請求項2に記載のように,パラボラアンテナにおいて,一次放射器を,第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に複数設けた場合,信号発生器が発生した高周波信号を分配器にて複数に分配し,その分配した高周波信号を,複数の増幅装置にてそれぞれ増幅して,各一次放射器に入力するようにすればよい。
そして,この場合,各一次放射器から放射された電磁波が第1のパラボラ反射鏡にて合成されて供試機器に照射されることから,複数の増幅装置から複数の一次放射器にそれぞれ供給される高周波信号の電力を更に少なくすることができる。また,この場合,第1のパラボラ反射鏡を複数の一次放射器にて共用できることから,放射アンテナを小型化できるという効果もある。
また更に,請求項2に記載の妨害排除能力試験装置には,複数の一次放射器から放射された電磁波の位相が,供試機器が配置される試験平面にて同位相となるように,分配器から各増幅装置に伝送される高周波信号の位相を各々調整するための複数の移相器が備えられている。
このため,請求項2に記載の妨害排除能力試験装置によれば,供試機器が配置される試験平面を均一な電界分布にすることができ,供試機器のイミュニティ試験を良好に行うことができる。
1は妨害排除能力試験装置であり電波無響室7の内部には,全面に電波吸収体が貼り付けてあり,該電波無響室内に放射された電磁波および,供試機器等により反射した電磁波は電波吸収体に吸収され熱エネルギーに変換される。
放射アンテナ5は,第1のパラボラ反射鏡51,該第1のパラボラ反射鏡51の焦点位置に一次放射器54を固定するための取付金具55および腕金53が備えられている。一次放射器54が1つの場合,取付金具55はなくてもよい。一次放射器54を複数個使用する場合は,各一次放射器54は前記該第1のパラボラ反射鏡51の焦点位置の近傍に設置すると良い。また,放射アンテナ5は,アンテナ支持金具52を備えており,前記アンテナ支柱4に設置できるようになっている。また,アンテナ支持金具52は放射アンテナの放射軸線を微調整できる機構を備えている。
また,サーキュレータ14は,放射アンテナ5から放射した電磁波が供試機器の金属部分で反射して前記放射アンテナで受信され,その受信電力によって,前記電力増幅装置13に印加され,前記電力増幅装置13が誤作動もしくは故障するのを未然に防止するためのものである。
まず,受信電界強度が600(V/m)を(dBμ/m)の単位に変換すると,
受信電界強度 A=20×Log(600×1E6)
ここで,aEbはa×10のb乗を表すものとする。
したがって,
A=175.56(dBμ/m)
となる。
次に,電界強度(dBμ/m)を電圧(dBμ)に変換する。
電圧 Et=E+G+Le−(Lf×L)−6
ここで,Et=受信機入力信号電圧(dBμ)
E=電界強度(dBμ/m)
G=アンテナ利得(dBi) ただし,0dBiとする。
Le=アンテナの実効長(dB)
=20×Log(λ/π)
λ=波長(m)
Lf=単位長あたりのケーブル損失(dB/m)
L=ケーブル長(m) ただし,0mとする。
開放値から終端値への換算のため6dB補正
したがって,
λ=3E8/1.8E9
=0.23(m)
Le=20×Log(0.23/3.14)
=−22.7(dB)
Et=175.56−22.7−6
=146.86(dBμ)
となる。
次に,電圧(dBμ)を電力(dBm)に換算する。
電力 Pi=Et−20×Log(√0.001×√50×1E6)
ここで,Pi=受信レベル(dBm)
Et=受信機入力信号電圧(dBμ)
したがって,
Pi=146.86−20×5.35
=39.86(dBm)
となる。
円形導波管の損失Γ2が1dB,円形導波管の他方の端面から試験平面までの損失
Γ3を5dBとすると,一次放射器1台の場合の供給電力Pは上式より,
P=Pi+Γ1+Γ2+Γ3
=39.86+5+1+5
=50.86 (dBm)
=122(W)
となる。
一方,自由空間に放射する従来の方法で,600V/mの電界強度を得るには
下記に示すとおり,送受信点間の距離が1mの場合,供給電力は28(KW)必要に
なる。
自由空間に放射する場合の供給電力Pfは次式により求められる。
Pf=Pi+Γ0
ここで,Γ0=送受信点間の距離が1mの場合の自由空間伝搬損失(dB)
=34.7(dB)
したがって,
Pf=39.86+34.7
=74.56 (dBm)
=28576(W)
となる。
したがって,本発明を適用することにより,200分の1程度の供給電力で所要の性能を得ることができるという効果を奏する。
Pn=P/(n×効率ηA×効率ηB)
ここで,n=3,ηA=75%,ηB=80%とすると
Pn=122/(3×0.75×0.8)
=67.8 (W)
試験平面において600V/mより低い電界強度でよい場合には,図5に示すように円形導波管80の長さを導波管8の長さよりも短くすることができる。このように構成することにより,電波無響室7の空間を有効に利用できるし作業性が向上し作業能率が上がる。
図6において,円形導波管8の端面から供試機器に至る伝播経路の間に電磁波64を前記供試機器に収束するための第2のパラボラ反射鏡9を備えている。円形導波管から放射された電磁波は第2のパラボラ反射鏡で反射され,第2のパラボラ反射鏡の焦点位置に置かれた供試機器2に照射するのでさらに小さな電力で強い電界を照射できる。
図7において,放射アンテナ5に代わって,カセグレン型のパラボラ反射鏡を使用している。
次に,動作について説明する。一次放射器54−1・54−2・・54−nから放射された電磁波は,第3のパラボラ反射鏡151および,第1のパラボラ反射鏡152で反射され平面波となってパラボラ反射鏡の放射軸線60に沿って供試機器2に放射される。このとき,各一次放射器54から放射された電磁波(65−1・65−2)の放射電磁界成分が空間で合成され円形導波管を介して前記供試機器2に照射される。
円形導波間に導波された電磁波は,円形導波管の他方の端面から供試機器に電磁波63が照射される。そして,供試機器2が載置されているターンテーブル3の試験平面(本実施例ではφ30cm)に均一な電磁界を発生させる。
たとえば,本実施例では放射アンテナ及び電力増幅装置を12台使用したが,これより多くても,小さくてもよい。また,本実施例では試験周波数として1〜1.5GHzを使用したがこれに限定されるものではなく,VHF帯〜SHF帯であれば使用できる。この場合,試験周波数に応じて適切なアンテナ(八木・宇田式アンテナ,ヘリカルアンテナ,電磁ホーン)を使用すればよい。
Claims (4)
- 電波無響室内の一端側に配置され,供試機器を載置するためのターンテーブルと,
電波無響室内の他端側に配置され,前記供試機器に照射するための電磁波を放射する放射アンテナと,
高周波信号を発生する信号発生器と,
前記信号発生器からの高周波信号を増幅して前記放射アンテナに供給することで,前記放射アンテナから前記供試機器に向けて電磁波を放射させる増幅装置と,
を備えた妨害排除能力試験装置において,
前記放射アンテナは,
第1のパラボラ反射鏡と該第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に設けられた一次放射器とから成るパラボラアンテナと,
前記パラボラアンテナから放射される電磁波の放射軸線と軸線が略一致するように配置され,前記パラボラアンテナから放射された電磁波を前記供試機器に導くための導波管と,
からなることを特徴とする妨害排除能力試験装置。 - 前記パラボラアンテナにおいて,前記一次放射器は,前記第1のパラボラ反射鏡の焦点位置近傍に複数設けられると共に,
前記増幅装置は,前記高周波信号を増幅して前記複数の一次放射器にそれぞれ供給するため,前記一次放射器の数に対応して複数備えられており,
更に,前記信号発生器が発生した高周波信号を前記複数の増幅装置に分配する分配器と,
前記複数の一次放射器から放射された電磁波の位相が,前記供試機器が配置される試験平面にて同位相となるよう,前記分配器から前記各増幅装置に伝送される高周波信号の位相を各々調整するための複数の移相器と,
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の妨害排除能力試験装置。 - 前記第1のパラボラ反射鏡の開口面と,該開口面に対向する前記導波管の開口端との間には,前記パラボラアンテナのサイドローブが前記導波管に導波されるのを防止するための空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の妨害排除能力試験装置。
- 前記導波管において,前記第1のパラボラ反射鏡とは反対側の開口面側には,前記導波管を通過してきた電磁波を前記供試機器に向けて収束させる第2のパラボラ反射鏡が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の妨害排除能力試験装置。
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