JP4593038B2 - 硫酸コバルト溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気コバルトで代表される金属コバルトを硫酸に速やかに溶解し、低い硫酸濃度の硫酸コバルト溶液を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硫酸コバルト(CoSO4 )は、コバルト塩の原料、めっき用電解質溶質、陶磁器用着色剤あるいは触媒として使用されている。特に近年は、携帯用電子機器の電源に小型高容量のリチウムイオン電池が採用されているため、携帯用電子機器の普及に伴い、硫酸コバルトは、リチウムイオンの電池の正極材料であるコバルト酸リチウム(LiCoO2 )の合成原料として、使用量が急増している。
【0003】
コバルト酸リチウムは、一般的に硫酸コバルト溶液を水酸化ナトリウムなどのアルカリで中和し、得られた水酸化コバルトを加熱して四三酸化コバルトとした後、炭酸リチウムと混合し、酸化雰囲気下において900℃前後の温度で焼成して作製される。したがって、硫酸コバルト溶液のpHは中和に使用する水酸化ナトリウム量を低減するために、水酸化コバルトが生成しない範囲で高い方が良いが、使用目的を勘案して任意に決定する必要がある。
【0004】
硫酸コバルト溶液の製造方法としては、一般的に酸化コバルトもしくは炭酸コバルトを硫酸に溶解する方法が知られているが、酸化コバルト、炭酸コバルトは何れも高価である。
そこで、比較的安価な金属コバルトを硫酸に溶解する方法も検討されている。この方法では、溶解速度を速めるために、酸化剤として硝酸もしくは過酸化水素を硫酸に添加し製造される。硝酸もしくは過酸化水素の添加により、コバルトは表面が酸化され、硫酸に溶解しやすくなる。
【0005】
しかし、硝酸を添加すると大量のNOxを発生する。過酸化水素は分解が速く、酸化剤としての持続性がないという欠点がある。
これらの欠点を解決する方法として、金属コバルトの代わりにコバルト粉末を成型、焼結したコバルトブリケットを原料として使用し、長時間をかけて溶解する方法も行われているが、コバルトブリケットは、コバルト粉末の加工品であるため金属コバルトより不純物が増加し、また価格も高い。
【0006】
このため、金属コバルトを迅速に硫酸に溶解し、硫酸コバルト溶液を製造する方法の開発が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来の硫酸コバルト溶液の製造方法では、安価な金属コバルトを硫酸に溶解する場合、反応表面積が小さく、金属コバルトの溶解速度が遅いため、酸化剤の添加で環境汚染を引き起こすNOxが発生し、コバルトブリケットを使用するとコスト上昇を招来するという問題がある。
【0008】
本発明は、硫酸コバルト溶液の製造方法における上記問題を解決するものであって、環境汚染を引き起こすようなガスの発生をなくし、コストを低減することのできる硫酸コバルト溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するため、電気化学的手法を用い、金属コバルトを陽極材として硫酸溶液へアノード溶解する。
すなわち、陽極材として金属コバルト、陰極材として白金または白金被覆を施した金属を使用した電極を、硫酸を含む電解液に浸漬し、前記電解液の液温を25〜40℃に保持しながら、前記電解液に含まれる硫酸の濃度が7.0〜1.0mol/Lの範囲内で低下していくように陽極と陰極間に直流電流を通電し、生成するコバルト溶液から、過飽和析出した硫酸コバルト結晶を分別し、水に溶解することにより硫酸コバルト溶液を製造する。
【0010】
陽極材としての金属コバルトは、電解精製で得られる電気コバルトにクロスバーを接続し電極としても良いが、白金族金属被覆チタンバスケットまたは白金族金属酸化物被覆チタンバスケットに金属コバルトを充填して電極とする方が、コバルトのほぼ全量をアノード溶解に使用でき、クロスバー取付け加工の手間が省けるため効率的である。
【0011】
白金族金属被覆チタンバスケットまたは白金族金属酸化物被覆チタンバスケットは、チタンエキスパンドを溶接加工して籠状に成形し白金族金属または白金族金属酸化物を被覆したもので、高強度、耐久性および導電性に優れた形状が選択される。
白金族金属被覆または白金族金属酸化物被覆としては、白金めっきや酸化ルテニウム焼付けなどが代表例として挙げられるが、白金は酸素過電圧が大きくバスケットからの酸素発生が抑制されるため、コバルトのアノード溶解を高効率で進めることができる。基材としてのチタンは高強度で表面に不働体膜を形成するため、硫酸への溶出量を極力減らすことが可能である。一方の酸化ルテニウムは、白金よりも高硬度で、硫酸に対する強い耐食性を有するが、酸素過電圧が小さい。
【0012】
陰極材としては白金または白金被覆を施した金属を使用するが、白金は水素過電圧が最も小さい金属で、水素を発生させるために最適である。水素過電圧の大きい金属を使用すると水素が発生し難く、代わりにコバルトイオンの還元が起こり、陰極上への金属コバルトが析出するので硫酸コバルトの生産効率は悪化することとなる。
【0013】
白金被覆を施した金属としては、大きな強度が得られ、さらに白金使用量が減りコスト低減が期待できる白金めっきチタンが最適と考えられる。ただし、低コストで白金との密着性が良好で、十分な導電性と強度を有する金属であればチタン以外でも差し支えない。
陰極の形状は、網または板で良いが、特に網を使用すると表面積を大きくすることができ、分極抵抗が低減できる。
【0014】
陽極と陰極は電解槽に満たした電解液に浸漬し、両極間に直流電流を通電する、ただし、直流電流は高速で正逆反転または直流に交流を重畳することも可能である。両極間に直流電流を通電すると、陽極材の金属コバルトは電解液へアノード溶解を開始するが、コバルトが溶解したモル量に相当する硫酸が消費され、硫酸コバルトの飽和溶解度を越えるとアノード溶解の進行と平衡して硫酸コバルト結晶が析出する。
【0015】
図1は液温25℃、図2は液温40℃における硫酸への硫酸コバルト溶解度および硫酸コバルト結晶の形態を示す。硫酸濃度が高いと硫酸コバルトの溶解度が小さく、硫酸コバルトは一水塩となるが、硫酸濃度が低くなると硫酸コバルトの溶解度が上昇し、硫酸コバルトは六水塩から七水塩に変化する。
電解液は、硫酸濃度7.0〜0.5mol/Lの硫酸溶液を使用する。7.0mol/Lより高濃度では硫酸コバルトの溶解度が小さく、アノード溶解の進行と共に陽極の金属コバルト表面が硫酸コバルト一水塩で被われ、溶解の進行が阻害される。特にバスケットを使用する場合には、金属コバルトとバスケットの接触不良を引き起こすため通じた電流が熱や酸素発生に使用され、効率的なアノード溶解が進行しない。
【0016】
一方0.5mol/Lより低濃度では、水素イオン濃度が低すぎるため、陰極では通電した電流が水素イオンの還元に利用され難くなり、陰極表面に金属コバルトが析出し硫酸コバルトの製造を阻害する。
図1および図2から、液温25℃〜40℃においては、3.5〜3.8mol/Lの硫酸濃度で約1mol/Lの硫酸コバルトが溶解することがわかり、また十分な水素イオン濃度を維持するためにアノード溶解開始時の硫酸濃度は3.8mol/Lを上限とし、アノード溶解終了時の硫酸濃度は1.0mol/Lを下限値とすることが最適である。
【0017】
過飽和析出した硫酸コバルト結晶は、コバルト溶液から遠心分離あるいはろ過等により分別し、水に溶解することで硫酸コバルト溶液とする。硫酸コバルト結晶は七水塩が比較的安定であり、七水塩を得るために硫酸溶液から硫酸コバルト結晶を分別する際には、硫酸溶液の温度を25℃以下にしてから分別するのが良い。
【0018】
以上の条件で製造した硫酸コバルト溶液は、pH1前後の酸性を示すが、pHを中性に近づけるためには硫酸コバルト結晶を水洗後、水に溶解すれば良い。ただし、歩留りが悪化するので注意が必要である。一方のコバルト溶液は、硫酸コバルトとして消費された量に相当する硫酸を新たに加え電解液として再利用する。
【0019】
【発明の実施の形態】
金属コバルトとして99.8%の電気コバルトを白金メッキのチタンバスケットに充填し、このバスケットを挟むように白金めっきチタン板を2枚配置して電極とする。極間距離は4〜10cmが適当であるが、電流効率および電解槽の形状を考慮して変更することは可能である。
【0020】
電解液には7.0mol/L以下の硫酸を使用し、硫酸濃度が0.5mol/L以下にならない範囲内で陽極と陰極間に直流電流を通電する。電流密度は、陰極の単位表面積当たりの電流値で1〜10A/dm2 が良いが、電流効率が低下しない範囲で高いほど生産性が上がる。ただし、電流密度を大きくすると陰極からの水素発生量が増加し、電解液と陰極の接触が悪化することにより分極抵抗が増加するため、陰極の浸漬部面積は可能な限り大きくし、単位面積当たりの水素発生量を減少させることが必要である。
【0021】
電解液の循環は、マグネットポンプなどを使用し循環させるのが良いが、インペラーによる攪拌も可能である。循環を行う場合には、電極表面近傍と電解液中のイオン濃度を均一にするために大流量にする必要があり、好ましくは電解液量10L/min以上にすることが好ましい。
通電時間は、電解液量、電流密度およびアノード溶解に際しての硫酸濃度範囲によって変化する。アノード溶解の進行と共に硫酸コバルト結晶が析出し、析出した結晶による電解液の循環経路の閉塞等を防ぐために、アノード溶解は例えば硫酸濃度が3.0mol/Lから1.5mol/Lになるように、硫酸濃度変化が1.5mol/L以内の範囲で行うのが良い。
【0022】
通電終了後、電解液から過飽和析出した硫酸コバルト結晶を分別し、電解液は10〜18mol/L硫酸を添加して通電初期の硫酸濃度とする。分別の方法は、遠心分離あるいは吸引ろ過などがあるが、硫酸コバルト結晶が六水塩または七水塩の場合、液温25〜40℃で粒子径が1〜3mmになるため、使用するろ布またはろ紙はこれらの粒子が透過しない湿潤強度と保留粒子径を有するものを選択する。
【0023】
硫酸コバルト結晶は、図1および図2を参考にして結合している結晶水の数を確認し、所定量を水に溶解し硫酸コバルト溶液とする。硫酸コバルト溶液のpHは、硫酸コバルト結晶に付着した硫酸濃度および量に影響されるが、通常はpH1前後になる。硫酸コバルト溶液は、季節の変動すなわち気温の変動によって硫酸コバルト七水塩の析出を引き起こすため、コバルトイオン濃度120g/L以下(液温25℃における溶解度はコバルトイオン濃度130g/L)にすると比較的取り扱いが容易になると考えられる。一方、硫酸コバルト結晶分別後のコバルト溶液は、硫酸コバルトとして消費されたモル量に相当する硫酸を新たに加え電解液として再利用する。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕
電気コバルト(99.8%以上、電解精製品、約25mm×約25mm×12mm)約3500gを白金メッキチタン製のアノードバスケット(内寸100mm×100mm×115mm、エキスパンドメタル溶接加工品)に充填した。カソードは、白金板(外寸100mm×120mm×0.1mm)2枚を用意し、電解槽(ポリプロピレン製、内寸250mm×180mm×90mm)に設置した。アノードとカソードの極間距離は4cmとし、電解液は、マグネットポンプで10L/minで循環した。
【0025】
電解液は、3.0mol/L硫酸を使用し、カソード浸漬部(100mm×75mm×4面)に対し電流密度1A/dm2 で直流電流を通電し、アノード溶解を開始した。また、液位を保つためフロートレススイッチを使用し、水の自動補給を行った。電解液量は1.7Lとし、電解槽には電熱ヒーターを投入し、液温が40℃になるように制御した。硫酸濃度が3.0mol/Lから1.5mol/Lになるまでアノード溶解を進めるため144Ahの通電を行い、1.5mol/L硫酸コバルト溶液とした。次に18mol/L硫酸を電解液に添加することで1.5mol/L相当の硫酸の補充を行い、再び137Ahの通電を行った。
【0026】
通電後、電解液を保留粒子径5.0μmのろ紙を使用しろ過したところ、637gの硫酸コバルト六水塩が回収され、このときの電流効率は95%であった。硫酸コバルト六水塩526gを25℃の水に溶解し、1000mLとしコバルトイオン濃度118g/Lの流酸コバルト溶液を製造した。硫酸コバルト溶液のpHは1であった。
【0027】
ろ過後の電解液は、8.1mol/L硫酸を314mL添加し、硫酸濃度3.0mol/Lのコバルト溶液とし、再びアノード溶解用の電解液として使用した。このとき電解液中に約224gの硫酸コバルト六水塩が析出するが、これは次のアノード溶解終了後に回収する。
〔実施例2〕
電気コバルト(99.8%以上、電解精製品、約25mm×約25mm×12mm)約3500gを酸化ルテニウム焼付けチタン製のアノードバスケット(内寸100mm×100mm×115mm、エキスパンドメタル溶接加工品)に充填する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0028】
通電後、電解液を保留粒子径5.0μmのろ紙を使用しろ過したところ、624gの硫酸コバルト六水塩が回収され、このときの電流効率は93%であった。硫酸コバルト六水塩526gを25℃の水に溶解し、1000mLとしコバルトイオン濃度118g/Lの流酸コバルト溶液を製造した。硫酸コバルト溶液のpHは1であった。
【0029】
〔実施例3〕
カソードに白金メッキチタン板(外寸100mm×120mm×0.1mm)2枚を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
通電後、電解液を保留粒子径5.0μmのろ紙を使用しろ過したところ、637gの硫酸コバルト六水塩が回収され、このときの電流効率は95%であった。硫酸コバルト六水塩526gを25℃の水に溶解し、1000mLとしコバルトイオン濃度118g/Lの流酸コバルト溶液を製造した。硫酸コバルト溶液のpHは1であった。
【0030】
〔実施例4〕
電気コバルト(99.8%以上、電解精製品、約25mm×約25mm×12mm)約3500gを白金メッキチタン製のアノードバスケット(内寸100mm×100mm×115mm、エキスパンドメタル溶接加工品)に充填した。カソードは、白金メッキチタン板(外寸100mm×120mm×0.1mm)2枚を用意し、電解槽(ポリプロピレン製、内寸250mm×180mm×90mm)に設置した。アノードとカソードの極間距離は4cmとし、電解液は、マグネットポンプで10L/minで循環した。
【0031】
電解液は、実施例1においてろ過後の電解液に8.1mol/L硫酸を約314mL添加し硫酸濃度3.0mol/Lに調整されたコバルト溶液を使用した。カソード液浸漬部(100mm×75mm×4面)に対し電流密度1A/dm2 で直流電流を通電し、アノード溶解を開始した。また、液位を保つためフロートレススイッチを使用し、水の自動補給を行った。電解液量は1.7Lとし、電解槽には電熱ヒーターを投入し、液温が40℃になるように制御した。硫酸濃度が3.0mol/Lから1.5mol/Lになるまでアノード溶解を進めるため137Ahの通電を行った。
【0032】
通電後、電解液を保留粒子径5.0μmのろ紙を使用しろ過したところ、651gの硫酸コバルト六水塩が回収され、このときの電流効率は97%であった。硫酸コバルト六水塩526gを25℃の水に溶解し、1000mLとしコバルトイオン濃度118g/Lの流酸コバルト溶液を製造した。硫酸コバルト溶液のpHは1であった。
【0033】
ろ過後の電解液は、8.1mol/L硫酸を314mL添加し、硫酸濃度3.0mol/Lのコバルト溶液とし、再びアノード溶解用の電解液として使用する。このとき電解液中に約224gの硫酸コバルト六水塩が析出するが、これは次のアノード溶解終了後に回収する。
〔実施例5〕
電気コバルト(99.8%以上、電解精製品、約25mm×約25mm×12mm)約3500gを白金メッキチタン製のアノードバスケット(内寸100mm×100mm×115mm、エキスパンドメタル溶接加工品)に充填した。カソードは、白金メッキチタン網(外寸100mm×120mm×0.1mm)2枚を用意し、電解槽(ポリプロピレン製、内寸250mm×180mm×90mm)に設置した。アノードとカソードの極間距離は4cmとし、電解液は、マグネットポンプで10L/minで循環した。
【0034】
電解液は、7.0mol/L硫酸を使用し、カソード浸漬部(100mm×75mm×4面)に対し電流密度1A/dm2 で直流電流を通電し、アノード溶解を開始した。また、液位を保つためフロートレススイッチを使用し、水の自動補給を行った。電解液量は1.7Lとし、電解槽には電熱ヒーターを投入し、液温が40℃になるように制御した。硫酸濃度が7.0mol/Lから6.0mol/Lになるまでアノード溶解を進めるため91Ahの通電を行った。
【0035】
通電後、電解液を保留粒子径1.5μmのろ紙を使用しろ過したところ、257gの硫酸コバルト一水塩が回収され、このときの電流効率は97%であった。硫酸コバルト一水塩173gを25℃の水に溶解し、500mLとしコバルトイオン濃度118g/Lの流酸コバルト溶液を製造した。硫酸コバルト溶液のpHは1であった。
【0036】
ろ過後の電解液は、18.0mol/L硫酸を約82mL添加し、硫酸濃度7.0mol/Lのコバルト溶液とし、再びアノード溶解用の電解液として使用する。
【0037】
【発明の効果】
本発明の硫酸コバルト溶液の製造方法によれば、環境汚染を引き起こすようなガスの発生が抑制でき、安価な原料を使用して目的のコバルトイオン濃度の硫酸コバルト溶液を製造できるため、コスト低減が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】液温25℃における硫酸への硫酸コバルト溶解度および硫酸コバルト結晶の形態を示すグラフである。
【図2】液温40℃における硫酸への硫酸コバルト溶解度および硫酸コバルト結晶の形態を示すグラフである。
Claims (2)
- 陽極材として金属コバルト、陰極材として白金または白金被覆を施した金属を使用した電極を、硫酸を含む電解液に浸漬し、前記電解液の液温を25〜40℃に保持しながら、前記電解液に含まれる硫酸の濃度が7.0〜1.0mol/Lの範囲内で低下していくように陽極と陰極間に直流電流を通電し、生成するコバルト溶液から、過飽和析出した硫酸コバルト結晶を分別し、水に溶解する硫酸コバルト溶液の製造方法。
- 陽極材の金属コバルトを、白金族金属被覆チタンバスケットまたは白金族金属酸化物被覆チタンバスケットに入れて使用することを特徴とする請求項1記載の硫酸コバルト溶液の製造方法。
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