JP2020056093A - 硫酸溶液の製造方法およびこの製造方法で用いられる電解槽 - Google Patents

硫酸溶液の製造方法およびこの製造方法で用いられる電解槽 Download PDF

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Abstract

【課題】不動態化を抑制しながら高いアノード電流密度で金属を高効率に溶解する硫酸溶液の製造方法、およびこの製造方法で用いられる電解槽を提供する。【解決手段】硫酸溶液の製造方法は、槽内が陰イオン交換膜によりアノード室21およびカソード室22に分けられた電解槽10の少なくとも前記アノード室21に、塩化物イオン含有硫酸溶液を初期電解液として供給する初期電解液供給工程と、電解槽10に設けられたアノード13とカソード14とに電流を供給するとともに、アノード室21から、アノード13を構成する金属が溶解した金属溶解電解液を取出す電解液取出工程と、を含んで構成されている。この構成により、アノード13側で溶解した金属がカソード14側に移動することを抑制できるとともに、アノード13側の不動態の形成を抑制できるので、効率よく品質の高い、金属が溶解した硫酸溶液を製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、硫酸溶液の製造方法およびこの製造方法で用いられる電解槽に関する。さらに詳しくは、ニッケルまたはコバルト等の金属が硫酸に溶解した、金属イオンを含有する硫酸溶液の製造方法、およびこの製造方法で用いられる電解槽に関する。
ニッケルまたはコバルトなどの金属は、めっきまたは合金の材料として使用される貴重な金属であるが、近年はめっきまたは合金以外の用途として、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池など二次電池の正極材など電極材料としての使用も増えている。具体的には、例えば、近年開発が進んでいる車載用の非水系電解質二次電池であるリチウムイオン電池の正極材に、ニッケルまたはコバルトは使用されている。すなわち、リチウム酸コバルト、三元系と呼ばれるニッケル・コバルト・マンガン(NCM)系、ニッケル系と呼ばれるニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)系等の正極材に、ニッケルまたはコバルトが使用されている。
これらの用途に用いる際に、ニッケルまたはコバルトなどの金属は、これらが溶解した溶液、たとえばニッケルが溶解した、ニッケルイオンを含有する硫酸溶液(以下コバルトの場合も同様)として利用されることが多い。
一例として、ニッケルを上記のリチウムイオン電池の正極材として用いる場合、リチウムイオン電池の正極材の一般的な製造方法としては、所定の比率で混合されたニッケルイオンを含む水溶液を中和して前駆体と呼ばれる金属水酸化物を形成し、次にこの前駆体とリチウム化合物を混合して焼成して、正極材を得る方法がある。ここで、上記のニッケルイオンを含有する水溶液は、具体的には硫酸ニッケルまたは塩化ニッケルなどのニッケル塩が溶解した溶液である。上記の製造方法でこの溶液が用いられる場合、溶液中のハロゲン(塩素)を用途のスペック以下に抑制することが必要とされる。
たとえば、上記のニッケルイオンを含有する硫酸溶液は、ニッケル鉱石またはその中間生成物であるニッケル硫化物、その他の含ニッケル化合物などを硫酸で浸出した後、沈殿分離または溶媒抽出等の精製工程で不純物を除去して得ることができる。しかしながら上記の原料を用いた場合、原料由来あるいは精製工程でハロゲンまたはその他の、例えばマンガンや鉄、銅、クロムなどの、不純物等が不規則的に混入されるなどして、必要な品質を安定して維持できないという問題がある。
例えば、正極材中における不純物の存在は、正極材の性能、つまり、電池特性に大きく影響する。とくに、上述したようなリチウムイオン電池は、高容量かつ高電圧であるため、微量の不純物の存在が電池特性に大きく影響する。このため、コバルト塩などの原料の不純物のスペックが極めて厳しく管理されている。
これに対して、必要な品質を安定して維持する方法として、金属ニッケルを硫酸に溶解してニッケルイオンを含有する硫酸溶液を得る方法がある。金属ニッケルは、ニッケル純度99.99%以上の高品質なものが、例えば電気ニッケルとして市場から容易に入手可能であり、この電気ニッケルを2〜5cm四方のサイズに切断したものはさらに取り扱いが容易であり、上記のような大掛かりな精製工程を要することなく前駆体の材料に供することができる。
ただし、ニッケルやコバルトはステンレス等の耐蝕合金に用いられるように、たとえ切断品であっても硫酸などの酸に金属ニッケルや金属コバルトを浸漬するだけでは溶解され難い。このため金属ニッケルの溶解を促進し、ニッケルイオンの濃度を所定の濃度に到達させるための方法がいくつか挙げられる。たとえば、金属ニッケルを硫酸に溶解してニッケルイオンを含有する硫酸溶液を得る方法として、粉末状のニッケル(ニッケル粉)、またはニッケル粉を焼結したブリケットを用い、これらを硫酸で溶解してニッケルイオンを含有する硫酸溶液を得る方法が提案されている(特許文献1)
しかしながら、特許文献1で用いられているニッケル粉、またはニッケルブリケットは、生産量が限られているため安定して入手することが困難である。このようなことから、市場に流通している板状または塊状の電気ニッケルを硫酸に短時間で溶解する技術が求められている。
この要求に対する解決法として、たとえば特許文献2、3に開示されている電解法がある。すなわちアノード(陽極)に溶解したい金属を用いるとともに、電解液に硫酸溶液を用い、アノードとカソード(陰極)との間に通電することで、目的とする金属を硫酸に溶解する方法である。アノードに用いる金属は、既にメタルに精製されているので、不純物が少なく、電解によってさらに精製されるので、問題となる不純物を効果的に除去することができる。また、特にニッケルやコバルトの場合、アノードに用いるメタルは市販されていることが多く、中間原料に比べて調達が容易である。
しかしながら、特許文献2および3の方法を用いた場合、電解液中のニッケルやコバルトイオン濃度が増加すると、カソードにも電着し、溶解の効率が低下する懸念がある。前記特許文献には水素過電圧が小さい金属をカソードとして使用する方法も記載されているが、一度コバルトが析出するとカソード表面での水素過電圧はコバルト自身に依存するため効果的な方法ではない。
さらに、電解方法は設備の設置面積が大きく、生産性を向上するには、例えば1000A/m以上の高い電流密度で迅速に溶解することが求められる。特許文献3では、陰イオン交換膜によるカソードへの電着防止が実施されているが、カソード室側への移動したコバルトイオンはロスとなる。
特開2004−067483号公報 特開平1−301526号公報 特開昭59−083785号公報
従来一般的に知られている電解法では、金属、例えばニッケルやコバルト、を硫酸溶液中に溶解する場合、迅速に金属ニッケルや金属コバルトを溶解するためには、アノードの電流密度を1000A/m程度あるいはそれ以上に高くして電解することが望まれる。しかしこのような高い電流密度で電解法を実施すると、アノードの金属ニッケルや金属コバルトの表面に酸化皮膜が形成され、不動態化(「不働態化」と称する場合もある)が生じてほとんど電流が流れなくなるという問題がある。不動態化の発生を抑制するように電流密度を低くして電解法を実施した場合は、溶解が促進されず、溶解を促進するという本来の目的を達し得ないという問題がある。
特に電池の正極材を製造するために求められるニッケルイオンを含有する硫酸溶液に対しては、ニッケルイオン濃度として100g/リットル程度の高濃度な溶液が求められる。電解液中のニッケルイオンの濃度が増加すると、不動態化はさらに発生しやすくなるという問題があるとともに、カソード側の電極にもニッケルが析出し、溶解効率が低下する問題もある。
コバルトについても同様に、得ようとする溶液のコバルトイオン濃度を上げるに伴って、溶解効率の低下や不動態化が促進される懸念がある。
本発明は上記事情に鑑み、硫酸溶液に対して金属の溶解を促進する方法の一つである電解法において、不動態化を抑制しながら高いアノード電流密度でニッケルやコバルトなどの金属を高効率かつ低コストに溶解する硫酸溶液の製造方法、およびこの製造方法で用いられる電解槽を提供することを目的とする。
第1発明の硫酸溶液の製造方法は、槽内が陰イオン交換膜によりアノード室およびカソード室に分けられた電解槽の少なくとも前記アノード室に、塩化物イオン含有硫酸溶液を初期電解液として供給する初期電解液供給工程と、前記電解槽に設けられたアノードとカソードとに電流を供給するとともに、前記アノード室から、前記アノードを構成する金属が溶解した金属溶解電解液を取出す電解液取出工程と、を含んで構成されていることを特徴とする。
第2発明の硫酸溶液の製造方法は、第1発明において、前記アノードを構成する金属は、少なくともニッケルまたはコバルトのいずれかを含有することを特徴とする。
第3発明の硫酸溶液の製造方法は、第1発明または第2発明において、前記塩化物イオン含有硫酸溶液の塩化物イオンの濃度が1g/リットル以上20g/リットル以下であることを特徴とする。
第4発明の硫酸溶液の製造方法は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記電解液取出工程において、前記電解槽に保持されている電解液の液温を40℃以上65℃以下とすることを特徴とする。
第5発明の硫酸溶液の製造方法は、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、前記電解液取出工程において、前記カソード室内の電解液の電気伝導度があらかじめ定められた値になるように制御されていることを特徴とする。
第6発明の硫酸溶液の製造方法は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、前記電解液取出工程において、前記アノードとカソードとに、周期的な通停電を繰り返すパルス電流を供給することを特徴とする。
第7発明の硫酸溶液の製造方法は、第6発明において、前記周期的な通停電において、
前記周期的な通停電の1周期における通電時間の比率が、0.8以上1.0未満であることを特徴とする。
第8発明の電解槽は、電流を供給することによりアノードを構成する金属を溶解するための電解槽であって、該電解槽は、槽内が陰イオン交換膜によりアノード室とカソード室に分けられていることを特徴とする。
第9発明の電解槽は、第8発明において、前記電解槽には、前記カソード室から供給される電解液に硫酸を加え、調整済電解液として前記カソード室へ供給する硫酸濃度調整槽が設けられていることを特徴とする。
第1発明によれば、硫酸溶液の製造方法において、陽イオンはアノード室とカソード室の間の陰イオン交換膜を通過できないので、アノード側で溶解した金属がカソード側に移動することを抑制できる。
また、電解液取出工程、すなわち、アノードとカソードに電流を供給するとともに、アノード室から金属溶解電解液を取出す工程を実行することで、アノード室から金属イオンの濃度が高い硫酸溶液が取出される。このためアノード室のニッケルイオンの濃度の値が大きくならないので、アノード側の不動態の形成を抑制でき、効率よく品質の高い、金属が溶解した硫酸溶液を製造することができる。
第2発明によれば、アノードを構成する金属が、少なくともニッケルまたはコバルトのいずれかを含有することにより、製造された硫酸溶液を二次電池の正極として使用することができる。
第3発明によれば、硫酸溶液の塩化物イオンの濃度が1g/リットル以上20g/リットル以下とすると、不動態皮膜の形成が適切に抑制され、アノードの溶解を行う際の電流密度を高くできるので、さらに効率よく硫酸溶液を製造することができるとともに、リチウムイオン電池の正極材の用いられる場合は塩化物イオン濃度が少ないほうが好ましいからである。
第4発明によれば、電解液取出工程において、電解液の液温を40℃以上65℃以下とすることにより、アノードの不動態化を抑制できるとともに、陰イオン交換膜の劣化を抑制できる。
第5発明によれば、カソード室の電気伝導度があらかじめ定められた値になるように制御されていることにより、カソード室の液抵抗が安定し、槽電圧の変動を小さくすることができる。これにより不動態化が生じた場合の電圧上昇の兆候の検知が容易となる。
第6発明によれば、電解液取出工程において、アノードとカソードとに、周期的な通停電を繰り返すパルス電流を供給することにより、さらに不動態化を抑制できる。
第7発明によれば、通停電の1周期における通電時間の比率が、0.8以上1.0未満であることにより、不動態化を抑制しながら、硫酸溶液の製造の効率を保持できる。
第8発明によれば、電解槽の槽内が陰イオン交換膜によりアノード室とカソード室に分けられているより、この電解層を用いることで、アノード室からカソード室への陽イオンである金属イオンの流れを抑制でき、品質の高い硫酸溶液が高効率で得られる。
第9発明によれば、カソード室から供給される電解液に硫酸を加え、調整済電解液としてカソード室へ供給する硫酸濃度調整槽が設けられているので、カソード室の電気伝導度を容易に制御することが可能となる。
本発明に係る硫酸溶液の製造方法で用いられる電解槽(硫酸濃度調整槽有り、連続式)の側面方向からの断面図である。 電解槽に供給されるパルス電流の説明図である。 本発明に係る硫酸溶液の製造方法で用いられる電解槽(硫酸濃度調整槽有り、バッチ式)の側面方向からの断面図である。 本発明に係る硫酸溶液の製造方法で用いられる電解槽(硫酸濃度調整槽無し、バッチ式)の側面方向からの断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための硫酸溶液の製造方法および電解槽10を例示するものであって、本発明は硫酸溶液の製造方法および電解槽10を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、本明細書で「電解液」は、電解槽10内で電気を通電させるために使用する液体を意味し、最初に電解槽10に供給する「初期電解液」と、電解を行うことで金属が溶解した「金属溶解電解液」と、を含む記載である。また、電解槽10から取出された「金属溶解電解液」は、本発明の製造方法で製造される「硫酸溶液」である。
図1は、本発明に係る硫酸溶液の製造方法で用いられる電解槽10の側面方向からの断面図である。本発明に係る硫酸溶液の製造方法は、槽内が陰イオン交換膜を用いた隔膜12によりアノード室21およびカソード室22に分けられた電解槽10に、塩化物イオン含有硫酸溶液を初期電解液として供給する初期電解液供給工程と、電解槽10に設けられたアノード13とカソード14とに電流を供給するとともに、アノード室21から、アノード13を構成する金属が溶解した金属溶解電解液を取出す電解液取出工程と、を含んで構成されている。なお、図1の電解槽10は、カソード室22への供給液の硫酸濃度を調整するための硫酸濃度調整槽30を有するとともに、連続的に金属溶解電解液を取得可能な構成である。
また、アノード13を構成する金属は、少なくともニッケルまたはコバルトのいずれかを含有することが好ましい。
また、硫酸溶液の塩化物イオンの濃度が1g/リットル以上20g/リットル以下であることが好ましい。
また、電解液取出工程において、電解槽10に保持されている電解液の液温を40℃以上65℃以下とすることが好ましい。
また、電解液取出工程において、カソード室22の電気伝導度があらかじめ定められた値になるように制御されていることが好ましい。
また、電解液取出工程において、アノード13とカソード14とに、周期的な通停電を繰り返すパルス電流を供給することが好ましい。
また、前記周期的な通停電において、前記周期的な通停電の1周期における通電時間の比率が、0.8以上1.0未満であることが好ましい。
以下、本発明に係る硫酸溶液の製造方法で用いる電解槽10について、図面に基づいて説明した後、この電解槽10を使用した硫酸溶液の製造方法について説明する。
<電解槽10の構成>
(電解槽本体11)
電解槽本体11は、内部に電解液を保持することができる構成をしている。電解槽本体11を構成する材料は公知の材料である。電解槽本体11は、陰イオン交換膜を用いた隔膜12によりアノード13が内部に位置するアノード室21と、カソード14が内部に位置するカソード室22と、を含んで構成されている。電解槽本体11の外側には、アノード13、およびカソード14に接続している直流電源17が設けられている。なお図1では、直流電源17からアノード13、またはカソード14と接続した線は電線を表し、この線に沿った矢印は電流の向きを示している。
用いられる電解槽10が隔膜12によりアノード室21およびカソード室22に分けられているので、アノード13側で溶解した金属がカソード14側に移動することを抑制できる。
(アノード13)
電解槽10に用いられるアノード13には、複数の形態がある。例えばニッケルの酸性溶液を得ようとする場合、アノード13の一つ目の形態としては、工業的に電解精製ないし電解採取した板状の金属ニッケル(電気ニッケル)が該当する。また、二つ目の形態としては、チタン等の酸に対し不溶性の材質でできたバスケットに、小さく切断した金属ニッケルを充填したものが該当する。二つ目の形態の場合、全部が溶解し終わる前に交換する必要があったり、金属を切断するコストおよび手間がかかったりするが、無駄なく効率的に溶解することができる。一つ目の形態の場合、溶解し終わった後はアノード13全体を交換する必要がある。交換は所定の大きさに到達したときに行われる。所定の大きさよりも小さくなった金属ニッケルは、二つ目の形態のバスケットに充填し溶解する2段階の溶解方法を用いることもできる。上記のことはコバルトの場合も同様である。
(カソード14)
カソード14には、チタン、ステンレス、ニッケル、コバルト、白金などの板状の金属が好適に用いられる。また、アルミや鉄などの表面に前記のニッケルやコバルトなどをメッキした構造のものを用いることもできる。
(隔膜12)
隔膜12は、電解槽本体11の槽内をアノード室21とカソード室22とに分割する。隔膜12は、液体またはイオンの通過を抑制している。具体的に隔膜12としては、本発明では陰イオン交換膜が用いられている。
陰イオン交換膜は、プラスの電荷交換基が固定されているため、陽イオンは反発し通過できず陰イオンのみを通過させるという性質を持つ。陰イオン交換膜を使用することで、溶解したニッケルイオン(陽イオン)をアノード室21に維持し陰イオン(主に硫酸イオン)のみが自由に移動できるため、アノード室21では高濃度のニッケルイオンの硫酸溶液を得ることができる。陰イオン交換膜(アニオン交換膜)には、電流密度が大きくとれる、膜抵抗が小さく電圧降下が小さい、輸率が大きい、膜内部にスケールが沈積しない、機械的強度が強く、熱的および化学的に安定である、といった特性が求められる。アノード13の金属を溶解する電流密度より十分に大きな電流密度が取れない場合は、生産性が陰イオン交換膜の電流密度に依存することになる。膜抵抗が大きくなると電圧降下が大きくなり、槽電圧が増加するため電力コスト上昇を招来する。膜内部にスケールが沈積したり、機械的強度、または熱的、化学的な安定性が不十分であったりすると耐久性が劣り、頻繁に陰イオン交換膜を交換することになる。具体的に陰イオン交換膜は、アストム社の商品名ネオセプタAHAが該当する。
電解槽10の槽内が陰イオン交換膜によりアノード室21とカソード室22に分けられているより、この電解槽10を用いることで、アノード室21からカソード室22への陽イオンである金属イオンの流れを抑制でき、品質の高い硫酸溶液が高効率で得られる。
(硫酸濃度調整槽30)
硫酸濃度調整槽30は、カソード室22へ供給される調整済電解液の硫酸濃度を調整するために設けられている。硫酸濃度調整槽30は、内部に硫酸を保持することができる材料により構成されている。オーバーフロー管18からの矢印で示すように、硫酸濃度調整槽30には、電解槽10のカソード室22からオーバーフローで、カソード室22の電解液が供給される。硫酸濃度調整槽30には、第1供給ポンプ19から矢印で示すように硫酸が供給される。また、硫酸濃度調整槽30からは、硫酸濃度が調製された後の調整済電解液が、矢印で示すように第3供給ポンプ33により取出され、カソード室22へ供給される。硫酸濃度調整槽30には測定器35が設置されている。硫酸濃度調整槽30は、この測定器35により、調整済電解液の電気伝導度が一定になるように第1供給ポンプ19からの硫酸の流量を制御する構成となっている。調整済電解液の電気伝導度が一定になることで、カソード室22内の電解液の電気伝導度があらかじめ定められた値になるように制御される。
カソード室22から供給される電解液に硫酸を加え、調整済電解液としてカソード室22へ供給する硫酸濃度調整槽30が設けられているので、カソード室22の電気伝導度を容易に制御することが可能となる。
(取出管15等)
連続的にアノード室21から金属溶解電解液を取得可能な構成である場合、アノード室21には、矢印で示す方向にアノード室21からの硫酸溶液を取出すための取出管15が設けられている。また、取出管15には、アノード室21から硫酸溶液を取出すための取出しポンプ20が接続されている。加えてアノード室21には、硫酸を供給するための第2供給管31が設けられており、矢印で示すように第2供給ポンプ32によりアノード室21に所定の量の硫酸が供給される。
カソード室22には、オーバーフロー管18が設けられており、カソード室22のオーバーフローする電解液がオーバーフロー管18から取出され、硫酸濃度調整槽30に供給される。また、カソード室22には、硫酸濃度調整槽30からの調整済電解液が第3供給ポンプ33により第3供給管34を通して供給される。
硫酸濃度調整槽30には、第1供給管16が設けられており、第1供給ポンプ19からこの第1供給管16を通して硫酸が供給される。また、硫酸濃度調整槽30には、調整済電解液取出管36が設けられており、この調整済電解液取出管36から硫酸濃度が調整された電解液が取出される。
ニッケルイオンおよびコバルトイオンは水に比べて比重が重いため、通電に伴ってアノード室21の深部の方が、ニッケル等の濃度が高くなってくる。そのため、アノード室21の、上方となる液面側から硫酸溶液を供給し、より深部から硫酸溶液を回収すること、すなわち取出管15の開口15aがアノード室21内のアノード13の下方に設けられていることで、ニッケル等の濃度の高い硫酸溶液を回収することができる。
取出管15の開口15aがアノード13の下方に設けられていると、アノード13表面近傍のニッケル濃度が100g/リットルより薄くても、アノード室21の深部から硫酸溶液を回収することでニッケルの濃度が100g/リットルの硫酸溶液を回収ができる。これにより、アノード13表面でのニッケルの不動態化が抑制される。
アノード13の下方に所定の空間が設けられることは好ましいが、その空間が大きくなりすぎると電解槽10の体積が大きくなり設備コストが高くなる。そのため、アノード13の下端から電解槽本体11のアノード室21の底までの深さの目安は、アノード室21の液面高さの10%以上であることが好ましい。
カソード室22に、第3供給管34を通じて第3供給ポンプ33より調整済電解液を供給するとともに、オーバーフロー管18により調整済電解液と同量の電解液がカソード室22から取出されるので、カソード室22の槽内の液量バランスが維持される。
アノード13の下方に、金属溶解電解液を取出すための取出管15の開口15aが設けられているので、比較的比重の大きい金属溶解電解液が効率よく取出される。
(直流電源17)
直流電源17は、一定の値の直流電流を連続的に供給する機能だけでなく、パルス電流を供給することができる機能を有している。「パルス電流を供給する」とは、通電(ON)および停電(OFF)の時間を設定して周期的に通停電を繰り返す断続通電を行うことを意味する(パルス通電、またはパルス電解という場合がある)。
図2には、電解槽10に供給されるパルス電流の一例を示す。縦軸が電流値A、横軸が時間Tを表している。図2に示すようにパルス電流は、電流A1が一定時間供給されたあと、その供給が停止され、これらが繰り返される。すなわちパルス電流は、矩形状に供給される。
アノード13近傍の金属イオン濃度が高くなりすぎると不動態化が発生しやすくなる。これを抑制するために、パルス電流を供給する。すなわち、周期的に電流がOFFになると、アノード13からの金属イオンの溶出が一時的に止まり、その間に槽内の液流れを利用して溶出した金属イオンがアノード13近傍から遠ざけられる。その結果アノード13近傍の金属イオン濃度の上昇を抑制できる。
なお、周期に対するON時間の割合はデューティ比と定義される。また、パルス通電を用いた場合の電流密度は、ON時間とOFF時間を含めた平均電流密度として記載する。例えば、ONの時の電流密度が1250A/mでデューティ比が0.8(すなわち80%の時間通電する)の場合、平均電流密度は、1250×0.8=1000A/mとなる。なお、特許請求の範囲に記載の「通停電」の「停」は、完全に電流を0Aまで落としてしまうだけでなく、ONの時よりも電流値をかなり小さくすることも含まれる。なお、デューティ比1の場合は、通電時間の割合が100%である単純な一方向への通電を意味する。
<硫酸溶液の製造方法>
(初期電解液供給工程)
本発明に係る硫酸溶液の製造方法では、最初に、図1の電解槽10に、塩化物イオンを含有する硫酸溶液を、初期電解液として供給する(初期電解液供給工程)。初期電解液は、アノード室21およびカソード室22の両方に供給される。初期電解液は、以下の記載にあるような塩化物イオン濃度および硫酸濃度であることが好ましい。液面の位置は、アノード室21の液面よりもカソード室22の液面が高くなるほうが好ましい。
(塩化物イオン濃度)
何の対策も施さずに、硫酸溶液に金属ニッケルをアノード溶解すると、アノード13の表面に容易に酸化皮膜、つまり不動態皮膜が形成され、電流がほとんど流れない不動態化の状態になる。この不動態皮膜の形成はハロゲンイオンの存在、水素イオン濃度(pH)の低下、温度の上昇などにより抑制されるといわれている。本発明者が金属ニッケルのアノード溶解について検討したところ、特に塩化物イオンの電解液への添加が効果的であった。なお、塩化物イオン濃度は、所定の塩化物が電解液に加えられた後の電解液における塩化物イオンの濃度を言う。
電解液中の塩化物イオン濃度は、1g/リットル以上20g/リットル以下が望ましい。不動態皮膜の形成が適切に抑制されるとともに、リチウムイオン電池の正極材の製造に用いられる場合は塩化物イオン濃度が少ないほうが好ましいからである。1g/リットルより少ない場合は、不動態皮膜の形成を抑制する効果が不十分となる。特に本発明のようにイオン交換膜を用いてアノード13側とカソード14側を仕切る場合、塩化物イオンがアノード13側の電解液の含まれないと、アノード13が容易に不動態化し、アノード13からのニッケルの溶出が抑制させ、酸素または塩素ばかり発生するなど好ましくない。この場合、金属の電解を行う際の電流密度を1000A/m以上にすることは困難である。また、塩化物濃度は4g/リットル以上がより好ましい。金属ニッケルをアノード溶解する上では、金属ニッケルの溶解度が確保できる濃度まで上げることができる。
ただし、金属イオンを含有する硫酸溶液が、リチウムイオン電池の正極材の製造に用いられる場合、得られる硫酸溶液中の塩化物イオン濃度は少ない方が好ましい。この場合の塩化物イオン濃度は、20g/リットル以下が好ましい。
なお塩化物イオンは、塩化ナトリウムまたは塩化リチウムなどの形で供給することが可能である。ただし、硫酸溶液内の不純物をできるだけ低減するのが好ましいので、塩化ニッケルなど、硫酸溶液に含有する金属イオンと同じイオンの塩化物塩または塩酸などの形で添加することが好ましい。
硫酸溶液の塩化物イオンの濃度が1g/リットル以上20g/リットル以下とすると、アノードの溶解を行う際の電流密度を高くできるので、さらに効率よく硫酸溶液を製造することができる。
なお、塩化物イオン濃度の範囲については、金属ニッケルをアノード溶解した場合については、上記の1g/リットル以上20g/リットル以下が望ましいが、金属コバルトの場合も同様である。ただし、金属コバルトの場合は、塩化物イオン濃度が0g/リットルであっても溶解が進む場合がある。
(硫酸濃度)
初期電解液として供給される硫酸(「フリー硫酸」あるいは「遊離硫酸」ともいう)の濃度の値はできるだけ小さいほうが好ましい。硫酸の濃度の値が小さいと、電解槽10から取出された、金属イオンを含有する硫酸溶液を中和するための薬剤費用が低減できるためである。
ただし、初期電解液として供給される硫酸の濃度の値が小さくなると、電解液の電気伝導度(単に「電導度」あるいは「伝導度」ともいう)が低下して液抵抗が増加したり、カソード14での水素イオンの拡散限界電流値が低下することで電圧が高くなったりするという弊害が発生する。電気代および中和用の薬剤費用を考えた場合に、最も経済的な条件に設定することが望ましい。このためpH計または電気伝導率計(単に「電導度計」または「導電率計」などとも呼ばれる)などを用いて最適な遊離濃度となるように、電流量またはカソード14側に供給する硫酸溶液の供給量を調整することが好ましい。
カソード室22の硫酸の濃度は、アノード室21で製造する、硫酸ニッケル溶液または硫酸コバルト溶液内の、ニッケルまたはコバルトの濃度とフリー硫酸濃度によって決定される。すなわち、アノード室21内の最終的なニッケルイオン当量分の硫酸、またはコバルトイオン当量分の硫酸と、アノード室21のフリー硫酸濃度の和となる。また、通電終了後のカソード液をアノード液として再利用することも可能である。この場合、カソード室22に移動したニッケルイオンまたはコバルトイオンを硫酸ニッケル溶液ないし硫酸コバルト溶液として回収することができる。
また、カソード室22の始液の硫酸濃度をアノード室21の始液の硫酸濃度よりも高くなるように設定し、通電によりカソード室22の硫酸濃度がアノード室21の始液の硫酸濃度と同等になったところで通電を終了する操業を行っても良い。
(電解液取出工程)
本発明に係る硫酸溶液の製造方法では、次に、図1の電解槽10に設けられたアノード13とカソード14とに電流を供給するとともに、アノード室21から、アノード13を構成する金属が溶解した金属溶解電解液を取出す(電解液取出工程)。この金属溶解電解液は、電解槽10から取出されると硫酸溶液となる。金属溶解電解液は、以下の記載にあるような金属イオン濃度、電解液温度であることが好ましい。
図1の電解槽10では、アノード室21から金属溶解電解液が取出されると、取出された金属溶解電解液の量に対応する硫酸が、第2供給管31からアノード室21に供給される。また、電解によりカソード室22の水素イオンが水素ガスに還元されるとともに、当量のカソード室22内の硫酸イオンがアノード室21に移動するので、カソード室22内の硫酸イオン濃度が小さくなり、導電率が低下する。この低下を抑制するため、カソード室22からオーバーフローにより取得された電解液の量に対応する調整済電解液が第3供給管34からカソード室22に供給される。
電解液取出工程では、硫酸濃度調整槽30において、第1供給管16から加えられた硫酸により電解液の硫酸濃度が調整される。硫酸濃度の調整は、硫酸濃度調整槽30に設けられた測定器35により、調整済電解液の電気伝導度が一定になるように行われる。測定器35は、電気伝導率計が好ましい。電気伝導度と硫酸濃度は対応しているので、この場合、電気伝導度を所定の値とすることで、供給された電解液の硫酸濃度が調整される。
なお、電解液取出工程は、アノード13等に電流を供給すると同時に金属溶解電解液を取出す場合と、電流の供給が終わった後に金属溶解電解液を取出す場合が含まれる。また、後述するバッチ式の電解槽10の場合は、電流の供給が終わった後に金属溶解電解液を取出す場合に含まれる。
硫酸溶液の製造方法が、電解液取出工程、すなわち、アノード13とカソード14に電流を供給するとともに、アノード室21から金属溶解電解液を取出す工程を含んで構成されている場合、アノード室21から金属イオンの濃度が高い硫酸溶液が取出され、アノード13側の不動態の形成を抑制でき、効率よく品質の高い、金属が溶解した硫酸溶液を製造することができる。
(金属イオン濃度)
本発明に係る硫酸溶液の製造方法で製造された硫酸溶液の金属イオン濃度は、硫酸溶液の用途により決定される。たとえば2次電池の正極材に用いるニッケル原料やコバルト原料として硫酸溶液が用いられる場合には、硫酸溶液のニッケルイオン等の濃度が90〜100g/リットル程度の高濃度のニッケルイオンやコバルトイオンを含有する硫酸溶液が必要となる。
硫酸溶液中の金属イオン濃度(以下コバルトの場合も同様)は、以下のパラメータにより決定される。すなわち、アノード13が金属ニッケルの場合、アノード13での反応がすべてニッケルの溶解であれば、アノード13に供給される電流値によって溶解量が決定する。図1に示す連続式の電解槽10の場合は、その溶解量が所望のニッケルイオン濃度になるようにアノード室21に塩化物イオン含有硫酸が補充され、同量の金属溶解電解液がアノード室21から硫酸溶液として取出される。後述するバッチ式の場合であれば、所望のニッケルイオン濃度になるようにアノード13に供給する積算電流量(通電量とも呼ばれる)を決定する。
アノード13を構成する金属が、少なくともニッケルまたはコバルトのいずれかを含有することにより、製造された硫酸溶液が二次電池の正極として使用される。
なお、連続式の電解槽10を使用する場合、初期電解液として、アノード室21に供給される硫酸溶液は、所定のニッケルイオン濃度以上の硫酸溶液であることが好ましい。この場合、金属溶解電解液は、取出しが始まった直後から所定のニッケルイオン濃度であるため、所定のニッケルイオン濃度の硫酸溶液を、当初から得ることができる。また初期電解液として、アノード室21に供給される硫酸溶液が、所定のニッケルイオン濃度未満である場合、溶解を開始した当初の、所定のニッケルイオン濃度に達していない硫酸溶液は、アノード室21側に繰り返すようにしても問題ない。また、電解液内のニッケルイオン濃度を均一にするために、アノード室21内の電解液がポンプ等で撹拌されるような構成にしても問題ない。
(電解液温度)
電解槽10内の電解液温度は高い方が好ましい。電解液温度が高いとアノード溶解するニッケルまたはコバルトが不動態化することを抑制できる。特に不動態の発生を抑制するためには、電解槽10内で保持される電解液は、30℃を超える温度、好ましくは40℃以上の温度とすることが好ましい。ただし、イオン交換膜は材質上60℃を超えると劣化しやすくなり実用面では60℃以下の温度にする必要がある。さらに電解液温度を高くするほど電解槽10などの設備材質の耐熱性および加熱に要するコストがかかるため、生産性およびコストを考慮し最も経済的な条件に設定することが望ましい。工業的に一般的な材料である塩化ビニールの耐熱を考慮すると、電解液温度は65℃以下、好ましくは50〜60℃程度の温度が好ましい。すなわち、電解槽10の電解液温度は、ニッケルの不動態化を抑制する点で40℃以上が好ましく、イオン交換膜の劣化等の点で65℃以下が好ましい。
(電気伝導度)
図1の電解槽10では、硫酸濃度調整槽30内の電気伝導度を、測定器35により測定している。具体的には、硫酸は、濃度の増加とともに電気伝導度が増大し、約300g/リットルで電気伝導度がピークとなりその後低下する。そのため、300g/リットル以下では、電気伝導度により硫酸濃度を予測することができる。電気伝導度が高い方が、液抵抗が小さくなり槽電圧を低くすることができる。
カソード室22の硫酸は、水素発生とアノード室21への硫酸イオンの移動により消耗するため、硫酸濃度を一定に、すなわち導電率を一定に保つために硫酸濃度調整槽30には硫酸が添加される。
(他の形式の電解槽10)
図3には、硫酸濃度調整槽30が設けられ、バッチ式でアノード室21から金属溶解電解液を取出す構成の電解槽10が示されている。図3では、取出管15を通じて取出しポンプ20から取出された電解液が、アノード室21の上部の第4供給管37より供給されることで、電解液がアノード室21内を循環する。このようにアノード室21内の電解液が循環することにより、アノード電極表面近傍の液の滞留を防止することができる。電解液の取出管15は電解槽10の高さの中央周辺に設置されることが好ましく、第4供給管37の吐出口は、アノード13近傍であることが好ましい。
図4には、硫酸濃度調整槽30が設けられることなく、バッチ式でアノード室21から金属溶解電解液を取出す構成の電解槽10が示されている。図4では、カソード室22内に測定器35が設けられている。カソード室22の硫酸は、水素発生とアノード室21への硫酸イオンの移動により消耗するため、硫酸濃度を一定に、すなわち電気伝導度を一定に保つために電解槽10に硫酸を添加するように制御することが好ましい。
また、図3または図4で示すバッチ式の電解槽10が用いられる場合、1バッチが終了した後に、1バッチ終了後のカソード室22内の溶液を、アノード室21に一括して移液し、新たにカソード室22に硫酸を投入する操作を行っても良い。
なお電解槽10では、アノード13側の溶液の電気伝導度(導電率)またはpHを公知の測定機器を用いて測定し、硫酸の供給量および通電する電流の調整など操業管理に用いることも可能である。
(電流効率の評価)
本発明に係る硫酸溶液の製造方法により硫酸溶液を製造すると、短時間で効率よく金属イオンを含有した硫酸溶液が得られる。この際に加えた電流が、金属の溶解にどの程度寄与しているかを電流効率として算出した。電流効率は、以下の数1に示すように、アノード13の重量減少分からカソード14の重量増加分を減じたものを、通電量から求めた理論溶解量で除した百分率で求めた。そして、電流効率が90%以上であれば効率よく電解できていると判断した。
[数1]
電流効率(%)=(アノード13減少重量 − カソード14増加重量)/理論溶解量 × 100・・・数1
(その他)
本発明に係る電解槽10では、アノード13側の溶液の電気伝導度またはpHを公知の測定機器を用いて測定し、硫酸の供給量および通電する電流の調整など操業管理に用いることも可能である。
また、以下に示す本発明の実施例では、電解での通電はアノード13のニッケル板やコバルト板に連続して、アノード13とカソード14の極性を変えずに通電する一般的な方法、すなわち一方向通電、および一定周期で短時間の停電を繰り返しながら通電する断続通電(「パルス通電」ともいう)が採用されているが、アノード13とカソード14の極性を一定周期で定期的に反転させるPR通電と呼ばれる通電方法が採用される場合もある。これらの通電方法はアノード13の不動態化の発生を抑制する効果があるので、その分電流密度を上昇させて生産効率を向上したり、添加する塩化物濃度を低減したりして硫酸溶液をさらに高純度化することもできる。
(実施例1)
実施例1では、硫酸濃度調整槽30を有し、連続的に金属溶解電解液を取得可能な、図1に示された電解槽10が用いられた。この電解槽10では、輸率(τCl−)が0.95以上である陰イオン交換膜を隔膜12として、アノード室21とカソード室22が分離されている。また、電解槽10では、アノード13およびカソード14として、金属ニッケル板が電極間距離45mmで設置された。それぞれの有効面積は16cmとした。
アノード室21の液面高さを120mmとなるように、初期電解液として、アノード室21に以下の硫酸溶液が供給された。この初期電解液は、水に硫酸ニッケルの結晶を溶解し、硫酸および塩酸で酸濃度および塩化物濃度を調製することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。
初期電解液としてカソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の電解液が供給された。この初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給してカソード室22内での塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30の電解液の電気伝導度は68S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例1の金属溶解前の条件を表1に示す。
電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14に、電流密度2000A/mとなるように電流が供給された。この際、電解液の温度は60℃になるように制御された。電流が供給されると同時に、カソード室22に、第3供給ポンプ33を用いて硫酸濃度調整槽30の電解液が0.1リットル/minで供給され、硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度が一定になるように硫酸が添加されるよう制御された。濃度29g/リットルである硫酸と塩酸とが合計で0.6mリットル/minだけ第2供給管31によりアノード室21に供給された。このときの塩酸の量は、アノード室21内の塩化物イオン濃度が3g/リットルになるように調整されている。加えて、アノード室21の底から5mm上方の位置にある、取出管15の開口15aから、取出しポンプ20により金属溶解電解液が取出された。取出された金属溶解電解液の量は、蒸発量を無視すれば、供給されている、硫酸と塩酸の合計量と同じである。
実施例1の結果を表2に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、108g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.3%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例2)
実施例2は、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例1と同じである。実施例2のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が26g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度193g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は70S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例2の金属溶解前の条件を表1に示す。
実施例2の結果を表2に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、107g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例3)
実施例3は、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、電流が供給される際の電解液の温度が45℃である点、電流密度が1000A/mとした点以外のパラメータは実施例1と同じである。実施例3のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が25g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度192g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は71S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例3の金属溶解前の条件を表1に示す。
実施例3の結果を表2に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(比較例1)
比較例1では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の初期電解液が供給された。アノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が33g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度200g/リットルの硫酸である。すなわち、アノード室21、カソード室および硫酸濃度調整槽30には塩化物イオンは存在していない。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。これ以外のパラメータは実施例1と同じである。比較例1の金属溶解前の条件を表1に示す。
比較例1の結果を表2に示す。比較例1では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例1の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例2)
比較例2では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、電流が供給される際の電解液の温度が30℃である点、電流密度が1000A/mとした点以外のパラメータは実施例1と同じである。アノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が25g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度192g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は71S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。比較例2の金属溶解前の条件を表1に示す。
比較例2の結果を表2に示す。比較例1では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例1の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例3)
初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、隔膜12としてろ布が用いられている点以外のパラメータは実施例1と同じである。比較例3のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は68S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。比較例3の金属溶解前の条件を表1に示す。
比較例3の結果を表2に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、74g/リットルであり、電池の正極の製造に用いることのできないニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も低く、効率的には硫酸溶液が得られなかった。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着が認められ、電流効率を確認したところ72%であり、効率的には電解が行われていないことがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ16g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動の抑制が不十分であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例4)
実施例4では、硫酸濃度調整槽30を有し、金属溶解電解液をバッチ式に取得可能な、図3に示された電解槽10が用いられた。実施例4では、アノード室21の初期電解液にニッケルイオンを含まない塩化物イオン含有硫酸溶液が供給され、アノード室21の電解液は、取出しポンプ20により0.1リットル/minで循環している。そして22Ah通電後、電流の供給を停止しアノード室21内の金属溶解電解液が回収された。
実施例4では、使用される電解槽10の点、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例1と同じである。実施例4のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30の電解液の電気伝導度68S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例4の金属溶解前の条件を表3に示す。
実施例4の結果を表4に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、105g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例5)
実施例5では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例4と同じである。実施例5のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が26g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度193g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は70S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例5の金属溶解前の条件を表3に示す。
実施例5の結果を表4に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.6%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例6)
実施例6では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、電流が供給される際の電解液の温度が45℃である点、電流密度が1000A/mとした点以外のパラメータは実施例4と同じである。実施例6のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が25g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度192g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は71S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例6の金属溶解前の条件を表3に示す。
実施例6の結果を表4に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.7%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(比較例4)
比較例4では、アノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の初期電解液が供給された。アノード室21の初期電解液は、濃度33g/リットルの硫酸である。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度200g/リットルの硫酸である。すなわち、アノード室21、カソード室22、および硫酸濃度調整槽30には塩化物イオンは存在していない。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。初期電解液の点以外のパラメータは実施例4と同じである。比較例4の金属溶解前の条件を表3に示す。
比較例4の結果を表4に示す。比較例4では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例4の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例5)
比較例5では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、電流が供給される際の電解液の温度が30℃である点、電流密度が1000A/mとした点以外のパラメータは実施例4と同じである。アノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が25g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、硫酸濃度が192g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は71S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。比較例5の金属溶解前の条件を表3に示す。
比較例5の結果を表4に示す。比較例5では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例5の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例6)
初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、隔膜12としてろ布が用いられている点、通電量を27Ahとした点以外のパラメータは実施例4と同じである。比較例6のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は68S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。比較例6の金属溶解前の条件を表3に示す。
取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、65g/リットルであり、電池の正極の製造に用いることのできないニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も低く、効率的には硫酸溶液が得られなかった。すなわち27Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着が認められ、電流効率を確認したところ73%であり、効率的に電解が行われていないことがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ25g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動の抑制が不十分であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例7)
実施例7では、硫酸濃度調整槽30が無く、金属溶解電解液をバッチ式に取得可能な、図4に示された電解槽10が用いられた。この電解槽10では、測定器35はカソード室22内の電解液に浸漬されている。また、カソード室22内の電解液は、第3供給ポンプ33で循環している。すなわち、実施例7では、カソード室22内の電解液の電気伝導度は制御されていない。ただし、アノード室21とカソード室22とに供給される初期電解液は、それぞれ硫酸濃度が異なっており、アノード室21において、目的のニッケルイオン濃度になるようにニッケルが溶解したときに、カソード室22の電解液の硫酸濃度が、アノード室21の金属溶解電解液の硫酸濃度と同じになるようにする。
実施例7では、図4で示されている電解槽10が用いられている点、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例1と同じである。実施例7のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.1S/mであった。実施例7の金属溶解前の条件を表5に示す。
実施例7の結果を表6に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、105g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.4g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が15.1S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(実施例8)
実施例8では、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。実施例8のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が26g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.5S/mであった。実施例8の金属溶解前の条件を表5に示す。
実施例8の結果を表6に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.6%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が15.5S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(実施例9)
実施例9では、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。実施例9のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が25g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.7S/mであった。実施例9の金属溶解前の条件を表5に示す。
実施例9の結果を表6に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.7%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が15.6S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(実施例10)
実施例10では、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。実施例10のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.1S/mであった。実施例10の金属溶解前の条件を表5に示す。
実施例10の結果を表6に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、105g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.6%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.4g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が15.0S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(比較例7)
比較例7では、アノード室21およびカソード室22に以下の初期電解液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。アノード室21の初期電解液は、濃度が33g/リットルの硫酸である。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸である。すなわち、アノード室21、およびカソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、14.8S/mであった。比較例7の金属溶解前の条件を表5に示す。
比較例7の結果を表6に示す。比較例7では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例7の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例8)
比較例8では、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点、電流が供給される際の電解液の温度が30℃である点、電流密度が1000A/mとした点以外のパラメータは実施例7と同じである。アノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が26g/リットル、塩化物イオン濃度が6g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.5S/mであった。比較例8の金属溶解前の条件を表5に示す。
比較例8の結果を表6に示す。比較例8では、電流を流し始めた後すぐに、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち比較例8の条件では、電流密度を上げることができず、効率的に硫酸溶液を得ることができなかった。
(比較例9)
比較例9では、図3の電解槽10が用いられたが、この際隔膜12を除去した。また初期電解液は以下のものが供給された。この初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が196g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の電気伝導度は、68S/mであった。この隔膜12がない点、初期電解液の点以外のパラメータは、実施例7と同じである。比較例9の金属溶解前の条件を表3に示す。
比較例9の結果を表6に示す。通電後しばらくして、アノード13とカソード14がショートした。カソード14を取り出し確認したところ、ニッケルがデンドライト状に析出していた。すなわち効率的に硫酸溶液を得ることが困難であることがわかった。
(比較例10)
初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点、隔膜12としてろ布が用いられている点以外のパラメータは実施例7と同じである。比較例10のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、15.0S/mであった。比較例10の金属溶解前の条件を表1に示す。
比較例10の結果を表6に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、66g/リットルであり、電池の正極の製造に用いることのできないニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も低く、効率的には硫酸溶液が得られなかった。すなわち27Ahの通電の実施に対し、カソード14へのニッケルの再電着が認められ、電流効率を確認したところ71%であり、効率的に電解が行われていないことがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ25g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動の抑制が不十分であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例11)
実施例11は、アノード13およびカソード14に金属コバルト板が用いられた点、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例1と同じである。すなわち、図1に示された電解槽10が用いられている。実施例11のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸コバルトを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、コバルトイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例11の金属溶解前の条件を表7に示す。
実施例11の結果を表8に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、108g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.1g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。
実施例12は、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例11と同じである。実施例12のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸コバルトを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、コバルトイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が33g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度201g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は75S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例12の金属溶解前の条件を表7に示す。
実施例12の結果を表8に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、107g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.4%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(比較例11)
初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点、隔膜12としてろ布が用いられている点以外のパラメータは実施例11と同じである。比較例11のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸コバルトを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、コバルトイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。比較例3の金属溶解前の条件を表1に示す。
比較例11の結果を表8に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、76g/リットルであり、電池の正極の製造に用いることのできないコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も低く、効率的には硫酸溶液が得られなかった。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着が認められ、電流効率を確認したところ75%であり、効率的には電解が行われていないことがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ15g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動の抑制が不十分であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例13)
実施例13では、アノード13およびカソード14に金属コバルト板が用いられた点、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例4と同じである。すなわち、図3に示された電解槽10が用いられている。実施例13のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例13の金属溶解前の条件を表9に示す。
実施例13の結果を表10に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、101g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.1g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例14)
実施例14では、初期電解液としてアノード室21、カソード室22および硫酸濃度調整槽30に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例13と同じである。実施例14のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が33g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度201g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は75S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。実施例14の金属溶解前の条件を表9に示す。
実施例14の結果を表10に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、99g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.4%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(比較例12)
比較例12では、図3の電解槽10が用いられたが、この際隔膜12を除去した。また初期電解液は以下のものが供給された。この初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が196g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の電気伝導度は、67S/mであった。この隔膜12がない点、初期電解液の点以外のパラメータは、実施例13と同じである。比較例12の金属溶解前の条件を表9に示す。
比較例12の結果を表10に示す。通電後しばらくして、アノード13とカソード14がショートした。カソード14を取り出し確認したところ、コバルトがデンドライト状に析出していた。すなわち効率的に硫酸溶液を得ることが困難であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例15)
実施例15では、硫酸濃度調整槽30が無く、金属溶解電解液をバッチ式に取得可能な、図4に示された電解槽10が用いられた。この電解槽10では、測定器35はカソード室22内の電解液に浸漬されている。また、カソード室22内の電解液は、第3供給ポンプ33で循環している。すなわち、実施例15では、カソード室22内の電解液の電気伝導度は制御されていない。ただし、アノード室21とカソード室22とに供給される初期電解液は、それぞれ硫酸濃度が異なっており、アノード室21において、目的のコバルトイオン濃度になるようにコバルトが溶解したときに、カソード室22の電解液の硫酸濃度が、アノード室21の金属溶解電解液の硫酸濃度と同じになるようにする。
実施例15では、アノード13およびカソード14に金属コバルト板が用いられた点、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。実施例15のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度200g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、14.8S/mであった。実施例15の金属溶解前の条件を表11に示す。
実施例15の結果を表12に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、102g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.5%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.1g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が14.8S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(実施例16)
実施例16では、アノード13およびカソード14に金属コバルト板が用いられた点、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例7と同じである。実施例16のアノード室21の初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が33g/リットル、塩化物イオン濃度が5g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度208g/リットルの硫酸である。すなわち、カソード室22には塩化物イオンは存在していない。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、17.5S/mであった。実施例16の金属溶解前の条件を表11に示す。
実施例16の結果を表12に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、100g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。すなわち22Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着はほとんどなく、電流効率を確認したところ99.4%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ0.2g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動を抑制できたことがわかった。また溶解後のカソード室22の液は、電気伝導度が17.5S/mであり、アノード室21の初期電解液とほぼ同等で、塩化物イオン濃度を調整することで次のバッチのアノード室21の初期電解液として再利用可能であった。
(比較例13)
比較例13では、図3の電解槽10が用いられたが、この際隔膜12を除去した。また初期電解液は以下のものが供給された。この初期電解液は、硫酸および塩酸で調整することで、硫酸濃度が196g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前の電気伝導度は、67S/mであった。この隔膜12がない点、初期電解液の点以外のパラメータは、実施例15と同じである。比較例13の金属溶解前の条件を表9に示す。
比較例13の結果を表10に示す。通電後しばらくして、アノード13とカソード14がショートした。カソード14を取り出し確認したところ、コバルトがデンドライト状に析出していた。すなわち効率的に硫酸溶液を得ることが困難であることがわかった。
(比較例14)
初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点、隔膜12としてろ布が用いられている点以外のパラメータは実施例15と同じである。比較例14のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸コバルトを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、コバルトイオン濃度が100g/リットル、硫酸濃度が29g/リットル、塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。またカソード室22および硫酸濃度調整槽30の初期電解液は、濃度196g/リットルの硫酸に、塩酸を供給して塩化物イオン濃度が3g/リットルとなっているものである。また溶解前のアノード室21の液の電気伝導度は、14.8S/mであった。比較例14の金属溶解前の条件を表11に示す。
比較例14の結果を表12に示す。取出された金属溶解電解液のコバルトイオン濃度は、67g/リットルであり、電池の正極の製造に用いることのできないコバルトイオン濃度であった。また、電流密度も低く、効率的には硫酸溶液が得られなかった。すなわち27Ahの通電の実施に対し、カソード14へのコバルトの再電着が認められ、電流効率を確認したところ72%であり、効率的には電解が行われていないことがわかった。さらに、カソード室22のコバルトイオン濃度を測定したところ26g/リットルであり、カソード室22へのコバルトイオンの移動の抑制が不十分であることがわかった。
Figure 2020056093
Figure 2020056093
(実施例17)
電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14に、周期的な通停電を繰り返すパルス電流が供給された点、アノード13およびカソード14の電極有効面積が異なる点、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例1と同じである。すなわち、実施例17では、硫酸濃度調整槽30を有し、連続的に金属溶解電解液を取得可能な、図1に示された電解槽10が用いられた。実施例17では、電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14の有効面積は32cmとした。また、実施例17では、周期1秒で、ON時間0.85秒、デューティ比0.85、平均電流密度1000A/mとなるようにパルス電流が供給された。また、実施例17のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、遊離硫酸濃度が32g/リットル、塩化物イオン濃度が1g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度200g/リットルの硫酸である。すなわちカソード室22には塩化物イオンは存在していない。実施例17の金属溶解前の条件を表13に示す。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。
実施例17の結果を表14に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、107g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。加えて22Ahの通電の実施に対し、電流効率を確認したところ99.4%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(実施例18)
電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14に、周期的な通停電を繰り返すパルス電流が供給された点、アノード13およびカソード14の電極有効面積が異なる点、初期電解液としてアノード室21およびカソード室22に以下の硫酸溶液が供給された点以外のパラメータは実施例17と同じである。すなわち、実施例17では、硫酸濃度調整槽30を有し、連続的に金属溶解電解液を取得可能な、図1に示された電解槽10が用いられた。実施例18では、電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14の有効面積は20cmとした。実施例18では、周期2秒で、ON時間1.9秒、デューティ比0.95、平均電流密度1600A/mとなるようにパルス電流が供給された。また、実施例18のアノード室21の初期電解液は、水に硫酸ニッケルを溶解し、硫酸および塩酸で調整することで、ニッケルイオン濃度が100g/リットル、遊離硫酸濃度が30g/リットル、塩化物イオン濃度が2g/リットルとなっているものである。またカソード室22の初期電解液は、濃度200g/リットルの硫酸である。すなわちカソード室22には塩化物イオンは存在していない。実施例18の金属溶解前の条件を表13に示す。また溶解前の硫酸濃度調整槽30内の電解液の電気伝導度は67S/mであり、溶解前後でこの電気伝導度を保持するように電解液は制御されている。
実施例18の結果を表14に示す。取出された金属溶解電解液のニッケルイオン濃度は、106g/リットルであり、電池の正極の製造に用いるのに十分なニッケルイオン濃度であった。また、電流密度も十分に高く、効率的に硫酸溶液が得られた。加えて22Ahの通電の実施に対し、電流効率を確認したところ99.3%であり、効率的に電解が行われていることがわかった。さらに、カソード室22のニッケルイオン濃度を測定したところ0.3g/リットルであり、カソード室22へのニッケルイオンの移動を抑制できたことがわかった。
(比較例15)
電解槽10に設けられたアノード13およびカソード14に、周期的な通停電を繰り返す、実施例17と異なるパルス電流が供給された点以外のパラメータは実施例17と同じである。比較例15では、周期1秒で、ON時間0.5秒、デューティ比0.5、平均電流密度1000A/mとなるようにパルス電流が供給された。比較例15の金属溶解前の条件を表3に示す。
比較例15の結果を表4に示す。比較例15では、通電後しばらくして、電圧が急激に増加し、アノード13から酸素が発生したため、溶解を中止した。すなわち効率的に硫酸溶液を得ることが困難であることがわかった。
Figure 2020056093
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10 電解槽
12 隔膜
13 アノード
14 カソード
17 直流電源
21 アノード室
22 カソード室

Claims (9)

  1. 槽内が陰イオン交換膜によりアノード室およびカソード室に分けられた電解槽の少なくとも前記アノード室に、塩化物イオン含有硫酸溶液を初期電解液として供給する初期電解液供給工程と、
    前記電解槽に設けられたアノードとカソードとに電流を供給するとともに、前記アノード室から、前記アノードを構成する金属が溶解した金属溶解電解液を取出す電解液取出工程と、
    を含んで構成されている、
    ことを特徴とする硫酸溶液の製造方法。
  2. 前記アノードを構成する金属は、少なくともニッケルまたはコバルトのいずれかを含有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の硫酸溶液の製造方法。
  3. 前記塩化物イオン含有硫酸溶液の塩化物イオンの濃度が1g/リットル以上20g/リットル以下である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硫酸溶液の製造方法。
  4. 前記電解液取出工程において、
    前記電解槽に保持されている電解液の液温を40℃以上65℃以下とする、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の硫酸溶液の製造方法。
  5. 前記電解液取出工程において、
    前記カソード室内の電解液の電気伝導度があらかじめ定められた値になるように制御されている、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の硫酸溶液の製造方法。
  6. 前記電解液取出工程において、
    前記アノードとカソードとに、周期的な通停電を繰り返すパルス電流を供給する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の硫酸溶液の製造方法。
  7. 前記周期的な通停電において、
    前記周期的な通停電の1周期における通電時間の比率が、0.8以上1.0未満である、
    ことを特徴とする請求項6に記載の硫酸溶液の製造方法。
  8. 電流を供給することによりアノードを構成する金属を溶解するための電解槽であって、該電解槽は、槽内が陰イオン交換膜によりアノード室とカソード室に分けられている、
    ことを特徴とする電解槽。
  9. 前記電解槽には、
    前記カソード室から供給される電解液に硫酸を加え、調整済電解液として前記カソード室へ供給する硫酸濃度調整槽が設けられている、
    ことを特徴とする請求項8に記載の電解槽。
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