JP2002327289A - 銅微粉製造方法 - Google Patents

銅微粉製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解槽を使用した酸化還元法によって一定の
平均粒径を有する銅微粉を効率的且つ連続的に製造する
ための技術を提供することを課題とする。 【解決手段】 上記の課題は、銅から成る陽極6を備え
た陽極室2と、陽極室2と隔膜4を介して隣接する陰極
7を備えた陰極室3とを有する電解槽1を使用して銅微
粉を製造するための銅微粉製造方法であって、Ti3+
含む硫酸溶液から成る電解液を陽極室2に供給し、陽極
6および陰極7の間に電圧を印加して陽極6から銅を銅
イオンとして溶出させ、陽極室2の内部において、銅イ
オンをTi 3+によって還元析出させて銅微粉を生成し、
陽極室2の内部において生成した銅微粉を一定方向に流
し、陽極室2内の電解液を連続的に取り出して、そこに
含まれる銅微粉を回収することによって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末冶金製品や電
子部品の原料となる銅微粉の製造方法に関するものであ
る。本発明は、より詳しくは、電解槽を使用した酸化還
元法によって、一定の平均粒径を有する銅微粉を効率的
且つ連続的に製造するための製造方法および製造システ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の目的とする粒状の銅微粉の製造
方法としては、従前から種々の化学還元法が提案されて
きた。このような化学還元法としては、例えば、特開昭
59−173206や特開昭63−125605が挙げ
られる。一方、特許公報第2622019号には、より
低コスト化あるいは環境負荷の低減、並びに品質の安定
化を達成できる銅微粉の製造方法が記載されている。こ
の特許公報第2622019号に記載の発明は、陽極を
備えた陽極室と、陽極室と隔膜を介して隣接する陰極を
備えた陰極室とを有する電解槽を使用して銅微粉を製造
するものであるが、陽極は銅微粉の原料である銅から構
成されており、しかも硫酸溶液から成る電解液にはTi
3+イオンが含まれていて、電解によって陽極から溶出し
た銅イオンが直ちにTi3+イオンによって還元されて銅
微粉が生成するようになっている。かかる特許公報第2
622019号に記載の発明は、低コストで品質の安定
した銅微粉を製造できる点で有用であるが、より効率的
な製造を行うためには、次のような課題が存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】まず、特許公報第26
22019号に記載の発明では、電解によって銅から成
る陽極からCu2+イオンが溶出するようになっている
が、電解液中に共存する他のイオンに比べてCu2+イオ
ンの比重は大きいので、溶出したCu2+イオンは陽極室
の底部に沈積しやすい。従って、特許公報第26220
19号に記載の発明は、電解を継続するにつれて電解液
の下部のTi3+イオンが枯渇して、粒径のばらつきが生
じたり、板状や針状等の異形粉が析出したり、あるいは
電解槽や配管内面へ皮膜状に析出したりする。そこで、
陽極室の中のTi3+イオンの分布を均一化して上記現象
の発生を抑制することが求められている。
【0004】また、特許公報第2622019号に記載
の発明は、例えば1μm以下の極めて微細な粉末を製造
できる点で有用であるが、このような微細な粉末の回収
は非常に困難である。水溶液中で銅粉を析出させる従来
の湿式法においては、一般的には、析出した銅粉を予め
沈降させてから間欠的に回収する方法が採られている
が、上記特許発明の方法で生成する銅微粉は電解液中で
懸濁しているので沈降するまでには長時間を要する。ま
た電解液をフィルターでろ過して銅粉を回収する方法も
あるが、上記特許発明で生成する銅微粉は、微細であ
り、しかも1g/L以下の低濃度で電解液中に浮遊して
いるため、ろ過の効率は低く、またフィルターも目詰ま
りし易いので実用的ではない。一方、析出した銅微粉を
回収することなく電解を継続すると、既に析出した銅微
粉を核として粗大な異形粉に成長してしまうことがある
ので、析出した銅微粉は逐次回収されることが好まし
い。そこで、電解液中に懸濁する銅微粉を効率的且つ連
続的に回収して、銅微粉の製造を効率化するとともに銅
微粉の粒度を一定にすることが求められている。
【0005】さらに、特許公報第2622019号に記
載の方法によると、銅を陽極として電解して銅微粉を析
出させる工程、並びにこの工程によって電解液中に生成
したTiO2+イオンを還元する工程のいずれにおいて
も、陰極において水素が発生すること加えて、電解液中
にTi3+が存在することにより、比較的容易に陰極の腐
食が進行してしまうことが明らかになった。即ち、硫酸
溶液から成る電解液に対して一般的には十分な耐食性を
発揮する耐食ステンレス鋼やチタンも、特許公報第26
22019号に記載の発明の陰極に用いた場合には、電
解液中にTi3+イオンが存在することによって、陰極の
表面の不動態皮膜が破壊されて腐食してしまう。一方、
鉛や黒鉛から成る陰極は、比較的良好な耐食性を示す
が、それでも微量ではあるが陰極表面の脱落や剥離によ
って製品中に不純物が混入する。工業材料の中では、唯
一、ジルコニウムから成る陰極が優れた耐食性を示す
が、コスト面で問題がある。従って、Ti3+イオンを含
む電解液を使用して電解を行う特許公報第262201
9号に記載の方法を使用する場合において、低コストで
しかも耐腐食性を有する新規な陰極材が求められてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく種々検討を重ねた結果、銅から成る陽極を
備えた陽極室と、前記陽極室と隔膜を介して隣接する陰
極を備えた陰極室とを有する電解槽を使用して銅微粉を
製造するための銅微粉製造方法であって、Ti3+を含む
硫酸溶液から成る電解液を前記陽極室に供給し、前記陽
極および前記陰極の間に電圧を印加して前記陽極から銅
を銅イオンとして溶出させ、前記陽極室の内部におい
て、前記銅イオンを前記Ti3+によって還元析出させて
前記銅微粉を生成し、前記陽極室の内部において生成し
た前記銅微粉を一定方向に流し、前記陽極室内の前記電
解液を連続的に取り出して、そこに含まれる前記銅微粉
を回収することを特徴とする銅微粉製造方法とすること
によって、陽極室内のTi 3+イオンの分布を均一化する
とともに、電解液中に懸濁する銅微粉を効率的且つ連続
的に回収して銅微粉の粒径を一定化できることを見出し
た。また、銅から成る陽極とTi3+イオンを含む硫酸溶
液とを使用して銅微粉を製造する場合において、銅から
成る陰極が低コストで耐腐食性を有する陰極材であるこ
とを見出した。以下に、本発明の一実施例としての製造
システムに基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の銅微粉の製造方
法において使用される製造システムを概念的に示す図で
ある。この製造システムは、銅微粉を生成するための第
一の電解槽1と、第一の電解槽で生成した銅微粉を回収
するための遠心分離機14と、第一の電解液で消費され
たTi3+を再生するための第二の電解槽8とから成る。
本発明によると、製造システムを作動すると、電解液が
第一の電解槽1、遠心分離機14および第二の電解槽8
を循環するようになっている。以下に本発明の製造シス
テムを更に詳細に説明する。
【0008】第一の電解槽1 図1に示すように、本発明の製造システムにおいて使用
される第一の電解槽は、陽極室2と陰極室3とを備えて
いる。陽極室2には銅から成る陽極6が設けられてお
り、また陰極室3には陰極7が設けられている。
【0009】この第一の電解槽の陰極室3に設けられた
陰極7は、銅から成る。陰極の形態は特に限定されない
が、例えば複数枚の銅製の網を組み合わせて構成され
る。一般的には本発明で使用される電解液と同程度の濃
度の硫酸中では銅は比較的溶解し易いが、本発明の如く
Ti3+イオンを含む電解液を使用する場合には、陰極7
が銅から構成されていても腐食を受けないことに加え、
銅から成る陰極を使用することによって低コストでしか
も効率的に電解を行うことができる。
【0010】なお、銅が空気等で酸化すると溶解・再析
出現象が発生して、極めて短時間に腐食が進行してしま
う。したがって、銅から成る陰極7は電解液中に完全に
沈めておくことが望ましい。また、陰極と電力供給用バ
ス・バーとの接続には、チタン、あるいはジルコニウム
板が用いられている。因に、チタン板を用いた場合に
は、比較的腐食が進行し易いため、定期的に交換する必
要がある。
【0011】本発明によると、陽極室2および陰極室3
の間には隔膜4が設けられている。この隔膜4は、銅か
ら成る陽極6から溶出したCu2+イオンが陰極室にまで
拡散して陰極7において樹枝状の粗大な粒子が析出する
のを有効に防止している。隔膜を構成する材料は、陽極
室2と陰極室3とを間仕切ることができ、且つ、電解液
の電気伝導を確保する材料であれば特に限定されない。
隔膜4を構成する材料としては、例えば陰イオン交換膜
や素焼きの陶器等が挙げられる。
【0012】本発明によると、陽極室2に供給された電
解液は、陽極室の内部において一定方向15に流れるよ
うになっており、これによって陽極室中のTi3+イオン
の分布を均一化して銅微粉の析出効率を一定化するよう
になっている。本発明において、陽極室内の電解液を上
記の如く一定方向15に流すための具体的な手段は、特
に限定されない。例えば陽極室内の電解液を一定方向1
5に流すための手段として、陰極室3の下部と陽極室の
下部との間に流路を設けて陽極室内の電解液が下部から
上部の方向へ流れるようにする手段が挙げられる。流路
を設けて陽極室内の電解液を下部から上部に向かって流
すと、陽極室の底部におけるTi3+イオン濃度の顕著な
低下を防止できる。また、この場合、Ti3+イオンの還
元作用によって析出した銅微粉は、陽極室の上部に向か
って流れるので、後述するように陽極室の上部の電解液
を連続的に取り出して遠心分離機において銅微粉を効率
的に回収することができる。
【0013】本発明における流路としては、例えば隔膜
4の下部に設けられ陰極室3と陽極室2とを連通する貫
通孔5が挙げられる。またこの貫通孔5の代替として、
点線で示されるような、陰極室の下部と陽極室の下部と
の間に設けられた輸送パイプ5’が挙げられる。ここ
で、流路は、電解液の流量1L/min当り0.3dm
2 以下の断面積となるように設計されていて陽極室内に
おける電解液に十分な流速が与えられるように設計され
ていることが好ましい。また、流路の近傍での電解液の
スムースな流れを確保するために、陰極室側にある流路
の入口および陽極室側にある流路の出口は、陰極7およ
び陽極6の下端よりも低く位置するように設けられてい
ることが好ましい。また、析出した銅微粉を陽極室中に
滞留させることなく、スムースに回収するために、陽極
室の水平断面積1dm2 当り0.5L/min以上の電
解液流量を確保することが望ましい。
【0014】電解液 本発明において使用される電解液としては、硫酸溶液か
らなり、しかもチタンイオン(Ti3+)を含むものが使
用される。本発明のように、Ti3+イオンを含む硫酸溶
液を用いて銅を陽極として電解を行うと、陽極から溶出
した銅イオン(Cu2+)がTi3+イオンによって還元さ
れて銅微粉を生成する。
【0015】本発明において、電解液中の硫酸濃度は特
に限定されないが、好ましくは、50〜300g/Lの
範囲になっている。電解液中の硫酸濃度が上記の範囲に
ある場合に、電解電流密度を高く維持できるとともに、
TiO2+イオンの還元を効率的に行うことができる。
【0016】また本発明において、電解液中のTi3+
オンの濃度も特に限定されないが、好ましくは0.1〜
50g/Lの範囲になっている。電解液中のTi3+イオ
ンの濃度が、上記の範囲にある場合に、析出する銅微粉
の粗大化を防止しつつ、効率的な銅微粉の生成が可能に
なる。なお、Ti3+イオン濃度が極端に低下すると、銅
の溶解が始まるため、電解液中のTi3+イオン濃度は最
低でも0.1g/L以上に保つことが好ましい。
【0017】そして、第一の電解槽8に電源20を接続
して、上記の第一の電解槽1を作動させて陽極6および
陰極7の間に電圧を印加すると、陽極6から銅がCu2+
イオンとして溶出して、その後に還元されて銅微粉が生
成する。特定の考察に本発明は束縛されないが、第一の
電解槽内では下記式(1)のイオン反応によって銅微粉
が析出すると考えられる。 2Ti3++Cu2++2H2 O→2TiO2++Cu+4H+ ・・・・・・(1)
【0018】本発明において、第一の電解槽1の陽極6
に流される電流の電流密度は、20A/dm2 以下であ
ることが好ましい。陽極の電流密度を上記の範囲に設定
することによって、析出する銅微粉の粗大化を防止しつ
つ銅微粉を効率的に析出させることができる。
【0019】遠心分離機14 本発明の製造システムは、第一の電解槽1の陽極室2か
ら銅微粉を含む電解液を連続的に取り出して、これを遠
心分離機14に供給するようになっている。遠心分離機
14において、銅微粉を含む電解液は遠心分離されて銅
微粉と電解液とに分離される。分離された銅微粉17は
沈降バスケット18に集められるようになっている。一
方、分離された電解液は、沈降バスケット18からオー
バーフローして遠心分離機14の底部から排出されて、
後述の第二の電解槽8に供給されるようになっている。
【0020】本発明によると、遠心分離機14が第一の
電解槽の陽極室2内の電解液中に懸濁する銅微粉を連続
的に回収するように設計されているので、既に析出した
銅微粉を核として粗大な粒子が成長するのを防止でき、
得られる銅微粉の粒径を一定化することができる。
【0021】本発明においては、遠心分離機14による
遠心分離の条件は、特に限定されるものではないが、電
解液に1500G以上の遠心力を30sec以上の間、
負荷することが好ましい。遠心分離の条件を上記の範囲
に設定することによって、未回収の銅微粉が本発明のシ
ステムを循環して第一の電解槽に再度供給されて、この
未回収の銅微粉を核として粗大な異形状の粉末が生成す
るのを有効に防止できる。
【0022】第二の電解槽8 本発明によると、上記のようにして遠心分離機14によ
って銅微粉が回収された後の電解液は、第二の電解槽8
の陰極室9に連続的に供給されるようになっている。こ
の第二の電解槽8は、第一の電解槽1における酸化還元
反応によって生成したTiO2+イオンを還元する役割を
果たす。
【0023】第二の電解槽8は陽極室10と陰極室9と
を備えている。そして、陽極室10には、陽極12が設
けられており、また陰極室9には陰極13が設けられて
いる。そして、この陽極12および陰極13の間には、
電圧が印加されるようになっている。
【0024】この第二の電解槽の陰極13も、第一の電
解槽の陰極と同様に、銅から成る。陰極の形態は、特に
限定されないが、例えば陰極は複数枚の銅製の網を組み
合わせて構成される。本発明において使用される電解液
と同程度の濃度の硫酸中では銅は比較的容易に溶解する
が、Ti3+イオンを含む電解液を使用する本発明では、
陰極が銅から構成されていても腐食を受けず、しかも銅
から成る陰極を使用することによって低コストで効率的
にTiO2+の還元を行うことができる。
【0025】特定の考察に本発明は束縛されないが、本
発明において、第二の電解槽の陰極室9では、主に次の
式2のイオン反応が生じているものと考えられる。これ
によってTi3+イオンが再生される。 TiO2++2H+ +e- →Ti3++H2 O・・・・・(式2)
【0026】尚、TiO2+の電解還元における電流効率
はTi3+/TiO2+の比率に大きく影響され、Ti3+
TiO2+比が1を超えると電流効率が急激に低下するた
め、陰極の電流密度はできるだけ低く保つことが望まし
い。なお、陰極が銅製の金網を折り曲げて構成されてい
る場合には、陰極の表面積の増加に加えて、陰極近傍で
の電解液滞留が抑制されるため、電流効率の改善が達成
される。
【0027】第二の電解槽8の陽極室10および陰極室
9の間には隔膜11が設けられている。隔膜を構成する
材料は、陽極室と陰極室とを間仕切ることができ、且
つ、電解液の電気伝導が確保できるような構造を有する
材料であれば特に限定されない。このような隔膜11を
構成する材料としては、陰イオン交換膜や素焼きの陶器
等が挙げられる。また、第一の電解槽の場合と異なり、
図1に示す第二の電解槽の隔膜11には流路は形成され
なくてもよい。
【0028】第二の電解槽8を電源20に接続して、第
二の電解槽8の陽極12および陰極13の間に電圧を負
荷すると、第二の電解槽の陰極室9に供給された電解液
に含まれるTiO2+が連続的に還元されてTi3+が再生
される。そして本発明によると、第二の電解槽において
再生されたTi3+イオンを含む電解液は再び第一の電解
槽1に供給されるようになっている。
【0029】本発明において、第二の電解槽の陽極12
および陰極13の間に流される電解電流密度は、前記T
iO2+の電解還元における電流効率をも鑑み、第1の電
解槽におけるTi3+の消費速度を下回らないように設定
されなければならない。
【0030】なお、図1に示すように、第1の電解槽に
おいて流路が第1の電解槽の陰極室の下部と陽極室の下
部との間に設けられている場合には、第二の電解槽で還
元された電解液は、第一の電解槽1の陰極室3の上部か
ら注入するように設計されていることが好ましい。これ
によって、電解液が、さらに第一の電解槽の陰極7にも
接触して、Ti3+の還元が促進される。
【0031】次に本発明の製造システムを使用して種々
の条件で銅微粉の製造を行った。
【0032】(実施例1)用意した製造システムの詳細
な寸法を以下に示す。 銅微粉製造用の第一の電解槽 1 第1の電解槽:有効容積は60L(5×3dm×深
さ4dm) 2 陽極室:有効容積20L(水平断面積5dm2 ) 3 陰極室:有効容積40L 4 隔膜:陰イオン交換膜製、有効面積9dm2 5 流路:隔膜の下部に設けられた断面積0.5dm2
(0.1×5dm)の貫通孔 6 陽極:タフピッチ銅製(1.5×3dm) 7 陰極:16mesh銅製金網(3×3dm×6枚)
【0033】TiO2+還元用の第二の電解槽 8 電解槽:有効容積40L 9 陽極室:有効容積10L 10 陰極室:有効容積30L 11 隔膜:陰イオン交換膜製、有効面積9dm2 12 陽極:DSE製、3×3dm2 13 陰極:16mesh銅製金網(3×3dm×6
枚)
【0034】表1に示す組成の電解液を用意した。この
電解液を5L/minの流量で本発明のシステム内で循
環させながら、銅微粉製造用の第一の電解槽の電解電流
を80Aに設定し、またTiO2+還元用の第二の電解槽
の電解電流を120Aに設定して、連続10h運転し
た。遠心分離機の沈降バスケット容量が3Lであり、遠
心力を1800Gに設定した。
【0035】[表1] 硫酸濃度 90g/L 全Ti濃度 7.5g/L Ti3+イオン濃度 6.0g/L ゼラチン 0.02g/L
【0036】電解液中のTi3+イオン濃度並びに得られ
た銅微粉の平均粒径を表2に示す。表2より明らかなよ
うに、本発明の製造システムの操業中において、Ti3+
イオン濃度および得られた銅微粉の平均粒径に関する経
時的な変化は認められなかった。なお、銅微粉の平均粒
径は、レーザー回折法を用いて測定した。実施例1にお
いて回収した銅微粉の総量は約900gであり、回収効
率(回収銅微粉量/理論的銅陽極溶解総量)は約95%
と算出される。この約95%という回収率は、従来の銅
微粉の電解法による製造方法と比較しても高い価であ
り、本発明の製造システムの有効性が確認された。
【0037】 [表2] 運転時間 Ti3+イオン濃度 平均粒径 異形粉混入の有無 1h 6.2g/L 1.5μm 無 5h 6.1g/L 1.7μm 無 10h 6.3g/L 1.4μm 無
【0038】(実施例2)延べ100時間運転した点を
除いて実施例1と同じ条件で本発明の製造システムを作
動させて銅微粉を製造した。そして、この運転の前後に
おける陰極の重量変化を測定した。その結果、延べ10
0時間の運転の前後における陰極の重量変化は、±0.
0%であり、陰極は、本発明において、全く腐食溶解し
ていないことが確認された。
【0039】(比較例1)銅製金網から成る陰極の代わ
りに同じメッシュサイズのステンレス(sus316
L)製金網およびチタン製金網から成る陰極に用いた点
を除いては実施例2と同様にして、延べ100時間の電
解を行った。そして、実施例2と同様にして100時間
の運転の前後における陰極の重量変化を測定した。その
結果、ステンレス(sus316L)製金網から成る陰
極を用いた場合には9.5%の重量損失が認められ、一
方チタン製金網から成る陰極の場合には3.2%の重量
損失が認められた。このような重量損質の価は、実施例
2の如く銅製金網から成る陰極を用いた場合と対照的で
あり、著しく高い値である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の銅微粉の製造システムを示す図であ
る。
【符号の説明】
1 銅微粉製造用の第一の電解槽 2 陽極室 3 陰極室 4 隔膜 5、5’ 流路 6 陽極 7 陰極 8 TiO2+還元用の電解槽 9 陰極室 10 陽極室 11 隔膜 12 陽極 13 陰極 14 遠心分離機 15 電解液の流れ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月14日(2001.6.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく種々検討を重ねた結果、銅から成る陽極を
備えた陽極室と、前記陽極室と隔膜を介して隣接する陰
極を備えた陰極室とを有する電解槽を使用して銅微粉を
製造するための銅微粉製造方法であって、Ti3+を含む
硫酸溶液から成る電解液を前記陽極室に供給し、前記陽
極および前記陰極の間に電圧を印加して前記陽極から銅
を銅イオンとして溶出させ、前記陽極室の内部におい
て、前記銅イオンを前記Ti3+によって還元析出させて
前記銅微粉を生成し、前記陽極室の内部において生成し
た前記銅微粉を、前記電解液中に懸濁させながら、一定
方向に流し、前記陽極室内の前記電解液を連続的に取り
出して、そこに含まれる前記銅微粉を回収することを特
徴とする銅微粉製造方法とすることによって、陽極室内
のTi 3+イオンの分布を均一化するとともに、電解液中
に懸濁する銅微粉を効率的且つ連続的に回収して銅微粉
の粒径を一定化できることを見出した。また、銅から成
る陽極とTi3+イオンを含む硫酸溶液とを使用して銅微
粉を製造する場合において、銅から成る陰極が低コスト
で耐腐食性を有する陰極材であることを見出した。以下
に、本発明の一実施例としての製造システムに基づいて
本発明を更に詳細に説明する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K017 AA02 BA05 EJ01 FB07 4K058 AA01 BA21 BB04 CA01 CA04 DD01 DD11 EC04 FA04 FA23

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅から成る陽極を備えた陽極室と、前記
    陽極室と隔膜を介して隣接する陰極を備えた陰極室とを
    有する電解槽を使用して銅微粉を製造するための銅微粉
    製造方法であって、Ti3+を含む硫酸溶液から成る電解
    液を前記陽極室に供給し、前記陽極および前記陰極の間
    に電圧を印加して前記陽極から銅を銅イオンとして溶出
    させ、前記陽極室の内部において、前記銅イオンを前記
    Ti3+によって還元析出させて前記銅微粉を生成し、前
    記陽極室の内部において生成した前記銅微粉を一定方向
    に流し、前記陽極室内の前記電解液を連続的に取り出し
    て、そこに含まれる前記銅微粉を回収することを特徴と
    する銅微粉製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電解液から前記銅微粉を回収した後
    に前記銅イオンの還元によって生成したTiO2+を第二
    の電解槽において還元して前記Ti3+を再生し、しかる
    後に前記Ti3+を含む前記電解液を前記陽極室の底部に
    供給することを特徴とする請求項1に記載の銅微粉製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記陰極室の下部と前記陽極室の下部と
    の間に電解液の流路を設け、前記電解液は前記陰極室か
    ら供給されて前記流路を通過して前記陽極室内に送られ
    て、これによって前記陽極室内の前記電解液は前記一定
    方向に流れるようになっており、しかも前記電解液は前
    記陽極室内における前記一定方向の流れの下流側から取
    り出されて、そこに含まれている前記銅微粉が回収され
    ることを特徴とする請求項2に記載の銅微粉製造方法。
  4. 【請求項4】 前記流路は前記隔膜の下部に設けられ前
    記陰極室および前記陽極室を連通する貫通孔から成り、
    前記電解液は前記陽極室の上部から取り出されることを
    特徴とする請求項3に記載の銅微粉製造方法。
  5. 【請求項5】 前記銅微粉は前記電解液から遠心分離に
    よって連続的に回収されることを特徴とする請求項4に
    記載の銅微粉製造方法。
  6. 【請求項6】 前記陰極は銅からなることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅微粉製造方法。
  7. 【請求項7】 前記TiO2+を還元するための前記第二
    の電解槽に設けられた陰極は銅から成ることを特徴とす
    る請求項2に記載の銅微粉製造方法。
  8. 【請求項8】 銅から成る陽極を備えた陽極室と、前記
    陽極室と隔膜を介して隣接する陰極を備えた陰極室とを
    有する電解槽を使用して銅微粉を製造するための銅微粉
    製造方法であって、前記陰極を銅から構成し、Ti3+
    含む硫酸溶液から成る電解液を、前記陽極室に供給し、
    前記陽極および前記陰極の間に電圧を印加して、前記陽
    極から銅を銅イオンとして溶出させ、前記陽極室の内部
    において、前記銅イオンを前記Ti3+によって還元析出
    させて銅微粉を生成することを特徴とする銅微粉製造方
    法。
  9. 【請求項9】 陽極を備えた陽極室と、前記陽極室と隔
    膜を介して隣接する陰極を備えた陰極室とを有する第二
    の電解槽を使用してTiO2+を還元する方法であって、
    前記陰極を銅から構成し、TiO2+を含む硫酸溶液から
    成る電解液を、前記陰極室に供給し、前記陽極および前
    記陰極の間に電圧を印加して前記TiO2+を還元するこ
    とを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 銅から成る陽極を備えた陽極室と、前
    記陽極室と隔膜を介して隣接する陰極を備えた陰極室と
    を有する銅微粉製造用の電解槽であって、前記電解液は
    Ti3+を含む硫酸溶液から成り、前記隔膜は前記電解液
    を前記陰極室から前記陽極室に供給するための流路を備
    えており、前記陽極室内に供給された前記電解液は前記
    陽極室内において一定方向に流れるようになっているこ
    とを特徴とする電解槽。
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