JP4592981B2 - タンパク質の抽出方法及び分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質の抽出方法及び分析方法に関する。なお、本明細書における前記「分析」には、分析対象物の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」と、分析対象物の存在の有無を判定する「検出」との両方が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
好酸球塩基性タンパク質(eosinophile cationic protein;以下、ECPと略称することがある)は、体内に存在する好酸球中に含まれる主要なタンパク質の1つであり、1型アレルギー性炎症反応に関連するタンパク質と考えられている。
好酸球は、1型アレルギーの遅発相反応において、ECPをはじめとして、好酸球パーオキシダーゼ(EPO)、好酸球由来ニューロトキシン(EDN)、及びメジャーベイシックタンパク質(MBP)などのタンパク質を放出することにより、組織障害又は炎症を惹起する。従って、ECP濃度の測定は、1型アレルギーに由来する炎症の指標になるとされている。血中に含まれるECP量は、多くの研究者によって測定されており、その測定の臨床的意義について多くの報告がある(P.Vengeら,Clinical and Experimental Allergy,29,p1172−1186,1999)。また、ECPのアイソマーも公知である(WO97/46885号公報)。
【0003】
ECPは血中のみならず、鼻汁、涙液、尿、又は便などにも存在する。特に、鼻汁中ECP又は涙液中ECPは、好酸球に由来する局所のアレルギー性炎症の程度をよく反映すると言われており、これらの点に関する多くの報告が見られる。鼻汁中ECPは、鼻アレルギー患者で健常者に比べ有意に高値を示すと報告されている。また、涙液中ECPは、アレルギー性結膜炎、春季カタル、又は巨大乳頭性結膜炎などのアレルギー性疾患の鑑別に有用とする報告が多数見られる(例えば、雑賀寿和ら,アレルギーの臨床,10,p404−408,1990)。
【0004】
血中のECP測定に際しては、患者から血液を採取して血清又は血漿を分離することにより測定用サンプルを得ることが容易である。しかしながら、鼻汁又は涙液などの外分泌液などについては、測定用サンプルを定量的に得ることは難しい。
涙液又は鼻汁などの外分泌液中のECP測定法についていくつかの報告がある。鼻汁の採取方法としては、分泌液そのものを採取する方法、あるいは、鼻腔洗浄液などで鼻腔を洗浄した後、新たに分泌された鼻汁のみを採取する方法等が試みられている(D.Wangら,Eur.Arch.Otorhinolaryngol.,252,pS40−S43,1995)。しかしながら、これらの方法は、研究目的では可能であったとしても、実際に臨床現場では手間がかかりすぎ、また、患者の負担も大きいため、実用化されるには到っていない。
【0005】
また、涙液を充分量採取することは更に難しい。通常は、キャピラリー等を用いて非常にわずかの量(2μL程度)を採取することになるが、これは高度なテクニックを必要とし、同時に患者の恐怖心を惹起し、場合によっては眼を傷つけてしまうことすらあった。また、研究目的では、眼組織を採取する為に、金属器具等による擦過により組織を削りとる方法があるが、これもまた、患者に多大な苦痛と恐怖心を与える為、研究目的以外には用いられなかった。従って、涙液中のECP測定もまた、臨床的有用性は認識されていながら、実用化されるには到っていない。
【0006】
このような問題を解決する手段として、涙液や鼻汁をいったんろ紙などの吸湿性の素材に吸収させ、これから抽出することによりECP測定のサンプルとすることが考えられる(鈴木康意ら,アレルギーの臨床,10,p409−411,1990)。この方法は、患者に負担をかけずにサンプリングできる良い方法であるが、前記文献に記載されているように、ECPの測定値に関して安定した回収率が得られず、実用化されるに到らなかった。この原因としては、一度吸湿し乾燥させた吸湿性担体からECPを抽出する場合、一般に用いられる生理食塩水やそれに相当する塩濃度の緩衝液では充分な抽出が行われないことが挙げられる。
このように、眼や鼻のアレルギー症状を客観的に評価又は数値化する為に、涙液や鼻汁を採取し、ECPを測定することは日常の臨床の場では困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、従来技術の前記の欠点を解消し、被検試料(例えば、涙液又は鼻汁など)などを吸収させた吸湿性担体からタンパク質(例えば、ECP)を高回収率で抽出する方法、及び被検試料中のタンパク質(例えば、ECP)を簡便に定量性良く分析する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明による、タンパク質を吸収させた吸湿性担体を、
(a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
(b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
(c)pH10〜13の緩衝液
と接触させることを特徴とする、前記吸湿性担体から前記タンパク質を抽出する方法によって解決することができる。
また、本発明は、分析対象タンパク質を含有する可能性のある被検試料を、吸湿性担体に吸収させた後、前記吸湿性担体を、
(a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
(b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
(c)pH10〜13の緩衝液
と接触させることにより抽出液を得、得られた抽出液を前記分析対象タンパク質用の分析手段により分析することを特徴とする、被検試料中のタンパク質を分析する方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抽出方法では、タンパク質を吸収させた吸湿性担体を、特定の抽出用液と接触させることにより、前記吸湿性担体から前記タンパク質を抽出する。
前記タンパク質は、吸湿性担体から通常の抽出用液(例えば、生理的食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水など)で充分に抽出されないタンパク質である限り、特に限定されるものではないが、例えば、好酸球塩基性タンパク質(ECP)又はアポリポタンパク質A−Iを挙げることができ、ECPであることが好ましい。
【0010】
本発明の抽出方法において用いる前記吸湿性担体は、前記タンパク質(特にはECP)を含有する可能性のある被検試料[特には、生体試料、例えば、外分泌液(例えば、涙液又は鼻汁)]を吸収することのできる担体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、ろ紙(セルロース)、布帛(例えば、織物、編物、又は不織布)、又はセルロース誘導体の膜(例えば、ニトロセルロース膜)などを挙げることができる。安価で、且つ入手が容易なことから、ろ紙(セルロース)が最も一般的である。また、被検試料の吸収量を定量的にコントロールすることができる点で、前記吸湿性担体として、目盛を付けた吸湿性担体、例えば、シルメル試験紙(昭和薬品化工株式会社製造,株式会社メニコン発売)を用いることが好ましい。
【0011】
ECPを含有する可能性のある被検試料を吸収させた吸湿性担体は、湿潤状態のまま、以下に説明する抽出用液を用いた抽出処理に用いることもできるし、あるいは、一度、乾燥させた後、乾燥状態のまま、以下の抽出処理に用いることもできる。
例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイロキシン(甲状腺ホルモン、T4)、又は17αヒドロキシプロゲステロン(ステロイドホルモン)などの測定では、多量のサンプルを一度に採取することが困難な新生児などにおいて、複数回に分けて血液をろ紙に吸収させることがよく行なわれている。本発明の抽出方法においても同様に、被検試料を吸収させた吸湿性担体を一度、乾燥させた後、乾燥状態で保存しておき、以下の抽出処理に用いることができる。
【0012】
本発明の抽出方法では、抽出用液として、
(a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
(b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
(c)pH10〜13の緩衝液
を用いる。
【0013】
前記抽出用液(a)、すなわち、塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液における前記塩は、水に良く溶け、電解質となることができる塩である限り、特に限定されるものではないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化塩(例えば、NaCl、KCl、LiCl、MgCl2、CaCl2、又はNaBrなど)、硫酸塩、又はリン酸塩などを挙げることができる。前記抽出用液(a)は、これらの塩1種類のみを含有することもできるし、あるいは、塩2種類以上を含有することもできる。
【0014】
前記抽出用液(a)における塩濃度は、含有される各塩濃度の合計が0.3mol/L以上である限り、特に限定されるものではなく、含有する塩の種類に応じて塩濃度を適宜決定することができる。例えば、塩としてNaClを用いる場合には、0.4mol/L以上であることが好ましい。
また、前記抽出用液(a)における塩濃度の上限は、塩が緩衝液中に可溶な濃度である限り、特に限定されるものではないが、塩濃度は5mol/L以下であることが好ましい。
なお、前記抽出用液(a)における塩濃度は、生理的な塩濃度よりかなり濃い塩濃度である。例えば、生理食塩水の塩濃度は、0.14mol/Lである。
【0015】
前記抽出用液(b)、すなわち、界面活性剤0.001%を含有する緩衝液における前記界面活性剤は、特に限定されるものではないが、例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート[トゥイーン(Tween)20]、ポリオキシエチレン(40)ソルビタンモノラウレート(トゥイーン40)、又はオクトキシロール−9[トリトン(Triton)−X100]などを挙げることができる。前記抽出用液(b)は、これらの界面活性剤1種類のみを含有することもできるし、あるいは、界面活性剤2種類以上を含有することもできる。
【0016】
前記抽出用液(b)における界面活性剤の濃度は、含有される各界面活性剤の濃度の合計が0.001%以上である限り、特に限定されるものではなく、含有する界面活性剤の種類に応じてその濃度を適宜決定することができる。例えば、界面活性剤としてトゥイーン20を用いる場合には、0.01%以上であることが好ましい。
また、前記抽出用液(b)における界面活性剤濃度の上限は、粘性等の面で実際に取り扱いが可能な濃度である限り、特に限定されるものではないが、界面活性剤濃度は3.2%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の抽出方法では、前記抽出液(a)〜(c)のいずれかを用いることにより、高い回収率で、吸湿性担体からタンパク質(特にはECP)を抽出することができる。
また、本発明の抽出方法では、高塩濃度、界面活性剤、及びpH条件を組み合わせることにより、更に高い抽出率を達成することができる。このような組み合わせとしては、例えば、
(d)塩0.3mol/L以上と界面活性剤0.001%以上とを含有する緩衝液、
(e)塩0.3mol/L以上を含有し、pH10〜13の緩衝液、
(f)界面活性剤0.001%以上を含有し、pH10〜13の緩衝液、又は
(g)塩0.3mol/L以上と界面活性剤0.001%以上とを含有し、pH10〜13の緩衝液
を挙げることができ、抽出率の点で、前記抽出液(d)又は(g)が好ましい。
また、本発明の抽出方法では、抽出後の分析方法の条件に応じて、適切な抽出液(a)〜(g)を適宜選択することができ、例えば、抽出後のタンパク質(特にはECP)分析に際して連続して用いる場合には、前記抽出用液(d)が好ましい。
【0018】
本発明の分析方法は、
(1)分析対象タンパク質を含有する可能性のある被検試料を、吸湿性担体に吸収させる工程(以下、吸収工程と称する)、
(2)前記吸収工程で得られた吸湿性担体を、
(a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
(b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
(c)pH10〜13の緩衝液
と接触させることにより抽出液を得る工程(以下、抽出工程と称する)、及び
(3)前記抽出工程で得られた緩衝液を、前記分析対象タンパク質用の分析手段により分析する工程(以下、分析工程と称する)
を含む。
【0019】
本発明の分析方法を適用することのできる被検試料は、分析対象タンパク質(例えば、ECP又はアポリポタンパク質A−I)を含有する可能性のある被検試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生体試料、より具体的には、外分泌液、例えば、涙液(特には、結膜と眼球表面との間の涙液)若しくは鼻汁、粘膜組織、唾液、又はリンパ液などを挙げることができる。
【0020】
本発明の分析方法における吸収工程では、使用する吸湿性担体及び採取する被検試料に応じて、それ自体公知の方法により、吸湿性担体に被検試料を吸収させることができる。例えば、吸湿性担体として、シルメル試験紙(昭和薬品化工株式会社製造,株式会社メニコン発売)を用いる場合には、例えば、その先端を結膜と眼球との間に挟み、数分間目を閉じることで、吸湿性担体を湿潤させ、その湿潤長を計測し、一定長で切断することで涙液量を一定化して採取することが可能である。鼻汁採取に関しても、シルメル紙を鼻腔深部に挿入する以外はほぼ同様の手法が可能である。
【0021】
本発明の分析方法における抽出工程は、先述の本発明の抽出方法と全く同様にして実施することができる。すなわち、本発明の分析方法における抽出工程においては、本発明の抽出方法で用いることのできる抽出用液を用いることにより、分析対象タンパク質を含有する可能性のある抽出液を得ることができる。
【0022】
本発明の分析方法における分析工程では、分析対象タンパク質の種類に応じて、そのタンパク質に関する公知の分析手段を用いることにより、前記抽出液の分析を実施することができる。例えば、分析対象タンパク質がECPである場合には、例えば、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CLIA)、化学発光エンザイムイムノアッセイ(CLEIA)、ラテックス凝集法、又はイムノクロマトグラフィーなどを用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
本実施例では、異なる塩濃度におけるECPの抽出率について検討した。
ECP陽性血清10μLをシルメル試験紙(昭和薬品化工株式会社製造,株式会社メニコン発売)の一方の端部に滴下し、25℃で一昼夜自然乾燥させた。陽性血清が染み込んだ長さは、前記端部から10〜20mmであったので、前記端部から20mmのところで切断し、塩濃度の異なる以下の各種抽出用液を用いて、以下の手順で抽出を行なった。
【0024】
前記抽出用液としては、異なる塩濃度(すなわち、0mol/L、0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.4mol/L、0.6mol/L、0.8mol/L、1.0mol/L、1.2mol/L、1.5mol/L、3mol/L、及び5mol/L)の塩化ナトリウムを含有する10mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.0)12種類を使用した。ECP陽性血清を滴下し、自然乾燥させた前記シルメル紙断片(長さ=約20mm)を1.5mL容エッペンドルフチューブ(エッペンドルフ社)に挿入した後、塩濃度の異なる前記12種類の抽出用液をそれぞれ200μLずつ分注し、室温25℃で4時間静置した。なお、エッペンチューブを横に傾けることにより、前記シルメル紙の全体が抽出用液に浸るようにした。
【0025】
4時間静置した後、遠心操作を行ない、抽出液180μLをサンプリングし、微量透析装置を用いて、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと称する)に対して透析した。透析後、液量を200μLに調整し、ECP測定キット〈米国DPC社製〉を用いて、各抽出液中に含まれるECP量(単位=ng/mL)を測定した。
結果を表1及び図1に示す。表1及び図1に示すように、0.3〜5mol/Lの塩濃度において良好な抽出率が得られた。
【0026】
Figure 0004592981
【0027】
【実施例2】
本実施例では、異なる濃度の界面活性剤存在下におけるECPの抽出率について検討した。
抽出用液として、異なる濃度(すなわち、0%、0.001%、0.01%、0.1%、0.32%、1%、及び3.2%)のトゥイーン(Tween)20を含有する10mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.0)7種類を使用したこと以外は、前記実施例1の操作を繰り返した。
結果を表2及び図2に示す。表2及び図2に示すように、0.001〜3.2%のトゥイーン20濃度において有意な抽出率の向上が見られた。
【0028】
Figure 0004592981
【0029】
【実施例3】
本実施例では、異なる濃度の界面活性剤存在下におけるECPの抽出率について検討した。
抽出用液として、異なるpHの緩衝液9種類[すなわち、0.1MのMES緩衝液(pH5.0,pH6.0)2種類、0.1MのHEPES緩衝液(pH7.0,pH8.0)2種類、0.1MのTAPS緩衝液液(pH9.0)1種類、及び0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.0,11.0,12.0,13.0)4種類]を使用したこと以外は、前記実施例1の操作を繰り返した。
結果を表3及び図3に示す。表3及び図3に示すように、pH10〜pH13において有意な抽出率の向上が見られた。
【0030】
Figure 0004592981
【0031】
【実施例4】
抽出用液として、0.8mol/L塩化ナトリウム及び0.1%トゥイーン20を含有する10mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を使用したこと以外は、前記実施例1の操作を繰り返したところ、ECP量として14.0ng/mLの測定値が得られた。
対照として、前記ECP陽性検体を前記抽出用液で100%抽出することができたと仮定した場合の稀釈率で稀釈した希釈液(すなわち、ECP陽性検体20μLに前記抽出用液180μLを加えた混合液)について、ECP測定キット〈米国DPC社製〉を用いてECP量を測定したところ、15.6ng/mLであった。
これらの測定値から、前記抽出用液を用いた場合のECPの回収率は約90%であることが判明した。
【0032】
【実施例5】
アレルギー性結膜炎の患者14例及び健常者9例について、各人の両眼からそれぞれ別々に、シルメル試験紙により涙液を採取し、乾燥させた(合計サンプル数=46)。シルメル試験紙の先端半円状の部分を切り取り、前記実施例4で使用した抽出用液100μLを用いて、以下、前記実施例1に記載の手順と同様にして、ECP量を測定した。
【0033】
結果を表4及び図4に示す。図4において、レーン1〜18は健常者9例の結果を示し、レーン19〜46はアレルギー性結膜炎の患者14例の結果を示す。なお、各レーンの内、奇数番号のレーンは左眼の結果を示し、偶数番号のレーンは右眼の結果を示す。例えば、レーン1及びレーン2は、それぞれ、同一健常者の左眼及び右眼の結果を示し、レーン3及びレーン4は、それぞれ、前記健常者とは別の同一健常者の左眼及び右眼の結果を示す。
表4及び図4に示すように、アレルギー性結膜炎患者の涙液から、健常者に比べ、有意に高いECP値が得られた。
【0034】
Figure 0004592981
【0035】
【発明の効果】
本発明の抽出方法によれば、通常の抽出用液(例えば、生理的食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水など)では充分に抽出することができないタンパク質(特にはECP)を、吸湿性担体から高回収率で抽出することができる。また、本発明の分析方法によれば、通常の抽出用液では充分に抽出することができないタンパク質(特にはECP)であっても、簡便に定量性良く分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる塩濃度におけるECPの抽出率を示すグラフである。
【図2】異なる界面活性剤濃度におけるECPの抽出率を示すグラフである。
【図3】異なるpHにおけるECPの抽出率を示すグラフである。
【図4】本発明の分析方法により測定した涙液中のECP量を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 好酸球塩基性タンパク質を吸収させたろ紙を、
    (a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
    (b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
    (c)pH10〜13の緩衝液
    と接触させることを特徴とする、前記ろ紙から前記好酸球塩基性タンパク質を抽出する方法。
  2. 前記塩が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選んだ塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 好酸球塩基性タンパク質を含有する可能性のある被検試料を、ろ紙に吸収させた後、前記ろ紙を、
    (a)塩0.3mol/L以上を含有する緩衝液、
    (b)界面活性剤0.001%以上を含有する緩衝液、又は
    (c)pH10〜13の緩衝液
    と接触させることにより抽出液を得、得られた抽出液を前記好酸球塩基性タンパク質用の分析手段により分析することを特徴とする、被検試料中の好酸球塩基性タンパク質を分析する方法。
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