以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明によれば、この画像形成装置に対応する画像形成方法も提供される。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一構成例を示している。
図1の例では、画像形成装置1は、プロジェクタ11−1乃至11−12、スタック台12−1乃至12−12、スタック台コントローラ13−1乃至13−3、プロジェクタ制御部14−1乃至14−3、カメラ15−a乃至15−u、スイッチャ16、コントローラ17、および、スクリーン18から構成されている。
この画像形成装置1には、タイリング手法やスタッキング手法が適用されている。そこで、以下、タイリング手法とスタッキング手法とについて説明する。
タイリング手法とは、複数のプロジェクタのそれぞれが、自身の画像を、その一部分と隣接する他の画像の一部分とを重畳させるようにスクリーン等にそれぞれ形成させる手法をいう。なお以下、タイリング手法が適用されている場合に、複数のプロジェクタのそれぞれによりスクリーン等に形成される画像を、部分画像と称すとする。即ち、タイリング手法により、複数の部分画像がスクリーン等に形成され、複数の部分画像のそれぞれが所定の一部分同士重ねられ、その結果、1枚の全体の画像(以下、全体画像と称する)がスクリーン等に形成されることになる。具体的には例えば本実施の形態では、後述する図3に示されるような3枚の部分画像51乃至53から構成される全体画像71が、スクリーン18に形成されることになる。
なお、以下、タイリング手法により2つの部分画像が重ねあわせられる部分、即ち、2つの部分画像のうちのそれぞれの上述した一部分を、ブレンディング領域と称する。即ち、ブレンディング領域とは、いわゆるのりしろ部分をいう。具体的には例えば本実施の形態では、後述する図3に示されるような、部分画像51と部分画像52とが重ね合わせられる部分61、および、部分画像52と部分画像53とが重ね合わせられる部分62が、ブレンディング領域となる。
また、スタッキング手法とは、複数のプロジェクタのそれぞれが、同一画像のそれぞれをスクリーン等の同一の領域に形成させて重ね合わせる手法をいう。
以上説明したように、タイリング手法は、スクリーンに形成される全体画像のサイズ(特に水平方向のサイズ)が大きい場合に有効な手法である。また、スタッキング手法は、スクリーンに形成される画像の明るさ(輝度)を高めるために有効な手法である。例えば本実施の形態では、スクリーン18は、その横幅(水平方向の長さ)が約50mもある大サイズのスクリーンとされている。即ち、そのスクリーン18に形成される全体画像もまた大サイズになる。そこで、本実施の形態では、15台のプロジェクタ11−1乃至11−15が、スタッキング手法とスタイリング手法とを併用することで、大サイズの全体画像を、その明るさを保ったままスクリーン18に形成させるようにしているのである。
具体的には例えば本実施の形態では、スクリーン18のうちの左側部分に部分画像(例えば後述する図3の部分画像51)を形成させるために、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4が設けられている。なお、以下、スクリーン18のうちの左側部分に形成される部分画像を、特にLeft部分画像と称する。即ち、この4台のプロジェクタ11−1乃至11−4に対してスタッキング手法を適用すると、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞれは、自身のLeft部分画像のそれぞれをスクリーン18のほぼ同一領域に形成させることができるので、結果として、あたかも1つのLeft部分画像をスクリーン18に形成させることが可能になる。
この場合、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4のうちの所定の1台により形成されるLeft部分画像の明るさに対して、さらに明るいLeft部分画像がスクリーン18に形成されることになる。例えば本実施の形態では、各プロジェクタ11−1乃至11−12の1台分の明るさが1万5千ルーメンとされている。そして、この4台のプロジェクタ11−1乃至11−4に対してスタッキング手法を適用することで、2万ルーメンのプロジェクタを採用した場合と同等の明るさで、Left部分画像をスクリーン18に形成させている。
以上のことは、以下に説明するその他の部分画像、即ち、スクリーン18のうちの中央部分に形成される部分画像(以下、Center部分画像と称する)や、スクリーン18のうちの右側部分に形成される部分画像(以下、Right部分画像と称する)についても同様である。
即ち、本実施の形態では、スタッキング手法が適用された4台のプロジェクタ11−1乃至11−4によりLeft部分画像がスクリーン18に形成され、スタッキング手法が適用された4台のプロジェクタ11−5乃至11−8によりCenter部分画像がスクリーン18に形成され、かつ、スタッキング手法が適用された4台のプロジェクタ11−9乃至11−12によりRight部分画像がスクリーン18に形成される。
さらに、本実施の形態ではタイリング手法が適用されているので、これらのLeft部分画像(例えば後述する図3の部分画像51)、Center部分画像(例えば図3の部分画像52)、および、Right部分画像(例えば図3の部分画像53)から構成される全体画像(例えば図3の全体画像71)がスクリーン18に形成されることになる。
これらのプロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれは、スタック台12−1乃至12−12のそれぞれの上に固定配置されている。
スタック台12−1乃至12−12のうちの、Left部分画像用のプロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞれを固定配置するためのスタック台12−1乃至12−4のそれぞれは、そのピッチ角、ロール角、および、ヨー角がスタック台コントローラ13−1により個別に制御される。換言すると、スタック台コントローラ13−1は、ピッチ角、ロール角、および、ヨー角を制御するための制御指令を、スタック台12−1乃至12−4のそれぞれに対して個別に出力する。即ち、スタック台コントローラ13−1は、スタック台12−1乃至12−4のそれぞれのピッチ角、ロール角、および、ヨー角を個別に制御することで、結果として、プロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞれの設置条件を個別に変更している。
同様に、Center部分画像用のプロジェクタ11−5乃至11−8のそれぞれを固定配置するためのスタック台12−5乃至12−8のそれぞれは、そのピッチ角、ロール角、および、ヨー角がスタック台コントローラ13−2により個別に制御される。換言すると、スタック台コントローラ13−2は、ピッチ角、ロール角、および、ヨー角を制御するための制御指令を、スタック台12−5乃至12−8のそれぞれに対して個別に出力する。即ち、スタック台コントローラ13−2は、スタック台12−5乃至12−8のそれぞれのピッチ角、ロール角、および、ヨー角を個別に制御することで、結果として、プロジェクタ11−5乃至11−8のそれぞれの設置条件を個別に変更している。
また、Right部分画像用のプロジェクタ11−9乃至11−12のそれぞれを固定配置するためのスタック台12−9乃至12−12のそれぞれは、そのピッチ角、ロール角、および、ヨー角がスタック台コントローラ13−3により個別に制御される。換言すると、スタック台コントローラ13−3は、ピッチ角、ロール角、および、ヨー角を制御するための制御指令を、スタック台12−9乃至12−12のそれぞれに対して個別に出力する。即ち、スタック台コントローラ13−3は、スタック台12−9乃至12−12のそれぞれのピッチ角、ロール角、および、ヨー角を個別に制御することで、結果として、プロジェクタ11−9乃至11−12のそれぞれの設置条件を個別に変更している。
プロジェクタ制御部14−1は、Left部分画像用のプロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞについての、レンズシフト機構制御、ズーム機構制御、および、投影制御等を行う。同様に、プロジェクタ制御部14−2は、Center部分画像用のプロジェクタ11−5乃至11−8のそれぞについての、レンズシフト機構制御、ズーム機構制御、および、投影制御等を行う。また、プロジェクタ制御部14−3は、Right部分画像用のプロジェクタ11−9乃至11−12のそれぞについての、レンズシフト機構制御、ズーム機構制御、および、投影制御等を行う。
なお、レンズシフト機構とは、プロジェクタから照射される光(画像)の方向を移動(シフト)させるための機構である。即ち、レンズシフト機構とは、プロジェクタによる画像のスクリーン18上の形成位置を移動させることが可能な機構である。このように、レンズシフト機構を利用して、スクリーン18上の画像の形成位置を調整することを、以下、レンズシフト機構による調整という。即ち、スクリーン18上の画像の形成位置の調整としては、このレンズシフト機構による調整と、上述したプロジェクタの設置条件の調整(そのスタック台の調整)とが存在する。
さらに、プロジェクタ制御部14−1乃至14−3のそれぞれは、必要に応じて、後述するプロジェクタ設置時調整処理や微調整処理の結果を呈示することができる。なお、ここで言う処理の結果とは、最終的な結果のみならず、途中結果も含む。例えば、微調整処理の一例として、後述する図8のタイリング調整処理や図11のスタッキング調整処理が存在する。プロジェクタ制御部14−1は、これらのタイリング調整処理やスタッキング調整処理の各ステップの処理結果(例えばステップS2等の各種特徴点の位置検出の結果)を呈示することもできる。
ところで、本実施の形態では、上述したように、スタッキング手法によって、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞれによる4つのLeft部分画像がスクリーン18上で重ね合わせられて、あたかも1つのLeft部分画像がスクリーン18上に形成される。
ところが、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4の設置条件やレンズシフト機構による調整の違いにより、それぞれの4つのLeft部分画像には、傾きが発生したり、上下左右非対称画像となってしまう場合がある。このような4つのLeft部分画像がスクリーン上で重ね合わせられると、その結果、解像度の悪いLeft部分画像がスクリーン18に形成されてしまう、という問題点が発生することになる。なお、ここで言う解像度の悪いLeft
部分画像とは、例えば、所定のオブジェクトがあたかも何重にも重なっているように観察者に視認されてしまうような画像のことである。
従って、この問題点の発生を防止するためには(問題点を解決するためには)、4台のプロジェクタ11−1乃至11−4のそれぞれが自身の4つのLeft部分画像のそれぞれをスクリーン18のほぼ同一領域に形成できるように、それらについての設置条件(配置位置)の調整やレンズシフト機構による調整を適切に行うことが必要である。その他のCenter部分画像およびRight部分画像についても全く同様の問題点が発生するために、その他のプロジェクタ11−5乃至11−12のそれぞれについての設置条件(配置位置)の調整やレンズシフト機構による調整を適切に行うことが必要である。
さらに、本実施の形態では、上述したように、タイリング手法によって、これらのLeft部分画像、Center部分画像、およびRight部分画像から構成される全体画像がスクリーン18に形成される。この場合、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれは、上述したスタッキング手法のために必要となる調整に加えて、さらに、タイリング手法のための調整、即ち、Left部分画像、Center部分画像、およびRight部分画像のそれぞれのブレンディング領域をほぼ正確に重ね合わせるための調整も必要になる。
このようなプロジェクタの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を行うための従来の調整手法としては、上述したように、調整者(人間)が、スクリーンに形成された全体画像を実際に視認しながら調整を行うという第1の従来の調整手法と、スクリーンの前方に位置する1台のカメラが、スクリーンに形成された全体画像を撮影し、そのカメラの撮影画像に基づいて調整を行うという第2の従来の調整手法とが存在した。
ところで、本実施の形態のように幅が約50mもある大サイズのスクリーン18に画像を形成させるためには、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれの投影距離(スクリーン18との間の距離)は約50mといった長距離になってしまう。このように投影距離が長距離の場合、プロジェクタの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整に対して要求される精度は厳しくなる。その結果、第1の従来の調整手法や第2の従来の調整手法を単に適用しただけでは、それぞれ[発明が解決しようとする課題]で上述した問題点が発生してしまう。
そこで、本実施の形態では、これらの問題点を何れも解決するために、図1に示されるように、スクリーン18の全体画像が形成される投影面(以下、表面とも称する)と対向する面(以下、裏面と称する)側に、21台のカメラ15−a乃至15−uが設置されているのである。
以下、図2乃至図4を参照して、カメラ15−a乃至15−uの設置方法について説明する。
図2は、プロジェクタ11−1乃至11−12のうちの所定の1台によりスクリーン18上に形成される1枚の部分画像41の一例を示している。
この部分画像41は、それを形成させたプロジェクタの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を行うために利用される画像(以下、調整用画像と称する)である。この場合、調整用画像の傾きや上下左右非対称等を検出可能な位置(以下、特徴点と称する)として、例えば図2の特徴点A乃至Iが存在する。この特徴点A乃至Iが視認できるように(カメラで撮影可能となるように)、調整用画像41には、水平方向(幅方向)に平行な3本のラインX1乃至X3が含まれ、かつ、垂直方向に平行な3本のラインY1乃至Y3が含まれている。即ち、ラインX1乃至X3のうちの所定の1本と、ラインY1乃至Y3のうちの所定の1本の交点が、特徴点A乃至Iのうちの何れかとなる。例えば、調整用画像41の水平方向の中心線であるラインX2と、調整用画像41の垂直方向の中心線であるラインY2との交点E、即ち、調整用画像41の中心点Eが特徴点の1つとなる。
Left部分画像、Center部分画像、およびRight部分画像のそれぞれとして、このような調整用画像41がスクリーン18に形成された場合に、その調整用画像41のうちの特徴点A乃至Iのうちの所定の1点を検出可能なように、カメラ15−a乃至15−uはそれぞれ配置されることになる。
ここで注目すべき点は、次の2点である。
即ち、1点目は、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれの配置は、調整用画像41の特徴点A乃至Iのうちの所定の1つが、その画角内の所定の位置となるように厳密な精度で行われる必要はなく、その1つの特徴点が画角内の任意の場所に入る程度の精度(ラフな精度)で行われれば足りるという点である。即ち、カメラ15−a乃至15−uを設置する設置者(人間)は、それらの設置を簡単に行うことができる点である。
換言すると、その設置者が、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれを、それらの画角上の座標(以下、カメラ上の座標とも称する)と、調整用画像41のようなプロジェクタにより形成される画像(以下、プロジェクタ画像と称する)との対応関係を同一に保つように設置することは非常に困難である。そこで、詳細については後述するが、カメラ上の座標をプロジェクタ画像の1dot単位へ変換可能な係数が、図1のコントローラ17の設定記憶用メモリ24に記録されており、かつ、コントローラ17等が、その係数を用いて、カメラ15−a乃至15−uにより撮影された画像の単位変換(座標変換)を行うことで、カメラ15−a乃至15−uの各設置条件のばらつきに関する補正を行うようにしている。このため、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれの設置精度は、それらの画角内のうちの何れかの場所に所定の1つの特徴点が入る程度の精度(ラフな精度)で足り、その結果、設置者は、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれを簡単に設置できるのである。
また、注目すべき2点目は、カメラ15−a乃至15−uは、1つの特徴点のみを撮影できればよいので、スクリーン18に近接した設置が可能になり、その結果、画角や解像度の性能がそれほど高くない安価なカメラで良いという点である。
さらに、本実施の形態では、タイリング手法が適用される。従って、本実施の形態では、調整用画像として、図3に示されるような全体画像71がスクリーン18に形成されることになる。
即ち、スタッキング手法が適用されたプロジェクタ11−1乃至11−4は、調整用画像としてLeft部分画像51をスクリーン18に形成させる。スタッキング手法が適用されたプロジェクタ11−5乃至11−8は、調整用画像としてCenter部分画像52をスクリーン18に形成させる。スタッキング手法が適用されたプロジェクタ11−9乃至11−12は、調整用画像としてRight部分画像53をスクリーン18に形成させる。その結果、ブレンディング領域61,62を有する全体画像71が調整用画像としてスクリーン18に形成される。
ただし、後述する図8のタイリング調整処理や図11のスタッキング調整処理が実際に実行される場合には、調整用画像として、全体画像71全てがスクリーン18に形成されることもあるし、そのうちの必要な一部分(Left部分画像51乃至Right部分画像53のうちの所定の1つか或いは2つからなる画像)がスクリーン18に形成されることもある。
ところで、Left部分画像51には9つの特徴点a乃至iが設けられているが、このうちの、右側の3つの特徴点g乃至i、即ち、ブレンディング領域61内に設けられている3つの特徴点g乃至iはまた、隣接するCenter部分画像52の左側の特徴点も兼ねている。換言すると、Center部分画像52には9つの特徴点g乃至oが設けられているが、このうちの、左側の3つの特徴点g乃至i、即ち、ブレンディング領域61内に設けられている3つの特徴点g乃至iはまた、隣接するLeft部分画像51の右側の特徴点も兼ねている。
同様に、Center部分画像52には9つの特徴点g乃至oが設けられているが、このうちの、右側の3つの特徴点m乃至o、即ち、ブレンディング領域62内に設けられている3つの特徴点m乃至oはまた、隣接するRight部分画像53の左側の特徴点も兼ねている。換言すると、Right部分画像53には9つの特徴点m乃至uが設けられているが、このうちの、左側の3つの特徴点m乃至o、即ち、ブレンディング領域62内に設けられている3つの特徴点m乃至oはまた、隣接するCenter部分画像52の右側の特徴点も兼ねている。
このように、全体画像71は3つの部分画像、即ち、Left部分画像51乃至Right部分画像53から構成されており、3つの部分画像のそれぞれは9つの特徴点を有している。従って、本来、全体画像71全体で特徴点が27個(=9×3個)必要である。ところが、本実施の形態ではブレンディング領域中に特徴点が設けられているので、全体画像71全体で21個の特徴点a乃至uで済むことになる。即ち、特徴点を撮影するカメラとして、本来27台のカメラが必要なところ、本実施の形態ではブレンディング領域中に特徴点が設けられているので、21台のカメラ15−a乃至15−dで済むのである。
より一般的な表現に改めると、図2に示されるような9つの特徴点を有するN枚の部分画像から全体画像が構成される場合、本来、9×N個の特徴点が全体画像全体で必要になる。これに対して、本実施の形態のように、各部分画像のブレンディング領域中の3つの特徴点を他と共用することで、全体画像全体で必要な特徴点の個数は9×N−3×(N-1)個になる。即ち、特徴点を撮影するカメラの台数は、3×(N-1)台だけ少なくすることが可能になる。このように、カメラの台数を少なくすることができることは、結局、画像形成装置全体の製造コストを削減することに繋がるのである。
なお、スクリーン18がサウンドスクリーン等で構成されている場合、図4に示されるように、プロジェクタ11−1乃至11−14から射出された光(映像)81は、スクリーン18を通過してその裏面側に到達することになる。このような場合、図4に示されるように、カメラ15−K(Kは、a乃至uのうちの何れかのアルファベット)を光81の軸(光軸)からずらして設置するとよい。
以上、図2乃至図4を参照して、カメラ15−a乃至15−uの設置方法について説明した。
図1に戻り、21台のカメラ15−a乃至15−uのそれぞれにより撮影された21毎の画像(以下、スクリーン18に形成されるプロジェクタ画像と区別するために、カメラ画像と称する)、即ち、図3の特徴点a乃至uをそれぞれ1つずつ含む21枚のカメラ画像は、スイッチャ16に供給される。
スイッチャ16は、21台のカメラ15−a乃至15−uのそれぞれから供給された21枚のカメラ画像のうちの、コントローラ17の制御部21からの選択指令にて指定された1枚以上のカメラ画像を、コントローラ17の画像処理部22に供給する。
コントローラ17は、この画像形成装置全体の動作を制御する。例えば、コントローラ17は、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を行うために必要な各種処理を実行する。このような各種処理の一例については、図5以降の図面を参照して後述する。
このような各種処理の実現のために、コントローラ17には、制御部21、画像処理部22、演算部23、および、設定記憶用メモリ24が設けられている。なお、制御部21、画像処理部22、演算部23、および、設定記憶用メモリ24の詳細については、図5以降の図面を参照して後述する各種処理の説明の際に併せて説明する。
スクリーン18には、上述したように、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれにより幾つかの部分画像(例えば上述した図3のLeft部分画像51乃至Right部分画像53)がそれぞれ形成され、その結果として、これらの幾つかの部分画像から構成される全体画像(例えば上述した図3の全体画像71)が形成されることになる。
なお、スクリーン18の代わりに、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれによる画像の形成が可能な他の対象(以下、被画像形成対象と称する)を採用することもできる。換言すると、スクリーン18は、この画像形成装置の構成要素として必須ではない。例えば、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれが、白色の壁等を被画像形成対象として、その白色の壁等に直接画像を形成することで、スクリーン18は省略可能になる。ただし、この白色の壁は、光を透過する壁であって、その壁の後方からカメラ15−a乃至15−ウがカメラ画像を撮影できるような壁であるとする。
次に、かかる図1の構成の画像形成装置の処理(動作)のうちの、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を行うために必要な処理の一例について説明する。
プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を行うために必要な処理は、最初にプロジェクタ11−1乃至11−12自体を設置する場合に行われる第1の処理と、それらの設置後、スクリーン18に実際の画像(調整用画像以外の画像)を形成させる前に微調整を目的として行われる第2の処理とに大別できる。以下、前者の第1の処理を、プロジェクタ設置時調整処理と称し、後者の第2の処理を、微調整処理と称する。
即ち、最初に実行されるプロジェクタ設置時調整処理により、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整は適切に行われたことになり、理想的には、その後の微調整処理は不要になるはずである。ところが、実際には、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれのスキャナの原点の精度や、気温の変化等により、微調整処理が必要になるのである。
以下、はじめに、図5と図6を参照して、プロジェクタ設置時調整処理の一例を説明し、その後、図7乃至図11を参照して、微調整処理の一例を説明する。
プロジェクタ設置時調整処理の前に、プロジェクタ11−1乃至11−12の設置者は、Left部分画像を形成するためのプロジェクタ11−1乃至11−4の中から所定の1台(ここでは、プロジェクタ11−1とする)を基準プロジェクタとして決定する。そして、設置者は、水準器やレーザ測量機などを用いて、基準プロジェクタ11−1の設置、およびその設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を十分に行う。
次に、設置者は、プロジェクタ11−2乃至11−4のうちの所定の1つを調整対象として決定する。例えばいま、プロジェクタ11−2が調整対象として決定されたとする。
次に、基準プロジェクタ11−1と、調整対象のプロジェクタ11−2とのそれぞれは、図5に示されるように、上述した図2と同一の部分画像41をそれぞれスクリーン18に形成させる。なお、以下、基準プロジェクタ11−1によりスクリーン18に形成された部分画像41を、特に、基準部分画像41−1と称する。これに対して、調整対象のプロジェクタ11−K(図1の例ではKは2乃至4のうちの何れかの値であって、いまの場合K=2)によりスクリーン18に形成された部分画像41を、特に、測定部分画像41−2と称する。即ち、基準部分画像41−1と測定部分画像41−2とが重畳された結果として、部分画像41が得られることになる。
このとき、カメラ15−a乃至15−iのそれぞれは、基準部分画像41−1と測定部分画像41−2とが重畳された結果スクリーン18に形成されている部分画像41のうちの、図5の領域41−A乃至41−Iのそれぞれを撮影する。
この場合、コントローラ17の制御部21が、カメラ15−aのカメラ画像を選択させる選択指令をスイッチャ16に出力すると、スイッチャ16は、例えば図5のカメラ画像91を画像処理部22に提供する。
即ち、このカメラ画像91は、カメラ15−aにより領域41−Aが撮影された結果得られる画像の一例である。このカメラ画像91において、丸印の画像91−1は、基準プロジェクタ11−1によりスクリーン18上に形成された基準部分画像41−1のうちの、特徴点Aを示す画像とされている。以下、丸印の画像91−1を基準画像91−1と称する。これに対して、四角印の画像91−2は、調整対象のプロジェクタ11−2によりスクリーン18上に形成された測定部分画像41−2のうちの、特徴点Aを示す画像とされている。以下、四角印の画像91−2を測定画像91−2と称する。
なお、後述するその他のカメラ画像についても、丸印の画像は、基準プロジェクタによりスクリーン18上に形成された基準部分画像のうちの、対応する特徴点を示す画像とされている。以下、このような丸印の画像も基準画像と称する。これに対して、四角印の画像は、調整対象のプロジェクタによりスクリーン18上に形成された測定部分画像のうちの、対応する特徴点を示す画像とされている。以下、このような四角印の画像も測定画像と称する。
調整対象のプロジェクタ11−2の設置並びにその設置条件の調整およびレンズシフト機構による調整が行われていないので、一般的には、基準部分画像41−1と、測定部分画像41−2とは一致していないことが多い。従って、図5のカメラ画像91において、同図に示されるように、基準画像91−1と測定画像91−2とは一致していないことが多い。
同様に、コントローラ17の制御部21が、カメラ15−dのカメラ画像を選択させる選択指令をスイッチャ16に出力すると、スイッチャ16は、例えば図5のカメラ画像92を画像処理部22に提供する。
即ち、このカメラ画像92は、カメラ15−dにより領域41−Dが撮影された結果得られる画像の一例である。この場合も、図5のカメラ画像92において、基準画像92−1と測定画像92−2とは一致しないことが多い。
そこで、画像処理部22は、カメラ画像91については、そのカメラ自身の座標系における、基準画像91−1と測定画像91−2とのそれぞれの座標値を検出し、演算部23に提供する。演算部23は、基準画像91−1と測定画像91−2との座標値から、水平方向の差異Δx1を演算する。
同様に、画像処理部22は、カメラ画像92については、そのカメラ自身の座標系における、基準画像92−1と測定画像92−2とのそれぞれの座標値を検出し、演算部23に提供する。演算部23は、基準画像92−1と測定画像92−2との座標値から、水平方向の差異Δx2を演算する。
そして、演算部23は、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2の左上辺の長さの違いΔx(左上)として、Δx(左上)=Δx1+Δx2を演算(検出)し、その演算結果(検出結果)を制御部21を介してプロジェクタ制御部14−1に提供する。なお、必要に応じて、演算部23は、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2の左上辺の長さの違いΔx(左上)の単位を、カメラ15−a上の座標系に対応する単位から、プロジェクタ11−2等のdot数に対応する単位に変換した後、制御部21を介してプロジェクタ制御部14−1に提供する。
すると、プロジェクタ14−1は、その演算結果(検出結果)、即ち、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2の左上辺の長さの違いΔx(左上)を設置者に呈示する。
その他の辺の長さの違いについても、画像形成装置が、対応するカメラ画像を用いて上述した一連の処理を実行することで、全く同様に検出して設置者に呈示することができる。
また、画像形成装置は、水平方向の傾きについても、次のように検出して設置者に呈示することができる。
即ち、コントローラ17の制御部21が、例えば、カメラ15−b,15−e,15−hのそれぞれのカメラ画像を選択させる選択指令をスイッチャ16に出力すると、スイッチャ16は、例えば図6のカメラ画像93,94,95のそれぞれを画像処理部22に提供する。
即ち、カメラ画像93は、カメラ15−bにより領域41−Bが撮影された結果得られる画像の一例である。カメラ画像94は、カメラ15−eにより領域41−Eが撮影された結果得られる画像の一例である。カメラ画像95は、カメラ15−hにより領域41−Hが撮影された結果得られる画像の一例である。
次に、画像処理部22は、カメラ画像93については、そのカメラ自身の座標系における、基準画像93−1と測定画像93−2とのそれぞれの座標値を検出し、演算部23に提供する。同様に、画像処理部22は、カメラ画像94については、そのカメラ自身の座標系における、基準画像94−1と測定画像94−2とのそれぞれの座標値を検出し、演算部23に提供する。また、画像処理部22は、カメラ画像95については、そのカメラ自身の座標系における、基準画像95−1と測定画像95−2とのそれぞれの座標値を検出し、演算部23に提供する。
そして、演算部23は、基準画像93−1、測定画像93−2、基準画像94−1、測定画像94−2、基準画像95−1、および測定画像95−2のそれぞれの座標値に基づいて、水平方向の傾きとして図6に示されるような角度θを算出(検出)し、制御部21を介してプロジェクタ制御部14−1に提供する。なお、必要に応じて、演算部23は、水平方向の傾きの単位を、カメラ上の座標系に対応する単位から、プロジェクタ11−2等のdot数に対応する単位に変換した後、プロジェタ制御部14−1に提供する。
すると、プロジェクタ14−1は、その検出結果、即ち、水平方向の傾きとしての角度θを設置者に呈示する。
なお、垂直方向の傾きについても、画像形成装置が、対応するカメラ画像を用いて上述した一連の処理を実行することで、全く同様に検出して設置者に呈示することができる。
このようにして、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2についての各種誤差、即ち、各辺の長さの違いや水平垂直の傾き等は数値化されて、プロジェタ制御部14−1から設置者に呈示される。その結果、設置者は、それらの数値に従って、調整対象のプロジェクタ11−2の設置、その設置条件の調整、および、レンズシフト機構による調整等を行うことができる。このように、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2の各種誤差が数値として設置者に呈示されるため、設置者は、調整量の見積もりを容易に行うことが可能となる。また、設置完了条件も明瞭になる為にその調整精度にばらつきが少なくなる。
その他のプロジェクタ11−3,11−4についても、画像形成装置が、それぞれを調整対象として決定して上述した一連の処理をそれぞれ実行することで、設置者は、それらの設置、それらの設置条件の調整、および、レンズシフト機構による調整等を行うことができる。
さらに、Center部分画像を形成させるプロジェクタ11−5乃至11−8や、Right部分画像を形成させるプロジェクタ11−9乃至11−12についても全く同様に、設計者がそれぞれ1つのプロジェクタを基準プロジェクタに決定して、上述した設置並びにそれらの設置条件の調整およびレンズシフト機構による調整等を行うことができる。その後、画像形成装置が、その他のプロジェクタをそれぞれ調整対象として決定して上述した一連の処理をそれぞれ実行することで、設置者は、それらの設置並びにそれらの設置条件の調整およびレンズシフト機構による調整等を行うことができる。
なお、ここでいう「プロジェクタの設置条件の調整やレンズシフト機構による調整を、設置者が行う」とは、プロジェクタ制御部14−1乃至14−3、スタック台コントローラ13−1乃至13−3、または、プロジェクタ11−1乃至11−12に対して、設置者が手動で各種条件を設定することをいう。
さらに、上述したように、基準部分画像41−1に対する測定部分画像41−2の各種誤差、即ち、例えば各辺の長さの違いや水平垂直の傾き等の誤差は数値化されるので、プロジェクタ制御部14−1乃至14−3等が自動的に、プロジェクタ11−1乃至11−12のうちの基準プロジェクタを除くそれぞれのプロジェクタについての、設置条件の調整やレンズシフト機構による調整が行うことも容易に実現できる。
以上、プロジェクタ設置時調整処理の一例について説明した。次に、図7乃至図11を参照して、微調整処理の一例を説明する。
なお、ここでは説明を容易なものとするために、図7に示されるように、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれに対して1乃至21のそれぞれの番号を付し、以下、カメラ15−a乃至15−uのそれぞれを、1番カメラ15−a乃至21番カメラ15−uのそれぞれと称する。
上述したように、プロジェクタ設置時調整処理により、プロジェクタ11−1乃至11−12の設置条件自体は揃うことになる。そこで、微調整処理では、設置条件の調整は行われずに、レンズシフト機構による調整のみが行われる。即ち、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれによりスクリーン18に形成されるプロジェクタ画像は、各々のレンズシフト機構によりその大きさを保ったまま平行移動することが可能である。このため、各々のプロジェクタ画像が適切な位置に形成されるように、レンズシフト機構による調整が微調整処理で行われるのである。
以下、上述した図3の調整用画像(全体画像)71のうちの少なくとも一部を利用した微調整処理について説明する。即ち、スタッキング手法により、Left部分画像51、Center部分画像52、および、Right部分画像53のそれぞれが、4台のプロジェクタにより形成され、かつ、タイリング手法により、それらのLeft部分画像51、Center部分画像52、および、Right部分画像53から全体画像71が形成されるという投影条件を満たすように実行される微調整処理について説明する。
また、プロジェクタ11−1乃至11−12のそれぞれに対して、番号PJ=1乃至12のそれぞれが付されているとする。
また、Left部分画像51を形成するプロジェクタ11−1乃至11−4のうちのPJ=1であるプロジェクタ11−1が、プロジェクタ設置時調整処理において基準プロジェクタとされており、微調整処理でも同様に基準プロジェクタとして選択されるとする。なお、以下、Left部分画像51を形成する基準プロジェクタ11−1をLeft基準プロジェクタ11−1と称する。同様に、Center部分画像52を形成するプロジェクタ11−5乃至11−8のうちのPJ=5であるプロジェクタ11−5が、プロジェクタ設置時調整処理において基準プロジェクタとされており、微調整処理でも同様に基準プロジェクタとして選択されるとする。なお、Center部分画像52を形成する基準プロジェクタ11−5をCenter基準プロジェクタ11−5と称する。また、Right部分画像53を形成するプロジェクタ11−9乃至11−12のうちのPJ=9であるプロジェクタ11−9が、プロジェクタ設置時調整処理において基準プロジェクタとされており、微調整処理でも同様に基準プロジェクタとして選択されるとする。なお、Center部分画像53を形成する基準プロジェクタ11−5をRight基準プロジェクタ11−5と称する。
微調整処理は、次の第1の微調整処理と第2の微調整処理とに大別できる。
第1の微調整処理とは、タイリング手法による図3の全体画像71を構成するLeft部分画像51、Center部分画像52、および、Right部分画像53のそれぞれの形成位置を適切にするために、Left基準プロジェクタ11−1、Center基準プロジェクタ11−5、およびRight基準プロジェクタ11−9のレンズシフト機構による調整を行う処理である。なお、以下、第1の微調整処理を、タイリング調整処理と称する。
第2の微調整処理とは、スタッキング手法により4台のプロジェクタのそれぞれにより形成される同一の部分画像のそれぞれの形成位置をほぼ一致させるために、その4台のプロジェクタのうちの基準プロジェクタを除く他の3台のプロジェクタのレンズシフト機構による調整を行う処理である。具体的には、Left部分画像51を形成するプロジェクタ11−1乃至11−4のうちのLeft基準プロジェクタ11−1を除くプロジェクタ11−2乃至11−4、Center部分画像52を形成するプロジェクタ11−5乃至11−8のうちのCenter基準プロジェクタ11−5を除くプロジェクタ11−6乃至11−8、および、Right部分画像53を形成するプロジェクタ11−9乃至11−12のうちのRight基準プロジェクタ11−9を除くプロジェクタ11−10乃至11−12のそれぞれのレンズシフト機構による調整を行う処理が、第2の微調整処理である。なお、以下、第2の微調整処理を、スタッキング調整処理と称する。
このように、一般的には、最初に、タイリング調整処理が行われて、各部分画像を形成させる各基準プロジェクタのそれぞれのレンズシフト機構による調整が行われ、その後、スタッキング調整処理が行われて、その他の各プロジェクタのそれぞれのレンズシフト機構による調整が行われることになる。そこで、以下、はじめに、図8のフローチャートを参照して、タイリング調整処理の一例について説明し、その後、図11のフローチャートを参照して、スタッキング調整処理の一例について説明する。
図8は、タイリング調整処理の一例を説明するフローチャートである。
図8のステップS1において、図1のコントローラ17の制御部21は、Center基準プロジェクタ11−5を選択する。これにより、Center基準プロジェクタ11−5は、Center部分画像52をスクリーン18に形成させる(その他の部分画像はスクリーン18に形成されない)。
即ち、最初に、Center部分画像52を形成するCenter基準プロジェクタ11−5のレンズシフト機構による調整が行われる。具体的には例えば、図9に示されるように、Center基準プロジェクタ11−5により形成されるCenter部分画像52のうちの中心の特徴点kが、スクリーン18上の所定の位置となるように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、11番カメラ15−kにより撮影された特徴点kを含むカメラ画像113が利用されることになる。なお、図9は、微調整処理(このタイリング調整処理と後述するスタッキング調整処理)とで利用されるカメラ画像の一例を示している。他のカメラ画像については後述する。
そこで、制御部21は、11番カメラ15−kにより撮影された特徴点kを含むカメラ画像113を選択する選択指令をスイッチャ16に出力する。すると、スイッチャ16は、11番カメラ15−kにより撮影された特徴点kを含むカメラ画像113を画像処理部22に供給する。これにより、図8のタイリング調整処理は、ステップS1からS2に進む。
ステップS2において、画像処理部22と演算部23とは、そのカメラ画像113自身の座標系における特徴点kの位置を検出する。
具体的には例えばいま、図10に示されるカメラ画像113が、ステップS2の処理開始時点でスイッチャ16から供給されたとする。このカメラ画像113は、上述したように、スクリーン18に形成される全体画像(ここでは図9の全体画像71)のほぼ中央付近が11番カメラ15−kにより撮影された結果得られる画像である。
ここで、このカメラ画像113のうちの所定の位置、即ち、スクリーン18に形成される全体画像の中心部に相当する11番カメラ15−k上の所定の座標(全体画像の中心が配置されるべきスクリーン18の位置に対応する11番カメラ15−k上の座標)を画像の中心(Cx,Cy)とする定義が予めなされているとする。
この場合、ステップS2において、画像処理部22と演算部23とは、カメラ画像113における、画像の中心(Cx,Cy)から特徴点kまでの距離、即ち、特徴点kの画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量を、特徴点kの位置として検出する。
なお、この場合、カメラ画像113に含まれる水平方向のラインX2(以下、画像ラインX2と称する)と垂直方向のラインY2(以下、画像ラインY2と称する)との交点をそのまま特徴点kとして検出してもよい。ただし、本実施の形態では、例えば次のようにして特徴点kが検出(算出)される。
即ち、図10に示されるように、上述した画像の中心(Cx,Cy)の他、X測定ラインXL1,XL2、および、Y測定ラインYL1,YL2も予め定義されるているとする。
この場合、演算部23は、X測定ラインXL1と画像ラインY2との交点121、および、X測定ラインXL2と画像ラインY2との交点122を求め、その交点121と交点122とを結ぶ略垂直方向の近似直線を求める。
同様に、演算部23は、Y測定ラインYL1と画像ラインX2との交点123、および、Y測定ラインYL2と画像ラインX2との交点124を求め、その交点123と交点124とを結ぶ略水平方向の近似直線を求める。
そして、演算部23は、略垂直方向の近似直線と略水平方向の近似直線との交点k’を、特徴点kとして算出する。
その後、演算部23は、このようにして算出された特徴点k(=交点k’)の、画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量を、特徴点kの位置として検出する。
なお、本実施の形態では、その他の特徴点の位置の検出手法も、図10を参照して上述した特徴点kの位置の検出方法と同様とされている。
図8に戻り、このようにして、ステップS2の処理で特徴点kの位置を検出すると、ステップS3において、演算部23は、特徴点kの位置は画像の中心(Cx,Cy)と一致するか否かを判定する。
上述した図10のように、特徴点k(=交点k’)の画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量が存在する場合には、ステップS3において、特徴点kの位置は画像の中心(Cx,Cy)と一致しないと判定されて、処理はステップS4に進められる。
ステップS4において、制御部21は、特徴点k(=交点k’)の画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量に基づいて、Center基準プロジェクタ11−5のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−2に出力する。
具体的には、上述したように、カメラの設置条件やレンズシフト機構の動作誤差を吸収するために、各カメラ誤差(ずれ量)から、各プロジェクタのレンズシフト機構の移動量に変換するための各種変換係数が設定記憶用メモリ24に予め保存されている。そこで、制御部21は、対応する変換係数を設定記憶用メモリ24から読み出し、特徴点k(=交点k’)の画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量と、読み出した変換係数とを利用して、Center基準プロジェクタ11−5のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−2に出力する。
なお、本実施の形態では、その他のプロジェクタのレンズシフト機構による調整量を演算するための演算手法も、このステップS4における演算手法と同様とされている。
引き続きステップS4において、プロジェクタ制御部14−2は、そのレンズシフト制御指令に応じて、Center基準プロジェクタ11−5のレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、Center基準プロジェクタ11−5により形成されるCenter部分画像52は移動し、その部分画像52に含まれる特徴点k(実際には上述した交点k’)が画像の中心(Cx,Cy)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS2に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、Center部分画像52に含まれる特徴点kの位置が画像の中心(Cx,Cy)と一致するようになるまで、ステップS2乃至S4のループ処理が繰り返し実行される。
そして、Center部分画像52に含まれる特徴点kの位置が画像の中心(Cx,Cy)と一致すると、Center基準プロジェクタ11−5のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS3の処理でYESであると判定されて、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、コントローラ17は、Center基準プロジェクタ11−5によりスクリーン18にその時点で形成されているCenter部分画像52について、8番カメラ15−hにより撮影された図9のカメラ画像112と、17番カメラ15−qにより撮影されたカメラ画像114とを取得する。そして、コントローラ17は、カメラ画像112の座標系における特徴点hの位置(CLx,CLy)(以下、基準位置(CLx,CLy)と称する)を取得するとともに、カメラ画像112の座標系における特徴点qの位置(CRx,CRy) (以下、基準位置(CRx,CRy))を取得する。
ステップS6において、コントローラ17は、Left基準プロジェクタ11−1を選択する。これにより、Left基準プロジェクタ11−1は、Left部分画像51をスクリーン18に形成させる(その他の部分画像はスクリーン18に形成されない)。
即ち、今度は、Left部分画像51を形成するLeft基準プロジェクタ11−1のレンズシフト機構による調整が行われる。具体的には例えば、図9に示されるように、Left基準プロジェクタ11−1により形成されるLeft部分画像51のブレンディング領域61内の特徴点hが、ステップS5の処理で取得された基準位置(CLx,CLy)とほぼ一致するように、即ち、Center基準プロジェクタ11−5により形成されていたCenter部分画像52のブレンディング領域61内の特徴点hとほぼ一致するように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、8番カメラ15−hにより撮影された特徴点hを含む図9のカメラ画像112が利用されることになる。
ステップS7において、コントローラ17は、そのカメラ画像112自身の座標系における特徴点hの位置を検出する。
ステップS8において、コントローラ17は、特徴点hの位置は基準位置(CLx,CLy)と一致するか否かを判定する。
ステップS8において、特徴点hの位置は基準位置(CLx,CLy)と一致しないと判定された場合、処理はステップS9に進められる。
ステップS9において、コントローラ17は、特徴点hの基準位置(CLx,CLy)に対するずれ量に基づいて、Left基準プロジェクタ11−1のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−1に出力する。プロジェクタ制御部14−1は、そのレンズシフト制御指令に応じて、Left基準プロジェクタ11−1のレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、Left基準プロジェクタ11−1により形成されるLeft部分画像51は移動し、その部分画像51に含まれる特徴点hが基準位置(CLx,CLy)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS7に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、Left部分画像51に含まれる特徴点hの位置が基準位置(CLx,CLy)と一致するようになるまで、ステップS7乃至S9のループ処理が繰り返し実行される。
そして、Left部分画像51に含まれる特徴点hの位置が基準位置(CLx,CLy)と一致すると、Left基準プロジェクタ11−1のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS8の処理でYESであると判定されて、処理はステップS10に進む。
ステップS10において、コントローラ17は、Left基準プロジェクタ11−1によりスクリーン18にその時点で形成されているLeft部分画像51について、5番カメラ15−eにより撮影された図9のカメラ画像111を取得する。そして、コントローラ17は、カメラ画像111の座標系における特徴点eの位置(Lx,Ly)(以下、基準位置(Lx,Ly)と称する)を取得する。なお、この基準位置(Lx,Ly)は、後述する図11のスタッキング調整処理において、Left部分画像51を形成する他のプロジェクタ11−2乃至11−4のレンズシフト機構による調整が行われるときに利用される。
ステップS11において、コントローラ17は、Right基準プロジェクタ11−9を選択する。これにより、Right基準プロジェクタ11−9は、Right部分画像53をスクリーン18に形成させる(その他の部分画像はスクリーン18に形成されない)。
即ち、今度は、Right部分画像53を形成するRight基準プロジェクタ11−9のレンズシフト機構による調整が行われる。具体的には例えば、図9に示されるように、Right基準プロジェクタ11−9により形成されるRight部分画像53のブレンディング領域62内の特徴点nが、ステップS5の処理で取得された基準位置(CRx,CRy)とほぼ一致するように、即ち、Center基準プロジェクタ11−5により形成されていたCenter部分画像52のブレンディング領域62内の特徴点nとほぼ一致するように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、14番カメラ15−nにより撮影された特徴点nを含む図9のカメラ画像114が利用されることになる。
ステップS12において、コントローラ17は、そのカメラ画像114自身の座標系における特徴点nの位置を検出する。
ステップS13において、コントローラ17は、特徴点nの位置は基準位置(CRx,Cry)と一致するか否かを判定する。
ステップS13において、特徴点nの位置は基準位置(CRx,CRy)と一致しないと判定された場合、処理はステップS14に進められる。
ステップS14において、コントローラ17は、特徴点nの基準位置(CRx,CRy)に対するずれ量に基づいて、Right基準プロジェクタ11−9のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−3に出力する。プロジェクタ制御部14−3は、そのレンズシフト制御指令に応じて、Right基準プロジェクタ11−9のレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、Right基準プロジェクタ11−9により形成されるRight部分画像53は移動し、その部分画像53に含まれる特徴点nが基準位置(CRx,CRy)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS12に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、Right部分画像53に含まれる特徴点nの位置が基準位置(CRx,CRy)と一致するようになるまで、ステップS12乃至S14のループ処理が繰り返し実行される。
そして、Right部分画像53に含まれる特徴点nの位置が基準位置(CRx,CRy)と一致すると、Right基準プロジェクタ11−9のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS13の処理でYESであると判定されて、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、コントローラ17は、Right基準プロジェクタ11−9によりスクリーン18にその時点で形成されているRight部分画像53について、17番カメラ15−qにより撮影された図9のカメラ画像115を取得する。そして、コントローラ17は、カメラ画像115の座標系における特徴点qの位置(Rx,Ry)(以下、基準位置(Rx,Ry)と称する)を取得する。なお、この基準位置(Rx,Ry)は、後述する図11のスタッキング調整処理において、Right部分画像53を形成する他のプロジェクタ11−10乃至11−12のレンズシフト機構による調整が行われるときに利用される。
このようにして、ステップS15の処理が終了すると、タイリング調整処理自体が終了となる。
このタイリング調整処理が終了すると、今度は、スタッキング調整処理が開始されることになる。このようなスタッキング調整処理の一例が図11のフローチャートに示されている。そこで、以下、図11のフローチャートを参照して、スタッキング調整処理の一例について説明する。
ステップS31において、コントローラ17は、Center部分画像52を選択する。即ち、Center部分画像52を形成するプロジェクタ11−5乃至11−8のうちのCenter基準プロジェクタ11−5を除くプロジェクタ11−6乃至11−8のそれぞれのレンズシフト機構による調整が行われることになる。
そこで、ステップS32において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJ=6に設定する。
ステップS33において、コントローラ17は、第PJ番目のプロジェクタを処理対象プロジェクタ(以下調整対象プロジェクタとも称する)として選択する。これにより、調整対象プロジェクタは、Center部分画像52をスクリーン18に形成させる(その他のプロジェクタはCenter部分画像52をスクリーン18に形成させない)。
即ち、いまの場合、プロジェクタ11−6が調整対象プロジェクタとして選択され、そのレンズシフト機構による調整が行われる。このため、プロジェクタ11−6によりCenter部分画像52がスクリーン18に形成される。具体的には例えば、図9に示されるように、調整対象プロジェクタ11−6により形成されるCenter部分画像52の中心の特徴点kが、上述した図8のタイリング調整処理でも利用された画像の中心(Cx,Cy)と一致するように、即ち、Center基準プロジェクタ11−5により形成されていたCenter部分画像52の特徴点kと一致するように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、11番カメラ15−kにより撮影された特徴点kを含む図9のカメラ画像113が利用されることになる。
ステップS34において、コントローラ17は、そのカメラ画像113自身の座標系における特徴点k(調整対象のプロジェクタ:いまの場合プロジェクタ11−6により形成されたCenter部分画像52の特徴点k)の位置を検出する。
ステップS35において、コントローラ17は、特徴点kの位置は画像の中心(Cx,Cy)と一致するか否かを判定する。
ステップS35において、特徴点kの位置は画像の中心位置(Cx,Cy)と一致しないと判定された場合、処理はステップS36に進められる。
ステップS36において、コントローラ17は、特徴点kの画像の中心(Cx,Cy)に対するずれ量に基づいて、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−6)のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−2に出力する。プロジェクタ制御部14−2は、そのレンズシフト制御指令に応じて、調整対象プロジェクタのレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、調整対象プロジェクタにより形成されるCenter部分画像52は移動し、そのCenter部分画像52に含まれる特徴点kが画像の中心(Cx,Cy)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS34に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、調整対象プロジェクタにより形成されるCenter部分画像52に含まれる特徴点kの位置が画像の中心(Cx,Cy)と一致するようになるまで、ステップS34乃至S36のループ処理が繰り返し実行される。
そして、調整対象プロジェクタにより形成されるCenter部分画像52に含まれる特徴点kの位置が画像の中心(Cx,Cy)と一致すると、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−6)のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS35の処理でYESであると判定されて、処理はステップS37に進む。
ステップS37において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJを1だけインクリメントする(PJ=PJ+1)。
ステップS38において、コントローラ17は、PJ=9であるか否かを判定する。
いまの場合、ステップS37の処理でPJ=7に更新されるので、ステップS38においてNOであると判定されて、処理はステップS33に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−7が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS34乃至S36のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS35の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS37に進む。
すると、今度は、ステップS37の処理でPJ=8に更新されて、ステップS38においてNOであると判定されて、処理はステップS33に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−8が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS34乃至S36のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS35の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS37に進む。
すると、今度は、ステップS37の処理でPJ=9に更新されて、ステップS38においてYESであると判定されて、処理はステップS39に進む。即ち、Center部分画像52を形成する全てのプロジェクタ11−5乃至11−8のレンズシフト機構による調整が終了したので、処理はステップS39に進む。
ステップS39において、コントローラ17は、Left部分画像51を選択する。即ち、今度は、Left部分画像51を形成するプロジェクタ11−1乃至11−4のうちのLeft基準プロジェクタ11−1を除くプロジェクタ11−2乃至11−4のそれぞれのレンズシフト機構による調整が行われることになる。
そこで、ステップS40において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJ=2に設定する。
ステップS41において、コントローラ17は、第PJ番目のプロジェクタを調整対象プロジェクタとして選択する。これにより、調整対象プロジェクタは、Left部分画像51をスクリーン18に形成させる(その他のプロジェクタはLeft部分画像51をスクリーン18に形成させない)。
即ち、いまの場合、プロジェクタ11−2が調整対象プロジェクタとして選択され、そのレンズシフト機構による調整が行われる。このため、プロジェクタ11−2によりLeft部分画像51がスクリーン18に形成される。具体的には例えば、図9に示されるように、調整対象プロジェクタ11−2により形成されるLeft部分画像51の中心の特徴点eが、上述した図8のタイリング調整処理のステップS10の処理で取得された基準位置(Lx,Ly)と一致するように、即ち、Left基準プロジェクタ11−1により形成されていたLeft部分画像51の特徴点eと一致するように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、5番カメラ15−eにより撮影された特徴点eを含む図9のカメラ画像111が利用されることになる。
ステップS42において、コントローラ17は、そのカメラ画像111自身の座標系における特徴点e(調整対象のプロジェクタ:いまの場合プロジェクタ11−2により形成されたLeft部分画像51の特徴点e)の位置を検出する。
ステップS43において、コントローラ17は、特徴点eの位置は基準位置(Lx,Ly)と一致するか否かを判定する。
ステップS43において、特徴点eの位置は基準位置(Lx,Ly)と一致しないと判定された場合、処理はステップS44に進められる。
ステップS44において、コントローラ17は、特徴点eの基準位置(Lx,Ly)に対するずれ量に基づいて、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−2)のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−1に出力する。プロジェクタ制御部14−1は、そのレンズシフト制御指令に応じて、調整対象プロジェクタのレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、調整対象プロジェクタにより形成されるLeft部分画像51は移動し、そのLeft部分画像51に含まれる特徴点eが基準位置(Lx,Ly)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS42に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、調整対象プロジェクタにより形成されるLeft部分画像51に含まれる特徴点eの位置が基準位置(Lx,Ly)と一致するようになるまで、ステップS42乃至S44のループ処理が繰り返し実行される。
そして、調整対象プロジェクタにより形成されるLeft部分画像52に含まれる特徴点eの位置が基準位置(Lx,Ly)と一致すると、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−2)のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS43の処理でYESであると判定されて、処理はステップS45に進む。
ステップS45において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJを1だけインクリメントする(PJ=PJ+1)。
ステップS46において、コントローラ17は、PJ=5であるか否かを判定する。
いまの場合、ステップS45の処理でPJ=3に更新されるので、ステップS46においてNOであると判定されて、処理はステップS41に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−3が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS42乃至S44のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS43の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS45に進む。
すると、今度は、ステップS45の処理でPJ=4に更新されて、ステップS46においてNOであると判定されて、処理はステップS41に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−4が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS42乃至S44のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS43の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS45に進む。
すると、今度は、ステップS45の処理でPJ=5に更新されて、ステップS46においてYESであると判定されて、処理はステップS47に進む。即ち、Left部分画像51を形成する全てのプロジェクタ11−1乃至11−4のレンズシフト機構による調整が終了したので、処理はステップS47に進む。
ステップS47において、コントローラ17は、Right部分画像53を選択する。即ち、今度は、Right部分画像53を形成するプロジェクタ11−9乃至11−12のうちのRight基準プロジェクタ11−9を除くプロジェクタ11−10乃至11−12のそれぞれのレンズシフト機構による調整が行われることになる。
そこで、ステップS48において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJ=10に設定する。
ステップS49において、コントローラ17は、第PJ番目のプロジェクタを調整対象プロジェクタとして選択する。これにより、調整対象プロジェクタは、Right部分画像53をスクリーン18に形成させる(その他のプロジェクタはRight部分画像53をスクリーン18に形成させない)。
即ち、いまの場合、プロジェクタ11−10が調整対象プロジェクタとして選択され、そのレンズシフト機構による調整が行われる。このため、プロジェクタ11−10によりRight部分画像53がスクリーン18に形成される。具体的には例えば、図9に示されるように、調整対象プロジェクタ11−10により形成されるRight部分画像53の中心の特徴点qが、上述した図8のタイリング調整処理のステップS15の処理で取得された基準位置(Rx,Ry)と一致するように、即ち、Right基準プロジェクタ11−9により形成されていたRight部分画像53の特徴点qと一致するように、そのレンズシフト機構による調整が行われる。従って、この場合、17番カメラ15−qにより撮影された特徴点qを含む図9のカメラ画像115が利用されることになる。
ステップS50において、コントローラ17は、そのカメラ画像115自身の座標系における特徴点q(調整対象のプロジェクタ:いまの場合プロジェクタ11−10により形成されたRight部分画像53の特徴点q)の位置を検出する。
ステップS51において、コントローラ17は、特徴点qの位置は基準位置(Rx,Ry)と一致するか否かを判定する。
ステップ51において、特徴点qの位置は基準位置(Rx,Ry)と一致しないと判定された場合、処理はステップS52に進められる。
ステップS52において、コントローラ17は、特徴点qの基準位置(Rx,Ry)に対するずれ量に基づいて、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−10)のレンズシフト機構による調整量を演算し、その演算結果をレンズシフト制御指令としてプロジェクタ制御部14−3に出力する。プロジェクタ制御部14−3は、そのレンズシフト制御指令に応じて、調整対象プロジェクタのレンズシフト機構による調整の制御を行う。その結果、調整対象プロジェクタにより形成されるRight部分画像53は移動し、そのRight部分画像53に含まれる特徴点qが基準位置(Rx,Ry)に対して近づいていくことになる。
その後、処理はステップS50に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、調整対象プロジェクタにより形成されるRight部分画像53に含まれる特徴点qの位置が基準位置(Rx,Ry)と一致するようになるまで、ステップS50乃至S52のループ処理が繰り返し実行される。
そして、調整対象プロジェクタにより形成されるRight部分画像53に含まれる特徴点qの位置が基準位置(Rx,Ry)と一致すると、調整対象プロジェクタ(いまの場合、プロジェクタ11−10)のレンズシフト機構による調整が完了したことになるので、ステップS51の処理でYESであると判定されて、処理はステップS53に進む。
ステップS53において、コントローラ17は、プロジェクタの番号PJを1だけインクリメントする(PJ=PJ+1)。
ステップS54において、コントローラ17は、PJ=13であるか否かを判定する。
いまの場合、ステップS53の処理でPJ=11に更新されるので、ステップS54においてNOであると判定されて、処理はステップS49に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−11が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS50乃至S52のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS51の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS53に進む。
すると、今度は、ステップS53の処理でPJ=12に更新されて、ステップS54においてNOであると判定されて、処理はステップS49に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、プロジェクタ11−12が調整対象プロジェクタとして選択され、ステップS50乃至S52のループ処理により、そのレンズシフト機構による調整が行われる。そして、その調整が終了すると、ステップS51の処理でYESであると判定されて、処理は再びステップS53に進む。
すると、今度は、ステップS53の処理でPJ=13に更新されて、ステップS54においてYESであると判定されて、スタッキング調整処理が終了となる。即ち、Right部分画像53を形成する全てのプロジェクタ11−8乃至11−12のレンズシフト機構による調整が終了し、その結果、全てのプロジェクタ11−1乃至11−12のレンズシフト機構による調整が終了したので、スタッキング調整処理が終了となる。
以上、微調整処理の一例として、タイリング調整処理とスタッキング処理とについて説明した。
なお、タイリング調整処理とスタッキング処理とは、上述した例では微調整処理で実行されるとしたが、プロジェクタ設置時調整処理の一部として(プロジェクタ設置完了後の処理として)実行されてもよい。
また、上述したように、タイリング調整処理とスタッキング調整処理とが実行された場合であっても、実際には環境温度などによって画像位置が変動するときがある。そのようなときには、タイリング調整処理とスタッキング調整処理とを再度実行すればよい。なお、このとき、1回目のタイリング調整処理とスタッキング調整処理の際に検出された画像の中心(Cx,Cy)や基準位置(Lx,Ly),(Rx,Ry)を図1の設定記憶用メモリ24等に記憶させておくことで、画像の中心(Cx,Cy)や基準位置(Lx,Ly),(Rx,Ry)の再測定は不要になる。
以上説明したように、図1の構成の画像形成装置を採用し、その画像形成装置に対して、上述したプロジェクタ設置時調整処理や微調整処理(図8のタイリング調整処理や図11のスタッキング調整処理等)を実行させることで、次の第1の効果と第2の効果とを奏することが可能になる。
第1の効果とは、スタッキング手法とタイリング手法とを併用した高精彩大画面映像をスクリーン等に形成させる画像形成装置を、特別な装置(構成要素)を使用することなく安価に実現できるという効果である。特別な装置とは、例えば上述した従来の特許文献の発明の実現に必要な広画角および高解像度といった高性能なカメラ、即ち、スクリーンに形成された大画面映像の全てを高解像度に撮影することが可能なカメラである。これに対して、本発明の実現に必要なカメラは、単に、スクリーンの裏面側の近傍に設置可能であり、スクリーンに形成された大画面映像のうちのほんの1点(特徴点)を撮影可能なカメラであれば足りる。従って、本発明の実現に必要なカメラを複数台(図1の例では、21台)用意する場合であっても、それらの総合価格は、従来の特許文献の発明の実現に必要なカメラの1台分の価格に比較しても遥かに低く抑えることが可能になる。また、コントローラやプロジェクタ制御部等も、後述する図12に示されるような汎用的なパーソナルコンピュータ等で容易に構成することが可能である。その結果、図1の構成の画像形成装置を安価に実現できるという効果を奏することが可能になるのである。
第2の効果とは、人間の手作業だけでは調整が困難な大画面映像を、自動化、時間短縮、かつ、精度ばらつき小といった条件で調整することが可能になるという効果である。換言すると、結局のところ、特別な知識、経験、或いは技術等を有していない者であっても、即ち、誰でも、大画面映像を調整できるという効果が、第2の効果である。
ところで、上述した例では、タイリング手法により3枚の部分画像から全体画像が構成されたが、全体画像を構成する部分画像の枚数は、基本的に2枚以上であれば特に限定されない。ただし、部分画像の枚数の増減に応じて、カメラ、プロジェクタ、スタック台、プロジェクタ制御部、および、スタック台コントローラ等の台数も可変することになる。また、スタッキング手法で1枚の部分画像を形成させるプロジェクタの台数は、上述した例では4台とされたが、上述したように、部分画像に要求される明るさ等に応じて自在に変更可能である。
また、上述した例では、プロジェクタが採用されたが、スクリーン18に画像を形成するという機能を有する装置であればその実現形態は問われない。同様に、図1の画像形成装置のその他の構成要素についても、対応する機能を有するものであれば、その実現形態は図1の例に限定されず任意でよい。
また、図1の画像形成装置は、各構成要素を1つの筺体内に収納させて構成することもできるし、各構成要素を別々の筺体内に収納させて構成することもできる。換言すると、本明細書においては、複数の装置や複数の処理部により構成される装置全体をシステムと称するとすると、図1の画像形成装置は、画像形成システムであると捉えることもできる。
ところで、上述した一連の処理はハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアに実行させることもできる。
この場合、図1の画像形成装置のうちの、コントローラ17やプロジェクタ制御部14−1乃至14−3等は、例えば、図12に示される構成のコンピュータで構成することができる。
図12において、CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202に記録されているプログラム、または記憶部208からRAM(Random Access Memory)203にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204を介して相互に接続されている。このバス204にはまた、入出力インタフェース205も接続されている。
入出力インタフェース205には、キーボード、マウスなどよりなる入力部206、ディスプレイなどよりなる出力部207、ハードディスクなどより構成される記憶部208、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部209が接続されている。通信部209は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との通信処理を行う。
入出力インタフェース205にはまた、必要に応じてドライブ210が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体211が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部208にインストールされる。
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
このようなプログラムを含む記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布されるパッケージメディア、即ち、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなる図示せぬリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM203や、記憶部208に含まれるハードディスクなどかで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
11−1乃至11−12 プロジェクタ, 12−1乃至12−12 スタック台, 13−1乃至13−3 スタック台コントローラ, 14−1乃至14−3 プロジェクタ制御部乃, 15−a至15−u カメラ, 16 スイッチャ, 17 コントローラ, 18 スクリーン, 21 制御部, 22 画像処理部, 23 演算部, 24 設定記憶用メモリ, 51 Left部分画像, 52 Center部分画像53, Right部分画像, 61,62 ブレンディング領域, 71 全体画像