JP4590778B2 - 接触式帯電装置及びこれを用いた電子写真印刷方法 - Google Patents

接触式帯電装置及びこれを用いた電子写真印刷方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ装置等に組み込まれる接触式帯電装置、及びこの接触式帯電装置を用いた電子写真印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真を応用した小型のプリンタ装置において、接触式の帯電方式を用いることが多くなってきている。しかしながら、接触帯電においては、装置のおかれている環境条件、特に温湿度により、帯電ローラの導電材料の抵抗値、及び帯電ローラと感光体との空隙における放電開始電圧が変化しやすいので、感光体の表面電位を一定に保つことが難しいことが知られている。
【0003】
第一従来技術(特開平6−11944号公報)では、感光ドラムに接触配置した帯電ローラと、定電流制御した電圧を印加する直流定電流高圧電源とから構成することにより、感光体に流れ込む電流値を一定に保ち、表面電位を安定させる。
【0004】
第二従来技術(特開平4−9883号公報)では、帯電ロ−ラがドラムの非画像形成領域面に対応している回転期間において直流定電流制御を行い、このときの直流電圧を検知し、その検出値に基づいて、画像形成領域に対応する期間は、ドラム面を直流定電圧制御状態にて帯電処理する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第一従来技術では、定電流制御を行うと、感光層のピンホールなどにより、感光体の表面の一部に低抵抗部分があった場合に、そこに電流が集中する。そのために、印加電圧値が著しく低下してしまうので、印字画像上に横スジ状の汚れとなって現れてしまう。
【0006】
第二従来技術では、画像形成中は直流定電圧制御となるため、上述した感光体のピンホールなどによる横スジ状の汚れが発生しなくなる。また、電流値を一定に保つことによって、帯電ローラの抵抗値の変化による、又は湿度をはじめとする環境変化による感光体帯電電位の変動を抑えることができる。しかし、高圧電源として、検出回路や、定電流から定電圧の切り替えのための回路が必要となるので、装置の大型化、複雑化及びコストアップの原因となる。また、製造ばらつきや摩耗によって感光体の膜厚が変化した場合、感光体の静電容量は一定でなくなる。このような場合は、電流値を一定にすることによって、感光体の表面電位がその静電容量分だけ変化することになるので、地カブリが発生したり、網点濃度が安定しなくなったりしてしまう。
【0007】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で感光体の表面電位を一定に保つことができる接触式帯電装置、及びこれを用いた電子写真印刷方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る接触式帯電装置は、感光体に接触する帯電部材と、この帯電部材に接続された抵抗器と、この抵抗器とグランドとの間に、当該抵抗器と直列に接続されるとともに当該抵抗器を介して帯電部材に直流定電圧を印加する電源回路と帯電部材と抵抗器との接続箇所とグランドとの間に、前記抵抗器及び前記電源回路と、並列に接続されたコンデンサと、を備えた(請求項)。帯電部材と感光体との間の抵抗値をRc[Ω]としたとき、抵抗器の抵抗値Rが、(0.022×Rc)≦R≦(1.766×Rc)を満たす、としてもよい(請求項3)。コンデンサの静電容量値が0.1[nF]〜1000[nF]である、としてもよい(請求項)。本体に対して交換可能なカートリッジを有する電子写真装置に組み込まれ、本体又はカートリッジのどちらか一方に、抵抗器及びコンデンサが設けられた、としてもよい(請求項4、5)。
【0009】
本発明に係る電子写真印刷方法は、本発明に係る接触式帯電装置を用いるものである。このとき、各プロセススピードごとに電源回路の出力電圧を変える、としてもよい(請求項)。各プロセススピードごとに抵抗器及びコンデンサの特性値(抵抗値及び静電容量値)を変える、としてもよい(請求項)。印字工程を開始する際に、電源回路の電圧出力よりも遅れて電子写真装置を駆動するモータを動作させる、としてもよい(請求項)。印刷工程を開始する際に、印字中の電圧値よりも大きな電圧値を電源回路を用いて帯電部材に一定時間印加する、としてもよい(請求項)。印刷工程を開始する際、固定された帯電部材によって帯電させつつ感光体を三周回転させる、としてもよい(請求項10)。印字工程を終了する際に、電源回路の電圧出力よりも遅れて電子写真装置を駆動するモータを停止させる、としてもよい(請求項11)。
【0010】
従来の課題を解決するためには、請求項1に記載したように抵抗器を介して帯電部材に電圧を印加することが効果的である。しかし、抵抗器を介しただけでは、帯電系(帯電部材と感光体)のインピーダンス変動に応じて帯電部材に印加される電圧が変化し、網点画像にムラが生じてしまうおそれがある。そこでコンデンサを挿入することで、インピーダンスが変動してもコンデンサの充放電によって、帯電部材に印加される電圧の振れを抑制することができる。また、抵抗器及びコンデンサを用いることで、帯電の立ち上がりが遅くなるため、ファーストプリントに地カブリが発生するおそれがある。そこで、ファーストプリントの印字用紙先頭部分に相当する感光体表面は、十分に均一な帯電が完了しているようにする。
【0011】
換言すると、本発明は、電子写真装置の感光部材への帯電を、帯電部材への直流電圧印加によって行う電子写真プロセスにおいて、幅広い温湿度環境や帯電部材の汚染等に左右されず、安定した帯電を可能にするものである。電子写真プロセスにおいて欠陥の無い画像を得るには、感光体への帯電電位を均一にすることが必要不可欠である。しかし、従来技術である帯電部材への直流定電圧印加によって帯電を行う方式では、帯電電位は、環境や帯電部材の汚染及び感光体の膜厚などによって変化しやすく、結果として環境や帯電部材及び感光体の状態によって一定ではなくなる。
【0012】
本発明では、帯電工程に使用する電源において、直流定電圧電源回路より帯電部材側に抵抗器を備える。これにより、帯電時に帯電部材に印加される電圧が、環境や帯電部材及び感光体の状態によって変動するインピーダンスの変化に伴って出力されることから、常に一定の帯電電位を得ることができる。
【0013】
また、抵抗器と帯電部材の間とグランドとをつなぐコンデンサを備えることを特徴とし、これにより印字中のインピーダンス変動によって引き起こされる印加電圧の振れを抑えることができるので、印加電圧の振れに応じた印字濃度ムラを防ぐことができる。
【0014】
更に、複数のプロセススピードによる印字が可能な電子写真装置において、直流定電圧電源回路の出力をプロセススピードに応じて切り替えを行ったり、抵抗器及びコンデンサの条件を切り替えるか、又は可変抵抗器及び可変コンデンサを用いて各プロセススピードにおいて最適な条件を設定することで、複数のプロセススピードにおいて良好な画像を得ることができる。
【0015】
更にまた、印字シーケンスにおいて、コンデンサの充放電時間、及び速やかに帯電電位を安定させるシーケンスを盛り込んで動作させることで、印字欠陥のない電子写真印字を可能とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る接触式帯電装置及びこれを用いた電子写真印刷方法の実施の形態について、図面に基づき説明する。ただし、本発明に係る電子写真印刷方法は、電子写真装置として具現化して説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る接触式帯電装置の一実施形態を示す概略構成図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0018】
本実施形態の接触式帯電装置2は、感光体20に接触する帯電部材としての帯電ローラ21と、帯電ローラ21に直流定電圧を印加する電源回路26とを備えている。また、電源回路26の帯電ローラ21側に抵抗器24を備え、かつ抵抗器24と帯電ローラ21との間とグランドをつなぐコンデンサ25を備えている。
【0019】
帯電ローラ21は、中心芯金21aとその外周に形成した半導電性弾性層21bからなり、中心芯金21aの両端部が図示しない軸受け部材で回転自在に支持されている。帯電ローラ21は、半導電性弾性層21bにて感光体20に接触しており、感光体20の回転駆動に従動して回転する。
【0020】
本実施形態では、印字解像度に応じて二つのプロセススピード(感光体20の回転速度)にて駆動する。600dpiのときには、毎分約20枚(以下20[ppm]と略す。)の印字が可能で、88.8[mm/s]のプロセススピードで動作する。1200dpiのときには、毎分約12枚(以下12[ppm]と略す。)の印字が可能で、51.3[mm/s]のプロセススピードで動作する。
【0021】
中心芯金21aは、電源回路26の電圧印加用の出力部位に抵抗器24及びコンデンサ25を介して接続され、所定の直流電圧が印加される。半導電性弾性層21bは、材質がエピクロルヒドリンゴムにイオン導電材を配合したものであり、抵抗値が180[kΩ]、硬度がJIS−Aで56[度]、表面粗さが回転方向においてRMAX=15[μm]のものが使用されている。また、帯電ローラ21の押し付け力は、総圧で800[gf](7.84[N])に設定されている。
【0022】
図2は、本発明に係る電子写真装置の一実施形態を示す概略構成図である。以下、図1及び図2に基づき説明する。
【0023】
本実施形態の電子写真装置10は、前述の接触式帯電装置2を用いたものである。電子写真装置10は、記録媒体である記録用紙Pを貯留する用紙ホッパ11と、用紙ホッパ11から一枚ずつ記録用紙Pを取り出す給紙ローラ12と、取り出された印刷用紙Pを感光体20に案内するガイドローラ13と、感光体20に対向して配置され感光体20上のトナー像を記録用紙Pに転写する転写ローラ14と、記録用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着装置15と、定着後の記録用紙Pを装置外部に排出する排出ローラ16と、排出された記録用紙Pをためておくための用紙スタッカ17とを備えている。
【0024】
また、帯電後の感光体20をレーザビーム22で露光することにより静電潜像を形成する露光手段18と、転写後の感光体20上の電位を均一化するためにイレース光を照射するイレーサ19とを、画像形成のために備えている。
【0025】
EPカートリッジ30は、電子写真装置10に対して着脱可能に設置され、内部にトナーを貯留している。また、EPカートリッジ30は、感光体20を帯電する接触式帯電装置2の帯電ローラ21と、感光体20の静電潜像に帯電電位と同極性に帯電したトナーを付すことによりトナー像を形成する現像ローラ34と、内部に貯留しているトナーを搬送するとともに現像ローラ34近傍に設けられたミキサ33とを備えている。
【0026】
また、シャッタ36は、イレース光を感光体20面上に導く光ガイドの機能を持つとともに、EPカートリッジ30を電子写真装置10から取り外したときに感光体20を保護するために、感光体20を覆う位置に移動可能に設計されている。クリーニングブレード37は、転写後の残留トナーを感光体20から除去するものである。
【0027】
複数のプロセススピードにて印字を行うことができる電子写真装置10の場合、プロセススピードによって環境変化の度合いが異なるなど、最適な帯電電圧の印加条件が異なる。本実施形態では、抵抗器24及びコンデンサ25は12ppm印字でも20ppm印字でも同じものを使用し、電源回路26からの出力電圧をプロセススピードに応じて切り替える方式とした。本実施形態の接触式帯電装置2を構成する抵抗器24、コンデンサ25及び電源回路26の仕様は、図3に示す通りである。
【0028】
また、プロセススピードに応じた帯電条件の最適化方法として、図1に示すように抵抗器24a,24b、コンデンサ25a,25bの二系統を用意し、これらの二つずつの抵抗器24及びコンデンサ25をプロセススピードに応じて予め最適値を設定しておき、印字の際に切り替えて使用してもよい。図1では抵抗器24及びコンデンサ25はそれぞれ二つを示したが、三つ以上を切り替える方法を用いてもよい。また、抵抗器24aとして示した可変抵抗器とコンデンサ25aとして示した可変コンデンサとを用いることで、スイッチによる切り替えではなく、これら可変素子を最適値に変化させる形態を用いてもよい。
【0029】
また、プロセススピードに応じて印字欠陥の無い画像を得るためには、抵抗器24及びコンデンサ25の設定を変えるだけでなく、電源回路26から出力される電圧値もプロセススピードに応じて変化させて、抵抗器24、コンデンサ25及び電源回路26の全てを切り替えてもよい。
【0030】
また、抵抗器24及びコンデンサ25は、コストの観点からは電子写真装置本体に有するとよい。しかし、感光体20及び帯電ローラ21の材料変更等を行うと、最適帯電条件が変わる可能性が大きい。これに対処するためには、EPカートリッジ30に抵抗器24及びコンデンサ25を予め備えるとよい。
【0031】
図1のような接触式帯電装置2を電子写真プロセスに用いた場合、帯電時に電源回路26からの出力電圧は、抵抗器24の抵抗値と、帯電ローラ21及び感光体20のインピーダンスとに応じて、抵抗器24と帯電ローラ21に分圧印加される。このとき、接触式帯電装置2はコンデンサ25を備えているため、コンデンサ25の充電が完了するまで、帯電ローラ21に印加される電圧は定常電位よりも低い電圧が印加される。
【0032】
更に、感光体20が摩耗して帯電系のインピーダンスが低下すると、帯電ローラ21に印加される電圧が低下するので、感光体20の表面電位が狙い値に到達する時間が増える。このため、帯電ローラ21への速やかな定常印加電圧到達のために、印字工程スタートと同時に電源回路26から出力される電圧を、印字中よりも高い定電圧として一定時間出力する。そして、感光体20を含む電子写真装置10全体を駆動するメインモータの回転を、更に電源回路26の出力から一定時間遅れてONするシーケンスを備える。
【0033】
また、印字終了時の際、感光体20の回転停止と電源回路26の出力とを同時にOFFすると、コンデンサ25は印字中に感光体20へ印加されている定常電圧と等しい電極間電位を持っているため、停止している感光体20に電圧が印加されることになる。これにより、感光体20に電気的ダメージを与えるおそれがある。これを回避するため、印字終了時には電源回路26の出力をOFFしてから一定時間後に感光体20の回転を停止させるシーケンスを備える。
【0034】
次に、接触式帯電装置2及び電子写真装置10の動作を説明する。
【0035】
接触式帯電装置2により出力される直流定電圧の垂下特性を図4に示す。特性L1は20ppm印字のものであり、特性L2は12ppm印字のものである。特性L1,L2ともに接触式帯電装置2(本実施形態)のものである。特性L3は、抵抗器24を備えていない従来の接触式帯電装置(比較例)のものを示す。
【0036】
比較例である特性L3の場合、電流値の変化にかかわらず電圧値は一定の値を示しているが、本実施形態の特性L1,L2の場合、帯電ローラ21と感光体20との間のインピーダンスが小さくなると、帯電ローラ21へ流れ込む電流が大きくなり出力される電圧値が低くなる。また、逆にインピーダンスが大きくなると、帯電ローラ21へ流れ込む電流が小さくなり出力される電圧値が高くなる。これは、電源回路26と中心芯金21aとの間へ直列に抵抗器24を挟むことで、得られる特性である。
【0037】
この垂下する傾きは、抵抗器24の抵抗値を変えることにより変わる。電子写真装置10の構成では、おおよそ1〜80[MΩ]の範囲が望ましく、ここでは最も好適と思われる10.0[MΩ]の抵抗器24を使用した。なお、最適抵抗値は、感光体20の静電容量と、印字プロセススピードとによって決まる。
【0038】
ここで、感光体20の静電容量をCp[F/m]、プロセススピードvp [m/sec]、帯電ローラ21の幅l[m]、帯電表面電位V0[V]とすると、帯電電流Ic[A]は、
Ic=Cp・l・vp・V0
となる。一方、接触式帯電装置2の出力電圧Vc[V]は、帯電ローラ21の内部抵抗をRr[Ω]、放電開始電圧をVth[V]とすると、
Vc=V0+Vth+Rr・Ic
となる。よって、この帯電プロセスの抵抗値Rc[Ω]は、
Rc=(V0+Vth)/(Cp・l・vp・V0)+Rr …(式1)
で表される。
【0039】
抵抗器24の最適抵抗値R[Ω]は、帯電プロセスの常温常湿、標準膜厚の感光体20における抵抗値Rcに比例するので、抵抗値Rの範囲1〜80[MΩ]を、Rcで表すと、
(0.022×Rc)≦R≦(1.766×Rc)
となる。
【0040】
図4における特性L1,L2,L3以外の直線は、温度/湿度が32.5[℃]/80[%](高温/高湿環境、以下「H/H」と略す。)、20[℃]/20[%](常温/低湿環境、以下「N/L」と略す。)、10[℃]/20[%](低温/低湿環境、以下「L/L」と略す。)と環境を変化させて、感光体20の膜厚を18[μm]、20[μm]、22[μm]と変化させたときに、電子写真装置10にて12ppm印字及び20ppm印字にて画像を出力して地かぶりが発生しない条件範囲を示している。
【0041】
比較例では、特性L3が示すとおり、環境変化により電流値が変化しても出力電圧値は一定である。そのため、12ppm及び20ppm印字のどちらにおいても、環境又は感光体膜厚が変化することで地カブリが発生する条件が存在する。一方、特性L1,L2に示す本実施形態では、温湿度又は感光体膜厚が変化すると、電流値が変化することにより、出力電圧が変化する。これにより、温湿度又は感光体膜厚を変化させても地カブリの発生しない帯電電圧が印加されることを確認できる。
【0042】
本実施形態では、12ppm印字及び20ppm印字の両方において、抵抗器24及びコンデンサ25の値は共通とし、電源回路26の出力を変化させることにより、感光体20の膜厚又は環境を変化させても地カブリの無い帯電を可能とした。一方、特性L4のように、電源回路26の出力を共通とし、特性L2に対して抵抗器24の値を変えることにより、膜厚又は環境が変化しても地カブリの無い帯電が可能である。特性L4における帯電プロセスの抵抗値Rc[Ω]は、プロセススピードに反比例することから(式1)、特性L2の抵抗値10[MΩ]に対してプロセススピード比を乗じて、17.3[MΩ]に設定している。
【0043】
接触式帯電装置2に抵抗器24を挿入することで、印字中の帯電系インピーダンス変化はそのまま帯電ローラ21に印加される電圧の振れとなるので、帯電ムラを起こし、網点画像などに横スジ状のムラとなる場合がある。これを解決するため、本実施形態では、2[nF]の静電容量を持つコンデンサ25を図1に示すように抵抗器24と帯電ローラ21との間とグランドとをつなぐように配置する。これにより、コンデンサ25は帯電ローラ21に定常的に印加される電圧で常に充電されている。そのため、帯電ローラ21に印加される電圧は、インピーダンスが変化してもコンデンサ25に充電されている電荷があるので、振れが小さくなる効果がある。
【0044】
コンデンサ25の静電容量は、大きいほど帯電ムラに対する効果は大きいが、コンデンサ25の充電が完了するまで、帯電ローラ21への印加電圧は定常値に対して小さくなる。そのため、感光体20への表面電位は狙い値よりも小さくなり、地カブリを引き起こすおそれがある。これにより、印字工程がスタートしてから、現像を行うまでの時間を大きく取らなければならないので、ファーストプリントアウト時間が長くなってしまう。よって、コンデンサ25の静電容量は帯電ムラに対する効果が十分にある大きさで、なるべく小さい値が望ましい。経験的に、コンデンサ25の静電容量は、0.1[nF]〜1000[nF]程度が良好である。本実施形態では、10[nF]のコンデンサ25を用いた。
【0045】
接触式帯電装置2にコンデンサ25を持つため、コンデンサ25の充電が完了するまで感光体20の表面電位が狙い値よりも低くなるので、地カブリが発生しやすい。また、コンデンサ25の充電が完了してからもしばらくは、感光体20の表面電位は十分ではなく、ファーストプリントに地カブリが発生することがある。この問題の対策として、印字工程がスタートしてしばらくの間、電源回路26の出力を定常値よりも高い電圧として印加するとよい。又は、感光体20の表面電位が安定して狙い値になるまでに、感光体20は帯電を開始してから三周回転する必要があると経験的にわかっているので、電源回路26の出力を開始してから感光体20を三回転以上させて、三回以上の帯電を経た領域から現像工程をスタートさせるとよい。
【0046】
これらの条件を盛り込んだプロセスタイムチャートを図5及び図6に示す。図5はプロセスのチャート図であり、図6は各制御項目の制御条件を示す。
【0047】
印字工程のスタートは、電源回路26(メインチャージャ)の出力からはじまり、ファーストプリントの地カブリ対策として、Lowモード(通常出力値)よりも高い、Highモードの電圧が出力される。Lowモード出力は12ppm印字のときに−1080[V]で、20ppm印字のときに−1140[V]を出力し、Highモード出力は12ppm、20ppmともに−1235[V]を出力する。Highモード出力は、感光体20に電気的ダメージを与えない限り高いほど望ましいが、本実施形態では電源出力の制約から−1235[V]に設定した。
【0048】
このHighモード出力時間は、図6に示すT21で規定され、12ppm印字では1835[ms]、20ppmでは1060[ms]出力される。この時間は、12ppm及び20ppmに共通して感光体20が一周するのに必要な時間である。T21が経過したら、Lowモード(通常出力値)が出力され、12ppm印字では−1080[V]、20ppm印字では−1140[V]が出力される。
【0049】
Highモード出力がONされたのち、一定時間後に電子写真装置10全体を駆動するメインモータの回転がONされ、この時間は図6に示すT1で規定される。T1は12ppmと20ppmとに共通して30[ms]である。これは、Highモード出力がONされてもしばらくはコンデンサ25の充電が行われるので、帯電ローラ21に印加される電圧が小さくなるために、感光体20の回転開始と同時に十分な帯電が行われるようにするためのマージンである。
【0050】
本実施形態の電子写真装置10では、負帯電トナーを用いているため、転写ローラ14に正バイアスを印加することにより、記録用紙Pに感光体20上のトナー転写を行っている。帯電工程では、負バイアスを印加するので、転写ローラ14に正バイアスが印加されている時とそうでない時とでは、印加されている時の方が、感光体20上の表面電位は低下する。そのため、転写の正バイアスをONするタイミングと、現像を開始するタイミングとを制御する必要がある。
【0051】
転写プラスをONするタイミングは図6のT3により規定される。これは、電子写真装置10のファーストプリントアウトタイムの都合で規定され、定着装置15のウォームアップタイム等によって左右される。本実施形態では、12ppm印字のときに1244[ms]、20ppm印字のときに719[ms]と規定されている。
【0052】
印刷用紙媒体を走行させるレジストローラの駆動ONは、図6のT23により規定される。本実施形態では、T23aの数値を用いており、これは、(感光体20の外周長さ)+(図6におけるT3{メインモータON〜転写プラスONまでの時間で感光体20が回転する距離})−(レジストローラから転写ローラ14までの距離)で計算される。これにより、感光体20に転写プラスがONされた地点と、画像を転写する記録用紙Pの先頭とを一致させることができる。したがって、記録用紙P上で転写プラスがONされる前の感光体20の領域が存在しないことから、地カブリの無い均一な画像を得ることができる。T23aは、12ppm印字のときは2270[ms]であり、20ppm印字のときは1311[ms]と規定される。
【0053】
このように、帯電工程を開始してから感光体20が一周するまでの間はHighモード出力とし、かつ転写プラスをONにする前の感光体20の領域が印字にかからないようにすることにより、ファーストプリントに地カブリを発生することはない。
【0054】
また、電源回路26の都合で、上記のようにHighモード出力ができない場合には、メインモータがONしてから、感光体20を三周させてからレジストローラを駆動するとファーストプリントアウトに地カブリが生じないことが経験的に確認できている。
【0055】
本実施形態の感光体20の外周長さは94.12[mm]であるため、その三倍の282.36[mm]駆動させたあとに、レジストローラの駆動をONすればよい。この条件を盛り込んだシーケンスは、図6のT23bによって規定され、12ppm印字のときは2270[ms]、20ppm印字のときは1311[ms]となる。
【0056】
印字が終了してメインモータ及びメインチャージャ出力のOFFタイミングに関しては、同時停止の場合、帯電ローラ21へ定常的に印加されていた電圧値がコンデンサ25に充電されているため、停止した感光体20に電気的ダメージを与えるおそれがある。そこで、メインモータOFFは、メインチャージャOFFよりも遅らせる必要があり、その時間は、図6におけるT27によって規定される。このT27は、十分にコンデンサ25が放電する時間として12ppm印字では250[ms]、20ppm印字では150[ms]に規定されている。
【0057】
なお、本発明は、言うまでもなく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、帯電部材はゴムローラを用いて感光体と接触させて従動させていたが、微小な空隙を設けて感光体に非接触とさせたゴムローラを用いてもよい。また、ゴムローラの代わりに半導電性繊維を導電性平板に植毛したブラシを用いてもよいし、半導電性繊維を導電性円筒に植毛したブラシローラを用いてもよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術である直流定電圧を帯電部材に印加する方式と比べ、簡単な構成で感光体の表面電位を一定に保つことができるので、環境又は感光体膜厚が変化しても地カブリの発生を防ぐことができ、複数のプロセススピードにおいても電源回路の出力電圧を切り替えることで、地カブリのない良好な印字を得ることができる。また、コンデンサを挿入することにより、印字濃度ムラを防ぐことができる。更に、帯電の立ち上がり又は終了シーケンスを最適化したことで、一枚目の印字にて画像欠陥(カブリ)を生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接触式帯電装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子写真装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】図1の接触式帯電装置における各プロセススピード毎の動作条件を示す図表である。
【図4】図1の接触式帯電装置における帯電垂下特性を示すグラフである。
【図5】図2の電子写真装置におけるプロセスタイムチャートを示すタイミング図である
【図6】図5はプロセスタイムチャート図における各制御項目の制御条件を示す図表である。
【符号の説明】
2 接触式帯電装置
20 感光体
21 帯電ローラ(帯電部材)
24 抵抗器
25 コンデンサ
26 電源回路

Claims (11)

  1. 感光体に接触する帯電部材と、
    この帯電部材に接続された抵抗器と、
    この抵抗器とグランドとの間に、当該抵抗器と直列に接続されるとともに当該抵抗器を介して前記帯電部材に直流定電圧を印加する電源回路と、
    前記帯電部材と前記抵抗器との接続箇所とグランドとの間に、前記抵抗器及び前記電源回路と、並列に接続されたコンデンサと、
    を備えた接触式帯電装置。
  2. 前記コンデンサの静電容量値が0.1[nF]〜1000[nF]である、請求項に記載の接触式帯電装置。
  3. 前記帯電部材と前記感光体との間の抵抗値をRc[Ω]としたとき、前記抵抗器の抵抗値Rが、(0.022×Rc)≦R≦(1.766×Rc)
    を満たす、請求項1または請求項2に記載の接触式帯電装置。
  4. 本体に対して交換可能なカートリッジを有する電子写真装置に組み込まれ、前記本体に前記抵抗器及び前記コンデンサが設けられた、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接触式帯電装置。
  5. 本体に対して交換可能なカートリッジを有する電子写真装置に組み込まれ、前記カートリッジに前記抵抗器及び前記コンデンサが設けられた、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接触式帯電装置。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載された接触式帯電装置を用い、各プロセススピードごとに前記電源回路の出力電圧を変える、電子写真印刷方法。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載された接触式帯電装置を用い、各プロセススピードごとに前記抵抗器及び前記コンデンサの特性値を変える、電子写真印刷方法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載された接触式帯電装置を備えた電子写真装置に用いられる電子写真印刷方法であって、印字工程を開始する際に、前記電源回路の電圧出力よりも遅れて当該電子写真装置を駆動するモータを動作させる、電子写真印刷方法。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載した接触式帯電装置を用い、印刷工程を開始する際に、印字中の電圧値よりも大きな電圧値を前記電源回路を用いて前記帯電部材に一定時間印加する、電子写真印刷方法。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載した接触式帯電装置を用い、印刷工程を開始する際、固定された前記帯電部材によって帯電させつつ前記感光体を三周回転させる、電子写真印刷方法。
  11. 請求項1乃至のいずれかに記載された接触式帯電装置を備えた電子写真装置に用いられる電子写真印刷方法であって、印字工程を終了する際に、前記電源回路の電圧出力よりも遅れて当該電子写真装置を駆動するモータを停止させる、電子写真印刷方法。
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