ホログラム記録層の厚さが干渉縞の間隔に比べて十分大きなものは、厚いホログラムと呼ばれ、回折格子と同様の性質を有する薄いホログラムと区別されている。厚いホログラムでは、原則として記録された時に用いた記録用参照光と同じ波長の光を記録時と同じ方向から入射させないと再生することができない。つまり、再生するためには、基本的に記録時の記録用参照光と全く同じ再生用参照光を再生時に照射する必要があった。
ボリュームホログラフィによって記録された干渉縞は、厚いホログラムとして記録されるので、記録した情報を再生するためには、記録用参照光と同じ波長の再生用参照光を記録時と同じ状態で照射しなければならなかった。
特許文献3には、情報光も記録用参照光も2次元パターン情報によって空間的に変調して、対物レンズによって記録媒体に対して情報光と記録用参照光とを同軸的に照射することで形成された干渉縞をホログラム記録層に記録することが開示されている。従来、このホログラム記録層から情報を再生するためには、再生用参照光は、記録用参照光と同じ波長で、同じ2次元パターン情報によって空間的に変調され、同じ位置に配置された同じ焦点距離の対物レンズによって照射されなければならなかった。
図8は、ホログラム記録層に記録された干渉縞の再生光強度の波長依存性を示すものである。図8において、縦軸は、記録用参照光と同じ波長の再生用参照光を用いて再生した時の再生光に対する強度比であり、横軸は、再生用参照光の波長λ2と記録用参照光の波長λ1の差(λ2−λ1)である。つまり、図8において、横軸が0の時、再生用参照光の波長が記録用参照光と同じであり、縦軸は1となる。また、図8のグラフ81は、特許文献3に示すような情報光と記録用参照光とを同軸的に照射して記録された干渉縞を再生する場合であり、グラフ82は、情報光に対して一定の角度を持つ記録用参照光を用いた記録方法、いわゆる、二光束干渉法によって記録された干渉縞を再生する場合である。図8から明らかなように、再生用参照光の波長λ2が記録用参照光と同じ波長λ1の時(λ2−λ1=0)に再生光の強度が最大になる。グラフ81の方がグラフ82よりも広い波長範囲において再生可能であるが、それでも、波長が3nmずれるだけで、再生強度は半分になってしまう。グラフ82においては、波長が1nmずれるだけで、再生強度は半分以下になる。
このように、従来のホログラフィック記録再生においては、ホログラム記録層に記録された干渉縞を再生できる再生用参照光の波長範囲は非常に狭かった。例えば、図8における強度比0.5までの再生光を検出手段によって検出できる場合であれば、有効に再生できる再生用参照光の波長差の範囲Δλは、グラフ81では3nmであり、グラフ82では0.85nmである。なお、有効に再生できる再生光の強度は、再生用参照光の強度や検出手段の感度等によって変化するので、強度比0.5に特定されるものではない。
図8においては、横軸である波長の差を正の範囲でしか記載していないが、負の範囲においても同じグラフが描かれる。よって、再生用参照光の波長λ2は、記録用参照光の波長λ1に対して、±Δλのずれが許容されるだけなのである。
本発明の目的の一つは、ホログラフィック記録再生において、再生用参照光の波長の制限を緩和して汎用性及び応用性を高めた光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生方法及び光情報記録再生装置を提供することにある。
また、従来のホログラフィック記録再生では、再生用参照光が記録用参照光とほぼ同じ波長の光であったため、再生時にホログラム記録層の感光性が残っていると、再生用参照光によってホログラム記録層が感光してしまう。
本来、ホログラム記録層中には、情報光及び記録用参照光によって形成された干渉縞が記録されるべきであるが、再生用参照光によって感光してしまうと、ホログラム記録層の感光材料を消費してしまうので、ホログラム記録層の同一位置に記録できるホログラムの数、すなわち多重度が減少してしまう。更に、再生用参照光が散乱すること等によって形成された不要な干渉縞がノイズとして記録されることで、再生効率が低下する。
このような不都合を防止するため、従来のホログラフィック記録再生では、再生する前に、紫外光等を照射してホログラム記録層の感光性を無くし、記録した干渉縞を安定化させる定着処理が行われていた。
しかしながら、記録媒体の一部しか記録が終わっていない状態で定着処理を行うと、残りの記録容量が無駄になってしまうし、他方で記録媒体の記録容量を全部使うためそれまで定着処理を行わないと、再生効率を犠牲としなければ再生することができず不便であった。特に、ホログラムには大容量の情報が記録されるので、正確に情報が記録されているのかを確認するため、記録した干渉縞を再生する検証作業が重要である。そして検証作業によって正確に情報が記録されていないことが確認された場合は、再び情報を記録する必要があった。このため、検証作業を行うときは、再生効率を犠牲にして定着処理を行わずに再生するか、検証箇所に部分的な定着処理を行って再生していた。部分的な定着処理を行う場合でも、前述した記録容量の無駄が生じるし、検証作業に時間がかかるという問題もあった。
なお、図9は、ホログラム記録材料の吸収スペクトルの一例であり、縦軸は吸収率を横軸は波長を示している。図9から、ホログラム記録層は100nm以上の広い波長範囲において感光性を有することがわかる。図8に示されているように、干渉縞を有効に再生できる再生用参照光の波長範囲は狭いので、ホログラム記録層の感光材料を感光しない波長の再生用参照光によって再生することは従来行われていなかった。
本発明の目的の他の一つは、再生用参照光の照射による不具合を軽減しつつ、感光性を有するホログラム記録層から情報を再生する光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生方法及び光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明の光情報再生方法は、情報光及び記録用参照光を対物レンズを介して照射することによって形成された前記情報光及び前記記録用参照光の干渉縞が記録されたホログラム記録層から情報を再生する情報再生方法であって、前記情報光及び前記記録用参照光の波長λ1と異なる波長λ2の光を使用して再生用参照光を生成し、前記記録用参照光を照射した対物レンズの焦点距離に対して、前記波長λ1と前記波長λ2の比に応じた焦点距離の対物レンズによって前記再生用参照光を前記ホログラム記録層に照射して、前記ホログラム記録層に記録された前記干渉縞から再生光を発生させることを特徴とする。
更に、本発明の光情報再生方法において、前記記録用参照光が空間的に変調されており、前記記録用参照光を空間的に変調した時の空間変調パターンに対して、前記波長λ1と前記波長λ2の比に応じた倍率の空間変調パターンによって、前記波長λ2の光を空間的に変調して再生用参照光を生成することが好ましい。
更に、本発明の光情報再生方法において、前記記録用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔をp1、前記再生用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔をp2、前記記録用参照光を照射した対物レンズの焦点距離をf1、前記再生用参照光を照射する対物レンズの焦点距離をf2とし、前記ホログラム記録層に記録された干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲をΔλとしたときに、
(λ1−Δλ)/λ2≦p1/p2≦(λ1+Δλ)/λ2
(λ1−Δλ)/λ2≦f1/f2≦(λ1+Δλ)/λ2
の関係式を満たすことが好ましい。
更に、本発明の光情報再生方法において、前記波長λ2は、前記ホログラム記録層が感光しない波長であることが好ましい。この場合、前記ホログラム記録層は、定着処理が行われていなくてもよい。
また、本発明の光情報再生装置は、光源と、前記光源から射出された光を空間変調パターンによって空間的に変調して再生用参照光を生成する再生用参照光生成手段と、前記再生用参照光を記録媒体のホログラム記録層に照射する対物レンズと前記再生用参照光によって前記ホログラム記録層から再生された再生光を検出する光検出手段とを有し、前記再生用参照光生成手段は、空間変調パターンの隣接する画素の中心間の間隔を変更可能な空間光変調器であり、前記対物レンズは焦点距離を変更できるレンズであることを特徴とする。
また、本発明の光情報記録再生方法は、波長λ1の光から情報光及び記録用参照光を生成し、前記情報光及び前記記録用参照光を対物レンズを介して記録媒体のホログラム記録層に照射して、前記情報光及び前記記録用参照光の干渉縞を記録し、前記波長λ1と異なる波長λ2の光を使用して再生用参照光を生成し、前記記録用参照光を照射した対物レンズの焦点距離に対して、前記波長λ1と前記波長λ2の比に応じた焦点距離の対物レンズによって前記再生用参照光を前記ホログラム記録層に照射して、前記ホログラム記録層に記録された前記干渉縞から再生光を発生させることを特徴とする。
更に、本発明の光情報記録再生方法において、前記記録用参照光が空間変調パターンによって空間的に変調されており、前記記録用参照光を空間的に変調した時の空間変調パターンに対して、前記波長λ1と前記波長λ2の比に応じた倍率の空間変調パターンによって、前記波長λ2の光を空間的に変調して再生用参照光を生成することが好ましい。
更に、本発明の光情報記録再生方法において、前記記録用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔をp1、前記再生用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔をp2、前記記録用参照光を照射する対物レンズの焦点距離をf1、前記再生用参照光を照射する対物レンズの焦点距離をf2とし、前記ホログラム記録層に記録された干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲をΔλとしたときに、
(λ1−Δλ)/λ2≦p1/p2≦(λ1+Δλ)/λ2
(λ1−Δλ)/λ2≦f1/f2≦(λ1+Δλ)/λ2
の関係式を満たすことが好ましい。
更に、本発明の光情報記録再生方法において、前記波長λ2は、前記ホログラム記録層が感光しない波長であることが好ましい。この場合、前記ホログラム記録層に干渉縞を記録した後に、定着処理を行わずに再生してもよい。
また、本発明の光情報記録再生装置は、波長λ1の光を射出する光源と、波長λ2の光を射出する光源と、前記波長λ1の光から情報光を生成する情報光生成手段と、前記波長λ1の光を第一の空間変調パターンによって空間的に変調して記録用参照光を生成する記録用参照光生成手段と、前記波長λ2の光を第二の空間変調パターンによって空間的に変調して再生用参照光を生成する再生用参照光生成手段と、前記記録用参照光をホログラム記録層に照射する第一の焦点距離を有する対物レンズと、前記再生用参照光をホログラム記録層に照射する第二の焦点距離を有する対物レンズと、前記再生用参照光によって前記ホログラム記録層から再生された再生光を検出する光検出手段とを有することを特徴とする。
更に、本発明の光情報記録再生装置において、前記第一の焦点距離を有する対物レンズ及び前記第二の焦点距離を有する対物レンズは、焦点距離を変更できるレンズであることが好ましい。
更に、本発明の光情報記録再生装置において、前記記録用参照光生成手段及び前記再生用参照光生成手段は、画素ピッチを変更可能な空間光変調器であることが好ましい。
また、本発明の光情報記録再生装置において、前記波長λ1の光を射出する光源、前記情報光生成手段、前記記録用参照光生成手段及び前記第一の焦点距離を有する対物レンズは、第一のピックアップに搭載されており、前記波長λ2の光を射出する光源、前記再生用参照光生成手段、前記第二の焦点距離を有する対物レンズと及び前記光検出手段は、第二のピックアップに搭載されていることが好ましい。
本発明の光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生方法及び光情報記録再生装置によれば、ホログラフィック記録再生において、記録用参照光と異なる波長の再生用参照光によって干渉縞を再生することができ、汎用性及び応用性を飛躍的に高めることができる。更に、従来に比べて、波長のバラツキによる再生強度のバラツキも抑えることが可能であり、信頼性が向上する。
また、再生用参照光の波長が、ホログラム記録層が感光しない波長を用いれば、
ホログラム記録層中の感光材料を消費しないため多重度が減少することもなく、再生用参照光の散乱等による干渉縞がノイズとして記録されることもないため再生効率の低下を防止できる。このため、再生前にホログラム記録層に定着処理を行わずに再生したとしても、再生用参照光の照射による不具合を軽減できる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図7を用いて説明する。
図1は本発明の光情報記録再生方法の概略を説明するための図である。図1(A)は記録時の(B)は再生時の様子を示す。図1において、記録媒体1にはホログラム記録層2、ギャップ層3、反射層4、基板5及び保護層6が設けられている。
図1(A)において、空間変調パターン12によって、図示しない光源から射出された波長λ1の光を空間的に変調して情報光21及び記録用参照光22が生成される。情報光21及び記録用参照光22は、対物レンズ14によって記録媒体1のホログラム記録層2に照射され、形成された情報光21及び記録用参照光22の干渉縞2aがホログラム記録層2に記録される。
空間変調パターン12は、光線束の断面の強度や位相の空間的な分布を変調させるものである。情報光21の空間変調パターン12bは、記録すべき情報を変換して得られるものであり、記録すべき情報に応じて空間変調パターンも変更される。このような空間変調パターン12bを形成するものとしては、2次元に配置された画素の属性を変更することにより、表示する空間変調パターンを変更できる空間光変調器を使用することができる。
記録用参照光22の空間変調パターン12aは、一定の空間変調パターンでもいいし、ホログラムを再生する際の鍵となる情報として、記録すべき情報に応じて空間変調パターンを変更してもよい。空間変調パターン12aを形成するものとして、上述した空間光変調器を使用することができる。また、空間変調パターン12aが一定の空間変調パターンの場合であれば、一定の空間変調パターンのマスクを使用して記録用参照光22を生成してもよい。
図1(A)においては、中心に情報光21が配置され、その周囲に記録用参照光22が同軸的に配置されているが、情報光21と記録用参照光22の配置は中心に記録用参照光22を配置して、その周囲に情報光21を配置してもよい。
対物レンズ14は、焦点距離がf1であり、記録媒体1のホログラム記録層2において情報光21及び記録用参照光22の干渉による干渉縞2aが形成されるように照射する。情報光21及び記録用参照光22の焦点近傍においては、情報光21及び記録用参照光22が集中して干渉縞の強度が大きくなるので、ホログラム記録層2中の感光材料を多量に消費してしまい多重度(同一箇所に書き込める干渉縞の数)を減少させてしまう。更に、ホログラム記録層2に強度の大きい干渉縞が記録されてしまうと、他の干渉縞に対するノイズとなるおそれがあった。このため、ホログラム記録層2以外の位置に情報光21及び記録用参照光22の焦点を合わせることが好ましい。図1(A)では、ホログラム記録層2と反射層4との間にギャップ層3を設け、反射層4の表面に焦点を合わせることで、焦点近傍の強度の大きい干渉縞をホログラム記録層2に記録しないようにしている。また、対物レンズ14の焦点の位置によって、ホログラム記録層2における干渉縞のサイズを変更することができ、反射層4の表面に焦点を合わせると干渉縞のサイズを小さくすることができる。
図1(A)において、情報光21及び記録用参照光22は、空間変調パターン12から対物レンズ14に向かう平行光束として記載されているが、実際には、図10(A)に示すように、空間変調パターン12の画素12cによって回折され、各画素12cに対応する光21a、22aは拡散光となっている(拡散光の広がりは波長λ1と画素12cのピッチp1によって決まる)。対物レンズ14によって情報光21及び記録用参照光22は全体としては図1に示すような収束光となるが、各画素に対応する光21a、22aは平行光となる。このため、情報光21及び記録用参照光22が同軸に配置され、対物レンズ14によって同一の焦点に照射されても、各画素に対応する情報光21a及び各画素に対応する記録用参照光22aはθ1の角度で交差し、情報光21と記録用参照光22の干渉縞2aが形成される。干渉縞2aの間隔δ1は、δ1=sinθ1/λ1で求められる。なお、θ1は、各画素に対応する情報光21aと各画素に対応する記録用参照光22aの組み合わせによって異なってくる。
なお、対物レンズ14による情報光21の焦点の位置と記録用参照光22の焦点の位置を異なる位置とすることによっても、情報光21と記録用参照光22とが交差するので、情報光21と記録用参照光22の干渉縞2aを形成することはできる。
図1(B)において、空間変調パターン16aによって、図示しない光源から射出された波長λ2の光を空間的に変調して再生用参照光23が生成される。再生用参照光23は、対物レンズ18によって記録媒体1のホログラム記録層2に照射され、記録された干渉縞2aから再生光24を発生させる。発生した再生光24は、対物レンズ18によって結像されて図示しない検出手段によって検出される。
再生用参照光23の空間変調パターン16bは、光線束の断面の強度や位相の空間的な分布を変調させるものであり、記録用参照光22の空間変調パターン12aと相似形である。ここで、再生用参照光23の空間変調パターン16aは、記録用参照光22の空間変調パターン12aに対して、波長λ1と波長λ2の比に応じた倍率である。
記録用参照光22の空間変調パターン12aにおける隣接する画素の中心間の間隔p1及び再生用参照光23の空間変調パターン16aにおける隣接する画素の中心間の間隔p2と、波長λ1及び波長λ2との関係は、波長λ1で記録した干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲Δλ(図8参照)を用いて(λ1−Δλ)/λ2≦p1/p2≦(λ1+Δλ)/λ2とすることが好ましく、特にλ1/λ2=p1/p2であることが好ましい。波長差の範囲Δλは、再生用参照光の強度及び検出手段の感度を一定として、記録用参照光と同じ空間変調パターンで変調された再生用参照光を記録用参照光と同じ条件で照射した場合における波長依存性から求められる。
再生用参照光23の空間変調パターン16aを形成するものとして、空間光変調器を使用する場合は、記録用参照光22の空間変調パターン12aを生成した空間光変調器に比べて、隣接する画素の中心間の間隔が波長λ1と波長λ2の比に応じた倍率の間隔の空間光変調器を使用することができる。また、記録用参照光22の空間変調パターン12aを生成した空間光変調器を使用した場合であっても、空間変調パターン16aの1画素の表示に使用する空間光変調器の画素の数を変更することで、空間変調パターンの倍率を変更できる。例えば、記録用参照光22の空間変調パターン12aを生成する場合には、2画素×2画素によって空間変調パターン12aの1画素を表示し、再生用参照光23の空間変調パターン16aを生成する場合には、3画素×3画素によって空間変調パターン16aの1画素を表示すれば、記録用参照光22に比べて再生用参照光の空間変調パターンは1.5倍となる。
また、記録用参照光22が一定の空間変調パターンの場合は、再生用参照光23を形成するものとして、一定の空間変調パターンの相似形のマスクを使用することもできる。
対物レンズ18は、焦点距離がf2であり、記録用参照光22と同じ位置に再生用参照光23の焦点が位置するように照射する。対物レンズ18の焦点距離f2は、記録用参照光22を照射した対物レンズ14の焦点距離f1に対して、波長λ1と波長λ2の比に応じた焦点距離である。
対物レンズ14,18の焦点距離f1、f2と波長λ1と波長λ2の関係は、波長λ1で記録した干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲Δλ(図8参照)を用いて(λ1−Δλ)/λ2≦f1/f2≦(λ1+Δλ)/λ2とすることが好ましく、特にλ1/λ2=f1/f2であることが好ましい。なお、焦点距離f1、f2の関係が上記不等式の範囲から僅かに外れていたとしても、前述した空間変調パターンの画素の間隔p1、p2の関係を調節することで、干渉縞を再生することが可能である。特に、倍率の調節は、焦点距離倍率を変更できるレンズによって容易に行うことが可能である。
以上のような条件とすることにより、波長λ2の再生用参照光23は、記録媒体1のホログラム記録層2に記録された波長λ1の情報光21及び記録用参照光22により形成された干渉縞2aと干渉し、再生光24を発生させることができる。再生用参照光23は、図10(B)に示すように、空間変調パターン16aの画素16cによって回折され、各画素16cに対応する光23aは拡散光となっている(拡散光の広がりは波長λ2と画素16cのピッチp2によって決まる)。対物レンズ18によって再生用参照光23は全体としては図1に示すような収束光となるが、各画素に対応する再生用参照光23aは平行光となる。再生用参照光23は、ホログラム記録層2に記録された干渉縞2aと干渉することによって、各画素の情報光21aに対応する再生光24aを発生する。このため、各画素に対応する再生用参照光23aと各画素の情報光21aに対応する再生光24aとは角度θ2で交差することになる。ホログラム記録層に記録された干渉縞2aの間隔δ1は、情報光及び記録用参照光の波長1と各画素の情報光と各画素の記録用参照光との交差角θ1によって、δ1=sinθ1/λ1で表わされるが、この干渉縞2aを再生するためには、再生用参照光λ2と各画素の再生用参照光と各画素の再生光との傾きθ2がδ1=sinθ2/λ2となればよい。
対物レンズ18によって結像された再生光24の空間変調パターン16bの幅は、記録時に用いた情報光21の空間変調パターン12bの幅に比べて、波長λ1と波長λ2の比に応じた倍率となる。このため、再生光24を検出するための検出手段としては、再生光24の空間変調パターン16bを検出できるものを採用する。例えば、検出手段として、再生光24の空間変調パターン16bの幅に合った画素ピッチの光検出器や、再生光24の空間変調パターン16bの倍率を変更するズームレンズ及び変更された倍率の空間変調パターンを検出できる光検出器等を使用することができる。
特に、再生用参照光23の波長λ2は、ホログラム記録層2が感光しない波長を用いることが好ましい。この場合、波長λ2の再生用参照光23によってホログラム記録層2は感光しないので、ホログラム記録層2中の感光材料を消費しないため多重度が減少することもなく、再生用参照光23の散乱等による干渉縞がノイズとして記録されることもないため再生効率の低下を防止できる。
更に、再生用参照光23の波長λ2が、ホログラム記録層2が感光しない波長である場合には、ホログラム記録層2の定着処理を行わない状態で再生してもよい。前述したとおり、波長λ2の再生用参照光23によってホログラム記録層2は感光しないので、記録媒体1の一部しか記録が終わっていない状態で再生する場合でも、再生効率を低下させずに再生することができる。よって、定着処理で記録容量を無駄にすることなく記録媒体1を使用できる。更に、記録した干渉縞を再生する検証作業も短時間で行うことができる。
例えば、情報光及び記録用参照光の波長λ1として405nm、再生用参照光の波長λ2として650nmの組み合わせ、波長λ1として405nm、波長λ2として532nmの組み合わせ、波長λ1として532nm、波長λ2として650nmの組み合わせ等を使用することができる。また、逆に情報光及び記録用参照光の波長λ1として650nm、再生用参照光の波長λ2として405nmの組み合わせ、波長λ1として532nm、波長λ2として405nmの組み合わせ、波長λ1として650nm、波長λ2として532nmの組み合わせ等を使用することもできる
次に、本発明の光情報記録再生装置30について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、光情報記録再生装置30は、ピックアップ31の中に、第一の光源32、第二の光源33、情報光及び記録用参照光生成手段36、再生用参照光生成手段37、第一の対物レンズ43、第二の対物レンズ44及び光検出手段45を有している。更に、図2の光情報記録再生装置30においては、ピックアップ31の中に、コリメータレンズ34、偏光ビームスプリッタ35、一対のリレーレンズ38,39、ダイクロイックミラー41、四分の一波長板42を有している。また、図2において、記録媒体1は、ホログラム記録層2、ギャップ層3、反射層4、基板5及び保護層6に加えて波長選択反射層7を有しており、反射層4には記録媒体1に関する情報や位置決め用の情報(以下「媒体情報」とよぶ。)が記録されている。そして、図2の光情報記録再生装置30のピックアップ31には、媒体情報読み取り用素子51及び媒体情報読み取り光用コリメータレンズ52が設けられている。
ピックアップ31は、記録媒体1の特定の記録位置に情報を記録するための情報光及び記録用参照光を照射したり、記録媒体1の特定の再生位置から情報を再生するための再生用参照光を照射したりするものである。ピックアップ31は、記録媒体1に対して移動可能に設けることで、記録位置又は再生位置へのアクセスが容易となるため好ましい。図2においては、記録用の光学系も再生用の光学系も一つのピックアップ31に設けたが、記録用のピックアップと再生用のピックアップを別々に設けてもよい。
第一の光源32は、波長λ1の光を射出するものであり、第二の光源33は、波長λ2の光を射出するものである。図2においては、第一の光源32及び第二の光源33を切替え手段53によって切替える構成となっているが、波長λ1の光及び波長λ2の光を射出可能な光源を一つ設ける構成でもよい。切替え手段53としては、物理的に光源32,33を移動させて交換したり、光学系を変更することで切替えてもよい。光学系の変更として、例えば、光源32からの光路と光源33からの光路を設け、シャッタ等により、記録時には光源32からの光路を選択し、再生時には光源33からの光路を選択すればよい。
情報光生成手段36は、空間変調パターンによって光線束の断面の強度や位相の空間的な分布を変調させて、情報光を生成するものである。情報光生成手段36としては、2次元に配置された画素の属性を変更することにより、表示する空間変調パターンを変更できる空間光変調器を使用することができる。図2においては、記録用参照光生成手段も兼用する空間光変調器の一部に情報光の空間変調パターンを表示して情報光を生成しているが、記録用参照光生成手段とは別に情報光生成手段を設けてもよい。
記録用参照光生成手段36は、空間変調パターンによって光線束の断面の強度や位相の空間的な分布を変調させて、記録用参照光を生成するものである。記録用参照光生成手段36としては、2次元に配置された画素の属性を変更することにより、表示する空間変調パターンを変更できる空間光変調器や空間変調パターンの開口が形成されたマスクを使用することができる。図2においては、記録用参照光生成手段36として、情報光生成手段と兼用する空間光変調器を使用して、空間光変調器の一部に記録用参照光の空間変調パターンを表示して記録用参照光を生成している。情報光生成手段とは別に記録用参照光生成手段を設けてもよい。
図3(A)は、情報光及び記録用参照光生成手段36における情報光の空間変調パターン及び記録用参照光の空間変調パターンの表示の一例である。図3(A)に示すように、情報光及び記録用参照光生成手段36である空間光変調器の中央付近に情報光を生成するための領域36aを配置し、その周囲に記録用参照光を生成するための領域36bを配置することが好ましい。また、情報光を生成するための領域36aと記録用参照光を生成するための領域36bは、中心を同一となるように配置して情報光の光軸と記録用参照光の光軸とが同一とすることが好ましい。
再生用参照光生成手段37は、空間変調パターンによって光線束の断面の強度や位相の空間的な分布を変調させて、再生用参照光を生成するものである。再生用参照光生成手段としては、2次元に配置された画素の属性を変更することにより、表示する空間変調パターンを変更できる空間光変調器や空間変調パターンの開口が形成されたマスクを使用することができる。図2においては、情報光及び記録用参照光生成手段36である空間光変調器と切替え手段54によって切替え可能に設けられた空間光変調器に再生用参照光の空間変調パターンを表示して再生用参照光を生成している。切替え手段54としては、物理的に記録用参照光生成手段36と再生用参照光生成手段37を移動させて交換したり、光学系を変更することで切替えてもよい。
再生用参照光の空間変調パターンは、記録用参照光の空間変調パターンに対して、記録用参照光の波長λ1と再生用参照光の波長λ2の比に応じた倍率の空間変調パターンとする。記録用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔p1及び再生用参照光の空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔p2と波長λ1及び波長λ2との関係は、波長λ1で記録した干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲Δλ(図8参照)を用いて(λ1−Δλ)/λ2≦p1/p2≦(λ1+Δλ)/λ2とすることが好ましい。なお、パターンの幅p1、p2の関係が上記不等式の範囲から僅かに外れていたとしても、後述する第一及び第二のリレーレンズ38,39の焦点距離f11、f22の関係を調節することで、干渉縞を再生することが可能である。特に、レーザ光源の製品間のばらつきや射出パルス毎のばらつきによって、λ1と異なる波長のλ2で再生することになる場合のように、λ1とλ2の差が僅かである場合には、p1=p2の同じ空間変調パターンを使用して、リレーレンズ38,39の焦点距離f11、f22の関係を調節することで再生することもできる。
このように、記録用参照光と再生用参照光とでは空間変調パターンにおける隣接する画素の中心間の間隔を変える必要があるので、再生用参照光生成手段37として空間光変調器を使用する場合、図3(B)に示すように、記録用参照光生成手段36である空間光変調器の画素の寸法d1と異なる寸法d2の画素の空間光変調器を使用してもよい。図3(B)の再生用参照光生成手段37において、再生用参照光の空間変調パターンを表示する領域37bは、記録用参照光を生成するための領域36bと相似形である。再生用参照光生成手段37の画素の寸法2は、記録用参照光生成手段36の画素の寸法d1に比べて、波長λ1と波長λ2の比に応じた倍率とする。
また、図2においては、記録用参照光生成手段36である空間光変調器とは別の空間光変調器を再生用参照光生成手段37として使用したが、記録用参照光生成手段を再生用参照光生成手段と兼用すること、すなわち、記録用参照光を生成する空間光変調器によって再生用参照光を生成することも可能である。
その一つは、空間光変調器に空間変調パターンを表示する際に倍率を変える方法である。例えば、図4(A)では、寸法d1の画素の空間光変調器36の表示領域36bにおいて、上下左右の4カ所に正方形を配置した空間変調パターンを表示する場合に、各正方形を4画素×4画素で表示しているが、図4(B)では、寸法d1の画素の空間光変調器36において各正方形を2画素×2画素で表示して0.5倍の相似形の空間変調パターンを表示している。なお、図4(B)では表示領域36cそれ自体も0.5倍の相似形となっている。
また、画素の寸法を変更可能な空間光変調器を使用すれば、記録用参照光を生成する空間光変調器によって再生用参照光を生成することができる。画素の寸法を変更可能な空間光変調器としては、液晶空間光位相変調器(例えば,浜松ホトニクス製PAL−SLM)を使用することができる。
なお、再生用参照光生成手段として一定の空間変調パターンにしか空間的に変調できないマスクを使用する場合は、記録用参照光の空間変調パターンの相似形の開口とする。
第一の対物レンズ43は、第一の焦点距離f1を有し、情報光及び記録用参照光をホログラム記録層2に照射し、第二の対物レンズ44は、第二の焦点距離f2を有し、再生用参照光をホログラム記録層2に照射する。第二の対物レンズ44の焦点距離f2は、記録用参照光を照射する第一の対物レンズ43の焦点距離f1に対して、波長λ1と波長λ2の比に応じた焦点距離である。対物レンズ43、44の焦点距離f1、f2と波長λ1と波長λ2の関係は、波長λ1で記録した干渉縞を有効に再生できる波長差の範囲Δλ(図8参照)を用いて(λ1−Δλ)/λ2≦f1/f2≦(λ1+Δλ)/λ2とすることが好ましい。なお、焦点距離f1、f2の関係が上記不等式の範囲から僅かに外れていたとしても、前述した記録時と再生時において空間変調パターンの画素の間隔p1、p2の関係を調節することで、干渉縞を再生することが可能である。
図2においては、第一の対物レンズ43及び第二の対物レンズ44を切替え手段55によって切替える構成となっているが、焦点距離を変更できるレンズによって第一及び第二の対物レンズを構成してもよい。切替え手段55としては、物理的に第一の対物レンズ43及び第二の対物レンズ44を移動させて交換したり、光学系を変更することで切替えてもよい。焦点距離を変更できるレンズの場合、焦点距離を調節するのが容易であるため、レーザ光源の製品間のばらつきや射出パルス毎のばらつきによる波長の差の影響を焦点距離の調節によって緩和することができる。(λ1−Δλ)/λ2≦p1/p2≦(λ1+Δλ)/λ2とすることが好ましい。また、後述する第一及び第二のリレーレンズ38,39の焦点距離f11、f22の関係を調節することでも、干渉縞を再生することが可能である。
光検出手段45は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に受光した光の強度を検出できるようになっている。光検出手段45としては、CCD型固体撮像素子やMOS型固体撮像素子を用いることができる。また、光検出手段45として、MOS型固体撮像素子と信号処理回路とが1チップ上に集積されたスマート光センサ(例えば、文献「O plus E,1996年9月,No.202,第93〜99ページ」参照。)を用いてもよい。このスマート光センサは、転送レートが大きく、高速な演算機能を有するので、このスマート光センサを用いることにより、高速な再生が可能となり、例えば、G(ギガ)ビット/秒オーダの転送レートで再生を行うことが可能となる。
なお、対物レンズ44によって結像された再生光の空間変調パターンの画素の間隔は、記録時に用いた情報光の空間変調パターンの画素の間隔に比べて、波長λ1と波長λ2の比に応じた倍率となる。このため、再生光を検出するための検出手段45としては、再生光の空間変調パターンを検出できるものを採用する。例えば、検出手段45として、再生光の空間変調パターンの画素の間隔に合った画素の画素の間隔を有する光検出器や、再生光の空間変調パターンの倍率を変更するズームレンズ及び変更された倍率の空間変調パターンを検出できる光検出器等を使用することができる。
更に、図2の光情報記録再生装置30においては、以下の部材を有する。コリメータレンズ34は、光源32及び33からの発散光線束をほぼ平行光線とする。光源32及び33からの光線束がほぼ平行光線である場合は不要である。
偏光ビームスプリッタ35は、直線偏光(例えばP偏光)を反射または透過し、当該偏光に垂直な直線偏光(例えばS偏光)を透過または反射するような半反射面を有する。図2においては、偏光ビームスプリッタ35は、光源32及び33から射出された光線束を空間光変調器36又は37に向けて反射し、空間光変調器36又は37で偏光方向が90度回転された情報光および記録用参照光又は再生用参照光を透過する。更に、偏光ビームスプリッタ35は、再生時においては再生用参照光によって記録媒体1のホログラム記録層2から発生した再生光(四分の一波長板42によって偏光方向が90度回転されている)を光検出手段45に向けて反射する。
一対のリレーレンズ38,39は、情報光及び記録用参照光生成手段36又は再生用参照光生成手段37から対物レンズ43又は44までの間に配置されており、情報光及び記録用参照光生成手段36又は再生用参照光生成手段37に表示された空間変調パターンを対物レンズ43又は44の入射瞳面に結像するように配置されている。すなわち、情報光及び記録用参照光生成手段36又は再生用参照光生成手段37から第一のリレーレンズ38までの距離が第一のリレーレンズ38の焦点距離f11となり、第二のリレーレンズ39から対物レンズ43又は44の入射瞳面43a又は44a(図6参照)までの距離が第二のリレーレンズ39の焦点距離f22となり、第一および第二のリレーレンズ38、39間の距離が第一のリレーレンズ38の焦点距離f11と第二のリレーレンズ39の焦点距離f22の和となるように配置されている。なお、再生時において、再生用参照光とホログラム記録層に記録された干渉縞との干渉が弱い場合には、リレーレンズ38,39の焦点距離f11、f22の関係を調節することによって、干渉を強め、再生光の強度を大きくすることもできる。
また、一対のリレーレンズ38,39は、再生時においては再生用参照光によって記録媒体1のホログラム記録層2から発生した第二の対物レンズ44における像を再び実像として結像するように配置されている。
ダイクロイックミラー41は、媒体情報読み取り用素子51からの媒体情報読み取り光を記録用又は再生用の光と同じ位置に照射するために配置される。すなわち、波長λ1の情報光及び記録用参照光と波長λ2の再生用参照光はダイクロイックミラー41の反射面によって反射され、波長λ3の媒体情報読み取り光は、ダイクロイックミラー41の反射面を透過する。この場合、記録媒体1においても、波長λ1の情報光及び記録用参照光と波長λ2の再生用参照光を反射し、波長λ3の媒体情報読み取り光を透過する波長選択反射層7を設けることにより、記録再生領域に重畳して媒体情報を記録することができ、記録又は再生中も位置決めを行うことが可能となる。媒体情報読み取り用素子51等を設けなかった場合、ダイクロイックミラー41は不要である。
四分の一波長板42は、互いに垂直な方向に振動する偏光の光路差を4分の1波長変化させる位相板である。4分の1波長板によってP偏光(S偏光)の光は円偏光に変化され、さらに、記録媒体1によって反射された円偏光の光が4分の1波長板を通過するとS偏光(P偏光)に変化されることになる。四分の一波長板42によって戻り光の偏光を変化させることで、再生時に発生した再生光を偏光ビームスプリッタ35によって反射させて検出手段45に向けることができる。
また、図2において、記録媒体1の反射層4には、媒体情報として、記録容量、記録再生方式、トラック幅等の記録媒体1に関する情報や、アドレス情報、トラッキングサーボ情報、フォーカスサーボ情報等の位置決め用の情報が記録されている。媒体情報は、図2に示すように、反射層4の表面の凹凸形状によるピットによって記録してもいいし、その他の方法、例えば反射率の異なるピットによって記録してもよい。
更に、波長選択反射層7は、波長λ1の情報光及び記録用参照光と波長λ2の再生用参照光を反射し、波長λ3の媒体情報読み取り光を透過するものであり、波長λ1の情報光及び記録用参照光と波長λ2の再生用参照光に対しては反射層として機能する。情報光、記録用参照光、再生用参照光又は再生光が反射層4まで到達すると、反射層4に記録された媒体情報によって変調若しくは散乱され、記録又は再生のノイズとなることがあるが、波長選択反射層7によってこのノイズを低減することができる。
なお、記録媒体1として、ディスク状の記録媒体を使用し、回転させつつ記録再生を行う方式の場合は、CDドライブやDVDドライブにおいて使用されているディスク駆動機構を使用することができ、更には、CDドライブやDVDドライブとの互換性を持たせることも容易になるので好ましい。
媒体情報読み取り用素子51は、記録媒体1の反射層4に記録された媒体情報を再生するものであり、媒体情報読み取り光を発生させる光源、例えば半導体レーザと、記録媒体1から帰ってきた光を受光する光検出器とを備えている。媒体情報読み取り用素子51の光源は、記録媒体1のホログラム記録層2に影響を与えないことが好ましく、第一の光源32の波長λ1と異なる波長λ3であることが好ましい。更に好ましくは、媒体情報読み取り光の波長λ3は、第二の光源33の波長λ2とも異なることが好ましい。
例えば、情報光及び記録用参照光の波長λ1、再生用参照光の波長λ2及び媒体情報読み取り光の波長λ3の組み合わせとして、波長λ1=405nm、波長λ2=650nm及び読み取り光=780nmの組み合わせや波長λ1=405nm、波長λ2=532nm及び読み取り光=650nmの組み合わせを使用することができる。また、波長λ1、波長λ2及び波長λ3の組み合わせとして、波長λ1=650nm、波長λ2=405nm及び読み取り光=780nmの組み合わせや波長λ1=532nm、波長λ2=405nm及び読み取り光=650nmの組み合わせを使用することもできる。
媒体情報読み取り光用コリメータレンズ52は、媒体情報読み取り用素子51から射出された発散光線束をほぼ平行光線とするものであるが、対物レンズ43,44によって反射層4に焦点が位置するような光束とすることがより好ましい。
このような光情報記録再生装置30の動作について以下説明する。図5は、媒体情報を読み取る時の動作を説明する図である。図5においては、媒体情報読み取り光のみを示しているが、媒体情報を読み取りながら、ホログラム記録層に干渉縞を記録したり、ホログラム記録層の干渉縞から情報を再生してもよい。
媒体情報読み取り用素子51から射出された媒体情報読み取り光は、媒体情報読み取り光用コリメータレンズ52を経て、ダイクロイックミラー41及び四分の一波長板42を通過し、第一の対物レンズ43によって記録媒体1に照射される。ここで、媒体情報読み取り光用コリメータレンズ52及び第一の対物レンズ43によって、媒体情報読み取り光を記録媒体1の反射層4に収束するように照射することが好ましい。記録媒体1に照射された媒体情報読み取り光は、記録媒体1の保護層6、ホログラム記録層2、ギャップ層3及び波長選択反射層7を通過して、反射層4によって反射される。反射された媒体情報読み取り光は、反射層4に記録された媒体情報によって変調され、媒体情報を担持する。そして、媒体情報読み取り光は、記録媒体1の波長選択反射層7、ギャップ層3、ホログラム記録層2及び保護層6を通過し、第一の対物レンズ43、四分の一波長板42、ダイクロイックミラー41及び体情報読み取り光用コリメータレンズ52を経て、媒体情報読み取り用素子51の光検出器によって検出され、媒体情報が再生される。
媒体情報は、図示しない制御手段に送られ、制御手段によって、記録媒体の条件に応じた記録、再生条件を設定したり、ピックアップ31を特定の記録位置や再生位置に移動させて位置決めする。なお、図5においては、第一の対物レンズ43を使用したが、第二の対物レンズ44であっても同様の経路を経て媒体情報を再生する。
次に、ホログラム記録層に干渉縞を記録する時の動作を図2を用いて説明する。第一の光源32から射出された波長λ1の光は、コリメータレンズ34によってほぼ平行光線にされ、偏光ビームスプリッタ35で反射して、情報光及び記録用参照光生成手段36に入射し、情報光及び記録用参照光が生成される。情報光及び記録用参照光は、偏光ビームスプリッタ35を通過し、一対のリレーレンズ38,39を経て、ダイクロイックミラー41によって反射され、四分の一波長板42を経て、第一の対物レンズ43によって記録媒体1に照射される。ここで、前述したとおり、ホログラム記録層2以外の位置に情報光及び記録用参照光の焦点を合わせることが好ましい。
記録媒体1に照射された情報光及び記録用参照光は、記録媒体1の保護層6を通過して、ホログラム記録層2において情報光と記録用参照光との干渉縞が記録され、ギャップ層3を経て、波長選択反射層7によって反射される。反射された情報光及び記録用参照光は、ギャップ層3を通過して、ホログラム記録層2において反射された情報光と反射された記録用参照光との干渉縞が記録され、保護層6を通過して記録媒体1から射出される。
更に、ホログラム記録層に記録された干渉縞を再生する時の動作を図6を用いて説明する。図6の光情報記録再生装置30のピックアップ31においては、切替え手段53によって第一の光源32と第二の光源33が切替えられ、切替え手段54によって情報光及び記録用参照光生成手段36と再生用参照光生成手段37が切替えられ、切替え手段55によって第一の対物レンズ43と第二の対物レンズ44が切替えられている。更に、第二の対物レンズの焦点距離f2に合わせて、ピックアップ31と記録媒体1との距離が調節される。
第二の光源33から射出された波長λ2の光は、コリメータレンズ34によってほぼ平行光線にされ、偏光ビームスプリッタ35で反射して、再生用参照光生成手段37に入射し、記録用参照光の波長λ1と再生用参照光の波長λ2の比に応じた倍率の空間変調パターンによって空間的に変調されて再生用参照光が生成される。再生用参照光は、偏光ビームスプリッタ35を通過し、一対のリレーレンズ38,39を経て、ダイクロイックミラー41によって反射され、四分の一波長板42を経て、第二の対物レンズ44によって記録媒体1に照射される。ここで、前述したとおり、再生用参照光は、記録用参照光の焦点と同じ位置に焦点が位置するように照射される。
記録媒体1に照射された再生用参照光は、記録媒体1の保護層6を通過して、ホログラム記録層2に記録された干渉縞と干渉して再生光を発生させる。その後、再生用参照光は、ギャップ層3を経て、波長選択反射層7によって反射される。反射された再生用参照光は、ギャップ層3を通過して、ホログラム記録層2において、再び干渉縞と干渉して再生光を発生させる。再生光は、記録媒体1を射出して、第二の対物レンズ44を経て、四分の一波長板42によって偏光が変化され、ダイクロイックミラー41によって反射され、一対のリレーレンズ38,39を経て、偏光ビームスプリッタ35によって反射される。反射された再生光は光検出手段45によって検出され、再生光の情報が再生される。
図7は、本発明の光情報記録再生装置70の変形例である。図7においては、記録用のピックアップ71及び再生用のピックアップ72を設けている。記録用のピックアップ71には、第一の光源32、情報光及び記録用参照光生成手段36、第一の対物レンズ43が配置され、再生用のピックアップ72には、第二の光源33、再生用参照光生成手段37、第二の対物レンズ44及び光検出手段45が配置されている。更に、図7においては、記録用のピックアップ71及び再生用のピックアップ72のそれぞれに、コリメータレンズ34、偏光ビームスプリッタ35、一対のリレーレンズ38,39、ダイクロイックミラー41、四分の一波長板42を設け、更に、媒体情報読み取り用素子51及び媒体情報読み取り光用コリメータレンズ52を設けた。各構成の説明は、図2乃至図6における説明を準用する。
図7の光情報記録再生装置70においては、切替え手段が不要であり、光学系の信頼を高め、記録再生の信頼性を高めることができる。更に、記録用のピックアップ71及び再生用のピックアップ72によって、記録動作と再生動作を同時に行うことができる。
また、光源と、空間変調パターンの隣接する画素の中心間の間隔を変更可能な空間光変調器からなる再生用参照光生成手段と、焦点距離を変更できる対物レンズとを有する光情報再生装置は、空間変調パターンの隣接する画素の中心間の間隔及び焦点距離を調節することができるので、種々の波長の情報光及び記録用参照光によって記録された干渉縞を再生することが可能である。例えば、記録媒体の媒体情報として、記録時に使用された情報光及び記録用参照光の波長を記録しておくことが好ましい。この場合、光情報再生装置に設けた媒体情報読み取り用素子51によって、媒体情報を再生して記録時に使用された情報光及び記録用参照光の波長を把握し、記録時に使用された情報光及び記録用参照光の波長と光情報再生装置の光源から射出される光の波長の情報を用いて、前述した関係式にあてはめて再生用参照光生成手段における空間変調パターンの隣接する画素の中心間の間隔及び対物レンズの焦点距離を調節すれば、記録媒体に記録された干渉縞を再生することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。