JP4590069B2 - ボールペンのキャップ又は本体軸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、日用品として好適な樹脂成形物からなる趣味的要素の強いボールペンのキャップ又は本体軸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボールペンの軸やキャップ等の文房具は、ポリプロピレン樹脂やポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を原料とする射出成形によって成形されることが多い。実用的な面から見れば、文房具等の樹脂成形品は、上記したポリプロピレン樹脂に老化防止剤等の機能上必要な添加剤を加えて射出成形すれば十分な性能を発揮する。しかしながらポリプロピレン樹脂は、本来、乳白色半透明の樹脂でありポリスチレン樹脂は無色透明な樹脂であるため、これらの樹脂をそのまま射出成形した成形品は、意匠的な面白みに欠ける。
そのため特に文房具等の手に取って使用する樹脂成形品においては、意匠的効果を発揮させるために、赤や青等の顔料を配合し、成形品を特定の色に着色する等の手段が講じられる。また或いは、射出成形を行う際の樹脂ペレットに、異なる色のものを混合し、成形品の表面に流れ模様や斑模様を表出させる方法もある。さらに他の方策として、アルミニウム等の金属粉を樹脂に混合し、メタリック調の成形品に仕上げる方策が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂成形品に意匠的面白みを付加する方策としては、上記した様な特定の一色に成形品を着色するか、斑模様にするといった方法、あるいはアルミニウム等の金属粉を配合する方法しか採用されていない。
そこで本発明は、全く新たな意匠効果を発揮することができる樹脂成形品を開発することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ガラスの表面に被覆を有するガラスフレーク顔料を含む樹脂組成物を成形するか、ガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形するか、ガラスをチタンによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形するか、金属被覆無機顔料を含む樹脂組成物を成形してなるボールペンのキャップ又は本体軸のいずれかであって、顔料の被覆の厚さが、ガラスの表面で反射する光と顔料の表面で反射する光が干渉して干渉色を生じる厚さであり、顔料の被覆は光の一部が透過可能であり、前記ボールペンのキャップ又は本体軸の全体が透明又は半透明であって光が透過し、被覆面で反射する光とガラス表面で反射する光が干渉して特有の色や虹色を発するものであり、反射する光の進行方向側でのみ前記特有の色や虹色を確認可能であることを特徴とするボールペンのキャップ又は本体軸である。したがって、少なくともガラスフレーク顔料を含む樹脂組成物を成形してなることを特徴とするボールペンのキャップ又は本体軸であってよい。
【0005】
また、ガラスを銀、ニッケル、チタンのいずれかによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形してなることを特徴とするボールペンのキャップ又は本体軸であってよい。
【0006】
さらに、少なくとも金属被覆無機顔料を含む樹脂組成物を成形してなることを特徴とするボールペンのキャップ又は本体軸であってよい。
ここで本発明でいう「金属被覆無機顔料」とは、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれか1つの物質が被覆された無機顔料を総称するものとして定義される。
【0007】
上記した「ガラスフレーク顔料」を含有したボールペンのキャップ又は本体軸は、成形品中に鏡状の物体が分散されるので、当該成形品は、内部がキラキラと輝く。そのため従来技術の単一色の樹脂成形品や、流れ模様の樹脂成形品とは明らかに意匠効果が異なる。また特に本発明では、ガラスが持つ高い表面平滑性により、従来のアルミニウム粉を混合したメタリック調の樹脂成形品と比較して、より強い光輝感のある視覚効果が発揮される。
【0008】
またガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形した場合は、光の反射率が高く、輝きが強い。さらにガラスをチタンによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形した場合は、光の干渉が生じ内部が特有の色、又は虹色に輝く。
【0009】
また、上記の金属被覆無機顔料を含有した樹脂組成物を成形したボールペンのキャップ又は本体軸も、無機顔料が金属蒸着等で着色されているため、従来のアルミニウム粉を混合したメタリック調の樹脂成形品と比較して、より強い光輝感のある視覚効果が発揮される。
【0010】
上記した「ガラスフレーク顔料」「ガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料」「ガラスをチタンによって被覆した顔料」は、いずれもガラスの表面に被覆を有するものであるが、ガラス表面の被覆の厚さを所定の範囲とすることにより、被覆面で反射する光と、ガラス表面で反射する光が干渉し、特有の色や虹色を発する。この作用は、特に「ガラスをチタンによって被覆した顔料」を採用する場合に顕著である。そのためこれらを含む樹脂組成物を成形したボールペンのキャップ又は本体軸は、その内部が特有の色又は虹色に輝く。
また金属被覆無機顔料についても、被覆の厚さを所定の範囲とすることにより、被覆面で反射する光と、無機顔料の表面で反射する光が干渉し、特有の色や虹色を発する場合がある。
【0011】
「ガラスフレーク顔料」「ガラスをチタンによって被覆した顔料」「ガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料」を採用する場合、ガラス表面の被覆の厚さを所定の範囲とすることにより、顔料の被覆は光の一部が透過可能となる。その結果、顔料は鏡の様に光を反射するが、ある程度の光の透過性が確保される。そのためこの性質を持つ顔料を含むボールペンのキャップ又は本体軸は、透過する光に透かして見たとき、ガラスフレーク顔料等の存在に気づかない。そして逆に反射する光でボールペンのキャップ又は本体軸を見ると、強い光輝感を感じる。
【0012】
この理由は定かではないが、概ね以下の通りであると推測される。
すなわち本発明のボールペンのキャップ又は本体軸は、ガラスを金属や金属酸化物によって被覆した顔料を含む樹脂組成物を原料とするから、例えば射出成形によって成形すると、図1(a)の様に成形品1内で顔料2が一定の方向に配向する。
ここで仮にA方向の様に成形品1の側面から光が当たった場合であって、反対側の側面たるC方向から成形品1を観察したとすると、光は顔料2の鏡的表面で反射し、輝いて見える。また薄膜厚さによっては、干渉して青等の特定の色または虹色に輝く。
これに対してA方向から光が当たった場合であって、光の入射方向と同じA方向から成形品を観察した場合は、光は図1(b)の様に顔料2の表面で反射して入射方向と反対側に進行するので、使用者の視線方向(A方向)には光は戻らない。そのためA方向から光が当たった場合であって、光の入射方向と同じA方向から成形品1を観察した場合は、ガラスフレーク顔料2等の存在に気づかない。
これと同様に、B方向の様に成形品1の正面から光が当たった場合であって、同じく正面のB方向から観察した場合は、光は顔料2の鏡的表面で反射し、輝いて見える。
次に光が正面のB方向から当たった場合であって、その透過方向(D)から成形品1を観察すると、図1(d)の様に光は顔料2を透過し、光だけが見える。この場合も、ガラスフレーク顔料等の存在に気づかない。
このようにガラス表面の被覆を特定の厚さとすることにより、特有の作用が発揮される。
この作用効果は、金属被覆無機顔料を採用する場合についても、無機顔料と被覆の種類およびその厚さを適宜選定することにより、発揮しうる。
【0013】
また樹脂は、透明又は半透明であることが望ましい。「透明又は半透明」の概念には、有色のものを含む。すなわち白、灰色の様な無彩色の他、青、黄色、緑、赤等の有彩色であって、目視によって透けて見える樹脂の採用が望ましい。
【0014】
前記したガラスフレーク顔料、ガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料、ガラスをチタンによって被覆した顔料、或いは金属被覆無機顔料はいずれも粒子が偏平形状を有し、個々にばらつきを有する。このため、粒子の大きさを表すには、平均の粒子径やメジアンの粒子径を用いるのが適切である。
本発明のボールペンのキャップ又は本体軸に含有される顔料の平均粒径は5.0〜500μmが好適である。顔料の平均粒径が5.0μm未満の場合は、フレーク粒子が小さすぎるため光輝性が劣る。また顔料の平均粒径が500μmを超えると樹脂中への分散性が劣る。
【0015】
また、前記顔料は、ボールペンのキャップ又は本体軸に使用する樹脂組成物の全量中0.5〜10.0重量%含まれていることが好ましい。顔料が樹脂組成物の全量中0.5重量%未満の場合は光輝性が充分でない。顔料が樹脂組成物の全量中10.0重量%を超えると、樹脂の流動性が劣り成形性が低下すると共に、ボールペンのキャップ又は本体軸の全域が顔料で埋まり透過性が低減する。顔料の最適配合量は1.0〜5.0重量%である。
【0016】
また、前記顔料の粒子の平均厚さは5μm以下が好ましい。前記顔料では個々の粒子は種々の形状のものを含むが、粒子の厚さは比較的揃えられている。顔料粒子の平均厚さが5μmを超えると、個々の顔料粒子が大きくなり、分散性が悪くなる。また平均厚さ5μmを超えるものを使用するとボールペンのキャップ又は本体軸中の粒子の個数が少ないものとなり、光輝感が減少する。平均厚さが5μmを超えるものを採用するためには、顔料の配合量(顔料の重量%)を多くする必要があるが、望ましい光輝感を得るためには相当に多量に顔料を配合する必要があり、顔料が過多となって、ますます分散が悪いものとなる。また平均厚さが5μmを超えるものを使用し、かつ多量に顔料を配合するとボールペンのキャップ又は本体軸がメタリック調となり、前記した様な光の干渉が生じない。
【0017】
粒子の平均厚さが5μm以下の場合、平均厚さに応じて樹脂組成物への配合量を調整すれば良い。則ち、配合量が同一の場合、平均厚さが小さいほどボールペンのキャップ又は本体軸に含まれる粒子数が増して光輝感が減少する。そこで、顔料粒子の平均厚さに応じて配合量を調整することにより、充分な光輝感を発現させることが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(ガラスフレーク顔料)
本発明で用いられるガラスフレーク顔料は、フレーク状ガラスが金属又は金属酸化物などで被覆された構造からなり、光輝感を有する顔料として定義される。一例を挙げれば、フレーク状ガラスが無電解メッキ法により金属で被覆されたガラスフレーク顔料を使用することができる。例えば、銀で被覆された日本板硝子株式会社製の商品名「メタシャインRCFSX−5480PS」、「メタシャインRCFSX−5230PS」、「メタシャインRCFSX−5150PS」(以上 同社コード9023〜9025)、「メタシャインRCFSX−5090PS02」、「メタシャインRCFSX−5090PS06」、「メタシャインRCFSX−5030PS」を例示することができる。
また同じく日本板硝子株式会社製であって、ニッケルで被覆されたガラスフレーク顔料、商品名「メタシャインRCFSX−5480NS 又は同NB」、「メタシャインRCFSX−5230NS又は同NB」、「メタシャインRCFSX−5150NS 又は同NB」、「メタシャインRCFSX−5090NS 又は同NB」、「メタシャインRCFSX−5030NS 又は同NB」(以上 同社コード9041〜9045 9050〜9054)が採用可能である。
さらにチタンで被覆されたガラスフレーク顔料、商品名「メタシャインRCFSX−5090RC」(同社コード8052,8053 8069〜8071)が採用可能である。なお、チタンで被覆されたガラスフレーク顔料として例示したものは、いずれも干渉効果があり、樹脂成形品中で特有の色又は虹色に輝く。
【0019】
また、フレーク状ガラスがスパッタリング法により金属で被覆されたガラスフレーク顔料も使用することができる。例えば、銀で被覆された東洋アルミニウム社製の商品名「クリスタルカラーGF2125」、「クリスタルカラーGF2125−M」、「クリスタルカラーGF2140」、「クリスタルカラーGF2140−M」がある。
また、ニッケル・クロム・モリブデンで被覆された同社製の商品名「クリスタルカラーGF2525」、「クリスタルカラーGF2525−M」、「クリスタルカラーGF2540」、「クリスタルカラーGF2540−M」がある。
また、真鍮で被覆された同社製の商品名「GF250」、銀合金で被覆された同社製の商品名「GF1345」、チタンで被覆された同社製の商品名「GF1445」がある。
【0020】
本発明ではガラスフレーク顔料の平均粒径は5.0〜500μmが好適である。ガラスフレーク顔料の平均粒径が5.0μm未満の場合は、フレーク粒子が小さすきるため光輝性が劣り、また500μmを超えると樹脂中への分散性が劣る。
【0021】
本発明のガラスフレーク顔料は、樹脂成形品の成形に使用する樹脂組成物の全量中0.5〜20.0重量%含まれていることが好ましい。上記ガラスフレーク顔料が樹脂組成物全量中0.5重量%未満の場合は光輝性が充分でない。ガラスフレーク顔料が成形品を成形する樹脂組成物の全量中20.0重量%を超えると、樹脂の流動性が劣り、成形性が低下する。ガラスフレーク顔料の最適配合量は1.0〜10.0重量%である。
特に、樹脂成形品の透過性が要求される場合は、ガラスフレーク顔料の最適配合量は更に低い値となる。則ち、顔料が樹脂組成物の全量中10.0重量%を超えると、樹脂成形品の全域が顔料で埋まり透過性が低減する。顔料の最適配合量は1.0〜5.0重量%である。
【0022】
また、前記顔料の粒子の平均厚さは5μm以下が好ましい。顔料粒子の平均厚さが5μmを超えると個々の顔料粒子が大きくなり、光輝感が減少し分散性が悪くなると共に、前記した様な光の干渉が生じない。
顔料の粒子の平均厚さが5μm以下の場合、顔料粒子の平均厚さに応じて顔料の配合量を調整することにより、充分な光輝感を発現させることが可能である。
【0023】
(金属被覆無機顔料)
本発明で用いる金属被覆無機顔料は、例えば金属蒸着等で金属及び又は金属酸化物が被覆された無機顔料として構成されている。一例を挙げれば、酸化鉄(III )が被覆されたアルミニウムを用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Gold L2000/L2002」、「Paliocrom Gold L2020/L2022」、「Paliocrom Gold L2025」、「Paliocrom Gold L2800」がある。また酸化鉄(III )が被覆された雲母を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Red Gold L2500」、「Paliocrom Red L4000」がある。
また、アルミ−マンガン被覆の雲母状酸化鉄(III )を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Copper L3000」及び「Paliocrom Copper L3001」がある。
また、還元二酸化チタンが被覆された雲母を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Blue Silver L6000 」、「Paliocrom Blue Silver L6001 」がある。また、二酸化チタンが被覆された雲母も用いることができる。
【0024】
上記の金属被覆無機顔料の平均粒径も、ガラスフレーク顔料と同様に、5.0〜500μmが好適である。平均粒径が5.0μm未満の場合は、上記の無機顔料粒子が小さ過ぎるため光輝性が劣り、また500μmを超えると樹脂中への分散性が劣る。
【0025】
金属被覆無機顔料の配合量も、ガラスフレーク顔料と同様に、樹脂成形品を成形する樹脂組成物の全量中0.5〜20.0重量%含まれていることが好ましい。上記の無機顔料が樹脂組成物の全量中0.5重量%未満の場合は光輝性が充分でない。上記の無機顔料が樹脂組成物の全量中20.0重量%を超えると、樹脂の流動性が劣り、成形性が低下する。上記の金属被覆無機顔料の最適配合量は1.0〜10.0重量%である。
また、樹脂成形品の透過性が要求される場合は、金属被覆無機顔料の最適配合量は更に低い値となる。則ち、顔料が樹脂組成物の全量中10.0重量%を超えると、樹脂成形品の全域が顔料で埋まり透過性が低減する。金属被覆無機顔料の最適配合量は1.0〜5.0重量%である。
【0026】
また、ガラスフレーク顔料の場合と同様に、金属被覆無機顔料の粒子の平均厚さは5μm以下が好ましい。顔料粒子の平均厚さが5μmを超えると個々の顔料粒子が大きくなり、光輝感が減少し分散性が悪くなると共に、前記した様な光の干渉が生じない。
金属被覆無機顔料の粒子の平均厚さが5μm以下の場合、顔料粒子の平均厚さに応じて顔料の配合量を調整することにより、充分な光輝感を発現させることが可能である。
【0027】
本発明に採用される樹脂としては、射出成形や押し出し成形が可能な熱可塑性樹脂のいずれもが使用可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、セルロースアセテート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、変成ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリサンフォン樹脂等が挙げられる。
この中でも樹脂は、無色透明又は、白色の半透明であることがより望ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、セルロースアセテート樹脂が推奨される樹脂である。
【0028】
(その他の添加物)
なお、本発明においてはその他必要に応じて、成形する樹脂組成物中に耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、発泡剤、離型剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等を添加することができる。また他の顔料を添加することもできる。ただし、顔料は、樹脂成形品が全体として不透明とならない程度の配合量に止めることが望ましい。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
樹脂としてポリプロピレン(商品名 MG03B 日本ポリケム株式会社製)を採用し、この樹脂に全体の2重量%に相当するガラスフレーク顔料(商品名 RCFSX5090RC 品番8069 日本板硝子株式会社製、チタン被覆 平均粒径約90μm)を配合し、これを計量後ブレンダーで混合し、さらに押出機で溶融混練りしてペレット化した。そしてさらにこれを射出成形して図2に示すようにボールペンのキャップ3と本体軸4を成形した。なおボールペンの本体軸4とは、インキが充填されるインキ芯3の外側に配される部材であり、筆記の際に使用者が手で保持する部材である。成形したボールペンのキッャプ3及び本体軸4は、具体的にはサクラクレパス製「ボールサイン」(商品名)であり、キャップ3の頂部は球面状をしている。
【0030】
成形されたキャップ3及び本体軸4は、いずれも乳白色の半透明体である。そしてキャップ3及び本体軸4を光が反射する方向から見たとき、干渉により無数の微小な青みがかった色の点の輝きが認められ、この様子は、あたかも高原の夜空のごとく、星を散りばめた様である。一方、キャップ3及び本体軸4を光の入射方向から見たとき、あるいは光が透過する方向から見たときは、先程の微小な点の輝きは消え、通常のキャップ3等の形状に戻る。この時は、キャップ3内にガラスフレーク顔料が存在することは、肉眼では認められない。
また本実施例で成形したキャップ3は頂部が球形であるから、頂部はほとんどの方向から無数の微小な点の輝きが見える。そのため本発明は球形部分を有する樹脂成形品に特に適するといえる。
【0031】
(実施例2)
実施例1において、ガラスフレーク顔料を変えて前記と同様のキャップ3と本体軸4を射出成形した。使用した顔料はガラスフレーク顔料(商品名 RCFSX5090RC 品番8052 日本板硝子株式会社製、チタン被覆 平均粒径約90μm)である。この例では、キャップ3及び本体軸4を光が反射する方向から見たとき、無数の微小な金色の点の輝きが認められた。
前記実施例1と輝きの色が異なって見えるのは、ガラスフレーク顔料のチタンの被覆厚さが異なるためである。前記したように本発明は光の干渉を利用している。則ち、ガラスフレークに被覆するチタンの厚さを変えることにより、干渉によって増強される波長が異なり、これによって違った色相に輝くものである。
【0032】
(実施例3)
実施例1の配合に微量の青色顔料を添加してペレットを製造し、前記と同様のキャップ1と本体軸4を射出成形した。その結果、全体として青色半透明のキャップ1及び本体軸4が成形された。そしてキャップ3及び本体軸4を光が反射する方向から見たとき、無数の微小な銀色の点の輝きが認められた。先の実施例1では、顔料2が青みがかった色に見えたのに対し、今回の実施例2で顔料が銀色に見えるのは、樹脂に配合された微量の青色顔料により、顔料2が青みが吸収されるためである。
キャップ3及び本体軸4を光の入射方向から見たとき、あるいは光が透過する方向から見たときは、先程の微小な点の輝きは消え、通常のキャップ3等の形状に戻る。
【0033】
(実施例4)
またガラスフレーク顔料に代わって金属被覆無機顔料(商品名 Paliocrom Blue Silver L6021 BASF株式会社製、メジアン径約4〜20μm)を使用して同様の樹脂成形品を成形したところ、キャップ3及び本体軸4を光が反射する方向から見たとき、無数の微小な青みがかった色の点の輝きが認められ、この様子は、あたかも高原の夜空のごとく、星を散りばめた様である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、ガラスフレーク顔料を含む樹脂組成物を成形してなるものであり、従来技術では成しえなかった新たな視覚効果を得ることができる。
また、ガラスを銀またはニッケル、あるいはチタンによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形してなるものであり、さらに特有の視覚効果を得ることができる。
さらに、金属被覆無機顔料を含む樹脂組成物を成形してなるものであり従来技術では成しえなかった新たな視覚効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明する説明図である。
【図2】 本発明の樹脂成形品の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形品
2 顔料
3 キャップ
4 本体軸
Claims (2)
- ガラスの表面に被覆を有するガラスフレーク顔料を含む樹脂組成物を成形するか、
ガラスを銀又はニッケルによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形するか、
ガラスをチタンによって被覆した顔料を含む樹脂組成物を成形するか、
金属被覆無機顔料を含む樹脂組成物を成形してなるボールペンのキャップ又は本体軸のいずれかであって、
顔料の被覆の厚さが、ガラスの表面で反射する光と顔料の表面で反射する光が干渉して干渉色を生じる厚さであり、
顔料の被覆は光の一部が透過可能であり、
前記ボールペンのキャップ又は本体軸の全体が透明又は半透明であって光が透過し、
被覆面で反射する光とガラス表面で反射する光が干渉して特有の色や虹色を発するものであり、反射する光の進行方向側でのみ前記特有の色や虹色を確認可能であることを特徴とするボールペンのキャップ又は本体軸。 - 前記顔料の平均粒径が5.0〜500μmであり、且つ、当該顔料が樹脂組成物全量中に1.0〜5.0重量%含まれることを特徴とする請求項1に記載のボールペンのキャップ又は本体軸。
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