JP4590049B2 - ベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法 - Google Patents

ベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法に関する。さらに詳しくは、医薬、農薬の中間体等の製造用原料として有用なベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法としては、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸を脱炭酸反応させる方法が知られている。例えば、(a)金属触媒として銅、反応溶媒としてキノリンを用い、高温下での脱炭酸反応による方法(Khim.Geterotsik.Soedin(12).1618−22(1982))、
(b)触媒として水酸化カルシウムを用い、高温下での脱炭酸反応による方法(P.Friedlander,E.Lenk,Ber.,45,2083(1912);F.Mayer,Ann.,488,259(1981))等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造法の中(a)の方法は、銅の使用量が、原料として用いるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1モルに対し1.6モル、また、溶媒として用いるキノリンが同様に17.0モルと、多量の触媒、溶媒を必要とする。さらに、溶媒として用いられたキノリンと、反応生成物であるベンゾ[b]チオフェン誘導体の沸点が比較的近いため、反応後、蒸留による効率的な分離を行なうことが困難である。また、(b)の方法は安価な水酸化カルシウムを触媒に使用できるが、収率が低いという問題がある。
【0004】
原料として用いるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体、例えば、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸それ自身は、融点が235℃で、室温では固体であるため、通常、上記のように、キノリンのような溶媒を多量に用いて、反応を行なう必要がある。また、触媒としての銅の使用量も比較的多く、高温条件の下で脱炭酸反応を行なわなければならない。従って、上記した従来法により、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体から脱炭酸反応により、ベンゾ[b]チオフェン誘導体を工業的に安価に、また容易に製造することは困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、溶媒、金属触媒の種類、使用量等を減少させ、工業的に有利に脱炭酸反応を行なうべく検討する中で、意外にも、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体と金属触媒が固体同士で反応し、上記の脱炭酸反応が進行することを見出した。さらに、その時に、キノリン、あるいはそれ以外のピリジン系化合物が微量存在すると、脱炭酸反応が促進されることを見出した。
【0006】
また、上記固体反応が進行すると、目的物であるベンゾ[b]チオフェン誘導体が生成してくる。このものは、通常、脱炭酸反応の反応温度付近では液体であり、そのため、反応が進行するにつれて反応生成物が溶媒として作用し、より有利に上記脱炭酸反応を行なうことができることを見出した。
【0007】
本発明は上記した知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を工業的に有利に、また簡便な方法により脱炭酸反応させてベンゾ[b]チオフェン誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【発明の開示】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面によれば、少なくとも反応開始時には固相である、下記一般式(1):
【化5】
Figure 0004590049
で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を、金属触媒の存在下、脱炭酸反応させることを特徴とする下記一般式(2):
【化6】
Figure 0004590049
で表されるベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法が提供される。
【0010】
原料として用いるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体は、既に説明したように、室温では固体であるため、反応開始時には粉末状ないしは顆粒状の固相で存在する。従って、金属触媒との反応は固体反応となるため、反応開始直後は、脱炭酸反応が必ずしも円滑に進行するとはいえない。しかし、反応が進行するに従って、徐々にベンゾ[b]チオフェン誘導体が生成してくる。このものは前記したように、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体の溶媒としての作用を示すため、時間の経過とともに、固体反応からスラリー状態を経由して液体反応へと移行し、脱炭酸反応が終了する。反応終了後、目的とするベンゾ[b]チオフェン誘導体を主成分とする反応液が得られる。
【0011】
上記したように、本発明の方法においては無溶媒でも反応は進行するが、溶媒として予め、目的物であるベンゾ[b]チオフェン誘導体を存在させて、一般式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体の脱炭酸反応を行なえばより有利に一般式(2)で表されるベンゾ[b]チオフェン誘導体を得ることができる。
【0012】
すなわち、本発明の第2の側面によれば、予め、溶媒としてベンゾ[b]チオフェン誘導体を存在させて下記一般式(1):
【化7】
Figure 0004590049
で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を、金属触媒の存在下、脱炭酸反応させることを特徴とする下記一般式(2):
【化8】
Figure 0004590049
で表されるベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法が提供される。
【0013】
上記溶媒として用いるベンゾ[b]チオフェン誘導体は特に限定されるものではないが、製造コスト、品質の安定面、製造工程の管理面等の観点から、本発明の方法により得られたものを使用することが好ましい。また、上記したように、反応液の主成分はベンゾ[b]チオフェン誘導体であるため、反応液そのものを脱炭酸反応の溶媒として用いることも可能である。
【0014】
反応液は、その一部を溶媒として用いてもよいし、全部を用いてもよい。反応液全部を用いる場合は、そこへさらに、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を添加し、引き続き脱炭酸反応を行ない、この操作を繰り返すことによって1つの反応器(ワンポット)あたりのベンゾ[b]チオフェン誘導体の生産を効率的に行なうことができる。このような操作を行なうことにより、溶媒としてベンゾ[b]チオフェン誘導体を使わない処方の1.5倍以上に生産量を増加させることができる。
【0015】
上記本発明の第1、第2の側面において、脱炭酸反応の温度は特に限定されるものではないが、加熱下に反応を行うのが好ましい。触媒として金属触媒を用いるのであるが、このときに、ピリジン系化合物を存在させると反応速度を促進させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の方法において、原料として用いられる、下記一般式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体:
【化9】
Figure 0004590049
において、上記ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、上記炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
【0017】
前記一般式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体の代表例としては、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、3−エチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、5−エチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、7−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、4−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、4−イオド−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、3−クロロ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸、5,6−ジフルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸等が挙げられる。
【0018】
本発明において用いられる金属触媒としては、特に限定されず、銅、ニッケル、パラジウム、銀等が挙げられる。中でも、銅が好適に用いられる。金属触媒の使用量としては、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。金属触媒の使用量が0.001重量部未満の場合、脱炭酸反応が十分に進行せず、また金属触媒の使用量が1重量部を越える場合、使用量に見合う効果が得られないため、経済性の点で不利である。これら金属触媒は、反応終了後、反応液の濾過により容易に回収することができ、再利用することが可能である。
【0019】
反応温度は、好ましくは、150〜300℃、さらに好ましくは210〜250℃の範囲である。反応温度が150℃より低いと反応速度が遅く、また300℃より高いと副反応が起こりタール分等が生成し、収率低下の原因となる。反応時間は、反応温度により一概には言えないが、通常0.5〜20時間の範囲である。
【0020】
本発明の製造方法においては、ピリジン系化合物を、上記した金属触媒と併用することにより反応速度を促進することができる。ピリジン系化合物の使用量としては、原料として用いるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1重量部に対して、0.001〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部である。ピリジン系化合物の使用量が0.001重量部未満の場合、金属触媒と併用した効果が十分にみられず、またピリジン系化合物の使用量が0.1重量部を越える場合、経済的に不利であるばかりか目的物であるベンゾ[b]チオフェン誘導体との分離が困難となる。
【0021】
前記ピリジン系化合物としては、特に限定されないが、例えばピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、3−t−ブチルピリジン、4−t−ブチルピリジン、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、β−ピコリン、α−ピコリン、2,4,6−トリメチルピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン等が挙げられる。中でも、キノリン、イソキノリン、4−t−ブチルピリジンが好適に用いられる。
【0022】
予め、反応系に存在させ、溶媒として用いるベンゾ[b]チオフェン誘導体の使用量としては、特に限定されないが、通常、原料のベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1重量部に対して、0.1〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。ベンゾ[b]チオフェン誘導体の使用量が0.1重量部未満の場合は、溶媒としての作用、効果がみられず、また、ベンゾ[b]チオフェン誘導体の使用量が2重量部を越える場合、容積効率の面で好ましくない。また、このときに使用するベンゾ[b]チオフェン誘導体として、本発明の方法により得られたものを使用することが好ましい。
【0023】
以上、説明した本発明の方法によって、得られる下記一般式(2)で表されるベンゾ[b]チオフェン誘導体:
【化10】
Figure 0004590049
の代表例としては、ベンゾ[b]チオフェン、3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン、5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン、3−エチル−ベンゾ[b]チオフェン、5−エチル−ベンゾ[b]チオフェン、3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン、7−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン、4−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン、7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン、4−イオド−ベンゾ[b]チオフェン、6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン、3−クロロ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン、5,6−ジフルオロ−ベンゾ[b]チオフェン等が挙げられる。
【0024】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例になんら限定されるものではない。
【0025】
【実施例1】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに粉末状のベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸50g(0.28モル)および金属触媒として粉末状の銅2.5gを仕込み、210℃で10時間反応を行なった。反応開始直後は固体反応であったが、脱炭酸反応が進行するに従ってベンゾ[b]チオフェンが生成し、スラリー状態を経由して液体反応となった。反応終了後、主として、目的物であるベンゾ[b]チオフェンからなる反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留して、ベンゾ[b]チオフェン(沸点221〜222℃)33.8gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は90%であった。
【0026】
【実施例2〜4】
実施例1で用いた銅触媒に加えて、ピリジン系化合物であるキノリンを併用し、キノリンの反応促進効果をみた。すなわち、撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸50g(0.28モル)、表1に示した量のキノリンおよび銅を仕込み、210℃で所定時間反応を行なった。反応終了後、実施例1と同様にして、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留した結果、表1に示す収量、収率でベンゾ[b]チオフェンが得られた。キノリンを併用することにより、反応時間を大幅に短縮できたことが明らかである。
【0027】
【表1】
Figure 0004590049
【0028】
【実施例5】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸100g(0.56モル)、銅5gおよび溶媒としてのベンゾ[b]チオフェン20g(0.15モル)を仕込み、210℃で8時間反応を行なった。予め、ベンゾ[b]チオフェンが反応系に存在したため、その溶媒作用によりスラリー化が容易で、円滑に液体反応へ移行した。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留してベンゾ[b]チオフェン87.8gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は90%であった。
【0029】
【実施例6】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸100g(0.56モル)、銅5g、キノリン0.1gおよび溶媒としてのベンゾ[b]チオフェン20g(0.15モル)を仕込み、210℃で4時間反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留してベンゾ[b]チオフェン90.1gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は93%であった。
【0030】
【実施例7】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸40g(0.225モル)、ベンゾ[b]チオフェン40g(0.30モル)、キノリン0.3gおよび銅16gを仕込み、210℃で2時間反応した。得られた反応液に、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸80g(0.45モル)を添加し、引き続き210℃で4時間、反応を行なった。
【0031】
上記の反応終了後、さらにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸145g(0.815モル)を添加し、210℃で5時間、引き続き反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留してベンゾ[b]チオフェン225.5gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は93%であった。上記全反応時間は11時間であるが、反応単位時間当りの収量および容積効率が向上していることが明らかである。
【0032】
【実施例8】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸50g(0.28モル)および実施例1で回収した銅2.5gを仕込み、210℃で10時間反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留してベンゾ[b]チオフェン33.1gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は88%であった。この結果から、触媒として、銅は繰り返し使用できることが明らかとなった。
【0033】
【実施例9】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸100g(0.56モル)、ベンゾ[b]チオフェン20g(0.15モル)、4−t−ブチルピリジン1gおよび銅5gを仕込み、210℃で4時間反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留してベンゾ[b]チオフェン88.5gを得た。得られたベンゾ[b]チオフェンのベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は91%であった。
【0034】
【実施例10】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに粉末状の5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸100g(0.52モル)、溶媒としての5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン20g(0.14モル)、イソキノリン0.1gおよび銅5gを仕込み、210℃で5時間反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留して5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン90.9g(沸点105〜110℃(13torr))を得た。得られた5−メチル−ベンゾ[b]チオフェンの5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は92%であった。
【0035】
【実施例11】
撹拌機、温度計および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに粉末状の3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸100g(0.47モル)、溶媒としての3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン20g(0.12モル)、キノリン0.1gおよび銅5gを仕込み、210℃で8時間反応を行なった。反応終了後、反応液から銅を濾別し、得られた濾液を減圧蒸留して3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン92.2g(沸点111〜113℃(10torr))を得た。得られた3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェンの3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸に対する収率は91%であった。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、少なくとも反応開始時には固相である、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を金属触媒の存在下、好ましくはピリジン系化合物を併用して脱炭酸反応を行なうことにより、ベンゾ[b]チオフェン誘導体を簡便なプロセスで、高収率で製造することができる。さらに、反応系に予め、溶媒としてのベンゾ[b]チオフェン誘導体を存在させることにより、目的物であるベンゾ[b]チオフェン誘導体をより有利に製造することができる。

Claims (7)

  1. 予め、溶媒としてベンゾ[b]チオフェン誘導体を存在させて下記一般式(1):
    Figure 0004590049
    で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体を、金属触媒の存在下、脱炭酸反応させる下記一般式(2):
    Figure 0004590049
    で表されるベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法であって、
    反応生成物としてのベンゾ[b]チオフェン誘導体を上記溶媒として使用することを特徴とするベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法
  2. 上記脱炭酸反応を150〜300℃に加熱して行なう請求項1記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
  3. 上記金属触媒の使用量がベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1重量部に対して0.001〜1重量部である請求項1または2記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
  4. 上記脱炭酸反応をベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体1重量部に対して0.001〜1重量部の金属触媒に加えて、ピリジン系化合物0.001〜0.1重量部を存在させて行なう請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
  5. 上記金属触媒が銅である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
  6. 上記ピリジン系化合物がキノリン、イソキノリンおよび4−t−ブチルピリジンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項4または5に記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
  7. 上記一般式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸誘導体がベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸である請求項1ないしのいずれか1項に記載のベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法。
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