JP4589556B2 - 操作ノブの位置調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車両の操作レバーの操作ノブの位置調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は作業車両の一例としてのブルドーザ70の側面図である。図11に示すように、走行装置71には車体72が搭載されており、車体72の床面73には運転室74が搭載されている。車体72の前部には前方作業機の一例として土工板75が取着され、車体72の後部には後方作業機の一例としてリッパー76が取着されている。土工作業は一般にリッパー76で硬岩を破砕し、土工板75で破砕した土石を運土することが行われる。すなわち、オペレータは前方の土工板75と後方のリッパー76との作動操作及び車両の走行操作を同時に行う必要がある。
【0003】
図12は運転室74の内部の平面図である。床面73に載置されたオペレータシート80の前方を向いて左方に床面73に固設された左フロアフレーム81が設けられ、左フロアフレーム81には走行操作レバー82が配設されている。
また、オペレータシート80の右方には右フロアフレーム83が設けられ、右フロアフレーム83には土工板75を操作する土工板操作レバー84と、リッパー76を操作するリッパー操作レバー85とが、互いに前後に離間して配設されている。オペレータはそれぞれの操作レバーの上端部に取着された操作ノブ30を把持し、前後左右に傾倒させて運転操作を行う。
【0004】
車体前方の土工板75を使用して作業する場合には、オペレータは車両に対して真っ直ぐ前方を向いて作業する方が、視界性、安全性、操作性の面で有利である。しかし、車体後方のリッパー76を使用して作業する場合には、オペレータは後方のリッパー76を見る必要がある。この場合、オペレータは真っ直ぐ前方を向いた姿勢から後方を見るためには必要以上に体をねじる必要があり、苦痛を伴う。この問題を解決するために、図12の細い2点鎖線に示すように、オペレータシート80を所定の角度だけ回動して斜めにし、後方を見易くする手段が従来から用いられている。ところが、このような手段によりオペレータは必要以上に体をねじる必要は無くなったが、オペレータの体格の違いにより操作ノブ30の最適位置には差異が生じる。また、オペレータによってはオペレータシート80を回動させずにリッパー76を操作することもあり、その時のリッパー操作レバー85の操作ノブ30の位置は最適位置から大きくずれることになる。このため、従来より操作ノブ30の位置を調整可能としたものが提案されている。
【0005】
その一例として特開平7−182062号公報に開示されたものがある。同公報によれば、図13に示すように、切換弁90に連結され、かつほぼ直立して設けられた基端ロッド91の上端部には、基端ネジロッド92が取着されている。基端ネジロッド92の上部に設けた頭部93には、所定長さを有する連結部材95の下部に長手方向に形成され、かつ下方に向けて開口した褶動溝96が褶動自在に係合している。これにより、連結部材95は基端ネジロッド92上をほぼ水平に褶動可能となっている。また、連結部材95の上面の長手方向一端部には操作ノブ30が取着されている。基端ネジロッド92には締結ナット94が螺合しており、頭部93と締結ナット94とにより、連結部材95の褶動溝96の開口端部に設けられたオーバハング97を挟んで締着するようになっている。
【0006】
操作ノブ30の位置を調整する場合には、締結ナット94を弛めて連結部材95を基端ネジロッド92の頭部93に対してフリーにし、連結部材95を頭部93を中心に回動させたり、長手方向に褶動させて操作ノブ30の位置を所望の位置に移動させ、締結ナット94により固定する。
【0007】
また、他の従来例として特開平9−12270号公報に開示されたものがあり、図14に同公報に記載された操作ノブ位置調整装置の正面図を示す。同公報によると、複数の並列に配置されたパイロット弁90aと、各々のパイロット弁90aに取着された操作弁ロッド91aに所定間隔離間して付設された操作ノブ30とを有するパイロット弁用操作装置において、操作弁ロッド91aと、操作ノブ30との間に操作ノブ30の所定間隔の距離を調整する長孔溝97を有する調整用レバー98を配置した構成としている。これにより、並列に配置された複数の操作ノブ30間の距離L1,L2を、前記長孔溝97を利用して調整可能とするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点がある。
1)特開平7−182062号公報に開示された技術によれば、締結ナット94が連結部材95よりも下側に位置しているため、操作ノブ30の位置調整時の締結ナット94の締め付け及び解除の作業がやりにくい。特に、操作ノブ30の下方に切換弁90を覆うための防塵用のブーツを設けた場合には締結ナット94はブーツに被覆されるので、調整の都度ブーツを剥ぐ必要があり、調整作業が非常に面倒である。また、操作ノブ30の位置調整時の締結ナット94の締め付け及び解除の作業に工具を必要とするので、手軽に位置調整ができない。
2)特開平9−12270号公報に開示された技術によれば、操作弁ロッド91aの中心軸と操作ノブ30の中心軸を同一軸線上に配置することができないため、必要な調整量(長孔溝97の長さ)以上に調整用レバー98の長さが長くなり、調整装置が大きくなると共に、操作ノブ30の操作時に操作弁ロッド91aと調整用レバー98との締結部に作用するモーメントが大きくなって、締結部が弛み易くなる。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に着目し、操作ノブの位置調整が工具無しで行え、しかも位置調整部の締結部が弛む畏れのない操作ノブの位置調整装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1発明は、車体の床面に載置されたオペレータシートの左右の少なくともいずれか一側方に設けられ、かつ車両の走行や作業機等のアクチュエータを操作する制御弁レバーの操作ノブのオペレータシートからの相対位置を調整可能とする作業車両の操作ノブの位置調整装置において、ガイドリンクと、結合部材と、スライド係止手段とを備えた構成としている。ガイドリンクは、リンク部とロッドとを有する。リンク部は、上下の少なくともいずれか一側に略水平なスライド面を有し、スライド面に沿ったスライド方向に対して直交する略水平方向に貫通しており、スライド方向を長手とする長孔が設けられている。ロッドは、リンク部の上部においてスライド方向に沿った方向における一端部に結合され、上部が操作ノブに結合される。結合部材は、上部がガイドリンクのスライド面にスライド自在に係合し、かつガイドリンクの長孔の貫通方向のねじ部を有し、下部が制御弁の操作軸に結合されている。スライド係止手段は、ガイドリンクの長孔を通って、結合部材の上部に設けたねじ部によりガイドリンクを結合部材の一側面に係止する。また、ガイドリンクの断面形状がロッドの中心軸に対して長孔の貫通方向に対称に構成されており、ガイドリンクを反転して結合部材に取付可能となっている。
【0011】
第1発明によれば、上部に操作ノブを結合したガイドリンクに、略水平な一方向(例えば前後方向)のスライド方向に沿って、上下の少なくともいずれか一側に略水平なスライド面を形成し、このスライド面に、下部が制御弁の操作軸に結合された結合部材の上部に設けたスライド係合部を係合させてガイドリンクを結合部材にスライド自在に取付け、操作ノブを移動自在とした。また、ガイドリンクにスライド方向に対して左右(直交方向)に貫通したスライド方向を長手とする長孔を設け、この長孔を通るスライド係止手段によって貫通方向のねじでガイドリンクを結合部材に係止することにより、操作ノブが所望の位置に調整可能となる。従って、オペレータの体形や操作姿勢に適した位置に操作ノブを調整できるので、作業能率の向上とオペレータの疲労低減ができる。
また、ガイドリンクの上下の少なくともいずれか一側の略水平なスライド面と結合部材のスライド係合部とを当接、係合させるようにし、そしてスライド方向に対して左右方向のねじで結合部材に係止する構成なので、スライド機構部及びその係止部の構造が簡単となる。特に、スライド方向に対して左右方向に貫通した前記長孔の上下面をスライド面とする構成においては、ガイドリンクの断面構造がシンプルで、加工が非常に容易になるから、コストを安くでき、しかもスライド面に異物が堆積し難い。
また、ガイドリンクのスライド面のスライド方向長さの範囲内に操作ノブの中心軸を設けることができ、よって操作ノブの中心軸と制御弁操作軸とを同一軸線上に配置できるので、ガイドリンクの前後方向長さを縮小化できる。さらに、ガイドリンクの前後方向長さを短くすることにより、操作ノブ操作時にガイドリンク及びスライド係止部に作用するモーメントが小さくなり、スライド係止部に弛みが発生し難い。
従って、操作ノブの位置調整装置をコンパクトにでき、しかも信頼性を向上できる。
【0012】
第2発明は、第1発明において、前記結合部材は、上部に前記ガイドリンクのスライド面をスライドする略水平なスライド面を有する第1結合部材と、上部が第1結合部材の下部に連結され、下部に前記制御弁の操作軸の結合を廻り止めする固定機構を有する第2結合部材とを備え、前記スライド係止手段よりも下方に、前記制御弁を覆うシール部材を設けた構成としている。
【0013】
第2発明によれば、結合部材の上部に設けた略水平なスライド面によりガイドリンクの略水平なスライド面をスライドするようにしたので、スライド時に操作ノブが傾き難くなるからスライドがスムースに行なえ、操作ノブ位置の調整作業が容易にできる。また、結合部材は第1結合部材と第2結合部材とが連結されて構成されているため、第1結合部材にシール部材(ブーツ等)を装着した後に、第1結合部材と第2結合部材とを連結することができるので、従来の一体ものの場合よりもシール部材の装着が容易となる。また、スライド係止手段よりも下方に該シール部材を設けたので、操作ノブの位置調整時にシール部材をめくったり、取り外したりする必要がなく、しかも、調整部が目視できるので調整作業や位置確認が容易である。
また、第2結合部材は下部に廻り止めする固定機構を有しているので、操作ノブ操作時に、第2結合部材と制御弁操作軸との連結に弛みが発生しない。
【0014】
第3発明は、第1発明において、前記スライド係止手段は、前記結合部材の上部に設けたねじ部との螺合によりガイドリンクの両側面を挟持して、ガイドリンクを任意の位置で結合部材に係止可能とし、前記螺合を操作するロックノブを有する構成としている。
【0015】
第3発明によれば、スライド係止手段は、結合部材に螺合してガイドリンクの両側面を挟持することによりガイドリンクを任意の位置で結合部材に係止するように構成し、この螺合の操作をロックノブで行なうようにしたので、操作ノブの位置調整時に工具を必要とせず、操作ノブの位置調整が容易である。また、ロックノブの螺合軸心が略水平方向を向いているので、ロックノブの操作時に掌の姿勢に無理がなく、ロックノブを充分に締め込むことができ、スライド係止部が弛むことはない。更に、ロックノブの螺合軸心が略水平方向つまり操作ノブ軸心に対して直交する方向であることから、該ロックノブは操作ノブの側方に位置するので、操作ノブの操作時にロックノブが邪魔になることはない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る操作ノブの位置調整装置の実施形態を図1乃至図10により説明する。
先ず、第1実施形態について、図1乃至図4により説明する。図1は操作ノブの位置調整装置の側面図、図2は図1のZ視図、図3は図2のA−A断面図、また図4は図1のB−B断面図である。
図1に示すように、操作レバー装置は、操作ノブ30と制御弁操作軸61との間に本発明の操作ノブの位置調整装置1を介装しており、操作ノブ30を前後左右に揺動操作することにより、制御弁操作軸61が回動支点Pを中心として揺動し、制御弁60の開閉操作が行われるようになっている。なお、Gは操作ノブ30の操作力中心である。
操作ノブの位置調整装置1は、結合部材2と、結合部材2に褶動自在に係合するガイドリンク3と、ガイドリンク3を任意の位置で結合部材2に固定するスライド係止手段4とにより構成されており、以下それぞれについて説明する。
図3に示すように、結合部材2は、第1結合部材11と第2結合部材21とを2個の穴付ボルト12で締結して一体としている。第1結合部材11の上部には左右方向一側に端面Saを形成してあり、この端面Sa部から左右方向に突出し、かつ上下に互いに平行な1対のスライド面Fa,Fbを有するブロック11aが設けられている。1対のスライド面Fa,Fbがそれぞれガイドリンク3の長孔32aの上下のスライド面Ga,Gbに当接するように、ブロック11aが長孔32a内にスライド自在に挿入されている。操作ノブ30が基準位置にある時、ブロック11aのスライド係合部中心Rは操作ノブ30の中心軸線M上にあるように配置されている。
【0017】
また、ブロック11aの下方で、第2結合部材21との締結部の上方にはブーツ保持溝11bが設けられ、ブーツ保持溝11bにブーツ52の上端部52aが保持されている。ブーツ保持溝11bの下部外径Dはブーツ上端部52aの穴径dよりも僅かに大きくしてあり、ブーツ52の上端部52aをブーツ保持溝11bに挿入後に、第1結合部材11と第2結合部材21とを締結するようにしている。
図1に示すように、ブーツ52の下縁52bはフロアフレームの上板50に取着されており、ブーツ52により結合部材2や制御弁60を被覆し、塵埃等から保護している。尚、塵埃等のシール部材としては、上記ブーツ52に限定されないことは勿論である。
【0018】
第2結合部材21は下部のボス22部において、フロアフレームの下板51に取着された制御弁60の回動支点Pに取着された制御弁操作軸61にボルト23で固定されている。すなわち、図4に示すように、ボス22部には制御弁操作軸61に嵌合する軸穴22a及び軸方向の割り溝22bが設けてあり、軸穴22aに制御弁操作軸61を嵌入後にボルト23により割り締めしている。また、ボス22部の下面には突出したプレート22cが設けてあり、プレート22cが制御弁操作軸61の外周端面に当接して位置決めされると共に、廻り止めされている。
なお、図1,3においては、操作ノブ30が基準位置にある時、結合部材2は操作ノブ30の中心軸線Mと制御弁操作軸61の中心軸線Nとの間に所定角γを持たせているが、中心軸線MとNを一致(γ=0)させてもよい。
【0019】
図3に示すように、ガイドリンク3は、先端部にオネジ部31aを有するロッド31と、ロッド31の下端部に固設されたリンク部32とにより構成されている。リンク部32には左右に貫通した、前後方向を長手とする長孔32aが設けられ、この長孔32aの上下2面をスライド面Ga,Gbとしている。そして、このスライド面Ga,Gbを第1結合部材11のスライド面Fa,Fbに褶動自在に嵌入させている。
ロッド31のオネジ部31aには操作ノブ30が螺合し、ロックナット33により操作ノブ30の位置が固定される。
【0020】
図2,3に示すように、スライド係止手段4は、カラー41と、スペーサ42と、ロックノブ43とを備えている。ガイドリンク3のスライド面Ga,Gbを第1結合部材11のスライド面Fa,Fbに嵌入した状態で、カラー41、スペーサ42を介してロックノブ43のオネジ部43aを第1結合部材11のブロック11aのメネジ部11cに螺合させて締付けている。これにより、ガイドリンク3は左右側面Ta,Tbを第1結合部材11の上部の端面Saとカラー41の先端面Sbとにより挟持されて、第1結合部材11に固定されている。ここで、ロックノブ43の中心軸Sとガイドリンク3の長孔23aのスライド中心軸Qとは同一面(略水平面)内にある。
【0021】
次に、本実施形態の作用について、図1乃至図3により説明する。
操作ノブ30の位置を調整する場合には、図2,3において、ロックノブ43を手で弛めてガイドリンク3のスライド面Ga,Gbを第1結合部材11のスライド面Fa,Fbに対して褶動自在にし、操作ノブ30を目標の調整位置まで移動させ、次いでロックノブ43を手で締め込み、ガイドリンク3を第1結合部材11に固定すれば、位置決めが完了する。
【0022】
図1においては、実線で示すように、操作ノブ30が基準位置から後方へ最大L/2だけ調整できるようにガイドリンク3の向きをセットしてあるが、図2に示すようにガイドリンク3の断面形状を中心軸に対して左右対称に構成しているため、ガイドリンク3を反転してセットすれば、前方へ最大L/2だけ調整できるようになる。すなわち、図2において、ガイドリンク3のTb面を第1結合部材11のSa面に、Ta面をカラー41のSb面に当接させて、ロックノブ43のオネジ部43aを第1結合部材11のブロック11aのメネジ部11cに螺合させればよい。反転を含めて調整範囲は前後で最大Lとなる。
【0023】
次に、本実施形態の効果について、図1乃至図4により説明する。
(1)図1乃至図3に示すように、ガイドリンク3は、上部が操作ノブ30に結合し、下部に左右方向に貫通し、かつ前後方向を長手とする長孔32aを有し、この長孔32aの上下面をスライド面Ga,Gbとし、このスライド面Ga,Gbを結合部材2の上部に有するブロック11aの上下1対のスライド面Fa,Fbに係合し、左右方向のねじで結合部材2に係止するので、ガイドリンク3と結合部材2との連結構造が簡単になる。また、左右方向に貫通した長孔32a内に異物が入り難いので、上記スライド面に異物が堆積しにくい。
【0024】
ガイドリンク3の長孔32aが左右方向に貫通し、かつ前後方向に長いため、操作ノブ30を長孔32aの前後方向長さの範囲内のガイドリンク3上面に立設でき、これによりガイドリンク3の前後方向の長さKは長孔32aの必要長さのみを考慮すればよい。従って、操作ノブ30が基準位置にある時に、操作ノブ30の中心軸線M上に結合部材2のブロック11aのスライド係合部中心Rを配置できる、即ち操作ノブ30の中心軸線と結合部材2の中心軸線とを一致させることができ、ガイドリンク3の長さKを最短化することができる。これにより、操作ノブ30操作時にスライド係止部に作用するモーメントが小さくなり、スライド係止部に弛みが発生し難い。さらに、ロックノブ43の中心軸Sとガイドリンク3の長孔23aのスライド中心軸Qとを同一面内にあるようにしたので、ロックノブ43によるガイドリンク3の締め付け力が一様になり、スライド係止部に弛みが発生しない。
これらにより、操作ノブの位置調整装置1はコンパクトにでき、しかも信頼性を向上できる。
【0025】
(2)図3に示すように、結合部材2は、第1結合部材11と第2結合部材21とを連結した構成となっているため、第1結合部材11のブーツ保持溝11bにブーツ52の上端52aを装着後に、第1結合部材11と第2結合部材21とを連結することができる。この結合部材が上記のように分割可能ではなく一体ものであった従来の場合には、ブーツ52を該一体の結合部材に装着した後に結合部材の下端部を制御弁操作軸61の端部に連結する際、その操作軸端がフロアフレームの上板50よりも下方に有るから連結作業がやり難いことがあるし、又は、該一体の結合部材を制御弁操作軸61の端部に連結した後にブーツ52を装着する際には組立て現場での作業工程が多くなり作業性が良くない。本実施形態によると、上記のようにブーツ52を第1結合部材11に装着したものをパーツとして現場で連結するだけですみ、しかも第1結合部材11と第2結合部材21との連結部はフロアフレームの上板50よりも上方にあるので、ブーツ52の装着作業を従来に比して容易にできる。さらに、ブーツ52の上端部をスライド係止手段4よりも下方に装着するようにしたので、操作ノブ30の位置調整時にブーツ52をめくったり、取り外す必要がなく、しかも、調整部が目視できるので調整作業及び位置確認が容易である。
ブーツ保持溝11bの下部外径Dはブーツ上端部52aの穴径dよりも僅かに大きくしたので、簡単なブーツ保持溝11bでブーツ52を確実に保持することができる。
また、図1,4に示すように、第2結合部材21の下端部に廻り止めプレート22cを設け、制御弁操作軸61の外周端面に当接させているので、操作ノブ30操作時に、第2結合部材21と制御弁操作軸61との間に弛みが発生することはない。
【0026】
(3)図2に示すように、スライド係止手段4は、ロックノブ43でオネジ部43aを締付けることにより、ガイドリンク3の左右側面Ta,Tbを挟持して第1結合部材11に固定するようにしたため、操作ノブ30の位置調整時に工具を必要としないので、位置調整が容易である。また、ロックノブ43の中心軸Sが左右方向(水平方向)を向いているので、掌を自然に下げた状態でロックノブ43を操作でき、掌の姿勢に無理がなくなるためロックノブ43を充分締め込むことができ、よってスライド係止部4が弛むことはない。更に、ロックノブ43の中心軸Sが左右方向にあることによりロックノブ43は操作ノブ30の左右側方に位置するため、操作ノブ30の操作時にロックノブ43が邪魔になることはない。
【0027】
次に、第2実施形態について、図5,6により説明する。図5は第2実施形態のガイドリンク部を示す図であり、図6は図5のC−C断面図である。尚、これらの図では第1実施形態の構成要素と同じ構成に同一符号を付し、以下での説明を省き、以後も同様とする。
図5,6に示すように、ガイドリンク3Aは上部板3aと下部板3bの中央間を縦板3cでつないでI形断面とし、上部板3aと下部板3bの互いに対向する内面をそれぞれスライド面Da,Dbとする。また、第1結合部材11Aの上部には左右方向に突出した凸ブロック部11dが設けられ、凸ブロック部11dの上下2面に形成したスライド面Ea,Ebを前記ガイドリンク3Aの左右一側のスライド面Da,Dbに係合させている。そして、ガイドリンク3Aの縦板3cの中央部にはロックノブ43のオネジ部43aが左右方向に貫通できるように前後方向を長手とする長孔3dが穿孔されている。カラー41Aを介してロックノブ43のオネジ部43aを第1結合部材11Aのメネジ部11cに螺合させて締付けることにより、ガイドリンク3Aの縦板3cの左右側面Va,Vbを第1結合部材11Aの凸ブロック部11dの先端面Uaとカラー41Aの先端面Ubとにより挟持し、第1結合部材11Aに固定させている。
【0028】
本実施形態の作用、効果は第1実施形態と略同一であるが、異なる作用、効果を以下に説明する。
第1結合部材11Aの凸ブロック部11dの上下のスライド面Ea,Ebを、I形断面に形成したガイドリンク3Aの内側上下のスライド面Da,Dbに係合させてスライドするようにしたので、ガイドリンク3Aの前後方向長さK0 の範囲内でスライドできる。従って、この長さK0 が図3に示す第1実施形態のガイドリンク3の長さKと等しい場合でも、実質のスライド可能範囲を長くできる。言い換えると、同一のスライド可能範囲長さである場合には第1実施形態のガイドリンク3の長さKよりもガイドリンク3Aの長さK0 を短く、小型化できる。また、ガイドリンク3A及び第1結合部材11Aの加工も容易で、コストを安くできる。
【0029】
次に、第3実施形態について、図7により説明する。図7は第3実施形態のガイドリンク部を示す図である。
図7に示すように、ガイドリンク3Bは上部板3eの中央部を縦板3fとつないでT形断面とし、上部板3eの内面(下面)をスライド面Haとして、第1結合部材11Bの上端面に設けられたスライド面Jaに当接させて係合させている。そして、縦板3fの中央部にはロックノブ43のオネジ部43aが左右方向に貫通できるように前後方向を長手とする長孔3d(側面は図5に示すものと同一)が穿孔されている。カラー41Aを介してロックノブ43のオネジ部3aを第1結合部材11Bのメネジ部11cに螺合させて締付けることにより、ガイドリンク3Bの縦板3fの左右側面Ra,Rbを第1結合部材11Bの上端内側端面のQa面とカラー41Aの先端面のUb面とにより挟持し、第1結合部材11Bに固定させている。
本実施形態の作用、効果は第2実施形態と略同一であるが、異なるものについて特に説明する。第1結合部材11Bの上端面に設けたスライド面Jaを、T形断面に形成したガイドリンク3Bの上部板3eの下面のスライド面Haに当接させてスライドするようにしたので、第2実施形態と同様にガイドリンク3Bの前後方向長さK0 (図5と同様なので、図示せず)の範囲内でスライドできる。従って、前述の如く第1実施形態のガイドリンク3の長さKよりもガイドリンク3Bの長さK0 を短く、小型化できる。また、第2実施形態よりも構造が更に簡単であり、ガイドリンク3B及び第1結合部材11Bの加工も容易で、コストを安くできる。
【0030】
次に、図8により第4実施形態を説明する。図8は、本実施形態の操作ノブの位置調整装置の正面図である。同図において、ガイドリンク3の上下のスライド面Ga,Gbのスライド方向及び長孔32aの長手方向が操作方向の左右方向となるようにガイドリンク3を設け、これに係合する係合部材2の上部のブロック11aを前後方向に突設している。そして、ブロック11aの上下1対のスライド面Fa,Fbが上記ガイドリンク3の上下のスライド面Ga,Gbに当接して左右方向にスライド自在に係合している。また、スライド係止手段4のロックノブ43の軸心方向は前後方向に設けられ、図2に示したものと同様に第1結合部材11のブロック11a部に設けたメネジ部11cとロックノブ43の先端部のオネジ部とを螺合して締付けることにより、ガイドリンク3はその前後側面Ta,Tbを第1結合部材11の上部の端面Saとカラー41の先端面Sbとにより挟持されて、第1結合部材11に固定される。
【0031】
本実施形態で示したように、ガイドリンク3のスライド方向、即ち操作ノブの位置調整方向が左右方向である場合にも、これまでと同様の効果が得られ、位置調整を容易にできる。ロックノブ43の軸心方向が前後方向(水平方向)であるから、掌を自然に下げた状態で調整できるため、締付け力が充分に得られ弛むことがない。
【0032】
次に、図9により、これまでの実施形態における第1、第2結合部材11,12間の連結部の他実施態様を説明する。
図9に示すように、第1結合部材11Dの下部にプレート11eを突設し、このプレート11eを第2結合部材21Aの上部に設けたヨーク21e内に挿入し、両者間をボルト12Aとナット13で締結して連結してもよい。プレート11e基端側の第1結合部材11Dの下端面とヨーク21eの上端面とを当接させて、締結時の回り止めとしている。これにより、前実施形態よりも組立性を向上できる。
【0033】
次に、図10により、これまでの実施形態における操作ノブ固定手段の他実施態様を説明する。図10は締結ハンドルを示す斜視図である。
前実施形態における操作ノブ30と、ガイドリンク3,3A,3Bのロッド31との螺合部のロックナット33に代えて、直径の大きい締結ハンドル33Aを使用してもよい。これにより、スパナ等の工具を使用することなく、指の力で操作ノブ30の固定や解除が容易にできるので、例えば操作ノブ30に方向性があって、しかも操作ノブ30の位置調整時のガイドリンク3,3A,3Bの反転が頻繁に行われるような場合には、短時間で作業できるので、作業性が良い。
【0034】
以上説明したように、本発明による操作ノブの位置調整装置によれば、以下のような効果を奏する。
上部に操作ノブを結合したガイドリンクの下部に、操作ノブのスライド方向(水平面内の一方向であって、例えば前後方向)に沿って略水平なスライド面を上下の少なくともいずれか一側に形成し、ガイドリンクのこのスライド面を結合部材の略水平なスライド面に当接、係合させて水平方向(例えば前後方向)に移動自在とし、所望のスライド位置でスライド係止手段によりガイドリンクを、スライド方向に直交する略水平方向(例えば左右方向)で結合部材に係止することにより、操作ノブが所望の位置に調整される。従って、オペレータの体形や操作姿勢に適した位置に操作ノブを調整できるので、作業能率の向上とオペレータの疲労低減を図ることができる。
【0035】
ガイドリンクは、下部のスライド部に、スライド方向に対して左右に貫通し、かつスライド方向を長手とする長孔を有し、この長孔を経由して前記結合部材にガイドリンクを締付け位置決めするフライド係止手段を構成し、上下の少なくともいずれか一側に略水平なスライド面を有する構成であるから、ガイドリンクの構造が簡単になり、コストを安くできる。特に、前記長孔の上下面をスライド面とする構成においては、ガイドリンクの断面形状がシンプルになるので構造が非常に簡単で、製作が容易である。また、スライド面に異物が入り難く、堆積しにくい。
【0036】
ガイドリンクのスライド方向の軸線に直交する方向(例えば前後方向スライドに対して上下方向)に操作ノブの軸線を設けたため、ガイドリンクのスライド面を有する長さの範囲以内に操作ノブを取付けることができる。これにより、操作ノブ位置がスライド面の範囲内にあるため、操作ノブの中心軸線上に結合部材のスライド係合部中心を配置できるので、ガイドリンクのスライド方向長さを必要なスライド長さと等しくして最短化することができる。
また、ガイドリンクを短くすることにより、操作ノブ操作時にガイドリンクおよびスライド係止部に作用するモーメントが小さくなり、スライド係止部に弛みが発生し難い。
これらにより、操作ノブの位置調整装置はコンパクトになり、かつ信頼性が高い。
【0037】
また、結合部材は、第1結合部材と第2結合部材とから構成されているため、第1結合部材にシール部材(ブーツ)を装着後に、第1結合部材と第2結合部材とを結合できるので、第1結合部材の最適位置にシール部材を装着できると共に、操作ノブを含む操作レバーとシール部材とのアッセンブリ組立により組立性を向上できる。また、スライド係止手段より下方にシール部材を配設したので、操作ノブの位置調整時にシール部材を取り外す必要がなく、しかも、調整部が目視できるので調整作業が容易である。
また、第2結合部材は下端に廻り止め固定機構を有しているので、操作ノブ操作時に、第2結合部材と制御弁操作軸との間に弛みが発生しない。
【0038】
また、スライド係止手段は、ガイドリンクの両側面を挟持して第1結合部材に螺合し係止するための手締め式のロックノブを有しているため、操作ノブのスライド時に工具を必要としないので、操作ノブの位置調整が容易である。また、ロックノブの螺合軸心が水平方向にあるので、ロックノブの操作時に掌の姿勢に無理がなく、ロックノブを充分に締め込むことができ、よってスライド係止部が弛むことはない。更に、ロックノブが操作ノブの側方に位置するようにしたから、操作ノブの操作時にロックノブが邪魔になることはなく操作性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の操作ノブの位置調整装置の側面図である。
【図2】図1のZ視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のガイドリンク部を示す図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態のガイドリンク部を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態の操作ノブの位置調整装置の正面図である。
【図9】第1、第2結合部材間の連結部の他実施態様を示す図である。
【図10】操作ノブ固定手段の他実施態様を示す図である。
【図11】適用機械例の側面図である。
【図12】適用機械の運転室内の平面図である。
【図13】従来の操作ノブ位置調整装置の斜視図である。
【図14】従来の操作ノブ位置調整装置の正面図である。
【符号の説明】
1…位置調整装置、2…結合部材、3,3A,3B…ガイドリンク、4…スライド係止手段、11,11A,11B,11D…第1結合部材、11a…ブロック、11b…ブーツ保持溝、11c…メネジ、12,12A…穴付ボルト、21,21A…第2結合部材、22…ボス部、22a…軸穴、22b…割り溝、22c…プレート、23…ボルト、30…操作ノブ、31…ロッド、31a…オネジ部、32…リンク部、32a…長孔、33…ロックナット、33A…締結ハンドル、41,41A…カラー、42…スペーサ、43…ロックノブ、43a…オネジ部、50…上板、51…下板、52…ブーツ(シール部材)、60…制御弁、61…制御弁操作軸。
Claims (3)
- 車体の床面に載置されたオペレータシートの左右の少なくともいずれか一側方に設けられ、かつ車両の走行や作業機等のアクチュエータを操作する制御弁(60)レバーの操作ノブ(30)のオペレータシートからの相対位置を調整可能とする作業車両の操作ノブの位置調整装置において、
上下の少なくともいずれか一側に略水平なスライド面(Ga,Gb,Da,Db) を有し、前記スライド面(Ga,Gb,Da,Db)に沿ったスライド方向に対して直交する略水平方向に貫通しており前記スライド方向を長手とする長孔(32a,3d)が設けられたリンク部(32)と、前記リンク部(32)の上部において前記スライド方向に沿った方向における一端部に結合され上部が前記操作ノブ(30)に結合されるロッド(31)と、を有するガイドリンク(3,3A) と、
上部が前記ガイドリンク(3,3A) のスライド面(Ga,Gb,Da,Db) にスライド自在に係合し、かつ前記ガイドリンク(3,3A) の長孔(32a,3d) の貫通方向のねじ部(11c)を有し、下部が前記制御弁(60)の操作軸(61)に結合された結合部材(2) と、
前記ガイドリンク(3,3A) の長孔(32a,3d) を通って、結合部材(2) の上部に設けたねじ部(11c)によりガイドリンク(3) を結合部材(2) の一側面に係止するスライド係止手段(4) と
を備え、
前記ガイドリンク(3)の断面形状が前記ロッド(31)の中心軸(A)に対して前記長孔(32a,3d) の貫通方向に対称に構成されており、前記ガイドリンク(3)を反転して前記結合部材(2)に取付可能となっている、
操作ノブの位置調整装置。 - 請求項1記載の操作ノブの位置調整装置において、
前記結合部材(2) は、上部に前記ガイドリンク(3,3A) のスライド面(Ga,Gb,Da,Db) をスライドする略水平なスライド面(Fa,Fb,Ea,Eb) を有する第1結合部材(11,11A,11B)と、上部が第1結合部材(11,11A,11B)の下部に連結され、下部に前記制御弁(60)の操作軸(61)の結合を廻り止めする固定機構(22c) を有する第2結合部材(21)とを備え、
前記スライド係止手段(4) よりも下方に、前記制御弁(60)を覆うシール部材(52)を設けた
ことを特徴とする操作ノブの位置調整装置。 - 請求項1記載の操作ノブの位置調整装置において、
前記スライド係止手段(4) は、前記結合部材(2) の上部に設けたねじ部(11c)との螺合によりガイドリンク(3,3A) の両側面(Ta,Tb) を挟持して、ガイドリンク(3,3A) を任意の位置で結合部材(2) に係止可能とし、前記螺合を操作するロックノブ(43)を有する
ことを特徴とする操作ノブの位置調整装置。
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