JP4589012B2 - 細胞培養用パターニング基板 - Google Patents
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Description
上記細胞培養領域は、上記細胞接着層が形成された細胞接着部と、パターン状に形成され、かつ細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部とを有し、上記細胞接着補助部は、上記細胞接着部に細胞を付着させた際、上記細胞接着補助部に隣接する2つの上記細胞接着部上の細胞どうしが、上記細胞接着補助部上で結合し得るように形成されていることを特徴とする細胞培養用パターニング基板を提供する。
上記細胞接着層は、端部が凹凸を有するパターン状に形成されていることを特徴とする細胞培養用パターニング基板を提供する。
まず、本発明の細胞培養用パターニング基板の第1実施態様について説明する。本発明の細胞培養用パターニング基板の第1実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、細胞を培養する領域であり、かつ細胞と接着性を有する細胞接着層を含有する細胞培養領域とを有する細胞培養用パターニング基板であって、
上記細胞培養領域は、上記細胞接着層が形成された細胞接着部と、パターン状に形成され、かつ細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部とを有し、上記細胞接着補助部は、上記細胞接着部に細胞を付着させた際、上記細胞接着補助部に隣接する2つの上記細胞接着部上の細胞どうしが、上記細胞接着補助部上で結合し得るように形成されているものである。
まず、本実施態様の細胞培養用パターニング基板における細胞培養領域について説明する。本実施態様における細胞培養領域は、細胞を培養するために形成される領域であって、細胞と接着性を有する細胞接着層が形成された細胞接着部と、パターン状に形成され、かつ細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部とを有する領域である。
以下、このような細胞培養領域を構成する細胞接着部および細胞接着補助部について、それぞれ説明する。
まず、本実施態様に用いられる細胞接着部について説明する。本実施態様における細胞接着部は、細胞培養領域内において、基材上に、細胞と接着性を有する細胞接着層が形成された領域である。上記細胞接着層は、細胞と接着性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な細胞培養用パターニング基板に用いられる、細胞と接着性を有する層を用いることができる。本実施態様においては、このような細胞接着層をパターン状に形成することによって、細胞接着部とすることができ、例えば細胞と接着性を有する材料を含有する細胞接着層形成用塗工液をパターン状に塗布等することによって、細胞接着部を形成することができる。また、上記細胞接着層形成用塗工液を細胞培養領域全面に形成し、フォトリソグラフィー法等によって細胞接着部を形成することもできる。
次に、本実施態様における細胞培養領域の細胞接着補助部について説明する。本実施態様における細胞接着補助部は、上記細胞培養領域中にパターン状に形成され、かつ細胞と接着することを阻害するものであって、上記細胞接着部に細胞を付着させた際、細胞接着補助部に隣接する2つの細胞接着部上の細胞どうしが、細胞接着補助部上で結合し得るように形成されているものであれば、特に限定されるものではない。
次に、本実施態様に用いられる基材について説明する。本実施態様に用いられる基材としては、上記細胞培養領域を形成可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば金属、ガラス、シリコン等の無機材料、およびプラスチックで代表される有機材料等を用いることができる。また、基材の可撓性や透明性等は細胞培養用パターニング基板の種類や用途等によって適宜選択される
次に、本実施態様の細胞培養用パターニング基板について説明する。本実施態様の細胞培養用パターニング基板は、上述した基材上に細胞培養領域が形成されているものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば遮光部等の部材が形成されているものであってもよい。
上述したように、本実施態様の細胞培養用パターニング基板の細胞培養領域に用いられる細胞接着層は、(1)エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着材料を含有するものであってもよく、また、(2)細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層を形成した後、エネルギー照射することにより、細胞接着阻害材料を分解または変性させることにより形成されたものであってもよい。
以下、それぞれについてわけて説明する。
まず、細胞接着層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着材料を含有するものである場合について説明する。このような細胞接着材料を含有する細胞接着層としては、以下の3つの態様が挙げられる。
以下、それぞれの態様ごとに説明する。
まず、細胞接着層が、光触媒および細胞接着材料を含有する光触媒含有細胞接着層であり、その光触媒含有細胞接着層にエネルギー照射された場合、光触媒含有細胞接着層自体に含有される光触媒の作用によって、細胞接着材料が分解または変性される場合について説明する。
まず、本態様の光触媒含有細胞接着層に含有される細胞接着材料について説明する。本態様の光触媒含有細胞接着層に含有される細胞接着材料は、細胞と接着性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性されるものであれば、その種類等は特に限定されるものではない。ここで、細胞と接着性を有するとは、細胞と良好に接着することをいい、細胞との接着性が細胞の種類によって異なる場合等には、目的とする細胞と良好に接着することをいう。
次に、本態様の光触媒含有細胞接着層に含有される光触媒について説明する。本態様に用いられる光触媒は、上述した細胞接着材料を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって分解または変性させることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。
本態様においては、光触媒含有細胞接着層中に、上記細胞接着材料や光触媒だけでなく、必要に応じて例えば、強度や耐性等を向上させるバインダ等を含有するものであってもよい。本態様においては、特にバインダとして、少なくともエネルギー照射された後に、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有する材料が用いられることが好ましい。これにより、エネルギー照射された領域である細胞接着補助部の細胞との接着性を低いものとすることができるからである。このような材料としては、例えばエネルギー照射される前から上記細胞接着阻害性を有するものであってもよく、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、細胞接着阻害性を有するものとなるものであってもよい。
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される有機基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
また、本態様においては、エネルギーが照射された領域の濡れ性の変化を起こさせること等により、細胞との接着性が低下する、もしくはそのような変化を補助する分解物質等を含有するものであってもよい。
次に、本態様における細胞接着補助部の形成方法について説明する。本態様においては、例えば図6に示すように、上記細胞接着材料および光触媒を含有する光触媒含有細胞接着層7に、例えばフォトマスク5等を用いてエネルギー6を、細胞接着補助部を形成するパターン状に照射することにより(図6(a))、細胞接着層7中に、細胞接着性材料が分解または変性されて、細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部4を形成することができる(図6(b))。この際、細胞接着補助部には、光触媒、および細胞接着材料の分解物や変性物等が含有されることとなる。
次に、少なくとも細胞接着材料を含有する細胞接着層が、光触媒を少なくとも含有する光触媒処理層上に形成されており、細胞接着層にエネルギーが照射された場合、細胞接着層中の細胞接着材料が、隣接する光触媒処理層中の光触媒の作用により分解または変性される場合について説明する。
まず、本態様に用いられる細胞接着層について説明する。本態様に用いられる細胞接着層は、少なくとも細胞との接着性を有する細胞接着材料を有する層であり、一般的に細胞との接着性を有する層として用いられる層を用いることができる。
次に、本態様に用いられる光触媒処理層について説明する。本態様に用いられる光触媒処理層は、少なくとも光触媒を含有する層であれば、特に限定されるものではなく、光触媒のみからなる層であってもよく、またバインダ等、他の成分を含有する層等であってもよい。
次に、少なくとも細胞接着材料を含有する細胞接着層が基材上に形成されており、エネルギー照射の際、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層等を細胞接着層と対向させて、エネルギーを照射することによって、細胞接着材料が対向する光触媒含有層中の光触媒の作用により分解または変性される場合について説明する。
まず、本態様に用いられる光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板について説明する。本態様に用いられる光触媒含有層側基板としては、通常、光触媒を含有する光触媒含有層を有するものであり、通常、基体と、その基体上に光触媒含有層が形成されているものである。この光触媒含有層側基板は、例えばパターン状に形成された光触媒含有層側遮光部やプライマー層等を有していてもよい。以下、本態様に用いられる光触媒含有層側基板の各構成について説明する。
まず、光触媒含有層側基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本態様に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、近接する細胞接着層中の細胞接着材料を分解または変性させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
また、実際に光触媒含有層に面する細胞接着層上の部分のみの、細胞接着材料が分解または変性されるものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒含有層と細胞接着層とが面する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
次に、光触媒含有層側基板に用いられる基体について説明する。通常、光触媒含有層側基板は、少なくとも基体とこの基体上に形成された光触媒含有層とを有するものである。この際、用いられる基体を構成する材料は、後述するエネルギーの照射方向や、得られるパターン形成体が透明性を必要とするか等により適宜選択される。
本態様に用いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
次に、本態様の光触媒含有層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本態様において、上述したように基体上に光触媒含有層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒含有層を形成して光触媒含有層側基板とする場合においては、上記光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成してもよい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本態様における細胞接着補助部の形成方法について説明する。本態様においては、例えば図10に示すように、細胞接着層7と、光触媒含有層側基板13の光触媒含有層12とを、所定の間隙をおいて配置し、例えばフォトマスク5等を用いて、エネルギー6を所定の方向から照射する。これにより、エネルギー照射された領域の細胞接着材料が分解または変性されて、細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部4が細胞接着層7中に形成されるのである。この際、細胞接着補助部は、例えば上記細胞接着材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解されるものである場合には、細胞接着補助部中にはその細胞接着材料が少量含有されている、または細胞接着材料の分解物等が含有されている、もしくは細胞接着層が完全に分解除去されて基材が露出すること等となる。また、上記細胞接着材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により変性されるものである場合には、細胞接着補助部中にはその変性物等が含有されていることとなる。
次に、細胞接着層が、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層を形成した後、エネルギー照射することにより、細胞接着阻害材料を分解または変性させて形成されたものである場合について説明する。この場合、以下の3つの態様が挙げられる。
以下、それぞれの態様ごとにわけて説明する。
まず、細胞接着阻害層が、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害材料および光触媒を含有する光触媒含有細胞接着阻害層であり、この光触媒含有細胞接着層に細胞接着層を形成するパターン状にエネルギーを照射することにより、光触媒処理層に含有される光触媒の作用により細胞接着阻害材料が分解または変性されて細胞接着層が形成される場合について説明する。
a.細胞接着阻害材料
まず、本態様に用いられる光触媒含有細胞接着阻害層に含有される細胞接着阻害材料について説明する。
また、本態様の光触媒含有細胞接着阻害層には、例えば層を形成する際の塗工性や、層を形成した際の強度や耐性等、必要とされる特性に合わせてバインダ等が含有されていてもよい。また、上記細胞接着阻害材料が上記バインダとしての機能を果たすものであってもよい。
次に、細胞接着層の形成方法について説明する。本態様においては、例えば図11に示すように、基材1上の細胞培養領域上に形成された上記細胞接着阻害材料および光触媒を含有する光触媒含有細胞接着阻害層8に、例えばフォトマスク5等を用いてエネルギー6を、細胞接着層(細胞接着部)を形成するパターン状に照射する(図11(a))。これにより、エネルギー照射された領域を細胞接着阻害材料が分解または変性されてい細胞との接着性を有する細胞接着層(細胞接着部)7とすることができ、エネルギー照射されていない領域を細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部4とすることができるのである。この際、細胞接着部には、光触媒、および細胞接着阻害材料の分解物や変性物等が含有されることとなる。
次に、少なくとも細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層が、光触媒を少なくとも含有する光触媒処理層上に形成されており、細胞接着層を形成するパターン状に、エネルギーを照射することにより細胞接着阻害材料が分解または変性された細胞接着層とする場合について説明する。
本態様に用いられる細胞接着阻害層は、上記光触媒処理層上に形成されるものであり、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有するものであれば特に限定されるものである。
次に、少なくとも細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層が基材上に形成されており、この細胞接着阻害層と、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層等を細胞接着阻害層と対向させて、細胞接着層を形成するパターン状にエネルギーを照射することによって、細胞接着阻害材料が分解または変性された細胞接着層とする場合について説明する。
次に、本発明の細胞培養用パターニング基板の第2実施態様について説明する。本発明の細胞培養用パターニング基板の第2実施態様は、基材と、上記基材上に形成され、細胞を培養する領域であり、かつ細胞と接着性を有する細胞接着層を含有する細胞培養領域とを有する細胞培養用パターニング基板であって、
上記細胞接着層は、端部が凹凸を有するパターン状に形成されているものである。
本実施態様における細胞培養用パターニング基板は、例えば図12に示すように、基材1と、その基材1上に形成された細胞培養領域2を有するものであって、細胞培養領域2に形成されている細胞接着層7の端部aが、凹凸を有するパターン状に形成されているものである。
まず、本実施態様の細胞培養用パターニング基板における細胞培養領域について説明する。本実施態様の細胞培養用パターニング基板における細胞培養領域とは、細胞を培養する領域であって、端部に凹凸を有するパターン状に形成された細胞接着層を有するものであれば、特に限定されるものではない。
次に、本実施態様の細胞培養用パターニング基板について説明する。本実施態様の細胞培養用パターニング基板は、上述した基材上に上記端部を有する細胞接着層が形成されているものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば遮光部等の部材が形成されているものであってもよい。
[実施例1]
<光触媒含有層を有するフォトマスクの形成>
開口部の幅が60μm、遮光部の幅が300μmの、60μm/300μmのライン&スペースを有し、その開口部と遮光部との境界が1μm角の凹凸を有するように形成されたフォトマスクを形成した。
次に、トリメトキシメチルシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)5gと0.5規定塩酸2.5gとを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈し、プライマー層用組成物とした。このプライマー層用組成物をフォトマスクのパターン面上にスピンコーティング法により塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、プライマー層を形成した。
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)3gと光触媒無機コーティング剤ST-K03(石原産業)20gとを混合し、100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍希釈し、光触媒含有層用組成物とした。この光触媒含有層用組成物を、プライマー層が形成されたフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層を有するフォトマスクを形成した。
(細胞接着阻害層の形成)
オルガノシランTSL-8114(GE東芝シリコーン社製)5.0g、フルオロアルキルシランTSL-8233(GE東芝シリコーン社製)1.5g、0.005N塩酸2.36gを混合し、24時間攪拌した。この溶液をイソプロピルアルコールで100倍希釈の上、スピンコーティング法により予めアルカリ処理をした石英基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、膜厚0.2μmの細胞接着阻害層を有する基板を得た。
この基板の細胞接着阻害層と前述の光触媒含有層を有するフォトマスクの光触媒含有層とを対向させ、フォトマスク越しに水銀ランプにより6J/cm2のエネルギー量で紫外線露光を行い、未露光部が細胞接着阻害性を有し、露光部が細胞接着性を有するようにパターン化された細胞接着性表面を有する細胞培養用パターニング基板を得た。
10%ウシ胎児血清を加えたDMEM培地中に上記細胞培養用パターニング基板を浸漬し、初代人臍静脈細胞 (HUVEC) を播種した。37℃、5%二酸化炭素環境下で16時間培養し、細胞を細胞接着部に接着した。
細胞培養基板に接着した細胞を観察したところ、細胞が細胞培養領域中全領域に沿う方向に配向し、更に伸展形状を示す事を確認した。
更にDMEM培地を、bFGF(シグマ社) 10ng/mlの濃度で加えたものに交換、37℃、5%二酸化炭素環境下で24時間培養を継続し、細胞が連続したキャピラリ組織を形成した事を確認した。
フォトマスクを60μm/300μmのライン&スペースのみで開口部と遮光部との境界部に凹凸を持たないものとした以外は、実施例1と同様に細胞の培養を行ったところ、細胞播種後16時間での、基板に対する細胞の接着は実施例1よりも少ないことを確認した。培養を24時間後まで行ったところ、基板に接着した細胞数は増えたが、細胞の配向,進展形状の度合いは実施例1よりも劣る事を確認した。
更にDMEM培地に実施例1と同様にbFGFを加え、細胞の組織化を行ったところ、細胞のキャピラリ形成は行われたが、実施例1と比較し、キャピラリの長さは短く、組織形成が不完全である事を確認した。
開口部の幅が190μm、遮光部の幅が500μmの、190μm/500μmのライン&スペースを有し、上記開口部内には、幅60μmごとに5μmの遮光部が形成されているフォトマスクを作製して用いた以外は、実施例1と同様に細胞の培養を行った。
細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向,伸展が観察された。
190μm/500μmのライン&スペースのフォトマスクを用いた以外は、実施例2と同様に細胞の培養を行った。この場合、細胞の播種24時間後でも、細胞接着部中央付近の細胞は基板に接着するものの、配向や伸展はしない事が確認された。
(光触媒含有細胞接着層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Huels America社製)0.04g、および光触媒無機コーティング剤ST−K01(石原産業社製)1.5gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。
この溶液をスピンコーティング法により予めアルカリ処理を施した石英ガラス基板に塗布し、その基板を温度150℃で10分間乾燥させて、加水分解および重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサン中に強度に固定された膜厚0.2μmの、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により細胞接着性から細胞接着阻害性に変化する光触媒含有細胞接着層を有するパターニング用基板を形成した。
このパターニング用基板に、開口部の幅が60μm、遮光部の幅が300μmの、60μm/300μmのライン&スペースを有し、その開口部と遮光部との境界が1μm角の凹凸を有するように形成されたフォトマスクを用いて水銀ランプ(波長365nm)により300mW/cm2の照度で900秒間紫外線露光を行い、未露光部が細胞接着性を有し、露光部が細胞接着阻害性を有するようにパターン化された細胞接着性表面を有する細胞培養用パターニング基板を得た。
実施例1と同様に細胞を培養し、細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向、伸展が観察された。
(光触媒含有細胞接着阻害層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、フルオロアルキルシランTSL8233(GE東芝シリコーン社製)0.04g、光触媒無機コーティング剤ST−K01(石原産業社製)1.5gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。
上記パターニング用基板に実施例3と同様に紫外線照射を行い、未露光部が細胞接着阻害部、露光部が細胞接着部となるパターンを有する細胞培養用パターニング基板を得た。
実施例1と同様に細胞を培養し、細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向、伸展が観察された。
(光触媒含有層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、および光触媒無機コーティング剤ST−K01(石原産業)1.5gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。
この溶液をスピンコーティング法により予めアルカリ処理を施した石英ガラス基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサン中に強固に固定された膜厚0.2μmの光触媒含有層を基板上に形成した。
フィブロネクチンF−4759(シグマ)0.2mgと、純水200mlとを混合し、この水溶液を上記光触媒含有層を設けた基板の光触媒含有層に対し、基板面積1cm2当たり300μlの比率で滴下し、これを4℃下で24時間静置した。更に基板をPBSにて2回洗浄の上、窒素ガスにさらし乾燥する事により、基板上に光触媒含有層と細胞接着層を有するパターニング用基板を得た。
上記パターニング用基板に実施例3と同様に紫外線照射を行い、未露光部が細胞接着部、露光部が細胞接着阻害部となるパターンを有する細胞培養用パターニング基板を得た。
実施例1と同様に細胞を培養し、細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向、伸展が観察された。
(光触媒含有層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、および光触媒無機コーティング剤ST−K01(石原産業)1.5gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。
この溶液をスピンコーティング法により予めアルカリ処理を施した石英ガラス基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサン中に強固に固定された膜厚0.2μmの光触媒含有層を基板上に形成した。
この基板にイソプロピルアルコール5g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、およびフルオロアルキルシランTSL8233(GE東芝シリコーン社製)0.04gから成る溶液をスピンコーティングにより塗布し、その後基板を150℃で10分間乾燥することにより細胞接着阻害層を形成した。
上記パターニング用基板に実施例3と同様に紫外線照射を行い、未露光部が細胞接着阻害部、露光部が細胞接着部となるパターンを有する細胞培養用パターニング基板を得た。
実施例1と同様に細胞を培養し、細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向、伸展が観察された。
(細胞接着層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン社製)0.4g、およびアミノプロピルトリエトキシシラン0.4gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。この溶液をスピンコーティング法により予めアルカリ処理を施した石英ガラス基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、膜厚が約80nmの、アミノ基を含むオルガノポリシロキサン層を基板上に形成し、パターニング用基板とした。
上記パターニング用基板に実施例1と同様に紫外線照射を行い、未露光部が細胞接着部、露光部が細胞接着阻害部となるパターンを有する細胞培養用パターニング基板を得た。
実施例1と同様に細胞を培養し、細胞の播種16時間後に細胞の形態を観察したところ、細胞培養領域の全ての細胞について、細胞の配向、伸展が観察された。
2 … 細胞培養領域
3 … 細胞接着部
4 … 細胞接着補助部
5 … フォトマスク
6 … エネルギー
Claims (3)
- 基材と、前記基材上に形成され、細胞を培養する領域であり、かつ細胞と接着性を有する細胞接着層を含有する細胞培養領域とを有する細胞培養用パターニング基板であって、
前記細胞培養領域は、前記細胞接着層が形成された細胞接着部と、パターン状に形成され、かつ細胞と接着することを阻害する細胞接着補助部とを有し、前記細胞接着補助部の幅が0.5μm〜10μmの範囲内で形成されていることを特徴とする細胞培養用パターニング基板。 - 前記細胞接着補助部が、前記細胞培養領域内でライン状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養用パターニング基板。
- 基材と、前記基材上に形成され、細胞を培養する領域であり、かつ細胞と接着性を有する細胞接着層を含有する細胞培養領域とを有する細胞培養用パターニング基板であって、
前記細胞接着層は、端部が凹凸を有するパターン状に形成され、
前記凹凸の凹部端から凸部端までの距離の平均が0.5μm〜30μmの範囲内であることを特徴とする細胞培養用パターニング基板。
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