JP2003009860A - 区画培養基板及びそれを用いたdnaチップ - Google Patents

区画培養基板及びそれを用いたdnaチップ

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JP2003009860A
JP2003009860A JP2001195425A JP2001195425A JP2003009860A JP 2003009860 A JP2003009860 A JP 2003009860A JP 2001195425 A JP2001195425 A JP 2001195425A JP 2001195425 A JP2001195425 A JP 2001195425A JP 2003009860 A JP2003009860 A JP 2003009860A
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JP2001195425A
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Koichi Kawamura
浩一 川村
Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光、加熱により高感度、高解像度で、細胞
の非吸着領域に好適な高親水性の領域が容易に形成で
き、しかも、赤外線レーザ等を操作することによりデジ
タルデータに基づいたパターン形成が可能な、応用範囲
の広い区画培養基板、及び、微細なパターンを容易に形
成しうる優れたDNAチップを提供する。 【解決手段】 支持体上に、熱、酸または輻射線により
親疎水性が変化する官能基を有し、且つ、該支持体上に
直接化学結合により結合されうる構造を有する高分子化
合物からなるグラフト層を備え、該グラフト層の所定領
域に、加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、グ
ラフト層表面の親疎水性を変化させ、グラフト層表面を
細胞接着性領域と細胞非接着性領域に区画してなること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は区画培養基板に関
し、特に、細胞やDNAを吸着させる領域の大きさや形
状を容易に画定しうる区画培養基板及びそれを用いて得
られるDNAチップに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、種々の目的で細胞培養或いは細菌
培養が行われており、また、新たな細胞の培養法も開発
されている。特に細胞培養は、生化学的現象や性質の解
明、有用な物質の生産などの目的で広範に利用されてお
り、さらに、培養細胞を用いて、人工的に合成された薬
剤の生理活性や毒性を調べる試みがなされている。多く
の動物細胞は、何かに接着して生育する接着依存性を有
しており、このような接着依存性を有した細胞の培養に
は、細胞が接着するための担体が必要である。担体とし
ては、一般的には、コラーゲンやフィブロネクチンなど
の細胞接着性タンパク質が用いられ、これらを均一に塗
布したプラスティック製の培養皿が用いられている。
【0003】一方、目的に応じて、培養細胞を基板上の
微小な部分にのみ接着させ、配列させる技術が報告され
ている。このような技術により、培養細胞を人工臓器や
バイオセンサ、バイオリアクターなどに応用することが
可能になる。培養細胞を配列させる方法としては、細胞
に対して接着の容易さが異なるようなグラフト層がパタ
ーンをなしているような区画培養基板を用い、細胞が接
着しやすい領域を形成し、その表面だけに細胞を接着さ
せることで、区画培養を可能とし、所望の細胞の配列パ
ターンを形成させる方法がとられ、種々のパターン形成
法が提案されている。
【0004】例えば、特開平2−245181号公報に
は、回路状に神経細胞を増殖させるなどの目的で、静電
荷パターンを形成させた電荷保持媒体を細胞培養に応用
している。また、特開平3−7577号公報では、細胞
非接着性表面を有した細胞培養材料に紫外線や放射線を
照射することによって細胞接着性の官能基を導入した
り、細胞培養材料に紫外線や放射線を照射することによ
って重合開始種を誘導し、この上に細胞接着性あるいは
細胞非接着性モノマーを重合させるなどして表面をパタ
ーニングし、これによって細胞の配列を制御する方法が
提案されている。さらに、特開平3−7576号公報で
は、細胞非接着性あるいは細胞接着性の光感受性親水性
高分子を、特開平5−176753号公報では、細胞の
接着率や形態に影響を与えるコラーゲンなどの物質を、
いずれもフォトリソグラフィー法によってパターニング
する細胞培養用基板が開示されている。
【0005】このように任意の区画パターンを有する培
養基板は、種々の分野に応用が可能であり、前述の生化
学的現象の解析、有用な物質の生産などの他、細胞を用
いた超小型バイオセンサー、スイッチング素子、バイオ
リアクター、ハイブリッド型人工臓器、さらにはニュー
ロコンピューターへの応用も可能であり、さらに、近年
注目されているDNAチップにも適用することができ
る。
【0006】従来の一般的なパターン形成方法、例え
ば、コラーゲンやフィブロネクチンなどの細胞接着性タ
ンパク質を吸着させて細胞接着領域を形成する場合、第
1に所望のミクロパターンを形成するのが困難で、タン
パク質の接着領域と非接着領域の界面がクリアに分画し
難く、第2に細胞接着性タンパク質が、培養細胞に作用
して、細胞の形態に影響を与える可能性があり、用途が
限定されるといった問題を有している。また、このよう
な細胞接着性タンパク質を用いず、基材にフォトリソグ
ラフィー法によるパターンニングで細胞の接着領域、非
接着領域を作成する場合には、細胞非接着性の領域では
安定性と効果の観点から、高い親水性とその持続性が求
められているが、従来の親水性高分子では、前記二つの
特性を満足しうるものは限られている。特に区画培養基
板をDNAチップに用いる場合、500μm以下、好ま
しくは10〜200μm程度の解像度が要求され、この
ような高解像度のパターン形成が可能で、且つ、高く持
続性に優れた親水性領域を形成することが、精度の高い
区画培養には必須の技術であるが、実用上満足するレベ
ルのものは未だ得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の欠点
を考慮してなされた本発明の目的は、露光或いは加熱に
より高感度、高解像度で、細胞の非吸着領域に好適な高
親水性の領域が容易に形成でき、しかも、赤外線レーザ
等を操作することによりデジタルデータに基づいたパタ
ーン形成が可能な、応用範囲の広い区画培養基板、及
び、微細なパターンを容易に形成しうる優れたDNAチ
ップを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、露光、加熱、赤外線レーザの照射により表面
の特性が変化する高分子化合物を応用することで上記目
的が達成されることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明の区画培養基板は、支持体上に、
熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を
有し、且つ、該支持体上に直接化学結合により結合され
うる構造を有する高分子化合物からなるグラフト層を備
え、該グラフト層の所定領域に、加熱、酸の供給または
輻射線の照射を行って、グラフト層表面の親疎水性を変
化させ、グラフト層表面を細胞接着性領域と細胞非接着
性領域に区画してなることを特徴とする。
【0009】ここで、前記熱、酸または輻射線により親
疎水性が変化する官能基を有し、且つ、該支持体上に直
接化学結合により結合されうる構造を有する高分子化合
物が、高分子鎖の末端で直接化学結合により該支持体表
面に結合されている直鎖状高分子化合物であるか、もし
くは、高分子鎖の末端で幹高分子化合物を介して化学的
結合により該支持体表面に結合されている直鎖状高分子
化合物であることが好ましい。本発明においては、加
熱、酸の供給または輻射線の照射を行った後のグラフト
層表面における疎水性領域が、細胞接着性領域として機
能することになる。また、本発明の請求項4に係るDN
Aチップは、前記の区画培養基板にDNAを固定化して
なることを特徴とする。
【0010】本発明の区画培養基板は、その表面に、
熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基
(以下、適宜、極性変換基と称する)を有する高分子化
合物の表面の極性に応じて、露光を含む輻射線照射領
域、加熱領域に選択的に親水性或いは疎水性の区画が形
成されるため、基板の面積に係わらず、デジタルデータ
に基づく高解像度のパターン形成が可能となる。区画培
養基板のグラフト層に用いられる極性変換基を有する高
分子化合物は、例えば、その末端で直接または幹高分子
化合物を介して支持体に結合しており、形成される親水
性領域は高い強度と耐磨耗性を示すことになる。さら
に、本発明においては、親水性/疎水性を決定する極性
変換基は、運動性の高いグラフト鎖構造を有するため、
公知の一般的な架橋高分子膜による親水性領域における
水分子との親和性に比較して、水分の吸着速度が極めて
早く、単位面積当たりに保持しうる水分量が多くなり、
高い親水性を発現し、先に述べたその耐久性と合わせ
て、細胞非吸着領域としての機能に優れ、高解像度の細
胞の接着パターンを作成しうるという特徴を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の区画培養基材に
ついて詳細に説明する。本発明の区画培養基材の特徴で
ある、親疎水性が変化する官能基を有する高分子鎖の末
端が直接もしくは幹高分子を介して支持体表面に化学的
に結合された表面を作成するための手段について説明す
る。 〔表面グラフト重合〕本発明に係る区画培養基板は、一
般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段をもちいて作成
される。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を
与え、これによって重合を開始する別の単量体をさらに
重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法
で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成
する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
【0012】本発明を実現するための表面グラフト重合
法としては文献記載の公知の方法をいずれも使用するこ
とができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子学
会編、1994年、共立出版(株)発行、P135には
表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ
照射グラフト重合法、が記載されている。また、吸着技
術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、
p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照
射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法
の具体的方法としては特開平10−296895号公報
および特開平11−119413号公報に記載の方法を
使用することができる。
【0013】高分子化合物鎖の末端が直接に化学的に結
合された表面グラフト層を作成するための手段としては
これらの他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキシシ
リル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボ
キシル基などの反応性官能基を付与し、これと支持体表
面に存在する官能基とのカップリング反応により形成す
ることもできる。なお、本発明における支持体表面と
は、その表面に、極性変換基を有する高分子化合物の末
端が直接または幹高分子化合物を介して化学的に結合す
る機能を有する表面を示すものであり、支持体自体がこ
のような表面特性を有するものであってもよく、また該
支持体上に別途中間層を設け、該中間層がこのような特
性を有するものであってもよい。
【0014】また、極性変換基を有する高分子化合物鎖
の末端が幹高分子化合物を介して化学的に結合された表
面を作成するための手段としては、支持体表面官能基と
カップリング反応しうる官能基を幹高分子高分子の側鎖
に付与し、グラフト鎖として親疎水性が変化する官能基
を有する高分子化合物鎖を組み込んだグラフト高分子化
合物を合成し、この高分子と下層表面官能基とのカップ
リング反応により形成することもできる。
【0015】〔親疎水性が変化する官能基〕次に、本発
明の区画培養基板の特徴の一つである、熱、酸または輻
射線により親疎水性が変化する官能基(極性変換基)に
ついて説明する。極性変換基としては、疎水性から親水
性に変化する官能基と、親水性から疎水性に変化する官
能基の2種類がある。
【0016】(疎水性から親水性に変化する官能基)疎
水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の
公知の官能基を挙げることができる。これらの官能基の
有用な例は、特開平10−282672号公報に記載の
アルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイ
ミド、EP0652483、WO92/9934記載の
アルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macror
nolecules, vol.21, pp.1477記載のt−ブチルエステ
ル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文
献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルな
どを挙げることができる。
【0017】また、角岡正弘著、「表面」vol.133(199
5), pp.374記載のイミノスルホネート基、角岡正弘著、
Polymer preprints,Japan vol.46(1997), pp.2045記載
のβケトンスルホン酸エステル類、山岡亜夫著、特開昭
63−257750号のニトロベンジルスルホネート化
合物も挙げることができるが、これらの官能基に限定さ
れる訳ではない。これらのうち、特に優れているのは下
記に示される2級のアルキルスルホン酸エステル基、3
級のカルボン酸エステル基、および下記に示されるアル
コキシアルキルエステル基である。
【0018】本発明において、疎水性から親水性に変化
する官能基として特に優れている2級のアルキルスルホ
ン酸エステル基としては、下記一般式(1)で表される
ものである。
【0019】
【化1】
【0020】(一般式(1)式中、Lはポリマー骨格に
連結するのに必要な多価の非金属原子から成る有機基を
表し、R1、R2は置換もしくは非置換アルキル基を表
す。また、R1、R2はそれが結合している2級炭素原子
(CH)と共に環を形成してもよい。)
【0021】前記一般式(1)のR1、R2は置換もしく
は非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール基を表
し、また、R1、R2はそれが結合している2級炭素原子
(CH)と共に環を形成してもよい。R1、R2が置換も
しくは非置換アルキル基を表すとき、アルキル基として
はメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状もしくは環
状のアルキル基が挙げられ、炭素数1から25までのも
のが好適に用いられる。R1、R2が置換もしくは非置換
アリール基を表すとき、アリール基には炭素環式アリー
ル基と複素環式アリール基が含まれる。炭素環式アリー
ル基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル
基、ピレニル基など炭素数6から19のものが用いられ
る。また、複素環式アリール基としてはピリジル基、フ
リル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベン
ゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基などの
炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用い
られる。
【0022】R1、R2が置換アルキル基、置換アリール
基であるとき、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基
などの炭素数1〜10までのアルコキシ基、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、トリフル
オロメチル基、トリクロロメチル基のようなハロゲン置
換されたアルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−ク
ロロフェニルオキシカルボニルなどの炭素数2から15
までのアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカ
ルボニル基;水酸基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキ
シ、p−ジフェニルアミノベンゾイルオキシなどのアシ
ルオキシ基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基など
のカルボネート基;t−ブチルオキシカルボニルメチル
オキシ基、2−ピラニルオキシ基などのエーテル基;ア
ミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モル
フォリノ基、アセチルアミノ基などの置換、非置換のア
ミノ基;メチルチオ基、フェニルチオ基などのチオエー
テル基;ビニル基、ステリル基などのアルケニル基;ニ
トロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイ
ル基などのアシル基;フェニル基、ナフチル基のような
アリール基;ピリジル基のようなヘテロアリール基等を
挙げることができる。また、R1、R2が置換アリール基
であるとき、置換基としては、前述したものの他にもメ
チル基、エチル基などのアルキル基を用いることができ
る。
【0023】上記のR1、R2としては、保存安定性に優
れる点で、置換、非置換のアルキル基が好ましく、経時
安定性の点で、アルコキシ基,カルボニル基,アルコキ
シカルボニル基、シアノ基、ハロゲン基などの電子吸引
性基で置換されたアルキル基、もしくはシクロヘキシル
基、ノルボルニル基などのアルキル基が特に好ましい。
物性値としては、重クロロホルム中、プロトンNMRに
おける2級メチン水素のケミカルシフトが4.4ppm
よりも低磁場に現れる化合物が好ましく、4.6ppm
よりも低磁場に現れる化合物がより好ましい。このよう
に、電子吸引性基で置換されたアルキル基が特に好まし
いのは、熱分解反応時に中間体として生成していると思
われるカルボカチオンが電子吸引性基により不安定化
し、分解が抑制されるためであると考えられる。具体的
には、−CHR12の構造としては、下記式で表される
構造が特に好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】また、前記一般式(1)のLで表される非
金属原子からなる多価の連結基とは、1から60個まで
の炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から
50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原
子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つも
のである。より具体的な連結基としては下記の構造単位
が組み合わさって構成されるものを挙げることができ
る。
【0026】
【化3】
【0027】多価の連結基が置換基を有する場合、置換
基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1から20ま
でのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6
から16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、
スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキ
シ基のような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メ
トキシ基、エトキシ基のような炭素数1から6までのア
ルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシ
ルオキシカルボニル基のような炭素数2から7までのア
ルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネ
ートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
【0028】本発明において、疎水性から親水性に変化
する官能基として特に優れているアルコキシアルキルエ
ステル基としては、下記一般式(2)で表されるもので
ある。
【0029】
【化4】
【0030】式中R3は水素原子を表し、R4は水素原子
または炭素数18個以下のアルキル基を表し、R5は炭
素数18個以下のアルキル基を表す。また、R3、R4
よびR5の内の2つが結合して間を形成してもよい。特
に、R4およびR5が結合して5または6員環を形成する
ことが好ましい。
【0031】以上、本発明における疎水性から親水性に
変化する官能基としては、一般式(1)で表される2級
のアルキルスルホン酸エステル基が特に好ましい。前記
一般式(1)〜(2)で表される官能基〔官能基(1)
〜(13)〕の具体例を以下に示す。
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】(親水性から疎水性に変化する官能基)本
発明において、熱、酸または輻射線により親水性から疎
水性に変化する官能基としては、公知の官能基、例え
ば、特開平10−296895号及び米国特許第6,1
90,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、
特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができ
る。具体的なものとして、(メタ)アクリロルオキシア
ルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができ
る。また、下記一般式(3)で示されるカルボン酸基お
よびカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、
これらの例示に特に限定されるものではない。
【0035】
【化7】
【0036】(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、
−NR8−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO
−、−SiR89−、−CS−を表し、R6、R7
8、R9は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を
有するイオンを表す。) R6、R7、R8、R9の具体例としては、−F、−Cl、
−Br、−I、−CN、−R10、−OR10、−OCOR
10、−OCOOR10、−OCONR1011、−OSO2
10、−COR10、−COOR10、−CONR1014
−NR1011、−NR10−COR11、−NR10−COO
11、−NR10−CONR1112、−SR10、−SOR
10、−SO210、−SO310等が挙げられる。R10
11、R12は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリー
ル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
【0037】これらのうち、R6、R7、R8、R9として
好ましいのは、具体的には、水素原子、アルキル基、ア
リール基、アルキニル基、アルケニル基である。Mの具
体例としては、前述のような陽電荷を有するイオンが挙
げられる。前記一般式(3)で表される官能基の具体例
〔官能基(14)〜(31)〕を以下に示す。
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】本発明における極性変換基を有する高分子
化合物は、上記のような官能基を有するモノマー1種の
単独重合体であっても、2種以上の共重合体であっても
良い。また、本発明の効果を損なわない限り、他のモノ
マーとの共重合体であっても良い。なお、上記のような
官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。 (前記一般式(1)〜(2)で表される官能基を有する
モノマーの具体例〔例示モノマー(M−1)〜(M−1
5)〕)
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】(前記一般式(3)で表される官能基を有
するモノマーの具体例〔例示モノマー(M−16)〜
(M−33)〕)
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】〔支持体表面〕本発明の区画培養基板は、
前述の極性変換基を有する高分子化合物の末端が直接ま
たは幹高分子化合物を介して化学的に結合した表面グラ
フト層と該高分子化合物の末端が直接または幹高分子化
合物を介して化学的に結合できるような支持体表面を有
するものである。先に述べたように、支持体の表面自体
がこのような特性を有していてもよく、このような特性
を有する中間層を支持体表面に設けてもよい。
【0047】(支持体表面或いは中間層)このような支
持体表面は、前記表面グラフト層をグラフト合成して設
けるのに適した特性を有していれば、無機層、有機層の
いずれでおよい。また本発明においては、薄層の高分子
化合物からなる画像形成層により親疎水性の変化を発現
するため表面の極性は問題ではなく、親水性であっても
また疎水性であってもよい。このような中間層において
は、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重
合法、放射線照射グラフト重合法により本発明の薄層ポ
リマーを合成する場合には、有機表面を有する層である
ことが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好
ましい。また有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アク
リル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系
樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系
樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹
脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの
天然樹脂のいずれも使用することができるが、光グラフ
ト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グ
ラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマ
ーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜か
れやすいポリマー、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、
スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、
特に製造適性の点で好ましい。このような中間層は、後
述の基板(支持体)を兼ねていても良く、また必要に応
じて支持体上に設けられた中間層であってもかまわな
い。
【0048】また、本発明の画像形成材料においては、
極性変換基を有するグラフト層の形成性、支持体との密
着性の観点から、前記高分子化合物が直接化学結合して
いる支持体として、形成されるパターンの解像度への影
響を及ぼさない範囲においてその表面が粗面化されてい
るものを用いることもできる。粗面化した支持体を用い
る場合には、その表面性状は以下の条件を満たすもので
あることが好ましい。粗面化された支持体の好ましい状
態としては、2次元粗さパラメータの中心線平均粗さ
(Ra)が0.1〜1μm、最大高さ(Ry)が1〜1
0μm、十点平均粗さ(Rz)が1〜10μm、凹凸の
平均間隔(Sm)が5〜80μm、局部山頂の平均間隔
(S)が5〜80μm、最大高さ(Rt)が1〜10μ
m、中心線山高さ(Rp)が1〜10μm、中心線谷深
さ(Rv)が1〜10μmの範囲が挙げられ、これらの
ひとつ以上の条件を満たすものが好ましく、全てを満た
すことがより好ましい。
【0049】(光熱変換物質)なお、本発明の区画培養
基板にIRレーザーなどでパターン形成を行う場合に
は、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光
熱変換物質を区画培養基板のどこかに含有させておくこ
とが好ましい。光熱変換物質を含有させておく部分とし
ては、例えば、親/疎水性が変化するグラフト層、中間
層、支持体基板のいずれでもよく、さらには、中間層と
支持体基板との間に光熱変換剤層を設け、そこに添加し
てもよい。
【0050】本発明の区画培養基板に用い得る光熱変換
物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等
の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき
るが、培養する細胞、細菌類、DNAなどへの影響を考
慮して選択することが好ましい。用い得る光熱変換剤と
しては、例えば、カーボンブラック、カーボングラファ
イト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、黒鉛粉末、
酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化
クロム等が挙げられる。本発明において特に好ましいの
は、書き込みに使用する赤外線レーザの露光波長である
760nmから1200nmに極大吸収波長を有する染
料、顔料または金属微粒子である。
【0051】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ま
しい染料としては、例えば、特開昭58−125246
号、特開昭59−84356号、特開昭59−2028
29号、特開昭60−78787号等に記載されている
シアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭5
8−181690号、特開昭58−194595号等に
記載されているメチン染料、特開昭58−112793
号、特開昭58−224793号、特開昭59−481
87号、特開昭59−73996号、特開昭60−52
940号、特開昭60−63744号等に記載されてい
るナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に
記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,
875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0052】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号
(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号に記載されているピ
リリウム系化合物、特開昭59−216146号記載の
シアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別
の染料の例として、米国特許第4,756,993号明
細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外
吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特
に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウ
ム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げ
られる。
【0053】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類として
は、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、
赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、
金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。
具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ア
ントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チ
オインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン
系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔
料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニ
トロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブ
ラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいも
のはカーボンブラックである。
【0054】これらの染料又は顔料は、光熱変換物質含
有層全固形分の0.01〜50重量%、好ましくは0.
1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜1
0重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量
%の割合で使用することができる。顔料又は染料の添加
量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また
50重量%を越えると光熱変換物質含有層の膜強度が弱
くなる。
【0055】(支持体基板)本発明の区画培養基板に使
用され、その表面に前記特性を備えたグラフト層を有す
る支持体(基板)は寸度的に安定な板状物であることが
好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネー
トされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅
等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロー
ス、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸
セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルア
セタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸
着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ
る。本発明に使用される支持体としては、ポリエステル
フィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも、
前記下層を兼ねることができるポリエステルフィルムが
特に好ましい。基材として使用するアルミニウム板には
必要に応じて前述のような粗面化処理、陽極酸化処理な
どの公知の表面処理を行なってもよい。
【0056】また、他の好ましい態様であるポリエステ
ルフィルム等のプラスチックフィルムを用いる場合に
も、親/疎水性グラフト層の形成性、密着性の観点か
ら、前述の粗面化処理を施されたものを用いることも可
能である。
【0057】なお、本発明の区画培養基板に使用される
支持体が、前記中間層を兼ねる場合は、前記中間層にお
いて詳述した樹脂材料からなるフィルムそのものを用い
ることができ、この場合には、前記のように親/疎水性
グラフト層を構成する高分子化合物が直接化学結合して
いる支持体表面が粗面化されているものを用いることも
できる。
【0058】〔パターン形成方法〕つぎに、このように
して得られた本発明に係る区画培養基板のパターン形成
方法について説明する。本発明の区画培養基板のパター
ン形成機構では、前記グラフト層中の高分子化合物の極
性変換基が加熱、または輻射線照射領域において極性変
換し、親水性或いは疎水性の領域が形成される。このと
き、加熱、露光領域が親水性を発現する領域となる場
合、そこが細胞非接着性領域となり、非加熱領域、また
は未露光領域においては、疎水性層がそのままの表面状
態で残存することになり、細胞接着性領域となる。ま
た、加熱、露光部が疎水性領域となる場合には、そこが
細胞接着性領域となり、また、非加熱領域、または未露
光領域においては、親水性層がそのままの表面状態で残
存することになり、細胞非接着領域となる。ここで、細
胞非接着性領域における親水性の程度としては、電荷を
有さず接触角が50度以下の親水性表面であることが好
ましいが、本発明における表面親水領域はいずれも拡張
濡れを示す程度の高い親水性を有するものである。
【0059】(書き込み)本発明の画像形成材料への画
像の書き込みは、光などの輻射線の照射或いは加熱によ
り行われる。また、光照射の一態様として、前記光熱変
換材料を併用するタイプであれば、赤外線領域のレーザ
ー光等の走査露光による加熱により、画像形成すること
も可能である。画像形成に用いる方法としては、加熱、
露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げら
れる。例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線
などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘ
ッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源
としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キ
セノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等が
ある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、
遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV
光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用
される。一般的に用いられる具体的な態様としては、熱
記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによ
る走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露
光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。コンピ
ュータのデジタルデータによるダイレクト画像形成を行
うためには、レーザ露光により極性変換を生起させる方
法が好ましい。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素
レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレ
ーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レー
ザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レー
ザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の
半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeF
レーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することが
できる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線
を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力
赤外線レーザによる露光が好適である。
【0060】(表面グラフト重合の極性)先に具体的に
例示した一般式(1)で表されるアルキルスルホン酸エ
ステル基などの如きアニオングラフト極性変換官能基を
有するグラフト層では、加熱、露光領域のみが疎水性か
ら親水性に変化し、細胞非接着領域を形成する。このよ
うなパターン形成機構を用いる場合には、非加熱、未露
光部は極性変換されず、基材のままの疎水性を維持し、
細胞接着領域となる。効果の観点からは、非加熱、未露
光部領域に細胞接着性の高いカルボキシル基やアミノ基
などの官能基を有することが好ましい。この細胞接着性
領域は、目的に応じて、そのまま細胞を接着させる方法
で用いてもよく、また、細胞接着性を有するペプチド類
などの高分子化合物を導入して、その後、目的とする細
胞を接着させて用いることもできる。
【0061】前記細胞接着性を有する高分子化合物の具
体例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニル硫
酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミンなどの
電荷を有する高分子化合物、コンドロイチン硫酸、デル
マタン硫酸、デキストラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラ
ン硫酸、ヒアルロン酸、キチンなどの電荷を有する多糖
類、コラーゲン、ゼラチン、フイブロネクチン、ハイド
ロネクチンなどの細胞接着性タンパク質、さらには細胞
接着性タンパク質や細胞接着性ペプチドを固定した高分
子化合物などがあげられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0062】他のパターン形成機構として、例えば、特
開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基
などの如きカチオングラフト極性変換官能基を有するグ
ラフト層では、もともとの表面が正の電荷を有してお
り、露光或いは加熱領域のみが電荷を消失するようにな
る。従って、ここが細胞吸着性の領域となる。
【0063】以上の方法で、パターン形成された本発明
の区画培養基板は、常法により細胞を培養することによ
り、細胞配列を容易に制御でき、露光条件によってはサ
ブミクロン(0.3〜0.5μm程度の)オーダーまで
の高解像度の微細パターンを形成することができる。こ
のため、形成された微細パターンは、タンパク質や細胞
の解析、医薬品の効果の確認などの用途のみならず、バ
イオセンサー、スイッチング素子、バイオリアクター、
DNAチップ、人工臓器などの製造、さらにはニューロ
コンピューターなどの開発にも有用である。
【0064】本発明の区画培養基板は、DNAチップに
有用である。DNAチップは基材表面に数μmから数十
μmのオーダーの微細なパターンを形成し、そこに比較
的短い合成DNAを共有結合させて形成するもので、パ
ターンの区画毎に複数種の予め知られた配列を有する異
なるDNAを導入して形成されるものであり、このDN
Aの吸着領域を前記パターン形成方法により形成するも
のである。DNAの吸着には、先に述べた供給結合によ
るものとイオン結合によるものがあるが、本発明の如き
親疎水性が変化するグラフトポリマーを使用する場合に
は、DNAとグラフトポリマーの種類とを選択すること
により、いずれの方法にも適用することができるという
利点を有する。なかでも、DNAにはリン酸基が存在す
るため負電荷を有しており、親水的なカチオングラフト
と相互作用しやすいと考えられ、吸着強度の観点から
も、イオン結合による吸着が有用である。本発明により
得られたDNAチップは、解像度に優れた微細なパター
ンを容易に形成することが可能であるため、遺伝子診断
やDNAの未知の塩基配列の決定などの用途への展開が
期待される。
【0065】
〔実施例1〕
(区画培養基板原版の作製)188μmのコロナ処理さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルムを支持体とし
て用い、その表面に下記の組成をロッド10番の塗布バ
ーを使用して塗布し、100℃で1分乾燥し、膜厚1.
6μmの赤外線吸収剤を含有する中間層を作成した。
【0066】 (中間層塗布液) ・エポキシ樹脂(エピコート, Yuka-shell Co,Ltd.) 2 g ・赤外線吸収剤(IR125 和光純薬剤) 0.2g ・1−メトキシ−2−プロパノール 9 g ・メチルエチルケトン 9 g
【0067】中間層を形成した支持体表面を次の条件に
てプラズマ処理して表面グラフト重合による画像記録層
の形成を行った。島津製作所製LCVD−01型プラズ
マ処理装置を用いて0.04toorのアルゴンガス雰囲気
下にて10秒間処理後、空気に曝し、中間層表面にパー
オキシド基を導入した。この膜を10wt%のα(スチ
レン−4−スルホニル)酢酸ナトリウム塩水溶液に浸漬
し、15分間アルゴンガスをバブルしたのち、7時間6
0℃に加温することによってグラフト重合を行った。グ
ラフト重合後膜を3000mlのイオン交換水中につ
け、グラフト重合以外のホモポリマーを除去することに
よりプラズマ処理により表面にグラフトされた表面を備
えた区画培養基板原板Aを得た。
【0068】(パターン形成)得られた区画培養基板原
板Aを波長830nmの赤外光を発する赤外線レーザ
(ビーム径20μm)にて幅20μmの線状の露光を1
0μmの空白を隔てて基板の縦横に像様露光し、格子模
様の露光パターンを形成した区画培養基板Aを得た。露
光後、培養細胞として牛血管内皮細胞を用い、培養方法
としては、汎用の方法を用いて細胞培養を行った。区画
培養基板の表面に血管内皮細胞を1×104cells/mlに
調整した細胞懸濁液を塗布し、37℃のCO2インキュ
ベーター内で24時間培養を行ったところ、格子模様の
内側の正方形のパターンの細胞接着領域(未露光部領
域)のみに内皮細胞が伸展・増殖しており、所望の細胞
の配列パターンが得られた。
【0069】〔実施例2〕 (パターン形成材料の作製)188μmのコロナ処理さ
れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A
4100、東洋紡(株)製)を用い、グロー処理として
平版マグネトロンスパッタリング装置(CFS−10−
EP70、芝浦エレテック製)を使用し、下記条件で酸
素グロー処理を行った。
【0070】 初期真空:9×106toor 酸素圧力:6.8×103toor RFグロー:1.5kw 処理時間:60sec
【0071】次に、グロー処理したフィルム上に、下記
例示モノマー(M−3)のメチルエチルケトン溶液(5
0wt%)を塗布し、100℃で1分乾燥し、UV光で
照射(400W高圧水銀灯 30分)してグラフト重合
を行い、グラフト層を形成した。さらに、下記構造の光
熱変換色素(IR−A)の5重量%アセトニトリル溶液
をロッドバー#7で塗布し、グラフト層に光熱変換色素
を含有させて区画培養基板原板Bを得た。
【0072】
【化14】
【0073】(画像形成:パターン形成)得られた区画
培養基板原板Bを波長830nmの赤外光を発する赤外
線レーザ(ビーム径20μm)にて実施例1と同様に像
様に露光し、パターン形成された区画培養基板Bを得
た。露光後、区画培養基板Bを用いて実施例1と同様の
細胞培養を行ったところ、細胞接着領域(未露光部領
域)のみに内皮細胞が伸展・増殖しており、露光領域の
画定により、所望の細胞の配列パターンが得られること
がわかった。
【0074】
【発明の効果】本発明の区画培養基板は、露光或いは加
熱により高感度、高解像度で、細胞の非吸着領域に好適
な高親水性の領域が容易に形成でき、しかも、赤外線レ
ーザ等を操作することによりデジタルデータに基づいた
パターン形成が可能であり、応用範囲が広いという優れ
た効果を奏し、これを応用することで、微細なパターン
形成が可能なDNAチップを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA11 HA11 4B029 AA01 AA21 AA23 BB11 BB20 CC02 4B065 AA90X BC41 BC50 CA44 CA46

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、熱、酸または輻射線により
    親疎水性が変化する官能基を有し、且つ、該支持体上に
    直接化学結合により結合されうる構造を有する高分子化
    合物からなるグラフト層を備え、該グラフト層の所定領
    域に、加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、グ
    ラフト層表面の親疎水性を変化させ、グラフト層表面を
    細胞接着性領域と細胞非接着性領域に区画してなること
    を特徴とする区画培養基板。
  2. 【請求項2】 前記熱、酸または輻射線により親疎水性
    が変化する官能基を有し、且つ、該支持体上に直接化学
    結合により結合されうる構造を有する高分子化合物が、
    高分子鎖の末端で直接化学結合により該支持体表面に結
    合されている直鎖状高分子化合物であるか、もしくは、
    高分子鎖の末端で幹高分子化合物を介して化学的結合に
    より該支持体表面に結合されている直鎖状高分子化合物
    であることを特徴とする請求項1に記載の区画培養基
    板。
  3. 【請求項3】 前記加熱、酸の供給または輻射線の照射
    を行った後のグラフト層表面における疎水性領域が、細
    胞接着性領域であることを特徴とする請求項1に記載の
    区画培養基板。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3に記載の区画培養
    基板にDNAを固定化してなるDNAチップ。
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