JP4586993B2 - 弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤およびこれを用いた2液型フッ素樹脂塗料 - Google Patents
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Description
そして、フッ素樹脂塗料を構成するイソシアネート系硬化剤としては、フッ素樹脂ポリオールとの反応性は低いものの、耐候性に優れた脂肪族系または脂環族系イソシアネートが好んで使用されてきた。
これらの強溶剤は、臭気が強いため、近年、作業環境の改善や地球環境負荷の低減という点から、敬遠される傾向にある。さらに、塗装の補修並びに塗り替えの際、旧塗膜の上から新たに塗装する場合に、その補修用塗料中に強溶剤が含まれている場合、その強溶剤の溶解力が高いために旧塗膜が膨潤ないしは溶解し、旧塗膜まで補修する必要が発生する虞がある。その結果、塗装作業の拡大化と煩雑化、塗装費用の増大、工期の延長などの問題が生じる場合がある。
例えば、特許文献1(特開平8−302282号公報)には、パラフィン系溶剤またはナフテン系溶剤を30重量%以上含む溶剤を用いたフッ素樹脂系の塗料用被覆組成物が開示されている。
また、特許文献2(特開2006−152080号公報)には、弱溶剤に対する溶解性に優れた水酸基含有フッ素樹脂を含む弱溶剤型フッ素樹脂系塗料組成物が開示されている。
1. HDIのポリイソシアヌレートおよび/またはウレタン結合を含有するHDIのポリイソシアヌレートからなるポリイソシアヌレート体と、NBDIとを含有し、遊離のHDIが0.3質量%以下、かつ、溶剤を含まない状態で、前記ポリイソシアヌレート体の粘度が25℃で700〜1,500mm2/sであることを特徴とする弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
2. 前記ポリイソシアヌレート体とNBDIとを、ポリイソシアヌレート体/NBDI=9.3/0.7〜0.7/9.3(質量比)で含有する1の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
3. 弱溶剤を含有する1または2の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
4. アルキルシリケートおよびその縮合物の少なくとも一方を含有する1〜3のいずれかの弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
5. 前記アルキルシリケートおよびその縮合物の少なくとも一方を、10〜40質量%含む4の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
6. 前記アルキルシリケートが、エチルシリケートである4または5の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤、
7. 1〜6のいずれかの弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤と、水酸基およびカルボキシル基を含有するとともに弱溶剤に可溶なフッ素樹脂ポリオール並びに弱溶剤を含む主剤と、からなる2液型フッ素樹脂塗料、
8. 前記ポリイソシアヌレート体およびNBDIと、前記フッ素樹脂ポリオールとが、イソシアネート基/水酸基当量比=2/1〜1/2の範囲で配合される7の2液型フッ素樹脂塗料
を提供する。
また、HDIのポリイソシアヌレート体の粘度を所定範囲に調節することで、ポリイソシアヌレート体の、NBDIおよび弱溶剤への溶解性を高めることができる。
さらに、弱溶剤との相溶性およびポリイソシアヌレート体の溶解性に優れたNBDIを用いているため、イソシアヌレート体とNBDIとを含む有機ポリイソシアネート硬化剤全体としての弱溶剤に対する溶解性が向上する結果、弱溶剤可溶型フッ素樹脂ポリオールとの反応性が向上し、当該硬化剤を用いた塗料の塗膜乾燥性および初期汚染性が改善される効果が発現する。
また、本発明の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤は、HDIのポリイソシアヌレートおよび/またはウレタン結合含有のHDIのポリイソシアヌレートと、NBDIとを含有しており、その構造故に高耐候性を有しているため、これをさらに高耐候性を有するフッ素樹脂ポリオールと組み合わせることによって耐候性に極めて優れた塗膜を形成することができる。
さらに、弱溶剤を用いているため、地球環境や作業環境に優しい硬化剤および塗料を提供することができる。
本発明に係る弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤は、HDIのポリイソシアヌレート(以下、HDIポリイソシアヌレートという)およびウレタン結合を含有するHDIのポリイソシアヌレート(以下、ウレタン結合含有HDIポリイソシアヌレートという)からなるポリイソシアヌレート体と、NBDIとを含有してなるものである。
すなわち、本発明では、NBDIが、HDIポリイソシアヌレートおよび/またはウレタン結合含有HDIポリイソシアヌレートと、弱溶剤の双方に対する相溶性に優れていることを見出し、これを硬化剤の一成分として用いる。
このNBDIは、市販品として入手可能であり、例えば、コスモネートNBDI(三井化学ポリウレタン株式会社製)等が挙げられる。
ポリイソシアヌレート体の粘度が600mm2/s未満の場合、ポリイソシアヌレート体中のポリイソシアヌレート構造の含有量が低いため、塗膜の乾燥性が悪く(遅く)、耐候性にも劣る。一方、粘度が1,500mm2/sを超えると、ポリイソシアヌレート体中のポリイソシアヌレート構造の含有量が高すぎて、弱溶剤およびNBDIとの相溶性(溶解性)が低下する。
また、本発明の硬化剤中の遊離のヘキサメチレンジイソシアネートは、0.3質量%以下が好ましい。
ポリイソシアヌレート体とNBDIとの配合比を上記範囲に調節することで、硬化剤の弱溶剤に対する溶解性や、硬化剤と弱溶剤可溶型フッ素樹脂ポリオールとの相溶性が高まる結果、硬化剤とポリオールとの反応性が向上し、得られる塗料の塗膜乾燥性および初期汚染性が良好になる。
一方、NBDIに対するポリイソシアヌレート体の質量比が0.7未満であると、反対にポリイソシアヌレート構造が相対的に少なくなる。その結果、塗膜の耐候性が低下する虞があるうえに、ポリイソシアヌレート体の官能基数がNBDIのそれより高いため、塗膜強度が低下する虞がある。
また、これらの活性水素化合物は、イソシアヌレート化反応の助触媒としての作用も発揮するので、助触媒として用いることもできる。
イソシアヌレート化の際には、必要に応じて溶剤を使用することもできるが、この溶剤はHDIのイソシアネート基と反応しないタイプが好ましい。具体的には活性水素基を有しないものであり、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤が挙げられる。また、これらの溶剤は、1種単独で、または2種以上混合して使用することもできるため、反応条件に応じた粘度に調整することができる。
なお、溶剤は、イソシアヌレート化反応が終了した後、未反応のHDIを減圧蒸留にて除去する際に、反応粗生成物から除去される。
ここで、弱溶剤とは、一般的には溶解力の弱い溶剤を意味するが、具体的には、JIS K 2266で規定されるアニリン点が12〜55℃であるものをいい、労働安全衛生法の第3種有機溶剤に相当する、高沸点芳香族炭化水素系溶剤を含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤であり、ターペンやミネラルスピリットなどに代表されるような高引火点、高沸点、低有害性であるものをいう。
その他、単成分溶剤としてはn−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの脂肪族炭化水素類などが挙げられる。
以上の弱溶剤は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の硬化剤には、弱溶剤以外の有機溶剤を含有していてもよいが、その量は弱溶剤の量以下であることが好ましい。
ここで、アルキルシリケートおよびその縮合物の具体例としては、従来公知のものから適宜選択して用いることができ、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、およびこれらの分岐状または直鎖状の縮合物などを用いることができる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、本発明においては、テトラエトキシシラン(エチルシリケート)およびその縮合物を用いることが好適である。
本発明のフッ素樹脂塗料用硬化剤の製造法は特に限定されず、上記各成分を任意の順序で混合して調製すればよい。混合方法は任意であり、ディゾルバ、ホモミキサなどの混合装置を用いて混合すればよい。
上記各成分を混合することで、本発明のフッ素樹脂塗料用硬化剤は、均一透明な溶液として得られる。
ここで、水酸基およびカルボキシル基を含有し、弱溶剤に可溶なフッ素樹脂ポリオールとしては、特に限定されるものではなく、公知の溶剤可溶型フッ素樹脂ポリオールを用いることができる。その具体例としては、フルオロエチレン−ビニルエーテル(ビニルエステル)共重合体等が挙げられる。市販品としては、ルミフロンLF800(旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
さらに、フッ素樹脂ポリオールの数平均分子量は、得られる塗膜の強度や、塗料の取り扱い性などを考慮すると、5,000〜20,000が好ましく、7,000〜15,000がより好ましい。数平均分子量は、示差屈折率計検出によるゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)測定による測定値(ポリスチレン換算値)である(装置:東ソー株式会社製HLC−8120GPC、分離カラム:東ソーTSKgel Super HM−Mのミックスカラム)。
なお、弱溶剤は、上記フッ素樹脂塗料用硬化剤で例示したものと同様のものが挙げられる。また、この場合も、弱溶剤以外のその他の溶剤を用いることができるが、その量は弱溶剤よりも少ない量とする。
また、弱溶剤の配合割合は任意であるが、塗料中に、30〜70質量%程度、特に、35〜55質量%程度が好適である。
硬化剤および主剤の2成分を配合して調製した本発明の2液型フッ素樹脂塗料を、建物外壁などの被塗装面に直接または下塗り層の上から塗布した後、これを常温にて放置または加熱して乾燥し、塗膜が形成される。
この場合、塗布法は特に限定されるものではなく、刷毛塗り、ローラ塗りなどの公知の手法から適宜選択すればよい。また、塗布量、塗膜の厚み、乾燥時間などは、使用するフッ素樹脂や、被塗装面の材質などに応じて適宜なものとすればよい。
[合成例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと、イソシアヌレート化触媒とを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱してイソシアヌレート化反応を行い、所定のイソシアネート含量(以下、NCO含量と略称する)(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、HDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のポリイソシアヌレート体を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと一価アルコールとを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱し、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行った。その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒を加えて50〜70℃でイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、ウレタン結合含有のHDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のポリイソシアヌレート体を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと二価アルコールとを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱し、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行った。その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒を加えて50〜70℃でイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、ウレタン結合含有のHDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のポリイソシアヌレート体を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと二価アルコールとを仕込み、さらにこの混合物にイソシアヌレート化触媒を加えて50〜70℃にてイソシアヌレート化と同時にウレタン化(部分的なアロファネート化も含めて)反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、ウレタン結合含有のHDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のポリイソシアヌレート体を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと一価アルコールと二価アルコールとを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱し、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行った。その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒を加えて50〜70℃でイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、ウレタン結合含有のHDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のポリイソシアヌレート体を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと、イソシアヌレート化触媒とを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、HDIポリイソシアヌレートを含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的物を得た。
その後、上記で得られたポリイソシアヌレートと二価アルコールとを撹拌機、温度計および還流冷却器を取り付けた四ツ口フラスコに仕込んだ。これを撹拌しながら60〜80℃に加熱し、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行って、ウレタン結合含有のHDIポリイソシアヌレート(ポリイソシアヌレート体)を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと二価アルコールとを仕込んだ。これを撹拌しながら50〜70℃に加熱し、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行った。その後、この反応液中にウレトジオン化およびイソシアヌレート化触媒を加えて50〜70℃でウレトジオン化およびイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で停止剤を加えて反応を停止させ、ウレトジオン二量体およびイソシアヌレート三量体構造を有するウレタン結合含有のHDI変性体を含む淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、目的のHDI変性物を得た。ウレトジオン二量体含有率、イソシアヌレート環状三量体含有率を、GPCによって得られる各ピークの面積百分率をもとに検量線から求めたところ、ウレトジオン2量体含有率=40質量%、イソシアヌレート環状3量体含有率=10質量%であった。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと水と、表1記載のその他原料とを仕込み(HDI/水モル比=5)、液温度を160〜170℃に加熱し、1時間反応させてHDIのビュレット変性体である淡黄色の反応生成液を得た。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、HDIのビュレット変性体を得た。
なお、GPCにて、尿素2量体濃度を測定したところ、0.2質量%以下であった。GPC測定は、東ソー株式会社製HLC−8120GPCを用い、東ソーTSKgel Super HM−Mのミックスカラムを分離カラムとして用いて行った。この際、分子量310付近にトップピークを持つピークの面積%を尿素2量体の質量%とした。
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素吹き込み管を取り付けた四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDIと一価アルコールとを仕込んだ。これを撹拌しながら60〜80℃に加熱して反応させ、目標のNCO含量に達するまでウレタン化反応を行った。次に触媒を仕込んで90〜100℃で反応させ、目標のNCO含量に達するまでアロファネート化反応を行い、停止剤を投入して反応を停止した。
未反応のHDIを120〜140℃、0.01〜0.05Torrで薄膜蒸留により除去し、HDIのアロファネート変性体を得た。
なお、表1において、P−1010は、クラレポリオールP−1010(分子量=1000、株式会社クラレ製、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料とするポリエステルポリオール)である。
(1)粘度
JIS K 2283(原油及び石油製品−動粘度試験法及び粘度指数算出方法)に準拠して25℃の動粘度を測定した。
(2)遊離HDI含有量
ガスクロマトグラフィー分析(装置:株式会社 島津製作所製 GC−14A、カラム:シリコンDC HVグリース)により測定した。
(3)溶解性
各合成例で得られた生成物、HDIおよびIPDIを、それぞれイプゾール100(出光興産株式会社製)、ミネラルスピリット、NBDI(コスモネートNBDI、三井武田ケミカル株式会社製)、フッ素樹脂ポリオール(ルミフロンLF800、旭硝子株式会社製)と、固形分質量比で1:1で配合した際の配合液の外観を、以下の基準によって評価した。
○:透明
△:半透明
×:不透明または不溶解物あり
[実施例1〜12]
合成例1(実施例1)、合成例2−1(実施例2〜4)、合成例2−2(実施例5)、合成例3−1(実施例6)、合成例4(実施例7)、合成例5(実施例8〜10)、合成例6(実施例11,12)で得られたポリイソシアヌレート体と、コスモネートNBDI(三井武田ケミカル株式会社製)と、エチルシリケート40またはエチルシリケート48(いずれもコルコート株式会社製:エチルシリケート縮合物)と、イプゾール100、またはミネラルスピリットとを、それぞれ表3に示す割合で分散用ステンレス容器に仕込み、常温で15分間撹拌して透明な硬化剤溶液を得た。
なお、表3における有機ポリイソシアネート組成物の粘度は、表2の粘度と同様にして測定した。
合成例2−3、合成例2−4、合成例3−2、合成例3−3、合成例5、合成例7〜9で得られたポリイソシアヌレート化合物、コスモネートNBDI、HDI、IPDI、エチルシリケート48、およびイプゾール100、ミネラルスピリットまたは酢酸ブチルを、それぞれ表4に示す割合で分散用ステンレス容器に仕込み、常温で15分間撹拌して硬化剤溶液を得た。
なお、表4における有機ポリイソシアネート組成物の粘度は、表2の粘度と同様にして測定した。
[1]臭気
臭気の判定は、人の嗅覚により評価した。
○:刺激臭がない
×:刺激臭を感じる(ある)
[2]外観
目視により評価した。
○:透明で沈殿物のない均一な液体
×:白濁または沈殿物がある
[主剤の製造]
150部のルミフロンLF800(旭硝子株式会社製:弱溶剤可溶フッ素樹脂ポリオール、水酸基価35mgKOH/g、酸価0.5mgKOH/g、数平均分子量9000)、180部のタイペークCR97(顔料、石原産業株式会社製:酸化チタン)、65部のLAWS(弱溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社製:ミネラルスピリット)を分散用ステンレス容器に仕込み、15分間撹拌した。ここに各成分の合計量と同量のガラスビーズを加えた後、サンドミルにて30分間ミル分散を行い、グラインドゲージで粒径10μm以下になったことを確認して分散を終了した。分散後の白色ペーストに、さらに305部のルミフロンLF800を撹拌しながら加えた後、15分間撹拌した。ろ過により、ガラスビーズを除去して、白色の主剤を得た。
なお、乾燥時間の評価は、半硬化による判定を行い、耐屈曲性および耐衝撃性の評価は上塗りのみで実施した。これらの結果を併せて表7に示す。
なお、強制汚染試験の評価は、コニカミノルタセンシング株式会社製の分光測色計CM−3600dを使用して明度を測定、試験前の試験体との明度差(ΔL*)で評価した。
明度差(ΔL*)=[試験後の塗膜明度(L*1)−試験前の塗膜明度(L*0)]
○: ΔL* −7以上
×: ΔL* −7未満
また、フッ素樹脂塗膜の評価は、促進耐候性試験キセノンランプ法(JIS K5600−7−7)に準拠して行った。2,500時間照射後の60度光沢を測定し、初期光沢に対する光沢保持率で評価した。80%以上を良好と判断した。
Claims (8)
- ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレートおよび/またはウレタン結合を含有するヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレートからなるポリイソシアヌレート体と、ノルボルナンジイソシアネートとを含有し、
遊離のヘキサメチレンジイソシアネートが0.3質量%以下、かつ、溶剤を含まない状態で、前記ポリイソシアヌレート体の粘度が25℃で700〜1,500mm2/sであることを特徴とする弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。 - 前記ポリイソシアヌレート体とノルボルナンジイソシアネートとを、ポリイソシアヌレート体/ノルボルナンジイソシアネート=9.3/0.7〜0.7/9.3(質量比)で含有する請求項1記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。
- 弱溶剤を含有する請求項1または2記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。
- アルキルシリケートおよびその縮合物の少なくとも一方を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。
- 前記アルキルシリケートおよびその縮合物の少なくとも一方を、10〜40質量%含む請求項4記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。
- 前記アルキルシリケートが、エチルシリケートである請求項4または5記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の弱溶剤型フッ素樹脂塗料用硬化剤と、水酸基およびカルボキシル基を含有するとともに弱溶剤に可溶なフッ素樹脂ポリオール並びに弱溶剤を含む主剤と、からなる2液型フッ素樹脂塗料。
- 前記ポリイソシアヌレート体およびノルボルナンジイソシアネートと、前記フッ素樹脂ポリオールとが、イソシアネート基/水酸基当量比=2/1〜1/2の範囲で配合される請求項7記載の2液型フッ素樹脂塗料。
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