JP4586170B2 - 光触媒活性を有するアパタイト含有膜及びその製造方法 - Google Patents

光触媒活性を有するアパタイト含有膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光触媒活性を有するアパタイト含有膜、該アパタイト含有膜を含む光透過材料、及びそれらの製造方法に関する。
近年、窓ガラスやタイル等の建材、パソコンや携帯電話等の電子機器、冷蔵庫や空気清浄機等の家電製品、カーテン等の室内備品、家庭用品、及び医療器具等に防汚性、防臭性、抗菌性を付与するため、光触媒の開発が行われている(非特許文献1及び2を参照)。光触媒を含有する製品は、その製品が優れた特性を示すだけでなく、周囲の環境中に存在する汚染物質を分解するため、環境浄化にも寄与する。
例えばパソコンや携帯電話では、キーボード、マウス、ボタン、及び筐体上に、手に由来する脂質、タンパク質及び炭水化物;タバコタール;大気中の汚染物質;ウイルス;細菌;カビ;等が付着しやすく、機器の外観が損なわれることがある。特に、これらの機器に含まれるディスプレイデバイスの透明カバーには、光透過性を保持するために防汚性が強く求められる。同様に、採光用の建材にも、光透過性を保持するために防汚性が強く求められる。そこで、光触媒材料を添加することにより防汚性や抗菌性等を付与する試みがなされている。
光触媒反応には、反応物が触媒に吸着する過程と、触媒の光吸収により生じた電子及び/又はホールが吸着種に移動し、吸着種が反応する過程とが含まれる。従来、光吸収により電子及び/又はホールを生成するという観点から、光触媒材料として二酸化チタン(TiO)に代表される半導体材料が注目を集めてきた。
半導体材料がそのバンドギャップより大きいエネルギーの光子を吸収すると、価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯にはホールが生成する。この様にして生成した電子及びホールが吸着種に移動すると、吸着種の還元及び酸化を起こす。例えば二酸化チタンでは、吸着水の酸化によりヒドロキシラジカル(・OH)が生成し、吸着酸素の還元によりスーパーオキシドアニオン(・O )が生じる。これらのラジカル及びアニオンがさらに他の吸着種と反応し、吸着種の酸化や分解に寄与する。
二酸化チタンは電子及びホールの生成という点では優れた特性を示すが、以下の問題も有する。まず、光触媒反応により除去することが望まれる物質には、二酸化チタンに吸着しにくい物質も存在する。このような物質については、二酸化チタンにより十分に除去することが難しい場合がある。そこで、吸着能の優れた光触媒材料が望まれていた。
さらに、光透過性が要求される材料に二酸化チタンを成膜すると、二酸化チタン膜自体は透明であっても材料全体としての透明性が失われてしまうことがある。なぜなら、膜の屈折率及び基板の屈折率の違いが大きい場合には、膜及び基板を透過し反射される光が干渉し合って干渉縞が生じるためである。
透明性が求められる製品としてはディスプレイデバイスの保護カバーや透明建材が挙げられるが、これらの製品では、基板としてガラスが用いられることが多い。そして二酸化チタンの屈折率は、ガラスの屈折率と比較して約3倍である。従って、これらの製品で干渉縞の発生を抑制するため、ガラスに近い屈折率を有する光触媒材料も望まれている。
光触媒活性を付与する面積が大きい場合、光触媒材料を成膜する必要がある。成膜方法としては、スパッタリングやレーザーアブレーションといった物理的成膜技術が知られているが、これらの方法では真空下で成膜を行う必要がある。また、大面積の均一な膜を作成することが難しい。さらに、イオンの衝突やレーザー照射の過程で光触媒材料の性能が低下するという問題もある。光触媒材料を作成した後、解砕して粒子とし、バインダとともに塗布して成膜する方法も知られている。しかし、この方法では光触媒と大気との接触がバインダにより遮られるため、光触媒活性が低下するという問題が生じる。そこで、光触媒活性を有する大面積の膜を簡便な方式で作成できる方法も望まれている。
吸着能及び屈折率に関する要求を充たす光触媒材料として、Tiを含有するカルシウムヒドロキシアパタイトが報告されている(特許文献1を参照)。しかし、アパタイトは難溶性であるため沈殿しやすく、ウェットプロセスにおいて原料の反応と膜厚を制御することが困難である。そのため、光触媒活性を有し透明なアパタイト膜を簡便な方式で作成する方法は報告されていない。
特開2000−327315号公報 橋本和仁、藤島昭,「酸化チタン光触媒のすべて −抗菌・防汚・空気浄化のために−」,(株)シーエムシー,1998年。 橋本和仁、「最新光触媒技術と実用化戦略」,(株)ビーケーシー,2002年。
本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであり、光触媒活性を有するアパタイト含有膜、該膜を含む光透過性材料、及びそれらの製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意研究の結果、アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し該組成物を乾燥させることにより、光触媒活性を有するアパタイト含有膜が製造できることを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、光触媒活性を有するアパタイト含有膜を常圧で作成することができ、光触媒活性を有するアパタイト含有膜を含む光透過材料を提供できる。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1) Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し;該混合液を反応させてアパタイト前駆体組成物を作成し;該アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し;塗布したアパタイト前駆体組成物を乾燥する;工程を含む、光触媒活性を有するアパタイト含有膜の製造方法。
(2) Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液が、さらにTi含有化合物を含む、(1)に記載の製造方法。
(3) アパタイト前駆体組成物がゾルである(1)又は(2)に記載の方法。
(4) アパタイト前駆体組成物がアルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを含む、(1)−(3)の何れかに記載の方法。
(5) 乾燥工程の後、最高到達温度が400−800℃となるよう加熱する工程をさらに含む、(1)−(4)の何れかに記載の方法。
(6) 以下の式:
0.0001≦ XTi/(XCa+XTi) ≦ 0.15
(XCaはアパタイト中のCaのモル数を表し、XTiはアパタイト中のTiのモル数を表す)を充たす(1)−(5)の何れかに記載の方法。
(7) アパタイトがカルシウムヒドロキシアパタイトである(1)−(6)の何れかに記載の方法。
(8) アパタイトが、Ti原子によりCaサイトが置換されたカルシウムヒドロキシアパタイトである、(7)に記載の方法。
(9) 基板がガラスである(1)−(8)の何れかに記載の方法。
(10) アパタイト含有膜の水接触角が30〜60°の範囲にあり、
光量3mW/cmでの700時間の光照射による水接触角の変化が5°以内である、
(1)−(9)の何れかに記載の方法。
(11) Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し;該混合液を反応させてアパタイト前駆体組成物を作成し;該アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し;塗布したアパタイト前駆体組成物を乾燥する;工程により製造される、光触媒活性を有するアパタイト含有膜。
(12) アパタイト前駆体組成物がアルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを含む、(11)に記載のアパタイト含有膜。
(13) 基板と(11)又は(12)に記載のアパタイト含有膜とを有し、波長400−700nmの光の透過率が85%以上であり、反射率が15%以下である光透過材料。
(14) 基板がガラスである(13)に記載の光透過材料。
(15) (13)又は(14)に記載の光透過材料を含むディスプレイデバイス。
(16) (13)又は(14)に記載の光透過材料を含む建材。
(17) 光触媒活性を有するアパタイト含有膜の製造のための、ゾル状のアパタイト前駆体組成物。
(18) Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し、該混合液を反応させて形成される、ゾル状のアパタイト前駆体組成物。
本発明の光触媒活性を有するアパタイト含有膜の製造方法は、Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し;該混合液を反応させてアパタイト前駆体組成物を作成し;該アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し;塗布したアパタイト前駆体組成物を乾燥する;工程を含む。これらの工程は、いずれも常圧で行うことができる。従って、本発明の方法は真空機器といった装置を必要とせず、大面積の膜を安価に作成することができる。
ここで光触媒とは、光を照射しない条件と比較して光照射条件下で活性が増加する触媒をいう。本発明のアパタイト含有膜が触媒活性を示す反応物に特に制限はなく、一般に光触媒の対象となる物質、例えば非特許文献1及び2に記載されたものが含まれるが、それらに限定されない。例えば、反応物としてアルコール、アルデヒド、ハロゲン化物といった有機物;NOxやSOxといった無機物;脂質;アルブミンといったタンパク質;ウイルス;細菌;カビが挙げられる。
「光触媒活性を有する」とは、光触媒として機能することを指し、反応物の存在下における有意な二酸化炭素濃度の増加と有意な反応物濃度の減少の両方;及び/又は、メチレンブルーといった色素の分解;が検出されることをいう。
アパタイトとは、フルオロアパタイト(Ca10(PO)と同様の結晶構造を有する物質を指し、式:
(BO・n(HO)
(AはCa、Ti、Sr、Ba、Pb、Na、K、Y、Ce、Co,Ni、Cu,Al,La、Cr、Fe、Mg、又はそれらの組み合わせを表し;BはP、S、V、Si、As、又はそれらの組み合わせを表し;XはF、Cl、OH、O、又はそれらの組み合わせを表し;yはBによって定まる値であり;x、z、及びsは、A、(BO)、及びXの価数により定まる値であり;nは0〜20の範囲にある)
で表される物質をいう。A、(BO)、及びXは、さらに別のイオンにより置換されてもよい。
アパタイトには、フルオロアパタイト、クロロアパタイト、及びヒドロキシアパタイトが含まれる。本発明では、アパタイトがカルシウムヒドロキシアパタイトであることが好ましい。ここでカルシウムヒドロキシアパタイト(以下、CaHAPと略記する)とは、Ca10(PO(OH);及び、Ca、(PO)、又はOHの一部が置換されたCa10(PO(OH)をいう。図1に、Ca10(PO(OH)の結晶構造を示す。
アパタイト含有膜は、アパタイト以外に他の物質を含んでもよい。例えば、副生成物として生じた炭酸カルシウムやリン酸カルシウムを含んでもよい。ただし、アパタイト含有膜の成分中で、重量で比較して最も大きい割合を占める物質はアパタイトである。
本発明の方法では、まず、Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成する。混合液は、さらに溶媒を含んでもよい。混合液とは溶液に限定されず懸濁液も含む。
Ca含有化合物に特に制限はなく、カルシウムEDTA等の錯体、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、及びシュウ酸カルシウムが挙げられる。P含有化合物に特に制限はなく、五酸化リン、リン酸、及びリン酸アンモニウムが含まれる。溶媒に特に制限はなく、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールといったアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンといったエーテル;塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素といったハロゲン化炭素;ヘキサンといった脂肪族炭化水素;シクロヘキサンといった環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンといった芳香族炭化水素;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
混合液は、さらにTi含有化合物を含んでもよい。Ti含有化合物に特に制限はなく、チタンアルコキシド、チタン錯体、及びチタンを含む塩が挙げられる。チタンアルコキシドとしては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラメトキシド、及びチタンテトラエトキシドが挙げられる。チタン錯体としては、チタンEDTA、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、及びチタントリエタノールアミネートが挙げられる。チタンを含む塩としては、硫酸チタン、硝酸チタン、三塩化チタン、四塩化チタンが挙げられる。
Ti含有化合物の量は、生成するアパタイトにおいてXTi/(XCa+XTi)(XCaはアパタイト中のCaのモル数を表し、XTiはアパタイト中のTiのモル数を表す)が0.0001以上、好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.01以上であり、0.15以下、好ましくは0.125以下となるよう、決定される。XTi/(XCa+XTi)が上記範囲未満では光触媒活性が十分でなく、上記範囲を超えると異相が出現し、光触媒活性が低下することがある。Ti原子はCaサイトを置換することが好ましいが、その他のサイトを占有してもよい。
混合液は、Ca、P、及びTi以外の元素を含有する化合物をさらに含んでもよい。例えば、Xの一部をFで置換するため、F含有化合物をさらに含んでもよい。F含有化合物としては、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロリン酸、アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、フッ化アンモニウムが挙げられる。
混合液には、pH調整剤やTi含有化合物の分解抑制剤を適宜添加することができる。また、反応開始剤や反応促進剤を添加することもできる。これらの試薬は、混合液を作成する工程で添加してもよく、その後の工程で添加してもよい。
この様にして調製した混合液を反応させて、アパタイト前駆体組成物を作成する。混合液の反応は、室温で撹拌することによって行ってもよく、適宜加熱してもよい。混合液を作成する工程と、混合液を反応させる工程とは、同時に行うこともできる。
混合液の反応とは、混合液中のCa含有化合物、P含有化合物、Ti含有化合物、それらの化合物に由来する成分、溶媒、又はそれらの組み合わせが関与する反応をいう。例えば、Ca2+及びポリリン酸イオンが凝集して微粒子となり、ゾルを形成する反応;チタンアルコキシドの分解反応及び/又は縮重合反応によりゾルを形成する反応;Tiイオンにリン配位子が配位した錯体を形成する反応;が挙げられる。アルコキシドの分解反応には、加アルコール分解及び加水分解が含まれる。
アパタイト前駆体とは、乾燥及び/又は加熱によりアパタイトを形成する物質を指し、前述の混合液の反応により形成してもよい。例えば、Ca、P、及びTiを含むコロイド粒子が挙げられる。アパタイト前駆体はアパタイト構造の長距離秩序を有する必要はないが、局所的にはアパタイト構造の骨格を有していることが好ましい。アパタイト前駆体組成物は、塗布の観点から流動性を有することが好ましい。流動性を有する組成物としては、ゾル状の組成物が挙げられる。該ゾル中では、アパタイト前駆体が微粒子として含まれる。流動性を有する前駆体組成物を塗布し、基板上で化学的にアパタイトを生成させることにより、所望の性能を有する均一で大面積の膜を容易に作成することができる。
1つの態様では、アパタイト前駆体組成物は、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせをさらに含有する。これらの添加物は、常温常圧で液体であってもよく、固体であってもよい。何れの理論にも束縛されるものではないが、これらの添加物を用いることにより、アパタイト前駆体組成物の特性、例えば揮発性や粘性を制御することができる。その結果、膜の均一性を改善し、及び/又は膜の透明性を高めることができる。
アパタイト前駆体組成物には、混合液由来の溶媒が含まれる。該溶媒の沸点が低いと、前駆体組成物の塗布直後から乾燥が始まるため、膜の均一性及び透明性を損なうことがある。例えば、乾燥過程で不均一な析出がおき、肉眼では白濁が確認され、顕微鏡では膜中に島状の突起が観察される。それに対し、前駆体組成物にアルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを添加して揮発性を抑制することにより、膜の均一性及び透明性を改善しうる。あるいはまた、これらの添加剤を用いて粘性を高めることにより、基板上において塗布された前駆体組成物を均一な状態に保ちうる。このようにアルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを添加して前駆体組成物の特性を制御することにより、生成する膜の均一性及び透明性を改善することができる。具体的には、光の散乱やヘイズが低減される。
別の態様では、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを添加することにより前駆体組成物の前駆体濃度が減少する。その結果、一回のコーティングで成膜される膜厚が減少する。従って、コーティングの回数を変えることにより、総膜厚の精密な調整をすることができる。
アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを添加する手順に特に制限はなく、アパタイト前駆体組成物を塗布する工程の前の任意の時点で添加することができる。例えば、Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液に添加してもよく、該混合液を反応させてアパタイト前駆体組成物を作成する工程で添加してもよく、作成されたアパタイト前駆体組成物に添加してもよい。アパタイト前駆体を作成する工程と基板へ塗布する工程との間に、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを添加する工程を挿入してもよい。この態様では、これらの添加物に由来する副反応を避けることができる。
本発明で使用されるアルコールとしては、C−C12、好ましくはC−C、さらに好ましくはC−Cの直鎖又は分枝状の置換又は無置換の脂肪族アルコール;C−C12、好ましくはC−C10である、より好ましくはC−Cである置換又は無置換の芳香族アルコール;が挙げられる。脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−ヘキサノールが挙げられるが、これらに限定されない。芳香族アルコールとしては、フェノール、ベンジルアルコール、フェニチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用されるアルコールには、アルコキシアルコールが含まれる。アルコキシアルコールとしては、式(I):
11−O−R12−OH (I)
(式中、R11はC−C11、好ましくはC−C、さらに好ましくはC−Cの置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキアルキル基、アルコキシアルケニル基、及びアルコキシアルキニル基からなる群より選択される。R12は、−(CH−(nは1−11の範囲にある整数である)、並びに、C−C11、好ましくはC−C、さらに好ましくはC−Cの置換又は無置換のアルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基からなる群より選択される。)
の化合物が挙げられる。
11には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基が含まれるが、これらに限定されない。R12には、−(CH)−、−(CH−、−(C(CH)H)−、−(CH−、プロピレン基、ブチレン基、アミレン基、及びヘキシレン基が含まれるが、これらに限定されない。アルコキシアルコールには、メトキシメタノール、エトキシメタノール、2−メトキシエタノール、1−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−エトキシエタノールが含まれるが、これらに限定されない。
本発明で使用されるポリエチレングリコールには、式(II):
21−(OCHCH−OR22
(式中、R21及びR22は、C−C12、好ましくはC−C、さらに好ましくはC−Cの置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び水素からなる群から独立に選択され;nは1から1000、好ましくは1から500の範囲にある整数である)
で表される化合物が含まれる。
本発明で使用されるポリオキシメチレンには、式(III):
31−(OCH−OR32
(式中、R31及びR32は、C−C12、好ましくはC−C、さらに好ましくはC−Cの置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び水素からなる群から独立に選択され;nは1から2000、好ましくは1から1000の範囲にある整数である)
で表される化合物が含まれる。
アパタイト前駆体組成物の塗布には、任意の公知の手法を用いることができる。例えば、ディップコート、噴霧、ブレードコート、ロールコート、グラビアコートが挙げられる。
アパタイト前駆体組成物を乾燥する工程では、溶媒や反応の副生成物を除去するとともに、分解や重合といった反応をさらに進行させてアパタイトを形成する。アパタイト前駆体組成物がゾルである場合、乾燥によりゲルを経てアパタイト含有膜が生成する。乾燥速度は、膜に亀裂が生じないよう適宜選択される。乾燥温度は、溶媒が除去される温度であれば特に制限はなく、80℃以上、好ましくは100℃以上、400℃以下、好ましくは250℃以下である。
乾燥工程後、さらに高い温度に加熱してもよい。加熱工程により、アパタイト含有膜の結晶性、透明性、及び光触媒活性といった特性を向上することができる。加熱工程の最高到達温度は、400℃以上、好ましくは500℃以上であり、800℃以下、好ましくは700℃以下である。温度が上記範囲未満では、加熱による効果が十分でない場合があり、上記範囲を超えると、基板が損傷を受ける場合がある。加熱工程は酸素含有雰囲気下、例えば空気中で行うことが好ましい。
本発明のアパタイト膜の厚さは用途に応じて適宜選択され、20nm以上、好ましくは50nm以上であり、10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。所望の膜厚にするため、塗布工程、乾燥工程、及び加熱工程からなるサイクルを繰り返し行ってもよい。また、塗布工程及び乾燥工程からなるサイクルを繰り返した後、加熱工程を行ってもよい。
アパタイト含有膜を形成する基板に特に制限はなく、ガラス、プラスチック(例えばアクリル材、PET)、金属(例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル)、グラファイト、コンクリート、不燃材(例えば石膏ボード、珪酸カルシウム板、フレキシブルボードなどのセラミックス材)等が挙げられる。基板には、アパタイト含有膜の形成の前にアンダーコートを作成してもよい。光透過性という点から、基板はアパタイトに近い屈折率を有する材料、例えばガラスであることが好ましい。ガラスとしては、パイレックスガラス、ソーダライムガラス、及び石英ガラスが挙げられる。乾燥工程後に加熱工程をさらに行う場合には、耐熱性の優れたパイレックスガラスや石英ガラスが好ましい。
本発明は、基板と、光触媒活性を有するアパタイト含有膜とを有し;波長400−700nmの光の透過率が85%以上であり、反射率が15%以下である;光透過材料にも関する。波長400−700nmの光の透過率とは、この波長範囲における透過率の平均値をいう。透過率は85%以上、好ましくは88%以上である。透過率の上限に制限はないが、他の特性を充足するため、99%以下にすることが好ましい。波長400−700nmの反射率とは、この波長範囲における反射率の平均値をいう。反射率は15%以下、好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。反射率の下限に特に制限はないが、他の特性を充足するため、1%以上にすることが好ましい。透過率及び反射率がこれらの条件を満たす光透過材料は、前述の方法により作成できる。
別の側面では、本発明のアパタイト含有膜は、二酸化チタンと異なり光誘起親水化現象を示さないという特徴を有しうる。アパタイト含有膜の水接触角は、調製直後では5°−20°の範囲にあり、その後暗所に放置することで30−60°の範囲に収束する。特に断らない限り、本明細書で接触角とは収束した値を指す。収束後、1mW/cmのブラックライトを80時間照射する条件で光照射を行うと、光照射前後の水接触角の差は5°以下である。3mW/cmのブラックライトを700時間照射する条件でも、光照射前後の水接触角の差は5°以下である。このように、本願発明のアパタイト含有膜は、光照射下でも安定した撥水性が求められる用途において有用である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
基板の作成
ピュアーソフトPS(アズワン株式会社製)を5倍に希釈した洗浄溶液に、縦7.5cm、横5.5cm、厚さ1.1mmのガラス片(コーニング137ガラス)を浸漬し、30分間超音波洗浄し蒸留水で洗浄し、乾燥した。このガラス片に、NDH−500A(日本曹達株式会社製)をディップコートした。ディップコートの条件は、室温で窒素雰囲気下、引き上げ速度を24cm/minとした。ディップコートの後、120℃で40分乾燥し、500℃で30分焼成することにより、SiOのアンダーコートを形成した。さらに、ディップコート、乾燥、及び焼成のサイクルを再度繰り返した。この様にして得たSiOを有するガラス片を基板として用いた。
アパタイト薄膜の製造
100mLのエタノールに硝酸カルシウム4水和物(Ca(NO3)2・4H2O, 2.125 g)を加え、硝酸カルシウムが完全に溶けるまで室温で攪拌した。この溶液に、五酸化リン(P2O5, 0.4258 g)を添加して更に2時間を攪拌した。さらに、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4, 0.2842 g)を添加し、混合液とした。この混合液を室温で約19時間攪拌して反応させ、アパタイト前駆体組成物である淡黄色のゾルを得た。
このゾルを用い、前述の基板上の5cm×5cmの領域にディップコートを行った。ディップコートの条件は、室温、窒素雰囲気下、引き上げ速度24 cm/minとした。ディップコートしたサンプルを150°Cで30分乾燥し、さらに大気雰囲気下600°Cで30分焼成した。ディップコートから焼成完了までを1サイクルとして、サイクル数が2、5、10回のサンプルを作製した。以下それぞれを、2層、5層、10層コートと称する。
アパタイト膜のキャラクタリゼーション
膜厚
走査型電子顕微鏡(SEM;日立S-4200)を用いてチタンアパタイト2層コートの膜厚を観察したところ、膜厚は約200 nmであった(図2)。この結果から、1回のコートによって約100 nmの薄膜が作製できていることがわかった。
組成分析
X線光電子分光(XPS;Physical Electronics社製Model 5600)により、表面組成分析を行った。元素としてCa、Ti、P、Oが検出された。薄膜のスペクトルは粉末と同様であり、Tiの含有量は約10mol%であった。
水接触角
接触角計(協和界面科学DropMaster 500)を用いて、前述のサンプルについて光照射前後の水接触角を測定した。作成直後のサンプルの水接触角は約10°であり、その後、暗所に放置しておくことにより、40-50°に落ち着いた。この値を光照射前の水接触角とした。このサンプルに3mW/cmのブラックライト(FL10BLB、東芝ライテック)を700時間照射し、再び水接触角を測定した。その結果、光照射700時間の前後で水接触角の値に有意な変化は検出されなかった。
該ゾルから作成した粉体についても水接触角について同様の測定を行ったが、薄膜と同様の結果が得られた。
なお、各々の接触角の測定後、80℃で30分間の乾燥を行った。
光学測定
作成したサンプルについて、紫外可視分光光度計(Perkin-Elmer Lambda 900)および絶対反射測定ユニット(Perkin-Elmer)を用い、透過スペクトルおよび吸収スペクトルを測定した(図3)。
波長400−700nmでの平均透過率は、2層コート、5層コート、基板のいずれについても93%であり、10層コートでは89.8%であった。波長400−700nmでの平均反射率は、2層コートについて6.5%、5層コートについて6.1%、10層コートについて8.1%、基板について6.0%であった。透過率および反射率は基板のガラス単独とほぼ同等であり、高い透明性を示した。
光触媒活性評価
(1) アセトアルデヒド分解試験
密閉容器(容量1L;石英ガラス製)中にサンプルを静置し、合成空気で置換した。アセトアルデヒドの飽和蒸気0.5mLをシリンジで容器に導入し、紫外光照射(ブラックライト、1mW/cm2、FL10BLB 東芝ライテック)を照射した。所定の時間ごとに容器内のガスをシリンジによって1mL取り、ガスクロマトグラフ(島津GC-8A、FID検出器、活性炭およびPEG-1000を充填したカラム)を用いて、残留したアセトアルデヒドおよび発生した二酸化炭素の定量分析を行った。その結果、アセトアルデヒド濃度の減少と二酸化炭素濃度の増加が検出され、アパタイト含有膜が光触媒活性を確認することが出来た。
2層コートの結果を図4に示す。図4には、比較のため膜と同じ組成の粉末の結果も示す。アパタイト粉末については光を連続的に照射し、アパタイト含有膜については図中に示す通り光照射を中断して、触媒活性が光に依存することを確認した。図4中、アパタイト含有膜の面積として、膜を形成した基板の面積(5cm x 5cm)を用いた。光触媒活性評価に用いたアパタイト含有膜では、表面積1mあたり1時間に200ppmv以上の二酸化炭素が生成し、優れた光触媒活性を有していることがわかる。
(2) メチレンブルー分解試験
前述のサンプルの光触媒活性を、メチレンブルー分解試験によって評価した。
まず、サンプルを1mMメチレンブルー溶液に2時間浸漬した後、暗所で乾燥させた。このサンプルをUV照射(10 mW/cm2)下におき、紫外可視吸収スペクトルの経時変化を測定することにより、メチレンブルーの分解を評価した。測定には、紫外可視分光光度計(Perkin-Elmer Lambda 900)を用いた。
結果を図5に示す。チタンアパタイト膜を有しないガラス基板と比較すると、チタンアパタイト薄膜では、メチレンブルーの分解を明瞭に観測することが出来た。
メチレンブルー分解速度は、膜厚に依存する。図6に、ディップコートの回数とメチレンブルー分解の初速度との関係を示す。コート回数を増やすにつれて分解速度が向上するが、コート1回当たりの分解速度の増加分は小さくなることがわかる。
酸化チタン薄膜の結果(T. Watanabe, S. Fukayama, M. Miyauchi, A. Fujishima, K. Hashimoto, J. Sol-Gel Sci. Tech. 2000, Vol. 19, p.71-76)と比較すると、チタンアパタイト薄膜における光触媒活性の膜厚依存性は小さい。従って、チタンアパタイト薄膜では、薄い膜厚でも光触媒活性を得やすいといえる。
[実施例2]
基板をソーダライムガラスに変更した点を除き、実施例1と同様にチタンアパタイト薄膜を製造した。ディップコートを1回行った1層コートの薄膜について、メチレンブルー分解により光触媒活性を評価した(図7)。図7には、比較のため、実施例1のコーニングガラス基板にチタンアパタイト薄膜をコーティングしたサンプル、及び酸化チタン薄膜をソーダライムガラスにコーティングしたサンプルの結果も示す。何れのサンプルも、ディップコート1回で薄膜のコーティングを行った。
酸化チタン薄膜の場合、ガラスに含まれるナトリウムイオン等の影響により光触媒活性が低下するのに対し(T. Watanabe et al., 2000, Vol. 19, p. 71-76)、チタンアパタイト薄膜ではソーダライムガラス基板でもコーニングガラス基板でもその様な活性の低下は見られず、優れた触媒活性を維持することがわかった。
[実施例3]
室温で約19時間攪拌して反応させて得たゾルに50 mLの2−エトキシエタノールを添加した点を除き、実施例1と同様にしてチタンアパタイト薄膜を製造した。ディップコートから焼成の完了までを1サイクルとし、サイクル数を変えて種々のサンプルを作成した。
一回のサイクルで形成される層の厚さを決定するため、シリコンウェハーを基板として同様の方法でサンプルを作成し、分光エリプソメトリーで膜厚を測定した。その結果、1回のサイクルで約20 nmの層が形成されることがわかった。
実施例1では1回のサイクルで形成される層の厚さが約100 nmであることから、2−エトキシエタノールの添加によって1回のサイクルで形成される層の厚さが減少したことがわかる。
実施例3のサンプルは、実施例1のサンプルと比べ、目視で顕著に透明性が向上した。具体的には、実施例1の薄膜では目視でうっすらと白濁が検出されるのに対し、実施例3ではその白濁が低減された。この透明性の改善は、ゾルに2−エトキシエタノールを添加したことにより膜の均一性が向上し、薄膜の散乱光が減少したためであると推測される。
実施例3のサンプルについて、実施例1に記載の方法でアセトアルデヒド分解試験及びメチレンブルー分解試験を行った。その結果、実施例3のサンプルは実施例1のサンプルと同様の光触媒活性を示した。
本発明の方法より、光触媒活性を有するアパタイト含有膜が簡便な方式で作成できる。また、該アパタイト含有膜を有する光透過材料も作成できる。
本発明の方法によりアパタイト含有膜を電子機器のディスプレイデバイス、キーボード、マウス、及び筐体や建材に作成することによって、デザインに制限を加えることなく優れた防汚性、防臭性、及び抗菌性を付与することができる。本発明の方法により、透明性が要求される用途、例えばディスプレイデバイスの透明カバーや透明な建材において、透明性を損なうことなく優れた特性を付与することができる。
図1は、カルシウムヒドロキシアパタイトの結晶構造を示す。 図2は、ガラス基板上に作成したアパタイト含有膜の切断面のSEM像を示す。 図3は、ガラス基板上に作成したアパタイト含有膜の光学特性を示す。 図4は、ガラス基板上に作成したアパタイト含有膜及びアパタイト粉末のアセトアルデヒド分解試験の結果を示す。 図5は、ガラス基板上に作成したアパタイト含有膜のメチレンブルー分解試験の結果を示す。 図6は、アパタイト含有膜の膜厚がメチレンブルー分解試験における初速度に及ぼす影響を示す。 図7は、ソーダライムガラス基板及びコーニングガラス基板上に作成したアパタイト含有膜の光触媒活性をメチレンブルー分解試験で評価した結果を示す。

Claims (14)

  1. Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し;
    該混合液を反応させて、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを含むアパタイト前駆体組成物を作成し;
    該アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し;
    塗布したアパタイト前駆体組成物を乾燥する;
    工程を含む、光触媒活性を有するアパタイト含有膜の製造方法。
  2. Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液が、さらにTi含有化合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. アパタイト前駆体組成物がゾルである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 乾燥工程の後、最高到達温度が400−800℃となるよう加熱する工程をさらに含む、請求項1−の何れかに記載の方法。
  5. 以下の式:
    0.0001≦ XTi/(XCa+XTi) ≦ 0.15
    (XCaはアパタイト中のCaのモル数を表し、XTiはアパタイト中のTiのモル数を表す)
    を充たす請求項1−の何れかに記載の方法。
  6. アパタイトがカルシウムヒドロキシアパタイトである請求項1−の何れかに記載の方法。
  7. アパタイトが、Ti原子によりCaサイトが置換されたカルシウムヒドロキシアパタイトである、請求項に記載の方法。
  8. 基板がガラスである請求項1−の何れかに記載の方法。
  9. アパタイト含有膜の水接触角が30〜60°の範囲にあり、
    光量3mW/cmでの700時間の光照射による水接触角の変化が5°以内である、請求項1−の何れかに記載の方法。
  10. Ca含有化合物及びP含有化合物を含む混合液を作成し;
    該混合液を反応させて、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせを含むアパタイト前駆体組成物を作成し;
    該アパタイト前駆体組成物を基板に塗布し;
    塗布したアパタイト前駆体組成物を乾燥する;
    工程により製造される、光触媒活性を有するアパタイト含有膜。
  11. 基板と請求項10に記載のアパタイト含有膜とを有し、
    波長400−700nmの光の透過率が85%以上であり、反射率が15%以下である光透過材料。
  12. 基板がガラスである請求項11に記載の光透過材料。
  13. 請求項11に記載の光透過材料を含むディスプレイデバイス。
  14. 請求項11に記載の光透過材料を含む建材。
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