JP3867036B2 - 光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法 - Google Patents

光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光照射により光触媒活性および/または親水性を発現する光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法に関するものであり、かかる複合材料は、例えば環境浄化または防食機能を要する内外装材として使用するのに適する。
【0002】
【従来の技術】
近年、公害対策や、健康、快適、清潔に対する関心の高まりから、抗菌、消臭、防汚等の機能を持った環境浄化型製品のニーズがあり、光触媒を利用した製品が注目されている。
前述の「光触媒」とは、光エネルギーの吸収により、励起電子が酸素を還元して活性酸素種のスーパーオキサイドアニオン(・O2 -)を生成するとともに、正孔が水を酸化して活性酸素種の水酸ラジカル(OH・)を生成することにより、光触媒の表面に接触した有機物などを酸化分解する物質のことである。
【0003】
さらに、光触媒が酸化チタンの場合は、水の接触角で5°以下の超親水性を発現することができる。この特性を利用することにより、屋外用途では、都市型汚染の主成分である油分、無機質塵埃、カーボン等に対する耐汚染処理、視認性を確保するための防曇処理、屋内用途では、抗菌、消臭等の衛生処理を行うことができる。
【0004】
例えば、特許第2756474号公報には、酸化チタンの光触媒を表面に接合した親水性基材が提案されている。さらに、n型半導体の性質を利用することにより、金属材を電気防食することもできる。
【0005】
活性酸素種の生成反応が起こるのは、光触媒のバンドギャップエネルギーが活性酸素種の生成エネルギー(1.36eV(2.18×10-19J))より大きいだけでは不十分であり、その伝導帯の下端と価電子帯の上端が、活性酸素種を生成するO2/O2 -(−0.13eV(-0.21×10-19J))準位とO2/H2O(1.23eV(1.97×10-19J))準位を挟むような位置になければならない。
この酸化還元準位は平衡準位であるため、活性酸素種の生成反応を起こさせるには、ある程度の過電圧が必要であり、伝導帯の下端準位をO2/O2 -準位よりも負側に位置させ、価電子帯の上端準位をO2/H2O準位よりも正側に位置させることが望ましい。
【0006】
しかし、現在、光触媒物質として実用化されているアナターゼ型の酸化チタンは、価電子帯の上端準位がO2/H2O準位よりも十分深い正側に位置するため、バンドギャップエネルギーが3.2eV(5.13×10-19J)と大きく、可視光の照射では光触媒活性と親水性の性質を発現できず、紫外線の照射でのみ上記性質を発現することができる。
【0007】
例えば、光源として太陽光や蛍光灯を使用する場合は、紫外線の分光分布スペクトルはせいぜい3〜4%であり、近紫外線の強度は日中の太陽光で1〜2mW/cm2、室内の蛍光灯に至っては1μW/cm2程度にすぎない。よって、光エネルギーの有効利用や、蛍光灯環境下でも十分な機能を発揮させるため、可視光の照射でも光触媒活性と親水性の性質を発現できる光触媒材料を開発することが望まれる。
【0008】
可視光の照射により光触媒機能を発現するには、光触媒のバンドギャップエネルギーが可視光を吸収できる約3eV(4.8×10-19J)以下であることが必要条件となり、様々な方法が提案されている。
【0009】
例えば、特開平11−197512号公報には、イオン注入装置を用い、アナターゼ型酸化チタンに、バナジウムやクロムなどの遷移金属をイオン注入したあと、大気中で熱処理することにより、可視光活性が発現することが開示されている。しかしながら、上掲公報記載の方法、装置が高価であり、さらに大面積に適用するのは難しい。
【0010】
また、三好正大ら、色材、73(12)、580(2000)には、アナターゼ型酸化チタンに水素プラズマ処理を施して酸素欠損を形成させ、これによって可視光活性が発現することが開示されている。しかしながら、酸素欠損を形成して酸素原子を取り除くと、不安定な結晶構造となりやすく、光触媒作用を長期間にわたって持続させることは難しい。
【0011】
さらに、R.Asahi et al., Science, 293,269(2001)には、アナターゼ型酸化チタンの価電子帯を構成する酸素2p軌道に窒素2p軌道を混成させることにより価電子帯の上端を負側にシフトさせた、RFマグネトロンスパッタ法を用いて作製したチタンオキシナイトライド(TiO2-xNx)光触媒薄膜が開示されている。上掲文献記載のTiO2-xNx光触媒薄膜は、可視光の照射で光触媒活性と親水性の性質を発現できる光触媒材料であるが、この薄膜は、RFマグネトロンスパッタ法によりTiO2ターゲットをN2+Arガス雰囲気中で堆積させることによって製造しているため、装置が高価であり、また、薄膜中に含有させる窒素量の制御が難しく、さらに、多成分元素を任意の組成に制御することは難しい等の問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような従来技術に鑑みて、可視光照射により光触媒活性および/または親水性を発現するチタンオキシナイトライドからなる光触媒被膜を有利に形成した複合材料の製造方法を提供することにあり、かかる複合材料は、例えば環境浄化または防食機能を要する内外装材として使用するのに適する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、二酸化チタンまたはチタン複合酸化物を含むチタン含有酸化物の酸素サイトを窒素元素で置換したチタン含有オキシナイトライドが、可視光照射で光触媒活性および/または親水性を発現し、さらに耐摩耗性、耐食性が向上することに着目し、チタン含有オキシナイトライドの光触媒薄膜を有利に製造できる方法を開発するための検討を行ったところ、基材表面に形成する被膜をチタン含有酸化物またはその前駆体物質とし、かかる被膜の平均膜厚が0.01〜3μmであれば、その後に比較的簡便な窒化処理を施すことによって、組成が膜厚方向に均一なチタン含有オキシナイトライドの光触媒被膜を形成した複合材料を作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材表面を、平均膜厚が0.01〜3μmのチタン含有酸化物またはその前駆体物質を含む被膜で被覆した後、アンモニアガスまたはアンモニア含有ガスの雰囲気下で、遠紫外線または真空紫外線を照射することによる窒化処理を施すことにより、前記被膜を、可視光照射により光触媒活性および/または親水性を発現するチタン含有オキシナイトライドからなる光触媒被膜に改質することを特徴とする、光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
現在、実用化されている光触媒のアナターゼ型酸化チタンは、可視光の照射では光触媒活性を発現することができず、紫外線の照射でのみ光触媒活性を発現することができる。これは、酸素の2p軌道で構成される酸化物の価電子帯の上端準位が、水の酸化準位O2/H2Oよりもかなり正側の深い位置にあることにより、バンドギャップエネルギーが大きくなることが原因である。
【0018】
そこで、可視光照射により光触媒活性を発現させる方法として、酸化物の光触媒に窒素元素をドープしたオキシナイトライドが注目されている。酸化物の酸素サイトに窒素元素をドープすると、酸素のO2pよりもエネルギー準位の高いN2pも価電子帯の構成に利用されるようになり、その結果、価電子帯の上端準位が負側にシフトしてバンドギャップが挟まる結果、可視光が吸収できるようになるものと考えられている。
【0019】
オキシナイトライドの光触媒は、アナターゼ型のTiO2-xNxや、チタン、ニオブ、タンタルのペロブスカイトまたは層状ペロブスカイト物質、例えば、LaTaO2N、CaTaO2N、SrTaO2N、BaTaO2N、LaTiO2N、Ca1-xLaxTiO3-xNx、CaNbO2N、SrNbO2N、BaNbO2Nなどが知られているが、実用的には、コスト、安全性、安定性などの点から、光触媒物質はチタンベースのチタン含有オキシナイトライドであることが好ましい。なお、ここでいう「チタンベースのチタン含有オキシナイトライド」とは、伝導帯を形成する遷移金属元素中に占めるチタン元素の割合が50atom%以上である化合物のことを指す。
【0020】
本発明の方法によって製造した光触媒複合材料は、チタン含有オキシナイトライドの光触媒を基材に被覆するため、可視光照射により光触媒活性および/または親水性を発現し、さらに結晶構造に窒素元素がドープされるため、耐摩耗性および耐食性に優れている。
【0021】
また、チタン含有オキシナイトライド光触媒被膜が超親水性を発現するには、該光触媒被膜中にアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などの結晶構造が含まれることが好ましい。ぺロブスカイト型などの複合酸化物は、メカニズムは不明だが、水に対する接触角が通常10〜20°程度にしかならない。さらに親水性を長期間にわたって持続させるには、シリカまたはシリコンオキシナイトライドを光触媒被膜の固形分に対して10〜80質量%混合するのが好ましく、より好ましくは20〜50質量%混合する。
【0022】
この発明の光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法は、まず、基材表面を、平均膜厚が0.01〜3μmのチタン含有酸化物またはその前駆体物質を含む被膜で被覆する。
前記被膜の平均膜厚を上記範囲に限定したのは、0.01μm未満の場合、均一な被膜を形成し難く、さらに光触媒機能が有効に発現しない。また、3μm超えだと、その後に行う窒化処理によって、前記被膜の膜厚(深さ)方向に窒素を均一に含有させることが困難になるからである。たとえ、3μm超の被膜を形成させても、表面から3μm程度までの範囲しか、チタン含有オキシナイトライドに改質できない。
【0023】
本発明で使用する基材としては、セラミックス、タイル、コンクリート、ガラス、煉瓦などの無機材料、アルミニウム、ステンレス鋼、メッキ鋼板、化成処理鋼板、塗装鋼板などの金属材料、アクリル、ポリカーボネートなどの樹脂、木材などの有機材料が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0024】
基材の形状としては、例えば、ブロツク、板(シート)、フィルム、構造材等が挙げられるが、これらに特に限定されない。加えて、基材の大きさや厚さも特に限定されない。
【0025】
また、チタン含有オキシナイトライド光触媒被膜の酸化分解作用から基材を保護することが必要な場合は、これらの間にバリア層を設けることが好ましい。
バリア層としては、基材の酸化保護の他に、熱線反射、電波反射、導電性などの機能性を付与することもでき、例えば、シリコーン系樹脂、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ITO、窒化チタン、炭化珪素などが挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0026】
チタン含有酸化物またはその前駆体物質を含む被膜の基材への被覆方法としては、化学気相蒸着法、反応性蒸着法、反応性スパッタ法などの気相法や、ゾルゲル法などの液相法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0027】
気相法、例えば蒸着法による上記被膜の形成方法の一例を挙げておくと、基材を設置したチャンバー内を1×10 3Paまで減圧した後、酸素分圧を1〜9×10−2Paに調整し、蒸発源のTiOに電子ビームを照射することにより、100〜400℃に加熱した基材上にアナターゼ型酸化チタン被膜を形成すればよい。このとき、酸化が十分でない場合は、さらに大気中で400〜600℃で10〜60分間の熱処理を施してもよい。
【0028】
液相法、例えばゾルゲル法による上記被膜の形成方法の一例を挙げる。
アルコール溶媒中でチタンアルコキシド1molに対しアセチルアセトン、ジエチレングリコール、アセト酢酸エチルなどのキレート剤を1〜2mol混合し、続いて酸触媒として蓚酸、酢酸などのカルボン酸、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの無機酸を0.01〜0.1mol添加した後、1〜4molの水を徐々に添加して得られる部分加水分解溶液をコーティング溶液としたり、他元素を配合する場合は、該部分加水分解溶液に他元素のアルコキシドに上記キレート剤を混合したアルコール溶液、またはオキシ塩化塩、オキシ硝酸塩、オキシリン酸塩、オキシ酢酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、塩化物などの無機塩や、酢酸塩、蓚酸塩などの有機酸塩のアルコール溶液を所定比で混合して調整したコーティング溶液を、基材に塗布することにより上記被膜を形成すればよい。
【0029】
他の方法としては、アナターゼやブルッカイトなどの水性の結晶性酸化チタンゾル、ペルオキソチタン酸やオルソチタン酸などのアモルファス酸化チタン水溶液、またはこれらの混合水溶液に、上記の無機塩または有機塩の水溶液を所定比で混合してコーティング溶液とする。このとき、上記の無機塩または有機塩の水溶液の添加によりコーティング溶液がゲル化する場合は、上記酸化チタン水溶液に予め乳酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸を添加してチタン錯体を形成させておくと防止することができる。また、前記酸化チタン水溶液を合成するときに、出発原料の中に予め前記の無機塩または有機塩を配合してもよい。該コーティング溶液は、同様にして基材に塗布することにより上記被膜を形成すればよい。基材への被膜の形成方法は、該ゾル溶液を酸化物換算で固形分が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%に調整し、通常スプレー、ディップ、刷毛などにより基材に塗布して乾燥膜を形成させる。
【0030】
本発明では、チタン含有酸化物またはその前駆体物質を含む被膜を形成した後、光触媒被膜の作製が比較的容易である後処理法である窒化処理法をいくつか提案する。なお、これら提案した窒化処理法は、基材の特性に応じて使い分けることができる。
【0031】
窒化処理法としては、シアン酸塩の塩浴中に浸漬処理する塩浴浸漬法、ガス窒化法、イオン窒化法などが挙げられるが、環境等を考慮すれば、ガス窒化法を用いるのが好ましい。
【0032】
本発明で使用するガス窒化法としては、酸化物の酸素を引き抜き、窒素を導入しやすいという理由から、アンモニアガスまたはアンモニア含有ガス雰囲気下において遠紫外線もしくは真空紫外線の照射により窒化する方法を用いる。
【0033】
アンモニア含有ガスは、アンモニアガスに、アルゴン、窒素などの非酸化性ガスまたは水素、炭化水素などの還元性ガスを混合したガスであり、非酸化性ガスまたは還元性ガスの混合割合は、体積比で5〜90体積%、好ましくは10〜80体積%とする。
【0035】
上記ガス雰囲気下において、基材の耐熱温度以下で紫外線、好ましくは波長が315nm以下の遠紫外線または真空紫外線を照射することによって上記被膜を窒化することが好ましい。
【0036】
紫外線の光源としては、波長が315nm以下の紫外線を放射するものであればよく、例えば、強度が大きく放射効率の良い低圧水銀ランプ、エキシマランプなどが挙げられるが、これらに特に限定されない。放射する紫外線の波長は、低圧水銀ランプで185nm、エキシマランプでは放電ガスによって異なるが、放電ガスがXeCl、KrCl、Xe2、Kr2、Ar2のとき、それぞれ308nm、222nm、172nm、146nm、126nmである。
【0037】
また、紫外線の光源として低圧水銀灯を使用する場合の照射条件の一例を示すと、紫外線強度(254nmセンサーで測定)1〜50mW/cm2で1〜60分、好ましくは5〜20mW/cm2で5〜30分照射することが好ましい。なお、紫外線照射によるガス窒化法においても、照射量や照射時間が長すぎると窒化が過度に進行する場合があり、この場合にも前述と同様に光触媒活性が低下するので、照射条件を適正に設定する必要がある。
【0039】
なお、前記方法により窒化した場合、酸素欠損が生じる場合もあるが、触媒活性および親水性に対しては特に影響を及ぼさない。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例5)
アナターゼ型酸化チタンゾルとぺルオキソチタン酸を質量比で7:3に混合したコーティング溶液に、シリコーン系界面活性剤を0.2質量%添加した溶液を、クリアのシリコーン樹脂で被覆した白色アクリル板(基材)上にスプレー塗布し、80℃で60分間乾燥し、平均膜厚0.15μmの被膜を形成した複合材料を作製した。次いで、前記被膜を形成した複合材料を、100ml/分のアンモニアガスの気流中で低圧水銀灯により紫外線(波長254nmの紫外線強度が10mW/cm2、波長185nmの紫外線強度が4mW/cm2)を常温で10分間照射する窒化処理を施すことによって、前記被膜を、チタンオキシナイトライドからなる光触媒被膜に改質した。このとき、光触媒被膜はアナターゼ型であり、その平均膜厚は0.15μmであった。光触媒被膜の特性を下記する方法で測定し、評価した。それらの評価結果を表1に示す。
【0046】
(実施例6)
アクリルフィルムの表面上に、反応性蒸着法により成膜した0.01μmの窒化チタン層(バリア層)と、該窒化チタン層の上層に反応性マグネトロンスパッタ法によリ成膜した平均膜厚0.2μmのアナターゼ型酸化チタン層とで構成される被膜を形成した。スパッタ条件は、ターゲットに金属チタンを用い、雰囲気ガスをArとO2混合ガス(体積比A r:O2=4:6)とし、ガス全圧を3Paとした。次いで、上記被膜を形成したフィルムを、100ml/分のアンモニアガスの気流中で低圧水銀灯により紫外線(波長254nmの紫外線強度が10mW/cm2、波長185nmの紫外線強度が4mW/cm2 )を常温で10分間照射する窒化処理を施すことによって、上記被膜を、チタンオキシナイトライドからなる光触媒被膜に改質した。そして、この光触媒被膜を形成したフイルムを、その裏面がポリカーボネート板(基材)に向かい合うように、ポリカーボネート板上に重ねた後、熱融着することにより、チタンオキシナイトライドからなる光触媒被膜を形成した複合材料を作製した。このとき、光触媒被膜はアナターゼ型であり、その平均膜厚は0.1μmであった。光触媒被膜の特性を下記する方法で測定し、評価した。それらの評価結果を表1に示す。
【0048】
(比較例1)
アナターゼ型酸化チタンゾルとぺルオキソチタン酸を質量比で7:3に混合したコーティング溶液を、チタン釉が被覆された白色ホーロー材(基材)にスプレー塗布し、乾燥後500℃で10分間焼成し、光触媒被膜を形成した複合材料を作製した。このとき、光触媒被膜はアナターゼ型であり、その平均膜厚は0.2μmであった。光触媒被膜の特性を下記する方法で測定し、評価した。それらの評価結果を表1に示す。
【0050】
(比較例3)
チタン含有酸化物として、酸化チタンの代わりに、チタン酸ストロンチウムのコーティング溶液を用いた以外は、比較例1と同じ方法にて、光触媒被膜を形成した複合材料を作製した。このとき、光触媒被膜はペロブスカイト型であり、その平均膜厚は0.2μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。
【0051】
(試験方法)
[抗菌試験]
抗菌製品技術協議会の抗菌製品の抗菌力評価試験法に記載された光照射フィルム密着法に準じて抗菌力を評価した。5cm×5cmサイズの供試材上に、菌濃度1.5×106個/mlの菌液を0.1ml接種したあと、ポリエチレンフィルムを被せて密着させ、これを透明シャーレ内にセットして、温度25℃、相対湿度90%以上の条件下で蓋をし、白色蛍光灯で1000ルクスの可視光を4時間または8時間照射し、あるいは、暗所にて4時間または8時間放置した。その後、生理食塩水で供試材から生残菌を洗い出し、NA培地にて35℃、24時間培養し、生菌数を測定した。抗菌力は生菌数が供試材1枚当たリ10個未満を合格とした。菌は黄色葡萄球菌IF0 12732を使用し、白色蛍光灯は、紫外線カットフィルム((株)キング製作所社製で商品名「ObicC」)を装着して紫外線強度を0.1μW/cm2以下(紫外線強度は365nm紫外線センサーで測定)とした。
【0052】
[接触角]
供試材に、マイクロシリンジを使用してイオン交換水を20μリットル滴下し、供試材上の水滴を画像処理式接触角計(協和界面科学(株)製、CA−X)を用いて、水の接触角を3点法にて測定した。なお、接触角の測定は、可視光照射前の初期状態、前記白色蛍光灯を用いて1000ルクスの可視光を8時間照射した後の状態、および暗所にて24時間放置した後の状態で同様に行った。
【0053】
【表1】
Figure 0003867036
【0054】
表1に示す結果から、実施例はいずれも、8時間の可視光の照射によって、抗菌力に優れていることが分かる。また、実施例はいずれも、8時間の可視光の照射によって、光触媒活性および親水性の双方を高レベルで発現しているのがわかる。
一方、比較例では、可視光を照射しても抗菌力、親水性が発現しない。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線照射では勿論のこと、可視光照射によっても、光触媒活性および/または親水性を発現するチタン含有オキシナイトライドからなる光触媒被膜を有利に形成した複合材料の製造方法の提供が可能になった。
また、本発明の製造方法を用いれば、光触媒被膜を、高価な装置を用いなくても形成することができる。
さらに、本発明の製造方法によって得られた複合部材は、例えば環境浄化または防食機能を要する内装材、側壁材などの景覿材、外壁材などに使用することができる。
尚、前記複合材料を構成するチタン含有オキシナイトライドからなる光触媒被膜は、酸化チタン等の酸化物からなる光触媒被膜に比べて、耐摩耗性および耐食性についても優れており、被膜密着性も良好である。

Claims (1)

  1. 基材表面を、平均膜厚が0.01〜3μmのチタン含有酸化物またはその前駆体物質を含む被膜で被覆した後、アンモニアガスまたはアンモニア含有ガスの雰囲気下で、遠紫外線または真空紫外線を照射することによる窒化処理を施すことにより、前記被膜を、可視光照射により光触媒活性および/または親水性を発現するチタン含有オキシナイトライドからなる光触媒被膜に改質することを特徴とする、光触媒被膜を形成した複合材料の製造方法。
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