JP3258023B2 - 酸化チタン光触媒構造体及びその製造方法 - Google Patents

酸化チタン光触媒構造体及びその製造方法

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昭 藤嶋
和仁 橋本
智一 彌田
重道 深山
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Kanagawa Academy of Science and Technology
Nippon Soda Co Ltd
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    • A61L9/16Disinfection, sterilisation or deodorisation of air using physical phenomena
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、優れた光触媒作用と光透過性を有し、特に
透明性が要請される種々の構造物を構成する部材に光触
媒作用を兼ね備えさせることを可能にした酸化チタン光
触媒構造体及びその製造方法に関する。
背景技術 従来から光を照射すると物質の分解や酸化を促進する
活性を示す光触媒が知られているが、最近この光触媒を
利用して硫黄酸化物や窒素酸化物等の大気汚染物質を除
去する試み等がなされており、その光触媒として酸化チ
タンを用いる試みもなされている(例えば、特開平6−
385号公報、特開平6−49677号公報、特開平6−39285
号公報等参照)。
ところで、近年、地球環境汚染に対する関心が高まっ
ている中で、大気中のCO2、NOx及びSOxなどの物質を除
去する要請が高まり、また、これら有害物質を除去して
アメニティー空間を創出する構想もみられているよう
に、居住空間の脱臭・抗菌・防汚・防かび等への要請が
ますます強くなってきている。
そこで、このような汚染物質を除去するために、上述
の酸化チタン光触媒を利用することが考えられる。しか
し、従来の酸化チタン光触媒は、一般に、処理すべき気
体や液体等の被処理物を光触媒が収納された容器内に導
入して光触媒に接触させ、同時に、外部から光を導入し
て光触媒に照射させるものであった。
また、この場合、光触媒に対する被処理物の接触面積
の増大や光触媒に対する効率のよい光照射を行なうため
に、光触媒を微粒子状にしたり、あるいは、光触媒を透
明基材に保持するようにした試み等もなされている。
しかしながら、上述の従来の酸化チタン光触媒におい
ては、例えば、微粒子状に形成することによって被処理
物との接触面積は増やせても、光を受ける実質面積につ
いてはこれをそれ程増大させることはできないので、結
局トータルの触媒効果を大きく向上させることは困難で
あった。
また、従来の酸化チタン光触媒はこれを例えばガラス
基板等の上に薄膜状に形成する場合でも酸化チタン光触
媒自体は透明性の低いものであった。これは、従来は、
薄膜状に形成して実用レベルの光触媒作用を得るために
は、酸化チタンゾルを基板上に焼結形成するか、あるい
は、酸化チタンを微粉末にしてこれをバインダーで溶い
て基板に塗布する以外に適当な方法がないと考えられて
いたためである。しかし、前者では高い活性を有しある
程度の光透過性を有するものが得られるが、実用に耐え
る膜強度を得るためには焼結温度をガラス軟化点以上の
温度に設定する必要がある為に少なくともガラス基板に
形成するのは無理なものであった。しかも、光透過性に
ついては、いわゆる白濁傾向を示すもので、透明性が得
られる程に可視光を通過させることは困難であり、この
意味では不透明に近いものであった。また、後者の場合
には、高温での焼結等の工程は不要であるが、微粉末化
した酸化チタンを塗布するために白濁化して不透明なも
のであった。
さらに、この種の分野で従来からよく知られているゾ
ルゲル法やCVD法等によって薄膜状にした酸化チタンで
は透明性は確保できるが、実用レベルの光触媒活性を得
られていない。
このように、従来の酸化チタン光触媒は、実用レベル
の光触媒活性を示すものはいずれも実質的には不透明な
ものであったので、例えば、この従来の光触媒を透明ガ
ラス基板等の表面に形成しても、このガラス基板の裏面
側から照射した光を光触媒の表面部に有効に到達させる
ことができないので、結局、利用できる光は、光触媒が
形成された表面側から照射されたものだけとなる。した
がって、この光触媒を、例えば、窓ガラスの表面に形成
して室内の清浄化を行う場合には、当然、光触媒をガラ
スの室内に面した表面に形成することになる。そうする
と、光触媒活性に利用できるのは室内側から照射される
光だけとなり、太陽光は利用できないことになるという
重大な欠点が生じてしまう。
このように、従来の酸化チタン光触媒では、光触媒作
用を行なう酸化チタン自体が実質的に不透明なものであ
ることから、その触媒作用の向上に一定の限界が生じて
いたと共にその応用範囲も著しく限定されたものであっ
た。
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、
優れた光触媒作用と光透過性を有し、しかも、特に透明
性が要請される種々の構造物を構成する部材に光触媒作
用を兼ね備えさせることを可能にした酸化チタン光触媒
構造体及びその製造方法を提供することを目的としたも
のである。
発明の開示 上述の課題を解決するために本発明にかかる酸化チタ
ン光触媒構造体は、 (構成1) 透光性基体上に、少なくとも、光触媒活性
を有すると同時に波長550nmの光に対する光直線透過率
が50%以上有する酸化チタン薄膜を形成してなる構成と
し、 この構成1の態様として、 (構成2) 前記酸化チタン薄膜の膜厚が0.1μm〜5
μmであることを特徴とする構成とし、 構成1又は2の態様として、 (構成3) 前記酸化チタン薄膜は少なくともアナター
ゼ結晶を含むものであることを特徴とする構成とし、 構成1ないし3のいずれかの態様として、 (構成4) 前記透光性基体と酸化チタン薄膜との間に
光透過性を有するプレコート薄膜を設けたことを特徴と
する構成とし、 この構成4の態様として、 (構成5) 前記プレコート薄膜の膜厚が0.02〜0.2μ
mであることを特徴とする構成とし、 構成1ないし5のいずれかの態様として、 (構成6) 前記透光性基体がガラスであることを特徴
とする構成とし、 構成4ないし6のいずれかの態様として、 (構成7) 前記プレコート薄膜がSiO2を主成分とする
材料からなることを特徴とする構成とした。
また、本発明にかかる酸化チタン光触媒構造体の製造
方法は、 (構成8) 透光性基体の上に酸化チタン薄膜をパイロ
ゾル法、ディップ法、印刷法又はCVD法によって成膜す
る工程を含む製造工程によって構成1ないし7の酸化チ
タン光触媒構造体を製造することを特徴とする構成とし
たものである。
上述の構成1によれば、酸化チタン光触媒構造体を、
透光性基体上に少なくとも光触媒活性を有すると同時に
波長550nmの光に対する光直線透過率が50%以上有する
酸化チタン薄膜を形成して構成したことにより、優れた
光触媒作用と光透過性を有し、しかも、特に透明性が要
請される種々の構造物を構成する部材として用いること
ができる酸化チタン光触媒構造体を得ることが可能にな
った。
これは、酸化チタン薄膜を波長550nmの光に対する光
直線透過率が50%以上有するものとしたことにより、光
触媒活性作用を得るために必要な光照射効率を実質的に
増大させることが容易に可能になり、同時に、可視光に
対する透明性も確保できるようになったためである。す
なわち、酸化チタン薄膜を波長550nmの光に対する光直
線透過率が50%以上有するものにすると、必然的に、光
触媒活性作用を得る光(波長約400nm)に対する透過性
も表裏からの照射光を有効に利用できる程度に備えるこ
とになる。したがって、この酸化チタン光触媒構造体の
両側から別個の光を照射すると、外部に接する側の酸化
チタン薄膜表面部には、この両側からの光が加算されて
達する。つまり、酸化チタン薄膜表面部に対する光照射
効率を実質的に増大させることができる。これにより、
酸化チタン薄膜表面部における光触媒活性がこれに対応
して増大し、優れた光触媒作用を得ることが可能にな
る。同時に、酸化チタン薄膜を波長550nmの光に対する
光直線透過率が50%以上有するようにしたことにより必
然的に可視光に対する十分な透明性も確保できる。これ
により、特に透明性が要請される種々の構造物、例え
ば、ガラス窓等を構成する部材としてこの酸化チタン光
触媒構造体を用いることができることになり、例えば、
室内の炭酸ガスや大気汚染物質(NOxやSOxなど)の除
去、脱臭・抗菌・防汚・防かび等の作用を特別な装置を
用いることなく窓ガラス自体によって行なわせるという
画期的な効果を得ることが可能になる。しかも、窓ガラ
スに適用して室内の清浄化を行う場合には、太陽光を極
めて有効に利用できるという大きなメリットが得られ
る。さらに、特に、近年多くみられるガラス材を多用し
たビル建築物等に適用すれば、その居住空間の清浄化に
対する効果ははかりしれないものとなる。また、その他
にも、例えば、かびや腐蝕を極力嫌うカメラ等の精密機
器その他を保管するためのガラス戸等を備えた保管棚の
ガラス戸等にも用いることができ、その応用範囲は極め
て広い。構成2によれば、酸化チタン薄膜の膜厚を0.1
μm〜5μmにすることによって、十分な光触媒活性を
有し同時に波長550nmの光に対する光直線透過率が50%
以上有する酸化チタン薄膜が得られる。膜厚を0.1μm
未満にすると十分な光触媒活性が得られなくなる。ま
た、膜厚を5μmを越えたものにすると、波長550nmの
光に対する光直線透過率が50%未満になって十分な透明
性を確保できなくなる。
構成3によれば、酸化チタン薄膜をアナターゼ結晶が
含まれるものとすることにより、より光触媒活性の優れ
たものとすることができる。
構成4によれば、透光性基体と酸化チタン薄膜との間
に光透過性を有するプレコート薄膜を設けることによ
り、透光性基体の物質が酸化チタン薄膜に浸透する等に
より酸化チタン薄膜の光触媒作用が劣化する等の弊害を
防止でき、また、これにより、透光性基体の材質の選択
の幅を拡げることが可能となり、さらには、透光性基体
に直接酸化チタン薄膜を形成する場合には、透光性基体
の物質が酸化チタン薄膜に浸透してもそれが電荷分離作
用を行う酸化チタンには至らない程度に酸化チタンの膜
厚を厚くする必要があったが、その必要がなくなったこ
とで、透光性基体の材質如何にかかわらず酸化チタン薄
膜の膜厚を著しく薄くしても十分な光触媒作用が得るこ
とが可能になった。この点は、光照射効率の本質的向上
及び透明性向上の観点から重大な意味を持つ。
プレコート薄膜の膜厚は、構成5のように、0.02〜0.
2μmであれば、プレコート薄膜として採用可能な物質
一般を考慮した場合でも、十分な透明性を確保した上で
物質の浸透を阻止する効果を得ることができる。逆に、
0.02μm未満では十分な物質浸透阻止効果を得ることが
困難になり、0.2μmを越えた膜を形成しても物質浸透
阻止効果にはそれ以上有利な点は生じないばかりでな
く、成膜操作が煩雑になると共に、材料によっては透明
性を確保できなくなる場合があるからである。
透明基体として、構成6のように、ガラスを用いれ
ば、既に説明した通り極めて広い応用が可能になる。こ
の場合には、構成7のように、プレコート薄膜をSiO2
構成すれば、最良の透明性及び物質浸透阻止性を確保で
きる。
さらに、構成8の方法によれば、構成1ないし7の酸
化チタン光触媒構造体を比較的容易に得ることが可能に
なる。
図面の簡単な説明 第1図は、実施例1にかかる酸化チタン光触媒構造体
の部分断面図であり、第2図は、実施例7にかかる酸化
チタン光触媒構造体の部分断面図であり、第3図は、実
施例及び比較例の各薄膜の膜厚並びに光触媒活性測定結
果及び光直線透過率測定結果を表にして掲げた図面であ
り、第4図は、実施例16ないし18の油脂分解活性の測定
結果をグラフにして示した図であり、第5図は、実施例
19及び20の油脂分解活性の測定結果をグラフにして示し
た図である。
発明を実施するための最良の形態 (実施例1) 図1は本発明の実施例1にかかる酸化チタン光触媒構
造体の部分断面図である。以下、図1を参照にしながら
実施例1の酸化チタン光触媒構造体及びその製造方法を
説明する。
図1において、この実施例の酸化チタン光触媒構造体
は、透光性基体1の上に酸化チタン薄膜2を形成したも
のである。
透光性基体1は、厚さ1mm、縦100mm、横50mmのソーダ
ライムガラス基板である。
酸化チタン薄膜2は、アナターゼ結晶を含む膜厚4.8
μmの酸化チタン薄膜である。
上記酸化チタン光触媒構造体は次のようにして製造し
た。
まず、厚さ1mmのソーダライムガラスを、縦100mm、横
50mmに切り出して、透光性基体1を作製した。
次に、酸化チタン膜の原料として、チタンイソプロポ
オキシドをアセチルアセトン溶媒に溶かして、チタンイ
ソプロポオキシドの濃度を0.5mol/Lに調整した原料溶液
を作製した。
次に、パイロゾル成膜装置に上記透光性基体1セット
し、該透光性基体1を500℃に加熱しておき、上記原料
溶液を超音波により霧化させて20mL/minで上記透光性基
体1の表面に導入して約60分間成膜することにより、透
光性基体1の上に膜厚4.8μmの酸化チタン薄膜2が形
成された酸化チタン光触媒構造体を得た。なお、この酸
化チタン薄膜2を薄膜X線回折分析で観測したところ、
アナターゼ結晶を含むものであることが確認できた。
次に、得られた酸化チタン光触媒構造体の触媒活性及
び光直線透過率を以下の方法で測定した。
光触媒活性測定法 酸化チタン光触媒構造体を、1.5Lの円筒形のガラス密
閉容器内の底に酸化チタン薄膜2が上方を向くようにし
て載置し、この容器内にアセトアルデヒドを濃度が1300
ppmになるように導入した。次に、上記酸化チタン光触
媒構造体に10Wのブラックライト3本を用いて酸化チタ
ン薄膜2の表面の上方から光を照射した。このときの酸
化チタン薄膜2の表面における照度は1.2mW/cm2であっ
た。しかる後に、FID付きガスクロマトグラフにより上
記ガラス密閉容器内のアセトアルデヒドの定量分析を行
い、光照射後におけるアセトアルデヒドの減少量を求
め、その減少量を触媒活性の度合いとした。
光直線透過率の測定法 光直線透過率測定器(株式会社島津製作所製のUV−31
00PC)に実施例1の酸化チタン光触媒構造体をセット
し、550nmの波長における光の直線透過率を測定した。
上述の方法による測定結果は、分解活性が10.5μl/mi
n、光透過率が70%であり、優れた光触媒活性と十分な
透明性を有することが確認できた。
また、上記酸化チタン光触媒構造体を裏返しにして、
すなわち、上記円筒形のガラス密閉容器内の底に酸化チ
タン薄膜2が対向するようにして載置し、上記同様の方
向、すなわち、透光性基体1の酸化チタン薄膜2が形成
されていない側から光を照射して光触媒活性を測定した
ところ、上記の場合とほぼ同じ光触媒活性作用が得られ
ることが確認された。この結果は、透光性基体1の裏面
から照射された光も表側から照射した光と同等に酸化チ
タン薄膜2の光触媒活性に寄与することを示しており、
両側から光を照射すれば、その光触媒効果を著しく増大
させることが可能であることを示している。
(実施例2〜6) これらの実施例は、実施例1における酸化チタン薄膜
2の膜厚を異ならしめたほかは実施例1と同様の構成を
有し同様の製造方法で製造したものであるので、各実施
例の膜厚、並びに、光触媒活性測定結果及び光直線透過
率測定結果を、図3に表にして掲げてその詳細説明は省
略する。
図3の表に示されるように、各実施例とも優れた光触
媒活性と十分な透明性を有することがわかる。
(実施例7〜12) これらの実施例は、図2に示したように、実施例1に
おける酸化チタン薄膜2と透光性基体1との間に、SiO2
薄膜からなるプレコート薄膜3をデップコートによって
形成したほかは実施例1と同様の構成を有し同様の製造
方法で製造したものであるので、各実施例の膜厚、並び
に、光触媒活性測定結果及び光直線透過率測定結果を、
図3に表にして掲げてその詳細説明は省略する。
図3の表に示されるように、プレコート薄膜3がない
実施例1〜6に比較して、酸化チタン薄膜2の膜厚を薄
くしても優れた光触媒活性を示すことから、より高い透
明性を確保できることがわかる。
(実施例13〜14) これらの実施例は、実施例1における透光性基体1の
ソーダライムガラスを石英ガラスに代えたほかは実施例
1と同様の構成を有し同様の製造方法で製造したもので
あるので、各実施例の膜厚、並びに、光触媒活性測定結
果及び光直線透過率測定結果を、図3に表にして掲げた
その詳細説明は省略する。
図3の表に示されるように、透光性基体1を石英ガラ
スにしたことから、プレコート薄膜3がなくても優れた
光触媒活性を示し、同時に、十分な透明性を有すること
がわかる。
(実施例15) この実施例は、実施例1における酸化チタン薄膜の成
膜時における温度を380℃に変え、また、成膜後に空気
雰囲気下で400℃で60分間熱処理する工程を追加したほ
かは実施例1と同様の構成を有し同様の製造方法で製造
したものであるので、この実施例の膜厚、並びに、光触
媒活性測定結果及び光直線透過率測定結果を、図3に表
にして掲げたその詳細説明は省略する。
図3の表に示されるように、この実施例も優れた光触
媒活性と十分な透明性を有することがわかる。
(実施例16) この実施例は、透光性基体1上に、厚さ0.06μmのSi
O2膜からなるプレコート薄膜3を形成し、その上に、厚
さ0.8μmの酸化チタン薄膜2をいわゆるディップ法に
よって形成した例である。
透光性基体1として、厚さ1mm、縦100mm、横50mmのソ
ーダライトガラス製の板を使用した。この透光性基体1
をシリコンアルコキシドの溶液(日本曹達(株)製:商
品名アトロンNSi−500)800mlをいれた幅100mm、奥行き
50mm、高さ200mmの容器にゆっくりと浸漬し、10cm/min
の速度でゆっくりと引き上げた。これを150℃で乾燥
後、500℃で1時間焼成して透光性基体1上に膜厚0.06
μmのSiO2薄膜を形成させてプレコート薄膜3とした。
次に、チタニウムテトライソプロポキシドを有機溶剤
と反応させて得られるディップ用有機チタン溶液(日本
曹達(株)製:商品名アトロンNTi−500)800mlの中
に、プレコート薄膜を設けたガラス基板をゆっくりと浸
漬して、10cm/minでゆっくりと引き上げた。120℃で乾
燥後、500℃で1時間焼成して、プレコート薄膜上に酸
化チタン薄膜を形成させた。この酸化チタン薄膜形成用
の薬液への浸漬と乾燥・焼成を10回繰り返して酸化チタ
ン薄膜の膜厚を0.8μmにし、本実施例の酸化チタン光
触媒構造体を得た。
こうして得られた酸化チタン光触媒構造体の550nmの
波長の光に対する光直線透過率は81%であった。また、
この実施例については、光触媒活性の1つとして油脂分
解活性を取り上げ、次のようにして評価した。
油脂分解活性の評価 上記酸化チタン光触媒構造体を、縦50mm×横50mmの大
きさの試料片に切り出し、その表面を市販のサラダ油を
染み込ませたティッシュペーパーで軽く全面をふいて、
0.1mg/cm2のサラダ油塗布量になるように塗布・拭き取
りによって調整した。サラダ油の初期塗布量はガラス板
を0.1mgの秤量精度を有する精密天秤で秤量して測定し
た。この塗布済み基板に紫外線強度計(ウルトラバイオ
レット社製)で紫外線強度3mW/cm2になるように紫外線
ランプ(松下電工株式会社製10WブラックライトFL10BLB
を3本並べて照射)と試料片表面との間隔を調節して、
所定時間後の重量を測定してサラダ油(油脂)の分解量
を求めた。
図4に実施例16の光触媒構造体の油脂分解特性をグラ
フにして示した。なお、図4のグラフにおいては、縦軸
が油脂残存率(単位;%)、横軸が紫外線照射時間(単
位;時間)である。また、酸化チタン薄膜を形成してい
ないプレコート薄膜のみを設けたガラス基板の上に、上
記と同様にサラダ油を塗布して紫外線(上記ブラックラ
イト)を照射し、所定時間後の重量変化を測定してブラ
ンク試料とした。その結果も合わせて図4のグラフに示
した。図4から明らかなように、この酸化チタン光触媒
構造体は、勝れた油脂分解活性を有していることがわか
る。
(実施例17) この実施例は、透光性基体1上に、厚さ0.6μmのSiO
2膜からなるプレコート薄膜3を形成し、その上に、厚
さ0.6μmの酸化チタン薄膜2を、いわゆるスプレー法
によって形成した例である。
実施例16と同様にして、厚さ1mm、縦100mm、横50mmの
ソーダライムガラス製の板を使用して、膜厚0.06μmの
SiO2薄膜を形成させプレコート薄膜3とした。
次に、このプレコート薄膜3を形成した透光性基体1
を、500℃に加熱した箱型ヒーターの奥にたてかけて、
チタニウムテトライソプロポキシド140gとアセチルアセ
トン200gとを反応させて得られるチタニウムアセチルア
セトナートの有機溶剤溶液を、噴霧器を使用して、前記
プレコート薄膜3を形成した透光性基体1のプレコート
薄膜3上に10ショットスプレーし、熱分解させて、膜厚
0.6μmの酸化チタン薄膜2を形成させた。
こうして得られた酸化チタン光触媒構造体の、波長55
0nmの光に対する光直線透過率は78%であった。光触媒
活性としての油脂分解活性を実施例16と同様にして測定
し、図4に実施例16の結果とともに示した。
(実施例18) この実施例は、透光性基体1上に、厚さ0.06μmのSi
O2膜からなるプレコート薄膜3を形成し、その上に、厚
さ0.4μmの酸化チタン薄膜2をいわゆる印刷法によっ
て形成した例である。
実施例16と同様にして、厚さ1mm、縦100mm、横50mmの
ソーダライムガラス製の板を透光性基体1として使用
し、この上に厚さ0.06μmのプレコート薄膜3を形成さ
せた。
次に、チタニウムテトライソプロポキシド70g、エチ
ルセルロース100g、有機溶剤1200gを反応溶解させて得
られる薬液を、400メッシュのスクリーンを備えた印刷
機により前記プレコート薄膜3の上にスクリーン印刷し
た。印刷後、5分間静置してレベリング後、500℃に加
熱した電気炉中にいれて焼成した。この印刷・焼成を5
回繰り返して膜厚0.4μmの酸化チタン薄膜2を形成さ
せ、酸化チタン光触媒構造体とした。
この構造体の波長550nmの光に対する光直線透過率86
%であった。また、この薄膜について、実施例16と同様
に油脂分解活性を測定したところ、図4にグラフにして
示した結果が得られた。
(実施例19) この実施例は、透光性基体1上に、厚さ0.04μmのSi
O2膜からなるプレコート薄膜3をパイロゾル法によって
形成し、その上に、厚さ0.4μmの酸化チタン薄膜2を
ディップ法によって形成した例である。
厚さ1mm、縦100mm、横50mmのソーダライムガラスから
なる基板をパイロゾル成膜装置にセットし、有機シリコ
ン溶液(日本曹達(株)製:商品名アトロンNSi−500)
を超音波により霧化させて、20ml/minの速度で500℃に
加熱したガラス基板に2分間導入し酸化珪素からなる膜
厚0.04μmのプレコート薄膜3を形成させた。
次にこのプレコート薄膜3の上に実施例16と同様にし
てディップ法により酸化チタン薄膜を形成させた。ディ
ップ、浸漬、乾燥、焼成を5回繰り返すことにより、膜
厚0.4μmの透明な酸化チタン薄膜2が形成された酸化
チタン光触媒構造体が得られた。
この酸化チタン光触媒構造体の波長550nmの光に対す
る光直線透過率は89%であった。また、この光触媒構造
体の油脂分解活性を測定したところ、図5にグラフにし
て示した結果が得られた。
(実施例20) この実施例は、透光性基体1上に、厚さ0.06μmのSi
O2膜からなるプレコート薄膜3を形成し、その上に、厚
さ0.6μmの酸化チタン薄膜2をいわゆるCVD成膜法によ
って形成した例である。
厚さ1mm、縦100mm、横50mmのソーダライムガラスから
なる基板を透光性基体1として、この上に実施例16と同
一の方法により酸化珪素からなる膜厚0.06μmのプレコ
ート薄膜3を形成させた。
次に、このプレコート薄膜3を形成させた透光性基体
1を常圧CVD成膜装置にセットし、チタニウムテトライ
ソプロポキシドを200℃に加熱した気化器に仕込み、窒
素ガスを50ml/minの流量で気化器へ導入してバブリング
させ、加熱した導管を通してチタニウムアルコキシドの
蒸気をガラス板を設置した成膜部へ導入した。成膜部は
500℃に加熱し、空気200ml/minを一緒に導入し5分間成
膜することにより、プレコート薄膜3の上に膜厚0.6μ
mの酸化チタン薄膜2を形成させて酸化チタン光触媒構
造体とした。
この酸化チタン光触媒構造体の波長550nmの光に対す
る光直線透過率は84%であった。また、この光触媒構造
体の油脂分解活性を測定したところ、図5にグラフにし
て示した結果が得られた。
(比較例1) この比較例は、実施例1における酸化チタン薄膜2の
膜厚を0.05μmと薄くしたほかは実施例1と同様の構成
を有し同様の製造方法で製造したものであるので、この
比較例の膜厚、並びに、光触媒活性測定結果及び光直線
透過率測定結果を、図3に表して掲げてその詳細説明は
省略する。
図3の表に示されるように、この比較例では、透明性
はよいが、ほとんど光触媒活性を示さないことがわか
る。
(比較例2) この比較例は、実施例1における酸化チタン薄膜2の
成膜際の温度を380℃に変えたほかは実施例1と同様の
構成を有し同様の製造方法で製造したものであるので、
この比較例の膜厚、並びに、光触媒活性測定結果及び光
直線透過率測定結果を、図3に表にして掲げてその詳細
説明は省略する。なお、こうして製造した酸化チタン光
触媒構造体の場合、酸化チタン薄膜2にアナターゼ結晶
が全く含まれていないことが薄膜X線回折分析によって
確認されている。
図3の表に示されるように、この比較例では、透明性
は十分であるが、ほとんど光触媒活性を示さないことが
わかる。
(比較例3) この比較例は、実施例1における酸化チタン薄膜2の
成膜を、パイロゾル法ではなく、酸化チタン粉末(日本
アエロジル社製のP−25)0.1gを水に分散させたものを
塗布するという方法を用いて成膜したほかは実施例1と
同様の構成を有し同様の製造方法で製造したものである
ので、この比較例の膜厚、並びに、光触媒活性測定結果
及び光直線透過率測定結果を、図3に表にして掲げてそ
の詳細説明は省略する。
図3の表に示されるように、この比較例では、光触媒
活性は高いが、透明性がほとんどないことがわかる。
なお、本発明に使用する透光性基体は、光学的に所定
の透光性を有していれば特に制限は無く、具体的には、
パイレックス硝子、石英硝子、鉛硝子、ソーダライム硝
子などがある。実用的な面から安価なソーダライムガラ
スが主に用いられる。ガラス基板中のナトリウムなどア
ルカリ成分を含まない石英ガラスやナトリウムなどアル
カリ成分の少ないボロシリケートガラスなども好適に用
いられる。酸化チタン薄膜の光触媒活性は、透光性基体
がソーダライムガラスなどの場合、基体から拡散してく
るナトリウムなどのアルカリ成分により阻害されるの
で、該拡散防止のために、透光性基体上にプレコート膜
を設けることが好ましい。この場合、安価なソーダライ
ム硝子等のアルカリ成分が拡散する恐れのある透光性基
体を使用した場合においても有利に使用できる。
酸化チタン膜は、厚さ0.1μm〜5μmであり、0.1μ
m以下であると透明感はあるが光活性が低く実用性がな
くなり、5μmを越えると光触媒活性を高く維持でき、
光干渉による着色も減少するなど利点もあるが、白濁斜
向となり、また膜剥離や成膜に長時間かかるなどの欠点
も発生する傾向がある。
また、成膜する酸化チタンの膜厚を大きく例えば0.3
μm〜5.0μmとし、酸化チタン薄膜中のナトリウム濃
度を傾斜的に低下させ、薄膜表面近傍においての酸化チ
タンを光触媒として活用する事も可能であり、この場
合、プレコート薄膜を省略することができる。
プレコート薄膜は、厚さ0.02μm〜0.2μmであり、
0.02μm以下であるとアルカリ拡散防止能が低くなり、
0.2μm以上ではアルカリ拡散防止能の観点からは支障
はないが、光透過性が低下し、又、成膜操作が煩雑とな
るので好ましくない。プレコート薄膜により、基板から
のナトリウムなどのアルカリ成分の拡散を防止するた
め、酸化チタン薄膜を薄くすることが可能となり、より
可視光領域で透明度の高い酸化チタン薄膜を形成するこ
とを可能になる。
プレコート膜の組成は、可視光透過率が高く、基板か
らのナトリウムの拡散を押さえる事が可能な薄膜なら制
限はなく、たとえば、酸化珪素薄膜、酸化錫薄膜、イン
ジュームドープ酸化錫薄膜、酸化インジューム薄膜、錫
ドープ酸化インジューム薄膜、酸化ゲルマニューム薄
膜、酸化アルミナ薄膜、酸化ジルコニューム薄膜、SiO2
+MOX(MOXはP2O5、B2O3、ZrO2、TiO2、Ta2O5からなる
群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物)薄膜をそ
の例としてあげることが出来るが、アルカリ拡散防止能
の見地から、酸化珪素薄膜又はSiO2にP2O5を5重量%程
度添加した薄膜が特に好ましい。
さらに、光触媒活性の高い酸化チタン薄膜を得るため
の必要条件は、少なくともアナターゼ結晶を含むことが
必要である。アナターゼ結晶は、成膜温度または成膜後
の熱処理温度が高いと相転移して一部がルチル結晶に変
化するのでルチル結晶を含んだアナターゼ結晶の酸化チ
タン薄膜も好適に用いられる。しかし、高温でアナター
ゼの結晶のすべてをルチル結晶にすると相転移による酸
化チタンの白濁が生じるので可視光透過率を減少させる
ため好ましくない。
本発明において、成膜法としてはパイオゾル法が最適
であるが、プレコート薄膜及び酸化チタン薄膜とも一般
的に知られている成膜法も採用することは可能である。
すなわち、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレ
ーティング法、化学気相成膜法(CVD法)、スプレー
法、ディップ法等でもその成膜制御を工夫すれば本発明
に適用することは可能である。なお、パイロゾル法やス
プレー法のように常圧でミストを吹き付けて成膜する方
法は、実際の工業生産を考えた場合、例えば、板ガラス
製造中のガラス冷却時にガラス板がまだ熱い状態でミス
トを吹き付けるという適用の仕方ができるので好まし
い。ただし、基板を硝子軟化点以上の高温例えば600℃
以上の高温に保つ必要のある成膜法は、基板の変形や基
板からのナトリウムなどのアルカリ成分の拡散を促進す
る為、好ましくない。
成膜法としては、いわゆるパイロゾル法は、高純度で
安価なチタンアルコキシドを原料にして、成膜速度が早
くかつアナターゼ結晶性を含む、高活性の酸化チタン薄
膜が高均一、大面積で得ることが出来、400℃〜550℃程
度のガラス軟化点以下の温度で成膜が可能で、このレベ
ルの温度であればナトリウムなどの拡散の程度を押え、
また、プレコート層でそれらのブロックも十分可能な温
度であるため、好ましい。パイロゾル法とは、常圧化学
蒸気分解性(CVD法)の一種であり、超音波によりアト
マイズされたミストを400℃〜550℃で加熱された基板上
に気相輸送し、基板上で熱分解して得られる方法によ
り、プレコート膜或いは酸化チタン薄膜を成膜する。
プレコート膜を製造する薬剤としては、SiO2を生成す
るものとしては、Si(OCH34,Si(OC2H54,SiCH3(OC
H3などのシリコンアルコキシドおよびその縮合物や
SiCl4などのシリコンハロゲン化物などがあり、酸化錫
を生成するものとして、Sn(OCH34,Sn(OC2H54,Sn
(OC4H94,Sn(AcAc)4,Sn(OCOC4H154,SnCl4などが
あり、酸化インジュームを生成するものとして、In(OC
H33,In(OC2H53,InCl3,In(AcAc)3,In(NO)3nH20
などがあり、酸化ゲルマニュームを生成するものとして
は、Ge(OC2H54,Ge(OC4H94,GeCl4などがあり、酸
化アルミナを生成するものとしては、Al(OC2H53,Al
(iOC3H73,Al(OC4H93,Al(AcAc)3,Al(NO339H
20などがあり、五酸化リンを生成するものとして、P
(OC2H53,PO(OCH33,PO(OC2H53,H3PO4,P2O5など
があり、酸化ホウ素を生成するものとしては、B(OC
H33,B(OC2H53,B(OC4H93,B(AcAc)3,BC13,H3BO
3などがあり、これら通常使用可能なものが使用され
る。なお、化学式中、AcAc=C5H7O2(アセチルアセトナ
ート)を示す。
酸化チタン薄膜を製造する製造薬剤としては、Ti(OC
2H54,Ti(iOC3H74,Ti(OC4H9)4,Ti(OC4H92C12
などのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドにエチ
レングリコールなどのグリコール類、酢酸や乳酸などの
酸類、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン
類、アセチルアセトンなどのβ−ジケトン類との付加反
応物や錯体、およびTiCl4などの塩化物をエタノールな
どの汎用アルコール、酢酸エステルやβ−ジトンなどの
溶剤に溶解したものなどがあるが、チタンアルコキシド
をアセチルアセトンに溶解反応したβ−ジケトン錯体溶
液が高活性、高透過率の点で特に好ましい。
また、光触媒機能を促進させるために公知の種々の方
法を適宜採用することも可能であり、例えば透明性を失
わない程度に、微量の金属(金、白金、パラヂウム、
銀、銅等)を酸化チタン膜に担持させることもできる。
さらに、電磁波シールド機能を付与するためにプレコ
ート層の上にITO膜を形成させて導電性を付与し更にそ
の上に酸化チタン膜を形成することも可能である。
以上詳述したように、本発明にかかる酸化チタン光触
媒構造体及びその製造方法は、透光性基体上に少なくと
も光触媒活性を有すると同時に波長550nmの光に対する
光直線透過率が50%以上有する酸化チタン薄膜を形成す
ることを特徴とするもので、これにより、優れた光触媒
作用と光透過性を有し、しかも、特に透明性が要請され
る種々の構造物を構成する部材に光触媒作用を兼ね備え
させることを可能にした酸化チタン光触媒構造体及びそ
の製造方法を得ているものである。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明にかかる酸化チタン光触媒構造
体は、特に透明性が要請される種々の構造物、例えば、
ガラス窓等を構成する部材としてこの酸化チタン光触媒
構造体を用いることができることになり、例えば、室内
の炭酸ガスや大気汚染物質(NOxやSOxなど)の除去、脱
臭・抗菌・防汚・防かび等の作用を特別な装置を用いる
ことなく窓ガラス自体によって行なわせるという画期的
な効果を得ることが可能になる。しかも、窓ガラスに適
用して室内の清浄化を行う場合には、太陽光を極めて有
効に利用できるという大きなメリットが得られる。さら
に、特に、近年多くみられるガラス材を多用したビル建
築物等に適用すれば、その居住空間の清浄化に対する効
果ははかりしれないものとなる。また、その他にも、例
えば、かびや腐蝕を極力嫌うカメラ等の精密機器その他
を保管するためのガラス戸等を備えた保管棚のガラス戸
等にも用いることができる。さらに、他にも透明な硝子
の所望される種々の用途に使用でき、例えば、種々の電
子機器あるいは計器用のガラスカバー、蛍光灯管、電球
などの照明器具、レンズ、コップなどにも適用でき、そ
の応用範囲は極めて広い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 999999999 日本曹達株式会社 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 (74)上記1名の代理人 999999999 弁理士 阿仁屋 節雄 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニューシティ本郷台D棟213号 (72)発明者 彌田 智一 神奈川県厚木市森の里3丁目12番地 ベ ルブリーズ森の里2号棟301号 (72)発明者 深山 重道 神奈川県小田原市高田680番地 審査官 繁田 えい子 (56)参考文献 特開 平8−99041(JP,A) 特開 平7−51646(JP,A) 特開 平6−293519(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 C03C 17/23

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基体上に、少なくとも、光触媒活性
    を有すると同時に波長550nmの光に対する光直線透過率
    が50%以上有する酸化チタン薄膜を形成してなる酸化チ
    タン光触媒構造体。
  2. 【請求項2】前記酸化チタン薄膜の膜厚が0.1μm〜5
    μmであることを特徴とする請求の範囲1に記載の酸化
    チタン光触媒構造体。
  3. 【請求項3】前記酸化チタン薄膜は少なくともアナター
    ゼ結晶を含むものであることを特徴とする請求の範囲1
    又は2に記載の酸化チタン光触媒構造体。
  4. 【請求項4】前記透光性基体と酸化チタン薄膜との間に
    光透過性を有するプレコート薄膜を設けたことを特徴と
    する請求の範囲1ないし3のいずれかに記載の酸化チタ
    ン光触媒構造体。
  5. 【請求項5】前記プレコート薄膜の膜厚が0.02〜0.2μ
    mであることを特徴とする請求の範囲4に記載の酸化チ
    タン光触媒構造体。
  6. 【請求項6】前記透光性基体がガラスであることを特徴
    とする請求の範囲1ないし5のいずれかに記載の酸化チ
    タン光触媒構造体。
  7. 【請求項7】前記プレコート薄膜がSiO2を主成分とする
    材料からなることを特徴とする請求の範囲4ないし6の
    いずれかに記載の酸化チタン光触媒構造体。
  8. 【請求項8】透光性基体の上に酸化チタン薄膜をパイロ
    ゾル法、ディップ法、印刷法又はCVD法によって成膜す
    る工程を含む製造工程によって請求の範囲1ないし7に
    記載の酸化チタン光触媒構造体を製造することを特徴と
    する酸化チタン光触媒構造体の製造方法。
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