JP4584436B2 - たばこ用巻紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガレットのような喫煙物に用いられるたばこ用巻紙に関する。詳しくは、燃焼性に優れたシガレットを製造するために用いられるたばこ用巻紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、タールやニコチン量の少ないシガレットが嗜好されるようになった。燃焼性の高いシガレットは、1本あたりの喫煙回数が少なく、タールやニコチンの量を低減する効果が高いことが知られている。
【0003】
シガレットの燃焼性を向上させるための技術としては、燃焼制御剤を多量に添加した巻紙を用いる方法がある。しかし、燃焼制御剤含有量の高い巻紙は、シガレットの喫味を低下させるので、燃焼制御剤の添加は3質量%以下とすることが望ましいとされている(例えば、特開平11−124798号)。
【0004】
シガレットの燃焼性を向上させるための別の技術としては、炭酸カルシウムのような鉱物充填剤を多く含有した巻紙を用いる方法がある。しかし、鉱物充填剤を多量に配合すると、巻紙の引張強さが低下してシガレット巻上げが困難となるため、通常、坪量20〜30g/m2の範囲のたばこ用巻紙においては、鉱物充填剤の配合率は35質量%以下が適切であるとされている。
【0005】
シガレットの燃焼性を向上させる更に別の技術としては、コレスタ通気度の高い巻紙を用いる方法がある。しかし、コレスタ通気度が高すぎると喫煙時の主流煙が希釈され、吸い心地が軽くなる、即ち、煙量感が乏しくなるという欠点がある。
【0006】
また、特開平5−187000号では、細かい粒度の炭酸カルシウムは燃焼速度を加速し吹かし回数を低下させることが示されているが、平均粒度0.07μmの極微細な炭酸カルシウムを添加してたばこの燃焼性を高めようとすると、巻紙の通気性をコントロールし難くなるだけでなく製造ロスも生じ易くなり好ましくない。即ち、極微細な炭酸カルシウムを単独で添加すると通気性が大幅に低下するため低通気度巻紙しか得られず、通気度を高くするにはセルロース原料の叩解処理の程度を大幅に軽減するなどしなければならずコントロールし難くなり、低叩解処理の原料に添加する炭酸カルシウムのリテンションも大幅に低下し製造ロスも生じやすくなる。また、極微細な炭酸カルシウムに高通気度の得易い従来の紡錘形炭酸カルシウムを混合して添加すると、特に中通気度の範囲では、燃焼性を高める効果が減退して所定の燃焼性が得難くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃焼制御剤や鉱物充填剤を高い割合で配合せずに、且つコレスタ通気度を高くせずに、さらに抄紙に際し問題のある極微細な炭酸カルシウムを用いることなく、シガレットの燃焼性を向上させることのできるたばこ用巻紙を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、たばこ用巻紙中に配合される炭酸カルシウム填料として、連鎖状炭酸カルシウムを使用することによって、シガレットの燃焼性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、鉱物充填剤として、連鎖状炭酸カルシウムを用いることを特徴とするたばこ用巻紙に関する。
【0010】
本発明はまた連鎖状炭酸カルシウムと紡錘形炭酸カルシウムの混合割合が質量比で100〜10:0〜90の鉱物充填剤を用いることを特徴とするたばこ用巻紙に関する。
【0011】
連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子は、粒子径約0.02〜0.03μmの極微細な粒子が数個あるいは十数個鎖状に連なった連鎖状を呈しており、その形状や大きさなどに起因して表面エネルギーが高く、凝集しやすい性質を持つ。その結果、1次粒子が凝集して形成される2次粒子は、BET比表面積が高いという特徴を有する。
【0012】
連鎖状炭酸カルシウムは、特公昭47−22944号に示されるように、低濃度、低温度の石灰乳に水溶性マグネシウム塩を添加して炭酸化反応させる方法で工業化されており、米庄石灰工業株式会社より商品名「UNICA」として市販されている。
【0013】
連鎖状炭酸カルシウムは、強い剪断力がかかると連鎖が分断され、コロイド状態になる性質を有する。この性質を利用して、連鎖状炭酸カルシウムは主にゴム補強充填剤として使用されているが、これまでに紙用途への応用は検討されたことがなかった。本発明者らの研究により、この連鎖状炭酸カルシウムをたばこ用巻紙の充填剤として用いると、他の形状の炭酸カルシウムを用いる場合に比して、シガレットの燃焼性が向上することが見出された。
【0014】
連鎖状炭酸カルシウムは、前記特公昭47−22944号に記載の方法などで製造することができるが、極微細な立方形粒子が次々に連なるように結合して生成されるもので、炭酸化反応時間を変化させることにより、粒子径約0.02〜0.03μmの極微細な粒子の連なる個数が相違する縦長の1次粒子を得ることができる。炭酸化反応時間を変化させるとは、炭酸ガス導入速度を変化させることであり、反応時間を短く、即ち、導入速度を大きくすると微細な立方形炭酸カルシウムとなり、逆に、導入速度を小さくすると紡錘形炭酸カルシウムとなり、連鎖状炭酸カルシウムは両者の中間の導入速度の範囲でコントロールして製造される。この範囲において、反応時間が長いほど長軸径が大きくなる。たばこ用巻紙の充填剤として用いるには、連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子短軸径が0.02〜0.03μm、1次粒子長軸径が0.1〜0.4μmであることが望ましい。即ち、粒子径約0.02〜0.03μmの極微細な粒子が1列に数個から十数個程度連なったものであり、アスペクト比で5〜12程度のものである。この内、たばこの燃焼性を高める効果がより大きいのは、連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子長軸径が0.2〜0.35μmで、アスペクト比が7〜12程度のものである。1次粒子長軸径が0.4μmより大きいものは、製造が難しい上に、1次粒子短軸径も大きくなるため、アスペクト比を高くすることとならず、さらに立方形粒子が大きくなると粒子同士の結合が生じなくなるため、連鎖状炭酸カルシウムを生成しなくなり、比較的粒子径の大きな立方形炭酸カルシウムが生じることとなる。
【0015】
連鎖状炭酸カルシウムを充填剤として用いる場合は、従来一般に用いられている紡錘形炭酸カルシウムを充填剤として用いる場合と比較して、たばこ用巻紙の不透明度が小さくなる傾向が見られるので、不透明度を所定の値以上としたい場合には、連鎖状炭酸カルシウムと紡錘形炭酸カルシウムとを混合使用することができる。この場合、連鎖状炭酸カルシウムによる燃焼性向上効果を得るために、連鎖状炭酸カルシウムを全炭酸カルシウム中10質量%以上とすることが必要であるので、連鎖状炭酸カルシウムと紡錘形炭酸カルシウムの混合割合は、質量比で100〜10:0〜90とする。
【0016】
上記紡錘形炭酸カルシウム以外の形状の炭酸カルシウムあるいは二酸化チタンを連鎖状炭酸カルシウムに混合することによっても、たばこ用巻紙の不透明度を高めることができる。立方形膠質炭酸カルシウムや柱状アラゴナイト炭酸カルシウムを混合する場合でも、連鎖状炭酸カルシウムによる燃焼性向上効果を確保するためには連鎖状炭酸カルシウムを全炭酸カルシウム中10質量%以上とすることが必要である。二酸化チタンは、含有量が多くなると、たばこの喫味が低下するおそれがあるため、二酸化チタンの含有量は5質量%以下が望ましい。紡錘形炭酸カルシウムなど連鎖状炭酸カルシウム以外の炭酸カルシウムの一部を置き換えて用いることが好ましい。
【0017】
本発明にかかるたばこ用巻紙に用いられるパルプ原料は特に限定されないが、亜麻その他一般的にたばこ用巻紙に使用されているセルロース繊維を用いることができる。本発明にかかるたばこ用巻紙の坪量の適切な範囲は20〜35g/m2である。比重の大きい二酸化チタンを配合する場合には坪量は上記範囲において比較的高めに設定する。
【0018】
本発明において、鉱物充填剤とは、上記のような各種形状の炭酸カルシウムあるいは二酸化チタンであるが、本発明のたばこ用巻紙において、これら鉱物充填剤含有量の望ましい範囲は22〜35質量%である。35質量%を超えると、たばこ用巻紙の引張強さ等が低下してシガレット巻上げ適性が劣るものとなる。また、鉱物充填剤含有量の下限値22質量%は、用いる鉱物充填剤の種類や配合量、たばこ用巻紙の低坪量化や燃焼制御剤の含有量の増加などの他の条件を最も燃焼性が高くなるようにした場合に、たばこ用巻紙として要求される高燃焼性を得るために最低必要とされる量である。
【0019】
本発明で用いる連鎖状炭酸カルシウムは、その1次粒子長軸径が大きくなるほど通気度は高くなる傾向を示し、また、他の炭酸カルシウムと同様、充填量が増すほど通気度は高くなるため、1次粒子径と充填量を選択して組み合わせて、低通気度巻紙とされる5コレスタ程度から中通気度巻紙とされる60コレスタ程度までの広い範囲の通気度コントロールが可能となる。連鎖状炭酸カルシウムを単独で用いた場合の通気度は、10〜55コレスタを示し、燃焼性に最も高い効果を示す1次粒子長軸径0.2〜0.35μmの場合、20〜55コレスタの通気度を示す。混合して用いられる他の充填剤の種類及びそれらの割合によっては、高通気度巻紙とされる60コレスタを超える程度まで、更に広い範囲で通気度コントロールが可能となる。尚、1次粒子径の異なる連鎖状炭酸カルシウム同士を混合して用いることも可能であり、特に高い燃焼性を得ようとする場合に好ましい選択となり得る。
【0020】
本発明による連鎖状炭酸カルシウムによる燃焼性向上効果は、燃焼制御剤の添加の有無にかかわらないが、燃焼性をより高めるために、たばこ用巻紙が1質量%以上の燃焼制御剤を含有してなることが望ましい。1質量%未満では、燃焼制御剤添加の効果がほとんどない。実験によれば、たばこ用巻紙への燃焼制御剤含有量が2〜4質量%、特に3質量%付近の時に、連鎖状炭酸カルシウムによる燃焼性向上効果が最も顕著に表われる。しかし、3質量%を超えるとたばこの喫味が低下するおそれがあるので、たばこ用巻紙における燃焼制御剤の含有量は1〜3質量%の範囲が望ましい。
【0021】
燃焼制御剤としては、通常たばこ用巻紙に添加されているアルカリ金属塩が使用できるが、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムあるいはそれらの混合物が特に望ましい。
【0022】
鉱物充填剤として連鎖状炭酸カルシウムを用いることにより、たばこ用巻紙の燃焼性が向上する理由は明らかでないが、たばこ用巻紙の鉱物充填剤に1次粒子短軸径0.02〜0.03μm、1次粒子長軸径0.1〜0.4μmの連鎖状炭酸カルシウムを用いた場合、紡錘形炭酸カルシウムを用いた場合と比較して、たばこの燃焼性が向上することが確認された。
【0023】
【実施例】
次の▲1▼から▲5▼は下記の実施例及び比較例において共通に用いられた試験方法である。
▲1▼炭酸カルシウムの比表面積、平均細孔体積の測定
炭酸カルシウムのBET比表面積は、柴田科学器械工業株式会社製の迅速表面積測定装置SA−1000で測定し、平均細孔体積は、日本ベル株式会社製の自動ガス/蒸気吸着量測定装置BELSORP18SPSで測定した。
【0024】
▲2▼炭酸カルシウムの1次粒子径の測定
透過電子顕微鏡または走査電子顕微鏡で各炭酸カルシウムの観察を行い、炭酸カルシウムの長軸径及び短軸径を測定し、アスペクト比を求めた。
【0025】
▲3▼炭酸カルシウムの平均粒子径の測定
走査電子顕微鏡で各種炭酸カルシウムの観察を行い、約300個の粒子の2軸平均径と粒子個数を測定して体積分布図を作成し、50%中央値を求め、平均粒子径とした。
【0026】
▲4▼シートの不透明度、通気度、灰分の測定
シートの不透明度は、東京電飾株式会社製のホトボルト反射率計TC−6MCで測定し、シートのコレスタ通気度は、FILTRONA社製PPM100で測定した。シートの灰分は、JIS P8003に準じて測定した。
【0027】
▲5▼たばこの自然燃焼速度の測定
シガレットを22℃、60%RH試験環境下で48時間調和した後、重さが0.62±0.3g/本のロッドを9本選別して試験たばことして用いた。3本の試験たばこをたばこ燃焼装置(水平方向にセットされた試験たばこに流速200ml/min.で鉛直方向に煙を吸引させる装置)にセットして着火した後、端から10〜40mm間を燃焼するのに要した時間を計測した。これを3回繰り返し、以下の式に従ってたばこの自然燃焼速度を計算した。
たばこの自然燃焼速度(mm/min.)=30mm÷燃焼時間(min.)
【0028】
以下に本発明の実施例及び比較例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
[実施例1〜5]
特公昭47−22944号に記載されている連鎖状炭酸カルシウムの製造方法において、炭酸化反応時間を変化させて、1次粒子の長軸径、短軸径の異なる連鎖状炭酸カルシウム(有限会社ニューライム研究社にて試作)を5種用意した。
5種の連鎖状炭酸カルシウムの物性は表1に示す通りであった。
【0030】
亜麻パルプを1g法ショッパーろ水度68°SRに叩解し、上記の連鎖状炭酸カルシウムを紙中含有量30質量%になるように添加した5種類の抄紙用紙料を用いて、TAPPI標準手すき機で坪量27g/m2の5種類の原紙を作製した。これらの原紙それぞれに燃焼制御剤としてクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の混合水溶液を塗工して乾燥し、燃焼制御剤含有量が1.0質量%のシートを得た。各シートの特性を表1に示した。
【0031】
各シートから27mm×58mmの試料片を切り出し、試験用巻紙とした。手巻きシガレットの作製には、フランスRIZLA社製たばこ紙巻き器「リズラカデット」を用いた。日本たばこ産業株式会社製の市販たばこ「フロンティアライトボックス」のフィルター部を除いたたばこロッドをこのたばこ紙巻き器にセットし、剃刀で切れ目を入れ、ロッド形状を崩さずに巻紙だけ抜き取ると同時に上記試料片を挿入して糊付し、市販たばこと同じロッド径の手巻きシガレットを作製した。各たばこの自然燃焼速度を表1に示した。
【0032】
[実施例6]
連鎖状炭酸カルシウムとして、市販の連鎖状炭酸カルシウム(米庄石灰工業株式会社製、商品名UNICA)を用いた他は、実施例1〜5と同様にしてシートを作製し、このシートを用いて実施例1〜5と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表1に示した。
【0033】
[比較例1〜3]
連鎖状炭酸カルシウムの代わりに、紡錘形炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、商品名PCX850)、立方形膠質炭酸カルシウム(有限会社ニューライム研究社製、試作番号TPCW)、柱状アラゴナイト炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社、商品名TP123FS)を用いた他は、実施例1〜5と同様にして3種類の比較用シートを作製し、これらのシートを用いて実施例1〜5と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1において、各炭酸カルシウムの平均粒子径は、紙中に存在した凝集粒子(2次又は3次粒子)の値であり、添加前の値とほとんど差がなく、添加前の時点ですでに凝集していると考えられる。実施例1〜6の連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子短軸径はどれも長軸径に比べ小さく、あまり差がないので、粒子の大きさは長軸径に比例していると言える。このため、長軸径の小さいものほど1次粒子の表面エネルギーが大きくなり凝集しやすくなるため、平均粒子径が大きくなっている。
【0036】
表1から明らかなように、連鎖状炭酸カルシウムを内添したシートを巻紙としたシガレット(実施例1〜6)の自然燃焼速度は、たばこ用巻紙に汎用されている紡錘形炭酸カルシウムを内添したシートを巻紙としたシガレット(比較例1)の自然燃焼速度より高くなった。特にBET比表面積30.8〜51.7m2/g、連鎖状に連なった1次粒子径の短軸径が0.03μmでアスペクト比が7.3〜11.3、連鎖状に連なった長軸径が0.22〜0.34μmの連鎖状炭酸カルシウムを内添したシートを巻紙としたシガレット(実施例3〜6)は、燃焼性がより優れており、立方形膠質炭酸カルシウムや柱状アラゴナイト炭酸カルシウムを内添したシートを巻紙としたシガレット(比較例2、3)よりも自然燃焼速度が高かった。
【0037】
また、表1より、連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子長軸径が大きいほどBET比表面積が小さくなり、巻紙の通気度が高くなる傾向を示しているので、連鎖状炭酸カルシウムの1次粒子長軸径を選択することにより、通気度の設計が可能であることが判る。
【0038】
[実施例7〜11]
実施例1〜5で用いたのと同じ5種類の連鎖状炭酸カルシウムを用いて、燃焼制御剤としてのクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の含有量が3.0質量%となるようにした他は、実施例1〜5と同様にして5種類のシートを得た。これらのシートを用いて実施例1〜5と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表2に示した。
【0039】
[実施例12]
燃焼制御剤としてのクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の含有量が3.0質量%となるようにした他は、実施例6と同様にしてシートを得た。このシートを用いて実施例6と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表2に示した。
【0040】
[比較例4〜6]
燃焼制御剤としてのクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の含有量が3.0質量%となるようにした他は、比較例1〜3と同様にして3種類の比較用シートを得た。これらのシートを用いて比較例1〜3と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2では、燃焼制御剤含有量が3.0%とされたことにより、全体的に、表1の場合に比べて自然燃焼速度が向上している。連鎖状炭酸カルシウムの内添による燃焼性向上効果は、表1の場合よりも顕著となっている。
【0043】
[実施例13〜23、比較例7]
亜麻パルプを1g法ショッパーろ水度68°SRに叩解し、紡錘形炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、PCX850)、連鎖状炭酸カルシウム(米庄石灰工業株式会社製、UNICA)、実施例4、5で用いた連鎖状炭酸カルシウム(有限会社ニューライム研究社製、試作番号PC1949TC、PC1950TC)を、表3に示す各割合で紙中に含有されるように混合し、紙中の全炭酸カルシウム含有量が30質量%になるように添加した抄紙用紙料を用いて、TAPPI標準手すき機で坪量27g/m2の各原紙を作製した。これらの原紙には、燃焼制御剤としてクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の混合水溶液を、燃焼制御剤含有量がシートの1質量%となるように塗工して乾燥し、シートを得た。これらのシートを用いて実施例1〜5と同様にして試験たばこを作製した。各シートにおける紡錘形炭酸カルシウムと連鎖状炭酸カルシウムの混合比率、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表3に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
表3の結果から、紡錘形炭酸カルシウムと連鎖状炭酸カルシウムを混合して添加した場合、連鎖状炭酸カルシウムの配合率を高くしていくと、たばこの自然燃焼速度が増加する傾向が見られる。また、連鎖状炭酸カルシウムの混合率を高くすると、高い燃焼性を維持したまま通気度が低下する傾向が見られる。一方、紡錘形炭酸カルシウムの混合率が高いほど、不透明度が高くなる。
【0046】
[実施例24、比較例8]
亜麻パルプ(三島製紙株式会社製、FP−45)に、紡錘形炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、PCX850)または連鎖状炭酸カルシウム(米庄石灰工業株式会社製、UNICA)を紙中の炭酸カルシウム含有量が30質量%となるように添加した抄紙用紙料を用いて、長網抄紙機で抄造を行い各シートを得た。燃焼制御剤としてクエン酸三ナトリウム:クエン酸三カリウム=95:5(質量比)の混合水溶液を、燃焼制御剤含有量がシートの1質量%となるように抄造途中で塗工した。これらのシートを用いて実施例1〜5と同様にして試験たばこを作製した。炭酸カルシウムの物性、シートの特性、たばこの自然燃焼速度を表4に示した。
【0047】
【表4】
【0048】
表4より、実施例24のたばこは、比較例8のたばこに比べて、自然燃焼速度が高かった。これら2種のシートの灰分はほぼ同等であるので、炭酸カルシウム含有量がたばこの自然燃焼速度に与える影響は少なく、自然燃焼速度の差は、配合された炭酸カルシウムの種類や配合率の影響であると考えられる。このことから、実機製造品からも、連鎖状炭酸カルシウムを含有する巻紙を用いることにより、高燃焼性のたばこが製作可能なことが確認された。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、鉱物充填剤として連鎖状炭酸カルシウムを用いることにより、燃焼制御剤や鉱物充填剤を高い割合で配合せずに、またコレスタ通気度を高くせず、従って喫味や強度に問題を生じることなく、且つ抄紙に際し問題のある極微細な炭酸カルシウムを用いることなく、シガレットの燃焼性を向上させることのできるたばこ用巻紙を提供することができる。また、連鎖状炭酸カルシウムの適切な1次粒子径を選択したり、他の鉱物充填剤と混合使用することにより、低通気度から高通気度にわたる広い範囲においてたばこ用巻紙の通気度の設計が可能である。
Claims (4)
- 粒子径が0.02〜0.03μmの粒子が連なって連鎖状を呈し、1次粒子短軸径が0.02〜0.03μm、1次粒子長軸径が0.2〜0.35μmであり、アスペクト比が7〜12である連鎖状炭酸カルシウムを、鉱物充填剤として用いることを特徴とするたばこ用巻紙。
- 連鎖状炭酸カルシウムと紡錘形炭酸カルシウムの混合割合が質量比で100〜10:0〜90の鉱物充填剤を用いることを特徴とする請求項1に記載のたばこ用巻紙。
- 鉱物充填剤の含有量が22〜35質量%であり、坪量が20〜35g/m2である請求項1または2に記載のたばこ用巻紙。
- 1〜3質量%の燃焼制御剤を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のたばこ用巻紙。
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