JPH09324397A - たばこ用巻紙およびその製造方法 - Google Patents

たばこ用巻紙およびその製造方法

Info

Publication number
JPH09324397A
JPH09324397A JP14004196A JP14004196A JPH09324397A JP H09324397 A JPH09324397 A JP H09324397A JP 14004196 A JP14004196 A JP 14004196A JP 14004196 A JP14004196 A JP 14004196A JP H09324397 A JPH09324397 A JP H09324397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
cellulose
calcium carbonate
cigarette
wrapping paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14004196A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Katsura
徹 桂
Makoto Fujita
誠 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP14004196A priority Critical patent/JPH09324397A/ja
Publication of JPH09324397A publication Critical patent/JPH09324397A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 副流煙が少なく、かつ、通気度を容易に調節
でき、また、高填料含有量においても強度の低下が少な
く、填料歩留まり効果が著しく優れたたばこ用巻紙およ
びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 パルプを主体とするたばこ用巻紙中に、
炭酸カルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリ
アセルロースを含有させたことを特徴とするたばこ用巻
紙に関する。 【効果】 パルプを主体とするたばこ用巻紙中に、炭酸
カルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリアセ
ルロースを含有させりことにより、副流煙が少なく、且
つ、通気度を容易に調節でき、また、高填料含有量にお
いても強度の低下が少なく、填料歩留まり効果が著しく
優れたたばこ用巻紙が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、副流煙が少なく、
かつ、通気度を容易に調節できるたばこ用巻紙に関す
る。特に、高填料含有量においても強度の低下が極めて
少なく、また、填料歩留まりが著しく優れたたばこ用巻
紙に関する。
【0002】
【従来の技術】たばこの喫煙に際して、たばこからは、
たばこ本体を通じて喫煙者により吸引される主流煙、お
よび火がついたたばこの先端から立ち上ぼる副流煙が発
生する。このうち副流煙は、喫煙者の嗜好に何ら影響を
及ぼさないばかりか、周囲の喫煙していない人々に不快
感を与えたり、健康上の問題にもなっている。また、主
流煙中の、ニコチンおよびタールのような人体に悪影響
を与える煙成分の量や喫煙回数を制御する方法として、
たばこ用巻紙の通気度を調節することが重要である。
【0003】たばこ用巻紙の通気度を調整する手段に
は、たばこ用巻紙の紙層内に存在する10μm以下の微
細な空隙の分布量を調節する方法と、例えば、電気開孔
のような物理的作用により、たばこ用巻紙に30μm以
上の貫通孔を開ける方法がある。前者のような微細な空
隙は、たばこ用巻紙を通してのガスの拡散流入と拡散流
出の両方に寄与する。ガスの拡散流入により、燃焼コー
ン内部へ酸素が供給され、紙巻たばこの自然燃焼速度が
増加し、喫煙回数が減少する結果、主流煙成分量が低減
する。一方、ガスの拡散流出には、たばこ用巻紙を通じ
ての一酸化炭素の流出を促進することにより、主流煙中
の一酸化炭素の含量を低減する作用がある。これに対し
て、後者のような比較的大きな貫通孔では、希釈空気の
流入は起こるが拡散は起こらないため、紙巻たばこの自
然燃焼速度の増加と一酸化炭素の流出への寄与は少な
い。このため、ガスの拡散流入および拡散流出を制御す
る手段としては、前者が適当である。
【0004】従来、このようなたばこ用巻紙の紙層内で
の10μm以下の微細な空隙の分布を調節する方法とし
ては、填料として用いる炭酸カルシウムの添加量を調節
する方法、パルプの叩解度を調節する方法、抄紙工程で
の脱水速度を調節する方法およびプレスの加圧を調節す
る方法などが知られている。
【0005】しかしながら、上述のような微細空隙の分
布量を調節する方法では、次のような問題がある。ま
ず、炭酸カルシウムの添加量を調節する方法では、高い
通気度を得るために、炭酸カルシウムの添加量を増加し
ていくと、ワイヤー上での填料歩留まりが低下するとと
もに、たばこ用巻紙にピンホールが発生しやすい。ま
た、紙力が低下するため、後工程での作業性などに問題
を生じる。
【0006】また、パルプの叩解度を調節する方法で
は、軽度に叩解し、叩解度が低いパルプを使用すること
により、通気度の高いたばこ用巻紙が得られる。しか
し、この場合も、抄紙工程で填料歩留まりが低下した
り、たばこ用巻紙にピンホール発生を生じやすく、紙力
低下も問題であった。
【0007】また、抄紙工程での脱水速度を調節する方
法では、ワイヤー上のタービュレンスを高くし、脱水速
度を早くすることにより、通気度が高いたばこ用巻紙が
得られる。しかし、填料歩留まりの低下や地合の悪化を
生じるため、好ましくない。プレスの加圧を調節する方
法では、プレスの加圧を減少させることにより、通気度
の高いたばこ用巻紙が得られるが、紙力が低下するた
め、好ましくない。
【0008】上記のような課題を解決する比較的最近の
技術として、特開平5−279993号公報が挙げられ
る。同公報には、炭酸カルシウムの柱状一次粒子が凝集
してなる炭酸カルシウムの二次粒子と、セルロースベー
スウエブを含有する喫煙物品用巻紙が開示されている。
しかしながら、この方法では、通気度に関しては若干効
果が認められると思われるが、通気度の面で高填料含有
量が不可欠なたばこ用巻紙としての重要課題である強度
および填料歩留まりの点で不十分である。
【0009】また、特開平5−279994号公報に
は、特定粒径以下の炭酸カルシウムの立方体状一次粒子
が凝集してなる炭酸カルシウムの二次粒子と、セルロー
スベースウエブを含有する喫煙物品用巻紙が開示されて
いる。しかしながら、この方法では、副流煙の低減には
効果があると思われるが、やはり、強度および填料歩留
まりの点で不十分である。
【0010】本発明とは目的、構成とも異なる技術であ
るが、特公平6−72394号公報には、特定粒子径以
下の填料とバクテリアセルロース離解物とを水中で混合
分散せしめ、凝集剤で予め凝集させた後、紙料に添加し
抄造することを特徴とする填料内添紙の製造方法が開示
されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点の解決を目的としてなされたものであり、副流煙が少
なく、かつ、通気度を容易に調節できるたばこ用巻紙に
関するものであって、特に、高填料含有量においても強
度の低下が極めて少なく、また、填料歩留まりが著しく
優れたたばこ用巻紙を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意検討した結果、以下の発明に至っ
た。
【0013】すなわち、本発明は、パルプを主体とする
たばこ用巻紙において、該たばこ用巻紙中に、炭酸カル
シウムと膨潤性セルロース(好ましくは膨潤性セルロー
スがバクテリアセルロースである)を含有することを特
徴とするたばこ用巻紙の発明である。
【0014】また、上記の発明において、炭酸カルシウ
ム(A)と膨潤性セルロース(B)との含有重量比率
(A/B)が、1.0以上20.0以下であり、かつ、
膨潤性セルロースが紙中に20重量%以下含まれること
を特徴とするたばこ用巻紙の発明である。
【0015】また、上記の発明において、たばこ用巻紙
中の炭酸カルシウムの含有率が、30〜60重量%であ
ることを特徴とするたばこ用巻紙の発明である。
【0016】さらに、本発明は、炭酸カルシウムと膨潤
性セルロースとを、予め水中で十分に混合・分散した
後、パルプスラリー中に添加して抄造することを特徴と
するたばこ用巻紙の製造方法の発明である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のたばこ用巻紙につ
いて詳細に説明する。
【0018】本発明におけるたばこ用巻紙の第一の特徴
は、通常、たばこ用巻紙に用いられる木本類、草本類か
ら作られたパルプ繊維と炭酸カルシウムに加えて、膨潤
性セルロース好ましくはバクテリアセルロースを用いる
ことにある。本発明におけるたばこ用巻紙の第二の特徴
は、炭酸カルシウム(A)と膨潤性セルロース好ましく
はバクテリアセルロース(B)との重量比率(A/B)
を、1.0以上20.0以下とすることが、上記の種々
の問題点を改良する上で、効果的である。重量比率(A
/B)が1.0未満であると、通気度の点で問題があ
り、(A/B)が20.0を超えると、紙力増強効果が
得られないとともに、十分な填料歩留まり効果が得られ
ない。
【0019】なお、炭酸カルシウムは、従来から白色
度、不透明度等の巻紙の光学特性を向上させ、また、通
気度を保有させるために、填料として添加されている
が、従来の炭酸カルシウムを単にパルプに添加しただけ
では、通気度の調節を容易にできないことは上記従来技
術の項で説明した通りである。
【0020】一方、本発明のたばこ用巻紙において、膨
潤性セルロースと併用する炭酸カルシウムは、重質炭酸
カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど、いずれのもので
あってもよい。また、その形状は、無定形、紡錘状、柱
状、立方状、平板状、球状および針状など、いずれの形
状のものであってもよい。
【0021】たばこ用巻紙の重要特性を改良するため
に、本発明で使用される炭酸カルシウムは、なんら特定
の炭酸カルシウムを使用することなく、上記のとおり汎
用の炭酸カルシウムが好適に用いられるが、このこと
は、炭酸カルシウムと膨潤性セルロースとを併用する本
発明の最大の特徴となっている。
【0022】本発明においては、炭酸カルシウムの添加
量は、抄紙後のたばこ用巻紙の填料含有率が、好ましく
は30〜60重量%、さらに好ましくは、40〜50重
量%になるように添加する。30重量%未満では、副流
煙の低減効果が顕著でなく、また、60重量%を超える
と、抄造上の問題がある。
【0023】本発明においては、パルプスラリー中に、
炭酸カルシウムと膨潤性セルロースを予め凝集させて添
加するのではなく、炭酸カルシウムと膨潤性セルロース
とを水中で十分に混合・分散した後、パルプスラリー中
に添加することが好ましい。本発明においては、炭酸カ
ルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリアセル
ロースとを予め強力な凝集剤で凝集させて使用すると、
炭酸カルシウムと膨潤性セルロースの粗大なフロックが
形成され、たばこ用巻紙の通気度を損ねる傾向がある。
また、たばこ用巻紙にピンホールが発生しやすくなる問
題がある。
【0024】本発明でいう膨潤性セルロースとは、ミク
ロフィブリル化セルロースとバクテリアセルロースを指
す。ミクロフィブリル化セルロースとは、例えば特開昭
56−100801号公報、特開昭59−120638
号公報および特開平6−136681号公報などに開示
されているようなパルプに対して強度に機械的処理を施
して膨潤性を高めた微細繊維状セルロース物質である。
【0025】本発明のバクテリアセルロースとは、微生
物により生産された、セルロース、セルロースを主鎖と
したヘテロ多糖、β−1,3、β−1,2等のグルカ
ン、のいずれか或はそれらの混合物である。なお、ヘテ
ロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分は、マンノー
ス、フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビ
ノース、ラムノース、グルクロン酸等の6炭糖、5炭糖
及び有機酸等である。
【0026】バクテリアセルロースを生産する微生物
は、とくに限定されないが、アセトバクター・アセチ・
サブスピーシス・キシリナム(Acetobactor acetisubsp
xylinum) ATCC 10821或は同パストウリアン
(A.pasteurium)、同ランセンス(A.rancens)、サルシナ
・ベントリクリ(Sarcina ventriculi)、バクテリウム・
キシロイデス(Bacterium xyloides)、シュードモナス属
細菌、アグロバクテリウム属細菌等で、バクテリアセル
ロースを生産するものを利用することができる。なお、
培養方法としては、静置培養で作られたものの他に、例
えば特開昭62−175190号公報(発明の名称、網
状セルロース生成物及び微生物によるその製造方法)、
特公平5−68235号公報(発明の名称、微生物によ
るセルロース性物質の製造方法)などに記載された通気
攪拌培養で作られたものなど、何れも使用することがで
きる。静置培養で得られるバクテリアセルロースは、膜
状のゲルであるため、離解した後、紙料に添加する。
又、通気攪拌培養で得られるバクテリアセルロースは、
粒子状のゲルであるため、軽度の離解処理、あるいは、
静置培養と同様の離解処理した後、紙料に添加すること
ができる。バクテリアセルロースの離解には、回転式の
離解機、ミキサー、ホモジナイザー、ビーター、リファ
イナーなどの、機械的剪断力を作用させる装置を用いる
ことができる。
【0027】このようにして作られたバクテリアセルロ
ースを、たばこ用巻紙に適用すると、上述のとおりの種
々の優れた特性を発揮する。
【0028】本発明で用いられる膨潤性セルロース、例
えば段落0024に記載したような微細繊維状セルロー
ス物質も、勿論、上述のたばこ用巻紙の各種特性に対し
て有効であるが、本発明においては、バクテリアセルロ
ースが特に効果的である。バクテリアセルロースを、た
ばこ用巻紙に適用すると、種々の優れた特性を発揮する
理由としては、下記のことが考えられる。通常、たばこ
用巻紙に用いられるパルプは、木本類、草本類が造る繊
維を、叩解によりフィブリル化しているが、その量は限
られており、少ない。一方、膨潤性セルロースは、全て
フィブリル化されている。しかし、非常に高度に叩解さ
れた場合でも、叩解により生じたフィブリルの幅が、細
くとも3〜5μm程度である。本発明における好ましい
実施態様の一つであるバクテリアセルロースは、勿論、
全てフィブリル化されていると言えるが、そのフィブリ
ル幅は、0.5μm以下と著しく細く、しかも全てがフ
ィブリルであるため、パルプ繊維、微細繊維、填料など
との絡み合いが、極めて良好であることが考えられる。
すなわち、通常、たばこ用巻紙に用いられる十分に叩解
されたパルプ繊維に比較し、バクテリアセルロースは、
極めて細くて、強度の高いフィブリル状セルロース物質
である。
【0029】パルプを主体とするたばこ用巻紙中に、炭
酸カルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリア
セルロースを含有させると、たばこ用巻紙の通気度を容
易に調節することができ、高填料含有量においても強度
の低下が極めて少なく、また、著しく優れた填料歩留ま
り効果を発揮する。填料歩留まり効果については、膨潤
性セルロースフィブリル好ましくはバクテリアセルロー
スフィブリルが、前記した如く極めて細いことにより、
炭酸カルシウムが定着する面積が増大することが寄与し
ている。一方、紙の強度は、パルプ繊維と膨潤性セルロ
ース好ましくはバクテリアセルロースの絡み合いや強固
な水素結合の形成などによって、著しく向上するものと
推定される。
【0030】通気度に関しては、段落0023でも触れ
たが、本発明の好ましい一実施態様においては、炭酸カ
ルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリアセル
ロースとを粗大に凝集させることなく、水中で十分に混
合・分散した後、パルプスラリー中に添加するので、炭
酸カルシウムなどとのフロックの形成はなく、また、た
ばこ用巻紙に発生するピンホールなども著しく抑制さ
れ、たばこ用巻紙の通気度を容易に調節することができ
る。
【0031】本発明のたばこ用巻紙で使用するパルプ
は、通常のたばこ用巻紙に使用できるものであれば特に
限定されない。例えば、広葉樹、針葉樹などの木本類パ
ルプ、亜麻、麻類等の草本類パルプおよびこれらの混合
物である。
【0032】この他に、本発明のたばこ用巻紙には、通
常の巻紙に使用できる添加剤を添加することができる。
例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸
カリウムのようなカルボン酸を含む燃焼調節剤やリン酸
ナトリウムを含む物性改善剤を使用できるが、特に限定
されるものではない。
【0033】本発明におけるたばこ用巻紙には、必要に
応じて、澱粉、澱粉誘導体などの紙力増強剤を含有させ
てもよい。また、通常の抄紙で使用される添加剤を必要
に応じて含ませることができる。しかしながら、これま
で詳述してきたとおり、本発明においては、膨潤性セル
ロース好ましくはバクテリアセルロースを用いることに
より、特に合成の紙力増強剤や歩留まり向上剤などを添
加しなくとも、優れた強度や歩留まり効果が得られるの
で、現在の技術志向である人間と環境に優しい抄紙配合
によって、たばこ用巻紙を抄造することができる。さら
に、紙表面にサイズプレスなどにより、澱粉などを塗布
することも可能である。その製造には、長網抄紙機、オ
ントップ抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などが使用され
る。
【0034】このようにして得られた本発明におけるた
ばこ用巻紙は、副流煙が少なく、かつ、通気度を容易に
調節でき、また、高填料含有量においても強度の低下が
極めて少なく、さらに、填料歩留まり効果が著しく優れ
たたばこ用巻紙を得ることができる。
【0035】本発明においては、通気度、歩留性、慣性
流定数および引張強度は、以下の方法により求めた。
【0036】<通気度>コールターポロメーターII(C
OULTER POROMETERII:COULTER
ELECTRONICS LIMITED,英国)を
用いて測定した。ここで、通気特性の評価は、定数nの
値を求めることにより行った。定数nとは、流体力学の
理論から、巻紙の両面の圧力差がΔPであるとき、単位
面積当りの巻紙を通過する空気流量Q(cm3/cm2・mi
n)を式(1)で表した場合の定数で表される。
【0037】Q=k(ΔP)n ・・・・・(1) k:巻紙の固有定数 〔cm3/cm2・min・(mmH2O)n〕 定数nは、巻紙を通過する空気の流れ方、すなわち貫通
孔の大きさに依存する。空気の流れに対して貫通孔が完
全なオリフィスとして作用する場合には、空気の流れは
慣性流に支配されるためnは0.5になる。一方、貫通
孔が完全にキャピラリーとして作用するときには、空気
の流れは粘性流に支配されるためnは1になる。実際に
は、微細空隙のみを有する巻紙では、微細空隙がキャピ
ラリーとして作用するためnは約1である。これに対し
て、電気開孔による貫通孔や抄紙工程で生じたピンホー
ルを有する巻紙ではnは0.7に近くなる。従って、定
数nを求め、この値が1に近いほど巻紙はキャピラリー
が発達し、空気の流れは粘性流となる。通気度が高く、
かつ、n=1に近ければガスの拡散流入や拡散流出が有
利になる。
【0038】まず、後述の各実施例および比較例のたば
こ用巻紙から任意に測定試料50枚を採取した。これら
の試料を、20℃、65%RH(相対湿度)の条件下で
4時間以上調和させた。この後、上記のコールターポロ
メーターIIを用いて、各試料について、その両面での圧
力差を、500,1000,1500,2000,25
00mmH2Oに変化させて、試料1cm2あたりを通過す
る空気の流量Qを測定し、式(1)を用いて定数nおよ
び巻紙の固有定数kpを求め、さらに、式(1)のΔP
に100mmH2Oを代入して求めた式(2)を用いてコレスタ
通気度qを求めた。この結果を表1に示す。
【0039】q=k×100n ・・・・・(2) q:コレスタ通気度 〔cm3/cm2・min ・100mmH2O 〕 よって、本発明における通気度は、コレスタ通気度を指
す。
【0040】<歩留性>ヘッドボックスの原料と抄紙機
の網下白水の填料濃度から算出した。なお、填料を得る
ための灰化温度は550℃とした。 歩留性(%)=(1−白水填料濃度/ヘッドボックス填
料濃度)×100
【0041】<引張強度>JIS P8113により強
度(N)を求めた。これを、紙幅(m)と坪量(g/m
2)で除して、比引張強度(N・m/g)とした。
【0042】
【実施例】以下では、本発明を実施例により詳細に説明
する。なお、本発明は実施例に限定されるものではな
い。以下における部、%は、すべて絶乾重量によるもの
である。
【0043】通気攪拌培養バクテリアセルロース凝集物
調製例 シュークロース5%、リン酸1カリウム0.3%、硫酸
マグネシウム(7水塩)0.05%、カザミノ酸(Di
fco社製)0.8%、pH5の組成の培地400ml
を500ml容フラスコに張り込み、120℃30分間
殺菌した。上記の組成の培地に寒天2%を加えた斜面寒
天培地で30℃6日間生育させたアセタバクター・アセ
チ・サブスパーシス・キシリナムATCC10821を
上記の殺菌した培地に接種し30℃2日間振とう培養し
種母とした。上記培地のそれぞれ単独に酵母エキス(D
ifco社製)0.50%を加え、pH4に調整した培
地350mlをガラス製の気泡塔(全容量500ml)
に無菌的に入れ、また、50mlの種母をあわせて入
れ、通気1/10VVmにて、攪拌しつつ30℃で2週
間培養したところ、粒状のペレットが得られた。この粒
状ペレットの乾燥重量の200倍の水を入れ、高速ホモ
ジナイザーを用いて15000rpmで離解し、バクテ
リアセルロースの懸濁液を調製した。
【0044】静置培養バクテリアセルロース離解物調製
例 シュークロース50g/l、酵母エキス5g/l、硫安
5g/l、リン酸水素カリウム(KH2PO4)3g/
l、硫酸マグネシウム(MgSO4 7H2O)0.5g
/lからなる組成の培地(pH5.0)50lを容量2
00lの培養タンクに張り込み、120℃で20分間蒸
気殺菌して培養液を作製した。次いで、この培養液に酵
母エキス5g/l、ペプトン3g/l、マンニトール2
5g/lからなる組成の斜面寒天培地(pH6.0)で
30℃、3日間生育させたアセトバクター・アセチ・サ
ブスピーシス・キシリナム(ATCC 10821)を
接種し、30℃で培養した。
【0045】上記条件で30日間培養したところ、培養
液の上層に白色のバクテリアセルロース性多糖類を含む
ゲル状の膜が形成された。このセルロース性多糖類のゲ
ル状膜を水洗後、乾燥重量の200倍の水を加え、バク
テリアセルロース離解物を得るために、高速ホモジナイ
ザーを用いて15000rpmで、バクテリアセルロー
ス離解物の懸濁液を調製した。
【0046】実施例1〜6 亜麻パルプ80重量部と広葉樹漂白パルプ(LBKP)
20重量部とを混合・攪拌した混合パルプ系に、バクテ
リアセルロースを添加した後のスラリーの濾水度が、カ
ナダ変性フリーネスで100mlとなるように、混合パ
ルプを叩解した。これとは別に、炭酸カルシウム(A)
{紡錘状軽質炭酸カルシウム:タマパールTP−12
1;奥多摩工業社製(以下、炭カル1と記載する)}と
段落0039に記載された方法によって調製された通気
攪拌培養バクテリアセルロース凝集物(B)を、表1記
載の(A/B)となるように配合した(A)+(B)か
らなる混合液を十分混合し、前記の混合パルプスラリー
中に、炭カル1がそれぞれ抄紙後の巻紙の灰分が45重
量%になるように添加し、実施例1〜5の炭カル1とバ
クテリアセルロースを含むパルプスラリーを得た。ま
た、実施例6は、通気攪拌培養バクテリアセルロース凝
集物の代わりに、段落0040および段落0041に記
載された方法によって調製された静置培養バクテリアセ
ルロース離解物を用いること以外は、実施例3と同様に
して試料を得た。なお、カナダ変性フリーネスとは、パ
ルプ絶乾1gについて、カナダ標準型濾水度試験機中の
ふるい板を80メッシュのブロンズ平織ワイヤーに変更
して測定したものである。このようにして得られた6種
類の抄紙用パルプスラリーについて、長網抄紙機にて抄
紙し、多筒式ドライヤーで乾燥後、坪量25g/m2
たばこ用巻紙を得、それぞれ、実施例1〜6の試料とし
た。このようにして得られた実施例1〜6の試料につい
て、通気度、慣性流定数および歩留性について、試験し
た結果を表1に示す。また、実施例1〜3については、
引張強度試験を行った。得られた結果を表2に示す。
【0047】実施例7〜12 (A/B)がいずれも10であって、炭カル1の抄紙後
のたばこ用巻紙の灰分が、それぞれ表1記載のとおりと
なるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして実施
例7〜12の試料を得た。このようにして得られた実施
例7〜12の試料の試料について、通気度、慣性流定数
および歩留性について、試験した結果を表1に示す。
【0048】実施例13 バクテリアセルロースの代わりに、特開昭59−120
638号公報に記載されているような高圧ホモジナイザ
ーを用いて作製された微細繊維状セルロースを使用した
こと以外は、実施例10と同様にして実施例14の試料
を得た。このようにして得られた実施例13の試料につ
いて、通気度、慣性流定数および歩留性について、試験
した結果を表1に示す。
【0049】実施例14および15 実施例1の炭カル1の代わりに、炭酸カルシウム{立方
体軽質炭酸カルシウム:タマパールTP−222;奥多
摩工業社製(以下、炭カル2と記載する)}を使用した
こと以外は、実施例3と同様にして実施例14の試料を
得た。また、実施例1の炭カル1の代わりに、炭酸カル
シウム{柱状軽質炭酸カルシウム:タマパールTP−1
23;奥多摩工業社製(以下、炭カル3と記載する)}
を使用したこと以外は、実施例3と同様にして実施例1
5の試料を得た。このようにして得られた実施例14お
よび15の試料について、通気度、慣性流定数および歩
留性について、試験した結果を表1に示す。
【0050】比較例1〜3 実施例1において、バクテリアセルロースを使用しない
こと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の試料を
得た。比較例1おいて、炭カル1の代わりに、炭カル2
を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例
2の試料を得た。比較例1おいて、炭カル1の代わり
に、炭カル3を使用したこと以外は、比較例1と同様に
して、比較例3の試料を得た。このようにして得られた
比較例1〜3の試料について、通気度、慣性流定数およ
び歩留性について、試験した結果を表1に示す。また、
比較例1〜3については、引張強度試験を行った。得ら
れた結果を表2に示す。
【0051】なお、表中*は、静置培養バクテリアセル
ロース離解物を用いたことを示し、**は、微細繊維状
セルロースを示し、BCは、バクテリアセルロースを示
す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】<評価>表1および表2において、本発明
の実施例と比較例から、以下のことが解る。 1)本発明においては、炭酸カルシウム(A)とバクテ
リアセルロース(B)を併用すること、特に(A/B)
=1〜30好ましくは1〜20とすることによって、通
気度を同一灰分において調節することができる利点があ
る。 2)従来の通気度を確保するための紙中填料量を、本発
明においては低減させ得る利点がある。 3)本発明においては、填料の歩留まり性を著しく向上
させることができる。 4)本発明においては、引張強度を著しく向上させるこ
とができる。 また、比較例に比べて、実施例により得られたたばこ用
巻紙は、いづれも副流煙の発生がすくなかった。さら
に、従来、通気度を確保するためには、たばこ用巻紙中
に填料を多量に内添させることが行われてきた。もちろ
ん、従来の手法によっても通気度を確保することは可能
であるが、填料の歩留まりが極端に悪化することと同時
に進行するというデメリットが常に存在していた。一
方、本発明においては、通気度を確保するためには、必
ずしも填料を多くする必要がないことが明らかとなっ
た。その結果、たばこ用巻紙中に填料を多量に内添させ
ることの不利益、例えば、填料の歩留まり性、引張強度
など、たばこ用巻紙としての重要特性を損ねることのな
い、たばこ用巻紙が得られる。また、通気攪拌培養バク
テリアセルロース凝集物を用いた実施例3の代わりに、
静置培養バクテリアセルロース離解物を用いた実施例6
は、実施例3と遜色のない同様の結果が得られた。ま
た、バクテリアセルロースの代わりに、微細繊維状セル
ロースを使用した実施例13は、通気攪拌培養バクテリ
アセルロース凝集物を用いた実施例9と比較して僅かに
効果は劣るものの、比較例に比べて、効果があることが
認められた。
【0055】
【発明の効果】本発明におけるたばこ用巻紙中に、炭酸
カルシウムと膨潤性セルロース好ましくはバクテリアセ
ルロースを含有させたたばこ用巻紙、特に、炭酸カルシ
ウム(A)と膨潤性セルロース(B)との含有重量比率
(A/B)が、1.0以上20.0以下であり、かつ、
膨潤性セルロースが紙中に20重量%以下含まれること
を特徴とするたばこ用巻紙は、副流煙が少なく、かつ、
通気度を容易に調節でき、特に、高填料含有量において
も強度の低下が極めて少なく、また、填料歩留まりが著
しく優れたものである。また、炭酸カルシウムと膨潤性
セルロース好ましくはバクテリアセルロースとを、予め
水中で十分に混合・分散した後、パルプスラリー中に添
加して抄造した本発明におけるたばこ用巻紙は、上記の
たばこ用巻紙としての重要特性において、優れた品質の
ものが得られることが解った。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプを主体とするたばこ用巻紙におい
    て、該たばこ用巻紙中に、炭酸カルシウムと膨潤性セル
    ロースを含有することを特徴とするたばこ用巻紙。
  2. 【請求項2】 膨潤性セルロースがバクテリアセルロー
    スであることを特徴とする請求項1記載のたばこ用巻
    紙。
  3. 【請求項3】 炭酸カルシウム(A)と膨潤性セルロー
    ス(B)との含有重量比率(A/B)が、1.0以上2
    0.0以下であり、かつ、膨潤性セルロースが紙中に2
    0重量%以下含まれることを特徴とする請求項1または
    2記載のたばこ用巻紙。
  4. 【請求項4】 たばこ用巻紙中の炭酸カルシウムの含有
    率が、30〜60重量%であることを特徴とする請求項
    1、2または3記載のたばこ用巻紙。
  5. 【請求項5】 炭酸カルシウムと膨潤性セルロースと
    を、予め水中で十分に混合・分散した後、パルプスラリ
    ー中に添加して抄造することを特徴とするたばこ用巻紙
    の製造方法。
JP14004196A 1996-06-03 1996-06-03 たばこ用巻紙およびその製造方法 Pending JPH09324397A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14004196A JPH09324397A (ja) 1996-06-03 1996-06-03 たばこ用巻紙およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14004196A JPH09324397A (ja) 1996-06-03 1996-06-03 たばこ用巻紙およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09324397A true JPH09324397A (ja) 1997-12-16

Family

ID=15259603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14004196A Pending JPH09324397A (ja) 1996-06-03 1996-06-03 たばこ用巻紙およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09324397A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002129498A (ja) * 2000-10-18 2002-05-09 Mishima Paper Co Ltd たばこ用巻紙
JP2011214162A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Arakawa Chem Ind Co Ltd 製紙用填料分散液および填料含有紙
JP5997356B1 (ja) * 2015-10-08 2016-09-28 日本製紙パピリア株式会社 喫煙物品用巻紙
US10735734B2 (en) 2014-07-28 2020-08-04 Fraunhofer-Gesellschaft Zur Foerderung Der Angewandten Forschung E.V. Source coding scheme using entropy coding to code a quantized signal

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002129498A (ja) * 2000-10-18 2002-05-09 Mishima Paper Co Ltd たばこ用巻紙
JP2011214162A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Arakawa Chem Ind Co Ltd 製紙用填料分散液および填料含有紙
US10735734B2 (en) 2014-07-28 2020-08-04 Fraunhofer-Gesellschaft Zur Foerderung Der Angewandten Forschung E.V. Source coding scheme using entropy coding to code a quantized signal
JP5997356B1 (ja) * 2015-10-08 2016-09-28 日本製紙パピリア株式会社 喫煙物品用巻紙

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20160273165A1 (en) Method for improving strength and retention, and paper product
US5824364A (en) Methods of manufacture for highly loaded fiber-based composite material
US10683616B2 (en) Method for forming a composite comprising MFC and a composite produced by the method
US9506197B2 (en) Method for producing furnish, furnish and paper
JP2883298B2 (ja) たばこ用水分散性シート並びにこれを用いたたばこ
JPH1077595A (ja) 衛生用紙
EP0738303B1 (en) Treatment of inorganic filler material for paper with polysaccharides
US20190264394A1 (en) A method to form a web comprising fibers
BRPI1008341B1 (pt) Método para produzir celulose nanofibrilada modificada, celulose nanofibrilada modificada, uso de celulose nanofibrilada modificada, papel, e, método para fabricar papel
JPH0949188A (ja) 水分散性シート並びにこれを用いたたばこ
JPS6215192B2 (ja)
JP2021500485A (ja) 良好なバリア特性を有するフィルム、及び良好なバリア特性を有するフィルムを生産する方法
US3125098A (en) osborne
RU2731770C1 (ru) Связующая композиция на основе растительных волокон и минеральных наполнителей, ее получение и применение
JP2841328B2 (ja) 紙の製造方法
JPH09324397A (ja) たばこ用巻紙およびその製造方法
Song et al. Foam forming: an effective approach to fabricate highly bulky, uniform and soft reconstituted tobacco sheets
Gao et al. Physical properties and thermal behavior of reconstituted tobacco sheet with precipitated calcium carbonate added in the coating process
US2738791A (en) Cigarette paper
JPH0672394B2 (ja) 填料内添紙の製造方法
JPH09195193A (ja) 包装用紙
JPH1161678A (ja) 薄葉印刷紙
JP3274529B2 (ja) バクテリアセルロース含有紙
JPH1136184A (ja) 製紙用サイズ剤組成物およびサイジング紙
JP2763853B2 (ja) バクテリアセルロース含有紙及びその製造方法