JP4584311B2 - ハロオルガノアルコキシシランの製造方法 - Google Patents

ハロオルガノアルコキシシランの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ある種のハロオルガノケイ素化合物の製造方法に関する。さらに具体的には、本発明はクロロプロピルトリメトキシシランのようなハロオルガノアルコキシシランの製造方法に関する。
クロロプロピルトリメトキシシランは、シランカップリング剤として使用される各種のアミノ−、メルカプト−及びメタクリロイルオキシオルガノシラン製造用の重要な中間体である。クロロプロピルトリメトキシシランはクロロプロピルトリエトキシシランに転化させることもできるが、これはシリカ充填タイヤの製造に使用されるポリスルファン含有オルガノアルコキシシラン製造における重要な中間体である。
米国特許第6191297号には、トリクロロシランと塩化アリルとの白金触媒ヒドロシリル化反応で得られる生成物のエタノールエステル化を含む二段階法が記載されている。この方法は、収率が低く、副生物(プロピルトリクロロシラン)の生成が顕著であるので、極めて材料集約的かつプラント集約的なものである。
潜在的に経済的な経路は、トリエトキシシランと塩化アリルとの直接ヒドロシリル化反応である。白金は最も広く使用されているヒドロシリル化触媒であり、これを塩化アリルとトリエトキシシランとのヒドロシリル化反応に使用することも報告されている。米国特許第3795656号によれば、塩化アリルとトリエトキシシランとのPt触媒ヒドロシリル化反応で70%の収率が得られている。Belyakova et al.,Obshch.Khim 1974,44,2439−2442には、シランと塩化アリルとのPt触媒ヒドロシリル化反応が記載され、クロロプロピルトリエトキシシランについては収率14%が記載されている。特開平11−199588号に開示されているように、トリメトキシシランと塩化アリルとのPt触媒ヒドロシリル化反応では、クロロプロピルトリメトキシシランが70%の収率で得られている。
塩化アリルとシランとのヒドロシリル化反応に関する主な制約は、競合的な脱離反応である。白金を用いると、競合的な脱離反応はクロロシランよりもアルコキシシランで顕著である。ロジウム及びパラジウムは主に脱離生成物を与える。
イリジウムは、塩化アリルとトリエトキシシランとのヒドロシリル化反応の非常に効率的な触媒であると報告されている。米国特許第5616762号によれば、トリエトキシシランと塩化アリルとのイリジウム触媒ヒドロシリル化反応は、クロロプロピルトリエトキシシランに対して非常に選択的であって、副生物が極めて少ないと記載されている。特願平4−225170号(特開平06−100572号)には、塩化アリルとトリメトキシシランとのイリジウム触媒ヒドロシリル化反応に関して同様の結果が報告されている。米国特許第4658050号では、アルコキシシランと塩化アリルとのイリジウム触媒ヒドロシリル化反応にオレフィンイリジウム錯体を使用する。
ルテニウムは、塩化アリルとトリメトキシシランとのヒドロシリル化反応の非常に効率的な触媒であると報告されている。特許第2976011号には、トリエトキシシランと塩化アリルとのRu触媒ヒドロシリル化反応で、クロロプロピルトリエトキシシランが約41%の収率で得られると開示されている。米国特許第5559264号には、ルテニウム触媒の存在下及び好ましくは溶媒の実質的な非存在下でのメトキシシランと塩化アリルとのヒドロシリル化反応でクロロアルキルアルコキシシランを得ることが記載されている。Tanaka et al.,J.Mol.Catal. 1993,81,207−214には、トリメトキシシランと塩化アリルとのルテニウムカルボニル触媒ヒドロシリル化反応が報告されており、特願平8−261232号(特開平10−085605号)には、同じ反応のヒドロシリル化触媒として使用するためのルテニウムカルボニルの活性化が記載されている。
米国特許第6191297号明細書 米国特許第3795656号明細書 特開平11−199588号公報 米国特許第5616762号明細書 特開平06−100572号公報 米国特許第4658050号明細書 特許第2976011号公報 米国特許第5559264号明細書 特開平10−085605号公報 Belyakova et al.,Obshch.Khim 1974,44,2439−2442 Tanaka et al.,J.Mol.Catal. 1993,81,207−214
本発明では、次式のハロオルガノアルコキシシランの製造方法であって、
(R(RO)3−xSiCHCHRCR
(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキルであり、Rは炭素原子数1〜6のアルキルであり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基又は水素であり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル、水素又はハロゲンであり、Rは水素又は炭素原子数1〜6のアルキルであり、Xはハロゲンであり、xは0、1又は2である。)
触媒有効量のルテニウム含有触媒及び反応促進有効量の電子供与性芳香族化合物を添加した反応媒質中で、下記の一般式のオレフィンハライドを
C=CRCR
(式中、R、R、R及びXは上述の意味を有する。)
下記の一般式のアルコキシシランのモル過剰量と
(R(RO)3−xSiH
(式中、R、R及びxは上述の意味を有する。)
反応させることを含んでなる方法が提供される。芳香族化合物は、反応を促進するため電子供与基を含んでいてもよい。加えて、反応促進有効量の芳香族化合物は、反応の促進には十分であるが、反応を抑制しない量で存在しなければならない。さらに、芳香族化合物は上述のアルコキシシラン又は触媒溶液中でルテニウム触媒と同時に存在すべきである。
上述のようなルテニウム触媒及び芳香族化合物助触媒の存在下でのオレフィンハライドとアルコキシシランとのハロオルガノアルコキシシラン生成反応は、以下の反応で進行すると考えられる。
Figure 0004584311
式中、R、R、R、R、R、X及びxは上述の意味を有する。
本発明の方法は、ヒドロシリル化反応を連続方式で実施するための装置を含め、ヒドロシリル化反応に現在使用されている各種の市販装置で実施できる。
本方法を例えば金属ケイ素及びメタノールから直接製造されるトリメトキシシラン供給源と統合すれば、腐食性で有害なヒドロクロロシランを使用せずにすむだけでなく、ヒドロクロロシラン由来の生成物の使用につきものの大量の塩素含有廃棄副生物の生成をなくすことができる。
オレフィンハライドとアルコキシシランとの一段階ヒドロシリル化反応で高収率のハロオルガノアルコキシシランを得るためには、幾つかの因子が重要であることが判明した。第一に、バッチ反応ですべての反応体を最初から一緒にする場合、所望のハロオルガノアルコキシシランに対する選択率は低い温度及び低い反応速度で最も高くなる。第二に、温度を上昇させて反応速度を高めると、反応混合物中のオレフィンハライドの濃度を制限することによって選択率を維持できる。第三に、大抵の不活性溶媒(特に芳香族溶媒)は、反応溶媒にとって普通の比較的高いレベルで使用する場合、特にバッチ系では速度、選択率又はその両方に悪影響を及ぼすことがある。
好ましくは、本方法は、半バッチ操作又は連続操作により、アルコキシシランを含む反応媒質にオレフィンハライドをゆっくりと添加し、ルテニウム金属含有触媒及び助触媒としての電子供与性芳香族化合物の存在下でこれらを反応させることによって実施される。このような添加順序により、反応媒質中の未反応オレフィンハライドの濃度がアルコキシシランに対して効果的に最小に維持され、かくして反応媒質中にはオレフィンハライドに対してアルコキシシランの非常に大きいモル過剰量が効果的に確立される。一般的な実施形態では、アルコキシシランに対するオレフィンハライドの最大添加速度は反応速度で決定される。その反応速度は、当業者には明らかであろうが、小型の実験室用反応器又は非常に大型の商用反応器のいずれを使用するにせよ、反応温度、触媒濃度、電子供与性芳香族化合物助触媒の濃度、及び反応装置の伝熱限界にある程度依存する。
好ましい混合順序は、半バッチ操作又は連続操作で達成できる。半バッチ操作では、反応器にまずモル過剰量のアルコキシシランの大部分、好ましくはその全所要量を仕込む。次いで、アルコキシシランに芳香族化合物及びルテニウム触媒を添加し、オレフィンハライドと反応させることができる。別法として、モル過剰量のアルコキシシランを含む反応器にオレフィンハライドをゆっくりと添加し、アルコキシシランとオレフィンハライドとをルテニウム触媒及び芳香族化合物助触媒の存在下で反応させる。本明細書中で使用する「オレフィンハライドのゆっくりした添加」とは、一般に、アルコキシシラン1モル当たり毎時約3モル未満の速度、好ましくはアルコキシシラン1モル当たり毎時1モル以下の速度を意味する。例えば、半バッチ操作では、2モルのアルコキシシランを含む反応器に1モルのオレフィンハライドを15分で添加する場合、アルコキシシラン1モル当たり毎時2モルのオレフィンハライド添加速度が達成される。オレフィンハライドを反応器に添加した後には、オレフィンハライドの完全な転化が達成されるまで反応が継続される。これは主として温度、触媒濃度及び香族化合物助触媒濃度の関数であるが、完全な転化は一般に1〜15時間で、さらに通常には1〜10時間で達成できる。1〜5時間での反応の完結は珍しくない。アルコキシシランの若干部分を、オレフィンハライドと混合して添加することもでき、或いは独立した流れとしてオレフィンハライドの添加と同時に添加することもできる。
連続操作では、反応器には通例、アルコキシシランとオレフィンハライドとのモル比が約1.3〜約3.0、好ましくは約1.8〜約2.3になるようにして、オレフィンハライド及びアルコキシシランの独立した流れを仕込む。かかる操作により、定常運転条件下で反応器内に適正な過剰量のアルコキシシランが存在することが保証される。好ましいアルコキシシラン(メトキシシラン)及び好ましいオレフィンハライド(塩化アリル)に関しては、好ましいモル比は約1.6〜約2.3である。連続操作では、芳香族化合物助触媒及びルテニウム触媒は、オレフィンハライド及びアルコキシシランに別々に添加でき、或いは好ましくは上述のようなオレフィンハライド及びアルコキシシランの独立した流れを仕込んでいる反応器に触媒溶液として添加できる。
本発明の方法で使用する芳香族化合物助触媒は、反応促進量、即ち(生成物の純度が高く、及び/又はオルガノアルコキシシランやハロアルコキシシランのような副生物の生成が少ないことで示されるように)反応を抑制する量より少ないが反応の収率を増加させる量で反応媒質中に存在しなければならない。一般に、芳香族化合物助触媒の有効量は、ルテニウム金属1モル当たり約1〜約100モル当量、好ましくはルテニウム金属1モル当たり約5〜約50モル当量、さらに好ましくはルテニウム金属1モル当たり約20〜約30モル当量の範囲内にある。
他のヒドロシリル化反応条件(例えば、温度、反応体のモル比、圧力、時間及び触媒濃度)は、厳密には限定されない。各種の製造装置を経済的かつ安全に使用するためにこれらの因子を調整する際には広い寛容度が存在する。かかる装置は、通例、加熱、冷却、攪拌、不活性雰囲気の維持、及び(例えば、濾過又は蒸留による)精製のための装備を有している。したがって、大規模な商業的ヒドロシリル化反応に先行技術で通例使用されている装置は、不均一な担持ヒドロシリル化触媒及び電子供与性芳香族化合物助触媒を含む帯域内でヒドロケイ素化合物の還流する凝縮性流れにオレフィンハライドを添加する装置を含め、本発明の方法に使用できる。
反応条件には、約50〜約130℃の反応温度が含まれるが、約60〜約80℃が好ましい。一般に、本方法は大気圧以上の圧力で実施され、大気圧が好ましい。本発明の方法は、真のバッチ系では高収率の所望クロロアルキルアルコキシシランを与え得ることが認められている。しかし、バッチ反応は通例は低い温度で実施され、結果として長い反応時間を要する。したがって、ルテニウム金属含有触媒及び芳香族化合物助触媒の存在下でモル過剰量のアルコキシシランにオレフィンハライドを添加することにより、ヒドロシリル化を高温で実施することが好ましい。1つの特に好ましい操作方式(半バッチ方式)では、アルコキシシランの全所要量(例えば、添加すべきオレフィンハライドの全量に対して約1.6〜約2.3モル当量のトリメトキシシラン)を含む反応器にオレフィンハライドの全所要量を一定時間ゆっくりと添加することによって、アルコキシシラン1モル当たり毎時3モル未満のオレフィンハライド添加速度が達成される。
一実施形態では、反応器は全反応体の重量を基準にして5〜100ppmのルテニウムをRuCl水和物として含んでいる。別の実施形態では、反応媒質は反応器は全反応体の重量を基準にして約15〜25ppmのルテニウムを含んでいる。さらに別の実施形態では、反応器は全反応体の重量を基準にして5〜50ppmのルテニウムをRuCl水和物として含むと共に、反応促進有効量の芳香族化合物助触媒を含み、反応は約50〜約130℃で、好ましくは約60〜約80℃で実施される。過剰のアルコキシシラン、ルテニウム触媒及び芳香族化合物助触媒は、次のバッチに有効に再循環させることができる。
本発明の方法は、特に塩化アリルとトリメトキシシランとの反応でクロロプロピルトリメトキシシランを得る場合には、オレフィンハライドから所望のハロオルガノアルコキシシラン生成物への転化についてほぼ定量的であるので、望ましくない副生物の生成は大幅に減少する。これは、廃棄物として破棄又は廃棄すべき物質、(例えば蒸留により)独立した流れとして単離すべき物質、或いは反応系から排出すべき物質の量を低減させる。本発明の方法は発熱性が高いので、外部加熱は通常不要であり、それに対応して反応時間が短い。一般に、反応生成物から除去する必要がある有意な量の不純物は、わずかな過剰量の未反応アルコキシシラン、残留触媒及び芳香族化合物助触媒のみである。これらは、精製せずに次のバッチに再循環させることができる。生成物中に存在することがある低レベルの残留ハライドは、当技術分野で公知の方法で中和できる。本発明のヒドロシリル化生成物を他の有機官能性ケイ素化合物製造用の中間体として使用する場合、初期合成後のその純度は、(例えば蒸留による)追加の精製を不要とするのに十分であり得る。
例えばクロロプロピルトリメトキシシランの製造に適用した場合、本発明の方法は、先行技術に記載されたいずれの一段階法又は二段階法よりも(制限反応体に対しモル基準で計算して)高い収率でこの生成物を与える。これは、有効量の芳香族化合物助触媒及び有効量のルテニウム触媒を反応媒質に添加することによって達成される。この方法はまた、先行技術に記載されたいずれの方法よりも顕著に低いレベルのルテニウム金属含有触媒を用いてかかる収率を達成する。加えて、本発明の方法は、生成物を顕著に増加させると共に廃棄物を最小限に抑える有効量の電子供与性芳香族化合物を使用する。この方法はまた、不活性溶媒の使用が排除されると共に多量の廃棄副生物が生成されないので、使用する装置の単位容積当たりの高い収率を与える。本発明における反応体の好ましい混合順序は、実際、トリクロロシランと塩化アリルとの白金触媒反応の一報告例においてクロロプロピルトリクロロシランの収率を最大にするために使用されたものとは正反対である。その上、得られる収率はトリエチルシランと塩化アリルとの白金触媒反応について報告されたものより顕著に高い。この場合には、ヒドロシリル化助触媒として必ずトリクロロシランを含む塩化アリルをトリエチルシランに添加することによって収率を最大にしている。
本発明の方法は大気圧より高い圧力での操作を必要としないが、ハロゲン化アリルが偶発的に環境に放出される可能性を防止するために密閉反応器を用いることによって、高圧(例えば、2気圧までの圧力)を使用することもできる。アルコキシシランの大気圧沸点より低い反応温度が所望される場合には、大気圧より低い圧力も使用できる。
本発明で使用するのに適したオレフィンハライドには、塩化アリル、塩化メタリル、3−クロロ−1−ブテン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、2−クロロプロペンなどがある。これらのうち、塩化アリル(CH=CHCHCl)が好ましい。
本発明で使用するのに適したアルコキシシランには、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシシランなどがある。これらのアルコキシシランのうち、エトキシシラン類が好ましく、トリエトキシシランが最も好ましい。
ルテニウム金属含有触媒及び芳香族化合物助触媒は反応媒質中に存在しなければならない。これらはアルコキシシラン又はオレフィンハライドに溶解して添加できるか、或いは反応体を導入する触媒帯域内に両者が不均一形態で存在し得る。様々な均一及び不均一形態のルテニウム金属含有化合物が触媒として使用でき、(含有金属に基づく)使用レベルは商業的に実施される白金触媒ヒドロシリル化反応の場合と同程度に低くてよい。例えば、約2〜300ppmのルテニウム濃度が一般に好適である。
触媒活性化に酸素が必要である場合、市販の原料中、特に反応体自体の中に通常存在する酸素の量が一般に十分なはずである。このことは、特にルテニウムカルボニル触媒について言える。それ以上の触媒活性化が必要な場合には、単に希薄な酸素(例えば、N中に3%のOを含む混合物)を1種以上の反応体又は反応媒質に添加して触媒が出会う酸素レベルを高めることによって達成できる。触媒がルテニウム−ホスフィン錯体である場合には、独立した活性化が必要となる可能性が高いであろう。
好適なルテニウム金属含有触媒は、均一及び不均一のルテニウム金属含有化合物及び錯体から選択できる。その例には、Ru(CO)12、[Ru(CO)Cl]、シクロオクタジエン−RuCl、RuCl、(PhP)Ru(CO)Cl、(PhP)Ru(CO)H、Fe担持Ru、Al担持Ru、炭素担持Ru、Ru(AcAc)、RuBrなどがある。式中、Phはフェニル基であり、AcAcはアセチルアセトネート基である。
トリフェニルホスフィン、水素及び塩素配位子のみを含むルテニウム錯体を構成するルテニウム金属含有化合物(例えば、(PhP)RuCl、(PhP)RuHCl及び(PhP)RuH)は、酸素の存在下又は非存在下でのトリメトキシシランとオレフィンハライドとの反応用の触媒として無効である。このような触媒活性の欠如は、塩化アリルとトリエトキシシランとのヒドロシリル化を調べた以前の研究者達の結果と矛盾しない。ホスフィン配位子が存在する場合、水素又は塩素以外の配位子或いは水素又は塩素に加えて別の配位子(例えば、カルボニル及びオレフィン配位子)も存在すべきであり、わずかに高いレベルの活性化用酸素が必要となることがある。芳香族化合物を含むルテニウム錯体(例えば、ルテニウム金属に対して1モル当量以上の芳香族化合物を含む(π−アレーン)ルテニウム錯体)も好適である。(π−アレーン)ルテニウム錯体の例は、(p−シメン)塩化ルテニウム(II)二量体又は(ベンゼン)塩化ルテニウム(II)二量体である。
好ましいルテニウム触媒は塩化ルテニウム化合物であり、RuCl水和物が最も好ましい。あるバッチから回収した触媒は、実質的な活性低下なしに次のバッチに再循環させることができる。触媒の使用レベルは、総反応体仕込量を基準にした含有Ru金属量として1.0〜300ppmの範囲内にあるが、5〜50ppmが好ましい。
好適な芳香族化合物には、例えば、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、ジ−t−ブチルベンゼン、ビベンジル、トルエン、t−ブチルトルエン、アニソール、1−フェニルヘキサン、1−フェニルドデカン、Nalkylene(登録商標)(C〜C12のn−アルキルベンゼンの混合物)、Therminol(登録商標)(エチルベンゼンとビベンジル異性体との混合物)、m−キシレン、メシチレン、p−シメン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、フェニルエーテル、フェノチアジン及びビフェニルがある。これらは、ルテニウム金属のモル数に対して約1〜約100モル当量、好ましくはルテニウム金属のモル数に対して約5〜約50モル当量、さらに好ましくはルテニウム金属のモル数に対して約20〜約30モル当量の量で存在し得る。
本発明方法のハロオルガノアルコキシシラン生成物は、標準的な手段(例えば、蒸留)で精製でき、或いは以後の製造用の中間体として使用する場合には中間体を精製せずに直接使用できる。
上述の通り、アルコキシシランが所望のモル過剰量で存在するようにしてアルコキシシラン及びオレフィンハライド反応体を反応器に添加することにより、反応を連続方式で実施することもできる。定常状態では、反応器は所望生成物の実質的に定量的な生成を可能にするのに十分な過剰量のアルコキシシランをハロオルガノアルコキシシラン生成物と混合した状態で含んでいる。過剰のアルコキシシランは、生成物の流れから回収して再循環させることができるので好都合である。
本発明の正確な技術的範囲は特許請求の範囲に記載されているが、以下の具体的な実施例は本発明の特定の態様を例示しており、さらに詳しくは本発明を評価する方法の様々な態様を記載している。しかし、これらの実施例はもっぱら例示のために記載されており、本発明を限定するものと解すべきでない。略語g、ppm、equiv.、GC及びTMSは、それぞれグラム、百万分率、モル当量、ガスクロマトグラフィー及びトリエトキシシランを表す。温度は℃単位で示される。%収率は、生成物の真空蒸留後に実際の重量で収率を求める場合を除き、内標準を用いたGCで測定される。特記しない限り、すべての反応は標準的な実験室用ガラス器を用いて窒素の不活性雰囲気下において大気圧で実施した。各実施例において、生成物の構造はGC、GC/質量分析法、赤外分光法又は核磁気共鳴法で確認した。
以下の実施例でのすべての反応は、窒素雰囲気下で実施した。塩化アリル、塩化メタリル、トリメトキシシラン及びRuCl水和物はそれ以上精製せずに使用した。TMSは大気圧下で5段型Oldershaw塔で蒸留し、ガラス又はステンレス鋼製の瓶内に貯蔵した。通例、TMSの純度は約98%(wt/wt)であった。すべてのGCデータは重量%(wt/wt)で表され、過剰のTMSについて正規化された。
以下の略語及び商品名(その性状を示す)が実施例中で使用される。
Figure 0004584311

実施例1
周囲温度で、トリメトキシシラン29.02g(0.2351モル)をトルエン0.016g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.025g(24ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例2
周囲温度で、トリメトキシシラン28.91g(0.2342モル)をトルエン0.056g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.025g(24ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例3
周囲温度で、トリメトキシシラン28.91g(0.2342モル)をトルエン0.64g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.050g(47ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311
実施例5
周囲温度で、トリメトキシシラン28.67g(0.2323モル)をTherminol(登録商標)59
0.016g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.020g(19ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、78℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例6
周囲温度で、トリメトキシシラン150.34g(1.2203モル)をエチルベンゼン0.280g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(23ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル59.56g(0.7705モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を80〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例7
周囲温度で、トリメトキシシラン160.78g(1.3056モル)をn−ブチルベンゼン0.140g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(22ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル63.72g(0.8243モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を80〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例8
周囲温度で、トリメトキシシラン161.96g(1.3147モル)をアニソール0.110g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(22ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル64.17g(0.8301モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を80〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例9
周囲温度で、トリメトキシシラン165.22g(1.3413モル)をジフェニルメタン0.170g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(22ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル65.47g(0.8469モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を80〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例10
周囲温度で、トリメトキシシラン28.34g(0.2296モル)をビベンジル0.024g及び塩化ルテニウム(III)水和物のメタノール溶液としての3.85%Ru(wt/wt)0.020gで処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、78℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例11
周囲温度で、トリメトキシシラン165.22g(1.3416モル)をトリフェニルメタン0.250g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(22ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、78℃で塩化アリル65.48g(0.8470モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を80〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例12
周囲温度で、トリメトキシシラン28.61g(0.2318モル)をビベンジル0.024g及び塩化ルテニウム(III)水和物のメタノール溶液としての3.85%Ru(wt/wt)0.020gで処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、60℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を60〜63℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を60℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例13
周囲温度で、トリメトキシシラン161.16g(1.3082モル)をビベンジル0.190g及び塩化ルテニウム(III)水和物のメタノール溶液としての3.85%Ru(wt/wt)0.080g(22ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、70℃で塩化アリル63.85g(0.8260モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を70〜72℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を70℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例14
周囲温度で、トリメトキシシラン28.41g(0.2302モル)をビベンジル0.032g及び塩化ルテニウム(III)水和物のメタノール溶液としての3.85%Ru(wt/wt)0.020gで処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、78℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例15
周囲温度で、トリメトキシシラン163.03g(1.3248モル)をビベンジル0.25g及び塩化ルテニウム(III)水和物のメタノール溶液としての3.85%Ru(wt/wt)0.100gで処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、95℃で塩化アリル64.66g(0.8364モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を94〜96℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を95℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例16
周囲温度で、トリメトキシシラン28.32g(0.2294モル)を(p−シメン)塩化ルテニウム(II)二量体の2.23%Ru(wt/wt)ジクロロメタン溶液0.036gで処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、78℃で塩化アリル11.2g(0.1449モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例17
周囲温度で、トリメトキシシラン160.07g(1.3008モル)を、トルエン0.074g、塩化ルテニウム(III)水和物0.120g及びメタノール62gからなる触媒溶液(Ruに対してトルエン1.7モル当量)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル63.40g(0.8213モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を79〜82℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

触媒溶液
塩化ルテニウム(III)水和物をメタノール中に溶解し、この溶液を室温で表記量のジフェニルメタンで処理して2種の溶液を調製した。
Figure 0004584311

混合後、得られた溶液は直ちに使用することができた。
実施例18
周囲温度で、トリメトキシシラン163.93g(1.3330モル)を、上記のようにして調製した触媒溶液A 0.200g(21ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル64.89g(0.8394モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を79〜81℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例19
8時間(4回のターンオーバー)にわたり、1リットルガラス反応器にシリンジポンプを用いてトリメトキシシランを1.47g/minの速度で添加し、塩化アリルを0.78g/minの速度で添加し、調製した触媒溶液Bを0.167mL/hrの速度で添加した。滞留時間が2時間になるようにして、攪拌反応器内に一定のレベルを維持した。反応器は75℃に保った。触媒添加量は約20ppmRuであり、トリメトキシシランと塩化アリルとの比は約2.0:1.0に保った。反応器上には水コンデンサーを使用した。運転開始直後、反応器は約53%のクロロプロピルトリメトキシシラン、約41%のトリメトキシシラン及び約20ppmのRu(wt/wt)を含んでいた。反応器内の粗CPTMSは、反応器内での4回のターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づけば、下記の成分からなっていた。
Figure 0004584311

連続運転中、反応器内の材料は15段型Oldershaw塔の頂部から2番目の段に連続的に供給した。塔のリボイラー温度は167〜169℃に保った。軽質分は、新鮮なトリメトキシシランと共に、1.17g/minの速度で反応器に再循環させた。4回の反応器ターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づく軽質分の組成は、以下の通りであった。
Figure 0004584311

塔のリボイラーユニットからのストリップ材料をCPTMS貯留器に連続的に供給した。8時間(4回のターンオーバー)にわたり、得られた粗CPTMSを2.21g/minの速度で捕集したが、4回の反応器ターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づくその組成は、以下の通りであった。
Figure 0004584311

実施例20
周囲温度で、トリメトキシシラン28.48g(0.2307モル)をビベンジル0.034g及び塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.033g(30ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル13.30g(0.1454モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を70℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

比較例1
周囲温度で、トリメトキシシラン154.92g(1.2581モル)を塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.070g(23ppmRu)で処理して加温した。80℃で、このトリメトキシシラン溶液を塩化アリル61.40g(0.7943モル)で処理した。発熱反応が認められ、塩化アリルの添加中はトリメトキシシラン溶液を79〜81℃に保った。シリンジポンプを用いて塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、反応混合物を周囲温度に放冷し、次いで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

比較例2
周囲温度で、トリメトキシシラン156.57g(1.2723モル)を塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.080g(23ppmRu)で処理して加温した。80℃で、このトリメトキシシラン溶液を塩化アリル62.10g(0.8033モル)で処理した。発熱反応が認められ、塩化アリルの添加中はトリメトキシシラン溶液を79〜81℃に保った。シリンジポンプを用いて塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、反応混合物を周囲温度に放冷し、次いで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

比較例3
Aldrich Chemical社から購入した塩化アリルを使用した点を除き、比較例1と同様にして実施例3を実施した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

比較例4
Aldrich Chemical社から購入した塩化アリルを使用した点を除き、比較例1と同様にして実施例4を実施した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311
Figure 0004584311

すべての反応は、塩化アリルに対して60%モル過剰量のTMS及び20〜30ppmのRu(RuCl水和物のメタノール溶液)を用いて78〜83℃で実施した。その際、塩化アリルを1時間にわたり添加し、次いで78〜83℃に1時間保った。すべてのGCデータは、各成分のGC値を次の値(100.0−TMSのGC値)で割ることにより、過剰のTMSについて正規化した。すべてのGCデータは、SV Chrom社の実験室員によって求められた。
比較例5
この比較例は、米国特許第6015920号(Schilling Jr.及びBowman)中に報告された実施例1と同様にして実施した。8時間(4回のターンオーバー)にわたり、1リットルガラス反応器に新鮮なトリメトキシシラン1.45g/min、塩化アリル0.78g/min、及び塩化ルテニウム(III)の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.114mL/hrを添加した。滞留時間が2時間になるようにして、攪拌反応器内に一定のレベルを維持した。反応器は75℃に保った。触媒添加量は約20ppmRuであり、トリメトキシシランと塩化アリルとの比は約2.0:1.0に保った。反応器上には水コンデンサーを使用した。運転開始直後、反応器は約53%のクロロプロピルトリメトキシシラン、約41%のトリメトキシシラン及び約20ppmのRu(wt/wt)を含んでいた。反応器内の粗CPTMSは、反応器内での4回のターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づけば、下記の成分からなっていた。
Figure 0004584311

連続運転中、反応器内の材料は15段型Oldershaw塔の頂部から2番目の段に連続的に供給した。塔のリボイラー温度は167〜169℃に保った。軽質分は、新鮮なトリメトキシシランと共に、1.16g/minの速度で反応器に再循環させた。4回の反応器ターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づく軽質分の組成は、以下の通りであった。
Figure 0004584311

塔のリボイラーユニットからのストリップ材料をCPTMS貯留器に連続的に供給した。8時間(4回のターンオーバー)にわたり、粗CPTMSを2.21g/minの速度で捕集したが、4回の反応器ターンオーバーに関する平均GCデータとしてのwt%及び標準偏差に基づくその組成は、以下の通りであった。
Figure 0004584311

比較例6
周囲温度で、トリメトキシシラン28.73g(0.2328モル)を塩化ルテニウム(III)水和物の3.85%Ru(wt/wt)メタノール溶液0.033g(30ppmRu)で処理した。このトリメトキシシラン溶液を加温し、80℃で塩化アリル13.30g(0.1454モル)で処理した。トリメトキシシラン溶液を78〜83℃に保ちながら塩化アリルを1時間にわたり添加した。その添加完了後、反応を80℃で1時間続けた。しかる後、溶液をGCで分析した。この反応に関するGCデータは以下の通りであった。
Figure 0004584311

Claims (10)

  1. 次式のハロオルガノアルコキシシランの製造方法であって、
    (R(RO)3−xSiCHCHRCR
    (式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキルであり、Rは炭素原子数1〜6のアルキルであり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基又は水素であり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル、水素又はハロゲンであり、Rは水素又は炭素原子数1〜6のアルキルであり、Xはハロゲンであり、xは0、1又は2である。)
    触媒有効量のルテニウム含有触媒反応促進有効量の電子供与性芳香族化合物及び酸素を添加した反応媒質中で、下記の一般式のオレフィンハライドを
    C=CRCR
    (式中、R、R、R及びXは上述の意味を有する。)
    下記の一般式のアルコキシシランのモル過剰量と
    (R(RO)3−xSiH
    (式中、R、R及びxは上述の意味を有する。)
    反応させることを含んでなり、
    前記ルテニウム含有触媒は、Ru (CO) 12 、[Ru(CO) Cl 、シクロオクタジエン−RuCl 、RuCl 、(フェニル P) Ru(CO) Cl 、(フェニル P) Ru(CO)H 、Fe担持Ru、Al 担持Ru、炭素担持Ru、Ru(アセチルアセトネート) 、RuBr 、(π−アレーン)ルテニウム錯体、(p−シメン)塩化ルテニウム(II)二量体、(ベンゼン)塩化ルテニウム(II)二量体及びRuCl 水和物からなる群から選択される方法。
  2. 電子供与性芳香族化合物が、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、ジ−t−ブチルベンゼン、ビベンジル、トルエン、t−ブチルトルエン、アニソール、1−フェニルヘキサン、1−フェニルドデカン、m−キシレン、メシチレン、p−シメン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、フェニルエーテル、フェノチアジン及びビフェニルからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  3. 電子供与性芳香族化合物がルテニウム金属のモル数に対して1〜100モル当量の量で存在する、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 電子供与性芳香族化合物がルテニウム金属のモル数に対して2〜30モル当量の量で存在する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. オレフィンハライドが、塩化アリル、塩化メタリル、3−クロロ−1−ブテン、3,4−ジクロロ−1−ブテン及び2−クロロプロペンからなる群から選択され、アルコキシシランがトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、エチルジエトキシシラン及びジエチルエトキシシランからなる群から選択される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. アルコキシシランとオレフィンハライドとの累積モル比が1.3〜3.0の範囲内にある、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 反応が5℃〜130℃の温度で実施される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. ルテニウム含有触媒が、Ru(CO)12、[Ru(CO)Cl、シクロオクタジエン−RuCl、RuCl、(フェニル P)Ru(CO)Cl、(フェニル P)Ru(CO)H、Fe担持Ru、Al担持Ru、炭素担持Ru、Ru(アセチルアセトネート RuBr 及びRuCl 水和物からなる群から選択され
    触媒活性化は、希薄な酸素の添加によって達成される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 反応媒質中に存在するルテニウムの量が、オレフィンハライド及びアルコキシシランの総重量に対して5〜100ppmである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 下記の一般式のクロロアルキルメトキシシランの製造方法であって、
    (CH(CHO)3−xSiCHCHRCRCl
    (式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル又は水素であり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル、水素又は塩素であり、Rは水素又は炭素原子数1〜6のアルキルであり、xは0、1又は2である。)
    下記の一般式のオレフィンクロライドと
    C=CRCRCl
    (式中、R、R及びRは上述の意味を有する。)
    下記の一般式のメトキシシランのモル過剰量とを、
    (CH(CHO)3−xSiH
    (式中、xは上述の意味を有する。)
    オレフィンクロライド及びメトキシシランの総重量を基準にして5〜100ppmのルテニウムを含むルテニウム含有触媒、ルテニウム金属のモル数に対して1〜100モル当量の電子供与性芳香族化合物及び酸素を添加した反応媒質中で、
    メトキシシランとオレフィンクロライドとの累積モル比が1.3〜3.0となるようにして5〜130℃の温度で反応させることを含んでなり、
    前記ルテニウム含有触媒は、Ru (CO) 12 、[Ru(CO) Cl 、シクロオクタジエン−RuCl 、RuCl 、(フェニル P) Ru(CO) Cl 、(フェニル P) Ru(CO)H 、Fe担持Ru、Al 担持Ru、炭素担持Ru、Ru(アセチルアセトネート) 、RuBr 、(π−アレーン)ルテニウム錯体、(p−シメン)塩化ルテニウム(II)二量体、(ベンゼン)塩化ルテニウム(II)二量体及びRuCl 水和物からなる群から選択される方法。
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