JP4583589B2 - レンズメータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検レンズの屈折特性からアイポイントを求める様にしたレンズメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズメータには、累進多焦点レンズの累進部の加入度を二次元的(平面的)に画像表示する様にしたもの(特開平5−281090号公報参照)が考えられている。また、従来のレンズメータには、累進多焦点レンズの遠用部及び之に連続する累進部,近用部と歪み領域との境界線を求めて、求めた境界線を二次元的(平面的)に画像表示する様にしたものが考えられている(特願平8−259170参照)。
【0003】
このレンズメータでは、多数の小孔を配列した多孔絞板や多数のレンズを配列したレンズアレイ板を用いて、多数の点における屈折特性を同時に検出して、検出信号から多数の点における屈折特性を演算により求める様にしている。そして、求めた屈折特性値をマッピング表示して、遠用部,累進部,近用部,歪み領域等が区別可能な境界線を画像表示させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この様なレンズメータでは、累進多焦点レンズの遠用アイポイントや近用アイポイントの位置を正確に求めることができるのが望ましい。
【0005】
また、左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔や近用アイポイント間隔が眼鏡使用者の遠用瞳孔間距離(遠用PD)近用瞳孔間距離(近用PD)と一致しているか否かの判断をできるのが望ましい。
【0006】
そこで、この発明の第1の目的は、累進多焦点レンズのアイポイントの位置を正確に求めることができるレンズメータを提供することにある。
【0007】
また、この発明の第2の目的は、左右の眼鏡レンズのアイポイント間隔を求めることができるレンズメータを提供することにある。
【0008】
更に、この発明の第3の目的は、左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔や近用アイポイント間隔が眼鏡使用者の遠用瞳孔間距離(遠用PD)近用瞳孔間距離や(近用PD)と一致しているか否かの判断をできるレンズメータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この第1の目的を達成するため請求項1の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求めると共に、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0010】
また、第1の目的を達成するため請求項2の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0011】
更に、第1の目的を達成するため請求項3の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0012】
また、第2の目的を達成するため請求項4の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0013】
また、第2の目的を達成するため、請求項5の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0014】
更に、第2の目的を達成するため、請求項6の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めると共に、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求めるレンズメータとしたことを特徴とする。
【0015】
また、第3の目的を達成するため、請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか一つに記載のレンズメータにおいて、少なくとも前記左右の眼鏡レンズの累進部及びアイポイントを表示させる表示装置と、前記眼鏡フレームの装用者の瞳孔間距離を入力する距離入力手段を備え、前記演算制御手段は前記間隔測定手段で測定されたアイポイント間隔と前記距離入力手段で入力された瞳孔間距離とに基づいて眼の画像を前記累進部及びアイポイントに重ねて前記表示装置に表示させると共に、前記演算制御手段は前記眼の画像を前記遠用アイポイントから近用アイポイントに輻輳させたときの状態を前記表示装置上でシュミレーション可能に設定されているレンズメータとしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1において、1はレンズメータの本体、2は本体1の正面上部(前側上部)に設けられたCRT又は液晶ディスプレイ等の表示装置(表示手段)、2aは表示装置2の表示画面(表示部)である。
【0018】
本体1の正面には、上下方向中央部に位置して上光学部品収納部3が設けられ、上光学部品収納部3の下方に位置させて下光学部品収納部4が設けられている。この下光学部品収納部4の上壁4aには上方に突出するレンズ受5が設けられている。このレンズ受5は筒状で円錐台上に形成されている。Lは、レンズ受5上に当接させられた被検レンズの一つである。このレンズ受5の中心が測定光学系の測定光軸Oとなる。
【0019】
上光学部品収納部3内には、光源からの測定光束を被検レンズLに向けて投影する測定光束投影光学系が設けられている。また、下光学部品収納部4内には、被検レンズLを透過した測定光束を受光手段である図2のCCD(エリアセンサ即ち二次元受光センサ)6に案内する受光光学系(図示せず)が設けられている。これらの測定光束投影光学系や受光光学系は測定光学系を構成していて、この測定光学系には従来周知の構成が用いられているので、その詳細な説明は省略する。
【0020】
また、下光学部品収納部4の上壁4a上には、前面が左右及び上下(鉛直)に向けて延びる板状のレンズテーブル7が配設されている。このレンズテーブル7は、左右に細長く延びていて、図示しないガイド手段で本体1の正面に前後移動調整可能に保持されている。8は本体1の横側に前後回動可能に保持されたテーブル操作レバーで、このテーブル操作レバー8の前後回動によりレンズテーブル7が前後移動調整(調節)されるようになっている。
【0021】
このレンズテーブル7の前後移動量は、図2のセンサ(前後移動距離測定手段)9で検出される様になっている。このセンサ9には、ポテンショメータやリニアセンサ等を用いることができる。この場合、レンズテーブル7の前後移動量は、リニアセンサによりレンズテーブル7の前後動を直線的に検出することにより得ても良いし、テーブル操作レバー8の回転量をポテンショメータで検出して、その回転量から得るようにしてもよい。
【0022】
このレンズテーブル7の上縁部にはスライダ10が左右動自在に保持され、このスライダ10には鼻当支持部材11が上下回動可能に保持されている。この鼻当支持部材11、図示を略すスプリングで上方にバネ付勢されていると共に水平位置で上方への回動が規制されるようになっている。
【0023】
この鼻当支持部材11の左右移動量は、図2のセンサ(左右移動距離測定手段)12で検出される様になっている。このセンサ12には、ポテンショメータやリニアセンサ等を用いることができる。この場合、鼻当支持部材11の左右移動量は、リニアセンサやポテンショメータによりスライダ10の左右動を直線的に検出することにより得るようにしてもよいし,ロータリエンコーダで検出しても良い。
【0024】
上述したCCD6のセンサ9,12からの測定信号は、測定信号処理手段である演算制御回路(演算制御手段)13に入力される。また、この演算制御回路13には、画像処理回路(画像処理手段)14,フレームメモリ15,メモリ(記憶手段,記録手段)16,情報記録再生装置(情報記録再生手段)17が接続されている。
【0025】
この演算制御回路13は、測定光軸Oにおいて被検レンズLの屈折特性を測定したときに、移動距離測定手段9,12からの測定信号に基づいて、測定位置の座標を求め、この座標と測定した屈折特性とを関連づける(対応させる)様になっている。
【0026】
また、本体1の正面上部には表示装置2の下縁に沿って操作パネル1aが設けられている。この操作パネル1aには複数のボタンB1〜Bnが設けられていて、このボタンB1〜Bnの操作により屈折特性測定モードやPD(瞳孔間距離)入力モード等の切換及びPDの入力を行うことができる。
【0027】
次に、この様な構成のレンズメータの作用を説明する。
【0028】
電源スイッチ(図示せず)を投入して、レンズ受5の上に被検レンズLを当接させると、上光学部品収納部3内の図示しない光源から測定光束が測定光学系(図示せず)を介して被検レンズLに向けて投影される。一方、被検レンズLを透過した測定光束は、下光学部品収納部4内の受光光学系(図示せず)を介して受光手段である図2のCCD(受光センサ)6に案内される。そして、このCCD6からの測定信号は演算制御回路13に入力される。
【0029】
この演算制御回路13は、CCD6からの測定信号を基に測定光軸Oにおける被検レンズLの屈折特性値を求める。この屈折特性値には、球面度数S,円柱度数C,円柱軸角度A等がある。
<鼻当支持部材の左右移動操作に伴う表示>
ところで、図3において、メガネMには眼鏡レンズである被検レンズが装着されている。この被検レンズの屈折特性値を鼻当支持部材11を利用する場合には、図3に示した様に、メガネMの鼻当17を鼻当支持部材11に上方から当てている。この後、メガネ(眼鏡)Mの左右の眼鏡レンズMLL,MLRのうち測定したい側のもの、例えば左側の眼鏡レンズMLLである被検レンズLがレンズ受5の上方に位置するまで、スライダ10及び鼻当支持部材11を移動させる。この移動によりセンサ12は、左右への移動距離の測定信号を出力する。この移動距離の原点は、左右方向の中央(レンズ受5に対応する位置)又はレンズテーブル7の左端或いは右端のいずれを取ることもできる。
(メガネの眼鏡レンズの模式的画像の表示)
そして、演算制御回路13は、センサ12の測定信号からスライダ10がレンズ受5の左にあるか右にあるかを判断する。図3では、スライダ10がレンズ受5よりも左側にあるので、演算制御回路13は被検レンズLがメガネMの左側の眼鏡レンズであると判断して、図4に示したように表示装置2の表示画面2aに左側の被検レンズのL(正面側から見たときの画像)の模式的な画像20を表示させる。この際、画像20には、遠用部21,近用部22及び遠用部21から近用部までの累進部23と、歪み領域24,25とを区別する境界線26,27が模式的に表示される。しかも、これに加えて、遠用部21の遠用測定部(マーク)21′と近用測定部(マーク)22′が表示されると共に、表示画面2aの中心にレンズ受5の中心(測定光学系の光軸O)を示す十字マークTが表示される。
【0030】
そして、作業者は、この図4の表示に従って、操作レバー8を操作してレンズテーブル7を前後動させると共に、スライダー10を左右に移動させて、被検レンズLの遠用測定部21′に概ね対応する位置が十字マークTに合うように(レンズ受5の測定光軸(測定光学系の測定光軸)Oに位置するように)移動させる。
【0031】
この移動に伴い演算制御回路13は、図4の表示画面における遠用測定部21′の屈折特性値を測定すると共に、センサ9,12の測定信号(移動量検出信号)から、画面表示における遠用測定部21′のX−Y平面(水平面)における座標S1を求めて、この遠用測定部21′の座標S1を遠用測定部21′の屈折特性と対応させてメモリ16に記憶させる。
【0032】
尚、この測定に際して、被検レンズLが単焦点レンズであるか累進多焦点レンズであるかの判断を演算制御回路13が行うまでは、被検レンズLが単焦点レンズであるか累進多焦点レンズであるかが分からない。しかし、演算制御回路13による判断が行われるまでの間も説明の便宜上、累進多焦点レンズである場合を想定して遠用測定部21′や近用測定部22′の用語を用いて説明している。この点は、以下も同じである。
<レンズテーブル及び鼻当支持部材によるレンズの前後・左右移動操作>
この後、作業者は、図4の表示画面2aにおいて、遠用測定部21′における十字マーク(光軸Oと一致)Tが近用測定部22′まで移動するように、操作レバー8を前後に回動操作してレンズテーブル7を前後動させると共に、スライダー10を左右に移動させて被検レンズLを前後左右に移動させる。
【0033】
この移動に伴い、演算制御回路13は、図4の表示画面2a上での遠用測定部21′から近用測定部22′に至るまでの屈折特性値、即ち球面度数S,円柱度数C,円柱軸角度A等を所定時間毎(数十分の1秒毎)又は所定距離(所定間隔)毎に測定して、各測定値をメモリ16に記憶させる。この際、演算制御回路13は、センサ9,12の測定信号(移動量検出信号)から測定部のX−Y平面(水平面)における座標Si[i=1,2,3,・・・n]を求めて、この測定部の座標Siを測定部の屈折特性と対応させてメモリ16に記憶させる。
(単焦点レンズの屈折特性の表示)
そして、演算制御回路13は、図4の表示画面2a上での遠用測定部21′の球面度数と近用測定部22′の球面度数の差を求める。この際、演算制御回路13は、求めた差が所定値以上、例えば0.5D(0.5ディオプター)より小さいと判断した場合、被検レンズLが単焦点レンズであるとして、屈折特性値である球面度数S,円柱度数C,円柱軸角度A等を表示装置2の表示画面2aに表示させる。
(累進多焦点レンズの屈折特性測定モード)
また、演算制御回路13は、求めた差が所定値以上、例えば0.5D(0.5ディオプター)以上であると判断した場合、被検レンズLが累進多少点焦点レンズであるとして、図5に示したような被検レンズLの各座標における屈折特性値を求めて表示させるモードに切り替えて、加入度数ADD,球面度数S,円柱度数C,円柱軸角度A等を表示装置2の表示画面2aの例えば右上に表示する。
【0034】
そして、演算制御回路13は、図4の遠用測定部21′を示すマークM1を図5の如く座標S1に対応させて表示させる。
【0035】
しかも、演算制御回路13は、遠用測定部21′から近用測定部22′までの各測定部Siにおける円柱度数の差を求めて、求めた円柱度数の差を座標Siに関連(対応)させてメモリ16に記憶させると共に、図5に示したように棒状(又は円柱)のバーBi[i=1,2,3,・・・n]の高さ量に変換して、座標Si-1におけるバーBi-1を測定終了マーク及び円柱屈折特性値として表示させる。そして、次の測定位置を示す部分に十字マークTをバーBi-1の隣に表示させる。
【0036】
この様な表示は、演算制御回路13が画像処理回路15を介してフレームメモリ14にマークM1の画像データとバーBi-1の画像データを構築することによって行われる。
【0037】
この後、作業者は、図5の表示画面2aの表示を見ながら、画面2aに表示されたマークM1やバーBi-1以外の部分を測定するように、即ち十字マーク(座標Siの測定位置)TがマークM1やバーBi-1以外の部分に移動するように、例えば図6の矢印30,図7の矢印31,図8の矢印32で示した方向に十字マークTが移動するようにする。この十字マークTの移動は、操作レバー8を操作してレンズテーブル7を前後動させると共に、スライダー10を左右に移動させて、メガネMの被検レンズLをレンズ受5及び測定光軸Oに対して前後左右に移動させることで達成できる。
【0038】
この移動に伴い、演算制御回路13は、所定時間(所定間隔)毎、例えば数分の1秒毎又は数十分の1秒毎、或いは所定距離(所定間隔)毎、例えば数分の1mm又は数十分の1mm毎に、移動位置の座標Si[i=1,2,3,・・・n]と屈折特性を順次測定して、座標Siにおける屈折特性のうちの円柱度数CXと遠用測定部21′の円柱度数C0の差を順次求める。
【0039】
そして、演算制御回路13は、求めた差を座標Siに対応してメモリ16に記憶させると共に、図6〜図9に示したように棒状(又は円柱)のバーBiの高さ量に変換して、バーBi-1[i=1,2,3,・・・n]を測定毎に画面2aの画像20に順次追加的に重ねて表示させる。
【0040】
従って、作業者は、画面2aを見ることで、バーBi-1が表示されていない部分の屈折特性がいまだ測定されていない部分であると判断できるので、測定されていない部分が測定光軸Oまで移動するように被検レンズLを移動させることができる。
【0041】
また、この様なバーBiを求めてバーBi-1を表示させる作業を行うことで、遠用部21,近用部22,累進部23と歪み領域24,25とを区別する境界線26,27を図7,図8,図9の様にして順次求めて画像表示することができる。この境界線26,27は、例えば、座標Siにおける屈折特性のうちの円柱度数CXと遠用測定部21′の円柱度数C0の差が0.25D以上となる部分を求めて線を引くことで求められる。尚、境界線26,27の部分はその両側の色を異ならせることで明示するようにすることもできる。
【0042】
尚、この測定に際して、十字マークTに代えてバー表示Biの表示を行い、表示されたバーBiの色を他のバーBi-1までの色と異ならせて、測定位置のバー表示を行わせることもできる。
【0043】
また、本実施例では、被検レンズLをレンズ受5の光軸Oに対して前後左右に移動させたときに、表示画面2aに画像表示したバーBi-1は移動させず、十字マークTをレンズテーブル7の前後動及びスライダー10の左右動に連動させて移動させる様にしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。即ち、十字マークTを表示画面2aの中心に固定表示させる一方、レンズテーブル7を前後動させると共にスライダー10の左右動させたときに、レンズテーブル7及びスライダー10と一体に移動する被検レンズLの移動に応じて表示画面2aに表示されたバーBi-1が被検レンズLと同じ方向に移動するように、レンズテーブル7の前後動及びスライダー10の左右動に連動させて、表示画面2aに画像表示したバーBi-1を移動させる様にしてもよい。
【0044】
この様に、レンズ受5を用いて座標Siにおける被検レンズLの屈折特性値を測定するので、被検レンズLは移動位置に拘わらずレンズ受5側の面がレンズ受5の上縁全周に渡って良好に当接することになる。この結果、被検レンズLのレンズ受5に対する移動に拘わらず、被検レンズLのレンズ受5側の面の測定光軸O上における高さが常に一定となるので、各座標Siにおける屈折特性を測定しても、その測定精度が高い状態で屈折特性を測定できる。従って、この測定により得られるバーBi-1によるマッピング表示の精度も向上する。
【0045】
この様なマッピング表示を測定するレンズメータとしては、多数の小レンズを縦横に配列したレンズアレイを用いて、被検レンズの多数の点の屈折特性を同時に測定する様にしたものもある。しかし、被検レンズの両屈折面はカーブしていることに加えて、レンズアレイを用いたものでは平行光束を用いて被検レンズ各部の屈折特性を同時に測定するものであるため、被検レンズの周縁に向かうに従って平行光束は被検レンズの屈折面に斜めに入射することになる。この結果、この様なレンズアレイを用いたレンズメータでは、被検レンズの周縁に向かうに従って屈折特性の測定精度が低下することになる。
【0046】
この点、上述した実施例の様に測定してバー表示させることで、被検レンズの中央から周縁までいずれの位置で測定しても、その測定精度は低下しない。しかも、上述した実施例の様に測定してバー表示させることで、レンズアレイを用いたものに比べて屈折測定の測定精度が被検レンズの周縁部に向かうに従って遙かに向上する。
【0047】
また、バーBiの色を所定球面度数毎に異ならせて表示する事で、球面度数の表示を同時に行うことができる。例えば、バーBiの色を球面度数が0.25D(0.25ディオプター)変化する毎に異ならせて表示する事で、円柱度数と球面度数を同時に表示させることもできる。この場合、バーBiに表示させる表示色を左側のCiで示した位置にディオプターに対応させて表示させて、どの色のバーがどの度数になっているかを把握できる様にする。
【0048】
更に、以上説明した実施例では、円柱度数による三次元のバー表示にマッピングをさせる様にした例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、球面度数又は加入度数による三次元のバー表示によるマッピングを行い、このマッピングのバーの球面度数が0.25D変化する毎にバーの色を異ならせるようにしても良い。この場合、図10に示したように、遠用部から近用部までの加入度数を示すバーK1〜Kiを直線的に配列表示させるようにしても良い。尚、図10において二点鎖線40で示した部分は、実際には表示画面2aに表示されないが、累進部23や近用部22等を示す便宜上図示したものである。
【0049】
この様な、円柱度数と球面度数との同時表示により、累進部や近用部における円柱度数と球面度数を正確に把握して、被加工レンズLの品質の確認を正確に行うことができる。
<測定後の任意位置の屈折特性表示>
また、以上説明したように各座標Siにおける屈折特性の測定精度が低下しないので、上述した三次元のマッピング精度が高く、且つ、各座標Siにおける屈折特性も被検レンズLの中心に近いか周縁に近いかに拘わらず同じ精度で測定できる。この結果、上述した様な測定によって図9に示したような屈折特性値のマッピングの画像が最終的に得られた後において、十字マークT或いはカーソル等の指示手段を表示画面2aのマッピング表示画像の上で移動させる位置移動手段や、カーソルキー(位置移動手段)を本体1に設けるか、又はマウス(位置移動手段)を本体1に接続して使用可能に設けるかして、カーソルキーやマウス等の位置移動手段により十字マークT或いはカーソル等の指示手段を表示画面2a上で移動させることにより、指示手段が指示する位置の屈折特性(ADD,S,C,A)をメモリ16から読み出して正確に表示させるようにしてもよい。この情報は、情報記録再生装置17に記録しておいて、情報記録再生装置17から読み出すようにしても良い。
【0050】
この様にすることで、バーBiによるマッピング表示後に、各座標の測定結果を知りたい場合でも、必要な場所の屈折特性を簡易且つ迅速に知ることができる。
【0051】
尚、以上説明した実施例では、累進多焦点レンズの屈折特性(屈折特性値)をバーBi-1で棒グラフ状に三次元的に表示させるようにした例を示したが、図11〜図14に示したように累進多焦点レンズの屈折特性(屈折特性値)をワイヤーフレームWFで三次元的に表示させるようにしても良い。この場合も、作用は上述したバー表示による実施例と同じであるので、図5〜図9と同じ部分又は類似する部分には図5〜図9と同じ部符号を付して、その説明は省略する。この場合、バーBiは角柱状に表示され、バーBiの上面は隣接するバーの上面に連続するように演算制御回路13により画像処理される。
<測定後の遠用部,累進部,近用部の屈折特性表示>
また、演算制御回路(処理手段)13は、屈折特性値(円柱度数や加入度数)のデータをメモリ16から読み出して、図15に示したようにワイヤーフレームWFで示したバーBiによる円柱度数のマッピング表示を行うと共に、このマッピング表示に遠用部から近用部までの加入度数を示すバーK1〜Kiを重ねて表示させる。しかも、演算制御回路13は、歪み領域24,25と、歪み領域24,25以外の部分との境界を示す境界線26,27を重ねて表示させる。この境界線26,27は、上述したようにして求める。
【0052】
一方、演算制御回路13は、この表示に用いた屈折特性値である球面度数,円柱度数と加入度数等のデータから遠用部(遠用部21に対応)50,累進部(累進部23に対応)51,近用部(近用部22に対応)52を求める。この遠用部50は遠用範囲51aと遠用アイポイントEP1を有し、近用部52は近用範囲52aと近用アイポイントEP2を有する。
【0053】
しかも、演算制御回路13は、歪み領域24,25以外の座標の球面度数(又は加入度数)が最も小さい範囲で且つ変化が殆どない範囲を求めて遠用範囲50aとし、歪み領域24,25以外の座標間の加入度数の変化が所定値以上の部分を求めて累進部51とし、歪み領域24,25以外の座標の加入度数が大きい範囲で且つ変化が殆どない部分を求めて近用範囲52aとする。
【0054】
また、演算制御回路13は、求めた遠用部50の遠用範囲50a,累進部51の範囲51b及び近用部52の近用範囲52bを示す境界線50b、51b、52bをマッピング表示の画像上に重ねて表示させることで、遠用部50,累進部51,近用部52を区別可能に表示させる。
【0055】
この様にすることで、累進部や近用部等の屈折特性値を正確に求めることができる。しかも、マッピング表示から累進部や近用部の特定の範囲を自動的に正確に指定して、指定範囲の正確な屈折特性値を自動的に求めることができると共に、この屈折特性値を求める作業にかかる時間を短縮できる。
<アイポイントの特定>
更に、演算制御回路13は、図16に示したように、累進部(類進帯)51の幅方向の中心を通る累進線(通常は約10°に設定されている)53を求めると共に、遠用部50の左右方向のプリズム量が「0」になる点を通る垂直線(上下線、すなわち装用したときの上下方向の線)hを求めて、この累進線53と垂直線hの交点pを求める。この交点Pの部分は、累進部51に限りなく近く加入度数が生じる可能性がある。従って、演算制御回路13は、この交点Pより所定距離bだけ上方の位置の加入度数の変化ない点を含む所定の範囲を遠用アイポイントEP1として、遠用アイポイントEP1の座標を交点Pの座標と所定距離bから求める。この所定距離(設定距離)bは、僅かな値で予め設定された定数である。
【0056】
また、演算制御回路13は、累進線53上で且つ近用部の加入度数の変化が略ない範囲の略中心を近用アイポイントEP2としてその座標を求める。
【0057】
この様にして演算制御回路13は、アイポイントEP1,EP2の座標を自動的に正確に精度高く求めて、求めたアイポイントEP1,EP2の座標を表示装置2の表示画面2aに表示させると共に、メモリ16に記憶させる。
【0058】
また、上述した円柱度数CXと遠用測定部21′の円柱度数C0の差がCX=C0か、或いはこの差が略同じ(所定範囲内)ときであって、累進部51,近用部52側における境界線26,27間の幅が所定値以上で、且つこの所定値以上の幅が連続していて、この連続する部分の面積SXが所定面積S0以上となったとき(SX−S0=0又はSX−S0>0)の近用部52の加入度数の値の部分の座標を近用アイポイントEP2としてメモリ16にオートメモリさせる。同様にして、遠用部50のアイポイントEP1の座標を求めることができる。この様なアイポイントの座標を求める方法は、演算制御回路13によって行われる。しかも、この方法は、レンズが小玉付の二重焦点レンズの場合にも適用できる。
【0059】
更に、演算制御回路13により累進線53の傾斜角度や座標及び累進部51の幅や長さ等を求めさせて、レンズのタイプを演算制御回路13により求めるようにすることができる。この場合、レンズのタイプとしては、例えば近用明視域が広い読書用のタイプ、すっきりした遠用視野を持つアウトドアタイプ、近用を重視した室内専用タイプ等その他のタイプ等をあげることができる。
【0060】
尚、この様な遠用部,累進部,近用部の屈折特性表示の処理は、多孔絞り板やレンズアレイを用いて求めた屈折特性値のマッピング表示の画像や屈折特性値の測定データを用いてもできるが、上述した実施例の様にして被検レンズを移動させながら求めた屈折特性値を用いることで、その精度を遙かに向上させることができる。
【0061】
更に、上述した屈折特性のバー表示は、球面度数Sが−のときと+のときでは延びる方向を反対にしても良いし、球面度数Sが−のときと+のときでも絶対値表示として同じ方向に延びるように画像表示することもできる。
<レンズアイポイント間隔の適正判断>
(i)メガネMの左右の眼鏡レンズMLL,MLRの屈折特性表示
上述したようなアイポイントEP1,EP2の座標は、図3に示したメガネ(眼鏡)Mの左右の眼鏡レンズMLL,MLRについてそれぞれ求める。例えば図3に示したように、メガネMの左側の眼鏡レンズMLLをレンズ受5上に配設して、メガネMの左側の眼鏡レンズMLLのアイポイントEP1,EP2の座標をまず求める。次に、メガネMの鼻当17を鼻当支持部材11に指示させた状態で、メガネMを図3中左方に移動させてメガネMの右の眼鏡レンズMLRをレンズ受5上に移動させて、メガネMの右側の眼鏡レンズMLRのアイポイントEP1,EP2の座標を求める。この移動に際して、鼻当支持部材11も左方にレンズテーブル7上を移動させられ、この鼻当支持部材11の移動量は図2のセンサ12で検出される。このセンサ12からの検出信号は演算制御回路13に入力される。
【0062】
この様にして演算制御回路13は、メガネMの左右の眼鏡レンズMLL,MLRのアイポイントEP1,EP2の座標を求めると、次に左の眼鏡レンズMLLの遠用アイポイントEP1の座標と右の眼鏡レンズMLRの遠用アイポイントEP1の座標から左右の眼鏡レンズMLL,MLRの遠用アイポイントEP1,EP1の間隔を遠用アイポイント間隔(遠用アイポイント距離)EPD1として求めると共に、左の眼鏡レンズMLLの近用アイポイントEP2の座標と右の眼鏡レンズMLRの近用アイポイントEP2の座標から左右の眼鏡レンズMLL,MLRの近用アイポイントEP2,EP2の間隔を近用アイポイント間隔(近用アイポイント距離)EPD2として求める。
【0063】
そして、演算制御回路13は、この求めた左右の眼鏡レンズMLL,MLRのアイポイントEP1,EP2や遠用部50,累進部51,近用部52、境界線26,27、累進線53と垂直線h等を図16(a)に示したように表示画面2aに表示させる。尚、図16(b)は、図16(a)のデータにメガネフレームMFを合成して表示させた例を示したものである。
(ii)眼鏡レンズMLL,MLRの使用適正シュミレーション
一方、メガネMの使用者の遠用PD(遠用瞳孔間距離)をPDメータやその他の測定手段により測定して、測定したPDを操作パネル1aのボタンB1〜Bnを操作してレンズメータの演算制御回路13に入力する。また、近用PDがある場合には、このデータも演算制御回路13に入力する。これらの入力は、眼鏡レンズMLL,MLRの屈折特性の測定前でも後でも良い。
【0064】
そして、演算制御回路13は、この入力されたPDから左右眼の光軸EOL,EOR及び眼の模式的な輪郭像を(i)の表示画像に重ねて表示させる。従って、メガネMの遠用アイポイント間隔EPD1がメガネMの使用者の遠用PD(瞳孔間距離)であるFPDと一致していれば、遠用アイポイント間隔EPD1とメガネMの使用者の遠用PDであるFPDとが図17の如く一致していることになる。しかし、ずれていれば例えば図18の様にずれた状態が表示される。
【0065】
また、使用者の近用PDの入力がある場合には、遠用PDと同様に(i)の表示画像に重ねて表示させる。この場合も、メガネMの遠用アイポイント間隔EPD2がメガネMの使用者の近用PD(瞳孔間距離)であるNPDと一致していれば、近用アイポイント間隔EPD2とメガネMの使用者の近用PDとが図17の如く一致していることになる。しかし、ずれていれば例えば図18の様にずれた状態が表示される。
【0066】
更に、近用PDの入力がない場合には、遠用PDから輻輳させたときの標準的な値を基に、左右眼の光軸EOL,EOR及び眼の模式的な輪郭像を表示画面2a上で近用側に輻輳するように移動させて、左右眼の光軸EOL,EOR及び眼の模式的な輪郭像が推進部51,51から外れるか否かをシュミレーションして、実際に使用しているメガネMが処方値に基づいて適正に作られているか否かを判断することができる。この様なシュミレーションは、遠用PD及び近用PDが分かっている場合でも実行することができる。
(変形例)
また、左右眼の前眼部ER,ELの位置は、遠用視状態と近用視状態で位置が変わることがないので、遠用視したときと近用視したときでも、図17,図18に示したように前眼部ER,ELの位置は上方と下方に変位することはない。
【0067】
しかし、近用視状態にあるときには、眼ER,ELの光軸EOR,EOLが図19に示したように下方に傾斜する。従って、この傾斜する眼ER,ELの光軸EOR,EOLと眼鏡レンズLが交差した位置に眼ER,EL(前眼部)が投影されているとすることにより、近用視状態の眼ER,ELを図17,図18のごとく図示できる。この様にして、図17,図18では遠用視状態と近用視状態の眼ER,ELを上下に移動した状態で図示しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0068】
例えば、図20に示したように、近用視した状態の光軸光軸EOR,EOLに沿う瞳孔の向きを円柱状の瞳孔柱Eaにして表示させることにより、近用視状態のシュミレーションを行うようにしても良い。また、図21に示したように、近用視状態の眼ER,ELの光軸EOR,EOLのみを破線で示したように表示させても良い。
(その他)
以上説明した実施例では、演算制御回路13が図4の表示画面2a上での遠用測定部21′の球面度数と近用測定部22′の球面度数の差を求めて、求めた差が所定値以上、例えば0.5D(0.5ディオプター)より小さいと判断した場合、被検レンズLが単焦点レンズであると判断し、求めた差が所定値以上、例えば0.5D(0.5ディオプター)以上であると判断した場合、被検レンズLが累進多少点焦点レンズであると判断して、屈折特性を求めるようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。この判断は作業者が行って、測定モードを作業者が切り換えて上述したような種々の測定や種々の表示を演算制御回路行わせるようにしても良い。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求めると共に、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求める様に構成したので、累進多焦点レンズの遠用アイポイント位置を正確に求めることができる。
【0070】
また、請求項2の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求める様に構成したので、累進多焦点レンズの近用アイポイントの位置を正確に求めることができる。
【0071】
更に、請求項3の発明は、照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求める様に構成したので、累進多焦点レンズの遠用アイポイントや近用アイポイントの位置を正確に求めることができる。
【0072】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求める構成としたので、左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めることができる。
【0073】
また、請求項5の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求める構成としたので、左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求めることができる。
【0074】
更に、請求項6の発明は、請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めると共に、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求める構成としたので、左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔や近用アイポイント間隔を求めることができる。
【0075】
また、請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか一つに記載のレンズメータにおいて、少なくとも前記左右の眼鏡レンズの累進部及びアイポイントを表示させる表示装置と、前記眼鏡フレームの装用者の瞳孔間距離を入力する距離入力手段を備え、前記演算制御手段は前記間隔測定手段で測定されたアイポイント間隔と前記距離入力手段で入力された瞳孔間距離とに基づいて眼の画像を前記累進部及びアイポイントに重ねて前記表示装置に表示させると共に、前記演算制御手段は前記眼の画像を前記遠用アイポイントから近用アイポイントに輻輳させたときの状態を前記表示装置上でシュミレーション可能に設定されている構成としたので、左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔や近用アイポイント間隔が眼鏡使用者の遠用瞳孔間距離(遠用PD)や近用瞳孔間距離(近用PD)と一致しているか否かの判断をできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るレンズメータの概略斜視図である。
【図2】図1のレンズメータの制御回路ずである。
【図3】図1のレンズメータの使用状態を示す要部拡大ずである。
【図4】図1のレンズメータの測定開始前の画面表示例を示す説明図である。
【図5】図1〜図3のレンズメータによる屈折特性測定時の表示画面の表示例を示す説明図である。
【図6】図5の表示画面の変化を示す説明図である。
【図7】図6の表示画面の変化を示す説明図である。
【図8】図7の表示画面の変化を示す説明図である。
【図9】図8の表示画面の変化を示す説明図である。
【図10】図1〜図3のレンズメータによる屈折特性測定時の表示画面の他の表示例を示す説明図である。
【図11】図1〜図3のレンズメータによる屈折特性測定時の表示画面の更に他の表示例を示す説明図である。
【図12】図11の表示画面の変化を示す説明図である。
【図13】図12の表示画面の変化を示す説明図である。
【図14】図13の表示画面の変化を示す説明図である。
【図15】図14の表示画面に加入度数を重ねて表示させると共に、遠用部,累進部,近用部を求めて表示させた説明図である。
【図16】(a)はメガネの遠用アイポイント間隔及び近用アイポイント間隔の表示を示し、(b)は(a)の画像にメガネフレームの画像を合成した例を示す説明図である。
【図17】図16のアイポイント間隔と瞳孔間距離との合成画像のシュミレーションの説明図である。
【図18】図16のアイポイント間隔と瞳孔間距離との合成画像のシュミレーションの説明図である。
【図19】左右眼の遠用視時と近用視時の光軸の向きを示す説明図である。
【図20】図9の近用視時の瞳孔の向きを瞳孔柱で示した説明図である。
【図21】図16のアイポイント間隔と瞳孔間距離との合成画像のシュミレーションの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
6・・・CCD(受光センサ,受光手段)
13・・・演算制御回路(演算処理手段、演算制御手段)
L・・・被検レンズ(MLL,MLR
50・・・遠用部
51・・・累進部
52・・・近用部
53・・・累進線
i・・・バー(測定終了マーク)
EP1・・・遠用アイポイント
h・・・上下線
O・・・測定光軸
i・・・座標

Claims (7)

  1. 照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、
    前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求めると共に、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求めることを特徴とするレンズメータ。
  2. 照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、
    前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求めることを特徴とするレンズメータ。
  3. 照明光学系からの測定光束を被検レンズに投影して、前記被検レンズを透過する前記測定光束を受光光学系の受光手段で受光すると共に、前記受光手段からの測定信号を基に前記被検レンズの多数の点における座標及び屈折力特性を求める演算制御手段を備えるレンズメータにおいて、
    前記演算制御手段は、前記被検レンズが累進多焦点レンズの場合、前記被検レンズの遠用部,累進部,近用部を円柱度数の変化から求め、前記遠用部の左右方向のプリズム値が「0」となる座標及び前記座標における上下線を求め、帯状に傾斜する前記累進部の幅方向中心を通る累進線を求めて、前記上下線と累進線の交点の座標より所定距離上方の位置を遠用アイポイントとして求めると共に、前記近用部の加入度数が略同じ範囲の中央部であって前記累進線上の位置の座標を近用アイポイントとして求めることを特徴とするレンズメータ。
  4. 請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めることを特徴とするレンズメータ。
  5. 請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求めることを特徴とするレンズメータ。
  6. 請求項3に記載のレンズメータにおいて、前記被検レンズは眼鏡の左右のレンズ枠にそれぞれ枠入れされた眼鏡レンズであり、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの遠用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの遠用アイポイント間隔を求めると共に、前記演算制御手段は左右の眼鏡レンズの近用アイポイントの座標から左右の眼鏡レンズの近用アイポイント間隔を求めることを特徴とするレンズメータ。
  7. 請求項4〜6のいずれか一つに記載のレンズメータにおいて、少なくとも前記左右の眼鏡レンズの累進部及びアイポイントを表示させる表示装置と、前記眼鏡フレームの装用者の瞳孔間距離を入力する距離入力手段を備え、前記演算制御手段は前記間隔測定手段で測定されたアイポイント間隔と前記距離入力手段で入力された瞳孔間距離とに基づいて眼の画像を前記累進部及びアイポイントに重ねて前記表示装置に表示させると共に、前記演算制御手段は前記眼の画像を前記遠用アイポイントから近用アイポイントに輻輳させたときの状態を前記表示装置上でシュミレーション可能に設定されていることを特徴とするレンズメータ。
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