JP4583399B2 - ふんわりとした卵塊の調製方法。 - Google Patents

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Description

本発明は、溶き卵を用いて熱水上面部に形成される芙蓉蟹(フーヨーハイ)様のふんわりとした卵塊を調製する方法に関するものである。
芙蓉蟹様のふんわりとした卵塊は種々の料理に使用されている。例えば、天津麺のように麺類の上に載せて用いたり、天津飯のようにご飯の上に載せて用いたり、あるいは、そのまま喫食するための卵料理などとして用いられている。
従来、麺類やご飯の上に卵塊が載った料理を作る場合には、予めフライパンなどを用いて加熱して成形した卵を、別の鍋で茹でた麺や、別に炊飯したご飯の上に載せるという方法が一般的であった。
このように種々の料理に使用できる芙蓉蟹の調理方法は多くの文献に記載されているが(例えば、非特許文献1〜3)、これらはいずれもフライパンで調理するものである。
高木順子著、「なんでも卵料理」、文化出版局、昭和60年3月、p.19 「素材で料理シリーズ8 卵料理61種」、株式会社学習研究社、1991年5月、p.26 服部栄養専門学校監修、「熱烈的中華レシピ」、株式会社フジテレビ出版、2003年3月、p.27−29
しかし、従来のフライパンで加熱して成形するという方法は、フライパンやターナー等の調理器具を準備する必要がある。とくに麺類の場合は、麺を調理する鍋の他に、卵塊を成形するためにこれら調理器具を準備する必要があるが、熱水等の液上面において卵塊を形成することができれば、鍋一つで調理することができ便利である。そこで、本発明者らは、簡便に熱水等の液上面に芙蓉蟹様のふんわりとした卵塊を形成させる調製方法を開発することを目的とした。
上記課題に対して本発明者らは熱水上面部に卵塊を形成させる方法に注目し研究を重ねた。研究の当初においては、熱水に溶き卵を注加する時の注加方法について種々の実験を行った。しかし、本方法の場合、熱水上面部に溶き卵を注ぐと、場合によっては熱水上面部に溶き卵が分散してしまい鍋底に卵が付着してしまう場合があるとともに、芙蓉蟹様のふんわりとした卵塊をうまく形成できなかった。
そこで、さらに研究を重ねた結果、溶き卵に予め膨張剤を含有させておくと、膨張剤から発生したガスにより、熱水上面部に溶き卵が浮上し、鍋底に付着することなく、鍋の熱水上面部にふんわりとした一塊の卵塊を形成できることを見出した。
次に、ふんわりとした卵塊を形成しやすい条件について検討した。そして、熱水に注加した溶き卵の温度は、直ちには上昇せず、室温程度であり、この室温程度の低温におけるガス発生量が熱水上における卵塊の形成に大きく影響していることを見出した。本発明者らは特に、30℃について調査した結果、鶏卵一個に含有させる膨張剤から発生するガス量が、30℃の水中で13ml以上であれば、よりふんわりとした卵塊が形成され好ましいことが判った。
すなわち、本願第の発明は、
ガス発生能が本発明において特定する発生ガス測定法により30℃で測定した場合に、13ml以上である膨張剤を含有する溶き卵を熱水に注加して加熱または保持することにより、卵塊を熱水上面部に形成させる卵塊の調製方法、
である。
また、特に、麺類、スープや雑炊を調理する場合においては、通常、鍋等の調理器具で麺類や米等を熱湯中で加熱調理し、濃縮されたスープ等を加えてから喫食するのが一般的である。このような場合において、麺類、スープや雑炊の調理中または後に、同じ鍋等で卵塊を形成させることができれば、一つの鍋等で麺、スープや雑炊の調理と卵塊を形成させることができ便利である。
すなわち、本願第の発明は、
前記熱水が、調理器具で調理中の茹で汁又はスープである請求項1に記載の卵塊の調製方法、
である。
また、特に、即席麺、茹で麺、蒸し麺、生麺のような麺類を調理する場合においては、その加熱調理中または後に、そのまま膨張剤を含む溶き卵を注加し、加熱または保持することで、ふんわりとした芙蓉蟹様の卵塊をスープ液上面に形成させることができる。このように簡単にふんわりとした卵塊をスープ上に有する天津麺又は、卵とじ麺様の麺類を調理することができる。
すなわち、本願第の発明は、
麺類を熱水又はスープ中で加熱調理中又は後、ガス発生能が本発明において特定する発生ガス測定法により30℃で測定した場合に、13ml以上である膨張剤を含有する溶き卵を添加し、さらに加熱または保持することによる麺類の調理方法、
である。
以上
本発明を利用することにより、従来フライパンなどで作られていた芙蓉蟹の様なふんわりとした卵塊を鍋等に入れた熱水上で簡単に作製することができる。
特に、即席麺、茹で麺、蒸し麺や生麺などの麺類を鍋で調理する過程において、調理中または後で、溶き卵を茹で汁又はスープに注加し、スープ上面にふんわりとした卵塊を形成させることができ、一個の鍋で、簡単に天津麺様の麺類を作ることができる。
以下に本発明を、順を追って説明する。
─卵─
本発明は卵を必須とする。本発明において、卵とは、鶏卵、家鴨卵、鶉卵、ダチョウ卵等の卵をいずれも含む。また、溶き卵とは、割卵して容器等に入れた後に、箸等で攪拌した後のものをいうが、溶き卵には、割卵した液全卵、卵黄のみの液卵黄、卵白のみの液卵白、卵黄液と卵白液を任意の割合で組み合わせた液卵のいずれも含む。また、これらの液卵には、乾燥して水戻ししたもの、冷凍解凍したもの、加塩又は加糖したものがいずれも含まれる。溶き卵の攪拌の回数や程度は特に限定されないが、例えば、全卵を箸で黄身を潰し数回攪拌し、黄身と白みが混じる程度で十分である。
─膨張剤─
本発明においては膨張剤を利用する。膨張剤とは、1種又は、2種類以上の成分による化学変化によって発生する炭酸ガス、もしくはアンモニアガスの力で、生地を膨張させ、多孔性にする食品添加物およびその製剤をいう。
使用できる膨張剤としては、一剤式(炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性剤を主成分とし、これに酸性剤を混合配合した膨張剤)、二剤式(一剤式の膨張剤をアルカリ性剤と酸性剤の二包式に分けたもの。使用に際し、両者を適宜混合して用いる)又はアンモニア系(アンモニア塩を主成分として、炭酸水素ナトリウムに酸性剤を加えて一剤式にしたもの)のタイプを利用することができる。このうち、二剤式の膨張剤は使用の際にアルカリと酸とが反応して膨張効力を失うことはないという利点はあるが、使用が煩雑になるなどの欠点もある。以上より、一剤式膨張剤が好ましい。具体的には、アルカリ剤、酸性剤及び任意に食品素材、コーンスターチ、ショ糖脂肪酸エステルなどを混合したものが挙げられる。
また、膨張剤には、低温域ではあまり反応せず、高温になってから活発に反応を起こしガスを発生する焼きミョウバン等を主体とした遅効性のタイプと、低温域から活発に反応を起こしガスを発生し、フマル酸や酒石酸等の有機酸を主体とした速効性のタイプがあるが、本発明においては速効性のタイプが好ましい。
─膨張剤の組成及びガス発生量─
膨張剤については、アルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いる。一方、酸性剤としては、種々のものを用いることができるが、具体的には、酒石酸、酒石酸カリウム、フマル酸、フマル酸第一ナトリウム、第一リン酸カルシウム、リン酸一ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、焼ミョウバン、焼アンモニウムミョウバン、グルコノデルタラクトン、塩化アンモニウム等が挙げられる。
本発明において膨張剤は、これの発生ガスにより溶き卵を熱水上面に浮上させて一体化させてふんわりとした卵塊を形成させるという働きを有する。
膨張剤のガス発生能については、調理する際の室温にもよるが、概ね30℃程度の低温におけるガス発生量が重要である。即ち、溶き卵を注加する熱水自体は90℃以上の比較的高温の状態にあるが、溶き卵の温度は注加しても直ちに上昇はせず、注加した時点の内部温度は30℃程度である。このため、30℃程度の低温の状態で、ある程度のガス発生があれば、溶き卵が鍋の底にほぼ付着することもなく、熱水上面部に浮き上がって一体化した卵塊を形成できるものと推定される。
逆に、30℃程度の低温でのガス発生能が低い、遅効性の膨張剤では、溶き卵が熱水上面部にあまり浮き上がらずに、鍋底に沈み、十分な効果を得ることができないものと推定される。
このように、膨張剤のタイプとしては、低温域から活発に反応を起こす速効性の膨張剤であることが好ましい。速効性の膨張剤であれば、上述のように低温時に十分に発生するガスによって、溶き卵を熱水の上面部に移行させることができ、ふんわりとした卵塊を形成させることができる。
速効性の膨張剤に用いる酸性剤として具体的には、フマル酸、酒石酸、フマル酸一ナトリウム、L−酒石酸水素K、第一リン酸カルシウム等が挙げられる。いずれの酸性剤を用いるかについては、膨張剤のガス発生量によって卵塊の食感・形状等が異なるため、形成させたい卵塊の食感・形状等に応じて適宜選択して、あるいは混合して用いることができる。
尚、上述のように本発明においては30℃程度の低温におけるガス発生量が多い方が好ましいが、具体的には、生鶏卵一個より卵塊を形成させる場合には、これに添加する膨張剤については、30℃におけるガス発生量が13ml以上であると好ましい。さらに好ましくは26ml以上、特に好ましくは43ml以上である。
また、上限については特に設定されないが、溶き卵に膨張剤を添加して混合する際の作業性を考慮すると、本発明における30℃でのガス発生量が好ましくは、600ml以下、さらに好ましくは、180ml以下である。
─本発明において特定する発生ガス測定法─
本発明においては、上記各膨張剤の発生ガスの測定方法は、第4版 食品添加物公定書(1979年、廣川書店)に記載されている「発生ガス測定法」に準じて、これを改変した以下の方法によって行った。試験器具としては、図1に示すガス発生装置を用いた。
本方法の概略は、以下に示すとおりである。アルカリ剤(炭酸塩)と酸性剤(酸又は酸性反応を呈する塩類)は水と熱によって二酸化炭素のガスを発生する。本測定法は、発生したガスによるビュレット内の置換溶液の移動量により、発生ガス量を求める方法である。
具体的には、図1に示す器具を用いる。まず、水準びんの一部とビュレット内に置換溶液が満たされるように置換液を充填させる。次に、図2に示すように、所定の温度の恒温水槽に、200mlの蒸留水を入れたガス発生フラスコを準備する。そして、蒸留水が所定の温度になってから試験したい膨張剤の所定量(0.5〜2.0g程度)を添加し、ビュレットにゴム管を介して密栓する。ガスが発生して、ビュレットの液面が下がるので、水準びんも、垂直方向において同じ位置になるように下げて、ビュレット内の液面と水準びんの液面がほぼ同じになるように調整する。次に、膨張剤添加後一定時間後に、下がった液面の目盛りを読み取り、発生したガス発生量を測定する。概ね5分程度でガスの発生はほぼ終了するため、5分後のガス発生量を測定する。一方、ブランクは、膨張剤を添加しないものを用いる。膨張剤によるガス発生量は、「膨張剤を入れた場合のガス発生量」−「膨張剤を入れない場合のガス発生量」、とする。
─熱水、麺の茹で汁又はスープ─
本発明は鍋中の熱水に膨張剤を含む溶き卵を添加する。本発明における熱水とは概ね90℃〜100℃程度の水をいうが、この他に、スープや、麺類の場合における麺類の茹で汁や麺類のスープも含むものとする。スープや、麺類をある程度まで茹でた場合の茹で汁や、これに濃縮スープを加えた場合の麺類のスープは比重が熱水より大きい。このため、溶き卵を注加した場合に沈みにくく、卵塊の形成にある程度、有利であるという利点がある。尚、本発明は鍋を用いるのが一般的であるが、熱水を収容できる器具であれば、どのような器具でもよく、例えば、フライパンに熱水を入れたものを利用してもよい。
─溶き卵の注加─
上記熱水に溶き卵を注加するが、この場合には、熱水の表面に広げながら緩やかに鍋に注加するのが好ましい。また、溶き卵を注加する場合には、予め溶き卵に膨張剤を十分に混合しておくことが好ましい。さらに、溶き卵に膨張剤を添加する場合には、予め調味料、糖、塩や増粘剤などを混合しておき、これらを同時に添加することができる。これらを同時に添加することによって、膨張剤を溶き卵に均一に混合させることができる。
また、溶き卵を鍋中の茹で汁やスープに注加する場合には、鍋内に麺が存在していてもよい。麺が存在している場合において、上部より溶き卵を注加すると、麺線が溶き卵の茹で汁やスープの下層への沈降を防止する役割も果たすことができる。
溶き卵には、その他にも、種々の添加物を使用することができるが、例えば、調味料、糖、塩、増粘剤としてのガム類等も使用することができる。これらの添加物を、例えば膨張剤と一緒にあるいは膨張剤の添加の前後に溶き卵に添加することで、溶き卵内での膨張剤の分散性を向上させたり、味付け等を行うことができる。
さらに、種々の野菜、肉類等の具材や、糖類、香辛料等も添加することができる。また、生の具材のみならず、即席麺類のような乾燥食品であれば、熱風乾燥や凍結乾燥された乾燥具材を使用しても良い。特に、かにやネギを用いるとかに玉様の卵塊を形成させることができる。
尚、麺類を調理する場合においては、調理中、あるいは調理後の茹で汁又はスープに直接、溶き卵を注加することができるので、余分な鍋等の調理器具を必要としないという利点がある。
─蓋─
溶き卵を熱水等に注いだ後においては、蓋をするのが好ましい。蓋をすることで、後述する加熱または保持によって、卵の加熱凝固を促進することができる。
─加熱─
溶き卵の注加後においては、さらに、加熱または保持することが望ましい。既に、熱水に添加しているため、ある程度の凝固は起こるが、さらに、加熱または保持することで完全に凝固したふんわりとした卵塊を形成することができる。
卵を注加後の加熱は、ガスコンロの場合には、弱火で約2分程度加熱することで、溶き卵をふんわりと凝固させ、スープ上に浮かせることができる。また、電気ヒーターで加熱することもできる。尚、加熱の程度については、仕上げる卵塊の凝固の程度によって適宜選択することができる。
─卵塊─
本発明によって得られる卵塊は、熱水上又は、麺を茹で中の茹で液上面又は、さらにスープを溶解させた後におけるスープ液上面に形成させることができる。卵塊の大きさは、膨張剤のガス発生量によっても異なるが、大きめの卵塊を形成させるのであれば、ガス発生量の多いものを使用すればよいし、小さめでも良い場合には、ガス発生量の少ないものを使用すればよい。このように卵塊の大きさはガス発生量によって、適宜調整することができる。
─喫食形態─
本発明の調理形態は種々の態様が考えられる。例えば、熱水上面部で芙蓉蟹様のふんわりとした卵塊のみを形成することも考えられる。形成した熱水上面部に浮かんだ卵塊を網等ですくってお湯を切って、皿等に載せればそのままご飯類のおかずとして、喫食することができる。また、甘酢等の調味料を卵塊にかけて喫食してもよい。
さらに、卵塊をご飯等の上に載せれば、天津飯様の食品となるので、このような利用も可能である。
また、麺類に使用する場合においては、前述したように、即席麺、茹で麺、蒸し麺や生麺を鍋で調理する場合に、そのまま同じ鍋に溶き卵を注加することで、簡単に卵塊を形成させることができる。このため、中華麺であれば天津麺が、そばやうどんであれば麺の表面の全体を覆うような卵とじそばやうどんを作製することができる。また、麺とスープを別々の調理器具で調理する場合には、麺のみを鍋で調理し、別の鍋でスープを調理しつつ、溶き卵を注加して卵塊を形成させる。これらを器に入れて合わせることで、天津麺や卵とじ麺を調理することができる。
─粉末調味料─
本発明に用いる膨張剤は麺類・スープ・雑炊等に広く利用することができるが、粉末の状態である。従って、例えば、他の素材と混合して、一体として包装して粉末調味料として利用することができる。
具体的には、塩、グルタミン酸ソーダ、キサンタンガム・グアガム等の増粘剤、馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉等の澱粉・グルコース・フルクトース・ショ糖等の種々の素材が使用可能である。また、粉末のスープを添加して味付したり、乾燥具材等を加えてもよい。
これらの素材を利用することで、形成された卵塊の味付や、膨張剤を溶き卵に添加したときの溶け易さや、熱水上で形成させた卵塊の食感やふくらみを適宜調整することができる。
以下、本発明の実施例を記載するが本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例1:各種膨張剤を用いた場合の効果
膨張剤の効果を確認するため、各種膨張剤を準備し、これらのガス発生量を測定し、生麺(一つの鍋で調理するものであって、茹でこぼし不要のタイプ)を用いて鍋での調理工程に付随して卵塊を形成させる試験を行った。
膨張剤は、以下の3種類のものを用いた。各膨張剤は市販のものを用いた。各膨張剤の組成(重量%)を表1に示す。
Figure 0004583399
1−1.各膨張剤のガス発生量の測定
上記各膨張剤のガス発生量の測定を行った。ガス発生量の測定法は食品添加物公定書(1979)にあるガス発生測定法を改変して行った。測定方法としては以下の通りである。まず、置換溶液は、塩化ナトリウム100gを量り、水350mlを加えて溶かした上で、炭酸水素ナトリウム1gを加え、メチルオレンジ試薬に対して、僅かに酸性を呈する程度まで塩酸を加えたものを用いた。
尚、メチルオレンジ溶液は、メチルオレンジ0.1gを量り、水100mlを加えて溶かし、必要があればろ過したものを用いた。
ガスビュレットは、直径25mm・長さ600mmのものを用いた。また、水準びんは容量約600mlのものを用いた。具体的な構成は図1に示したものである。
具体的な操作としては、まず、置換溶液で水準びん及びビュレット内を満たし、ビュレットの標線0に一致する線で水準びんが同一の水準を示すように位置(高さ)を調整した。
次に、蒸留水200mlを入れた三角フラスコ(300ml容)であって、予め30℃又は70℃の恒温水槽内に静置されているものに、各膨張剤0.5、1.0、2.0gを添加して、適宜振とうしつつ、直ちに、ビュレットにゴム管を介して密栓し、先の恒温水槽に入れた。ガスが発生して、ビュレットの液面が下がるので、水準びんも下げてビュレット内の液面と水準びんの液面がほぼ同じになるように調整した。膨張剤を添加してから、1、3、5、10、15分後に、下がった液面の目盛りを読み取り、ガス発生量を読み取った。また、膨張剤を添加せず蒸留水のみをブランクとして、同様の処理によって得られた値を引くことで、30℃及び70℃における膨張剤によるガス発生量を求めた。本手順を図2に示す。
上記実験結果より、各膨張剤の0.5、1.0、2.0gについて、30℃と70℃におけるガス発生量を測定した。その測定結果(ml)を以下に示す。
尚、30℃と70℃を選択したのは、30℃については、熱湯を含む鍋に溶き卵を注入した場合、注入直後の温度は、直ちに上昇せず室温程度であるため、特に30℃を選択した。また、70℃については、卵白・卵黄とも凝固し始める温度が70℃程度であることより選択した。



Figure 0004583399

どの膨張剤も、30℃、70℃の両方ともに1分程度で、ガスの発生がほとんど終わった。また、5分程度で、ガス発生はほぼ完全に終了した。
1−2.各種膨張剤を使用した場合の卵塊の形成状況
前記各膨張剤を用いて、卵塊の形成実験を行った。試験は以下のように行った。生麺(茹でこぼし不要のタイプ)110g及び、膨張剤を用意した。
調理手順としては、生卵一個(鶏卵、M寸、50g)を器に割って入れ、箸で約10回攪拌して、溶き卵を調整した。これに、各膨張剤を各種の量を加えてよく混合した。次に、鍋に入れた沸騰中の熱水500ccに前記生麺を投入し、約1分30秒間茹でた。次に、火を止めて、醤油系の液体濃縮スープ44gを添加して、よく混合した。
次に、準備した溶き卵を鍋の上部より緩やかに、広げながら鍋に入れた。さらに、鍋に蓋をして弱火で2分間加熱した。次に蓋を取った後に、ラーメン用の丼に移した。
尚、卵塊の形成状態を示す例として、膨張剤を用いなかった場合の卵塊の写真を図3に、膨張剤Cを1.0g使用した場合の卵塊の写真を図4に示す。
膨張剤を添加しない場合の図3の方では卵塊は形成されず、麺と卵が絡んでおり、また、調理後の鍋底に卵の付着が見られた。一方、図4の方では、スープ上部にふんわりとした一体化した卵塊が形成された。
各種膨張剤を使用した実験についての卵塊等の評価は次の項目で行い、5段階評価で行った。評価の項目と評価基準は表3に示すとおりであり、総合評価3点以上を商品化に充分なレベルとした。

Figure 0004583399
また、卵一個当りに添加したそれぞれの量の膨張剤のガス発生量(1−1に示した発生ガス測定法によって測定した結果による)も記載した。30℃と70℃の場合のそれぞれについての表2で測定したデータをもとに、使用した膨張剤の量から算出した。
まず、膨張剤Aを、卵一個に対し、なし、2.0、3.3g添加した場合について試験した。試験結果を表4に示す。

Figure 0004583399
膨張剤Aについては、30℃におけるガス発生量が少なく、添加量が2.0g程度では、麺と卵の付着が見られた。添加量が増えると卵塊の状態としては、良好の状態が得られた。
次に、膨張剤Bを、卵一個に対し、なし、0.8、1.2g添加した場合について試験した。試験結果を表5に示す。
Figure 0004583399
フマル酸を含む膨張剤Bについては、添加量が1.2gでほぼ良好な状態が得られた。
次に、膨張剤Cを、卵一個に対し、なし、0.2g、0.4g、
0.6g、0.8g、1.0g添加した場合について試験した。試験結果を表6に示す。
Figure 0004583399
膨張剤Cについては、膨張剤Bよりもフマル酸を多く含んでおり、1.0g程度の少量でも、良好な卵塊を形成することができた。また、例えば、膨張剤Cの0.4g、表4の膨張剤Aの3.3g、表4の膨張剤Bの1.2g、を対比すると、組成の異なる三種の膨張剤において30℃での理論ガス発生量と総合評価には相関関係がみられた。一方、70℃での理論ガス発生量と総合評価は相関関係がみられない。このことより、卵塊の形成には、使用する膨張剤が30℃程度の低温でのガス発生量が重要であることが示唆された。
1−3.使用する膨張剤の30℃又は70℃でのガス発生量と総合評価との関係
上記の各種実験結果から、卵塊形成の総合評価と、卵一個当りに添加する膨張剤のガス発生量(1−1に示した発生ガス測定法によって測定した結果による)の関係を調べた。30℃の場合について図5に、70℃の場合について図6にそれぞれ示す。
30℃と70℃の場合でそれぞれの相関係数を算出したところ、30℃の場合0.95であるのに対して、70℃の場合には、0.14であった。30℃でのガス発生量と卵塊の評価との間で明らかな相関関係がみられた。また、卵塊がほぼ良好な状況である評価3以上を得るためには、30℃での膨張剤が概ね13ml以上必要であることが判明した。さらに、評価4以上を得るためには、概ね26ml以上必要であることが判明した。加えて、最良の評価である5以上を得るためには、概ね43ml以上必要であることが判明した。
ガス発生の測定器具 ガス発生の測定手順を示した図 膨張剤を使用しなかった場合の麺の調理後の斜視図 膨張剤を使用した場合の麺の調理後の斜視図 各種膨張剤を使用した場合の30℃におけるガス発生量と卵塊の総合評価との関係を示した図 各種膨張剤を使用した場合の70℃におけるガス発生量と卵塊の総合評価との関係を示した図
符号の説明
1 ガス発生用三角フラスコ
2 ガスビュレット
3 水準びん
4 ゴム管
5 ゴム栓
6 置換溶液
7 目盛り
8 水位
9 恒温水槽

Claims (3)

  1. ガス発生能が本発明において特定する発生ガス測定法により30℃で測定した場合に、13ml以上である膨張剤を含有する溶き卵を熱水に注加して加熱または保持することにより、卵塊を熱水上面部に形成させる卵塊の調製方法。
  2. 前記熱水が、調理器具で調理中の茹で汁又はスープである請求項1に記載の卵塊の調製方法。
  3. 麺類を熱水又はスープ中で加熱調理中又は後、ガス発生能が本発明において特定する発生ガス測定法により30℃で測定した場合に、13ml以上である膨張剤を含有する溶き卵を添加し、さらに加熱または保持することによる麺類の調理方法。
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