JP4582675B2 - 非水電解液電池用セパレータ及び非水電解液電池 - Google Patents

非水電解液電池用セパレータ及び非水電解液電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系重合体と二重結合を有する重合体とが架橋してなる架橋物を含有する多孔質フィルムを用いた非水電解液電池用セパレータ及び非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムなどの軽金属を電極とする非水電解液電池は、エネルギー密度が高く自己放電も少ないため、電子機器の高性能化、小型化などを背景として利用範囲を大きく広げてきている。このような非水電解液電池の電極としては、帯状の正極、負極、およびセパレータを積層し捲回して構成することにより、広い有効電極面積を確保した渦巻状捲回体が用いられている。電極間に介在するセパレータは、基本的には両極の短絡を防止するとともに、その多孔質構造によりイオンを透過させて電池反応を可能とするものである。そして、誤接続などにより異常電流が発生した場合、電池内部温度の上昇に伴い樹脂が熱変形して微多孔を塞ぐことで、電池反応を停止させるいわゆるシャットダウン機能(SD機能)を有するものが安全性向上の観点から採用されている。
【0003】
このようなSD機能を有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン製微多孔膜やポリエチレンとポリプロピレンとの多層構造の微多孔膜などが知られている。また、ポリオレフィン系重合体の他にさらにゴム等を含有した多孔質フィルムが提案されている(例えば特公平1−18091号公報、特開平6−163023号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のセパレータを用いた非水電解液電池は、長期にわたる充放電サイクルや、夏場や自動車内など高温状態で保存される場合などには必ずしも初期状態を長く維持できるものではなかった。例えば、夏場や自動車内などで想定される20℃〜80℃で電池を保存した場合、電池捲回体の内部張力や圧力によってしだいにセパレータが変形すること等により、通気度が低下(ガーレ値が上昇)し、これが電池寿命の低下などの原因となっていることが判明した。
【0005】
なお、耐熱性を改善すべく、特開昭63−308866号公報には、低融点ポリエチレンと高融点のポリプロピレンからなる単膜を積層化することにより、高強度かつ優れた高温特性を有する微孔性多孔膜を得る方法が開示されているが、積層内の弱い低融点ポリエチレン部分が変形を起こしやすく、高温状態で保持される場合、劣化が進行して電池寿命が低下し易い。
【0006】
そこで、本発明の目的は、夏場や自動車内などで想定される20℃〜80℃で長期保存した場合でも、電池内の各部におけるセパレータの通気度の低下が少なく、これにより電池寿命を長くすることができる非水電解液電池用セパレータ、及びこれを用いてなる非水電解液電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、セパレータを構成する多孔質フィルムの各種物性、材質等について鋭意研究したところ、ポリオレフィン系重合体と二重結合を有する重合体とが架橋してなる架橋物を含有する多孔質フィルムでは、高温に長期保存した際に、通気度や膜強度の低下が少なくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の非水電解液電池用セパレータは、ポリオレフィン系重合体と、二重結合を有する重合体であるポリブタジエン、ポリノルボルネン、又はポリイソプレンとが架橋してなる架橋物を含有する多孔質フィルムよりなり、その周囲を枠固定して500kPa(ゲージ圧)の加圧下で60℃、20日間保存する際に、JIS P8117に準拠して測定したガーレ値の保存前後の上昇率が10%以下であることを特徴とする。なお、本発明におけるパラメータ値は何れも実施例の測定方法で測定される値である。
【0009】
上記において、周囲を枠固定して130℃で3日間保存する際に、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて測定した突き刺し強度の保存前後の低下率が10%以下であることが好ましい。
【0010】
また、前記ポリオレフィン系重合体が重量平均分子量50万以上のポリエチレンであることが好ましい。
【0011】
一方、本発明の非水電解液電池は、上記いずれかに記載の非水電解液電池用セパレータを用いてなることを特徴とする。
【0012】
[作用効果]
本発明の非水電解液電池用セパレータによると、架橋物を含有させて、高温高圧保存下での保存前後のガーレ値の上昇率を小さくすることにより、実施例の結果が示すように、比較的高温(約60℃)で長期保存した場合でも、電池内の各部におけるセパレータの通気度の低下が少なく、これにより電池寿命を長くすることができる。その理由の詳細は不明であるが、架橋構造を有しないポリオレフィン系重合体では、融点以下の温度(約60℃)でもクリープ現象を防ぐことが困難で、多孔質構造を維持し難いのに対し、架橋物を含有する多孔質フィルムでは、クリープ現象を殆どなくすことができ、電池内部においても多孔質構造が維持され易いためと考えられる。
【0013】
上記の突き刺し強度の保存前後の低下率が10%以下である場合、誤接続や過充電により昇温した場合でも、膜強度を維持して短絡を防止することで電池の安全性を高めることができる。
【0014】
前記ポリオレフィン系重合体が重量平均分子量50万以上のポリエチレンである場合、このような高分子量のポリエチレンは、多孔質構造の形成の際に延伸配向によりセパレータとしての機械特性を発現させ易く、また二重結合を有する重合体との架橋反応も生じ易いため、高温で長期保存した場合の通気度の低下をより小さくすることができる。
【0015】
一方、本発明の非水電解液電池によると、上記いずれかに記載の非水電解液電池用セパレータを用いるため、比較的高温で長期保存した場合でも、電池内の各部におけるセパレータの通気度の低下が少なく、これにより電池寿命を長くすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の非水電解液電池用セパレータは、周囲を枠固定して500kPa(ゲージ圧)の加圧下で60℃、20日間保存する際に、JIS P8117に準拠して測定したガーレ値の保存前後の上昇率が10%以下である多孔質フィルムからなり、特に上昇率が5%以下が好ましい。
【0018】
また、多孔質フィルムの周囲を枠固定して130℃で3日間保存する際に、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて測定した突き刺し強度の保存前後の低下率が10%以下であることが好ましい。
【0019】
更に、多孔質フィルムを周囲を枠固定したまま、135℃で60分間加熱して、微多孔が閉塞した透明化フィルムを得、その周囲を枠固定したまま130℃で50時間保存する際に、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて測定した突き刺し強度の保存前後の低下率が10%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明における多孔質フィルムは、ポリオレフィン系重合体と二重結合を有する重合体とが架橋してなる架橋物を含有するものである。当該架橋物は、例えばポリオレフィン系重合体と二重結合を有する重合体とを含有する樹脂組成物を、酸素、オゾン、酸素化合物等の存在下で加熱架橋等することで得ることが出来る。このため、本発明における多孔質フィルムには、部分的に残存するポリオレフィン系重合体や二重結合を有する重合体などを同時に含有してもよい。
【0021】
ポリオレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどが挙げられるが、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。ポリエチレンとしては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが挙げられるが、重量平均分子量50万以上のポリエチレン、特に重量平均分子量100万以上のポリエチレンが好ましい。また、ポリプロピレンとしては、アイソタクチッタポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどが好ましく、中でも多孔質構造を形成しやすいため、結晶性の高いアイソタクチックポリプロピレンが好ましい。
【0022】
二重結合を有する重合体としては、ポリブタジエン、ポリノルボルネン、ポリイソプレン、その他の架橋性ゴムの未加硫物などが挙げられるが、特にポリノルボルネンが好ましい。これらの重合体としては重量平均分子量50万以上のものが好ましい。
【0023】
二重結合を有する重合体は、多孔質フィルム中に1〜40重量%、特に5〜35重量%含有されるのが好ましい。含有量が1重量%未満では、架橋が十分進行しにくく、高温高圧保存後のガーレ値の上昇率が大きくなる傾向がある。また、含有量が40重量%を超えると、得られる多孔質フィルムの機械特性が低下する傾向がある。
【0024】
また、セパレータのシャットダウン温度を下げ、安全性を高める目的で、上記の樹脂成分のうち、融点の比較的低いものを併用してもよく、また、熱可塑性エラストマー、グラフトコポリマーを併用してもよい。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系や、ポリオレフィン系、ポリジエン系、塩化ビニル系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。グラフトコポリマーとしては、主鎖にポリオレフィン、側鎖に非相溶性基を有するビニル系ポリマーを側鎖としたグラフトコポリマーが挙げられるが、ポリアクリル類、ポリメタクリル類、ポリスチレン、ポリアクリトニトリル、ポリオキシアルキレン類が好ましい。なお、ここで非相溶性基とは、ポリオレフィンに対して非相溶性基を意味し、例えば、ビニル系ポリマーに由来する基などが挙げられる。これらのSD成分の含有量は、多孔質フィルム中に1〜40重量%、特に5〜25重量%が好ましい。
【0025】
本発明の非水電解液電池用セパレータの厚みは、5〜100μmが好ましい。
空孔率は20〜80%が好ましく、また、平均孔径は0.01〜0.5μmが好ましい。これらによる総合的な特性として、JIS P8117に準拠する通気度(ガーレ値)は100〜1000sec/100mlが好ましい。
【0026】
次に、本発明における多孔質フィルムの製造方法について説明する。当該多孔質フィルムの製造には、乾式成膜法、湿式成膜法など公知の方法を利用することができる。たとえば、前記樹脂組成物を溶媒と混合し、混練、加熱溶解しながらシート状に押出し、冷却してゲル化(固化)させた後、加熱下で圧延や延伸により一軸方向以上に延伸し、溶媒を抽出除去することにより製造することができる。混練、加熱溶解の際に酸化反応が進行しないように、酸化防止剤を使用するのが好ましい。
【0027】
ポリオレフィン系重合体と二重結合を有する重合体との架橋は、抽出除去後に行うのが好ましく、多孔質フィルムに対し、熱、紫外線、電子線等の架橋処理することにより、両者が延伸配向された状態で架橋してなる架橋物を得ることができる。
【0028】
本発明における初期のガーレ値の調整は、上記ゲル化時の冷却速度、熱処理条件、延伸条件等を変更することにより行うことができる。また、ガーレ値の保存前後の上昇率や、突き刺し強度の保存前後の低下率は、二重結合を有する重合体の含有量、ポリオレフィン系重合体の種類、延伸条件、架橋条件等により調整することができる。
【0029】
次に本発明の非水電解液電池について説明する。当該非水電解液電池は、以上の如き本発明のセパレータを用いてなり、その構造は、例えば帯状の負極、正極およびセパレータを積層捲回して得た捲回型電極体を電池缶に収納し、これに電解液を注入し、さらに電池上下の絶縁板など必要な部材を市販の電池に準じて適宜配して構成したものである。
【0030】
電解液としては、例えば、リチウム塩を電解液とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、たとえば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、さらにはスルフォランなどの単独、もしくは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0031】
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化したものが用いられる。その際のアルカリ金属として、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属を含む化合物としては、たとえばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズ、マグネシウムなどの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物、硫化物との化合物などが挙げられる。負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としては、リチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、たとえば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
【0032】
正極としては、たとえばリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物、などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属窒化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例における試験方法は次の通りである。
【0034】
(フィルムの膜厚)
1/10000シックネスゲージおよび多孔質フィルムの断面の走査型電子顕微鏡により測定した。
【0035】
(空孔率)
厚み(t)、重量(W)、樹脂密度(d)、面積(S)より以下の式
空効率(%)=(1−W/(S×d×t))×100
により測定した。
【0036】
(通気度)
JIS P8117に準拠して、初期のガーレ値と保存後のガーレ値とを測定した。保存後のガーレ値は、100×100mmにカットしたサンプルを用いて、その周囲をSUS枠で固定し、熱風が直接当たらないようにバットに入れて、500kPa(ゲージ圧)の加圧下で60℃、20日間保存した後のガーレ値を測定したものである。
【0037】
(架橋構造の確認)
IRスペクトル中のC=C二重結合に由来する吸収ピーク(960cm-1)の消失を確認した。また、10mm角の試料を金属メッシュに挟んで熱キシレン(255℃)中で溶解させ、残存する成分の比率をゲル分率として測定し、熱処理前の多孔質フィルムのゲル分率(通常は0%)と比較した。
【0038】
[実施例1]
重量平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン15.0重量部、及びポリノルボルネン樹脂(ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上、日本ゼオン(株)製)2.14重量部からなるポリオレフィン組成物と流動パラフィン85重量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010及びBHTを、ポリエチレンに対してそれぞれ0.5重量%、0.3重量%をさらに添加してスラリー状に均一に混合し、160℃の温度で二軸混練り機を用い溶解混練りした。その後これらの混練物を0℃に冷却された金属板に挟み込み5mmのシート状に急冷した。
【0039】
これらの急冷シートを115℃の温度でシート厚が0.7mmになるまでヒートプレスし、120℃の温度で3.5×3.5倍に縦横同時に二軸延伸し、へプタンを使用して脱溶媒処理を行なった。脱溶媒後、85℃×12h+120℃×2hで空気中で熱処理を行ない、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造が確認され、膜厚24μm、空孔率40%、初期のガーレ値600sec/100cc、保存後のガーレ値620sec/100ccであった。
【0040】
[実施例2]
実施例1において、重量平均分子量100万の超高分子量ポリエチレン6.0重量部、重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン9.0重量部、及びポリノルボルネン樹脂(ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上、日本ゼオン(株)製)1.22重量部からなるポリオレフィン組成物と流動パラフィン85重量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、多孔質フィルムを得た。
この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造が確認され、膜厚25μm、空孔率39%、初期のガーレ値500sec/100cc、保存後のガーレ値530sec/100ccであった。
【0041】
[実施例3]
実施例1において、重量平均分子量100万の超高分子量ポリエチレン11.5重量部、熱可塑性エラストマー(TPE821、住友化学製)3.5重量部及びポリノルボルネン樹脂(ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上、日本ゼオン(株)製)1.22重量部からなるポリオレフィン組成物と流動パラフィン85重量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造が確認され、膜厚24μm、空孔率38%、初期のガーレ値520sec/100cc、保存後のガーレ値542sec/100ccであった。
【0042】
[比較例1]
ポリノルボルネン樹脂を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造がほとんど認められず、膜厚23μm、空孔率38%、初期のガーレ値585sec/100cc、保存後のガーレ値657sec/100ccであった。
【0043】
[比較例2]
重量平均分子量20万のポリエチレン9重量%、重量平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン6重量%からなる重合体組成物15重量部と流動パラフィン85重量部とをスラリー状に均一に混合し、160℃の温度で小型ニーダーを用い約60分溶解混練りした。その後これらの混練物を0℃に冷却されたロールまたは金属板に挟み込みシート状に急冷した。これらの冷却シート状樹脂を、115℃の温度でシート厚が0. 4〜0. 6mmになるまでヒートプレスし、ヘプタンを使用して脱溶媒処理を行った。ついで116℃の温度で同時に縦横4×4倍に二軸延伸を行った。その後、得られた多孔質フィルムを空気中で85℃・1時間熱処理し、ついで110℃で1時間熱処理して、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造がほとんど認められず、膜厚27μm、空孔率37%、初期のガーレ値580sec/100cc、保存後のガーレ値750sec/100ccであった。
【0044】
[比較例3]
ポリノルボルネン樹脂を添加しないこと以外は実施例2と同様にして、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムはIRとゲル分率との測定から架橋構造がほとんど認められず、膜厚23μm、空孔率38%、初期のガーレ値540sec/100cc、保存後のガーレ値610sec/100ccであった。
【0045】
[電池貯蔵試験]
リチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )に導電助剤としてリン状黒鉛を重量比90:5で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにした。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後、ローラプレス機により圧縮成形した後、切断し、リード体を溶接して、帯状の正極を作製した。
【0046】
つぎに平均粒径10μmの炭素材料を、フッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液と混合してスラリーにした。この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後ローラプレス機により圧縮成形し切断した後、リード体を溶接して帯状負極を作製した。
【0047】
セパレータは実施例2及び比較例3で得られた多孔質フィルムを用いた。これらの正極、負極およびセパレータを両極がセパレータを介して互いに重なるように、渦巻き状に捲回して渦巻状捲回電極体として巻き止めテープで外側を止めて捲回体とし、外径18mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極及び負極のリード体の溶接を行った。
【0048】
つぎに電解液としてエチレンカーボネートが1重量部に対してメチルエチルカーボネートを2重量部の混合溶媒中にLiPF6を1.4モル/リットルの割合で溶解した電解液を調製した。これを、電池ケース内に注入し、電解液がセパレータなどに十分に浸透した後、封口し、予備充電、エージングを行い、筒型の二次電池を作製した。
【0049】
この電池を、60℃で20日間貯蔵した後、電池を分解して電池各部のセパレータを取り出し、各部の通気度を測定した。その結果を、捲回前の初期の値と比較して図1に示した。なお、a、b、c、dはセパレータの全長を外周側から内周側へと4等分した際、各中央部の位置のガーレ値を夫々示すものである。
【0050】
図1の結果が示すように、実施例の多孔質フィルムでは、60℃で長期保存した場合でも、電池内の各部における通気度の低下が殆どない。これに対して、比較例の多孔質フィルムでは、60℃で長期保存した場合に通気度の低下が大きく、特に電池の内周側で通気度の低下が顕著になる。
【0051】
[電池充・放電サイクル試験]
上記と同様にして実施例1及び比較例3で得られた多孔質フィルムを用いて作製した二次電池について、上限電圧4.2Vで0.2C定電流充電を行い、5時間行い、その後0.2C放電を行った。このときの放電容量を初期放電容量とした。この充・放電サイクルを400回繰り返したところ、実施例1の二次電池については、200回目のサイクルにおいて放電容量の初期に対する比率が85%であり、それ以降も殆ど放電容量の低下が認められなかった。これに対し、比較例3の二次電池については200回目のサイクルにおいて、放電容量の初期に対する比率が70%であり、それ以降も放電容量の低下が認められた。つまり、60℃で長期保存した場合の通気度の低下が大きいものでは、電池のサイクル寿命も短くなる傾向がある。
【0052】
[透明化フィルムの熱劣化試験]
実施例1〜3及び比較例1で得られた多孔質フィルムを用い、周囲を枠固定したまま135℃で60分間加熱して、微多孔が閉塞した透明化フィルムを得た。
この透明化フィルムを100×100mmにカットしたものを用いて、その周囲をSUS枠で固定し、熱風が直接当たらないようにバットに入れて、130℃で200時間保存した。所定時間毎にサンプルを取り出し、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて突き刺し強度を測定した。その結果を初期値に対する強度比(%)として図2に示した。
【0053】
実施例1〜3の多孔質フィルムでは、架橋物を含有するため、一旦部分溶融させた場合でも、高温保存において強度を長期間維持することができ、電池の安全性を高めることができる。これに対し、架橋物を含有しない比較例1では一旦部分溶融させた場合でも、高温保存において強度の低下が著しく、電池の安全性の低下が懸念される。
【0054】
[多孔質フィルムの熱劣化試験]
実施例1及び比較例1で得られた多孔質フィルムを100×100mmにカットしたものを用いて、その周囲をSUS枠で固定し、熱風が直接当たらないようにバットに入れて、130℃で120時間保存した。所定時間毎にサンプルを取り出し、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて突き刺し強度を測定した。その結果を初期値に対する強度比(%)として図3に示した。
【0055】
実施例1の多孔質フィルムでは、架橋物を含有するため、高温保存において強度を長期間維持することができ、電池の安全性を高めることができる。これに対し、架橋物を含有しない比較例1では、高温保存において強度の低下が著しく、電池の安全性の低下が懸念される。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池貯蔵試験で得られたガーレ値の変化を示すグラフ
【図2】透明化フィルムの熱劣化試験で得られた強度比の経時変化を示すグラフ
【図3】多孔質フィルムの熱劣化試験で得られた強度比の経時変化を示すグラフ

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系重合体と、二重結合を有する重合体であるポリブタジエン、ポリノルボルネン、又はポリイソプレンとが架橋してなる架橋物を含有する多孔質フィルムよりなり、その周囲を枠固定して500kPa(ゲージ圧)の加圧下で60℃、20日間保存する際に、JIS P8117に準拠して測定したガーレ値の保存前後の上昇率が10%以下である非水電解液電池用セパレータ。
  2. 周囲を枠固定して130℃で3日間保存する際に、先端直径が0.5mmの加圧針を用いて測定した突き刺し強度の保存前後の低下率が10%以下である請求項1記載の非水電解液電池用セパレータ。
  3. 前記ポリオレフィン系重合体が重量平均分子量50万以上のポリエチレンである請求項1又は2に記載の非水電解液電池用セパレータ。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の非水電解液電池用セパレータを用いてなる非水電解液電池。
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