以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載した発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本明細書に記載されている発明をサポートする実施の形態が明細書に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書には記載されているが、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、明細書に記載されている発明が、全て請求されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出願、または追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の情報処理装置は、工事に関する情報として少なくとも、工事名、担当者、請負者、および下請け業者が記述された工事レコード(例えば、図3の工事レコード)と、前記工事レコードの前記工事名に対応する工事について少なくとも、前記請負者に対する請求金額、および原価が単位期間毎に記述された原価管理データ(例えば、図5の原価管理データ)をハードディスクドライブにより構成される記憶部に記憶している情報処理装置において、ユーザにより入力部を介して指定された複数の前記工事レコードと、前記工事レコードのそれぞれに対応する前記原価管理データとを前記記憶部から取得する取得手段(例えば、図2のデータ取得部101)と、前記取得手段により取得された前記工事レコードに対応する原価管理データに基づいて、前記工事における前記原価の合計と前記請求金額の合計との比率である請負原価率を算出する請負原価率算出手段(例えば、図2の請負原価率算出部102)と、前記工事レコードに含まれる前記工事に関わる発注者、担当者、または下請け業者の少なくともいずれかを前記工事の工事要因として抽出する抽出手段(例えば、図2の要因抽出部103)と、前記抽出された前記工事要因と、前記請負原価率算出手段により算出された請負原価率とを対応付けて、前記工事要因と前記請負原価率の値とからなる連立方程式を生成し、前記連立方程式を解くことにより、前記工事要因毎に前記原価構成度を算出する原価構成度算出手段(例えば、図2の要因原価構成度算出部104)と、前記工事要因毎の原価構成度を、前記工事による利益を大きくするための、前記発注者、前記担当者、または前記下請け業者の評価値として表示部に表示する表示手段とを備える。
請求項5に記載の情報処理装置は、新たに工事が実施された場合、前記取得手段は、新たに実施された工事に対応する工事レコードと、前記工事レコードに対応する原価管理データとを取得し(例えば、図16のステップS32の処理により取得し)、前記請負原価率算出手段は、前記取得手段により取得された前記工事レコードに対応する原価管理データに基づいて、前記工事の請負原価率を算出し(例えば、図16のステップS33の処理により算出し)、前記抽出手段は、前記工事レコードに含まれる前記工事要因を抽出し(例えば、図16のステップS34の処理により抽出し)、前記原価構成度算出手段は、前記請負原価率算出手段により算出された前記請負原価率と、前記抽出手段により抽出された前記工事要因に基づいて、前記工事要因の新しい原価構成度を算出し(例えば、図16のステップS36の処理により算出し)、前記新しい原価構成度と、既に算出されている原価構成度の平均値を算出する(例えば、図16のステップS37の処理により算出する)ことにより前記原価構成度を修正するようにすることができる。
請求項5に記載の情報処理方法は、工事に関する情報として少なくとも、工事名、担当者、請負者、および下請け業者が記述された工事レコードと、前記工事レコードの前記工事名に対応する工事について少なくとも、前記請負者に対する請求金額、および原価が単位期間毎に記述された原価管理データをハードディスクドライブにより構成される記憶部に記憶している情報処理装置の情報処理方法において、取得手段が、ユーザにより入力部を介して指定された複数の前記工事レコードと、前記工事レコードのそれぞれに対応する前記原価管理データとを前記記憶部から取得する取得ステップ(例えば、図13のステップS1)と、請負原価率算出手段が、前記取得された前記工事レコードに対応する原価管理データに基づいて、前記工事における前記原価の合計と前記請求金額の合計との比率である請負原価率を算出する請負原価率算出ステップ(例えば、図13のステップS2)と、抽出手段が、前記工事レコードに含まれる前記工事に関わる発注者、担当者、または下請け業者の少なくともいずれかを前記工事の工事要因として抽出する抽出ステップ(例えば、図13のステップS3)と、原価構成度算出手段が、前記抽出された前記工事要因と、前記算出された請負原価率とを対応付けて、前記工事要因と前記請負原価率の値とからなる連立方程式を生成し、前記連立方程式を解くことにより、前記工事要因毎に前記原価構成度を算出する原価構成度算出ステップ(例えば、図13のステップS5)と、表示手段が、前記工事要因毎の原価構成度を、前記工事による利益を大きくするための、前記発注者、前記担当者、または前記下請け業者の評価値として表示部に表示する表示ステップとを含む。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明を適用した情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。この情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータとして構成され、CAD(Computer Aided Design)や工事の原価管理を支援するアプリケーションソフトウェアなどを実行する。この情報処理装置のユーザとしては、例えば、設計事務所や不動産開発業者などから、建物の工事を請け負い(受注し)、下請け業者を利用してその工事を実施する建設会社などを想定している。
同図において、CPU(Central Processing Unit)51は、ROM(Read Only Memory)52に記憶されているプログラム、または記憶部58からRAM(Random Access Memory)53にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM53にはまた、CPU51が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU51、ROM52、およびRAM53は、バス54を介して相互に接続されている。このバス54にはまた、入出力インタフェース55も接続されている。
入出力インタフェース55には、キーボード、マウスなどよりなる入力部56、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクなどより構成される記憶部58、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部59が接続されている。
通信部59は、インターネットなどのネットワークを介しての他の装置との通信処理を行う。記憶部58には、アプリケーションソフトウェアなどのプログラム、プログラムが実行する処理により生成されるデータなどが適宜記憶される。
入出力インタフェース55にはまた、必要に応じてドライブ60が接続され、ドライブ60には、本発明のプログラムが記録された記録媒体として、例えば、リムーバブルメディア61が装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部58にインストールされる。
図2は、CPU51により実行され、工事の原価管理を支援するアプリケーションソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。データ取得部101は、記憶部58などに記憶されているデータの中から工事に関する情報が記述された工事レコード、およびその工事の原価管理に関する情報が記述された原価管理データを取得して、請負原価率算出部102に出力する。なお、工事レコードと原価管理データの詳細については、図3乃至図5を参照して後述する。請負原価率算出部102は、データ取得部102により取得された工事レコードと原価管理データに基づいて、その工事について、請負代金と原価の比率である請負原価率を算出し、要因抽出部103に出力する。
要因抽出部103は、工事レコードに含まれる工事の請負者、担当者、業者など、その工事の関係者を表す要因を抽出し、上述した請負原価率と、抽出された要因とを対応付けて要因原価構成度算出部103に出力する
要因原価構成度算出部104は、請負原価率算出部102により算出された請負原価率と、要因抽出部103により抽出された請負先、関連業者、担当者などの要因とからなる連立方程式を生成し、その連立方程式を解くことにより、各要因がその工事の原価の構成にどの程度貢献したか(原価を構成する要因としてどの程度大きいか)を表す要因原価構成度を算出し、データ出力部105に出力する。データ出力部105は、要因原価構成度算出部104から出力されたデータを、例えば、記憶部58に出力して記憶させる。
上述したように、記憶部58には、情報処理装置1のユーザが実施(受注)した工事に関する情報が記述された工事レコードが記憶されている。図3は、工事レコードを構成する項目の例を示す図である。
項目「工事番号」は、その工事を特定するID番号であり、各工事レコードに対して1つのユニークな番号が付与される。項目「工事名」は、その工事の名称であり、例えば、「○○ビル新築工事」などのように、工事を表す名称が記述される。項目日付には、その工事レコードが生成された日付が記述される。
項目「担当者」は、例えば、その工事を受注した会社(情報処理装置1のユーザである建設会社など)の工事部門の社員など、その工事についての社内の責任者であり、社員名、社員番号などが記述される。項目工事場所は、その工事の現場を特定する情報であり、例えば、現場の住所などが記述される。
項目「請負者」は、その工事をユーザに対して発注した会社などを表す情報であり、例えば、「○○設計」などのように、その工事を発注した会社名が記述される。項目「業者」は、その工事において、ユーザが利用した下請け業者を表す情報であり、例えば「○○塗装」などのように、下請けの業者名が記述される。なお、建物などの工事を行う場合、その工事の発注者、いわゆる元請、下請け、孫請けなどのように多数の会社や業者が関連するが、本発明においては、ユーザ(の会社)に対して工事を発注した者(会社)を請負者と称し、ユーザ(の会社)がその工事において作業や資材などを発注した者を業者と称する。
項目「建物種類」は、その工事において対象となる建築物の種類を表す情報であり、例えば、「病院」、「学校」などのように、その工事において対象となる建築物の種類が記述される。項目「広さ」は、その工事において対象となる建築物の広さを表す情報であり、例えば、「500平方メートル」のように、その工事において対象となる建築物の広さが記述される。
項目「着工日」、項目「最終検収日」、および項目「竣工日」は、それぞれ、その工事の着工日、最終検収日(検収が完了する日)、および竣工日(竣工予定日でもよい)が記述される。項目「見積金額」は、その工事について、請負者に対して提示した見積の金額が記述される。
図4は、工事の原価管理を支援するアプリケーションソフトウェアにおいて表示される工事レコードを入力するGUI(Graphical User Interface)の例を示す図である。フィールド201は、上述した項目「工事番号」を入力するフィールドであり、この例では、「00001」と入力されている。フィールド202は、上述した項目「工事名」の内容を入力するフィールドであり、その工事の名称が入力される。この例では、「ダイキンビル新築工事」と入力されている。フィールド203は、上述した項目「工事場所」の内容を入力するフィールドであり、その工事の現場の住所が入力される。この例では、「東京都新宿区新宿○−○−○」と入力されている。
フィールド204は、上述した項目「請負者」の内容を入力するフィールドであり、この工事を発注した(請け負った)会社の名称(社名など)が入力される。この例では、「いろはに設計」と入力されている。フィールド205は、請負者代表者名を入力するフィールドであり、請負者の会社の代表取締役などの名前が記述される。工事レコードを入力するGUIにおいて、フィールド205は省略されるようにしてもよい。
フィールド206乃至208は、上述した項目「着工日」、項目「最終検収日」、および項目「竣工日」の内容を入力するフィールドであり、この例では、「2002/12/01(西暦2002年12月1日を表す)」、「2003/09/03(西暦2003年9月3日を表す)」、および「2003/10/30(西暦2003年10月30日を表す)」が入力されている。
フィールド209は、上述した項目「担当者」の内容を入力するフィールドであり、担当者の名前が入力される。この例では、「○○××」と入力されている。フィールド210は、上述した項目「日付」を入力するフィールドであり、この例では、「2003/09/03(西暦2003年9月3日を表す)」が入力されている。
この他、図4に示されるGUIに続いて表示されるGUIなどにおいて、上述した項目「業者」、項目「建物種類」、項目「広さ」の内容を入力するフィールドが表示され、それらの内容が入力される。
また、工事の原価管理を支援するアプリケーションソフトにおいては、例えば、ユーザにより、工事の原価管理に関する情報である原価管理データの入力が行われ、入力された原価管理データは、上述した工事レコードと対応付けられて記憶部58に記憶される。図5は、工事の原価管理データの例を示す図である。同図は、工事名称、原価管理データ名、および原価管理データの項目の内容を4月から翌年の3月まで月次で表した表である。この表において、左上の工事名称の欄に、「Aビル新築工事」と表示されている。ここで、「Aビル新築工事」は、工事レコードの項目「工事名」に対応する工事名称であり、この原価管理データは、項目「工事名」の内容が「Aビル新築工事」である工事レコードと対応付けられている。
「Aビル新築工事」の原価管理データ名の欄には、「Aビル新築工事1F工事(Aビルの1階部分の工事を表す)」と「Aビル新築工事2F工事(Aビルの2階部分の工事を表す)」とが表示されている。これは、「Aビル新築工事」の原価管理データは、「Aビル新築工事1F工事」および「Aビル新築工事2F工事」の2つの原価管理データにより構成されていることを表している。
「Aビル新築工事1F工事」および「Aビル新築工事2F工事」の2つの原価管理データの項目の欄には、それぞれ請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率が記載されている。請求実績は、その工事において、その月に請負者に請求した金額、すなわち請負者からユーザに対して支払われる金額を表すものであり、原価実績は、その工事において、その月に発生した原価、すなわちユーザが下請け業者などに支払う金額を表すものである。粗利金額は、その月の儲けを表す金額、すなわち請求実績と原価実績の差額であり、粗利益率は、その月の売り上げ代金(ここでは、請求実績と等しいものとする)に対する粗利金額の比率を表すものである。
例えば、同図の「Aビル新築工事1F工事」において、4月の請求実績は、2,000,000(円)であり、請負者からこの金額がユーザに支払われる。これに対して、4月の原価実績は、1,750,000(円)であり、この金額がユーザから下請けの業者などに対して支払われる。従って、ユーザの4月の儲けを表す粗利金額(=請求実績−原価実績)は、250,000(円)(=2,000,000−1,750,000)とされ、売り上げ代金に対する粗利金額の比率である粗利益率は、12.5%(=(250,000/2,000,000)×100)とされている。なお、請求実績および原価実績が入力されると、粗利金額および粗利益率は、自動的に計算される。
「Aビル新築工事1F工事」において、5月の請求実績は、2,500,000(円)であり、また、5月の原価実績は、2,250,000(円)なので、5月の粗利金額(=請求実績−原価実績)は、250,000(円)(=2,500,000−2,250,000)とされ、5月の粗利益率は、10.0%(=(250,000/2,500,000)×100)とされている。
同様に、「Aビル新築工事2F工事」において、4月の請求実績は、2,000,000(円)であり、また、4月の原価実績は、1,750,000(円)なので、4月の粗利金額(=請求実績−原価実績)は、250,000(円)(=2,000,000−1,750,000)とされ、4月の粗利益率は、12.5%(=(250,000/2,000,000)×100)とされている。さらに、「Aビル新築工事2F工事」において、5月の請求実績は、2,500,000(円)であり、また、5月の原価実績は、2,250,000(円)なので、5月の粗利金額(=請求実績−原価実績)は、250,000(円)(=2,500,000−2,250,000)とされ、5月の粗利益率は、10.0%(=(250,000/2,500,000)×100)とされている。
「Aビル新築工事」の原価管理データは、「Aビル新築工事1F工事」および「Aビル新築工事2F工事」の2つの原価管理データを足し合わせて構成されている。すなわち、「Aビル新築工事」において、4月の請求実績は、4,000,000(円)(=2,000,000+2,000,000)であり、また、4月の原価実績は、3,500,000(円)(=1,750,000+1,750,000)なので、4月の粗利金額は、500,000(円)(=4,000,000−3,500,000)とされ、4月の粗利益率は、12.5%(=(500,000/4,000,000)×100)とされている。さらに、「Aビル新築工事」において、5月の請求実績は、5,000,000(円)=(2,500,000+2,500,000)であり、また、5月の原価実績は、4,500,000(円)=(2,250,000+2,250,000)なので、5月の粗利金額は、500,000(円)(=5,000,000−4,500,000)とされ、5月の粗利益率は、10.0%(=(500,000/5,000,000)×100)とされている。
なお、「Aビル新築工事」の原価管理データは、「Aビル新築工事1F工事」および「Aビル新築工事2F工事」の2つの原価管理データに基づいて、自動的に計算されて入力される。
そして、6ヶ月毎に原価管理データの小計が記載される。この表においては、9月と3月の欄に右側に小計が記載されている。「Aビル新築工事」において、4月から9月までの6ヶ月間の請求実績の小計は、9,000,000(円)(=4,000,000+5,000,000+0+0+0+0)であり、また、4月から9月までの原価実績の小計は、8,000,000(円)(=3,500,000+4,500,000)とされている。従って「Aビル新築工事」において、4月から9月までの粗利金額の小計は、1,000,000(円)(=9,000,000−8,000,000)とされ、4月から9月までの粗利益率の小計は、11.1%(=(1,000,000/9,000,000)×100)とされている。
「Aビル新築工事」において、10月から3月までの6ヶ月間に請求実績、または原価実績が発生していないので、全て0と記載されており、10月から3月までの請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率のそれぞれの小計は「0」と記載されている。
さらに、表の最も右側の欄には12ヶ月毎に原価管理データの合計が記載される。「Aビル新築工事」において、10月から3月までの6ヶ月間に請求実績、または原価実績が発生していない(全て0と記載されている)ので、請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の4月から3月までの12ヶ月間の合計は、それぞれ(4月から9月までの)小計と等しくなっている。
なお、「Bビル新築工事」、「Cビル新築工事」についても、同様に原価管理データが記載されている。
図5の表の最も下の部分においては、月次の合計が記載されている。月次の合計には、「Aビル新築工事」、「Bビル新築工事」、および「Cビル新築工事」のそれぞれの原価管理データの、月毎の請求実績と原価実績とが合計されて記載され、請求実績と原価実績とに基づいて、粗利金額と粗利益率とが計算されて記載されている。
このように、実施された工事に関して工事レコードと原価管理データとが入力されて記憶される。
本発明の情報処理装置1においては、上述した工事レコードと原価管理データとを合わせて、工事の原価管理に関する情報をユーザにとって見易いレイアウトで配置して、工事台帳ダイアログとして表示させることができる。図6は、工事台帳のダイアログの例を示す図である。
このダイアログは、図中左上のタグ251乃至254のうち、「工事別」を表すタグ251が選択されている場合に表示され、工事レコードの「工事名」毎に原価管理に関する情報を表示するものである。
フィールド272は、このダイアログに表示される対象となる工事の「年度」を表すフィールドであり、この例では、「2003(年度)」と表示されている。なお、フィールド272の表示は、ボックス271を操作することにより変更することができる。いま、ボックス271は、「西暦」が選択されているが、例えば、ボックス271を操作し、「和暦」を選択することにより、フィールド272には、「年度」が和暦で表示される。
フィールド273は、このダイアログに表示される対象となる工事の「決算(月)」を表すフィールドであり、この例では、「3月」と表示されている。ボックス274は、表示種別を選択するためのものであり、この例では、「年次」が選択されている。
ラジオボタン275乃至277は、このダイアログに表示される対象となる工事の検収状態を選択するものであり、この例では、「全体」を表すラジオボタン275が選択(オン)されているので、検収済であるか否かに係らず、全ての工事がこのダイアログに表示される対象となる。「検収済」を表すラジオボタン276が選択されている場合、検収済の工事のみがこのダイアログに表示される対象とされ、「未検収」を表すラジオボタン277が選択されている場合、検収が済んでいない(未検収)の工事のみがこのダイアログに表示される対象とされる。
フィールド291−1乃至フィールド291−5には、それぞれ、工事レコードと原価管理データとに基づいて、日付、工事名、原価管理データ名、見積金額、請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率が表示される。なお、フィールド291−1乃至フィールド291−5を個々に区別する必要がない場合、まとめてフィールド291と称する。
フィールド291−1乃至291−3は、「Aビル新築工事」に関する原価管理の情報が表示されるフィールドであり、フィールド291−1の最も右側の日付の欄には、「2003/05/31(西暦2003年5月31日を表す)」と表示されており、「Aビル新築工事」の工事レコード(図3)における項目「日付」の内容が表示される。日付の欄の右側の工事名の欄には、工事レコードにおける項目「工事名」の内容が表示される。
工事名の欄の右側の原価管理データ名の欄には、図5を参照して上述した原価管理データ名に対応する内容が表示される。この例では、フィールド291−2および291−3の原価管理データ名の欄に、「Aビル新築工事1F工事」および「Aビル新築工事2F工事」が表示されている。
原価管理データ名の欄には、見積金額、請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄が設けられている。見積金額の欄には、工事レコード(図3)における項目「見積金額」の内容が表示される。請負代金の欄には、図5の最も右側の請求実績の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が表示される。原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、それぞれ図5の最も右側の原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が表示される。
また、フィールド291−4とフィールド291−5には、それぞれ「Bビル新築工事」と「Cビル新築工事」に関する原価管理の情報が表示されている。
このように、ダイアログを表示させることで、ユーザは、工事1件ごとに、その工事の見積金額、その工事についての収入である請負金額、その工事についての支出である原価実績、およびその工事の粗利金額(粗利益率)を分かり易く表示させて確認することができる。
なお、ボックス274で「月次」が選択されている場合、フィールド291における請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄は、図5の場合と同様に月次で表示される。
図7は、工事台帳のダイアログの別の例を示す図である。このダイアログは、図中左上のタグ251乃至254のうち、「請負者別」を表すタグ252が選択されている場合に表示され、工事レコードの「請負者」毎に原価管理に関する情報を表示するものである。同図において図6と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
フィールド311−1は、「A建設」に関する原価管理の情報が表示されるフィールドであり、フィールド311−1の最も右側の請負者名の欄には、工事レコードにおける項目「請負者」の内容(いまの場合、A建設)が表示される。
請負者名の欄の右側の見積金額の欄には、工事レコード(図3)における項目「見積金額」の内容の合計が表示される。図6の場合、工事レコードの「工事名」毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の見積金額の欄には、工事レコードの項目「見積金額」の内容がそのまま表示されていたが、図7の場合、工事レコードの「請負者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「請負者」の内容が「A建設」である工事レコードが(複数)選択され、選択された(複数の)工事レコードの項目「見積金額」の内容(金額)が合計されて表示される。
見積金額の欄の右側の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、それぞれ図5の最も右側の請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が合計されて表示される。
図6の場合、工事レコードの「工事名」(すなわち、原価管理データの工事名称)毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、原価管理データの請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容がそのまま表示されていたが、図7の場合、工事レコードの「請負者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「請負者」の内容が「A建設」である工事レコードが選択され、複数の原価管理データ(図5)の中から、その工事名称が選択された工事レコードの項目「工事名」の内容と等しいもの、すなわち請負者が「A建設」である工事の原価管理データが(複数)選択され、選択された(複数の)原価管理データにおいて(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が、さらに合計されて表示される。
粗利益率の欄の右側の原価構成度の欄には、その請負者(例えば、「A建設」)が、どれだけ原価の要因となったかについての度合いを表す原価構成度の値が表示される。なお、原価構成度の詳細については、図13を参照して後述する。
原価構成度の欄の右側の建物種類の欄には、複数の工事レコードの中から、項目「請負者」の内容が「A建設」である工事レコードが選択され、選択された工事レコードにおける項目「建物種類」の内容が表示される。選択された工事レコードが複数あり、それらの工事レコードにおける項目「建物種類」の内容が複数ある場合、建物種類の欄には「その他」が表示される。なお、建物種類の欄に「その他」が表示されている場合、プルダウンボタンなどにより、建物種類を選択できるようにしてもよい。例えば、図7のフィールド311−1の建物種類として「病院」が選択されている場合、見積金額、請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、請負者が「A建設」であって、かつ建物種類が「病院」である工事の原価管理データが(複数)選択され、選択された(複数の)原価管理データにおいて(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が、さらに合計されて表示される。
建物種類の欄の右側の広さの欄には、複数の工事レコードの中から、項目「請負者」の内容が「A建設」である工事レコードが選択され、選択された工事レコードにおける項目「広さ」の内容が合計されて表示される。
また、フィールド311−2とフィールド311−3には、それぞれ「B建設」と「C不動産」に関する原価管理の情報が表示されている。
このように、ダイアログを表示させることで、ユーザは、請負者毎に、その請負者から受注した工事の見積金額、その請負者から受注した工事についての収入である請負金額、その請負者から受注した工事についての支出である原価実績、およびその請負者から受注した工事の粗利金額(粗利益率)を分かり易く表示させて確認することができる。
なお、ボックス274で「月次」が選択されている場合、フィールド311−1乃至311−3における請負代金、原価実績、粗利金額の欄は、図8に示されるように月次で表示される。
図9は、工事台帳のダイアログのさらに別の例を示す図である。このダイアログは、図中左上のタグ251乃至254のうち、「業者別」を表すタグ253が選択されている場合に表示され、工事レコードの「業者」毎に原価管理に関する情報を表示するものである。同図において図6と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
フィールド331−1は、「A業者」に関する原価管理の情報が表示されるフィールドであり、フィールド331−1の最も右側の業者名の欄には、工事レコードにおける項目「業者」の内容(いまの場合、A業者)が表示される。
業者名の欄の右側の見積金額の欄には、工事レコード(図3)における項目「見積金額」の内容の合計が表示される。図6の場合、工事レコードの「工事名」毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の見積金額の欄には、工事レコードの項目「見積金額」の内容がそのまま表示されていたが、図9の場合、工事レコードの「業者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「業者」の内容が「A業者」である工事レコードが(複数)選択され、選択された(複数の)工事レコードの項目「見積金額」の内容(金額)が合計されて表示される。
見積金額の欄の右側の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、それぞれ図5の最も右側の請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が合計されて表示される。
図6の場合、工事レコードの「工事名」(すなわち、原価管理データの工事名称)毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、原価管理データの請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容がそのまま表示されていたが、図9の場合、工事レコードの「業者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「業者」の内容が「A業者」である工事レコードが選択され、複数の原価管理データ(図5)の中から、その工事名称が選択された工事レコードの項目「工事名」の内容と等しいもの、すなわち業者が「A業者」である工事の原価管理データが(複数)選択され、選択された(複数の)原価管理データにおいて(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が、さらに合計されて表示される。
粗利益率の欄の右側の原価構成度、建物種類、広さの欄については、図7を参照して上述した場合と同様なので、その説明は省略する。
また、フィールド331−2とフィールド331−3には、それぞれ「B業者」と「C業者」に関する原価管理の情報が表示されている。
このように、ダイアログを表示させることで、ユーザは、業者毎に、その業者に発注した工事の見積金額、その業者に発注した工事についての収入である請負金額、その業者に発注した工事についての支出である原価実績、およびその業者に発注した工事の粗利金額(粗利益率)を分かり易く表示させて確認することができる。
なお、ボックス274で「月次」が選択されている場合、フィールド331−1乃至331−3における請負代金、原価実績、粗利金額の欄は、図10に示されるように月次で表示される。
図11は、工事台帳のダイアログのさらに別の例を示す図である。このダイアログは、図中左上のタグ251乃至254のうち、「担当者別」を表すタグ254が選択されている場合に表示され、工事レコードの「担当者」毎に原価管理に関する情報を表示するものである。同図において図6と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
フィールド351−1は、「○○」に関する原価管理の情報が表示されるフィールドであり、フィールド351−1の最も右側の担当者名の欄には、工事レコードにおける項目「担当者」の内容(いまの場合、○○)が表示される。
業者名の欄の右側の見積金額の欄には、工事レコード(図3)における項目「見積金額」の内容の合計が表示される。図6の場合、工事レコードの「工事名」毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の見積金額の欄には、工事レコードの項目「見積金額」の内容がそのまま表示されていたが、図11の場合、工事レコードの「担当者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「担当者」の内容が「○○」である工事レコードが(複数)選択され、選択された(複数の)工事レコードの項目「見積金額」の内容(金額)が合計されて表示される。
見積金額の欄の右側の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、それぞれ図5の最も右側の請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が合計されて表示される。
図6の場合、工事レコードの「工事名」(すなわち、原価管理データの工事名称)毎に原価管理に関する情報が表示されていたので、フィールド291の請負代金、原価実績、粗利金額、および粗利益率の欄には、原価管理データの請求実績、原価実績、粗利金額、および粗利益率の(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容がそのまま表示されていたが、図11の場合、工事レコードの「担当者」毎に原価管理に関する情報が表示されるので、例えば、複数の工事レコードの中から、項目「担当者」の内容が「担当業者」である工事レコードが選択され、複数の原価管理データ(図5)の中から、その工事名称が選択された工事レコードの項目「工事名」の内容と等しいもの、すなわち担当者が「○○」である工事の原価管理データが(複数)選択され、選択された(複数の)原価管理データにおいて(12ヶ月間の)合計の欄に記載されている内容が、さらに合計されて表示される。
粗利益率の欄の右側の原価構成度、建物種類、広さの欄については、図7を参照して上述した場合と同様なので、その説明は省略する。
また、フィールド351−2とフィールド351−3には、それぞれ「××」と「△△」に関する原価管理の情報が表示されている。
このように、ダイアログを表示させることで、ユーザは、担当者毎に、その担当者が担当した工事の見積金額、その担当者が担当した工事についての収入である請負金額、その担当者が担当した工事についての支出である原価実績、およびその担当者が担当した工事の粗利金額(粗利益率)を分かり易く表示させて確認することができる。
なお、ボックス274で「月次」が選択されている場合、フィールド351−1乃至351−3における請負代金、原価実績、粗利金額の欄は、図12に示されるように月次で表示される。
次に、上述した原価構成度を算出する原価構成度算出処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。この処理は、例えば、予め設定された数の工事レコードと原価管理データが入力された後、ユーザの指令に基づいて実行される。あるいは、予め設定された数の工事レコードと原価管理データが入力された後、自動的に実行されるようにしてもよい。
ステップS1において、データ取得部101は、記憶部58から工事レコードと原価管理データを取得する。これにより、図6を参照して上述した場合と同様に、工事1件ごとに、その工事についての収入である請負金額(=請求実績)、その工事についての支出である原価実績が把握できる。
ステップS2において、請負原価率算出部102は、ステップS1で取得された工事レコードと原価管理データに基づいて、請負原価率を算出する。ここで請負原価率は、工事にかかった金額(支払った金額)と、請け負った金額(得られた収入)の比率を表すものとし、具体的には、請負原価率=原価実績/請負金額により算出される。
ステップS3において、要因抽出部103は、工事レコードに基づいて、その工事の請負原価率を構成する要因を抽出する。ここで請負原価率を構成する要因は、その工事に関わった請負者(発注者)、担当者、または業者とされる。
ある工事の請負原価率が他の工事と比較して大きい場合、例えば、次のような理由が考えられる。下請けの業者が高い金額で請け負ったため、下請け業者への支払いが高くなり、請負原価率が高くなった、または、発注者(請負者)側の条件や注文などが多く、結果として請負金額は低いにも関わらず工事全体の原価が高くなり、請負原価率が高くなった、あるいはまた、担当者が工事の規模などを適確に把握しておらず、適正な請負金額を発注者に請求しなかったため、請負金額が低くなり請負原価率が高くなった、などの理由が考えられる。すなわち、その工事の請負原価率を構成することになった重要な要因として、その工事に関わった請負者(発注者)、担当者、または業者があげられる。
ステップS3においては、工事の請負原価率が要因と対応付けられ、例えば、図14に示されるような情報が生成され、その情報が要因原価構成度算出部103に出力される。図14は、工事毎の請負原価率と、請負原価率を構成する要因の対応関係を示す図である。
いま、ステップS1で工事番号1乃至9の工事レコードが取得され、それらの工事レコードに、請負者としてA、B、またはCが、担当者としてL、M、またはN、業者としてX、Y、またはZが記述されていたものとする。図14の第1行目には、工事番号1の工事レコードは、請負者がAであり、担当者がLであり、業者がXであることが記述されている。そして、工事番号1の工事レコード(の項目「工事名」)に対応する原価管理データに基づいて算出された請負原価率(いまの場合、1.00)が記述されている。
同様に、第2行目には、工事番号2の工事レコードの、請負者(A)、担当者(M)、業者(Y)、および工事番号2の工事レコードに対応する原価管理データに基づいて算出された請負原価率(0.95)が記述されている。以下、同様に、工事番号3乃至9の工事レコードの、請負者、担当者、業者、および請負原価率が記述されている。
ステップS4において、要因原価構成度算出部104は、ステップS3で出力された情報に基づいて、要因と請負原価率の連立方程式を生成する。このとき、要因原価構成度算出部104は、図14の情報に基づいて、例えば、次式のような連立方程式を生成する。
A+L+X=1.00
A+M+Y=0.95
A+N+Z=0.95
B+L+Y=1.10
B+M+Z=1.05
B+N+X=0.90
C+L+Z=1.20
C+M+X=1.00
C+N+Y=1.00
この例では、ステップS4において、その工事に関わった3つの要因(請負者、担当者、または業者)を足し合わせて連立方程式を生成するようにしたが、例えば、3つの要因を掛け合わせて連立方程式を生成するようにしてもよい。あるいはまた、要因毎に所定の重み係数などを乗じて連立方程式が生成されるようにしてもよい。要は、原価構成度を算出するにあたって最適なモデル式を採用し、そのモデル式に従って連立方程式が生成されるようにすればよい。
ステップS5において、要因原価構成度算出部104は、ステップS4で生成した連立方程式を解いて、要因毎の原価構成度を算出する。これにより、図15に示されるように各要因の原価構成度が算出される。ここで、算出される原価構成度は、その要因が、工事の請負原価率を高くするためにどれだけ貢献したかの度合いを表すことになる。工事による儲けが大きい場合、原価請負率は低くなり、工事による儲けが小さい場合、原価請負率は高くなるので、通常、原価構成度の値が高いほど、その要因の評価は低くなり、原価構成度の値が低いほど、その要因の評価は高くなる。
ステップS6において、データ出力部105は、図15に示される要因毎の原価構成度を記憶部58に記憶する。
このようにして、各要因、すなわち請負者、担当者、または業者の原価構成度が算出される。算出された原価構成度は、例えば、図7、図9、または図11を参照して上述したダイアログを表示するとき、それぞれ請負者、業者、または担当者毎の原価構成度の欄に表示される値として利用される。このようにすることで、ユーザは、個々の請負者、業者、または担当者について、適正な評価を行うことができ、儲けを多くするために改善すべき要因を迅速に把握することができる。その結果、例えば、評価の低い請負者(発注者)に対しては、見積金額をアップさせたり、評価の低い担当者に対しては、給料を適正な額に抑えたり、評価の低い業者に対しては、コストの削減を定量的に要求するなど、収益(儲け)をアップさせるために適切な対応をとることができる。
ところで、新たに工事が行われた場合、上述した各要因の原価構成度も変化することになり、この場合、原価構成度の修正が必要となる。図16のフローチャートを参照して、原価構成度修正処理について説明する。この処理は、図13を参照して上述した原価構成度算出処理により、1度、各要因の原価構成度が算出された後、ユーザの指令に基づいて実行される。あるいは、1度、各要因の原価構成度が算出された後、予め設定された期間(例えば1ヶ月間)が経過したとき、自動的に実行されるようにしてもよい。
ステップS31において、データ取得部101は、記憶部58に新しい工事レコードと原価管理データとが生成されているか否かを判定し、新しい工事レコードと原価管理データとが生成されていると判定された場合、ステップS32に進み、データ取得部101は、新しい工事レコードと原価管理データを取得する。
ステップS33において、請負原価率算出部102は、新しい工事レコードと原価管理データに基づいて、その工事の請負原価率を算出する。ステップS34において、要因抽出部103は、工事レコードに基づいて要因を抽出する。例えば、新しい工事レコードが工事番号10の工事レコードであり、その新しい工事レコードに対応する新しい原価管理データに基づいて算出された請負原価率は1.00であったとする。また、工事番号10の工事レコードは、請負者がAであり、担当者がLであり、業者がZであることが記述されていたものとする。ステップS34では、要因A,L,Zと請負原価率(1.00)が対応付けられて要因原価構成度算出部104に出力される。
ステップS35において、要因原価構成度算出部104は、要因と請負原価率の方程式を生成する。このとき、まず予め算出されている原価構成度(図15)に基づいて、次式が生成される。
A+L+Z=(0.30+0.40+0.40=)1.10
また、新しい工事レコードと原価管理データに基づいて次式が生成される。
A+L+Z=1.00
ステップS36において、要因原価構成度算出部104は、ステップS35で生成された方程式(上述した2つ式)に基づいて、要因毎の新しい原価構成度を、例えば次のようにして算出する。
A = (1.00/1.10)×0.30 = 0.273
L = (1.00/1.10)×0.40 = 0.364
Z = (1.00/1.10)×0.40 = 0.364
ステップS37において、要因原価構成度算出部104は、要因毎の原価構成度の平均値を、例えば次のようにして算出する。要因(請負者)Aの場合、図14の工事番号1乃至3の工事レコードが過去に記憶(蓄積)されており、図15に示される原価構成度の値(0.30)は、過去3回の工事の平均の原価構成度と考えることができる。従って、要因Aの原価構成度の平均値は、次のように求めることができる。
要因Aの原価構成度の平均値=(3×0.30 + 0.273)/4 = 0.293≒0.29
同様に、要因(担当者)L、または要因(業者)Zの原価構成度の平均値も次のように計算できる。
要因Lの原価構成度の平均値= (3×0.40 + 0.364)/4 = 0.391≒0.39
要因Zの原価構成度の平均値= (3×0.40 + 0.364)/4 = 0.391≒0.39
ステップS38において、データ出力部105は、ステップS37で算出された要因毎の原価構成度の平均値(新しい原価構成度の値)に基づいて、要因毎の原価構成度を修正し、記憶部58に記憶させる。これにより、図15のように記憶されていた要因毎の原価構成度が、図17のように修正されて上書きされる。図15において、要因A、要因L、要因Zの原価構成度は、それぞれ0.30、0.40、0.40であったが、図17においては、要因A、要因L、要因Zの原価構成度が、それぞれ0.29、0.39、0.39に修正されている。
なお、ステップS31において、記憶部58に新しい工事レコードと原価管理データとが生成されていないと判定された場合、処理は終了される。
このようにして原価構成度の修正が行われる。このようにすることで、新たに工事が行われた場合、原価構成度が修正され、その結果、ユーザは各要因をより適正に評価することができる。
図13を参照して上述した例においては、予め設定された数の工事レコードと原価管理データに基づいて、要因毎の原価構成度が算出されるようにしたが、この場合、工事の内容に関わらず一律に原価構成度が算出される。しかし、例えば、建物種類、広さなど工事の内容によって、要因の評価が変化する場合もあり得る。例えば、ある業者は、全体としての評価は低いが、病院の工事に精通しており、建物種類が病院である工事については原価構成度が低い(評価が高い)といったことが考えられる。このため、工事を実施する際に、最適な要因を選択するためには、工事の内容を考慮してより詳細な原価構成度を算出することが好ましい。
図18のフローチャートを参照して、詳細な原価構成算出処理について説明する。この処理は、例えば、予め設定された数の工事レコードと原価管理データが入力された後、ユーザの指令に基づいて実行される。
ステップS71において、データ取得部101は、入力部56を介してユーザから工事内容の入力を受け付ける。このとき、工事内容として、例えば、「病院」、「工場」などの建物種類が入力される。あるいは、所定の数値などにより指定される建物の広さが工事内容として入力されるようにしてもよい。
ステップS72において、データ取得部101は、当該工事内容の工事レコードと原価管理データを記憶部58から取得する。例えば、ステップS71において工事内容として「病院」が入力された場合、ステップS72では、記憶部58に記憶されている複数の工事レコードのうち、項目「建物種類」の内容が「病院」である工事レコードが選択され、それらの工事レコードとともに、対応する原価管理データが取得される。
ステップS73において、請負原価率算出部102は、ステップS72で取得された工事レコードと原価管理データに基づいて、請負原価率を算出する。ステップS74において要因抽出部103は、工事レコードに基づいて、その工事の請負原価率を構成する要因を抽出する。その結果、図14を参照して上述した場合と同様に、工事の請負原価率が要因と対応付けられ、要因原価構成度算出部104に出力される。
ステップS75において、要因原価構成度算出部104は、ステップS74で出力された情報に基づいて、要因と請負原価率の方程式を生成し、ステップS76において、ステップS75で生成された方程式を解いて、要因毎の原価構成度を算出する。なお、ステップS75とステップS76の処理は、図13のステップS4とステップS5の処理と同様なので詳細な説明は省略する。
ステップS77において、データ出力部105は、図15を参照して上述した場合とどうように要因毎の原価構成度を記憶部58に記憶させる。ただし、ここで記憶される原価構成度は、図15の場合と異なり、建物種類が病院である工事にのみに基づいて算出された詳細な原価構成度となる。
このようにして、各要因、すなわち請負者、担当者、または業者の詳細な原価構成度が算出される。算出された原価構成度は、例えば、図7、図9、または図11を参照して上述したダイアログを表示するとき、建物種類の欄が「病院」と表示されている場合、それぞれ請負者、業者、または担当者毎の原価構成度の欄に表示される値として利用される。このようにすることで、ユーザは、病院の工事に特化して、個々の請負者、業者、または担当者について、適正な評価を行うことができ、儲けを多くするために最適な要因を迅速に選択することができる。
上述した一連の処理をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどに、通信部59を介して接続されるネットワークやリムーバブルメディア61からインストールされる。
なお、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。