JP4580106B2 - 核酸の組換えクローニングにおける使用のための組成物および方法 - Google Patents
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Description
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、概して、組換えDNA技術に関する。より詳細には、本発明は、核酸分子の組換えクローニングにおける使用のための組成物および方法に関する。本発明は特に、1以上の組換え部位または1以上の部分的な組換え部位(特にattB、attP、attL、およびattR)をコードする核酸分子、ならびにそれらのフラグメント、変異体、改変体および誘導体に関する。本発明はまた、1以上の組換え部位ヌクレオチド配列が、1以上のさらなる物理的ヌクレオチド配列または機能的ヌクレオチド配列と作動可能に連結した、このような核酸分子に関する。本発明はまた、本発明のベクターまたは核酸分子を含む宿主細胞、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドおよびRNAを産生する方法、ならびにこれらの核酸分子によってコードされるかまたは本発明の方法によって産生されるポリペプチド(これは、融合タンパク質であり得る)に関する。本発明はまた、本発明の1以上のポリペプチドまたはそれらのエピトープに結合する抗体(これらは、モノクロナール抗体またはポリクロナール抗体であり得る)に関する。本発明はまた、特定の特徴を有するキメラDNA分子および/またはDNAセグメントを提供するための、核酸の組換えクローニング方法(インビボおよびインビトロ)における、これらの核酸分子、ベクター、ポリペプチドおよび抗体の使用に関する。より詳細には、本発明の抗体を使用して、本発明の核酸分子もしくはベクターによってコードされるタンパク質または融合タンパク質を同定および/または精製し得るか、あるいは本発明の核酸分子を同定および/または精製し得る。
【0002】
(関連技術)
部位特異的リコンビナーゼ。部位特異的リコンビナーゼは、多くの生物体(例えば、ウイルスおよび細菌)に存在するタンパク質であり、エンドヌクレアーゼ特性およびリガーゼ特性の両方を有すると特徴付けられている。これらのリコンビナーゼ(いくつかの場合、会合タンパク質と共に)は、DNA中の特定の塩基配列を認識し、そしてそれらのセグメントに隣接するDNAセグメントを交換する。リコンビナーゼおよび会合タンパク質は、総称して「組換えタンパク質」といわれる(例えば、Landy,A.、Current Opinion inBiotechnology 3:699−707(1993)を参照のこと)。
【0003】
種々の生物体由来の多くの組換え系が記載されている。例えば、Hoessら、Nucleic Acids Research 14(6):2287(1986);Abremskiら、J.Biol.Chem.261(1):391(1986);Campbell、J.Bacteriol.174(23):7495(1992);Qianら、J.Biol.Chem.267(11):7794(1992);Arakiら、J.Mol.Biol.225(1):25(1992);MaeserおよびKahnmann、Mol.Gen.Genet.230:170−176(1991);Espositoら、Nucl.Acids Res.25(18):3605(1997)を参照のこと。
【0004】
これらの多くは、リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属する(Argosら、EMBO J.5:433−440(1986);Voziyanovら、Nucl.Acids Res.27:930(1999))。おそらく、これらのうち最も研究されているのは、バクテリオファージλ由来のインテグラーゼ/att系(Landy,A.、Current Opinions in Genetics and Devel.3:699−707(1993))、バクテリオファージP1由来のCre/loxP系(HoessおよびAbremski(1990)、Nucleic Acids and Molecular Biology、第4巻、編:EcksteinおよびLilley、Berlin Heidelberg:Springer−Verlag;90−109頁)およびSaccharomyces cerevisiae2μ環状プラスミド由来のFLP/FRT系(Broachら、Cell 29:227−234(1982))である。
【0005】
Backman(米国特許第4,673,640号)は、野生型組換え部位attBおよびattPを用いる酵素的部位特異的組換えによってタンパク質産生DNAセグメントの組換えのための、λリコンビナーゼのインビボでの使用を開示する。
【0006】
HasanおよびSzybalski(Gene 56:145−151(1987))は、プロモーターに隣接する野生型attP部位とattB部位との間の分子内組換えのための、インビボでのλIntリコンビナーゼの使用を開示する。これらの部位の配向はお互いに関して反転しているので、これは、目的の遺伝子に関するプロモーター領域の非可逆的なフリッピングを引き起こす。
【0007】
Palazzoloら、Gene 88:25−36(1990)は、クローン化されたDNA配列の外側かつ野生型loxP部位の間に位置する制限部位を含むバクテリオファージλアームを有する、ファージλベクターを開示する。Creリコンビナーゼを発現するE.coli細胞の、これらのファージベクターへの感染は、loxP部位間の組換えおよびプラスミドレプリコン(クローン化されたcDNAを含む)のインビボでの切除を生じる。
【0008】
Posfaiら(Nucl.Acids Res.22:2392−2398(1994))は、選択可能なマーカーを有する部分的な発現ベクターを、ゲノムDNAに挿入し、2つの野生型FRT認識配列に隣接させるための方法を開示する。細胞中に存在するようなFLP部位特異的リコンビナーゼは、所定の位置でゲノムにベクターを組み込むために使用される。レプリコンが機能的である条件下で、このクローン化されたゲノムDNAは増幅され得る。
【0009】
Bebeeら(米国特許第5,434,066号)は、部位間のインビボでの組換えのための2つのloxP部位を含むDNAに対する、部位特異的リコンビナーゼ(例えば、Cre)の使用を開示する。
【0010】
Boyd(Nucl.Acids Res.21:817−821(1993))は、平滑末端化DNAのクローニングを容易にする方法を開示し、この方法は、E.coli宿主細胞の存在下で、Cre部位特異的リコンビナーゼによって作用する野生型locP部位を含む、脱リン酸化されたベクターとの分子間連結を促進する条件を使用する。
【0011】
Waterhouseら(WO93/19172およびNucleic Acids Res.21(9):2265(1993))は、特定の抗体の軽鎖および重鎖を、loxP部位とloxP511部位との間の異なるファージベクターにクローン化し、そして新しいE.coli細胞にトランスフェクトするために使用するインビボ方法を開示する。Cre(宿主細胞において2つの親分子(1つのプラスミド、1つのファージ)に作用する)は、平衡状態にある4つの産物:2つの異なる融合体(loxP部位またはloxP511部位のいずれかで組換えによって産生される)、および2つの娘分子を産生し、これらのうちの1つは所望の産物であった。
【0012】
SchlakeおよびBode(Biochemistry 33:12746−12751(1994))は、野生型およびスペーサー変異FRT組換え部位にそれぞれ隣接する、規定された染色体の位置で発現カセットを交換するインビボ方法を開示する。二重相互乗換えは、部位特異的組換えについてのこのFLP/FRT系を使用することによって、培養された哺乳動物細胞において媒介された。
【0013】
Hartleyら(米国特許第5,888,732号)は、核酸セグメントおよび分子の組換え交換のための組成物および方法(インビトロおよびインビボでの種々の核酸分子の組換えクローニングにおける使用を含む)を開示し、この方法は、野生型および変異組換え部位ならびに組換えタンパク質の組み合わせを使用する。
【0014】
トランスポザーゼ。酵素(トランスポザーゼ)のファミリーはまた、レプリコン間の遺伝的情報を伝達するために使用されている。トランスポゾンは、構造的に多様であり、単体または化合物として記載されているが、代表的に、逆の配向でオーガナイズされたDNA配列に隣接するリコンビナーゼ遺伝子をコードする。トランスポゾンの組込みは、ランダムであるかまたは非常に特異的であり得る。Tn7(これは非常に部位特異的である)のような代表的なものは、レプリコン間のDNAセグメントのインビボでの移動に適応されている(Lucklowら、J.Virol.67:4566−4579(1993))。
【0015】
DevineおよびBoeke、Nucl.Acids Res.22:3765−3772(1994)は、レシピエントDNA分子へのDNAセグメントのインビトロでの挿入のための人工トランスポゾンの構築を開示する。この系は、酵母TY1ウイルス様粒子のインテグラーゼを使用する。目的のDNAセグメントは、トランスポゾン様要素TY1の末端間で、標準的な方法を用いてクローン化される。TY1インテグラーゼの存在下で、得られる要素は、第2の標的DNA分子へランダムに組み込む。
【0016】
(組換え部位)。上記の組換えタンパク質および/またはトランスポザーゼにより媒介される組込み/組換え反応に対するキーはまた、組込み/組換え反応に関与するDNA分子上の認識配列(しばしば「組換え部位」と呼ばれる)である。これらの組換え部位は、組込みまたは組換えの初期段階の間に組換えタンパク質により認識され、そして結合される関与する核酸分子上の、DNAの別個の部分またはセグメントである。例えば、Creリコンビナーゼ(recombinase)についてのこれらの組換え部位は、loxPであり、これは、8塩基対コア配列に隣接する2つの13塩基対逆反復(リコンビナーゼ結合部位として作用する)を含む34塩基対配列である。Sauer,B.,Curr.Opin.Biotech.5;521−527(1994)の図1を参照のこと。認識配列の別の例としては、組換えタンパク質λIntにより認識される、attB、attP、attLおよびattR配列が挙げられる。attBは、2つの9塩基対コア型Int結合部位および7塩基対オーバーラップ領域を含む約25塩基対配列であり、一方attPは、コア型Int結合部位およびarm型Int結合部位ならびに補助タンパク質の組込み宿主因子(integration host factor)(IHF)、FISおよび除去酵素(Xis)についての部位を含む約240塩基対配列である。Landy、Curr.Opin.Biotech.3:699−707(1993)を参照のこと;本明細書中に参考として援用される米国特許第5,888,732号もまた参照のこと。
【0017】
(DNAクローニング)。DNAセグメントのクローニングは、現在では、多くの研究所における日常の慣用的な仕事として、かつ多くの遺伝的分析における前もって必要な工程として見出される。これらのクローニングの目的は、多様であるが、2つの一般的な目的が、考慮され得る:(1)比較的少量の公知のベクター(例えば、pUC、pGem、pBlueScript)で行われる、大きなDNAまたはRNAセグメント(染色体、YAC、PCRフラグメント、mRNAなど)からのDNAの最初のクローニング、および(2)これらのDNAセグメントの機能的分析のために特殊化されたベクターへのサブクローニング。多量の時間および努力が、最初のクローニングベクターからより特殊化されたベクターへのDNAセグメントの移入において、両方とも費やされる。この移入は、サブクローニングと呼ばれる。
【0018】
クローニングのための基本的な方法は、長年の間公知であり、そしてその間にほとんど変化していない。代表的なクローニングプロトコルは、以下のようである:
(1)目的のDNAを1つまたは1つの制限酵素を用いて消化する;
(2)既知である場合、目的のDNAセグメントをゲル精製する;
(3)適切な場合、適切な制限酵素を用いる切断、アルカリホスファターゼを用いる処理、ゲル精製などによりベクターを調製する;
(4)切断されず、かつ自己連結したベクターのバックグラウンドを削除するための適切なコントロールとともに、DNAセグメントをベクターに連結する;
(5)生じたベクターをE.coli宿主細胞に導入する;
(6)選択されたコロニーを取り、そして小さい培養物を一晩増殖させる;
(7)DNAミニプレップ(miniprep)を作製する;そして
(8)アガロースゲルでか(しばしば診断的な制限酵素消化の後に)またはPCRにより単離されたプラスミドを分析する。
【0019】
DNAセグメントのサブクローニングのために使用される特殊化ベクターは、機能的に多様である。これらには、以下が含まれるが、これらに限定されない:種々の生物体において核酸分子を発現するためのベクター;核酸分子の発現を調節するためのベクター;タンパク質精製において補助するためのタグまたは細胞におけるタンパク質の追跡を可能にするためのタグを提供するためのベクター;クローン化されたDNAセグメントを改変する(例えば、欠失を生成する)ためのベクター;プローブ(例えば、リボプローブ)の合成のためのベクター;DNA配列決定のためのテンプレートの調製のためのベクター;タンパク質コード領域の同定のためのベクター;種々のタンパク質コード領域の融合のためのベクター;目的のDNAを大量に提供するためのベクターなど。特定の研究が、いくつかの異なる特殊化ベクターへ目的のDNAセグメントをサブクローニングすることを含むということは一般的である。
【0020】
当該分野で公知のように、単純なサブクローニングは、1日で行われ得る(例えば、DNAセグメントは、大きくなく、そして制限部位がサブクローニングベクターの制限部位と適合性である)。しかし、多くの他のサブクローニング(特に未知の配列、長いフラグメント、毒性遺伝子、制限部位の不適切な配置、高いバックグラウンド、不純な酵素などを含むサブクローニング)は、数週間かかり得る。従って、DNAフラグメントのサブクローニングは、しばしばできるだけ少ない回数で行われるべき面倒な仕事とみなされる。
【0021】
DNAセグメントのクローニングを容易にするためのいくつかの方法は、例えば、以下の参考文献に記載されテイル。
【0022】
Ferguson,J.ら,Gene 16:191(1981)は、酵母DNAのフラグメントのサブクローニングのためのベクターのファミリーを開示する。これらのベクターは、カナマイシン耐性をコードする。より長い酵母DNAセグメントのクローンは、部分的に消化され得、そしてサブクローニングベクターに連結され得る。元々のクローニングベクターがアンピシリンに対する耐性を伝達する場合、選択性はカナマイシンであるため、形質転換の前に精製は全く必要無い。
【0023】
Hashimoto−Gotoh,Tら、Gene 41:125(1986)は、ストレプトマイシン感受性遺伝子内の独特のクローニング部位を有するサブクローニングベクターを開示し;ストレプトマイシン耐性宿主において、優性感受性遺伝子におけるインサートまたは欠失を有するプラスミドのみが、ストレプトマイシン選択に耐える。
【0024】
従って、制限酵素およびリガーゼを用いる伝統的なサブクローニング方法は、時間を浪費し、かつ比較的あてにならない。かなりの労働力が費やされ、そして2日以上後に所望のサブクローンが、候補プラスミドの中に見出され得ない場合には、全体のプロセスを、代替の条件を試して繰り返されなけれなならない。部位特異的リコンビナーゼがインビボでDNAを組換えるために使用されたが、インビトロでのこのような酵素の首尾良い使用は、いくつかの問題をこうむると予測された。例えば、部位特異性および有効性は、インビトロでは異なると予測され;トポロジー的に連結された産物が予想され;そしてDNA基質および組換えタンパク質のトポロジーは、インビトロでかなり異なると予測された(例えば、Adamsら、J.Mol.Biol.226:661−73(1992)を参照のこと)。インビボで何時間もの間続き得る反応は、インビトロでは酵素が不活化する前にかなり少ない回数で起こると予測された。さらに、反応に関与する核酸分子のトポロジー(すなわち、線状、コイル状、超コイル状など)の効果が知られていなかったのと同様に、インビトロ反応におけるより長い時間のインキュベーションの後の組換え酵素の安定性は知られていなかった。複数のDNA組換え産物は、使用された生物学的宿主において、サブクローニングの不十分な信頼性、特異性または有効性を生じると予測された。従って、インビトロ組換え反応は、所望のレベルの産物を得るのに十分な有効性が期待されなかった。
【0025】
従って、制限酵素およびリガーゼの公知の使用を超える利点を提供する代替のサブクローニング系を提供する、切実な必要が長い間存在する。
【0026】
(発明の要旨)
本発明は、1つ以上の組換え部位または1つ以上の部分的組換え部位、特にattB、attP、attL、およびattRならびにそれらのフラグメント、変異体、改変体および誘導体をコードする核酸分子に関する。本発明はまた、以下を含むような核酸分子に関する:1つ以上の組換え部位ヌクレオチド配列またはその部分、および1つ以上の付加的な物理的または機能的ヌクレオチド配列、例えば、1つ以上の多重クローニング部位、1つ以上の転写終結部位、1つ以上の転写調節配列(例えば、1つ以上のプロモーター、エンハンサー、またはレプレッサ)、1つ以上の翻訳シグナル配列、融合パートナータンパク質またはペプチド(例えば、GST、His6もしくはチオレドキシン)をコードする1つ以上のヌクレオチド配列、1つ以上の選択マーカーまたはモジュール、局在化シグナル(例えば、核局在化シグナルまたは分泌シグナル)をコードする1つ以上のヌクレオチド配列、1つ以上の複製起点,1つ以上のプロテアーゼ切断部位、遺伝子または遺伝子の部分によりコードされる1つ以上の所望のタンパク質またはペプチド、ならびに1つ以上の5’または3’ポリヌクレオチドテイル(特に、ポリGテイル)をコードするヌクレオチド配列。本発明はまた、1つ以上の組換え部位ヌクレオチド配列が、1つ以上の付加的な物理的または機能的ヌクレオチド配列に作動可能に連結されるような核酸分子に関する。
【0027】
本発明はまた、本発明の組換え部位ヌクレオチド配列(またはその部分)を含むプライマー核酸分子、ならびに1つ以上の標的特異的(例えば、1つ以上の遺伝子特異的)プライマー核酸配列に連結されるようなプライマー核酸分子に関する。このようなプライマーはまた、(例えば、PCR、RT−PCRなどにより)増幅されるDNAまたはRNA配列に相補的または相同な配列を含み得る。このようなプライマーはまた、タンパク質遺伝子(リボソーム結合部位、局在化シグナル、プロテアーゼ切断部位、レプレッサ結合部位、プロモーター、転写終止、終止コドンなど)の発現において有用な配列または配列の部分を含み得る。このプライマーはまた、DNA分子の操作において有用な配列または配列の部分(制限部位、転位部位、配列決定のプライマーなど)を含み得る。本発明のプライマーは、核酸合成において使用され得、そして好ましくは核酸分子の増幅(例えば、PCR)のために使用される。本発明のプライマーが、標的特異的または遺伝子特異的配列(合成または増幅される標的内に含まれ、翻訳シグナル、遺伝子配列、終止コドン、転写シグナル(例えば、プロモーター)などを含む任意の配列)を含む場合、標的配列または遺伝子の増幅または合成は、達成され得る。従って、本発明は、1つ以上の本発明のプライマーを核酸テンプレートと混合する工程、およびその混合物をテンプレートの全てまたは部分に相補的な第1の核酸分子を作製するのに十分な条件下でインキュベートする工程を包含する、核酸分子の合成に関する。従って、本発明は、詳細には、核酸分子を合成する方法に関し、この方法は、以下:
(a)核酸テンプレートをポリメラーゼ活性を有するポリぺプチドおよび1つ以上の組換え部位またはその部分を含む1つ以上のプライマーと混合する工程;ならびに
(b)この混合物を、テンプレートの全てまたは一部と相補的でありかつ好ましくは1つ以上の組換え部位またはその部分を含む第1の核酸分子を合成するのに十分な条件下でインキュベートする工程、
を包含する。
本発明のこのような方法は、この第1の合成された核酸分子を、この第1の核酸分子の全てまたは一部に相補的な第2の核酸分子を合成するのに十分な条件下で、インキュベートする工程をさらに包含し得る。このような合成は、その末端の一方または両方に組換え部位またはその一部を有する第1の核酸分子を提供し得る。
【0028】
好ましい局面において、核酸分子の合成について、少なくとも2つのプライマーが使用され、ここで各プライマーは、その末端において、および/または各プライマーの内部配列内に相同な配列を含む(約2〜約500塩基、好ましくは約3〜約100塩基、約4〜約50塩基、約5〜25塩基、そして最も好ましくは約6〜約18塩基の長さのオーバーラップする相同性を有し得る)。好ましい局面において、第1のこのようなプライマーは、少なくとも1つの標的特異的配列および少なくとも1つの組換え部位またはその部分を含み、一方第2のプライマーは、少なくとも1つの組換え部位またはその部分を含む。好ましくは、第1のプライマーと第2のプライマーとの間の相同性領域は、組換え部位の少なくとも一部を含む。別の局面において、第1のプライマーと第2のプライマーとの間の相同性領域は、1つ以上のさらなる配列(例えば、発現シグナル、翻訳開始モチーフ、または増幅の際に所望の核酸配列に機能を付加する他の配列)を含み得る。実際には、プライマーの二対が、核酸分子の合成または増幅のプライムをする。好ましい局面において、合成されたかまたは増幅された核酸分子の全てまたは少なくとも一部は、テンプレートの全てまたは一部に相同性であり、そして合成されたかまたは増幅された分子の少なくとも一方の末端そして好ましくは両末端に、組換え部位またはその一部をさらに含む。このような合成されたかまたは増幅された核酸分子は、二重鎖または一重鎖であり得、そして本発明の組換えクローニング方法において使用され得る。本発明の相同性プライマーは、プライマーの1つの組が任意の合成または増幅反応のために標準化され得るという実質的な利点を提供する。すなわち、組換え部位配列(標的特異的配列を含まない)を提供するプライマーは、予め作製され得、そして使用のために容易に入手可能である。実際にこれにより所望の核酸分子を合成するかまたは増幅するために必要とされる標的特異的配列を含む、より短いあつらえたプライマーの使用が可能になる。従って、これにより、標的特異的プライマーを調製する際の時間および経費が低減される(例えば、標的特異的配列を含むより短いプライマーが、調製され得、そして合成反応において使用され得る)。他方では、標準化プライマーは、大量に生成され得、経費を低減し、そして所望の核酸分子の合成を容易にするために容易に(例えば、キットまたは製品として)提供され得る。
【0029】
従って、1つの好ましい局面において、本発明は、1つ以上の核酸分子を合成または増幅する方法に関し、この方法は、以下:
(a)1つ以上の核酸テンプレートを、ポリメラーゼ活性または逆トランスクリプターゼ活性を有する少なくとも1つのポリぺプチドならびにテンプレート特異的(このテンプレートに相補的か、またはこのテンプレートにハイブリダイズし得る)配列を含む少なくとも1つの第1のプライマーおよび組換え部位の全てまたは一部を含む少なくとも1つの第2のプライマーと混合する工程であって、ここで第2のプライマーの少なくとも一部は、第1のプライマーの少なくとも一部に相同性であるかまたは相補的である、工程;ならびに
(b)この混合物を、1つ以上の核酸分子を合成するかまたは増幅するのに十分な条件下でインキュベートする工程であって、この1つ以上の核酸分子は、テンプレートの全てまたは一部に相補的であり、かつこの分子の一方の末端および好ましくは両末端に1つ以上の組換え部位またはその部分を含む、工程、
を包含する。
【0030】
より詳細には、本発明は、1つ以上の核酸分子を合成または増幅する方法に関し、この方法は、以下:
(a)1つ以上の核酸テンプレートを、ポリメラーゼ活性または逆トランスクリプターゼ活性を有する少なくとも1つのポリぺプチドならびにテンプレート特異的(このテンプレートに相補的であるか、またはこのテンプレートにハイブリダイズし得る)配列および組換え部位の少なくとも一部を含む少なくとも1つの第1のプライマー、ならびに組換え部位の全てまたは一部を含む少なくとも1つの第2のプライマーと混合する工程であって、ここで第2のプライマー上の組換え部位の少なくとも一部が、第1のプライマー上の組換え部位の少なくとも一部の相補的か、または相同性である、工程;ならびに
(b)この混合物を、1つ以上の核酸分子を合成するかまたは増幅するのに十分な条件下でインキュベートする工程であって、この1つ以上の核酸分子は、テンプレートの全てまたは一部に相補的であり、かつこの分子の一方の末端そして好ましくは両末端に1つ以上の組換え部位またはその一部を含む、工程、
を包含する。
【0031】
より好ましい局面において、本発明は、1つ以上の核酸分子を増幅するか、または合成する方法に関し、この方法は、以下:
(a)1つ以上の核酸テンプレートを、ポリメラーゼ活性または逆トランスクリプターゼ活性を有する少なくとも1つのポリぺプチドならびに組換え部位の少なくとも一部およびテンプレート特異的(テンプレートに相補的であるかまたはテンプレートにハイブリダイズし得る)配列を含む1つ以上の第1のプライマーと混合する工程;
(b)この混合物を、テンプレートの全てまたは一部に相補的な1つ以上の核酸分子を合成するかまたは増幅するのに十分な条件下でインキュベートする工程であって、ここでこの分子が、この分子の一方の末端そして好ましくは両末端に組換え部位の少なくとも一部を含む、工程;
(c)この分子を、1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の第2のプライマーと混合する工程であって、ここで第2のプライマーの組換え部位が、第1の核酸分子上の組換え部位の少なくとも一部と相同性であるか、または相補的である、工程;ならびに
(d)この混合物を、1つ以上の第2の核酸分子を合成するか、または増幅するのに十分な条件下でインキュベートする工程であって、この第2の核酸分子は、第1の核酸分子の全てまたは一部に相補的であり、そしてこの分子の一方の末端そして好ましくは両末端に1つ以上の組換え部位を含む、工程、
を包含する。
【0032】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含むベクター、本発明のベクターまたは核酸分子を含む宿主細胞、本発明の核酸分子によりコードされるポリぺプチドを作製する方法、およびこれらの核酸分子にコードされるか、または本発明の方法により作製されるポリぺプチド(これは融合タンパク質であり得る)に関する。本発明はまた、1つ以上の本発明のポリぺプチドまたはそのエピトープに結合する抗体(これらは、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であり得る)に関する。本発明はまた、特定の特徴を有するキメラDNA分子および/またはDNAセグメントを提供するための、インビトロおよびインビボで、核酸分子を組換えクローニングするための方法における、これらの核酸分子、プライマー、ベクター、ポリぺプチドおよび抗体の使用に関する。
【0033】
本発明の抗体は、ペプチドまたはタンパク質(本発明により作製される融合タンパク質を含む)を同定および/または精製するための特定の使用、ならびに本発明の核酸分子またはその部分を同定および/または精製するための特定の使用を有し得る。
【0034】
核酸分子のインビトロまたはインビボでの組換えクローニングのための方法は、一般的に、キメラ核酸分子を提供するための、少なくとも1つの核酸分子(少なくとも1つの組換え部位を有する)と第2の核酸分子(少なくとも1つの組換え部位を有する)との間の組換えに関する。1つの局面において、この方法は、キメラベクターを提供するための、第1のベクター(少なくとも1つの組換え部位を有する)と第2のベクター(少なくとも1つの組換え部位を有する)との間の組換えに関する。別の局面において、少なくとも1つの組換えを有する核酸分子は、キメラベクターを提供するために、少なくとも1つの組換えを有するベクターと組み合わされる。もっとも好ましい局面において、組換えに使用された核酸分子またはベクターは、2以上の組換え部位を含む。本発明のより好ましい実施形態において、組換え方法は、目的反応(Destination Reaction)(本明細書中で「LR反応」としても言及される)に関し、この方法において組換えは、エントリー(Entry)クローンと目的ベクター(Destination Vector)との間で生じる。このような反応は、発現クローン(Expression Clone)を作製するために目的の核酸分子をエントリークローン(Entry Clone)から目的ベクターに移す。具体的には、本発明の方法はまた、エントリー(Entry)反応またはゲートウェイ(Gateway)反応(本明細書中で「BP反応」としても言及される)に関し、この反応において、発現クローンは、エントリークローンを生成するために、ドナー(Donor)ベクターと組換えられる。他の局面において、本発明は、エントリーベクター(Entry Vector)を少なくとも1つの核酸分子(例えば、遺伝子または遺伝子の一部)と組み合わせることによってエントリークローンを調製する方法に関する。本発明はまた、目的のベクター内に1以上(好ましくは、少なくとも2)の組換え部位を含むことによって、所望のベクターの目的ベクターへの転換に関する。より好ましい局面において、核酸分子(例えば、カセット)(少なくとも2の組換え部位を有し、その部位は選択マーカー(例えば、毒性遺伝子、または遺伝子またはエレメントを含む宿主細胞の生存を防ぐ遺伝的エレメント、および/または核酸分子(例えば、遺伝子またはエレメントを含むベクターまたはプラスミド)の複製、分配、または遺伝率を防ぐ)に隣接する)がベクターに添加され、本発明の目的ベクターが作製される。
【0035】
本発明の使用のために好ましいベクターとしては、原核生物ベクター、真核生物ベクター、またはベクター(種々の原核生物系および/または真核生物系との間を往復し得る(例えば、シャトルベクター))が挙げられる。本発明の使用のための好ましい原核生物ベクターはとしては、グラム陽性細胞および/またはグラム陰性細胞において増殖および/または複製し得るベクターが挙げられるがこれらに限定されない。これらのベクターとしては、以下の細菌が挙げられる:Escherichia属、Salmonella属、Proteus属、Clostridium属、Klebsiella属、Bacillus属、Streptomyces属、ならびにPsudomonas属、および好ましくは、E.coli種。本発明の使用のための真核生物ベクターとしては、以下が挙げられる:増殖および/または複製するベクター、および酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、(特にヒトおよびマウス)、真菌細胞、昆虫細胞、線虫細胞、魚類細胞など。目的の特定のベクターとしては、クローニングベクター、配列決定ベクター、発現ベクター、融合ベクター、2ハイブリッドベクター、遺伝子治療ベクター、ファージディスプレイベクター、遺伝子標的ベクター、PAC、BAC、YAC、MAC、および逆2ハイブリッドベクターが挙げられるが、これらに限定されない。このようなベクターは、特定のベクターに依存して原核生物系および/または真核生物系において使用され得る。
【0036】
別の局面において、本発明は、本発明の方法を行う際に使用され得るキットに関し、そしてより具体的には、クローニングキットまたはサブクローニングキットおよびLR反応(Reaction)(例えば、発現クローンを作製する)を行うためのキット、BP反応(例えば、エントリークローンを作製する)を行うためのキット、および本発明のエントリークローンおよび目的ベクター分子を作製するためのキットに関する。このようなキットは、キャリアまたはレセプタクル(任意の数のコンテナをその中に受け、そして保有するために区画化されている)を含み得る。このようなコンテナは、本発明の方法を行うための任意の数の成分、またはこのような成分の組み合わせを含み得る。特に、本発明のキットは、以下からなる群より選択される1以上の成分(または、その組み合わせ)を含み得る:1以上の組換えタンパク質、または補助因子あるいはその組み合わせ、1以上の組換えタンパク質、または補助因子あるいはその組み合わせ、1以上の組成物(例えば、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme MixまたはGATEWAYTM BP ClinaseTM Enzyme Mix)、1以上の反応緩衝液、1以上のヌクレオチド、1以上の本発明のプライマー、1以上の制限酵素、1以上のリガーゼ、ポリメラーゼ活性を有する1以上のポリペプチド(例えば、1以上の逆転写ポリメラーゼ、またはDNAポリメラーゼ)、1以上のプロテイナーゼ(例えば、プロテイナーゼKまたは他のプロテイナーゼ)、1以上の目的ベクター分子、1以上のエントリークローン分子、1以上の宿主細胞(例えば、コンピーテントセル(例えば、E.coli細胞、酵母細胞、動物細胞(哺乳動物細胞、昆虫細胞、線虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞、などを含む)植物細胞、および最も好ましくはE.coli DE3.1宿主細胞(例えば、E.coli LIBRARY EFFECIENCY(登録商標)DB3.1TM Competent Cell))、本発明のキットを使用するための指示(例えば、本発明の方法を行うため)、など)。関連する局面のおいて、本発明のキットは、以下を含み得る:1以上の組換え部位またはその一部をコードする1以上の核酸分子、特に、本発明の1以上の組換え部位またはその一部をコードするヌクレオチド配列を含む1以上の核酸分子。好ましくは、このような核酸分子は、少なくとも2つの組換え部位を含み、この部位は、選択マーカー(例えば、毒性遺伝子および/または抗生物質耐性遺伝子)に隣接する。好ましい局面において、このような核酸分子は、カセットの形態(例えば、1以上、そして好ましくは2以上の組換え部位またはその一部を含む直鎖状核酸分子)である。
【0037】
目的の核酸分子に組換え部位を挿入、または付加するためのキットは、1以上のヌクレアーゼ(好ましくは、制限ヌクレアーゼ)、1以上のリガーゼ、1以上のトポイソメラーゼ、1以上のポリメラーゼ、および1以上の組換え部位を含む1以上の核酸分子またはアダプター含み得る。目的の1以上の核酸分子に組換え部位を組み込むためのキットは、1以上の組換え部位を含む1以上の組換え配列ならなる群より選択される1以上の成分(またはその組み合わせ)含み得る。このような組換え配列は、1以上のトランスポゾン、統合ウイルス、相同性組換え配列、RNA分子、1以上の宿主細胞などを含み得る。
【0038】
本発明のエントリークローン分子を作製するための方法は、任意の数または多数の成分を含み得、そしてこのようなキットの組成物は、含まれる特定の方法に依存して異なり得る。このような方法は、本発明の組換えクローニング方法によってか、または従来の分子生物学技術(例えば、制限酵素消化および連結)を使用して、目的の核酸分子をエントリーベクターまたはドナーベクターに挿入する工程を含み得る。好ましい局面において、エントリークローンは、核酸増幅産物または核酸合成産物を使用して作製される。増幅産物または合成産物からのエントリークローン分子を合成するためのキットは、1以上のドナーベクター(例えば、1以上のattPベクター(pDONR201(図49)、pDNOR202(図50)、pDONR203(図51)、pDONR204(図52)、pDONR205(図53)、pDONR206(図53)、などが挙げられるが、これらに限定されない))からなる群より選択される1以上の成分(またはその組み合わせ)、ポリメラーゼ活性を有する1以上のポリペプチド(好ましくは、DNAポリメラーゼおよび最も好ましくは熱安定性ポリメラーゼ)、1以上のプロテイナーゼ、1以上の反応緩衝液、1以上のヌクレオチド、1以上の組換え部位またはその一部を含む1以上のプライマー、および1以上のエントリークローンを作製するための指示を含み得る。
【0039】
本発明の目的ベクターを作製するためのキットは、含まれる特定の方法に依存して異なり得るこのようなキットの任意の数の成分および組成物を含み得る。このような方法は、本発明の組換え方法または従来の分子生物学的技術(例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化および連結)を含み得る。好ましい局面において、目的ベクターは、本発明の少なくとも1つの組換え部位(またはその一部)を含む核酸分子(好ましくは、選択マーカーに隣接する少なくとも2つの組換え部位またはその一部を含む核酸分子)を所望のベクターに挿入し、所望のベクターを本発明の目的ベクターに転換することよって作製される。このようなキットは、1以上の制限エンドヌクレアーゼ、1以上のリガーゼ、1以上のポリメラーゼ、1以上のヌクレオチド、反応緩衝液、少なくとも1つの組換え部位またはその一部を含む1以上の核酸分子(好ましくは、少なくとも1つの選択マーカー(例えば、少なくとも1つの選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子および/または毒性遺伝子)を含むカセット)に隣接する少なくとも2つの組換え部位を含む、少なくとも1つの核酸分子)、およびこのような目的ベクターの作製のための指示からなる群より選択される少なくとも1つの成分(またはその組み合わせ)を含み得る。
【0040】
本発明はまた、本発明の核酸分子によって生成されるペプチドおよびタンパク質(融合タンパク質であり得る)の同定および/または単離における本発明の抗体を使用するのためのキット、および本発明の核酸分子またはその一部の同定および/または単離のためキットに関する。このようなキットは、本発明の1以上の抗体、1以上の検出可能な標識、1以上の固体支持体などからなる群より選択される1以上の成分(またはその組み合わせ)を含み得る。
【0041】
本発明の他の好ましい実施形態は、当該分野で公知のことから、以下の本発明の図面および記載から、および請求項から当業者には明らかである。
【0042】
(発明の詳細な説明)
(定義)
続く説明において、組換えDNA技術において使用される多くの用語は、広範に利用される。このような用語が与えられるべき範囲を含む、本明細書および請求の範囲の明らかなそして一貫した理解を提供するために、以下の定義が提供される。
【0043】
副産物は、クローン化またはサブクローン化されることを所望されるセグメントを欠く娘分子(組換えクローニングプロセスの間の2次的な組換え事象の後に産生される新しいクローン)である。
【0044】
共組込みは、親(出発)分子の両方を含む本発明の少なくとも1つの組換え中間核酸分子である。通常、直線状である。いくつかの実施形態において、環状であり得る。RNAおよびポリペプチドは、適切な宿主細胞株(例えば、E.coliDB3.1(特に、E.coliLIBRARYEFFICIENCY(登録商標)DB3.1TMCompetent Cell))を用いて、そして共組込み分子において見出される両方の選択マーカーについて選択した共組込みから発現され得る。
【0045】
宿主は、本発明の組換えクローニング産物、ベクター、または核酸分子のレシピエントであり得る任意の原核生物または真核生物である。本明細書中で使用される用語として、「宿主」は、遺伝的に操作され得る原核生物または真核生物を含む。このような宿主の例について、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratoy Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York(1982)を参照のこと。
【0046】
挿入物は、所望される核酸セグメントまたは本発明の方法によって操作され得る核酸セグメントの集団を含む。従って、用語挿入物は、特定の核酸(好ましくは、DNA)セグメントまたはセグメントの集団を含むことを意味される。このような挿入物は、1つ以上の核酸分子を含み得る。
【0047】
挿入物ドナーは、挿入物を運ぶ本発明の2つの親核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)の1つである。挿入物ドナー分子は、組換え部位により両側に隣接された挿入物を含む。挿入物ドナーは、直線状または環状であり得る。本発明の1つの実施形態において、挿入物ドナーは、環状DNA分子であり、そして組換えシグナルの外側のクローニングベクター配列をさらに含む(図1を参照のこと)。挿入物の集団または核酸セグメントの集団が、挿入物ドナーを作製するために使用される場合、挿入物ドナーの集団が生じ、そして本発明に従って使用され得る。このような挿入物ドナー分子の例は、GATEWAYTMエントリーベクターであり、この例としては、図10〜20において描かれるそれらのエントリーベクター、およびライブラリークローンの産生のために、1つ以上のattL部位(例えば、attL1、attL2など)により、または1つ以上のattB部位(例えば、attB1、attB2など)により隣接された目的の遺伝子を含む他のベクターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
産物は、組換えクローニングプロセスの間に、2次的な組換え事象後に産生されるA配列およびD配列を含む所望される娘分子の1つである(図1を参照のこと)。この産物は、クローン化またはサブクローン化されるべき核酸を含む。本発明に従って、挿入物ドナーの集団が使用される場合、産物分子の得られた集団は、挿入物ドナーの挿入物の集団の全てまたは一部分を含み、そして好ましくは、挿入物ドナーの元々の分子の代表的な集団を含む。
【0049】
プロモーターは、開始コドンに近接して位置される、遺伝子の5’領域として一般に記載されるDNA配列である。隣接するDNAセグメントの転写は、プロモーター領域で開始される。転写の抑制性プロモーター速度は、抑制剤に応答して減少する。転写の誘導プロモーターの速度は、誘導剤に応答して増加する。転写の構成性プロモーターの速度は、特に調節されないが、一般的な代謝状態の影響下で変更し得る。
【0050】
認識配列:認識配列は、タンパク質、化合物、DNA、またはRNA分子(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、改変メチラーゼ、またはリコンビナーゼ)が、認識し、そして結合する特定の配列である。本発明において、認識配列は、通常、組換え部位をいう。例えば、Creリコンビナーゼのための認識配列は、8塩基対コア配列に隣接している2つの13塩基対逆方向反復(リコンビナーゼ結合部位として働く)から構成される34塩基対配列であるloxPである。Sauer,B.,Current Opinion in Biotechnology 5:521−527(1994)を参照のこと。認識配列の他の例は、リコンビナーゼ酵素λインテグラーゼにより認識されるattB配列、attP配列、attL配列、およびattR配列である。attBは、2つの9塩基対コアタイプのInt結合部位および1つの7塩基対オーバーラップ領域を含むおよそ25塩基対配列である。attPは、コアタイプInt結合部位およびアーム(arm)タイプInt結合部位ならびに補助タンパク質組込み宿主因子(IHF)、FISおよびエキシジョナーゼ(Xis)についての部位を含む、およそ240塩基対配列ある。Landy,Current Opinion in Biotechnology 3:699−707(1993)を参照のこと。このような部位はまた、本発明の方法において、産物の産生を高める本発明に従って、操作され得る。このような操作された部位が、P1ドメインまたはH1ドメインを欠いて、組換え反応を不可逆にさせる(例えば、attRまたはattP)場合、このような部位は、これらの部位のドメインがいくつかの方法において改変されていることを示す、指定されたattR’またはattP’であり得る。
【0051】
組換えタンパク質としては、除去(excisive)タンパク質または組込み(integrative)タンパク質、酵素、補因子、または1つ以上の組換え部位を含む組換え反応に関わる関連タンパク質が挙げられ、こらは、野生型タンパク質(Landy、Current Opinion in Biotechnology 3:699−707(1993)を参照のこと)、または変異体、誘導体(例えば、組換えタンパク質配列またはそのフラグメントを含む融合タンパク質)、フラグメント、およびその改変体であり得る。
【0052】
組換え部位は、本発明の組換えクローニング方法によって、組込み(integration)/組換え反応に参加するDNA分子における認識配列である。組換え部位は、組込みまたは組換えの開始段階の間に部位特異的組換えタンパク質によって認識され、そして結合される、この参加する核酸分子におけるDNAの個々の部分またはセグメントである。例えば、Creリコンビナーゼについての組換え部位は、8塩基対コア配列に隣接する2つの13塩基対逆方向反復(リコンビナーゼ結合部位として働く)から構成される34塩基対配列であるloxPである。Sauer,B.,Curr.Opin.Biotech.5:521−527(1994)の図1を参照のこと。認識配列の他の例としては、本明細書中に記載される、attB配列、attP配列、attL配列、およびattR配列、ならびにその変異体、フラグメント、改変体および誘導体が挙げられ、これらは、組換えタンパク質λ Intによって、および補助タンパク質組込み宿主因子(IHF)、FISおよびエキシジョナーゼ(Xis)によって認識される。Landy,Curr.Opin.Biotech.3:699−707(1993)を参照のこと。
【0053】
組換えクローニングは、本明細書中に記載される方法であり、これによって、核酸分子のセグメントまたはこのような分子の集団が、インビトロまたはインビボで、交換され、挿入され、戻され(replace)、置換されまたは改変される。本明細書中における「インビトロ」および「インビボ」によって、それぞれ、宿主細胞の外(例えば、無細胞系)または宿主細胞の中(例えば、宿主細胞によって発現される組換えタンパク質を使用して)で行われる組換えクローニングが意味される。
【0054】
抑制(repression)カセットは、サブクローニングベクターに存在するリプレッサーまたは選択マーカーを含む、核酸セグメントである。
【0055】
選択マーカーは、あるものを、しばしば特定の条件下で、分子(例えば、レプリコン)またはその分子を含む細胞についてあるいはそれらに対して、選択を可能にするDNAセグメントである。これらのマーカーは、活性(例えば、限定されないが、RNA、ペプチド、またはタンパク質の産生)をコードし得、またはRNA、ペプチド、タンパク質、無機化合物または無機組成物および有機化合物または有機組成物などに対する結合部位を提供し得る。選択マーカーの実施例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(1)異なった毒性化合物(例えば、抗生物質)に対する耐性を提供する産物をコードするDNAセグメント;(2)レシピエント細胞においてその他の点で欠損している産物をコードするDNAセグメント(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー);(3)遺伝子産物の活性を抑制する産物をコードするDNAセグメント;(4)容易に同定され得る産物をコードするDNAセグメント(例えば、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および細胞表面タンパク質、のような表現型マーカー);(5)細胞生存および/または機能に対して違ったふうに有害である産物を結合するDNAセグメント;(6)上記番号1〜5において記載されるDNAセグメントのいずれかの活性を、別のやり方で阻害するDNAセグメント(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド);(7)基質を改変する産物を結合するDNAセグメント(例えば、制限エンドヌクレアーゼ);(8)所望される分子を単離または同定するために使用され得るDNAセグメント(例えば、特定のタンパク質結合部位);(9)他の非機能性(non−functional)であり得る特定のヌクレオチド配列をコードするDNAセグメント(例えば、分子の部分母集団のPCR増幅について);(10)DNAセグメントであって、これが存在しない場合、直接的または間接的に、特定の化合物に対する耐性または感受性を与えるDNAセグメント;(11)レシピエント細胞において毒性である産物をコードするDNAセグメント;(12)DNAセグメントを含む核酸分子の複製、分配(partition)または遺伝力(heritability)を阻害するそのDNAセグメント;および/または(13)条件的複製機能(例えば、特定の宿主または宿主細胞株における複製あるいは特定の環境条件(例えば、温度、栄養条件など)下での複製)をコードするDNAセグメント。
【0056】
選択スキームは、エントリークローン、またはベクター、目的ベクター、ドナーベクター、発現クローンまたは発現ベクター、任意の中間体(例えば、共組込み物またはレプリコン)、および/または副産物を含む混合物由来の所望された産物の選択、富化、または同定を可能にする任意の方法である。1つの好ましい実施形態の選択スキームは、組換えクローニングの間に結合されるかまたは結合されないいずれかの少なくとも2つの成分有する。1つの成分は、選択マーカーである。他の成分は、選択マーカーのインビトロまたはインビボでの発現、あるいは選択マーカーを運ぶプラスミドを保有する細胞(または核酸分子(例えば、レプリコン))の生存を制御する。一般に、この制御エレメントは、選択マーカーのリプレッサーまたはインデューサーであるが、選択マーカーの発現または活性を制御する他の方法が使用され得る。リプレッサーが使用されるかまたはアクチベーターが使用されるかは、マーカーが陽性(positive)選択についてかまたは陰性(negative)選択についてか、および種々のDNAセグメントの正確な配置に依存し、それは当業者に容易に明らかである。好ましい要求は、この選択スキームが、1つ以上の所望の産物のみの選択またはこれらのみについての富化を生じることである。本明細書中で定義されるように、DNA分子について選択する工程は、(a)所望されるDNA分子の存在について選択するかまたは富化する工程、および(b)所望されるDNA分子でないDNA分子の存在に対して選択するかまたは富化する工程を包含する。
【0057】
1つの実施形態において、選択スキーム(これは逆に行われ得る)は、3つの形態のうちの1つをとり、これらは、図1よって議論される。第1は、選択マーカーおよびリプレッサーと共に本明細書中で例示され、従って、セグメントDを有し、そしてセグメントCを欠く分子に対して選択する。第2は、セグメントCを有する分子に対して、およびセグメントDを有する分子について選択する。第2の形態の可能な実施形態は、インビトロの反応産物が導入されるべき細胞に毒性遺伝子(gene toxic)を運ぶDNAセグメントを有する。毒性遺伝子は、毒性(toxic)遺伝子産物(毒性タンパク質または毒性RNA)として発現されるDNAであり得るか、またはそれ自体毒性であり得、そして自然に(of itself)毒性であり得る(後者の場合、毒性遺伝子は、「遺伝特性(heritable trait)」のその古典的な定義を持つことが理解される)。
【0058】
このような毒性遺伝子産物の例は、当該分野で周知であり、そして以下を含むが、これらに限定されない:制限エンドヌクレアーゼ(例えば、DpnI)、アポトーシス関連遺伝子(例えば、ASK1またはbcl−2/ced−9ファミリーのメンバー)、ヒト免疫欠損ウイルス(HIV)の遺伝子を含むレトロウイルス遺伝子、NP−1のようなディフェンシン、転換された反復DNA配列または対向パリンドロームDNA配列、ΦX174またはバクテリアファージT4由来の遺伝子のようなバクテリアファージリーシス遺伝子;rpsLのような抗生物質感受性遺伝子、pheSのような抗菌感受性遺伝子、プラスミドキラー遺伝子、細菌に対して遺伝子産物の毒性を産生する真核生物転写ベクター遺伝子(例えば、GATA−1)および抑制機能の非存在下において、宿主を死滅させる遺伝子(例えば、kicB、ccdB、ΦX174E)(Liu,Qら、Curr.Biol.8:1300〜1309(1998))、ならびにレプリコン安定性および/または複製に消極的に影響を及ぼす他の遺伝子。あるいは、毒性遺伝子は、インビボで選択され得る(例えば、制限部位)。
【0059】
誘導プロモーターに作動可能に結合される制限エンドヌクレアーゼについての多くの遺伝子コードは、公知であり、そして本発明において使用され得る。例えば、米国特許第4,960,707号(DpnIおよびDpnII);同第5,000,333号、同第5,082,784号および同第5,192,675号(KpnI);同第5,47,800号(NgoAIIIおよびNgoAI);同第5,179,015号(FspIおよびHaeIII):同第5,200,333号(HaeIIおよびTaqI);同第5,248,605号(HpaII);同第5,312,746号(ClaI);同第5,231,021号および同第5,304,480号(XhoIおよびXhoII);同第5,334,526号(AluI);同第5,470,740号(NsiI);同第5,534,428号(SstI/SacI);同第5,202,248号(NcoI);同第5,139,942号(NdeI)および同第5,098,839号(PacI)を参照のこと。Wilson,G.G.、Nucl.Acids Res.19:2539〜2566(1991);およびLunnen,K.D.ら、Gene 74:25〜32(1988)も参照のこと。
【0060】
第2の形態において、セグメントDは、選択可(Selectable)マーカーを有する。毒性遺伝子は、ベクタードナー(Vector Donor)、共挿入(Cointegrate)、および副産物(Byproduct)分子を有する形質転換を排除するが、一方で選択マーカーは、この産物(Product)を含む細胞について、そして挿入ドナー(Insert Doner)のみを有する細胞に対して、選択するために使用され得る。
【0061】
第3の形態は、同一分子においてシスであるセグメントAおよびDの両方を有する細胞を選択するが、異種分子においてトランスであるセグメントの両方を有する細胞を選択しない。このことは、2つの不活性フラグメント(これらは各々、セグメントAおよびD上にある)に分裂される選択マーカーによって実施され得る。
【0062】
フラグメントは、組換え部位に比較して配置され、セグメントが組換え事象によって一緒にもたらされる場合、それらは、機能性選択マーカーを再構成する。例えば、組換え事象は、プロモーターを構造核酸分子(例えば、遺伝子)と結合させ得、構造核酸分子の2つのフラグメントを結合させ得るか、または生存に必要なへテロ二量体遺伝子産物をコードする核酸分子を結合させ得るか、あるいはレプリコンの部分を結合させ得る。
【0063】
部位特異的リコンビナーゼ:は、少なくとも以下の4つの成分(actives)(またはそれらの組合せ)を代表的に有する型のリコンビナーゼである:(1)1つまたは2つの特異的核酸配列の認識;(2)この配列(単数または複数)の切断;(3)鎖交換に関するトポイソメラーゼ活性;および(4)切断された核酸の鎖を再び封じるリガーゼ活性。Sauer,B.Current Opinioins in Biotechnology 5:521〜527(1994)を参照のこと。保存的な部位特異的組換えは、パートナー両方についての高い配列特異性によって、相同性組換えと転移とを区別する。この鎖交換機構は、DNA合成の非存在下で特異的DNA配列の切断および再結合を含む(Landy,A(1989)Ann.Rev.Biochem.58:913〜949)。
【0064】
サブクローニングベクター:は、好ましくは適切なレプリコンを含む環状または直鎖状の核酸分子を含むクローニングベクターである。本発明において、サブクローニングベクター(図1中のセグメントD)はまた、クローン化DNA挿入物(図1中のセグメントA)に作用するか、またはこれと共に作用する最終産物に組み込まれることが望ましい機能エレメントおよび/または制御エレメントを含み得る。このサブクローニングベクターはまた、選択マーカー(好ましくはDNA)を含み得る。
【0065】
ベクター:は、挿入に対して有用な生物学的特性または生化学的特性を提供する核酸分子(好ましくはDNA)である。例としては、プラスミド、ファージ、自動で繰り返す配列(ARS)る配列、動原体およびインビトロまたは宿主において繰り返し得るか、または繰り返され得る配列、あるいは宿主細胞内で所望の位置に所望の核酸セグメントを伝達し得る他の配列が挙げられ得る。ベクターは、1以上の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有し得、ここで、この配列は、ベクターの基本的な生物学的機能の欠失を伴なわない決定様式で切断され得、そしてこの核酸フラグメントに、その複製およびクローニングをもたらすためにスプライスされ得る。ベクターは、プライマー部位(例えば、PCRのための)、転写開始部位および/または翻訳開始部位ならびに/あるいは調節部位、組換えシグナル、レプリコン、選択マーカーなどをさらに提供し得る。明らかに、相同性組換え、転移または制限酵素の使用を必要としない所望の核酸フラグメントの挿入の方法(例えば、PCRフラグメントのUDGクローニング(米国特許第5,334,575号(本明細書中で全体が参考として援用される))、T:Aクローニングなどを含むが、これらに限定されない)はまた、本発明に従って使用され得るクローニングベクターにフラグメントをクローニングするために適用され得る。このクローニングベクターはさらに、クローニングベクターで形質転換される細胞を同定する際の使用に適切な1以上の選択マーカーを含み得る。
【0066】
ベクタードナー:は、本発明の2つの親の核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)の1つである。この核酸分子は、所望の産物の一部となるDNAベクターを含むDNAセグメントを有する。このベクタードナーは、サブクローニングベクターD(または、それは、挿入ベクターが既にクローニングベクター(例えば、PCRについて、attB部位を含むフラグメント;以下参照のこと)を含まない場合、クローニングベクターと呼ばれ得る)および組換え部位にに隣接するセグメントCを含む(図1を参照のこと)。セグメントCおよび/またはDは、選択スキームについて上記されるように、所望の産物の娘分子についての選択に寄与するエレメントを含み得る。組換えシグナルは、同一であり得るか、または異なり得、そして同じか、または異なるリコンビナーゼによって作用され得る。さらに、ベクタードナーは、線状または環状であり得る。このようなベクタードナー分子の例としては、GATEWAYTM目的(Destination)ベクターが挙げられ、図21〜47および90〜96中に示されるこれらの目的ベクターを含むが、これらに限定されない。
【0067】
プライマー:は、核酸分子(例えば、DNA分子)の増幅または重合化の間、ヌクレオチドモノマーの共有結合によって伸長される一本鎖ヌクレオチドまたは二本鎖ヌクレオチドをいう。好ましい局面において、プライマーは、1以上の組換え部位またはこのような組換え部位の一部を含む。組換え部位の一部は、目的の組換え部位の、少なくとも2つの塩基(すなわち、塩基対「bp」と本明細書中で省略される)、少なくとも5〜200塩基、少なくとも10〜100塩基、少なくとも15〜75塩基、少なくとも15〜50塩基、少なくとも15〜25塩基、または少なくとも16〜25塩基を含み、以下および実施例において、さらに詳細に記載される。組換え部位の一部を使用する場合、組換え部位の欠損部分は、新規に合成された核酸分子によるテンプレートとして提供され得る。このような組換え部位は、このプライマーの1つの末端または両末端内におよび/またはそこにおいて配置され得る。好ましくは、さらなる配列は、組換えを増強または改良し、ならびに/あるいは組換えの間組換え部位を安定化するための組換え部位(単数または複数)に隣接するプライマーに添加される。このような安定化配列は、任意長の任意の配列(好ましくは、G/Cに富む配列)であり得る。好ましくは、このような配列は、1〜約1000塩基、1〜約500塩基ならびに1〜約100塩基、1〜約60塩基、1〜約25塩基、1〜約10塩基、2〜約10塩基および好ましくは約4塩基のサイズの範囲である。好ましくは、このような配列は、1塩基長より長く、そして好ましくは2塩基長より長い。
【0068】
テンプレート:は、増幅、合成または配列決定される二本鎖核酸分子または一本鎖核酸分子をいう。二本鎖分子の場合、第1および第2の鎖を形成するためのその鎖の変性は、好ましくは、これらの分子が、増幅、合成、または配列決定されるか、またはこの二本鎖分子が、テンプレートとして直接的に使用され得る前に、実行される。一本鎖テンプレートについて、このテンプレートの一部に相補的なプライマーは、適切な条件下でハイブリダイズされ、次いで、ポリメラーゼ活性を有する1以上のポリペプチド(例えば、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素)は、このテンプレートの全てまたは一部に相補的な核酸分子を合成し得る。あるいは、二本鎖テンプレートについて、1以上のプロモーターは、このテンプレートの全てまたは一部に相補的な核酸分子を作製するための1以上のポリメラーゼと組合せて使用され得る。本発明に従って、新規に合成された分子は、元のテンプレート長と等しいかまたはこれより短くあり得る。さらに、核酸テンプレートの集団は、合成または増幅の間使用され、元のテンプレート集団の代表的な核酸分子の集団を産生し得る。
【0069】
アダプター:は、オリゴヌクレオチドまたは核酸フラグメントもしくは1以上の組換え部位(またはこのような組換え部位の部分)を含むセグメント(好ましくはDNA)である。本発明に従って、これは、本明細書中で記載される環状または直線状挿入ドナー分子ならびに他の核酸分子に添加され得る。組換え部位の一部を使用する場合、欠損部位は、挿入ドナー分子によって提供され得る。このようなアダプターは、環状または直線状分子内の任意の位置で添加され得るが、このアダプターは、好ましくは、直線状分子の末端の1つまたは両末端においてまたはその付近で、添加され得る。好ましくは、アダプターは、目的の特定の核酸分子に(隣接する)両方の部位で位置づけられるように配置される。本発明に従って、アダプターは、標準的組換え技術(例えば、制限的消化および連合)によって目的の核酸分子に添加され得る。例えば、アダプターは、適切な制限酵素での第1の分子の消化によって環状分子に添加され得、切断部位でアダプターを添加し、そして切断部位でアダプターを含む環状分子を再形成する。他の局面において、アダプターは、RNA分子などの組込みによる、相同性組換えによって添加され得る。あるいは、アダプターは、直線状分子の1以上の末端および好ましくはこの両方の末端に直接的に連合され得、それにより、1つの末端または両方の末端でアダプターを有する直線分子(単数または複数)を生じる。本発明の1つの局面において、アダプターは、直線状分子の集団(例えば、切断または消化されているcDNAライブラリーまたはゲノムDNA)に添加され、この集団の全てまたは実質的部分の1つの末端および好ましくは両方の末端でアダプターを含む直線状分子の集団を形成し得る。
【0070】
アダプター−プライマー:は、1以上の組換え部位(またはこのような組換え部位の一部)を含むプライマー分子であり、本発明に従って、本明細書中に記載される環状または直線状の核酸分子に添加され得る。組替え部位の一部を使用する場合、欠損部位は、本発明の核酸分子(例えば、アダプター)によって提供され得る。このようなアダプター−プライマーは、環状または直線状分子内の任意の位置で添加され得るが、このアダプター−プライマーは、好ましくは直線状分子の1つの末端または両方の末端においてもしくはこの付近で添加され得る。本発明の方法に従うこのようなアダプター−プライマーおよびその使用の例は、本明細書中の実施例25中に示される。このようなアダプター−プライマーは、種々の状況において、かつ種々の技術(増幅(例えば、PCR)、結合(例えば、酵素的結合または化学的/合成的結合)、組換え(例えば、相同組換えまたは非相同(非正統的)組換え)などを含むが、これらに限定されない)によって、環状または直線状核酸分子に1以上の組換え部位またはその一部を添加するために使用され得る。
【0071】
ライブラリー:とは、核酸分子(環状または直線状)の収集をいう。1つの実施形態において、ライブラリーは、複数の(すなわち、2つ以上の)DNA分子を含み得、これは、共通のソース(source)生物体、ソース器官、ソース組織またはソース細胞由来であってもなくてもよい。別の実施形態において、ライブラリーは、生物体(「ゲノム」ライブライリー)のDNA含量のすべてまたは一部もしくは有意な部分の代表であるか、または細胞、組織、器官または生物体における発現された核酸分子(cDNAライブラリー)のすべてまたは一部もしくは有意な部分の核酸分子の代表のセットである。ライブラリーはまた、新規な合成により作製されたランダム配列、1以上の配列の変異誘発などを含み得る。このようなライブラリーは、1以上のベクターにおいて含まれても含まれなくてもよい。
【0072】
増幅:とは、ポリメラーゼを使用することでヌクレオチド配列の多くのコピーを増大させるための任意のインビトロの方法をいう。核酸増幅は、DNA分子および/またはRNA分子、あるいはプライマーへのヌクレオチドの取り込みを生じ、それによってテンプレートに相補的な新規の分子を形成する。形成された核酸分子およびそのテンプレートは、さらなる核酸分子を合成するためのテンプレートとして使用され得る。本明細書中で使用される場合、1つの増幅反応は、多数回の複製からなり得る。DNA増幅反応としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。1つのPCR反応は、DNA分子の5〜100「サイクル」の変性および合成からなり得る。
【0073】
オリゴヌクレオチド:とは、1つのヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの3’部分と隣接するヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの5’部分との間でリン酸ジエステル結合によって結合される共有結合性のヌクレオチド配列を含む合成的分子または天然分子をいう。この用語は、この用語が特異的にいう核酸分子の任意の特異的な長さを必要に示すこれらの用語のいずれかを伴なわずに、用語「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」と共に本明細書中で交換可能に使用され得る。
【0074】
ヌクレオチド:とは、塩基−糖−リン酸エステル結合をいう。ヌクレオチドは、核酸分子の(DNAおよびRNA)のモノマー単位である。用語ヌクレオチドは、リボヌクレオシド三リン酸エステルATP、UTP、CTG、GTPおよびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはその誘導体)を含む。このような誘導体としては、例えば、[αS]dATP、7−デアザ−dGTPおよび7−デアザ−dATPが挙げられる。用語ヌクレオチドとはまた、本明細書中で使用される場合、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸エステル(ddNTP)およびその誘導体をもいう。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸エステルの例示の例は、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPを含むが、これらに限定されない。本発明に従って、「ヌクレオチド」は、周知の技術によって非標識され得るかまたは検出可能に標識され得る。検出可能な標識は、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識および酵素標識を含む。
【0075】
ハイブリダイゼーション:用語「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイズする」とは、二本鎖分子を産生する2つの相補的な一本鎖核酸分子(DNAおよび/またはRNA)の塩基対をいう。本明細書中で使用される場合、2つの核酸分子は、ハイブリダイズされ得るが、この塩基対は、完全に相補的ではない。従って、ミスマッチ塩基は、当該分野で周知の適切な条件が使用される場合、2つの核酸分子のハイブリダイゼーションを妨げない。幾つかの局面において、ハイブリダイゼーションは、「ストリンジェントな条件」下であるといわれる。本明細書中で使用される場合、「ストリンジェントな条件」に関しては、以下:50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸トリナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s溶液、10%硫酸デキストランおよび20g/mlの変性、剪断サケ精子DNA、を含む溶液中での42℃における一晩のインキュベーション、続いて約65℃にて0.1×SSC中のフィルターの洗浄を意味する。
【0076】
本明細書中で使用される組換えDNA技術ならびに分子生物学および細胞生物学の分野において使用される他の用語は、一般的に適用可能な分野の当業者に理解される。
【0077】
(概要)
2つの反応は、図1中に一般的に示される、本明細書中で「GATEWAYTMCloning System」としていわれる、本発明の組換えクローニング系を構成する。これらの反応の第1であるLR反応(図2)(本明細書中で目的反応(Destination Reaction)としても交換可能にいわれ得る)は、この系の主な経路である。LR反応は、エントリー(Entry)ベクターまたはクローンと目的ベクターとの間の、本明細書中で記載されるGATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixのような組換えタンパク質のカクテルによって媒介される、組換え反応である。この反応は、発現クローンを産生するために、目的の核酸分子(これは、遺伝子、cDNA、cDNAライブラリーまたはそのフラグメントであり得る)をエントリークローンから発現ベクターへと転移する。
【0078】
L、R、BおよびPを標識された部位は、バクテリオファージλ組換えタンパク質について、それぞれattL、attR、attBおよびattP組換え部位である。バクテリオファージλ組換えタンパク質は、Clonaseカクテル(本明細書中では多様に、「Clonase」または「GATEWAYTMLR ClonaseTMEnzyme Mix」(本明細書中で記載されるように、attB×attP組換え反応を媒介する組換えタンパク質混合物のため)として言及される)を構成する。この組換えクローニング反応は、関連する、高度に特異的な切断反応および結合反応に等価である。このような観点により、組換えタンパク質は、エントリークローンにおける目的の核酸分子の左および右に対して切断し、そして目的ベクターにこれを結合させ、新規な発現クローンを産生する。
【0079】
発現クローンにおける目的の核酸分子は、小さなattB1部位およびattB2部位によって隣接される。目的の核酸分子の配向およびリーディングフレームは、サブクローニングを通して維持される。なぜなら、attL1は、attR1のみと反応し、そしてattL2は、attR2とのみ反応するためである。同様に、attB1は、attP1とのみ反応し、そしてattB2は、attR2とのみ反応する。従って、本発明はまた、特異的に変更または増強され得る、(その改変体、フラグメント、変異体、および誘導体を含む)本発明の組換え部位(またはその一部)を使用する、制御されたクローニングまたは方向性クローニングの方法に関する。本発明はまた、任意の数の組換え部位パートナーまたは組合せにより一般的に関する(ここで、各組換え部位は、その対応する組換え部位に特異的でかつこれと相互作用する)。このような組換え部位は、好ましくは、組換え部位を変異または改変することにより作製され、任意の数の必要な特異性(例えば、attB1−10、attP1−10、attL1−10、attR1−10など)を提供し、これらの非限定の例は、本明細書中の実施例に詳細に記載される。
【0080】
組換え反応物からのアリコートが、宿主細胞(例えば、E.coli)へ形質転換され、そして適切な選択剤(例えば、メチシリンを含むか含まない、アンピシリンのような抗生物質)を含むプレート上に展開する場合、細胞は、コロニーから所望のクローンを取り込む。未反応の目的ベクター(Destination Vector)は、アンピシリン耐性遺伝子を保有するが、アンピシリン耐性コロニーを与えない。なぜならば、毒性遺伝子(例えば、ccdB)を含むからである。従って、アンピシリン耐性についての選択は、所望の産物を有するE.coli細胞を選択し、通常、アンピシリンプレート上の90%を超えるコロニーを含む。
【0081】
Recombinational(または「GATEWAYTM」)クローニング反応(Cloning Reaction)に関連して、目的の核酸分子は、始めにエントリーベクター(Entry Vector)中にクローン化され、エントリークローン(Entry Clone)を作成する。複数の選択肢が、エントリークローンを作成するために利用可能である。この選択肢としては、エントリーベクターへの末端attB組換え部位を有するPCR配列のクローン化;GATEWAYTM Cloning System組換え反応の使用;エントリーベクターへの組換えによるGATEWAYTM Cloning Systemベクターにおいて調製されたライブラリー由来の遺伝子の移入;ならびに標準の組換えDNA方法による、制限酵素により生成したフラグメントおよびPCRフラグメントのエントリーベクターへのクローン化が挙げられる。これらの試みは、本明細書中でさらに詳細に議論される。
【0082】
GATEWAYTM Cloning Systemの重要な利点は、目的の核酸分子(または、目的の核酸分子の集団でさえも)、およそ、約30秒〜60分間(好ましくは、約1〜60分、約1〜45分、約1〜30分、約2〜60分、約2〜45分、約2〜30分、約1〜2分、約30〜60分、約45〜60分、または約30〜45分)の単純な反応で1つ以上の目的ベクター中に並行してサブクローン化され得るエントリークローンとして存在することである。特に、本明細書中の実施例に記載されるように、より大きな核酸分子が使用される場合、より長い反応時間(例えば、2〜24時間または一晩)は、組換え効率を増加し得る。さらに、所望の発現クローンを保有する高い割合のコロニーが得られる。このプロセスは、図3に概略的に図示され、これは、目的の分子が、複数の目的ベクターに同時にまたは別々に移され得る、本発明の利点を示す。LE反応(LE Reaction)において、組み換えられる核酸分子の1つまたは両方は、任意の位相幾何(例えば、直線状、緩んだ環状、ニックの環状、高次コイル状など)を有し得るが、1つまたは両方は、好ましくは直線状である。
【0083】
GATEWAYTM Cloning Systemの第2の主要な経路は、BP反応(BP Reaction)(図4)である。これはまた、エントリー反応(Entry Reaction)またはゲートウォード反応(Gateward Reaction)として本明細書中で交換可能にいわれる。このBP反応は、ドナープラスミド(Donor Plasmid)と発現クローン(Expression Clone)(図2における副生物の対応物)を組み換え得る。この反応は、エントリーベクターへ、発現クローン(Expression Clone)中の目的の核酸分子(これは、直線状、コイル状、高次コイル状などの種々の位相幾何のいずれかを有する)を移入し、新たなエントリークローンを生成する。一旦、この目的の核酸分子がエントリーベクターへクローン化されると、これは、上記のようにLE反応(LE Reaction)を介して新しい発現ベクターの移入され得る。BP反応において、組み換えられる核酸分子の1つまたは両方は、任意の位相幾何(例えば、直線状、緩んだ環状、ニックの環状、高次コイル状など)を有し得が、1つまたは両方は、好ましくは直線状である。
【0084】
BP反応の有用なバリエーションは、増幅(例えば、PCR)の産物の迅速なクローニングおよび発現または核酸合成を可能にする。末端の25bpのattB部位を含むプライマーを用いて合成された増幅(例えば、PCR)の産物は、ゲートウォードクローニング反応のための効率的な基質として機能する。このような増幅産物は、ドナーベクターと組み換えられ、エントリークローンを作成し得る(図7を参照のこと)。この結果は、増幅フラグメントを含むエントリークローンである。次いで、このようなエントリークローンは、(LE反応を介して)目的ベクターと組み換えられ得、PCR産物の発現クローンを得る。
【0085】
LR反応のさらなる詳細が、図5Aに示される。この反応を媒介するGATEWAYTM LR ClonaseTM酵素混合物(Enzyme Mix)は、λ組換えタンパク質である、Int(Integrase)、Xis(Excisionase)およびIHF(Integration Host Factor)含む。対照的に、BP反応(図5B)を媒介するGATEWAYTM BP ClonaseTM酵素混合物は、IntおよびIHFのみを含む。
【0086】
各ベクターの組換え(att)部位は、親ベクターにより与えられる、2つの異なるセグメントを含む。図5Aおよび図5Bに記載される、各att部位の2つの部分を分割している千鳥模様のラインは、組換え反応中にIntにより生成される7塩基段差切断を示す。この構造は、図6においてより詳細に示され、これは、エントリークローンのattL1およびattL2部位と目的ベクターのattR1およびattR2との間の組換えにより生成される、発現クローンのattB組換え配列を示す。
【0087】
発現クローン中の目的の核酸分子は、attB部位に隣接し:attB1は、左(アミノ末端)に対応し、そしてattB2は、右(カルボキシ末端)に対応する。Intにより生成される7塩基段差切断の左へのattB1中の塩基は、目的ベクターに由来し、そして段差切断の右への塩基は、エントリーベクターに由来する(図6を参照のこと)。この配列が、オープンリーディングフレームに対応して3通りで示されることに注意。エントリーベクターにクローン化される目的の核酸分子のリーディングフレームがattB1について示されるレーディングフレームと位相が一致する場合、アミノ末端タンパク質融合物は、目的の核酸分子とアミノ末端融合ドメインをコードするGATEWAYTM Cloning System 目的ベクターとの間で作成され得る。3つ全てのリーディングフレームにおいてクローン化され得るエントリーベクターおよび目的ベクターは、本明細書中で(特に、実施例において)より詳細に記載される。
【0088】
このLR反応は、種々の目的ベクターとエントリークローンを組換えることにより、新たな発現ベクターに目的の所望の核酸分子の移入を可能にする。しかし、LR反応または目的反応(Destination Reaction)に関連して、目的の核酸分子は、好ましくは、始めにエントリークローンに変換される。エントリークローンは、図7に示されるように、いくつかの方法で作成され得る。
【0089】
1つの試みは、制限酵素およびリガーゼを用いて、標準の組換えDNA方法を使用して、1つ以上のエントリーベクターに目的の核酸分子をクローン化することである。開始DNAフラグメントは、制限酵素消化によるかまたはPCR産物として生成され得る。このフラグメントは、エントリーベクター中のattL1とattL2組換え部位との間にクローン化される。不完全に消化されたエントリーベクター由来のバックグラウンドコロニーを最小にするために提供される、毒性または「死(death)」遺伝子(例えば、ccdB)は、排除され、そして目的の核酸分子により置換されるべきであることに注意。
【0090】
エントリークローンを作成するための第2の試み(図7)は、本明細書中に詳細に記載されるように、エントリーベクターにおいて(ゲノムまたはcDNAの)ライブラリーを作成することである。次いで、このようなライブラリーは、例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞のような適切な宿主細胞における、発現スクリーニングのために、目的ベクターへ移入され得る。
【0091】
エントリークローンを作成するための第3の試み(図7)は、発現ベクター(Expression Vector)において調製されるcDNA分子またはライブラリーから得られる発現クローン(Expression Clone)を使用することである。attB部位に隣接するこのようなcDNAまたはライブラリーは、BP Reactionを介して、Donor Vectorと組み換えられることにより、エントリーベクターへ導入され得る。所望ならば、全体の発現クローン(Expression Clone)ライブラリーは、BP Reactionを介してエントリーベクターへ移入され得る。発現クローン(Expression Clone)cDNAライブラリーはまた、本明細書中で(特に、以下の実施例において)より詳細に記載されるように、種々の原核および真核のGATEWAYTM媒介ベクター(例えば、pEXP501発現ベクター(Expression Vector)(図48を参照のこと)、および2−ハイブリッドおよびattBライブラリーベクター)において構築され得る。
【0092】
エントリークローンを作成するための第4の(かつ潜在的に最も汎用性の)試み(図7)は、増幅(例えば、PCR)フラグメントクローニングによりエントリーベクターへ目的の核酸分子についての配列を導入することである。この方法は、図8に図示される。DNA配列は、attBヌクレオチド配列(例えば、図9に示される配列であるが、これらに限定されない)の1以上のbp、2以上のbp、3以上のbp、4以上のbp、5以上のbp、好ましくは6以上のbp、より好ましくは6〜25bp(特に12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25bp)を含むプライマー、ならびに必要に応じて、1以上、2以上、3以上、4以上および最も好ましくは4もしくは5以上のさらなる末端ヌクレオチド塩基(好ましくはグアニンである)を使用して、以下および本明細書中の実施例において詳細に概説されるように、(例えば、PCRを用いて)始めに増幅される。次いで、このPCR産物は、attB−PCR産物が1以上のattP部位を含むドナーベクターと組み換えられるBP反応を行うことによりエントリークローンに変換され得る。PCRフラグメントサブクローニングのためのこの試みおよびプロトコールの詳細は、実施例8および21〜25に提供される。
【0093】
種々のエントリークローンは、これらの方法により作成され得、クローニングの選択肢の広範のアレイを提供し;多くの特定のエントリーベクターはまた、Life Technologies,Inc.(Rockville,MD)から市販される。本明細書中の実施例は、選択されたエントリーベクターおよびこれらのクローニング部位の詳細のより徹底的な記載を提供する。特定の増幅のために最終的なエントリーベクターを選択することは、実施例4で議論される。
【0094】
エントリーベクターおよびDistination Vectorは、目的の核酸分子のアミノ末端領域(例えば、遺伝子、cDNAライブラリーもくしは挿入物、またはそれらのフラグメント)が、attL1部位の次に位置するように構築されるべきである。エントリーベクターは、好ましくは、attL1部位の上流のrrnB転写ターミネーターを含む。この配列は、目的のクローン化された核酸分子の発現をE.coliにおいて信頼されるように「オフ」にすることを保証し、その結果、毒性遺伝子でさえも首尾よくクローン化し得る。従って、エントリークローンは、転写的にサイレントであるように設計され得る。また、エントリーベクター(およびこれによりエントリークローン)は、カナマイシン抗生物質耐性(kanr)遺伝子を含み、形質転換後のエントリークローンを含む宿主細胞の選択を容易にし得る。しかし、特定の適用においては、エントリークローンは、他の選択マーカーを含み得、これには、ゲンタマイシン耐性(genr)遺伝子、またはテトラサイクリン耐性遺伝子(tetr)が挙げられるが、これらに限定ず、形質転換後のエントリークローンを含む宿主細胞の選択を容易にする。
【0095】
一旦、目的の核酸分子をエントリーベクターへクローン化すると、それは、目的ベクターへ移され得る。図5Aの上部右部分は、目的ベクターの概略図を示す。この厚い矢印は、いくつかの機能を示す(通常、転写または翻訳)。これは、このクローン中の目的の核酸分子に作用する。組換え反応中に、毒性または「死」遺伝子(例えば、ccdB)を含む、attR1とattr2との間の領域は、DNAセグメントによりエントリークローンから置換される。アンピシリン耐性(ampr)遺伝子(目的ベクター上に保有される)を必要とし、そしてまた、死遺伝子を欠失した、組換え産物についての選択は、高い割合(大抵90%を超える)のコロニーが、正確な挿入物を含むことを保証する。
【0096】
目的の核酸分子を目的ベクターへ移すために、その目的ベクターは、目的の所望の核酸分子を含むエントリークローンと混合され、組換えタンパク質の反応混合液(例えば、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix)が添加され、この混合物をインキュベート(好ましくは、以下に記載されるように、例えば、大きな核酸分子の移入のために、特定の環境下で約60分間またはそれ以上、約25℃にて)し、そして任意の標準の宿主細胞(例えば、E.coliのような細菌細胞;昆虫細胞、哺乳動物細胞、線虫細胞などのような動物細胞;植物細胞;および酵母細胞が挙げられる)株は、この反応混合物で形質転換される。使用される宿主細胞は、所望の選択により決定される(例えば、E.coli DB3.1(Life Technologies,Inc.から市販される)は、ccdB死遺伝子を含むクローンの生存を可能にし、従って、融合体分子を選択するために使用され得る。すなわち、分子は、エントリークローンと目的ベクターとの間をハイブリッドする)。以下の実施例は、目的の核酸分子および発現RNAの移入ならびに種々の宿主におけるそれらの核酸分子によりコードされるポリペプチドの発現におけるエントリーベクターおよび目的ベクターの使用のための、さらなる詳細およびプロトコルを提供する。
【0097】
従って、本発明のクローニング系は、複数の利点を提供する:
・一旦、目的の核酸分子がGATEWAYTM Cloning Systemへクローン化されると、それは、リーディングフレームおよび配向に完全に忠実に他のベクターの内外へ移され得る。すなわち、反応の進行によりエントリークローン中のattL1が、目的ベクター上のattR1と組み換えられるので、目的の核酸分子の方向性は、維持されるかまたは、エントリークローン目的ベクターへから移入される際に制御され得る。それ故、このGATEWAYTM Cloning Systemは、目的の核酸分子の方向的クローニングの効果的かつ簡便な方法を提供する。
・一段階のクローニングまたはサブクローニング:Clonaseとエントリークローンおよび目的ベクターとを混合し、インキュベートし、そして形質転換する。
・attB部位をPCRプライマーに付加することにより、インビトロ組換えにより容易にPCR産物をクローン化する。次いで、これらのエントリークローンを目的ベクターに直接移入する。このプロセスはまた、1工程で実施され得る(以下の実施例を参照のこと)。
・効果的な選択は、高い信頼度を与える:90%以上(そして、しばしば99%以上)のコロニーは、その新たなベクター中の所望のDNAを含む。
・GATEWAYTM Cloning Systemベクターへの現存の標準ベクターの1工程転換。
・ラージベクターまたはいくつかのクローニング部位を有するラージベクターに同一である。
・組換え部位が短く(25bp)、そして終止コドンまたは第二の構造を含まないように操作され得る。
・反応は、高処理能力適用(例えば、診断目的のためかまたは治療的候補物スクリーニングのために)のために自動化され得る。
・この反応は、経済的であり:0.3μgの各DNAを使用し;制限酵素、ホスファターゼ、リガーゼまたはゲル精製を使用しない。反応は、ミニプレップDNAを使用して良好に進行する。
・1回の実験で、1つ以上の目的ベクターへ、多重クローンを(およびライブラリーでさえも)移入する。
・種々の目的ベクターが、生成され得、適用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
・E.coliにおけるタンパク質発現:ネイティブなタンパク質;精製のための、GST、His6、チオレドキシンなどを有する融合タンパク質、または1つ以上のエピトープタグ;E.coliにおけるタンパク質の発現の際に有用な任意のプロモーター(例えば、ptrc、λPLおよびT7プロモーター)が使用され得る
・真核細胞におけるタンパク質発現:CMVプロモーター、バキュロウイルス(His6タグを有するかまたは有さない)、Semliki Forestウイルス、Tet調節
・DNA配列決定(全てlacプロモーター)、RNAプローブ、ファージミド(両鎖)
・種々のエントリーベクター(標準の組換えDNA方法による組換え的クローニングエントリーのために)が生成され得る:
・E.coliに対する遺伝子毒性について、ちょうど上流の強力な転写終止
・3つのリーディングフレーム
・TEVプロテアーゼ切断部位を有するか有さない
・原核生物および/または真核生物の翻訳についてのモチーフ
・市販のcDNAライブラリーと互換性がある
・発現スクリーニングのための2−hybridライブラリーおよびファージディスプレイライブラリーを含む発現クローンcDNA(attB)ライブラリーはまた、構築され得る。
【0098】
(組換え部位の配列)
1つの局面では、本発明は、核酸分子に関する。これは、単離された核酸分子であってもよいしなくてもよく、1つ以上の組換え部位またはその部分をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む。特に、本発明のこの局面は、attB、attP、attLもしくはattR、またはこれらの組換え部位の配列の部分をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含むそのような核酸分子に関する。本発明はまた、このような核酸分子の変異体、誘導体およびフラグメントに関する。他に記載されない限り、本明細書中のDNA分子を配列決定することにより決定され得る全てのヌクレオチド配列は、手動または自動のDNA配列決定(例えば、当業者(Sanger,F.およびCoulson,A.R.、J.Mol.Biol.94:444−448(1975);Sanger,F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463−5467(1977))に慣用的である方法に従う、ジデオキシ配列決定)を使用して決定された。本明細書中で決定されるDNA分子によりコードされるポリペプチドの全てのアミノ酸配列は、上記のように決定されるDNA配列の概念的な翻訳により推定された。従って、これらの試みにより決定される任意のDNA配列について、当該分野において公知であるように、本明細書中で決定されるヌクレオチド配列は、いくつかのエラーを含み得る。このような方法により決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されたDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対して、代表的に少なくとも約90%同一であり、より代表的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。当該分野でもまた公知であるように、実際の配列と比較した決定されたヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は、ヌクレオチド配列の翻訳におけるフレームシフトを引き起こし、挿入または欠失の点に存在する、決定されたヌクレオチド配列によりコードされる推定アミノ酸配列が、配列決定されたDNA分子により実際にコードされるアミノ酸配とは完全に異なる。
【0099】
他に記載されない限り、本明細書中に記載される各「ヌクレオチド配列」は、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。しかし、核酸分子またはポリヌクレオチドの「ヌクレオチド配列」により、DNA分子またはポリヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドの配列)について、およびRNA分子またはポリヌクレオチド(ここで特定のデオキシリボヌクレオチド配列中の各チミジンデオキシリボヌクレオチド(T)は、リボヌクレオチドウリジン(U)により置換される)について、意図される。従って、本発明は、DNAもしくはRNA分子、またはハイブリッドDNA/RNA分子およびそれらの対応する相補DNA鎖、相補RNA鎖または相補DNA/RNA鎖の本発明の配列に関する。
【0100】
第1のこのような局面において、本発明は、attB1、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を有する核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示された配列を有するattB1ヌクレオチド配列(例えば、ACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT)、あるいはattB1について図9に示されたヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいはその誘導体を含み得る。しかし当業者は、以下のことを理解する。本発明の核酸分子に含まれるattB1配列中の1以上の塩基の、特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attB1配列中のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0101】
関連した局面において、本発明は、attB2、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattB2ヌクレオチド配列(例えば、ACCCAGCTTTCTTGTACAAAGTGGT)、あるいはattB2について図9に示されたヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子に含まれるattB2配列中の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故attB2中のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0102】
attB1部位およびattB2部位を含む核酸分子を含む組換え宿主細胞(pCMVSport6としても公知である、ベクターpEXP501;図48を参照のこと)、E.coli DB3.1(pCMVSport6)は、1999年2月27日に、受託番号NRRL B−30108としてAgricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815 North University Street、Peoria、Illinois 610604 USAの収集に寄託された。寄託された核酸分子内のattB1部位およびattB2部位は、核酸カセットに含まれ、その核酸カセットは以下でより詳細に記載される1以上のさらなる機能的配列に関連する。
【0103】
別の関連する局面において、本発明は、attP1、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattP1ヌクレオチド配列(例えば、
【0104】
【化4】
)、あるいはattP1について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子内に含まれるattP1配列内の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attP1配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
別の関連する局面において、本発明は、attP2、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattP2ヌクレオチド配列(例えば、
【0106】
【化5】
)、あるいはattP2について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはそれらの変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子内に含まれるattP2配列内の1以上の塩基の特定な変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attP2配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0107】
attP1部位およびattP2部位を含む核酸分子(pENTR21−attPkanまたはpAttPkanとしてもまた公知であるattPベクターpDONR201;図49を参照のこと、)を含む組換え宿主細胞、E.coli DB3.1(pAttPkan)(E.coli DB3.1(pAHKan)とも呼ばれる)は、1999年2月27日に、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815 North University Street、Peoria Illinois 61604 USAの収集に受託番号NRRL B−30099として寄託された。寄託された核酸分子内のattP1部位およびattP2部位は、核酸カセットに含まれ、この核酸カセットは、以下でより詳細に記載される1以上のさらなる機能的配列に関連する。
【0108】
別の関連する局面において、本発明は、attR1またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattR1ヌクレオチド配列(例えば、
【0109】
【化6】
)、あるいはattR1について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子に含まれるattR1配列内の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attR1配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸配列は、本発明の範囲内に含まれる。
【0110】
別の関連する局面において、本発明は、attR2、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体をコードする1以上の核酸配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattR2ヌクレオチド配列(例えば
【0111】
【化7】
)、あるいはattR2について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはそれらの変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸配列に含まれるattR2配列内の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attR2配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0112】
リーディングフレームA、リーディングフレームB、ならびにリーディングフレームC、E.coli DB3.1(pEZC15101)(リーディングフレームA;図64Aを参照のこと)、E.coli DB3.1(pEZC15102)(リーディングフレームB;図64Bを参照のこと)、およびE.coli DB3.1(pEZC15103)(リーディングフレームC;図64Cを参照のこと)内のクローニング部位に並べられたattR1部位を含む組換え宿主細胞株、および対応するattR2部位を含む組換え宿主細胞株は、1999年2月27日に、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815 North University Street、Peoria、Illinois 61604 USAの収集に、それぞれ受託番号NRRL B−30103、NRRL B−30104、およびNRRL B−30105として寄託された。寄託された核酸分子内のattR1部位およびattR2部位は、核酸カセットに含まれ、この核酸カセットは、以下でより詳細に記載される1以上のさらなる機能的配列に関連する。
【0113】
別の関連する局面において、本発明は、attL1、またはその変異体、フラグメント、改変体、および誘導体をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattL1ヌクレオチド配列(例えば、
【0114】
【化8】
)、あるいはattL1について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはその変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体)を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子に含まれるattL1配列内の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attL1配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0115】
別の関連する局面において、本発明は、attL2、またはその変異体、フラグメント、改変体、および誘導体をコードする1以上の核酸配列を含む核酸分子を提供する。このような核酸分子は、図9に示される配列を有するattL2ヌクレオチド配列(例えば、
【0116】
【化9】
)、あるいはattL2について図9に示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、またはそれらの変異体、フラグメント、改変体、あるいは誘導体を含み得る。attB1について上記のように、本発明の核酸分子に含まれるattL2配列内の1以上の塩基の特定の変異、挿入、または欠損は、これらの分子の構造的完全性および機能的完全性を含まないで作製され得る;それ故、attL2配列内のこのような変異、挿入、または欠損を含む核酸分子は、本発明の範囲内に含まれる。
【0117】
リーディングフレームA、リーディングフレームB、ならびにリーディングフレームC、E.coli DB3.1(pENTR1A)(リーディングフレームA;図10を参照のこと)、E.coli DB3.1(pENTR2B)(リーディングフレームB;図11を参照のこと)およびE.coli DB3.1(pENTR3C)(リーディングフレームC;図12を参照のこと)におけるクローニング部位に並べられたattL1部位を含む組換え宿主細胞、および対応するattL2部位を含む組換え宿主細胞は、1999年2月27日に、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815 North University Street Peoria、Illinois 61604 USAの収集に、それぞれ受託番号NRRL B−30100、NRRL B−30101、およびNRRL B−30102として寄託された。寄託された核酸分子内のattL1部位およびattL2部位は、核酸カセットに含まれ、この核酸カセットは、以下でより詳細に記載される1以上のさらなる機能的配列に関連する。
【0118】
本明細書中に記載される各組換え部位配列あるいはその一部、または寄託されたクローンに含まれるヌクレオチド配列カセットは、(例えば、本明細書中に記載される組換えクローニング方法および/または当該分野で慣習的な標準的な制限クローニング技術を使用して)クローン化され得るか、または目的のベクターに挿入され得、例えばエントリーベクターまたは目的ベクター(目的の核酸分子の所望のセグメント(例えば、遺伝子、cDNA分子、またはcDNAライブラリー)を、所望のベクターまたは宿主細胞に移すために使用され得る)を産生するためにクローン化され得るか、挿入され得る。
【0119】
本明細書中に提供される情報(例えば、本明細書中に記載される組換え部位配列に対するヌクレオチド配列)を使用して、1以上の組換え部位、またはその一部をコードする本発明の単離された核酸分子は、標準的なクローニングおよびスクリーニング手順(例えば、開始物質としてmRNAを使用するcDNAをクローニングするための手順)を使用して入手され得る。好ましくは、このような方法としては、PCRに基づくクローニング方法(例えば、本明細書および以下の実施例に記載されるようなプライマーを使用する逆転写酵素PCR(RT−PCR))が挙げられる。あるいは、本明細書中で記載される組換え部位配列を含むカセットを含むベクターがLife Technologies,Inc.(Rockville,MD)より市販されている。
【0120】
本発明はまた、1以上の組換え部位配列またはその一部、および1以上のさらなるヌクレオチド配列を含む核酸分子に関し、この核酸分子は、機能的部位または構造的部位(例えば、1以上のマルチクローニング部位、1以上の転写末端部位、1以上の転写制御配列(プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなどであり得る)、1以上の翻訳シグナル(例えば分泌シグナル配列)、1以上の複製起点、1以上の融合パートナーペプチド(特に、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ヘキサヒスチジン(His6)、およびチオレドキシン(Trx))、1以上の選択マーカーまたはモジュール、局在化シグナルをコードする1以上のヌクレオチド配列(例えば、核局在化シグナル、または分泌シグナル)、1以上の複製起点、1以上のプロテアーゼ切断部位、目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする1以上の遺伝子または遺伝子の一部、および1以上の5’ポリヌクレオチド伸長(特に、約1〜約20、約2〜約15、約3〜約10、約4〜約10の長さの範囲のグアニン残基の伸長、そして最も好ましくは、組換え部位ヌクレオチド配列の5’末端の4または5のグアニン残基の伸長))をコードし得る。1以上のさらなる機能的配列または構造的配列は、本発明の核酸分子に含まれる1以上の組換え部位配列に隣接しても、しなくてもよい。
【0121】
本発明のいくつかの核酸分子において、1以上のさらなる機能的部位または構造的部位をコードする1以上のヌクレオチド配列は、組換え部位をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。例えば、本発明の特定の核酸分子は、本発明の組換え部位またはその一部をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列(例えば、T7プロモーター、ファージλPLプロモーター、E.coli lac、trpまたはtacプロモーター、および当業者に知られた他の適切bなプロモーター)を有し得る。
【0122】
本発明の核酸分子(単離された核酸分子であり得る)は、RNAの形態(例えば、mRNA)、またはDNAの形態(例えば、クローニングまたは合成的に産生されたcDNAおよびゲノムDNAを含む)、あるいはDNA−RNAハイブリッドの形態であり得る。本発明の核酸分子は、2本鎖または1本鎖であり得る。1本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖であり得るか(センス鎖としても公知である)、または非コード鎖であり得る(アンチセンス鎖としても言及される)。本発明の核酸分子はまた、直鎖状、環状、コイル状、高次コイル状を含む、複数の位相を有し得る。
【0123】
「単離された」核酸分子は、そのネイティブな環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために単離されているとみなされる。単離されたDNA分子のさらなる例としては、異種宿主細胞内に維持される組換えDNA分子が挙げられ、そしてこれらのDNA分子は、組換えDNA技術によって生成されていようと、または合成化学技術によって生成されていようとも、溶液より(部分的または実質的に)精製される。単離されたRNA分子としては、インビボまたはインビトロでの本発明のDNA分子のRNA転写物が挙げられる。
【0124】
本発明はさらに、本発明の核酸分子の変異体、フラグメント、改変体、および誘導体に関し、それらは、1以上の組換え部位の一部、アナログ、または誘導体をコードする。改変体は天然に生じ得る(例えば、天然の対立形質改変体)。「対立形質改変体」とは、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを意図する(Lewin,B編、GenesII、John Wiley&Sons、New York(1985))。非天然に生じる改変体は、例えば本明細書中で以下に記載されるような当該分野で公知の突然変異誘発技術を使用して生成され得る。
【0125】
このような改変体としては、ヌクレオチドまたはその一部の置換、欠損または付加、、あるいはその組み合わせによって産生される改変体が挙げられる。置換、欠損、または付加は、1以上のヌクレオチドに関与し得る。改変体は、コード領域、非コード領域、または両方において変化され得る。コード領域における変化は、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換、欠損および付加を生成し得る。これらの中で特に好ましいのは、サイレント置換、付加、および欠損であり、それらは、コードされるポリペプチドまたはその一部の特性および活性を変化しない。そしてそれらはまた、組換え反応において組換え部位核酸配列の反応性を実質的に変化しない。保存的な置換もまた、この点において特に好ましい。
【0126】
本発明の核酸分子の特に好ましい変異体、フラグメント、改変体および誘導体としては、15bpコア領域(GCTTTTTTATACTAA)内における1つ以上のヌクレオチド塩基の挿入、欠失または置換が挙げられるがこれらに限定されない。このコア領域は、4つ全ての野生型λatt部位(attB、attP、attLおよびattR)において同一である(米国出願第08/663,002号、1996年6月7日出願(現在、米国特許第5,888,732号)、同第09/005,476号、1998年1月12日出願、および同第09/177,387、1998年10月23日出願を参照し、これらはコア領域をより詳細に記載し、そしてこれらの開示は、本明細書中に参考としてその全体が援用される)。同様に、attB1、attP1、attL1およびattR1におけるコア領域は、互いに同一であり、attB2、attP2、attL2およびattR2におけるコア領域も同様である。詳細には、この点において、この15bpコア領域(GCTTTTTTATACTAA)内で生じる7bpオーバーラップ領域(TTTATAC、これは、インテグラーゼタンパク質に対する切断部位によって規定され、そして鎖の交換が起こる領域である)内における1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失または置換を含む核酸分子が好ましい。本発明のこの局面に従うそのような好ましい変異体、フラグメント、改変体および誘導体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:7bpオーバーラップ領域の位置1におけるチミジンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシン、もしくはアデニンで置換された核酸分子;7bpオーバーラップ領域の位置2のチミジンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシンもしくはアデニンによって置換された核酸分子;7bpオーバーラップ領域の位置3のチミジンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシンもしくはアデニンによって置換された核酸分子;7bpオーバーラップ領域の位置4のアデニンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシンもしくはチミジンによって置換された核酸分子;7bpオーバーラップ領域の位置5のチミジンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシンもしくはアデニンによって置換された核酸分子;7bpオーバーラップ領域の位置6のアデニンが、欠失されたか、またはグアニン、シトシンもしくはチミジンによって置換された核酸分子;および、7bpオーバーラップ領域の位置7のシトシンが、欠失されたか、またはグアニン、チミジン、もしくはアデニンによって置換された核酸分子;あるいは、この7bpオーバーラップ領域内の1つ以上のそのような欠失および/または置換の任意の組み合わせ。本明細書中の実施例21に詳細に記載したように、7bpオーバーラップ(TTTATAC)の最初の3つの位置に置換が作製された本発明の核酸分子の変異体が、組換え特異性に強く影響を与え、最後の4つの位置(TTTATAC)に置換が作製された変異体核酸分子は、部分的にのみ組換え特異性を変化させ、そして7bpオーバーラップの外であるが15bpコア領域内のいずれかのヌクレオチド置換を含む変異体核酸分子は、組換え特異性には変化を与えないが、組換え効率に影響を与えることが、本発明において見出された。
【0127】
ゆえに、さらなる局面において、本発明はまた、組換え特異性に影響を与える1つ以上の組換え部位ヌクレオチド配列(詳細には、15bpコア領域内の7塩基対オーバーラップに実質的に対応し得、組換え特異性に影響を与える1つ以上の変異を有する1つ以上のヌクレオチド配列)を含む核酸分子に関する。詳細には、好ましいそのような分子は、コンセンサス配列(例えば、NNNATAC(ここで、「N」は、任意のヌクレオチド(すなわち、A、G、T/UまたはCであり得る)をいい、ただしコンセンサス配列における最初の3つのヌクレオチドの1つが、T/Uである場合、最初の3つのヌクレオチドの他の2つのうちの少なくとも1つは、T/Uではない))(本明細書において実施例21に詳細に記載する)を含み得る。
【0128】
関連する局面において、本発明はまた、組換え効率を増強する1つ以上の組換え部位ヌクレオチド配列、詳細にはコア領域に実質的に対応し得かつ組換え効率を増強する1つ以上の変異を有する1つ以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。「組換え効率を増強する」配列または変異は、組換え部位、好ましくはコア領域(例えば、att組換え部位の15bpコア領域)内の配列または変異を意味し、これは、組換え分子が、変異された配列もしくはコア領域を含まない分子(例えば、野生型の組換え部位コア領域配列を含む分子)と比較して変異された配列またはコア領域を含む場合、クローニング効率の増加を生じる(代表的には、試験配列の成功したクローニングを決定することによって(例えば、所定のクローニング混合物に対するCFU/mlを決定することによって)測定される)。より詳細には、所定の配列または変異が組換え効率を増強するか否かは、本明細書中に記載されるような組換えクローニングにおける配列または変異を用いて決定され得、そしてその配列または変異が、変異されていない(例えば、野生型)配列と比較された場合に増強された組換えクローニング効率を提供するか否かを決定する。多くの組換え部位(詳細には、att組換え部位)に対する好ましいクローニング効率を増強する変異を決定する方法は、本明細書(例えば実施例22〜25)に記載される。caacttnntnnnannaagttg(ここで、「n」は、任意のヌクレオチドを表す)のattLコンセンサスコア配列に対する好ましいこのような変異組換え部位の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えば
【0129】
【化10】
。コア領域に加えatt部位の他の部分が、組換え効率に影響を与え得ることを当業者は理解する。バクテリオファージλattP部位中(2つはattR(P1およびP2)中、そして3つはattL(P’1、P’2およびP’3)中)に、インテグラーゼタンパク質に対するアーム結合部位と呼ばれる5つが存在する。コア結合部位と比較すると、インテグラーゼタンパク質はアーム部位に高い親和性で結合し、そしてそのタンパク質の2つの異なるドメインを介してコアおよびアーム部位と相互作用する。コア結合部位を有するので、C/AAGTCACTATからなるアーム結合部位に対するコンセンサス配列は、5つのアーム結合部位と7つの非att部位との配列比較から推察される(RossおよびLandy,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:7724−7728(1982))。各アーム部位は変異され、そして切除および組込み反応におけるその効果に対して試験される(Numrychら、Nucl.Acid.Res.18:3953(1990))。ゆえに、特定の部位が、異なる方法で各反応に利用され、すなわち、P1およびP’3部位は、組込み反応に重要であるが、他の3つの部位は、程度を変えるための組込み反応に不要である。同様に、P2、P’1およびP’2部位は、切除反応に最も重要であるが、P1およびP’3は、完全に不要である。興味深いことに、P2が変異される場合、野生型attP部位を用いたよりもより効果的に組込み反応が生じる。同様に、P1およびP’3が変異される場合、切除反応がより効率的に生じる。インテグラーゼアーム結合部位を変異する刺激性の効果は、特定の組換え部位を競合または阻害する部位か、または産物を出発物質に戻して転換する反応中で機能する部位を除去することによって説明され得る。実際、XIS独立LR反応に関する証拠が存在する(AbremskiおよびGottesman,J.Mol.Biol.153:67−78(1981))。従って、att部位のコア領域における改変に加えて、本発明は、インテグラーゼアーム型結合部位における1つ以上の改変を含むatt部位の使用を意図する。いくつかの好ましい実施形態において、1つ以上の変異が、1つ以上のP1、P’1、P2、P’2およびP’3部位に導入され得る。いくつかの好ましい実施形態において、多重変異が、これらの部位の1つ以上に導入され得る。好ましいこのような変異は、インビトロにおいて組換えを増加する変異を含む。例えば、いくつかの実施形態において、BP反応に対応する組込み型の組換えが増強されるように、変異がアーム型結合部位に導入され得る。他の実施形態において、LR反応に対応する切除組換えが増強されるように、変異がアーム型結合部位に導入され得る。当然、本明細書中に含まれる案内(詳細には、組換え特異性および効率に対して変異される組換え部位の構築ならびに効果の評価)に基づいて、類似の変異または操作された配列が、本明細書中に記載される他の組換え部位(lox、FRTなどを含むが、これらに限定されない)に対して産生され得、そして本発明に従って使用される。例えば、組換え効率を増強するコア結合部位を選択するために使用される変異誘発戦略と類似して、同様の戦略が、attP、attLおよびattRのアーム、ならびにlox、FRTなどのような他の組換え部位中の類似性配列における変化を選択するために使用され得、これは組換え効率を増強する。ゆえに、そのような変異の構築および評価は、過度の実験を伴わずに十分に当業者の能力の範囲内である。そのような変異を調製しかつ評価するある適切な方法論は、Numrychら(1990)Nucleic Acids Research 18(13):3953−3959に見いだされる。
【0130】
組換え効率を増強するのに適切であり得る他の変異配列および核酸分子は、本明細書中の説明から明らかであるか、または本明細書中の説明の観点における分子生物学の慣用的な実験および当該分野で容易に入手可能な情報のみを用いて、当業者によって容易に決定され得る。
【0131】
遺伝暗号が当該分野において周知であるので、当業者にとってまた、過度の実験なしで本明細書中に記載される核酸分子の縮重改変体を作製することは慣用である。ゆえに、本明細書中に記載される組換え部位をコードする核酸配列の縮重改変体を含む核酸分子はまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0132】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書中に記載の組換え部位の15bpコア領域内における7bpオーバーラップ領域のヌクレオチド配列、または図9に示されるようなattB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1もしくはattR2のヌクレオチド配列(またはその部分)、または任意のこれらのヌクレオチド配列、もしくはそのフラグメント、改変体、変異体および誘導体に相補的なヌクレオチド配列に、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、そしてより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を含む。
【0133】
特定の組換え部位またはその部分をコードする参照ヌクレオチド配列に少なくとも、例えば95%「同一な」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、組換え部位をコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当たり、5つまでの点変異(例えば、挿入、置換または欠失)を含み得るポリヌクレオチド配列以外は参照配列に同一であるポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を意図する。例えば、参照attB1ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、attB1参照配列において5%までのヌクレオチドが、欠失もしくは別のヌクレオチドで置換され得るか、またはattB1参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの多くのヌクレオチドが、attB1参照配列中に挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置またはこれらの末端位置間のいずれかで生じ得、参照配列中のヌクレオチド間で個々にか、または参照配列内の1つ以上の連続した群においてかのいずれかで広がる。
【0134】
実際の問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば所定の組換え部位のヌクレオチド配列またはその部分に少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか否かは、初期配列整列のためのDNAsisソフトウェア(Hitachi Software,San Bruno,California)、続いて多重配列整列のためのESEE 第3.0版 DNA/タンパク質配列ソフトウェア(cabot@trog.mbb.sfu.ca)のような公知のコンピュータープログラムを用いて簡便に決定され得る。あるいは、そのような決定は、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)(これは、2つの配列間の最良な相同性セグメントを見いだすためにローカル相同性アルゴリズム(SmithおよびWaterman,Advances in Applied Mathematics 2:482−489(1981))を使用する)を用いて達成され得る。特定の配列が、本発明に従う参照配列に例えば95%同一であるか否かを決定するための、DNAsis、ESEE、BESTFITまたは任意の他の配列整列プログラムを使用する場合、パラメーターは、参照ヌクレオチド配列の全長にわたって同一性のパーセンテージが計算され、そして参照配列中のヌクレオチド全数の5%までの、相同性におけるギャップが可能になるように設定される。
【0135】
本発明は、図9に示されるようなattB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1またはattR2のヌクレオチド配列、または寄託されたクローンのヌクレオチド配列に、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸分子に関し、これらが特定の機能ポリペプチドをコードするか否かに関わらない。なぜなら、特定の核酸分子が特定の機能ポリペプチドをコードしない場合でさえも、当業者は核酸分子を使用する方法(例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして)を理解するからである。
【0136】
変異はまた、部位特異的組換えを増強するためもしくは反応物の特性を変化させるなどのために、組換え部位ヌクレオチド配列中に導入され得る。そのような変異としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:コードされる誘導タンパク質を可能にする翻訳終止コドンを伴わない組換え部位;同じタンパク質によって認識されるが塩基配列が異なる組換え部位であって、その結果その組換え部位が意図される多重反応を可能にするそれらの相同性パートナーと、大きくまたは排他的に反応する、組換え部位;ならびに組換え部位のヘアピン形成を避けるための変異。どの特定の反応が生じるかは、反応混合物中に特定のパートナーが存在することによって特定化され得る。
【0137】
特定の変異を核酸配列中に導入するための手順は周知である。これらの多くが、Ausubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York(1989−1996)に記載される。変異は、オリゴヌクレオチド中に設計され得、これはクローン化された配列を切除する改変に対して使用され得るか、または増幅反応において使用され得る。所望の変異DNAまたはRNAを単離するために適切な選択方法が利用可能な場合、無作為変異誘発がまた利用され得る。所望の変異の存在は、周知の方法による核酸の配列決定によって確認され得る。
【0138】
以下の非限定の方法は、特定の組換え部位をコードする所定の核酸分子を改変または変異するために使用され得、本発明に使用され得る変異部位を提供する:
1.部位特異的(例えば、attPを提供するためのattLおよびattR)または他(例えば、相同性)組換え機構による2つの親DNA配列の組換え(ここで、親DNAセグメントは、1つ以上の塩基改変を含み、最終的な変異された核酸分子を生じる);
2.所望の核酸分子の直接的な、変異または(部位特異的、PCR、ランダム、偶発的などの)変異誘発;
3.親DNA配列の(部位得的、PCR、ランダム、偶発的などの)変異誘発、
親DNAは、再び結合され、所望の核酸分子を生成する;
4.所望のコア配列をコードするRNAの逆転写;ならびに
5.所望の塩基変化または無作為な塩基変化を有する配列のデノボ合成(化学合成)、続いて当該分野で慣用である方法に従う配列決定または機能的分析。
【0139】
変異組換え部位の機能性は、所望される特定の特徴に依存する方法で実施され得る。例えば、組換え部位における翻訳終止コドンの欠失は、適切な融合タンパク質を発現させることによって実施され得る。相同性パートナーの間の組換え特異性は、適切な分子をインビトロ反応に導入し、そして本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知のような組換え産物に対してアッセイすることによって実施され得る。組換え部位における他の所望の変異は、制限部位、翻訳もしくは転写開始シグナル、タンパク質結合部位、特定のコード配列および核酸塩基配列の他の公知の機能性の存在または非存在を含み得る。組換え部位における特定の機能特質に対する遺伝的選択スキームは、公知の方法工程に従って使用され得る。例えば、(相互作用しない部位の対から)相互作用するパートナーを提供するための部位の改変は、その部位の間の組換えを介して、毒性物質をコードするDNA配列の欠失を要求することによって達成され得る。同様に、翻訳終止配列、タンパク質結合部位の存在または非存在などを除去する部位の選択が、当業者によって用意に工夫され得る。
【0140】
従って、本発明はまた、選択マーカーおよび/または所望のDNAセグメントに隣接し、少なくとも1つ、そして好ましくは少なくとも2つの本発明の操作された組換え部位ヌクレオチド配列を有する、少なくとも1つのDNAセグメントを含む核酸分子を提供し、ここで、少なくとも1つの上記組換え部位ヌクレオチド配列は、共挿入されたDNAまたは産物DNAの形成におけるインビトロの組換えを増強する少なくとも1つの操作された変異を有する。そのような操作された変異は、本発明の組換え部位ヌクレオチド配列のコア配列の中であり得る;米国出願第08/486,139号(1995年6月7日出願)、同第08/663,002号(1996年6月7日出願)(現在、米国特許第5,888,732号)、同第09/005,476号(1998年1月12日出願)および同第09/177,387号(1998年10月23日出願)を参照し、これらの開示は、本明細書中にその全体が参考として全て援用される。
【0141】
好ましい実施形態において、組換え部位は、配列が異なりそして互いに相互作用しないが、同じ配列(これは、互いに相互作用し得る)を含む部位は、互いの組換えを阻害するように処理され得るかまたは操作され得ることが、理解される。そのような概念は、本明細書中に考慮されそして援用される。例えば、タンパク質結合部位(例えば、抗体結合部位、ヒストン結合部位、酵素結合部位または任意の核酸分子結合タンパク質に対する結合部位)は、その部位の1つに隣接して操作され得る。操作された部位を認識するタンパク質の存在下において、リコンビナーゼはその部位へのアクセスに失敗し、従って核酸分子内の別の組換え部位が、優先的に使用される。共挿入の場合、この部位は、もはや反応し得ない。なぜなら、例えばattBからattLに変化されているからである。共挿入の分解の間またはその時、タンパク質は、不活性化され得(例えば、抗体、熱または緩衝液の交換によって)、そして第2の部位は組換えを起こし得る。
【0142】
本発明の核酸分子は、この組換えの少なくとも1つの増強を与える少なくとも1つの変異を有し得、この増強は、実質的に以下からなる群から選択される:(i)組み込みを可能にすること;(ii)組換えを可能にすること;(ii)宿主因子についての要件を軽減すること;(iii)この共統合DNAまたは産物DNA形成の有効性を向上させること;(iv)この共統合DNAまたは産物DNA形成の特異性を向上させること;およびタンパク質結合部位を追加または欠失させること。
【0143】
他の実施形態において、本発明の核酸分子は、PCRプライマー分子であり得、これは本明細書中に記載される1つ以上の組換え部位配列またはそれらの部分、特に、3’末端で、増幅されるべき標的核酸分子と特異的に相互作用する標的特異的テンプレート配列に結合した、図9に示される配列(または図9に示される配列に相同な配列)、または改変体、フラグメント、それらの変異体または誘導体を含む。本発明のこの局面に従うプライマー分子は、さらに、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、10、20、25、50、100、500、1000、またはそれより多い)のさらなる塩基を、それらの5’末端に含み得、そして好ましくは、1つ以上(特に4または5)のさらなる塩基を含み、これらの塩基は、好ましくは、それらの5’末端において、本発明の組換えクローニング系にプライマー分子を組み込む増幅産物の効率を増加するグアニンである。このような核酸分子およびプライマーは、本明細書中の実施例、特に実施例22〜25に詳細に記載される。
【0144】
本発明の特定のプライマーは、図9に示されるように、attB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1、またはattR2配列中に1つ以上のヌクレオチド欠失を含み得る。このような局面において、例えば、attB2プライマーが構築され得、ここで、図9に示されるattB2配列の5’末端における初めの4ヌクレオチドのうち1つ以上は、欠失している。従って、本発明のこの局面に従うプライマーは、以下の配列を有し得る:
【0145】
【化11】
ここで、プライマーの3’末端における「nnnnnnnnnnnnn...n」は、任意の長さ(例えば、1塩基から標的核酸分子(例えば、遺伝子)またはその部分の全ての塩基まで)の標的特異的配列を表し、この配列および長さは、増幅されるべき標的核酸分子の同一性に依存する。
【0146】
本発明のこの局面に従うプライマー核酸分子は、図9に示される組換え部位配列、またはそれらの部分を、標準PCR標的特異的プライマーの5’末端に、当該分野で周知の方法に従って連結することによって、合成的に生成され得る。あるいは、本発明のさらなるプライマー核酸分子は、1つ以上のヌクレオチド塩基(これは、好ましくは、本明細書中で記載されるattヌクレオチド配列の、1つ以上、好ましくは5つ以上、そしてより好ましくは6つ以上の連続したヌクレオチドに対応する(例えば、本明細書中の実施例20を参照のこと;米国出願第08/663,002号(1996年6月7日出願)(現在、米国特許第5,888,732号)、同第09/005,476号(1998年1月12日出願)、および同第09/177,387号(1998年10月23日出願)もまた参照のこと。これらの開示は、それらの全体が本明細書中で参考として援用される))を、標準PCR標的特異的プライマーの5’末端に、当該分野で周知の方法に従って付加することによって、合成的に生成され、本明細書中に記載の特異的ヌクレオチド配列を有するプライマーを提供し得る。上記のように、本発明のこの局面に従うプライマー核酸分子はまた、それらの5’末端において、1、2、3、4、5またはそれより多いさらなるヌクレオチド塩基を必要に応じて含み得、そして好ましくは、それらの5’末端において、4つまたは5つのグアニンを含む。1つの特に好ましいこのような局面において、本発明のプライマー核酸分子は、標的特異的(例えば、遺伝子特異的)プライマー分子の5’末端に結合した、図9に示されるattB1またはattB2ヌクレオチド配列(またはそれらに対して相補的なヌクレオチド)の、1つ以上、好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ以上、さらにより好ましくは、6〜18または6〜25個、そして最も好ましくは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の連続したヌクレオチドまたはbpを含み得る。本発明のこの局面に従うプライマー核酸分子には、以下のヌクレオチド配列を有するattB1およびattB2誘導プライマー核酸分子が挙げられるが、これらに限定されない:
【0147】
【化12】
ここで、プライマーの3’末端における「nnnnnnnnnnnnn...n」は、任意の長さ(例えば、1塩基から標的核酸分子(例えば、遺伝子)またはその部分の全ての塩基まで)の標的特異的配列を表し、この配列および長さは、増幅されるべき標的核酸分子の同一性に依存する。
【0148】
もちろん、本明細書に詳細に記載されるものと類似のさらなるプライマー核酸分子が、標的特異的(例えば、遺伝子特異的)プライマー分子の5’末端の連結した、図9に示されるattP1、attP2、attL1、attL2、attR1、またはattR2ヌクレオチド配列の、1つ以上、好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ以上、さらにより好ましくは10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、30個以上など(全てまでおよび全てを含む)の連続したヌクレオチドまたはbpを使用して生成され得ることは、本明細書中に含まれる教示から当業者に明らかである。上記のように、このようなプライマー核酸分子は、それらの5’末端において、1、2、3、4、5個またはそれより多いさらなるヌクレオチド塩基を必要に応じてさらに含み得、そして好ましくは、それらの5’末端で、4つのグアニンを含む。図9に示されるattB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1、およびattR2配列を含む他のプライマー分子、またはそれらの部分は、本明細書中に示されるガイダンスに従って、過度の実験を使用することなく、当業者によって作製され得る。
【0149】
本明細書中に記載される本発明のプライマーは、本発明の組換えシステムを使用するPCR増幅DNAフラグメントのクローニング(以下の実施例8、19および21〜25に詳細に記載される)において使用するため、各末端において組み替え部位配列により隣接した目的の核酸分子を有するPCRフラグメントを産生する際に有用である(以下の実施例9で詳細に記載される)。
【0150】
(ベクター)
本発明はまた、本明細書中で記載されるように、本発明の1つ以上の核酸分子を含むベクターに関する。本発明によると、任意のベクターが、本発明のベクターを構築するために使用され得る。特に、当該分野で公知のベクターおよび市販のベクター(およびそれらの改変体または誘導体)は、本発明の方法において使用するために、1つ以上の組換え部位(もしくはそれらの部分)をコードする1つ以上の核酸分子、または変異体、フラグメント、あるいはそれらの誘導体を含むように、本発明に従って操作され得る。このようなベクターは、例えば以下から得られ得る:Vector Laboratories Inc.、In Vitrogen、Promega、Novagen、New England Biolabs、Clontech、Roche、Pharmacia、EpiCenter、OriGenes Technologies Inc.、Stratagene、Perkin Elmer、Pharmingen、Life Technologies,Inc.、およびReserch Genetics。このようなベクターは、次いで、例えば、目的の核酸分子をクローニングまたはサブクローニングするために使用され得る。一般的なクラスの特定の目的のベクターには、原核生物および/または真核生物のクローニングベクター、発現ベクター、融合ベクター、トゥーハイブリッドベクター、逆トゥーハイブリッドベクター、異なる宿主において使用するためのシャトルベクター、変異誘発ベクター、転写ベクター、大きな挿入物を受容するためのベクターなどが挙げられる。
【0151】
目的の他のベクターには、ウイルス由来のベクター(M13ベクター、細菌性ファージλベクター、バクテリオファージP1ベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ファージディスプレイベクター、組換えライブラリーベクター)、高い、低い、および調整可能なコピー数のベクター、単一の宿主中の組換えにおける使用に適合性のレプリコンを有するベクター(pACYC184およびpBR322)、ならびに真核生物エピソーム複製ベクター(pCDM8)が挙げられる。
【0152】
目的の特定のベクターには、原核生物発現ベクター(例えば、pcDNAII、psSL301、pSE280、pSE380、pSE420、pTrcHisA、BおよびC、pRSET A、BおよびC(Invitrogen,Inc.)、pGEMEX−1、およびpGEMEX−2(Promega,Inc.))、pETベクター(Novagen,Inc.)、pTrc99A、pKK223−3、pGEXベクター、pEZZ18、pRIT2T、およびpMC1871(Pharmacia,Inc.)、pKK233−2およびpKK388−1(Clontech,Inc.)、およびpProEx−HT(Life Technologies,Inc.)、ならびにそれらの改変体および誘導体が挙げられる。目的のベクターはまた、例えば、以下のような原核生物発現ベクターから作製され得る:
【0153】
【化13】
特定の目的の他のベクターには、pUC18、pUC19、pBlueScript、pSPORT、コスミド、ファージミド、YAS(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、MAC(哺乳動物人工染色体)、pQE70、pQE60、pQE9(Quiagen)、pBSベクター、PhageScriptベクター、BlueScriptベクター、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、pcDNA3(InVitrogen)、pGEX、pTrsfus、pTrc99A、pET−5、pET−9、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pSPORT1、pSPORT2、pCMVSPORT2.0、およびpSVSPORT1(Life Technologies,Inc.)、ならびにそれらの改変体および誘導体が挙げられる。
【0154】
目的のさらなるベクターには、以下が挙げられる:
【0155】
【化14】
特定の目的のトゥーハイブリッドベクターおよび逆トゥーハイブリッドベクターには、以下が挙げられる:
【0156】
【化15】
特定の目的の酵母発現ベクターには、pESP−1、pESP−2、pESC−His、pESC−Trp、pESC−URA、pESC−Leu(Stratagene)、pRS401、pRS402、pRS411、pRS412、pRS421、pRS422、ならびにそれらの改変体および誘導体が挙げられる。
【0157】
本発明によると、1つ以上の組換え部位、またはそれらの変異体、改変体、フラグメント、もしくは誘導体をコードする1つ以上の核酸分子を含むベクターは、標準的な分子生物学的方法を使用して、過度の実験を行うことなく、当業者によって産生され得る。例えば、本発明のベクターは、1つ以上の組換え部位(またはそれらの変異体、フラグメント、改変体または誘導体)をコードする1つ以上の核酸分子を、本明細書中に記載される1つ以上のベクターに、例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York(1982)に記載される方法に従って導入することによって産生され得る。本発明の関連の局面において、これらのベクターは、1つ以上の組換え部位(またはそれらの部分)をコードする1つ以上の核酸分子に加えて、1つ以上のさらなる物理的または機能的ヌクレオチド配列(例えば、1つ以上の多クローニング部位をコードする配列)、1つ以上の転写終結部位、1つ以上の転写調節配列(例えば、1つ以上のプロモーター、エンハンサーまたはレプレッサ)、1つ以上の選択マーカーまたはモジュール、目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子または遺伝子の部分、1つ以上の転写シグナル配列、融合パートナータンパク質またはペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(例えば、GST、His6、またはチオレドキシン)、1つ以上の複製起点、および1つ以上の5’または3’ポリヌクレオチドテール(特に、ポリG−テール)を含むように操作され得る。本発明のこの局面によると、1つ以上の組換え部位のヌクレオチド配列(またはそれらの部分)は、必要に応じて、本明細書中に記載される1つ以上のさらなる物理的または機能的ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。
【0158】
本発明のこの局面に従う好ましいベクターには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0159】
【化16】
しかし、本発明はまた、本明細書中に詳細に示されていない他のベクターを包含し、このベクターは1つ以上の組換え部位またはそれらの部分(あるいは、それらの変異体、フラグメント、改変体または誘導体)をコードする本発明の1つ以上の単離された核酸分子を含み、そしてこのベクターは、1つ以上の組換え部位またはその部分をコードする1つ以上の核酸分子に作動可能に必要に応じて連結され得る、本明細書中で記載される1つ以上のさらなる物理的または機能的ヌクレオチド配列をさらに含み得ることが当業者に理解される。このようなさらなるベクターは、本明細書中に示されるガイダンスに従って、当業者によって産生され得る。
【0160】
(ポリメラーゼ)
本発明に従う使用のための逆転写酵素活性を有する好ましいポリペプチド(すなわち、RNAテンプレートからのDNA分子の合成を触媒し得るポリペプチド)には、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)逆転写酵素、ラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素、鳥類骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、ラウス関連ウイルス(RAV)逆転写酵素、骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)逆転写酵素、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)逆転写酵素、レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎逆転写酵素、カリフラワーモザイクウイルス逆転写酵素、および細菌逆転写酵素が含まれるがこれらに限定されない。特に好ましいのは、RNAse H活性においてまた実質的に減少している逆転写酵素活性を有するポリペプチド(「RNAse H-」ポリペプチド)である。「RNA H活性において実質的に減少している」ポリペプチドによって、野生型のRNaseH活性またはRNase H-酵素(例えば、野生型M−MLV逆転写酵素)の約20%未満、より好ましくは約15%、10%、または5%未満、そして最も好ましくは約2%未満を有するポリペプチドが意味される。RNaseH活性は、種々のアッセイ(例えば、米国特許第5,244,797号、Kotewicz,M.L.ら、Nucl.Acids.Res.16:265(1988)およびGerard,G.F.ら、FOCUS 14(5):91において記載されるようなアッセイ、これらのすべての開示は、本明細書中で参考として十分に援用される)によって決定され得る。本発明における使用のための適切なRNAseH-ポリペプチドは、以下を含むがこれらに限定されない:M−MLV H-逆転写酵素、RSV H-逆転写酵素、AMV H-逆転写酵素、RAV H-逆転写酵素、MAV H-逆転写酵素、HIV H-逆転写酵素、THERMOSCRIPTTM逆転写酵素およびTHERMOSCRIPTTMII逆転写酵素、ならびにSUPERSCRIPTTM I逆転写酵素およびSUPERSCRIPTTM II逆転写酵素(これらは、例えば、Life Technologies,Inc.(Rockville,Maryland)から入手可能である)。一般的には、PCT出願公開WO 98/47912を参照のこと。
【0161】
本発明の方法における使用のために適切な核酸ポリメラーゼ活性を有する他のポリペプチドには、高熱性DNAポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIII、クレノウフラグメント、T7ポリメラーゼ、およびT5ポリメラーゼ)、ならびに耐熱性DNAポリメラーゼ(以下を含むがこれらに限定されない:Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、Thermotoga neopolitana(Tne)DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis(TliまたはVENT(登録商標))DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus種GB−D(またはDEEPVENT(登録商標))DNAポリメラーゼ、Pyrococcus woosii(Pwo)DNAポリメラーゼ、Bacillus sterothermophilus(Bst)DNAポリメラーゼ、Sulfolobus acidocaldarius(Sac)DNAポリメラーゼ、Thermoplasma acidophilum(Tac)DNAポリメラーゼ,Thermus flavus(Tfl/Tub)DNAポリメラーゼ、Thermus ruber(Tru)DNAポリメラーゼ、Thermus brockianus(DYNAZYME(登録商標))DNAポリメラーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum(Mth)DNAポリメラーゼ、ならびにそれらの変異体、改変体、および誘導体)が含まれる。このようなポリペプチドは、例えば、Life Technologies,Inc.(Rockville,MD)、New England BioLabs(Beverly,MA)およびSigma/Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0162】
(宿主細胞)
本発明はまた、本発明の1つ以上の核酸分子またはベクター(特に、本明細書中に詳細に記載される核酸分子またはベクター)を含む宿主細胞に関する。本発明のこの局面に従って使用され得る代表的な宿主細胞には、以下が含まれるがこれらに限定されない:細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、および動物細胞。好ましい細菌宿主細胞には、Escherichia spp.細胞(特に、E.coli細胞および最も特定には、E.coli株DH10B、Stbl2、DH5α、DB3、DB3.1(好ましくは、E.coli LIBRARY EFFICIENCY(登録商標)DB3.1TMコンピテント細胞;Life Technologies,Inc.,Rockville,MD)、DB4およびDB5;1999年3月2日に出願された米国仮出願番号60/122,392号を参照のこと、この開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される)、Bacillus spp.細胞(特にB.subtilisおよびB.megaterium細胞)、Streptomyces spp.細胞、Erwinia spp.細胞、Klebsiella spp.細胞、Serratia spp.細胞(特に、S.marcessans細胞)、Pseudomonas spp.細胞(特に、P.aeruginosa細胞)、およびSalmonella spp.細胞(特に、S.typhimuriumおよびS.typhi細胞)が含まれる。好ましい宿主細胞には、昆虫細胞(最も好ましくは、Drosophila melanogaster細胞、Spodpptera frugiperda Sf9細胞およびSf21細胞ならびにTrichoplusa High−Five細胞)、線虫細胞(特に、C.elegance細胞)、鳥類細胞、両生類細胞(特に、Xenopus laevis細胞)、爬虫類細胞、哺乳動物細胞(最も具体的には,CHO細胞、COS細胞、VERO細胞、BHK細胞、およびヒト細胞)が含まれる。好ましい酵母細胞には、Saccharomyces cerevisiae細胞およびPichia pastoris細胞が含まれる。これらおよび他の適切な宿主細胞は、例えば、Life Technologies,Inc.(Rockville,Maryland)、American Type Culture Collection(Manassas,Virginia)およびAgricultural Research Culture Collection(NRRL;Peoria,Illinoisから市販されている。
【0163】
本発明の核酸分子および/またはベクターを、本明細書中に記載する宿主細胞に導入して、本発明の1つ以上の核酸分子および/またはベクターを含む宿主細胞を産生するための方法は、当業者に知られている。例えば、本発明の核酸分子および/またはベクターは、感染、形質導入、トランスフェクション、および形質転換の周知の技術を使用して宿主細胞に導入され得る。本発明の核酸分子および/またはベクターは、単独でまたは他の核酸分子および/もしくはベクターとともに導入され得る。あるいは、本発明の核酸分子および/またはベクターは、沈殿物(例えば、リン酸カルシウム沈殿物)として、または脂質との複合体中で宿主細胞に導入され得る。エレクトロポレーションもまた、宿主に本発明の核酸分子および/またはベクターを導入するために使用され得る。同様に、このような分子は、化学的にコンピテントな細胞(例えば、E.coli)に導入され得る。ベクターがウイルスである場合、これは、インビトロでパッケージングされ得るか、またはパッケージング細胞に導入され得、そしてパッケージングされたウイルスは、細胞に導入され得る。従って、本発明のこの局面に従って細胞に本発明の核酸分子および/またはベクターを導入するために適切な広範な種々の技術は、当業者に周知でありそして当業者に日常的である。このような技術は、例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning、a Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press、16.30−16.55頁(1989)、Watson,J.D.ら、Recombinant DNA、第2版、New York:W.H.Freeman and Co.213−234頁(1992)、およびWinnacker,E.−L.、From Genes to Clones、New York:VCH Publishers(1987)に十分に概説されており、これらは、これらの技術を詳述する多くの実験室マニュアルの例となるものであり、そしてこれらの関連する開示について、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0164】
(ポリペプチド)
別の局面において、本発明は、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチド(本発明の核酸分子のすべての可能なリーディングフレームによってコードされるポリペプチドおよびアミノ酸配列を含む)、およびそのようなポリペプチドを産生する方法に関する。本発明のポリペプチドには、精製されたかまたは単離された天然の産物、化学合成手順の生成物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、および高等植物細胞を含む)から組換え技術によって産生された生成物が含まれる。
【0165】
本発明のポリペプチドは、合成有機化学によって産生され得、そして好ましくは、本発明のベクターまたは単離された核酸分子を含む1つ以上の本発明の宿主細胞を使用する、標準的な組換え方法によって産生される。本発明に従って、ポリペプチドが、本発明の核酸分子に含まれるヌクレオチド配列の発現に好ましい条件下で、本発明の宿主細胞(これは、本発明の1つ以上の核酸分子(好ましくは発現ベクター中に含まれる)を含む)を培養することによって産生され、その結果、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドが宿主細胞によって産生される。本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチド配列の発現に好ましい条件」または「ポリペプチドの産生に好ましい条件」には、所定の宿主細胞による組換えポリペプチドの産生のために必要とされる最適な生理的(例えば、温度、湿度など)および栄養学的(例えば、培養培地、イオン)条件が含まれる。種々の宿主細胞(原核(細菌)細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および植物細胞を含む)のためのこのような最適条件は、当業者に知られており、そして例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press、(1989)、Watson,J.D.ら、Recombinant DNA、第2版、New York:W.H.Freeman and Co.、およびWinnacker,E.−L.、From Genes to Clones、New York:VCH Publishers(1987)に見出され得る。
【0166】
いくつかの局面において、本発明のポリペプチドを単離または精製することが(例えば、以下に記載されるような抗体の産生のために)所望され得、単離された形態の本発明のポリペプチドの産生を生じる。本発明のポリペプチドは、当該分野において慣用的であるタンパク質精製の周知の方法によって組換え細胞培養物から回収および単離され得る。これらの方法には、硫酸アンモニウム沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーが含まれる。例えば、本発明の方法によって作製されるポリペプチド上のHis6またはGST融合タグは、当業者によって知られているように、His6またはGSTタグを有するポリペプチドを結合する適切なアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを使用して単離され得る。本発明のポリペプチドは、天然に精製された生成物、化学合成手順の生成物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞)から組換え技術によって産生された生成物を含む。組換え産生手順において使用される宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもよいし、またはグリコシル化されなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、いくつかの場合に、宿主媒介プロセスの結果として、最初の改変されたメチオニン残基を含み得る。
【0167】
本発明の単離されたポリペプチドは、1つ以上の組換え部位をコードする本発明の核酸分子を含むポリヌクレオチドの1つ以上のリーディングフレームによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。この核酸分子は以下を含む:図9に示されるヌクレオチド配列(またはそれに相補的なヌクレオチド配列)、もしくはそのフラグメント、改変体、変異体、および誘導体を有する、attB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1、およびattR2;本明細書中に記載される寄託されたクローンに含まれるポリヌクレオチドによってコードされる完全アミノ酸配列;ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で図9に示されるような本発明の組換え部位配列をコードするヌクレオチド配列(またはそれに相補的なヌクレオチド配列)を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列;または上記のポリペプチドの一部もしくはフラグメントを含むペプチドもしくはポリペプチドをコードする核酸分子。本発明はまた、組換え部位ヌクレオチド配列または寄託されたクローンによってコードされるポリペプチドに連結される(代表的には、新生ポリペプチドを形成するペプチジル結合による)1つ以上のさらなるアミノ酸を有するさらなるポリペプチドに関する。このようなさらなるアミノ酸残基は、1つ以上の機能的ペプチド配列(例えば、1つ以上の融合パートナーペプチド(例えば、GST、His6、Trxなど)など)を含み得る。
【0168】
本明細書中で使用される場合、用語「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」および「ポリペプチド」は、(一般的に理解されるように)同義語として考慮される。そして各用語は、文脈が必要とするように、交換可能に使用されて、以下の特定の文脈で別に規定されていないかぎり、ペプチジル結合によって結合される2つ以上のアミノ酸、好ましくは5つ以上のアミノ酸、またはより好ましくは10以上アミノ酸の鎖を示し得る。当該分野で一般的に理解されるように、本明細書中のすべてのペプチドの式または配列は、左から右に書かれ、そしてアミノ末端からカルボキシ末端への方向で書かれる。
【0169】
本発明のポリペプチドのいくつかのアミノ酸配列は、ポリペプチドの構造および機能に有意な効果なしで変化し得ることが、当業者によって理解される。配列におけるこのような差違が意図される場合、構造および活性を決定するタンパク質の決定的な領域が存在することを思い出すべきである。一般的に、類似の機能を実行する残基が使用される場合、三次構造を形成する残基を置換することは可能である。他の例において、変化がポリペプチドの決定的でない領域で起こる場合には、残基の型は、完全に重要であるというわけではないかもしれない。
【0170】
従って、本発明は、本発明のポリペプチドの改変体をさらに含む。この改変体は、本明細書中に記載されるポリペプチドに対して実質的に構造的な相同性を示すか、またはこれらのポリペプチドの特定の領域(例えば、以下で議論される部分)を含む対立遺伝子改変体を含む。このような変異体は、欠失、挿入、反転、反復、および型置換(例えば、別の残基の代わりに1つの親水性残基に置換すること、しかし、規則として、強い疎水性については強い親水性とはしない)を含み得る。小さな変化またはこのような「中性」または「保存性」アミノ酸置換は、一般的に活性にほとんど影響を有さない。
【0171】
代表的な保存性置換は、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの間で、1つの残基の別の残基への置換;水酸化残基SerおよびThrの交換;酸性残基AspおよびGluの交換;アミド化残基AsnおよびGlnの間の置換;塩基性残基LysおよびArgの交換;ならびに芳香族残基PheおよびTyrの間の置換である。
【0172】
従って、本発明のポリペプチドのフラグメント、誘導体、またはアナログ(例えば、本明細書中に記載される組換え部位のヌクレオチド配列によってコードされるペプチドを含むもの)は、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存性アミノ酸残基または非保存性アミノ酸残基(好ましくは、保存性アミノ酸残基)で置換されたものであり、そしてそのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝コードによってコードされ得るか、または遺伝コードによってコードされないアミノ酸(例えば、デスモシン、シトルリン、オルニチンなど)であり得るもの;(ii)1つ以上のアミノ酸残基が、アミノ酸の通常の「R」基に加えて、置換基(例えば、リン酸基、水酸基、硫酸基、または他の基)を含むもの;(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物(例えば、ポリペプチドの半減期を増大させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール))と融合しているもの;または(iv)さらなるアミノ酸が成熟ポリペプチド(例えば、免疫グロブリンFc領域ペプチド、リーダーまたは分泌配列、成熟ポリペプチドの精製のために使用される配列(例えば、GST配列)またはプロタンパク質配列)と融合しているもの。このようなフラグメント、誘導体、およびアナログは、本発明に含まれることが意図され、そして本明細書中の教示および本発明の時点における当該分野の状態から、当業者の範囲内である。
【0173】
本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好ましくは、実質的に精製されている。本発明のポリペプチドの組換え産生バージョンは、SmithおよびJohnson、Gene 67:31−40(1988)に記載される1工程方法によって実質的に精製され得る。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に精製される」は、本発明の個々の調製物を意味し、ここで夾雑タンパク質(すなわち、本明細書中に記載される個々のポリペプチド、そのフラグメント、改変体、変異体、または誘導体ではないタンパク質)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、または75%、およびより好ましくは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%(重量%)が調製物から除去されていることを意味する。
【0174】
本発明のポリペプチドは、本明細書中に記載されるポリペプチドに対して、少なくとも約50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも65%同一、より好ましくは、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるポリペプチドを含む。例えば、本発明の好ましいattBl含有ポリペプチドは、図9において示される核酸配列(またはこれに相補的な核酸配列)を有するattBlのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの3つのリーディングフレームによってコードされるポリペプチドに対して、本明細書中に記載される寄託されたcDNAクローンに含まれるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して、または、ストリンジェントな条件下で、図9において示される核酸配列(またはこれに相補的な核酸配列)を有するattBlのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して、少なくとも約50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも65%同一、より好ましくは、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるポリペプチドを含む。類似のポリペプチドは調製され得、このポリペプチドは、図9に示されるような本発明のattB2ポリペプチド、attP1ポリペプチド、attP2ポリペプチド、attL1ポリペプチド、attL2ポリペプチド、attR1ポリペプチド、およびattR2ポリペプチドに対して、少なくとも約65%同一、より好ましくは、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一である。本発明のポリペプチドはまた、少なくとも5、10、15、20、または25アミノ酸を有する、上記に記載のポリペプチドの一部またはフラグメントを含む。
【0175】
本発明の所与のポリペプチドの参照アミノ酸配列に対して、少なくとも、例えば、65%「同一」のアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、このポリペプチド配列が、本発明の所与のポリペプチドの参照アミノ酸配列の各100アミノ酸当たり35アミノ酸までの変化を含み得ること以外、ポリペプチドのアミノ酸配列が、この参照配列と同一であることを意味する。言い換えれば、参照アミノ酸配列と少なくとも65%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列中に35%までのアミノ酸残基が、失欠されるか、または別のアミノ酸で置換され得るか、あるいは、参照配列中の総アミノ酸残基の35%までの多数のアミノ酸が、参照配列中に挿入され得る。この参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノ(−N)末端または炭素(C−)末端位置、あるいは、それらの末端位置間ならどこでも発生し得、参照配列または参照配列内の1以上の連続基中のいずれか残基内で個々に分散される。実際の手段として、所与のアミノ酸が、本発明の所与のポリペプチドのアミノ酸配列と、例えば、少なくとも65%同一であるかどうかは、公知のコンピュータプログラム(核酸配列同一性の決定のための上記のプログラム)を慣用的に使用してか、またはより好ましくは、CLUSTAL Wプログラム(Thompson,J.D.ら、Nucleic Acids Res.22:4673−4680(1994))を使用して決定され得る。
【0176】
本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を使用して、SDS−PAGEゲルまたはモレキュラーシーブゲル濾過カラム上の分子量マーカーとして使用され得る。さらに、以下に詳細に記載されるように、本発明のポリペプチドを使用して、タンパク質の発現、局在化、他の分子との相互作用を検出するため、または本発明のポリペプチド(融合ポリペプチドを含む)を単離するための種々のアッセイに有用であるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する。
【0177】
別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ含有部分を含むペプチドまたはポリペプチドを提供し、これは、本発明の1以上のポリペプチドに対して特異的に結合する抗体(特にモノクローナル抗体)を産生するために使用され得る。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープである。「免疫原性エピトープ」は、全タンパク質が免疫原である場合、抗体応答を誘発するタンパク質の一部として規定される。これらの免疫原性エピトープは、分子上の少数の遺伝子座に限定されると考えられている。一方で、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域は、「抗原エピトープ」と定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は、抗原エピトープの数より一般に少ない(例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと)。
【0178】
抗原性エピトープを含有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択について、タンパク質配列の一部を擬態する比較的短い合成ペプチドが、通常、部分的に擬態されたタンパク質と反応する抗血清を誘発し得ることが周知である(例えば、Sutcliffe,J.G.ら、Science 219:660−666(1983)を参照のこと)。タンパク質反応性血清を誘発し得るペプチドは、タンパク質の一次配列で頻繁に表現され、これらは、一連の単純な化学的ルールによって特徴付けされ得、そしてインタクトなタンパク質の免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端に限定されない。極度に疎水性であるペプチドおよび6以下の残基のペプチドは、一般に、擬態タンパク質に結合する誘発抗体で効果的ではなく;より長いペプチド、特にプロリン残基を含むペプチドが、通常効果的である(Sutcliffe,J.G.ら、Science 219:660−666(1983))。
【0179】
上記のガイドラインに従ってデザインされた本発明のエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、好ましくは、少なくとも5つの配列を含み、より好ましくは、少なくとも7つ以上のアミノ酸を本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内に含む。しかし、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のより大きな部分を含み、約30〜約50個のアミノ酸、またはそれまでの任意の長さを含み、そして本発明の所与のポリペプチドの総アミノ酸配列を含む、ペプチドまたはポリペプチドがまた、本発明のエピトープ含有ペプチドまたはポリペプチドと考えられ、そしてまた擬態タンパク質と反応する誘導抗体に対して有用である。好ましくは、エピトープ含有タンパク質のアミノ酸配列は、水性溶媒中で実質的な溶解性を提供するように選択される(すなわち、この配列は、比較的親水性の残基を含み、そして高く疎水性の配列が、好ましくは、避けられる);プロリン残基を含む配列が、特に好ましい。
【0180】
本発明のポリペプチドに対して特異的な抗体を産生するために使用され得る、エピトープ含有ポリペプチドまたはペプチドの非制限例としては、本発明の1以上の組換え部位コード核酸分子を含む、ポリヌクレオチドによってコードされたアミノ酸配列を含むポリペプチドの特定のエピトープ含有領域(これらには、図9に記載されるヌクレオチド配列を有するattB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1およびattR2(またはこれらに相補的なヌクレオチド配列)をコードするものが挙げられる);本明細書中に記載される寄託されたクローン中に含まれる、ポリヌクレオチドの3つのリーディングフレームによってコードされる完全なアミノ酸配列;ならびに図9に記載される本発明の組換え部位領域(またはその一部)をコードするヌクレオチド配列(またはそれに相補的な核酸配列)を有するポリヌクレオチドに対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの全てのリーディングフレームによってコードされたアミノ酸配列が挙げられる。本発明のポリペプチドに対して特異的な抗体を産生するために使用され得る、他のエピトープ含有ポリペプチドまたはペプチドは、例えば、PROTEANコンピュータソフトウエア(DNASTAR,Inc;Madison,Wisconsin)を使用する本発明のポリペプチドの、Kyte−Doolittle疎水性およびJameson−Wolf抗原インデックスプロットの構築を介して、本明細書中に記載される本発明のポリペプチドの一次アミノ酸配列に基づく当業者に理解される。
【0181】
本発明のエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明の核酸分子を使用する組換え手段を含む、ペプチドまたはポリペプチドを作製するために任意の従来の手段によって産生され得る。例えば、短いエピトープ含有アミノ酸配列は、組換え体の産生および精製の間、ならびに抗ペプチド抗体を産生するための免疫化の間に、キャリアとして作用するより大きなポリペプチドに融合され得る。エピトープ含有ペプチドはまた、化学合成の公知の方法を使用して合成され得る(例えば、米国特許第4,631,211号、およびHoughten,R.A.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)(これらの両方は、本明細書中でその全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0182】
当業者は、本名発明のポリペプチドおよびそのエピトープ含有フラグメントが、当該分野で周知でかつ慣用の技術によって、支持体上で免疫化され得ることを理解する。「固体支持体」とは、ペプチドが免疫化され得る任意の固体支持体を意味する。このような固体支持体としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ニトロセルロース、ジアゾセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、セファロース、寒天、デンプン、ナイロン、ビーズおよびマイクロタイタープレート。固体支持体への本発明のペプチドの結合は、支持体にポリペプチドの1端または両端を結合することによって達成され得得る。結合は、ペプチドの1以上の内部部位でさなれ得る。多結合(ペプチドの内部と端部の両方)は、本発明に従って使用され得る。アミノ酸連結基(例えば、一次アミノ酸、カルボキシル基、またはスルフヒドリル(SH)基)を介してか、または化学連結基(例えば、スペーサを介する臭化シアン(CNBr)連結を用いる)によって結合され得る。支持体への非共有結合のために、ペプチドに親和性標識配列の付加には、例えば、GST(Smith,D.B.およびJohnson,K.S.、Gene 67:31(1988))、ポリヒスチジン(Hochuli,E.ら、J.Chromatog.411:77(1987))、またはビオチンが使用され得る。このような親和性標識は、ペプチドの支持体への可逆的な結合のために使用され得る。このような免疫化ポリペプチドまたはフラグメントは、例えば、以下に記載されるような、本発明の1以上のポリペプチド、あるいは本発明の1以上のポリペプチドに結合する他のタンパク質またはペプチドを認識する他のタンパク質またはペプチドに対して指向される抗体を単離のに有用であり得る。
【0183】
当業者がまた理解するように、本発明のポリペプチドおよび本明細書中に記載されるそれらのエピトープ含有フラグメントは、1以上の融合パートナータンパク質またはペプチド、あるいはその一部と組み合わされ得、これらには、以下が挙げられるがこれらに限定されない:GST、His6、Trxおよびイムノグロブリン(Ig)の定常ドメインの一部、得られた化学的ポリペプチドまたは融合ポリペプチド。これらの融合ポリペプチドは、分析フォーマットまたは診断フォーマット(ハイスループットを含む)での使用のための本発明のポリペプチドの精製(EP 0 394 827;Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988))を容易にする。
【0184】
(抗体)
別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチド(またはそのエピトープ含有フラグメント)あるいは核酸分子(またはその一部)を認識およびそれらと結合する抗体に関する。関連する局面において、本発明は、1以上の組換え部位核酸配列またはその一部の全リーディングフレームによってコードされる1以上のポリペプチドを認識およびそれらと結合する抗体、あるいは1以上の組換え部位核酸配列またはその一部を含む、1以上の核酸分子に関し、これらとしては、att部位(attB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1、attR2などを含む)、lox部位(例えば、loxP、loxP511など)、FRTなど、またはそれらの変異体(mutant)、フラグメント、変異体(variant)および誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、米国特許第5,888,732号(これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)を参照のこと。本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、そして当該分野で周知の方法に従って、任意の種々の方法および種々の種によって調製され得る。例えば、米国特許第5,587,287号;Sutcliffe,J.G.ら、Science 219:660−666(1983);Wilsonら、Cell 37:767(1984);およびBittle,F.J.ら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照のこと。本明細書中に記載のポリペプチドまたは核酸分子のいずれかに特異的な抗体(例えば、組換え部位核酸配列、あるいは本明細書中に記載されるか、または寄託されたクローンに含まれる、1以上の核酸分子によってコードされる1以上のポリペプチドに特異的に結合する抗体)、融合ポリペプチドに対する抗体(例えば、本明細書中に記載されるような本発明の、1以上の融合パートナータンパク質と1以上の組換え部位ポリペプチドとの間の融合ポリペプチドに結合する抗体)などは、本発明のインタクトなポリペプチドまたはポリヌクレオチド、あるいはそれらの1以上の抗原性ポリペプチドフラグメントに対して産生され得る。
【0185】
本明細書において使用されるように、用語「抗体」(Ab)は、以下に記載されるような特別の内容を除いて、用語「ポリクローナル抗体」または「モノクローナル抗体」(mAb)と交換可能に使用され得る。本明細書に使用されるように、これらの用語は、インタクトな分子および抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメントのような)を含むことを意味し、これらは、本発明のポリペプチドまたは核酸分子、あるいはそれらの一部と特異的に結合し得る。従って、本発明のインタクトな抗体に加えて、Fab、F(ab’)2および本明細書中に記載される抗体の他のフラグメント、ならびに本発明の1以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと結合する他のペプチドおよびペプチドフラグメントもまた、本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。このような抗体フラグメントは、代表的に、パパイン(Fabフラグメントを産生する)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生する)のような酵素を使用する、インタクトな抗体のタンパク質分解によって産生される。抗体フラグメント、およびペプチドまたはペプチドフラグメントもまた、組換えDNA技術の適用または合成化学を通じて産生され得る。
【0186】
本発明のエピトープ含有ペプチドおよびポリペプチド、ならびにそれらの核酸分子またはそれらの一部を使用して、本明細書中に一般に記載されるように、当該分野で周知の方法に従って、抗体を誘導し得る(例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら、前出;およびBittle,F.J.ら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照のこと)。
【0187】
本発明のこの局面に従ったポリクローナル抗体は、本明細書中に記載される本発明のポリペプチドまたは核酸分子あるいは標準技術に従ったそれらのタンパク質の1以上で、動物を免疫化することにより作製され得る(Harlow,E.およびLane,D.、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988);Kaufman,P.B.ら:Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine,Boca Raton,Florida:CRC Press,468〜469頁(1995)を参照のこと)。本発明のポリペプチドまたは核酸分子あるいはそれらのタンパク質を認識およびそれらと結合する抗体を産生するために、動物を、遊離ペプチドまたは遊離核酸分子で免疫化し得るが;ペプチドを高分子キャリア(例えば、アルブミン、KLH、または破傷風トキソイド(特に、本発明の核酸分子またはそのタンパク質に対する抗体を産生するため;Harlow and Lane(前出)、154頁を参照のこと))、あるいは固相キャリア(例えば、ラテックスまたはガラスミクロビーズ(glass microbead)に結合することによって、抗体価が、ブーストされ得る。例えば、システインを含むペプチドは、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のようなリンカーを使用してキャリアに連結され得る。一方で他のペプチドは、グルタルアルデヒドのようなさらなる一般的な連結剤を使用してキャリアに結合され得る。ウサギ、ラットおよびマウスのような動物は、例えば、約100μgのペプチド、ポリヌクレオチド、またはキャリアタンパク質、およびFreundアジュバンドを含むエマルジョンの腹腔内注射および/または皮内注射によって、遊離のペプチドまたは核酸分子(ポリペプチド免疫原が、約25アミノ酸より長い場合)あるいはキャリアに結合したペプチドまたは核酸分子のいずれかで免疫化され得る。例えば、固体支持体に吸収された遊離ペプチドまたは核酸分子を使用するELSAアッセイによって、検出され得る抗体の有用な滴定量を提供するために、いくらかのブースター注射が、例えば、約2週間おきに必要とされ得る。別のアプローチにおいて、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドあるいはそれらの抗原性フラグメントの1以上を発現する細胞は、慣用の免疫学的な方法に従って、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために、動物に投与され得る。さらに別の方法において、本発明の1以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの調製は、本明細書中に記載されるように調製および精製され、天然の汚染物を実質的に含まなくさせる。次いで、このような調製物は、より高い特異的活性のポリクローナル抗血清を産生するために動物に導入され得る。使用される免疫化の方法に関係なく、免疫化動物の血清中の抗体価は、抗ペプチドまたは抗ポリヌクレオチド抗体の選択によって(例えば、固体支持体上でのペプチドまたはポリヌクレオチドの吸着および当該分野で周知の方法に従って選択された抗体の溶出によって)増加され得る。
【0188】
代替の方法において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体(または本発明の1以上のポリペプチドに結合したそのフラグメント)である。このようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(Kohlerら、Nature 256:495(1975):Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.563〜681頁(1981))を使用して調製され得る。一般に、このような手順は、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド(またはそれらのフラグメント)、あるいは本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド(またはそれらのフラグメント)を発現する細胞で、動物(好ましくは、マウス)を免疫化する工程を含む。このようなマウスの脾細胞を抽出し、そして適切な骨髄腫と融合する。本発明に従って任意の適切な骨髄腫細胞株が使用されるが;American Type Culture Collection,Rockville,Marylandから入手可能な親骨髄腫細胞株(SP2Oを使用することが、好ましい。融合後、得られたハイブリドーマ細胞がHAT培地中で選択的に維持され、次いでWandsら(Gastoenterol.80:225−232(1981))によって記載されるような希釈法に限定することによってクローンされる。次いで、このような選択を通じて得られたハイブリドーマ細胞をアッセイして、本発明のポリペプチドまたは核酸分子あるいはそれらのフラグメントの1以上と結合し得る抗体を分泌するクローンを同定する。従って、本発明はまた、特に、本発明のポリペプチドまたは核酸分子の1以上を認識およびこれらと結合する、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞および細胞株を産生する。
【0189】
あるいは、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントの1以上と結合し得るさらなる抗体は、抗イディオタイプ抗体の使用を通じて2工程の手順で産生され得る。このような方法は、抗体自体が抗原であり、従って、第2の抗体と結合する抗体を得ることが可能であるという事実を用いて成される。この方法に従って、上記で調製されるように、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの1以上に対して特異的である抗体は、動物(好ましくは、マウス)を免疫化するために使用される。次いで、このような動物の脾細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生し、そして本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの1以上に対して特異的に抗体と結合し得る、抗体を産生するクローンを同定するために分泌され得るこのハイブリドーマ細胞は、本発明自体のポリペプチドによって阻害され得る。このような抗体は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの1以上を認識する抗体に対して、抗イディオタイプ抗体を含み、そして本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの1以上に対して特異的なさらなる抗体の形成を誘導するように、動物を免疫化するために使用され得る。
【0190】
使用のために、本発明の抗体は、必要に応じて、1以上の標識と共有結合または非共有結合で検出可能に標識化され得、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:色素生産性試薬、酵素学的試薬、ラジオアイソトープ試薬、同位体試薬、蛍光性試薬、毒性試薬、化学ルミネセンス試薬、または核磁気共鳴定常(constant)試薬または他の標識。
【0191】
適切な酵素ラベルの例には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌性ヌクレアーゼ、Δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母−アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。
【0192】
適切な放射性同位体ラベルの例には、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどが挙げられる。111Inは、好ましい同位体であり、ここで、これは、肝臓による125Iまたは131Iラベル化モノクロナール抗体の脱ハロゲン化の問題が回避されるために、インビボ画像化において使用される。さらに、この放射性ヌクレオチドは、画像化のためのより好ましいγ放射を有する(Perkinsら、Eur.J.Nucl.Med.10:296−301(1985);Carasquilloら、J.Nucl.Med.28:281−287(1987))。例えば、1−(P−イソチオシアネートベンジル)−DPTAを有するモノクロナール抗体に結合された111Inは、非腫瘍組織(特に、肝臓)内への取り込みをほとんど示さず、そしてそれによって、腫瘍限局化の特異性を増強し得る(Esebanら,J.Nucl.Med.28:861−870(1987))。
【0193】
適切な非放射性同位体ラベルに例には、157Gd、55Mn、162Dy、52Trおよび56Feが挙げられる。
【0194】
適切な蛍光ラベルの例には、152Euラベル、フルオレセインラベル、イソチオシアネートラベル、ローダミンラベル、フィコエリトリンラベル、フィコシアニンラベル、アロフィコシアニン(allophycocyanin)ラベル、o−フタルデヒド(phthaldehyde)ラベル、緑色蛍光タンパク質(GFP)ラベル、およびフルオレサミンラベルが挙げられる。
【0195】
適切な毒素ラベルの例には、ジフテリア毒素、リシン、およびクロレラ毒素が挙げられる。
【0196】
化学発光ラベルの例には、ルミナル(luminal)ラベル、イソルミナルラベル、芳香族アクリジニウムエステルラベル、イミダゾールラベル、アクリジニウム塩ラベル、シュウ酸エステルラベル、ルシフェラーゼラベル、およびエクオリンラベルが挙げられる。
【0197】
核磁気共鳴コンストラスティング(constrasting)剤の例には、Gd、Mn、および鉄のような重金属核が挙げられる。
【0198】
上記のラベルを本発明の抗体に結合させるための代表的な技術は、Kennedyら、Clin.Chim.Acta 70:1−31(1976)、およびSchursら、Clin.Chim.Acta 81:1−40(1977)によって提供される。後者において言及されたカップリング技術は、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル法であり、これらの方法の全ては、本明細書中で参考として援用される。
【0199】
本発明の抗体は、あるいは、例えば、このような固体相−固定化された抗体を使用して、クロマトグラフ手順および他の免疫学的手順を容易にするために、固体支持体に結合され得ることが当業者によって理解される。このような手順の中には、本発明の抗体の使用が含まれ、本発明の核酸分子によってコードされる1つ以上のエピトープを含むポリペプチド(これは、融合されたポリペプチドであり得るか、または本明細書中に記載される本発明の他のポリペプチドであり得る)を単離するか、精製し、あるいは本発明の1つ以上の組換え部位配列またはその一部分を含むポリヌクレオチドを単離するかまたは精製する。アフィニティークロマトグラフィーにより、例えば、固相支持体に結合される本発明の抗体を使用する、ポリペプチド(そして、アナログ、ポリヌクレオチドによる)の単離および精製のための方法は、当該分野で周知であり、そして当業者に知られている。本発明の抗体をまた他の適用に使用して、例えば、1つ以上のタンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチドを、構造的および/または機能的複合体へ架橋または結合し得る。1つのこのような使用において、本発明の抗体は、2つ以上の個別のエピトープ結合領域を有し得、この領域は、例えば、抗体上の1つのエピトープ結合領域で第1のポリペプチド(これは、本発明のポリペプチドであり得る)に結合し得、そして抗体上の第2のエピトープ結合領域で第2のポリペプチド(これは、本発明のポリペプチドであり得る)を結合し得、それによって、第1および第2のポリペプチドを互いに接近した近位にもたらし、その結果、第1および第2のポリペプチドは、構造的におよび/または機能的に相互作用し得る(例えば、酵素とその基質を連結して、酵素触媒を実施するか、またはエフェクター分子とそのレセプターを連結して、エフェクター分子のレセプターへの特異的結合、あるいはレセプターによって媒介されるエフェクター分子に対する応答を実施するか、または誘起する)。本発明の抗体についてのさらなる適用は、例えば、固体支持体上での本発明の抗体、ポリペプチド、または核酸分子の大規模なアレイの作製を含み、これによって、例えば、タンパク質の高スループットスクリーニング、または本発明の核酸分子を含む宿主細胞によるRNA発現が容易になる(当該分野で、「チップアレイ」プロトコールとして公知である;例えば、米国特許第5,856,101号、同第5,837,832号、同第5,770,456号、同第5,744,305号、同第5,631,734号および同第5,593,839号を参照のこと。これらは、ポリペプチド(抗体を含む)およびポリヌクレオチドのチップアレイの作製および使用に関し、そしてこれらの開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。「固体支持体」は、抗体が固定化され得る任意の固体支持体を意図する。このような固体支持体には、ニトロセルロース、ジアゾセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリカルボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、Sepharose、寒天、デンプン、ナイロン、ビーズおよびマイクロタイタープレートが挙げられるが、これらに限定されない。ガラスから作製されたビーズ、ラテックスまたは磁気物質が好ましい。本発明の抗体の固体支持体への連結は、支持体に抗体の一方または両方の末端を付着させることによって達成される。付着はまた、抗体の1つ以上の内部部位でなされ得る。複数の付着(抗体の内部および末端で)もまた、本発明に従って、使用され得る。付着は、アミノ酸連結基(例えば、第1級アミン、カルボキシル基、スルヒドリル(SH)基)を介し得るか、またはスペーサーを介するブロモシアン(CNBr)連結のような化学連結基により得る。非結合的な付着において、ペプチド(例えば、GST(Smith,D.BおよびJohnson,K.S.,Gene 67:31(1988))、ポリヒスチジン(Hochuli,E.ら、J.Chromatog.411:77(1987))またはビオチン)に対する親和性タグ配列の添加が使用され得る。あるいは、付着は、本発明の抗体(例えば、プロテインAまたはプロテインG)のFc領域に結合するリガンドを使用することによって、達成され得る。このような親和性タグは、抗体の支持体への可逆的な付着のために使用され得る。ペプチドはまた、特異的リガンド−レセプター相互作用を介して、または当業者に知られているファージディスプレイ方法論を使用して、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントに結合するそれらの能力について認識され得る。
【0200】
(キット)
別の局面において、本発明は、本発明の核酸分子、ポリペプチド、ベクター、宿主細胞、および抗体を作製する際に、そして組換えクローニング法において、使用され得る。本発明のこの局面に従うキットは、1つ以上の容器を含み得、この容器は、本発明の核酸分子、プライマー、ポリペプチド、ベクター、宿主細胞、または抗体の1以上を含み得る。特に、本発明のキットは、以下からなる群から選択される1つ以上の成分(またはそれらの組み合わせ)を含み得る:1つ以上の組換えタンパク質(例えば、Int)または補助因子(例えば、IHFおよび/またはXis)あるいはそれらの組み合わせ、1つ以上の組換えタンパク質または補助因子またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の組成物(例えば、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme MixまたはGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix)、1つ以上の目的ベクター(Destination Vector)分子(本明細書中で記載されるものを含む)、1つ以上のエントリークローン(Entry Clone)またはエントリーベクター(Entry Vector)分子(本明細書中で記載されるものを含む)、1つ以上のプライマー核酸分子(特に、本明細書中に記載されるもの)、1つ以上の宿主細胞(例えば、コンピテント細胞(例えば、E.coli細胞)、酵母細胞、動物細胞(哺乳動物細胞、昆虫細胞、線虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞などを含む)、植物細胞、および最も特に、E.coli DB3、DB3.1(好ましくは、E.coli LIBRARY EFFICIENCY(登録商標)DB3.1TM Competent Cells;Life Technologies,Inc,Rockville,MD)、DB4およびDB5;米国仮出願第60/122,392号(1999年3月2日提出)および対応する米国実用出願 (Hartleyら、「Cells Resistant Toxic Genes and Uses Thereof」(本願と同日))、これらの開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される)など。関連した局面において、本発明のキットは、1つ以上の組換え部位またはその部分をコードする1つ以上の核酸分子(例えば、本発明の1つ以上の組換え部位(または、その部分)をコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸分子)、および特に、本明細書に記載される寄託されたクローンに含まれる核酸分子の1つ以上を含み得る。本発明のこの局面に従うキットはまた、本発明の1つ以上の単離された核酸、本発明の1つ以上のベクター、本発明の1つ以上のプライマー核酸分子、および/または本発明の1つ以上の抗体を含み得る。本発明のキットは、さらに、核酸分子、ポリペプチド、ベクター、宿主細胞、または本発明の抗体との組合せにおいて有用な1つ以上のさらなる成分を含む1つ以上のさらなる容器を含み得、このさらなる成分には、1つ以上の緩衝液、1つ以上の洗剤、核酸ポリメラーゼ活性を有する1つ以上のポリペプチド、逆トランスクリプターゼ活性を有する1つ以上のポリペプチド、1つ以上のトランスフェクション試薬、1つ以上のヌクレオチドなどを含み得る。このようなキットは、本発明の核酸分子、プライマー、べクター、宿主細胞、ポリペプチド、抗体および組成物を有利に使用する任意のプロセスにおいて使用され得る(例えば、核酸分子を合成する方法において(例えば、PCRのような増幅を介して)、核酸分子をクローニングする方法において(好ましくは、本明細書に記載される組換えクローニングを介して)など)。
【0201】
(組換えクローニングシステムの最適化)
組換えクローニングの方法における、本発明の核酸分子、または核酸分子を含むベクターの有用性は、多くのアッセイ方法の任意の1つによって決定され得る。例えば、本発明のエントリー(Entry)および目的(Destination)ベクターは、機能するそれらの能力(すなわち、核酸分子、DNAセグメント、遺伝子、cDNA分子またはクローニングベクターから発現ベクター(Expression Vector)までのライブラリーの転移を媒介する)について、組換えクローニング反応を実施することによって評価され得る。この組換えクローニング反応は、以下の実施例に詳細に記載され、そして米国出願第08/663,002号(1996年6月7日に提出)(現在、米国特許第5,888,732号)、同第09/005,476号(1998年1月12日提出)、同第09/177,387号(1998年10月23日提出)、および同第60/108,324号(1998年11月13日提出)に記載される。これらの開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される。あるいは、本発明に従って作製されるエントリーベクター(Entry Vector)および目的ベクター(Destination Vector)の機能性は、これらのベクターの共挿入分子を組換えそして作り出す能力、または目的の核酸分子を転移させる能力を、以下の実施例19に詳細に記載されるようなアッセイを使用して、評価され得る。同様に、1つ以上の組換えタンパク質またはその組み合わせを含む組成物(例えば、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme MixおよびGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix)の処方は、以下の実施例18に記載されるようなアッセイを使用して最適化され得る。
【0202】
(用途)
本発明の組成物、方法およびキットについての多くの適用が存在する。これらの用途は、以下を含むが、それらに限定されない:ベクターを変更すること、遺伝子産物を細胞内の位置に標的化すること、所望のタンパク質から融合タグを切断すること、目的の核酸分子を調節遺伝配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)に操作可能に連結すること、融合タンパク質のための遺伝子を構築すること、コピー数を変更すること、レプリコンを変更すること、ファージにクローニングすること、ならびに、例えば、PCR産物、ゲノムDNA、およびcDNAをクローニングすること。さらに、本発明の核酸分子、ベクター、および宿主細胞は、核酸分子によってコードされるポリペプチドの産生において、このようなポリペプチドに対する抗体の産生において、所望の核酸配列の組換えクローニングにおいて、そして本発明の核酸分子、ベクター、および宿主細胞の使用によって増強され得るか、または容易にされ得る他の適用において、使用され得る。
【0203】
特に、本発明の核酸分子、ベクター、宿主細胞、ポリペプチド、抗体およびキットは、1つ以上の所望の核酸分子、またはDNAセグメント(例えば、1つ以上の遺伝子、cDNA分子またはcDNAライブラリー)を、クローニングベクター(Vector)または発現ベクター(Expression Vector)に転移させる方法において使用され得、このクローニングVectorまたは発現ベクター(Expression Vector)は、所望の核酸分子またはDNAセグメントのクローニングまたは増幅、またはそれらによってコードさせるポリペプチドの発現における使用のためのさらなる宿主細胞の形質転換において使用される。本発明の核酸分子、ベクターおよび宿主細胞を有利に使用し得るこのような組換えクローニング方法は、以下の実施例、および共有にかかる米国出願第08/486,139号(1995年6月7日に提出)、米国出願第08/663,002号(1996年6月7日に提出)(現在、米国特許第5,888,732号)、同第09/005,476号(1998年1月12日提出)、同第09/177,387号(1998年10月23日提出)、および同第60/108,324号(1998年11月13日提出)に詳細に記載され、これらの全ての開示が、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0204】
本明細書に記載される方法および適用に対する他の適切な改変および適応は、当業者に公知の情報の観点から本明細書中に含まれる発明の説明から容易に明らかであり、そして本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなくなされ得ることが、関連分野の当業者によって理解される。ここで、本発明を詳細に説明することは、本発明が、以下の実施例に対する参考によってより明確に理解され、この実施例は、本明細書中で、例示のみの目的のために含まれ、そして本発明を制限することを意図しない。
【0205】
(実施例)
(実施例1:バクテリオファージλの組換え反応)
E.coliバクテリオファージλは、溶解ファージとして増殖し得、この場合、宿主細胞は溶解し、子孫ウイルスを放出する。あるいは、λは、溶原化と呼ばれるプロセス(図60を参照のこと)によってその宿主のゲノムに組み込む。この溶原状態において、ゲノムからのその切除を引き起こす条件が起こるまで、ファージゲノムは、多くの世代において、娘細胞に伝えられ得る。この点で、ウイルスは、そのライフサイクルの溶解部に入る。溶解経路と溶原経路との間の切換の制御は、分子生物学において、最も理解されたプロセスである(M.Ptashne、A Genetic Switch、Cell Press、1992)。
【0206】
インビトロで実施される、λの組み込み的および切断的組換え反応は、本発明の組換えクローニングシステムの基礎である。これらは、以下のように模式的に表現され得る。
【0207】
【化17】
4つのatt部位は、反応を媒介するタンパク質のための結合部位を含む。野生型attP、attB、attL、およびattR部位は、それぞれ約243、25、100、および168塩基対を含む。
【0208】
【化18】
反応(明細書中以下、「BP反応」といわれるか、あるいは、「エントリー(Entry)反応」または「Gateway反応」と等価である)は、タンパク質IntおよびIHFによって媒介される。
【0209】
【化19】
反応(本明細書中以下、「LB」反応といわれるが、あるいは、「目的(Destination)反応」と等価である)は、タンパク質Int、IHFおよびXisによって媒介される。Int(インテグラーゼ)およびXis(切出し酵素)は、λゲノムによってコードされるが、IHF(組込み宿主因子)は、E.coliタンパク質である。λ組換えの一般的な総説については、A.Landy,Ann.Rev.Biochem.58:913−949(1989)を参照のこと。
【0210】
(実施例2:組換えクローニング系の組換え反応)
LR反応−−エントリークローン(Entry Clone)から目的ベクター(Destination Vector)へのDNAセグメントの交換−−は、λ切断反応のインビトロバージョンである:
【0211】
【化20】
この配置についての実施上の規則が存在する:LR反応後、本方法の1つの配置において、att部位は、通常、機能的モチーフ(例えば、プロモーターまたは融合タグ)を発現クローン(Expression Clone)中の目的の核酸分子から分離し、そして25bpのattB部位は、attP部位、attL部位、およびattR部位よりもさらに小さい。
【0212】
組換え反応は保存性であること(すなわち、塩基対の正味の合成または損失は存在しないこと)に留意のこと。組換え部位に隣接するDNAセグメントは、まれにしか切り換えられない。野生型λ組換え部位を、GATEWAYTMクローニングシステムの目的のために、以下のように修飾する:
特定の好ましい目的ベクター(Destination Vector)を作製するために、attRの一部(43bp)を除去して、切除反応を不可逆かつより効率的にした(W.Bushmanら、Science 230:906,1985)。本発明の好ましい目的ベクター(Destination Vector)中のattR部位は、125bp長である。att部位のコア領域に、以下の2つの理由のために変異を作製した:(1)終止コドンを除去するため、および(2)組換え反応の特異性を確実にするため(すなわち、attR1は、aatL1とのみ反応し、attR2はattL2とのみ反応する、などである)。
【0213】
他の変異を、attB部位の15bpのコア領域に隣接する短い(5bp)領域中に導入して、一本鎖型のattBプラスミド(例えば、ファージミドssDNAまたはmRNA)における二次構造形成を最小化した。目的ベクター(Destination Vector)にクローニングした後の目的の核酸分子の左および右へのattB1およびsttB2の配列を、図6に示す。
【0214】
図61は、エントリークローン(Entry Clone)および目的ベクター(Destination Vector)が、LR反応において、いかにして組換えられて共組込み体(これは、2つの娘分子への第2の反応を通して分かれる)を形成するかを例証する。2つの娘分子は、その対合の部位に関わらず同一の一般的構造を有し、attL1およびattR1またはattL2およびattR2が、最初に反応して共組込み体を形成する。これらのセグメントは、親の分子が両方とも環状であるか、一方が環状でありもう一方が線状であるか、または両方とも線状であるかに関わらず、これらの反応によってパートナーを交換する。この実施例において、Destination Vector(これは、死遺伝子ccdBをもまた保有する)に保有されるアンピシリン耐性についての選択は、所望のattB産物プラスミドについてのみ選択するための手段を提供する。
【0215】
(実施例3:組換えクローニングシステムにおけるタンパク質発現)
タンパク質は、インビボにおいて結果として2つのプロセス(転写(DNAからRNA)、および翻訳(RNAからタンパク質))から発現される。原核生物および真核生物におけるタンパク質発現の説明についは、以下の実施例13を参照のこと。多くのベクター(pUC、BlueScript、pGem)は、青白スクリーニング(blue−white screening)をするために、転写されるlacZ遺伝子の妨害を使用する。これらのプラスミド、および多くの発現ベクターは、クローン化された遺伝子の発現を制御するためにlacプロモーターを使用する。このlacプロモーターからの転写は、誘導因子(inducer)IPTGを添加することにより始動される。しかし、低レベルのRNAが、誘導因子の非存在下において生成される。すなわち、lacプロモーターは、決して完全にオフの状態にあるというわけではない。この「漏洩」の結果は、E.coliに対してその発現が有害である遺伝子を、lacプロモーターを含むベクターにクローニングすることが困難または不可能であることを証明し得るか、あるいはそれらの遺伝子が不活性変異体としてのみクローン化され得るということである。
【0216】
他の遺伝子発現系とは対照的に、エントリベクター(Entry Vector)にクローン化された核酸分子は、発現されないように設計され得る。attL1部位のちょうど上流にある強力な転写終結因子rrnB(Oroszら、Eur.J.Biochem.201:653、(1991))の存在が、そのベクタープロモーター(薬剤耐性および複製起点)からの転写がクローン化された遺伝子に到達しないようにしている。しかし、有毒遺伝子を目的ベクター(Destinatoin Vector)にクローン化する場合、宿主は、ちょうど他の発現系と同じように、不調をきたし得る。しかし、インビトロ組換えによるサブクローニングの信頼性は、これが生じたことを認識することをより容易にし、そして必要な場合、本発明の方法に従って別の発現オプションを試みることをより容易にする。
【0217】
(実施例4:正しいエントリベクターの選択)
最良のベクターを選択する際になされなければならない2種類の選択が存在し、(1)クローン化されるべき特定のDNAフラグメントによって指図される選択および(2)クローン化されたDNAフラグメントを用いて達成される選択である。これらの因子は、使用されるエントリベクターの選択において重要である。なぜなら、所望される目的の核酸分子が、そのエントリベクターから目的ベクターに移動される場合、目的の核酸分子と、attL1およびattL2(例えば図6において)のInt切断部位との間の全ての塩基対が、同様に目的ベクターに移動する。目的ベクターに移動する結果として発現されないゲノミックDNAについて、これらの決定は、重要ではない。
【0218】
例えば、特定の翻訳開始シグナルを有するエントリベクターを使用する場合、それらの配列は、所望の目的の核酸分子に対するアミノ末端融合が成されれば、アミノ酸に翻訳される。所望の目的の核酸分子が、融合タンパク質、ネイティブタンパク質もしくは両方として発現される得るか否かは、翻訳開始配列がクローン(ネイティブタンパク質)のattB部位の間に含まれなければならないか、あるいは目的ベクター(融合タンパク質)によって供給されなければならないか否かを指図する。特に、翻訳開始配列を含むエントリベクターは、これら部位における翻訳の内部開始がN末端融合タンパク質の収率を減少させ得るので、融合タンパク質の作製についてはあまり適切でないことを証明し得る。本発明の、組成物および方法によって提供されるこれらの2つの型の発現を、図62に例示する。
【0219】
エントリベクターは、おそらく、全ての用途について最適ではない。目的の核酸分子が、任意のいくつかの最適なエントリベクターにクローン化され得る。
【0220】
1つの例として、pENTR7(図16)およびpENTR11(図20)を考慮すると、これらは、以下を含むが、これらに限定されない種々の用途において有用である:
・ほとんどの市販のライブラリーに由来するクローニングcDNA。ccdB死遺伝子の左側および右側に対する部位を選択し、その結果、クローン化されるべきDNAが2つ以上のこれらの制限部位を有しない場合に、方向性のクローニングが可能である。
・方向的な遺伝子のクローニング:ccBの左側にSalI、BamHI、XmnI(平滑(blunt))、またはKpnI;右側にNotI、XhoI、XbaI、またはEcoRV(平滑)。
・XmnI部位において、平滑アミノ末端を有する遺伝子または遺伝子フラグメントのクローニング。XmnI部位は、真核生物発現のために最も好ましい6つの塩基のうちの4つを有し(例えば、以下の実施例13を参照のこと)、その結果クローン化されるべきDNAの最初の3塩基は、ATGであり、オープンリーディングフレーム(ORF)は、それが適切な目的ベクターで転写される場合、真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞)において発現される。さらに、pENTR11において、ATGにて原核生物宿主細胞(特に、細菌細胞(例えば、E.coli))のタンパク質合成を開始させるために、Shine−Dalgarno配列を8bp上流に配置する。
・高度に特異的なTEV(Tobacco Etchウイルス)プロテアーゼ(Life Technologies,Inc.より入手可能)を使用して、アミノ末端融合物(例えば、His6、GSTまたはチオレドキシン)を切断する工程。目的の核酸分子を、平滑XmnI部位でクローン化する場合、TEV切断は、発現されたタンパク質のアミノ末端側に2つのアミノ酸を残す。
・制限酵素およびリガーゼを用いるクローニングの間に、未切断エントリベクター分子または一本鎖切断エントリベクターに対して、選択する工程。ccB遺伝子が、二重消化で除去されない場合、ccB遺伝子は、ccBに対して細胞を耐性にする変異を含まない任意のレシピエントE.coli細胞を殺す(例えば、1999年3月2日に出願された米国仮出願第60/122,392号を参照のこと(この開示は、本明細書中にその全体が参考として援用される))。
・全てのクローニング部位において、ORFを有するアミノ融合物を産生させる工程。ccdB遺伝子の上流(attL1リーディングフレーム内)には終止コドンは存在しない。
さらに、pENTR11はまた、以下の用途において、有用である;
・開始ATGにおいてNcoI部位を有するcDNAを、NcoI部位へクローニングする工程。XmnI部位と同様に、この部位は、真核生物発現のために最も好ましい6塩基のうちの4つを有している。また、ATGにて原核生物宿主細胞(特に、細菌細胞(例えば、E.coli))のタンパク質合成を開始させるために、Shine−Dalgarno配列を8bp上流に配置する。
・カルボキシ末端融合物に対するリーディングフレームコンベンション(convention)と同じ位相で配置されるORFを有するカルボキシ融合タンパク質を産生する工程。
【0221】
表1は、エントリベクターのいくつか非限定例、およびそれらの特徴をいくつか列挙しており、そして図10〜20は、それらのクローニング部位を示す。表1に列挙される全てのエントリベクターは、Life Technologies,Inc.,Rockville,Marylandから商業的に入手可能である。本明細書中では特に列挙されない他のエントリベクター(代替的特徴またはさらなる特徴を含む)を、本明細書中に含まれる開示を考慮すると、分子生物学および細胞生物学の慣用的な方法を使用して、当業者は作製し得る。
【0222】
【表1】
エントリベクターpENTR1A(図10Aおよび10B)、pENTR2B(図11Aおよび11B)ならびにpENTR3C(図12Aおよび12B)は、制限部位が、異なるリーディングフレーム内にあるということを除いて、ほとんど同一である。エントリベクターpENTR4(図13Aおよび13B)、pENTR5(図14Aおよび14B)、ならびにpENTR6(図15Aおよび15B)は、平滑DraI部位が、ATGメチオニンコドンを含む部位で置換されている以外は、本質的にpENTR1Aと同一である(pENTR4においてはNcoI、pENTR5においてはNdeI、およびpENTR6においてはSphI)。開始ATGにこれらの部位の一つを含む核酸分子が、これらのエントリベクター内に簡便にクローン化され得る。pENTR4のNcoI部位は、真核生物細胞における核酸分子の発現のために特に有用である。なぜなら、NcoI部位は、効率的な翻訳を提供する多くの塩基を含むからである(以下の実施例13を参照のこと)。(pENTR5のNdeI部位へクローン化される目的の核酸分子は、真核生物細胞において高度に発現され得るとは予期されない。なぜなら、開始ATGから−3位にあるシトシンは、真核生物遺伝子においてはめったにないからである)。
【0223】
エントリベクターpENTR7(図16Aおよび16B)、pENTR8(図17Aおよび17B)、ならびにpENTR9(図18Aおよび18B)は、attL1部位とクローニング部位との間にTEVプロテアーゼに対する認識部位を含む。XmnI(平滑)、NcoI、およびNdeIに対する切断部位はそれぞれ、これらのエントリベクターにおいて一番多い5’部位である。アミノ融合物は、核酸分子がこれらのエントリベクターにクローン化される場合、効率的に除去され得る。TEVプロテアーゼは、非常に活性であり、かつ高度に特異的である。
【0224】
(実施例5:リーディングフレームの制御)
クローン化される核酸分子の発現において最も用心しなければならない課題の一つは、リーディングフレームが正確であることを確認することである(リーディングフレームは、融合物が2つのORF(例えば、目的の核酸分子とHis6もしくはGSTドメインとの間)の間で作製される場合、重要である)。本発明の目的のために、以下のコンベンションを採用した:任意のエントリベクターにクローン化されたDNAのリーディングフレームは、図16A、pENTR7に示されるattB1部位の位相と同じ位相でなければならない。attL1部位の6つのAは、2つのリジンコドン(aaa aaa)に分割されるということに注意する。アミノ融合物を作製する目的ベクターを、このリーディングフレームにattR1部位を入れるように構築した。また、カルボキシ末端融合物のための目的ベクターを構築し、それらのベクターとしては、His6(pDEST23;図43)、GST(pDEST24;図44)、またはチオレドキシン(pDEST25;図45)C末端融合配列を含むベクターが挙げられる。
【0225】
従って、目的の核酸分子をエントリベクターにクローン化し、その結果attL1部位内のaaa aaaリーディングフレームが、核酸分子のORFと同じ位相である場合、アミノ末端融合物が、全ての融合タグについて自動的に正確に位相が等しくされる。これは、通常の場合を越える有意な改善であり、ここで各々の異なるベクターは、異なる制限部位および異なるリーディングフレームを有し得る。
【0226】
エントリベクターおよび目的ベクターの最も適切な組み合わせの選び方の実際的な例については、実施例15を参照のこと。
【0227】
(材料)
他に示されない限り、本明細書中に含まれる残りの実施例において、以下の材料を使用した。
5×LR反応緩衝液:
200〜250mM(好ましくは、250mM)Tris−HCl、pH7.5
250〜350mM(好ましくは、320mM)NaCl
1.25〜5mM(好ましくは、4.75mM)EDTA
12.5〜35mM(好ましくは22〜35mMおよび最も好ましくは35mM)
スペルミジン−HCl
1mg/mlウシ血清アルブミン
GATEWAYTMLR ClonaseTM酵素混合物:
4μl当たりの1×LR反応緩衝液:
150ngカルボキシ−His6−タグ化Int(1998年11月13日に出願された米国特許出願第60/108,324号、および1999年12月12日に出願された同第09/438,358号(両出願は本明細書中に参考として全体が援用される)を参照のこと)
25ngカルボキシ−His6−タグ化Xis(1998年11月13日に出願された米国特許出願第60/108,324号、および1999年12月12日に出願された同第09/438,358号(両出願は本明細書中に参考として全体が援用される)を参照のこと)
30ng IHF
50% グリセロール
5×BP反応緩衝液:
125mM Tris−HCl、pH7.5
110mM NaCl
25mM EDTA
25mM スペルミジン−HCl
5mg/ml ウシ血清アルブミン
GATEWAYTMBP ClonaseTM酵素混合物:
4μl当たりの1×BP反応緩衝液:
200ngカルボキシ−His6−タグ化Int(1998年11月13日に出願された米国特許出願第60/108,324号、および1999年12月12日に出願された同第09/438,358号(両出願は本明細書中に参考として全体が援用される)を参照のこと)
80ng IHF
50% グリセロール
10×クロナーゼ(Clonase)停止溶液:
50mM Tris−HCl、pH8.0
1mM EDTA
2mg/ml プロティナーゼK
(実施例6:LR(「目的」)反応)
目的の核酸分子(そしてこの核酸分子は、最終的にはこの核酸分子によりコードされるポリペプチドの産生のために宿主細胞内に導入され得る)を含む新しい発現クローンを作製するために、目的の核酸分子を含む、本明細書中に記載されるように調製されるエントリクローンまたはベクターを、目的ベクターと反応させる。本実施例において、attL部位に隣接するβ−Gal遺伝子を、エントリクローンから目的ベクターに移動する。
必要とされる材料:
・5×LR反応緩衝液
・目的ベクター(好ましくは、線状化された)、75〜150ng/μl
・目的の核酸分子を含む、エントリクローン、8μl以下のTE緩衝液中100〜300ng
・陽性コントロールエントリクローン(pENTR−β−Gal)DNA(以下の注記を参照のこと)
・陽性コントロール目的ベクター、pDEST1(pTrc)、75ng/μl・GATEWAYTMLR ClonaseTM酵素混合物(−80℃にて保存)
・10×クロナーゼ停止溶液
・pUC19DNA、10pg/μl
・化学的コンピテントE.coli細胞(能力:1×107CFU/μg以上)、400μl
・LBプレート含有アンピシリン(100μg/ml)およびメチシリン(200μg/ml)±X−galおよびIPTG(以下を参照のこと)
(注記)
エントリークローン(Entry Clone)DNAの調製:RNaseを用いて処理したMiniprep DNAが、十分働く。GATEWAYTM反応が、20μlの反応混合物当たり最適な約100〜300ngのエントリークローン(Entry Clone)を有するようなので、クローンされるべきDNAの合理的に正確な定量化(±50%)がアドバイスされる。
【0228】
陽性コントロールエントリークローン(Entry Clone)、pENTR−β−Galは、アンピシリン(100μg/ml)およびメチシリン(200μg/ml)に加えて、IPTGおよびBluo−gal(またはX−gal)を含むLBプレート上の予期される青コロニー対白コロニーの数に基づくコロニーの機能的分析を可能にする。β−ガラクトシダーゼは、大きなタンパク質であるので、SDSタンパク質ゲル上で、多くのより小さなタンパク質よりも顕著ではないバンドをしばしば生じる。
【0229】
陽性コントロールエントリーベクター(Positive Control Entry Vector)pENTER−β−Galにおいて、β−Galのコード配列は、pENTR11(図20Aおよび20B)にクローン化されており、翻訳開始シグナルがE.coliならび真核生物細胞における発現を可能にする。陽性コントロール目的ベクター(Destination Vector)(例えば、pDEST1(図21))は、好ましくは直線化される。
【0230】
X−galおよびIPTGプレートを調製するために、以下のプロトコルのいずれかが使用され得る:
A.ガラス棒を用いて、LB寒天プレートの表面上に、40μlのDMF中の20mg/ml X−gal(またはBluo−gal)および4μlの200mg/ml IPTGを広げる。細胞をプレーティングする前に、37℃で3〜4時間寒天に液体を吸着させる。
【0231】
B.プレートに注ぐ直前に、液体LB寒天に約45℃で、50μg/mlにするためにX−gal(またはBluo−Gal)(DMF中20mg/ml)を、そして0.1〜1mMにするためにIPTG(水中で200mM)を加える。X−galおよびBluo−Galを光遮蔽した容器中に保存する。
【0232】
コロニーの色は、37℃で一晩インキュベーションした後に、数時間5℃でプレートに配置することによって高められ得る。プロトコルBは、Aよりも一貫したコロニーの色を与え得るが、Aは、選択されたプレートが、短い注目で必要とされる場合、より便利である。
【0233】
Clonase反応における組換えは、長時間続く。45〜60分のインキュベーションが通常十分であるが、大きなDNAを用いる反応、または親DNAの両方がスーパーコイル化される反応、または低いコンピテンスの細胞に形質転換される反応は、25℃で2〜24時間のような長いインキュベーション時間を用いて改良され得る。
【0234】
(手順)
1.以下のように反応を組み立てる(Clonase LRを凍結貯蔵所から移す前に、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix(「Clonase LR」)以外全ての成分を室温で合わせる):
【0235】
【表2】
2.GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixを−80℃のフリーザーから移し、すぐに氷上に置く。Clonaseは溶かすのに数分間のみかかる。
【0236】
3.GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixの4μlを反応物2番および4番に加える。
【0237】
4.GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixを−80℃のフリーザーに戻す。
【0238】
5.チューブを25℃で少なくとも60分間インキュベートする。
【0239】
6.Clonase Stop溶液2μlをすべての反応物に加える。20分間37℃でインキュベートする。(この工程は、通常、10〜20倍、得たコロニーの総数を増加する)。
【0240】
7.2μlを100μlのコンピテントE.coliに形質転換する。100μg/mlでアンピシリンを含むプレート上で選択する。
【0241】
(実施例7:E.coliの形質転換)
本発明の組換えクローニングシステムを使用して調製されたクローニングベクターまたは発現ベクター(Expression Vector)を導入するために、いずれかの標準E.coli形質転換プロトコルが満足するはずである。以下の工程は、最高の結果のために推奨される:
1.コンピテント細胞の混合物およびRecombinational Cloning System反応産物を、熱ショック工程の前に少なくとも15分静置させる。これは、組換えタンパク質がDNAから解離するための時間を与え、そして形質転換効率を向上する。
【0242】
2.反応物を約1%〜5%の効率を期待する。すなわち、2μlの反応物は、少なくとも100pgの発現クローン(Expression Clone)プラスミドを含むべきである(反応中の各親プラスミドの量、および引き続く希釈を考慮する)。E.coli細胞は、107CFU/μgのコンピテンスを有する場合、全形質転換がアンピシリンプレート上に広げられるならば、100pgの所望のクローンプラスミドは、約1000以上のクローンを与える。
【0243】
3.コントロールpUC DNA形質転換を常に行う。コロニーの数が予期したものでない場合、pUC DNA形質転換によって、問題があった場所の指示が与えられる。
【0244】
(実施例8:attB−PCR産物の調製)
以下の実施例9に記載されるPCRクローニング方法でのattB−PCR産物の調製のために、attB1配列およびattB2配列を含むPCRプライマーを使用する。attB1プライマー配列およびattB2プライマー配列は、以下である:
attB1:5’−GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT−(テンプレート特異的配列)−3’
attB2:5’−GGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGT−(テンプレート特異的配列)−3’
attB1配列は、アミノプライマーに加えられるべきであり、attB2配列は、カルボキシプライマーに加えられるべきである。これらのプライマーのそれぞれの5’末端の4グアニンは、本発明のクローニング方法における使用のために基質として、最小の25bp attB配列の効率を高める。
【0245】
標準PCR条件を使用して、PCR産物を調製し得る。以下の提案されたプロトコルは、PLATINUM Taq DNA Polymerase High Fidelity(登録商標)(Life Technologies,Incから市販(Rockville,MD))を使用する。この酵素混合物は、ホットスタート(hot start)の必要性を排除し、Taqに対する忠実度を改善し、そしてゲノムテンプレート上においてさえ、200bp〜10kbまたはそれ以上のアンプリコンサイズの幅広い範囲の合成を可能にする。
【0246】
(必要とされる材料)
・PLATINUM Taq DNA Polymerase High Fidelity(登録商標)(Life Technologies,Inc)
・テンプレートに特異的なattB1含有プライマー対およびattB2含有プライマー対(上記を参照のこと)
・DNAテンプレート(直線化されたプラスミドまたはゲノムDNA)
・10× High Fidelity PCR Buffer
・10mM dNTP混合物
・PEG/MgCl2 Mix(30%PEG8000、30mM MgCl2) (手順)
1.)反応を以下のように組み立てる:
【0247】
【表3】
*より多数のプラスミドテンプレートの使用は、より少ないサイクル(10〜15)のPCRを可能にし得る。
【0248】
2.)適切に、二滴の鉱油を加える。
【0249】
3.)30秒間94℃で変性させる。
【0250】
4.)以下を25サイクル行う:
94℃を15秒〜30秒
55℃を15秒〜30秒
テンプレート1kb当たり68℃を1分間。
【0251】
5.)PCR反応に続いて、産物の収率および均一性を評価するために、サイズ標準(例えば、1Kb Plus Ladder,Life Technologies,Inc)および定量標準(例えば、Low Mass Ladder,Life Technologies,Inc)とともに、1〜2μlの反応混合物をアガロースゲルに適用する。
【0252】
PCR産物の精製は、エントリーベクター(Entry Vector)へ効率的にクローン化し得るattBプライマーダイマーを除くために、推奨される。以下のプロトコルは、fastであり、<300bpのサイズのDNAを除去する:
6.)50μlのPCR反応物をTEを用いて200μlに希釈する。
【0253】
7.)100μl PEG/MgCl2溶液を加える。混合し、そして室温で10分間13,000RPMで素早く遠心分離する。上清を除く(ペレットは、透明であり、見るのが困難である)。
【0254】
8.)ペレットを50μlのTEに溶解し、ゲル上で回収をチェックする。
【0255】
開始PCRテンプレートが、Kanrについての遺伝子を含むプラスミドである場合、未反応の残りの開始プラスミドが、GATEWAYTM Cloning System反応の形質転換由来の偽陽性コロニーの潜在的な供給源であるので、プラスミドを分解するために、完了したPCR反応物を制限酵素DpnIで処理することが得策である。約5ユニットのDpnIを完了したPCR反応物に添加し、そして15分間37℃でインキュベートすることによって、この潜在的な問題は除去される。PCR産物をGATEWAYTM Cloning System反応において使用する前に、65℃で15分間DpnIを熱不活性化する。
【0256】
(実施例9:BP(「Gateward」)反応を介するエントリーベクター(Entry Vector)へのattB−PCRのクローニング)
PCRプライマーへの5’末端attB配列の付加は、GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixの存在下でのDonor(attp)Plasmidを用いた組換えに効率的な基質であるPCR産物の合成を可能にする。この反応は、PCR産物のエントリークローン(Entry Clone)を産生する(図8を参照のこと)。
【0257】
attB PCR基質を用いるGateward Cloningの条件は、attB−PCR産物(図8を参照のこと)を発現クローン(Expression Clone)の代わりに使用し、そしてattB−PCR陽性コントロール(attB−tetr)を発現クローン陽性コントロール(Expression Clone Positive Control)(GFP)の代わりに使用することを除いて、BP Reaction(以下の実施例10を参照のこと)の条件と同じである。
【0258】
(必要とされる材料:)
・5×BP Reaction Buffer
・所望のattB−PCR産物DNA、8μl以下のTE中、50〜100ng。
・Donor(attP)Plasmid(図49〜54)、75ng/μl、スーパーコイルDNA。
・attB−tetr PCR産物陽性コントロール、25ng/μl。
・GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix(−80℃で保存)。
・10×Clonase Stop Solution。
・pUC19 DNA、10pg/μl。
・化学的コンピテントE.coli細胞(コンピテンス:1×107CFU/μg以上)、400μl。
【0259】
(注記:)
・attB−PCR DNAの調製:実施例8を参照のこと。
・Positive Control attB−tetrPCR産物は、それ自身のプロモーターとともに、pBR322のtetr遺伝子の機能性コピーを含む。コントロールBP Reactionの形質転換物をカナマイシン(50μg/ml)プレート上(kanr Donor Plasmidを使用する場合;図49〜52を参照のこと)に、または代替の選択試薬(例えば、genr Donor Plasmidが使用される場合、ゲンタマイシン、図54を参照のこと)のプレートにプレートし、次いで、これらのコロニーの約50個をテトラサイクリン(20μg/ml)を有するプレート上に摘み上げ、陽性コントロール反応由来のコロニーの機能性tetrを含むエントリークローン(Entry Clone)の割合が決定され得る(%発現クローン(Expression Clone)=(tetr+kanr(またはgenr)コロニーの数/kanr(またはgenr)コロニー)。
【0260】
(手順:)
1.反応を以下のように組み立てる。GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを凍結貯蔵所から移す前に、GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix以外、全ての成分を合わせる。
【0261】
【表4】
2.GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを−80℃のフリーザーから移し、すぐに氷上に置く。Clonaseを溶かすには数分だけかかる。
【0262】
3.GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixの4μlをサブクローニング反応に加え、混合する。
【0263】
4.GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを−80℃のフリーザーに戻す。
【0264】
5.25℃で少なくとも60分間インキュベートする。
【0265】
6.2μlのProteinase K(2μg/μl)を全ての反応物に加える。20分間37℃でインキュベートする。
【0266】
7.上記の3.2により、2μlを100μlのコンピテントE.coliに形質転換する。カナマイシン50μg/mlを含むLBプレート上で選択する。
【0267】
(結果:)
初期の実験において、pBR322由来のtetRおよびampRを増幅するためのプライマーが、tetR特異的標的配列またはampR特異的標的配列のみ、標的配列およびattB1(前進(forward)プライマーについて)配列またはattB2(逆プライマーについて)配列(図9に示される)、あるいは4つのグアニジンの5’テールを有するattB1配列またはattB2配列を含むように構築された。これらのプライマーの構築は、図65に示される。これらのプライマーを使用するpBR322由来のtetRおよびampRのPCR増幅および本発明の組換えクローニングシステムを使用する宿主細胞へのPCR産物のクローニングの後に、図66に示される結果が得られた。これらの結果は、attB配列を含むプライマーが、テトラサイクリンプレートおよびアンピシリンプレート上で幾分多い数のコロニーを提供したことを示した。しかし、attB配列に加えて、プライマー上に、4または5グアニジンの5’伸長を含むことは、図66および67に示されるように、有意により良いクローニングの結果を提供した。これらの結果は、組換えクローニングを使用するPCR産物のクローニングについて最適のプライマーが、4または5グアニン塩基の5’伸長を有する組換え部位配列を含む。
【0268】
attB含有PCR産物とattP含有Donorプラスミドとの間の最適化学量論を決定するために、PCR産物およびDonorプラスミドの量が、BP Reactionの間で変化される実験が行われた。次いで、反応混合物は、宿主細胞に形質転換され、上記のようにテトラサイクリンプレート上にプレートされた。結果は図68に示される。これらの結果は、tet遺伝子のサイズ範囲におけるPCR産物を用いた最適の組換えクローニングの結果について、attP含有Donorプラスミドの量が、約100〜500ng(最も好ましくは、約200〜300ng)の間であり、一方、attB含有PCR産物の最適濃度が、20μl反応当たり、約25〜100ng(最も好ましくは、約100ng)であることを示す。
【0269】
次いで、本発明の組換えクローニングアプローチによるクローニングの効率に対するPCR産物のサイズの効果を試験するために実験を行った。attB1およびattB2部位を、256bp、1kb、1.4kb、3.4kb、4.6kb、6.9kbおよび10.1kbのサイズで含むPCR産物を上記のように調製し、そしてエントリーベクターにクローン化し、そして宿主細胞をクローン化PCR産物を含むエントリーベクターを用いて形質転換した。各PCR産物についてクローニング効率を、以下のように、pUC19陽性コントロールプラスミドのクローニングに対して計算した。
【0270】
【化21】
図69A〜69C(256bpのPCRフラグメントについて)、図70A〜70C(1kbのPCRフラグメントについて)、71A〜71C(1.4kb PCRフラグメントについて)、図72A〜72C(3.4kb PCRフラグメントについて)、図73A〜73C(4.6kbのPCRフラグメントについて)、74(6.9kbのPCRフラグメントについて)および図75〜76(10.1kbのPCRフラグメントについて)に、これらの実験の結果を示す。これらの図に示された結果を、異なる重量およびモルの入力PCR DNAについて、図77に要約した。
【0271】
ともに、これらの結果は、本発明の組換えクローニングシステムにおいて、attB含有PCR産物が、比較的効率的に、約0.25kbから約5kbまでのクローンのサイズにわたることを証明する。PCR産物が約5kbより非効率的に大きくなるにつれて(明らかに、融合体の遅い分解による)、組換え反応の間のインキュベーション時間がより長くなり、これらのより大きなPCRフラグメントのクローニングの効率を改善する。あるいは、低レベルの入力attpドナープラスミドおよびおそらくattB含有PCR産物を使用することによって、および/または融合体のより迅速な分解を補助するための反応条件を(例えば、緩衝液条件)調整することによって、大きな(約5kbより大きい)PCRフラグメントのクローニングの効率を改良することが可能であり得る。
【0272】
(実施例10:BP反応)
Gateward(「エントリー(Entry)」)反応の1つの目的は、発現クローン(Expression Clone)をエントリークローンに変換することである。これは、発現クローンcDNAライブラリーから個々の発現クローンを単離し、そして目的の核酸分子を別の発現ベクター(Expression Vector)にトランスファーすることを望むか、またはattBもしくはattLライブラリーから分子の集団を移動することを所望する場合、有用である。あるいは、発現クローンを変異し得、ここで1つ以上の新しい発現ベクターに目的の変異された核酸分子をトランスファーすることを所望する。両方の場合において、目的の核酸分子をエントリークローンに変換することがまず必要である。
【0273】
(必要とされる材料)
・5×BP反応緩衝液
・発現クローンDNA、8μl以下のTE中100〜300ng
・ドナー(attp)ベクター、75ng/μl、スーパーコイルDNA
・正のコントロールattB−tet−PCR DNA、25ng/μl
・GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix(−80℃で保存)
・クロナーゼ停止溶液(Clonase Stop Solution)(プロテイナーゼK、2μg/μl)
(注意:)
(発現クローンDNAの調製:RNアーゼワークスウェルで処理したMiniprep DNA)
1.LR反応(実施例14を参照のこと)と共に、BP反応は、反応するDNAのトポロジーによって強く影響される。一般的に、DNAが両方とも直鎖であるかまたは両方ともスーパーコイルである反応と比較して、DNAの一方が直鎖であり他方がスーパーコイルである場合、最も効率的である。さらに、attB発現クローン(ベクター内のどこでも)を直線化することによって、一般的に、ドナー(attP)プラスミド(Donor(attP)Plasmid)を直線化することより多くのコロニーを与える。発現クローンベクター内に適切な切断部位を発見することが困難であることを示す場合、attP1部位とattP2部位との間で(例えば、NcoI部位で)ドナー(attP)プラスミドを直線化し得、ccdB遺伝子を回避する。ドナー(attP)プラスミドのマップは、図49〜54に与えられる。
【0274】
(手順)
1.以下の通りに反応を組み立てる。フリーザーからGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを除去する前に、GATEWAYTM BP ClonaseTMEnzyme Mixを除く全ての成分を室温で合わせる。
【0275】
【表5】
2.−80℃のフリーザーからGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを取り出し、直ぐに氷上に置く。この混合物は、たったの2、3分で解凍した。
【0276】
3.4μlのGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixをサブクローニング反応に加え、混合する。
【0277】
4.−80℃フリーザーにGATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mixを戻す。
【0278】
5.25℃で、少なくとも60分間チューブをインキュベートする。attB DNAおよびattP DNAの両方がスーパーコイルである場合、25℃での2〜24時間のインキュベーションを推薦する。
【0279】
6.2μlのクロナーゼ停止溶液(Clonase Stop Solution)を加える。37℃で10分間インキュベートする。
【0280】
7.上記のように、2μlを100μlの適格なE.coliに形質転換する。50μg/mlのカナマイシンを含有するLBプレート上で選択する。
【0281】
(実施例11:標準クローニング法を使用する、エントリーベクターへのPDR産物のクローニング)
(PCR産物のクローニングのためのエントリーベクターの調製)
本発明の全てのエントリーベクターは、「左」制限部位と「右」制限部位との間のスタファー(stuffer)として死の遺伝子ccdBを含む。この配置の利点は、両方の制限酵素で切断されなかったベクター由来のバックグラウンドが実質的に存在しないことである。なぜなら、ccdB遺伝子の存在は、全ての標準E.coli株を殺傷するためである。従って、ccdBフラグメントを除去するために、各エントリーベクター(Entry Vector)を2回切断する必要がある。
【0282】
第2の制限酵素でエントリーベクターを消化した後、ホスファターゼ(子ウシ腸管アルカリホスファターゼ、CIAP、または熱感受性アルカリホスファターゼ、TSAP)で反応を処理することを強く推薦する。このホスファターゼは、反応混合物に直接添加され得、追加の時間インキュベートされ得、そして不活性化され得る。この工程は、ベクターとccdBフラグメントの両方を脱リン酸化し、その結果、次のライゲーションの間、ccdBフラグメントとエントリーベクターの終点についての目的のDNAとの間に競合は少ない。
【0283】
(PCR産物の平滑クローニング)
一般に、PCR産物は、5’ホスファターゼを有さず(なぜなら、プライマーは通常5’OHであるため)、そしてそれらは、平滑末端化される必要はない(この後者の点で、プライマーの配列が単一の3’塩基の付加に影響を及ぼす方法についての議論については、Brownsteinら、BioTechniques 20:1006、1996を参照のこと)。以下のプロトコールは、これらの2つの欠陥を修復する。
【0284】
0.5mlのチューブにおいて、エタノールによって、約40ngのPCR産物を沈殿させる(アガロースゲルから判断されるように)。
【0285】
1. 1μlの10mM rATP、1μlの混合された2mM dNTP(すなわち、2mM dATP、2mM dCTP、2mM dTTP、および2mM dGTP)、2μlの5×T4ポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液(350mM Tris HCl(pH7.6)、50mM MgCl2、500mM KCl、5mM 2−メルカプトエタノール)10単位T4ポリヌクレオチドキナーゼ、1μl T4 DNAポリメラーゼ、および10μlに合わせるための水を含む10μlに、沈殿したDNAを溶解する。
【0286】
2. 37℃で10分間チューブをインキュベートし、次いで65℃で15分間インキュベートし、冷却し、任意の凝縮物をチューブの先端にもたらすために軽く遠心分離にかける。
【0287】
3. 5μlのPEG/MgCl2溶液を加え、混合し、そして室温で10分間遠心分離する。上清を廃棄する。
【0288】
4. 2μlの5×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Life Technologies,Inc.)、0.5単位のT4 DNAリガーゼ、および約50ngの平滑末端化したホスファターゼ処理エントリーベクターを含む10μl中で見えない沈殿物を溶解する。
【0289】
5. 25℃で1時間インキュベートし、次いで10分間65℃でインキュベートする。90μlのTEを加え、10μlを50〜100μlの適格なE.coliに形質転換する。
【0290】
6. カナマイシン上に置く。
【0291】
(注意:)
上記プロトコールにおいて、工程bからcは、同時に(T4 DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼおよびポリメラーゼ活性を通して)PCR産物の末端を磨き、および(T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して)5’末端をリン酸化する。キナーゼを不活性化することが必要であり、その結果、工程eにおいて平滑末端化され、脱リン酸化されたベクターは、自己ライゲートし得ない。工程d(PEG沈殿)は、全ての小分子(プライマー、ヌクレオチド)を除去し、そしてまたクローン化されたPCR産物の収量を50倍改善することが見出された。
【0292】
(制限酵素を用いる消化後のPCR産物のクローンニング)
制限酵素で消化されたPCR産物の効率的なクローニングは、3つの工程を包含する:TaqDNAポリメラーゼの不活性化、制限酵素の効率的な切断、および小さなDNAフラグメントの除去。
【0293】
TaqDNAポリメラーゼの不活性化:TaqDNAポリメラーゼおよびdNTPのRE消化への繰越は、PCR産物をクローニングする際の成功率を低下させる(D.Foxら、FOCUS20(1):15、1998)。なぜなら、TaqDNAポリメラーゼは、粘着性末端に充填し得、末端を平滑末端化するために塩基を加え得るためである。TaqQuenchTM(Life Technologies,Inc.,;Rockville,Marylandから入手可能)またはフェノールによる抽出が、Taqを不活性化するために使用され得る。
【0294】
効率的な制限酵素切断:各PCRプライマーの5’末端における過剰の塩基は、PCR産物の末端付近のRE切断を補助する。安価なプライマーのアベイラビリティーによって、制限部位の5’側上の6〜9個の塩基を加えることは、末端のほとんどが消化されることを保証する優れた投入である。5倍過剰の制限酵素を用いた1時間以上のDNAのインキュベーションは、成功を保証する。
【0295】
ライゲーション前の小分子の除去:プライマー、ヌクレオチド、プライマーダイマー、および制限酵素消化によって産生された小さなフラグメントは、クローニングベクターへのPCR産物の所望されるライゲーションを、全て阻害し得るかまたは競合し得る。このプロトコールは、小分子を除去するためにPEG沈殿を使用する。
【0296】
(制限酵素を用いてPCR産物の末端を切断するためのプロトコール)
1.PCR産物中のTaqDNAポリメラーゼの不活性化
オプションA:フェノールによる抽出
A1.TEで200μlにPCR反応物を希釈する。等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを加え、20秒間激しく撹拌し、1分間室温で遠心分離する。下相を廃棄する。
【0297】
A2.DNAからフェノールを抽出し、以下の通りに濃縮する。等量の2−ブタノール(所望される場合、Aldrichの「Oil Red O」で赤色に着色する)を加え、軽く撹拌し、室温で軽く遠心分離する。ブタノール上相を廃棄する。2−ブタノールを用いた抽出を繰り返す。この時点において、下水相の容量は、顕著に減少するはずである。2−ブタノールの上相を廃棄する。
【0298】
A3.エタノールで、上記抽出液の水相からDNAを沈殿させる。200μlの適切な制限酵素(RE)緩衝液に溶解する。
【0299】
オプションB:TaqQuenchによる不活性化
B1.エタノールで、適切な量のPCR産物(100ng〜1μg)を沈殿させ、200μlの適切なRE緩衝液に溶解する。
【0300】
B2.2μlのTaqQuenchを加える。
【0301】
2.10〜50単位の制限酵素を加え、少なくとも1時間インキュベートする。PCR産物の他端における消化のために緩衝液を交換する必要がある場合、エタノールで沈殿させる。
【0302】
3.1/2容量のPEG/MgCl2混合物をRE消化に加える。十分に混合し、直ぐに室温で10分間遠心分離する。上清(ペレットは通常見えない)を廃棄し、数分間再び遠心分離し、任意の残りの上清を廃棄する。
【0303】
4.適切な容量(元の増幅反応におけるPCR産物の量に依存する)のTEにDNAを溶解し、回収を確証するために、アガロースゲルにアリコートを塗布する。クローニングのために使用される20〜100ngの適切なエントリーベクターを同じゲルに塗布する。
【0304】
(実施例12:GATEWAYTMCloning Reaction Productsの予想されるサイズの決定)
配列を電気的に切断しつなぎ合わせるソフトウェアプログラムにアクセスする場合、GATEWAYTMCloning System組換え産物のサイズおよび制限パターンの予測を補助するために電気的クローンを生成し得る。
【0305】
GATEWAYTMCloning System組換え反応において酵素Intによって実施される切断工程およびライゲーション工程は、7−bp5’−末端突出を形成する制限酵素切断を模倣し、続いて娘分子の末端を封じるライゲーション工程が実施される。クロナーゼカクテル中に存在する組換えタンパク質(以下の実施例19を参照のこと)は、全ての4つの型のatt部位内に存在する15bpコア配列(種々の型のatt部位の各々に特徴的な他の隣接配列に加えて)を認識する。
【0306】
これらの部位を、それらが制限部位であるかのように、ソフトプログラムで処理することによって、種々の目的ベクター(Destination Vector)によってエントリークローンを切断し得、そしてつなぎ合わせ得、そしてGATEWAYTMCloning System反応からの予想される結果の正確なマップおよび配列が得られ得る。
【0307】
(実施例13:タンパク質発現(Protein Expression))
(タンパク質発現の簡単な概説)
転写:E.coli発現ベクター中の最も通常使用されるプロモーターは、lacプロモーターの改変体であり、そしてこれらはIPTGを成長培地に添加することによって、刺激され得る。通常、発現が所望されるまでプロモーターをオフに維持することが良く、その結果、宿主細胞は、幾つかの異種タンパク質の過多によってシック(sick)にならない。これは、E.coliに使用されるlacプロモーターの場合において、合理的に容易である。lacリプレッサータンパク質を作製するために、lacI遺伝子(またはそのより増殖性関連の、lacIq遺伝子)を供給する必要があり、これは、プロモーター付近で結合し、転写レベルを低く維持する。E.coli発現についての幾つかの目的ベクターは、この目的のためにそれら自体のlacIq遺伝子を保有する。(しかし、lacプロモーターは、IPTGの非存在下においてでさえ、常にわずかに「on」である。)
真核細胞中における転写を制御することは、簡単または効率的とは程遠い。Bujardらのテトラサイクリン系は、最も成功したアプローチであり、目的ベクター(pDEST11;図31)の1つは、この機能を供給するために構築された。
【0308】
翻訳:リボソームは、mRNA内に存在する情報をタンパク質に変換する。リボソームは、メチオニン(AUG)コドンを探すRNA分子を走査し、これは、ほぼ全ての新生タンパク質に取りかかる。しかし、リボソームは、始点のそれら由来のタンパク質の中央においてメチオニンについてコードするAUGコドン間で区別し得なければならない。最もよく、リボソームは、1)最初にRNA中にあり(5’末端に向けて)、そして2)適切な配列状況を有する、AUGを選択する。E.coliにおいて、好まれる状況(最初に、ShineおよびDalgarno、Eur.J.Biochem.57:221(1975)によって認識された)は、開始AUG、特にAGGAGGまたは幾つかの改変体の5〜12塩基上流のプリンからの開始である。
【0309】
真核生物において、Kozak(J.Biol.Chem.266:19867(1991))によって翻訳されたmRNAの調査は、開始メチオニンの周りの、好ましい配列状況、gccAccATGC、を明らかにし、ここで−3におけるAは最も重要であり、+4におけるプリン(ここで、ATGのAは+1である)、好ましくは、Gは、次に最も影響力がある。−3においてAを有することは、大部分のリボソームが、植物、昆虫、酵母、および哺乳動物中においてmRNAの第1のAUGを選択するのに十分である。(真核細胞におけるタンパク質合成の開始の概説については、Pain,V.M.Eur.J.Biochem.236:747−771、1996を参照のこと)。
【0310】
GATEWAYTMCloning Systemのための翻訳シグナルの重要性:
まず、翻訳シグナル(E.coli中のShine−Dalgarno、真核細胞中のKozak)は、開始ATGに接近しなければならない。attB部位は、25塩基対長である。従って、翻訳シグナルが目的の核酸分子の天然ATG付近に所望される場合、それらは、目的の核酸分子のエントリークローン内に存在しなければならない。さらに、エントリークローンから目的ベクターまで目的の核酸分子が移動される場合、任意の翻訳シグナルは沿って移動する。この結果は、エントリークローン中のShine−Dalgarnoおよび/またはKozak配列の存在または非存在が考慮されなければならず、最終的な目的ベクターが注意して使用される。
【0311】
第2に、リボソームは5’ATGを最もよく選択するが、内部ATGはまた、タンパク質合成を開始するために使用される。この内部ATGの周りの翻訳状況がよくなればなるほど、内部翻訳開始がより多く見られる。これは、GATEWAYTMCloning Systemにおいて重要である。なぜなら、目的の核酸分子のエントリークローンを作製し得、そしてATG付近にShine−Dalgarnoおよび/またはKozak配列を有するように配列し得るからである。このカセットが目的の核酸分子を転写する目的ベクター内に組換えされる際、天然タンパク質が得られる。必要とされる場合、Shine−Dalgarnoおよび/またはKozak配列が同じ読み取りフレーム内に任意の停止シグナルを含まないため、異なる目的ベクター内に融合タンパク質を作製し得る。しかし、これらの内部翻訳シグナルの存在によって、有意な量の天然タンパク質が作製され得、融合タンパク質を夾雑し得、そして融合タンパク質の収量を低下し得る。これは、特に、His6のような短い融合タグの場合にあり得る。
【0312】
良好な妥協(good compromise)が推奨され得る。pENTR7(図16)またはpENTR8(図17)のようなエントリーベクター(Entry Vector)が選択される場合、コザック塩基がネイティブな真核生物発現のために存在する。E.coli翻訳のための状況は不十分であり、そのため、アミノ末端融合物の収量が良好であるはずであり、そしてこの融合タンパク質はTEVプロテアーゼで消化されて、精製後にほぼネイティブなタンパク質を作製し得る。
【0313】
(E.coliにおけるタンパク質の合成のために推奨される条件) E.coli中でタンパク質を作製する場合、少なくとも最初に、培養物を37℃の代わりに30℃でインキュベートすることが賢明である。本発明者らの経験によって、タンパク質は、30℃では凝集物をあまり形成しないようであることが示される。さらに、30℃で増殖させた細胞からのタンパク質の収量は、しばしば改善される。
【0314】
発現することが困難であるタンパク質の収量もまた、一晩の培養物から直接収集するのとは全く異なって、一晩増殖させたものからその朝開始した培養物を用いて対数増殖期の中期の培養物を誘導することにより改善され得る。一晩の培養物から直接収集する場合、この細胞は好ましくは、対数増殖期後期または静止増殖期にあり、これは、不溶性凝集物の形成に好都合であり得る。
【0315】
(実施例14:既存のベクターからの目的ベクター(Destination Vector)の構築)
目的ベクター(Destination Vectors)は機能する。なぜなら、これらは、クロラムフェニコール耐性(CmR)遺伝子および細胞死遺伝子(death gene)ccdBに隣接する2つの組換え部位(attR1およびattR2)を有するからである。GATEWAYTM Cloning Systemの組換え反応は、カセット(Cassette)全体(attB部位の一部を含むいくつかの塩基を除く)を、エントリーベクター(Entry Vector)からの目的のDNAセグメントと交換する。attR1、CmR、ccdB遺伝子およびattR2は連続しているので、これらは、単一のDNAセグメントによって移動し得る。このカセット(Cassette)がプラスミド中にクローニングされる場合、このプラスミドが目的ベクター(Destination Vector)となる。図63は、GATEWAYTM Cloning System Cassetteの模式図を示す;ベクターpEZC15101、pEZC15102およびpEZC15103に含まれる3つのリーディングフレームの全てにおけるattRカセットを、それぞれ、図64A、図64Bおよび図64Cに示す。
【0316】
目的ベクター(Destination Vector)を構築するためのプロトコルを以下に表す。以下の点を心に留めておくこと:
・目的ベクター(Destination Vector)は、Life Technologies,Inc.から入手可能な(そして本明細書中に参考として援用される、1999年3月2日に出願された米国仮出願第60/122,392号に詳細に記載される)E.coliのDB株のうちの1つ(例えば、DB3.1、および特にE.coli LIBRARY EFFICIENCY(登録商標)DB3.1TM Competent Cell)において構築され、そして増殖されなければならない。なぜなら、ccdB細胞死遺伝子は、ccdB遺伝子の存在下で生き延びるように変異していない全てのE.coli株を殺傷するからである。
【0317】
・目的ベクター(Destination Vector)を用いて融合タンパク質を作製する場合、適切なリーディングフレームを有するGATEWAYTM Cloning Systemカセットを用いなければならない。このカセットの末端のヌクレオチド配列を、図78に示す。融合タンパク質ドメインのリーディングフレームは、6個のAが2つのリジンコドンに翻訳されるように、attR1部位(アミノ末端融合物について)のコア領域とインフレームでなければならない。C末端融合タンパク質については、attR2部位のコア領域を通しての翻訳は、−TAC−AAA−とインフレームであって、−Tyr−Lys−を生じるべきである。
【0318】
・各リーディングフレームのカセット(Cassette)は、クロラムフェニコール耐性遺伝子とccdB遺伝子との間に異なる独特の制限部位を有することに留意されたい(リーディングフレームAについてはMluI、リーディングフレームBについてはBglII、そしてリーディングフレームCについてはXbaI;図63を参照のこと)。
【0319】
・大部分の標準的なベクターは、そのベクターのMCSにエントリーカセット(Entry Cassette)を挿入することにより、目的ベクター(Destination Vector)に変換され得る。
【0320】
(目的ベクター(Destination Vector)を作製するためのプロトコル)
1.ベクターがアミノ融合タンパク質を作製する場合、「aaa aaa」トリプレットをattR1中に、融合タンパク質のトリプレットと相を合わせて維持することが必要である。どのエントリーカセット(Entry cassette)を使用するかを以下の通りに決定する:
a.)エントリーカセット(Entry cassette)をクローニングする制限部位付近の既存のベクターのヌクレオチド配列を完全に書く。これらは、融合ドメインのアミノ酸配列に対応するトリプレットで書かれなければならない。
【0321】
b.)切断し、そして平滑にした後(すなわち、突出する5’末端にフィルインした後または突出する3’末端を研磨した後)の制限部位末端に対応する配列を通して垂直な線を画く。
【0322】
c.)適切なリーディングフレームカセットを選択する:
・平滑末端のコード配列が、完全なコドントリプレットの後で終わった場合、リーディングフレームAカセットを用いる。図78、図79および図80を参照のこと。
【0323】
・平滑末端のコード配列が単一の塩基で終わった場合、リーディングフレームBカセットを用いる。図78、図79および図81を参照のこと。
【0324】
・平滑末端のコード配列が2つの塩基で終わった場合、リーディングフレームCカセットを用いる。図78、図79、図82A〜Bおよび図83A〜Cを参照のこと。
【0325】
2.1〜5の微生物の既存のプラスミドを、(att部位に隣接する)目的の核酸分子が組換え反応の後にあることを望む位置で切断する。注:この工程で、可能な限り多くのMCS制限部位を除去した方がよい。このことは、GATEWAYTM Cloning System Cassette内の制限酵素部位が、新たなプラスミド中で唯一である可能性をより高くする。このことは、目的ベクター(Destination Vector)を線状化するために重要である(実施例14、下記)。
【0326】
3.5’リン酸をアルカリホスファターゼを用いて除去する。このことは強制的なことではないが、このことは、成功の確率を増大させる。
【0327】
4.末端を、フィルイン反応または研磨反応を用いて平滑にする。例えば、制限酵素で切断し、エタノールで沈澱させた1μgのベクターDNAに以下を添加する:
i.20μlの5×T4 DNA Polymerase Buffer(165 mM Tris−酢酸(pH7.9)、330mM酢酸Na、50mM酢酸Mg、500μg/ml BSA、2.5mM DTT)
ii.5μlの10mM dNTPミックス
iii.1単位のT4 DNA Polymerase
iv.100μlの最終体積にするための水
v.37℃にて15分間インキュベートする。
【0328】
5.dNTPおよび小さなDNAフラグメントを除去する:エタノール沈殿を行い(0.1M酢酸ナトリウムを含む3倍の体積の室温のエタノールを添加し、充分に混合し、充分に混合し、s室温にて5〜10分間にわたり直ちに遠心分離する)、湿った沈殿物を200μlのTE中に溶解し、100μlの30% PEG 8000、30mM MgCl2を添加し、室温にて10分間にわたって直ちに遠心分離し、上清を捨て、数秒間、再度遠心分離し、全ての残りの液体を捨てる。
【0329】
6.1マイクロリットルあたり10〜50ngの最終濃度になるようにDNAを溶解する。20〜100ngを超コイルプラスミドおよび直鎖状のサイズ標準の隣でゲルにアプライして、切断および回収を確認する。この切断は、100%完全である必要はない。なぜなら、エントリーカセット(Entry Cassette)上のクロラムフェニコールマーカーについて選択するからである。
【0330】
7.10μlの連結反応物中で、10〜50ngのベクター、10〜20ngのエントリーカセット(Entry Cassette)(図79)およびリガーゼ緩衝液中の0.5単位のT4 DNAリガーゼを合わせる。1時間(または一晩、いずれか最も便利な方)後、1μlを、gyrA462変異を有するコンピテントなE.coli細胞のDB株(本明細書中に参考として援用される、1999年3月2日に出願された米国仮出願第60/122,392号を参照のこと)の1つ、好ましくはDB3.1、そして最も好ましくはE.coli LIBRARY EFFICIENCY(登録商標)DB3.1TM Competent Cellに形質転換する。エントリーカセット(Entry Cassette)上のccdB遺伝子は、ccdB遺伝子の存在下で生き延びるように変異していない他の株のE.coliを殺傷する。
【0331】
8.SOC培地中での発現後、10μlおよび100μlをクロラムフェニコール含有(30μg/ml)プレートにプレーティングし、37℃にてインキュベートする。
【0332】
9.コロニーを拾い、ミニプレップDNAを作製する。このミニプレップをRNase Aで処理し、そしてTE中で保存する。適切な制限酵素を用いて切断して、このカセット(Cassette)の方向を決定する。このプラスミドのタンパク質発現機能のアミノ末端の隣にattR1部位を有するクローンを選択する。
【0333】
(目的ベクター(Destination Vector)を用いることについての注意)
・本発明者らは、目的ベクター(Destination Vector)が直鎖状であるかまたは弛緩している場合、GATEWAYTM Cloning System反応物から約10倍多くのコロニーが生じることを見出した。使用するコンピテント細胞が、非常にコンピテントである(1マイクログラムあたり108を超える)場合、目的ベクター(Destination Vector)を直鎖化することはそれほど必須ではない。
【0334】
・直鎖化のために用いられる部位は、エントリーカセット(Entry Cassette)内になければならない。各カセット内で1回または2回切断する部位を図80〜82に示す。
【0335】
・目的ベクター(Destination Vector)のミニプレップは、RNaseで処理する限り、良好に作動する。大部分のDB株がendA−である(本明細書中に参考として援用される、1999年3月2日に出願された米国仮出願第60/122,392号を参照のこと)ので、ミニプレップは、事前のフェノール抽出を伴わずに制限酵素を用いて消化され得る。
【0336】
・ミニプレップDNAのOD260の読み取りは、RNAおよびリボヌクレオチドが、例えば、PEG沈澱によって除去されていなければ、不正確である。
【0337】
(実施例15:適切なエントリーベクター(Entry Vector)および目的ベクター(Destination Vector)を選択する際のいくつかのオプション:一例)
いくつかの適用では、目的の核酸分子を2つの形態で発現させることが所望され得る:E.coli中でアミノ末端融合物として、そして真核生物細胞中でネイティブタンパク質として。このことは、いくつかの方法のうちのいずれかによって達成され得る:
オプション1:選択は、目的の核酸分子およびこの核酸分子を含むフラグメント、ならびに入手可能なエントリーベクター(Entry Vector)に依存する。真核生物の翻訳については、Kozak(J.Biol.Chem.266:19867,1991)によるコンセンサス塩基を開始メチオニン(ATG)コドンの付近に必要とする。全てのエントリーベクター(Entry Vector)は、このモチーフをXmnI部位(平滑カッター)の上流に提供する。1つのオプションは、目的の核酸分子をそのATGを伴ってPCRによって増幅し、アミノ末端を平滑にし、そして天然の停止コドン、続いて「右側の」制限部位(pENTRベクターのEcoRI、NotI、XhoI、EcoRVまたはXbaI)のうちの1つを含むカルボキシ末端を平滑にすることである。
【0338】
目的の核酸分子が、例えば、XhoI部位を有さないことがわかっている場合、この構造を有するPCR産物を作製し得る:
【0339】
【化22】
XhoIで切断した後、このフラグメントは、クローニングする準備ができている:
【0340】
【化23】
(この例に従う場合、アミノオリゴ上にリン酸をつけることを忘れないように。)
オプション2:このPCR産物は、2つのエントリーベクター(Entry Vector)にXmnI部位とXhoI部位との間にクローニングされて、所望の産物を生じ得る:pENTR1A(図10A、図10B)またはpENTR7(図16A、図16B)。pENTR1Aにクローニングする場合、アミノ融合物は、最少数のアミノ酸を、融合ドメインと目的の核酸分子との間に有するが、この融合物は、TEVプロテアーゼを用いて除去され得ない。pENTR7におけるクローンについて逆もまた正しい。すなわち、アミノ融合物は、融合物と目的の核酸分子との間でより多くのアミノ酸を犠牲にしてTEVプロテアーゼを用いて切断され得る。
【0341】
この実施例では、本発明者らは、本発明者らの仮想の目的の核酸分子をXmnI部位とXhoI部位との間でpENTR7にクローニングすることにする。一旦このことが達成されたら、エントリークローン(Entry Clone)pENTR7を用いたいくつかの任意のプロトコルが続き得る:
オプション3:目的の核酸分子がPCRを用いて増幅されたので、目的の核酸分子を配列決定することが所望され得る。これを行うために、エントリーベクター(Entry Vector)由来の目的の核酸分子を、標準的な配列決定プライマーについてのプライミング部位を有するベクター中に移入する。このようなベクターは、pDEST6である(図26A、図26B)。この目的ベクター(Destination Vector)は、目的の核酸分子を、lacプロモーター(これは、漏出性である−−上記の実施例3を参照のこと)とは逆の方向に配置する。遺伝子産物がE.coliに対して毒性である場合、この目的ベクター(Destination Vector)はその毒性を最小にする。
【0342】
オプション4:配列決定を続ける間、目的の核酸分子をCMVプロモーターベクター(pDEST7、図27;またはpDEST12、図32)中に、またはバキュロウイルスベクター(pDEST8、図28;またはpDEST10、図30)中に昆虫細胞における発現のために組換えることにより、例えば、CHO細胞における目的の核酸分子の発現をチェックすることを望み得る。これらのベクターは両方とも、目的の核酸分子のコード配列を転写し、XmnI部位の上流のコザック塩基を用いてこれをPCR産物のATGから翻訳する。
【0343】
オプション5:例えば、抗体を作製するためにタンパク質を精製することを望む場合、目的の核酸分子をHis6融合物ベクターpDEST2(図22)中にクローニングし得る。目的の核酸分子は、pENTR7(図16)のTEVプロテアーゼ切断ドメインの下流にクローニングされるので、産生されるタンパク質のアミノ酸配列は、以下である:
【0344】
【化24】
目的ベクター(Destination Vector)およびエントリーベクター(Entry Vector)を作製するために用いられたattB部位および制限部位は、下線の11アミノ酸(GITSLYKKAGF)中に翻訳される。TEVプロテアーゼでの切断(矢印)は、2つのアミノ酸GTを遺伝子産物のアミノ末端に残す。
【0345】
平滑(アミノ)−XhoI(カルボキシ)フラグメントとしてpENTR7(図16)中にクローニングされ、次いでHis6融合ベクターpDEST2(図22)中への組換えによってクローニングされた、目的の核酸分子の例クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子について、図55を参照のこと。
【0346】
オプション6:His6融合タンパク質が不溶性である場合、続けて、そしてGST融合を試み得る。適切な目的(Destination)ベクターはpDEST3(図23)である。
【0347】
オプション7:RNAプローブを作製することを必要とし、そしてSP6 RNAポリメラーゼを好む場合、pSPORT+(pDEST5(図25A、図25B))中にクローニングされた目的の核酸分子を用いてトップ鎖RNAを作製し得、そしてpSPORT(−)(pDEST6(図26A、26B))中にクローニングされた目的の核酸分子を用いてボトム鎖RNAを作製し得る。T7 RNAポリメラーゼおよびSP6 RNAポリメラーゼについての対向するプロモーターもまたこれらのクローン中に存在する。
【0348】
オプション8:目的の核酸分子を種々の目的ベクター(Destination Vector)中に同じ実験でクローニングすることはしばしばやりがいがある。例えば、コロニーの数が、種々の組換え反応物をE.coli中に形質転換したときに広範に変動する場合、これは、目的の核酸分子がある状況では毒性であることの指標であり得る。(この問題は、ポジティブなコントロール遺伝子を各目的ベクター(Destination Vector)について用いる場合、より明白に明らかである。)詳細には、目的の核酸分子を、pDEST5に組換えたときよりもpDEST6に組換えたときにより多くのコロニーが得られる場合、lacプロモーターの漏出性が、pSPORT「+」中で目的の核酸分子のいくらかの発現を引き起こすという良好な機会が存在する(目的の核酸分子は逆方向で存在するので、これは、pDEST6中では有害ではない)。
【0349】
(実施例16:組換えクローニング反応を介した発現クローンへのPCR産物(または発現クローン)の1チューブ移入の実証)
本明細書中に記載されるBxP組換え(エントリー(Entry)またはGateward)反応では、アンピシリン耐性を付与するプラスミドにおけるattB1部位およびattB2部位が隣接したDNAセグメントを、カナマイシン耐性を付与するattPプラスミドへの組換えによって移入し、このことは、産物分子をもたらし、ここで、DNAセグメントには、attL部位(attL1およびattL2)が隣接していた。この産物プラスミドは、「attLエントリークローン(attL Entry Clone)」分子を含む。なぜなら、これは、「attR目的ベクター(attR Destination Vector)」分子とLxR(Destination)反応を介して反応し得、DNAセグメントの新規な(アンピシリン耐性)ベクターへの移入をもたらすからである。以前に記載された例では、BxP反応産物をE.coli中に形質転換し、カナマイシン耐性コロニーを選択し、これらのコロニーを液体培養中で増殖させ、そしてミニプレップDNAを調製し、その後、このDNAを目的ベクター(Destination Vector)とLxR反応において反応させることが必要であった。
【0350】
以下の実験の目的は、BxP反応(BxP Reaction)産物を直接LxR反応物(LxR Reaction)に添加することによって形質転換工程およびミニプレップDNA工程を除去することであった。これは、attB部位に隣接したDNAセグメントが、プラスミドの代わりにPCR産物である場合、特に適切である。なぜなら、attBプラスミドは(一般に)アンピシリン耐性遺伝子を保有するが、PCR産物は、形質転換によってアンピシリン耐性コロニーを与えることができないからである。従って、BxP反応(BxP Reaction)におけるattB部位に隣接したPCR産物の使用は、その後のLxR反応(LxR Reaction)の所望のattB産物によってコードされるアンピシリン耐性について選択することを可能にする。
【0351】
以下の2つの反応を調製した:反応A、ネガティブコントロール(非attB PCR産物)(8μl)が、50ngのpEZC7102(attP ドナープラスミドであり、カナマイシン耐性を付与する)および2μlのBxP Clonase(22ng/μl Intタンパク質および8ng/μl IHFタンパク質)をBxP緩衝液(25mM Tris HCI(pH7.8)、70mM KCI、5mM スペルミジン、0.5mM EDTA、250μg/ml BSA)中に含んだ。反応B(24μl)が、150ng pEZC7102、6μl BxP Clonase、および120ngのattB−tet−PCR産物を、反応Aと同じ緩衝液中に含んだ。このattB−tet−PCR産物は、プラスミドpBR322のテトラサイクリン耐性遺伝子を含んだ。この産物を、attB1部位またはattB2部位のいずれかを含みかつ上記のようにその5’末端に4つのGを有する2つのプライマーを用いて増幅した。
【0352】
この2つの反応を25℃で30分間インキュベートした。次いで、これらの反応物のアリコートを、LxR反応またはLxR反応の適切なコントロールを含む新規な成分に添加した。5つの新規な反応をこのようにして生成した:
反応1:5μlの反応Aを、25ngのNcoI切断したpEZC8402(attR目的ベクター(Destination Vector)プラスミド)をLxR緩衝液(37.5mM Tris HCI(pH7.7)、16.5mM NaCI、35mM KCI、5mMスペルミジン、375μg/ml BSA)中に含み、そして1μlのGATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixを含む、5μlのLxR反応物に添加した(総容量10μl)。
【0353】
反応2:反応1と同じ。ただし、反応B(ポジティブ)のうちの5μlを、反応A(ネガティブ)の代わりに添加した。
【0354】
反応3:反応2と同じ。ただし、NcoI切断したpEZC8402およびGATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mixの量を2倍にし、それぞれ、50ngおよび2μlにした。
【0355】
反応4:反応2と同じ。ただし、25ngのpEZ11104(ポジティブコントロールのattLエントリークローン(Entry Clone)プラスミド)を反応Bのアリコートに加えて添加した。
【0356】
反応5:ポジティブコントロールLxR反応。25ngのNcoI切断したpEZC8402、25ngのpEZ11104、37.5mMのTris HCI(pH7.7)、16.5mMのNaCI、35mMのKCI、5mMのスペルミジン、375μg/mlのBSAおよび1μlのGATEWAYTM LR Clonase Enzyme Mixを、総容量5μlにて含む。
【0357】
5つの反応すべてを、25℃で30分間インキュベートした。次いで、上記の5つの反応の各々の1μlのアリコート、および反応Bの残りの容量(標準BxP反応)からの1μlを、50μlのコンピテントDH5α E.coliを形質転換するために使用した。DNAおよび細胞を、氷上で15分間インキュベートし、42℃で45秒間ヒートショックし、そして450μlのSOCを添加した。各チューブを、37℃で振盪しながら60分間インキュベートした。各形質転換の100μlおよび400μlのアリコートを、50μg/mlのカナマイシンまたは100μg/mlのアンピシリンのいずれかを含むLBプレート上にプレーティングした(表2を参照のこと)。10pgのpUC19 DNAを用いた形質転換(LB−amp100上にプレーティングした)が、DH5α細胞の形質転換効率に関するコントロールとして役立った。37℃で一晩のインキュベーション後、各プレート上のコロニーの数を測定した。
【0358】
これらの反応の結果を、表2に示す。
【0359】
【表6】
反応3から得られた43コロニーのうちの34個を、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlのTerrific Broth中に釣菌し、そしてこれらの培養物を、37℃で振盪しつつ一晩増殖させた。34個の培養物のうちの27個が、少なくとも中程度の増殖を生じ、そしてこれらのうちの24個を使用し、標準的プロトコルを使用して、ミニプレップDNAを調製した。これらの24個のDNAを、1%アガロースゲル上でスーパーコイルド(SC)DNAとしてまず分析して、インサートを有するものを同定し、そしてそのインサートのサイズを評価した。この24個のサンプルのうちの15個が、tetx7102がpEZC8402と正しく組換えてtetx8402を生じる場合に推測されるサイズ(5553bp)のSC DNAを示した。これらのサンプルのうちの1つは、2つのプラスミドを含み、1つは、約5500bpそして1つは約3500bpであった。残りのクローンの大多数は、約4100bpのサイズであった。
【0360】
推定サイズ(約5500bp)のSC DNAを示す15個のクローンすべてを、制限エンドヌクレアーゼを用いての2つの別個の二重切断によって分析して、予測産物tetx8402の構造を確認した。(プラスミド地図、図57〜59を参照のこと)。1組の切断において、このDNAを、NotIおよびEcoRIで処理した。これれは、両方のattB部位のちょうど外側でこの推定産物を切断して、1475bpのフラグメント上にあるtetrインサートを解放するはずである。第2の組の切断において、このDNAを、NotIおよびNruIで切断した。NruIは、サブクローン化されたtetrインサート内で非対称的に切断し、そしてNotIとともに、1019bpのフラグメントを解放する。
【0361】
二重制限切断により分析した15個のクローンのうち、14個が、予測産物のフラグメントの推定サイズを示した。
【0362】
(解釈)
反応BのDNA成分であるpEZC7102およびattB−tet−PCRが、図56に示される。BxP反応Bの所望の産物は、tetx7102であり、これは、図57に示される。このLxR反応は、BxP反応の産物であるtetx7102(図57)を、図58に示される目的ベクターであるpEZC8402と組換える。tetx7102およびpEZC8402を用いるLxR反応は、図59に示される所望の産物tetx8402を生じると推測される。
【0363】
反応2は、BxP反応およびLxR反応を含み、ネガティブコントロール反応のコロニーより多いコロニーをほんの少しかしか生じなかった。対照的に、反応3は、2倍量のpEZC8402(図58)およびLxR Clinaseを用い、多数のコロニーを生じた。これらのコロニーをさらに、制限消化により分析して、予測産物の存在を確認した。反応4は、混合BxP+LxR反応において、既知の量のattLエントリークローンプラスミドを含んだ。しかし、反応4は、同じDNAをLxR反応単独において使用した場合(反応6)に得られるコロニーの約1%しか生じなかった。この結果は、このLxR反応が、BxP反応の成分によって阻害され得ることを示唆する。
【0364】
反応3の産物の制限エンドヌクレアーゼ分析によって、かなり大きい比率のコロニー(分析した34個のうちの14個)が、所望のtetrサブクローンであるtetx8402を含むことが明らかになった(図59)。
【0365】
上記の結果は、最初にBxP組換え反応、続いてLxR組換え反応を−−同じチューブにて−−適切な緩衝液混合物、組換えタンパク質、およびDNAを完了したBxP反応に単に添加することによって実施するという、可能性を確立する。この方法は、attB含有PCR産物を別個の発現クローンに転換するより速い方法として有用であることを証明し、これらを目的ベクターと組換える前にまず中間体attL−PCRインサートサブクローンを単離する必要性を排除するはずである。これは、これらの反応の自動化適用に特に有益であることを証明し得る。
【0366】
この同じ1つのチューブでのアプローチによって、attBプラスミドクローンに含まれる核酸分子を、新規な機能性ベクターに迅速に移入することも可能である。上記の例におけるように、BxP反応にて生成されるattLサブクローンを、LxR反応において種々の目的ベクターと直接組換え得る。attB含有PCR産物の代わりにattBプラスミドを使用するためのさらなる唯一の要件は、使用される目的ベクターが、attBプラスミド自体およびattPベクター上に存在するものと異なる選択マーカーを含まなければならないことである。
【0367】
1つのチューブでの反応のための2つの代替的プロトコルもまた、有用であること、および上記の条件よりもいくらか最適であることを証明する。
【0368】
代替法1:
反応緩衝液は、50mM Tris−HCI(pH7.5)、50mM NaCI、0.25mM EDTA、2.5mMスペルミジン、および200μg/mlのBSAを含んだ。PCR産物(100ng)+attPドナープラスミド(100ng)+GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix+目的ベクター(100ng)を16(または3)時間インキュベーションした後、2μlのGATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix (10μlの反応混合物あたり)を添加し、そしてその混合物を25℃でさらに6(または2)時間インキュベートした。次いで、停止溶液を上記のように添加し、そしてその混合物を上記のように37℃でインキュベートし、そして1μlを用いてエレクトロコンピテント宿主細胞に、エレクトロポレーションにより直接形質転換した。この一連の実験の結果は、より長いインキュベーション時間(BP反応については3時間に対して6時間、LR反応については2時間に対して6時間)が、短い方のインキュベーション時間に関して得られる約2倍の多さのコロニーを生じた。2つの独立した遺伝子を用いると、正確なクローニングパターンを有する10個/10個のコロニーが得られた。
【0369】
代替法2:
代替法1についての上記の反応条件下で、標準BP反応を、25で2時間実施した。このBP反応後、以下の成分を、反応混合物に総容量7μlにて添加した:
20mM Tris−HCl(pH7.5)
100mM NaCl
5μg/ml Xis−His6
15%グリセロール
約1000ngの目的ベクター。
次いで、この反応混合物を、25℃で2時間インキュベートし、そして2.5μlの停止溶液(2μg/mlのプロテイナーゼLを含む)を添加し、その混合物を、さらに10分間37℃でインキュベートした。次いで、化学的にコンピテントな宿主細胞を、2μlの反応混合物で形質転換するか、またはエレクトロコンピテントな宿主細胞(例えば、EMax DH10B細胞;Life Technologies,Inc.)を、25〜40μlの細胞あたり2μlの反応混合物でエレクトロポレーションした。形質転換後、混合物をSOCで希釈し、37℃でインキュベートし、そして上記のように、その目的ベクターおよびエントリークローン上の選択マーカーについて選択する培地上にプレーティングした(B×P反応産物)。代替法1について記載される結果と類似の結果が、これらの反応条件を用いて得られた−−正確に組換えられた反応産物を含むより高レベルのコロニーが、観察された。
【0370】
(実施例17:組換えクローニング反応を介する、発現クローン(Expression Clone)へのPCR産物(または発現クローン)の1つのチューブでの移入の実証)
組換えクローニングによる、発現クローンへのPCR産物DNA(または発現クローン)の1つのチューブでの移入もまた、実施例16に記載される手順から改変された手順を使用して達成した。この手順は、以下の通りである:
・標準BP(Gateward)反応(実施例9および10)を、20μlの容量で、25℃で1時間実施する。
【0371】
・インキュベーションが終了した後、その20μlの総容量から10μlアリコートを採取し、そして1μlのProteinase K(2mg/ml)を添加し、そして37℃で10分間インキュベートする。この第1のアリコートを、形質転換およびBP反応分析のゲルアッセイのために使用し得る。カナマイシン(50μg/ml)を含むLBプレート上にBP反応形質転換をプレーティングする。
【0372】
・以下の試薬を、BP反応の残りの10μlアリコートに添加する:
1μlの0.75M NaCl
2μlの目的ベクター(150ng/μl)
4μlのLR ClonaseTM(融解および短い混合の後)
・すべての試薬をよく混合し、そして25℃で3時間インキュベートする。インキュベーションの終わりに、この反応を1.7μlのProteinase K(2mg/ml)で停止し、そして37℃で10分間インキュベートする。
【0373】
・完了した反応物2μlを100μlのコンピテント細胞に形質転換する。100μlおよび400μlを、アンピシリン(100μg/ml)を含むLBプレート上にプレーティングする。
【0374】
(注記)
・コンピテント細胞が108CFU/μg未満であり、そして十分なコロニーを獲得することが問題である場合は、そのBP反応物を6〜20時間インキュベートすることによって、収量を数倍改善し得る。エレクトロポレーションもまた、化学的形質転換よりも良好なコロニー結果を生じ得る。
【0375】
・約5〜6kbよりも大きいPCR産物は、このBP反応において有意により低いクローニング効率を示す。この場合、本発明者らは、BP工程およびLR工程の両方について、より長いインキュベーション時間を使用することを薦める。
【0376】
・インサート遺伝子をいくつかの目的ベクター中に同時に移すことを所望する場合は、各目的ベクターに添加するために10μlのアリコートを有するように、最初のBP反応容量をスケールアップする。
【0377】
(実施例18:GATEWAYTM ClonaseTM酵素組成物の最適化)
IntおよびIHF(BP反応について)を含む酵素組成物を、標準の機能的組換えクローニング反応(BP反応)を使用して、以下のプロトコルによって、attb含有プラスミドとattP含有プラスミドとの間で最適化した。
【0378】
(材料および方法)
(基質)
AttP−スーパーコイルドpDONR201
AttB−線状の約1Kbの[3H]PCR産物(pEZC7501から増幅した)
(タンパク質)
IntH6−−His6−カルボキシタグ化λインテグラ−ゼ(Integrase)
IHF−−組換え宿主因子(Integration Host Factor)
(Clonase)
50ng/μlのIntH6および20ng/μlのIHFを、25mM Tris−HCi(pH7.5)、22mM NaCl、5mM EDTA、1mg/ml BSA、5mMスペルミジン、および50%グリセロール中に混合している。
【0379】
(反応混合物(総容量40μl)
1000ngのAttPプラスミド
600ngのAttB[3H]PCR産物
8μlのClonase(400ng IntH6、160ng IHF)が、25mM Tris−HCl(pH7.5)、22mM NaCl、5mM EDTA、1mg/ml BSA、5mMスペルミジン、5mM DTT中にある。
【0380】
反応混合物を、25℃で1時間インキュベートし、4μlの2μg/μlのプロテイナーゼKを添加し、そして混合物を、さらに20分間37℃でインキュベートした。次いで、混合物を、等容量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出した。次いでその水層を、収集し、そして0.1容量の3M酢酸ナトリウムおよび2容量の冷100%エタノールを添加した。次いで、チューブを、微小遠心機にて、最大RPMで、室温で10分間遠心分離した。エタノールをデカントし、そしてペレットを70%エタノールでリンスし、そして上記のように再遠心分離した。エタノールをデカントし、そしてペレットを5〜10分間風乾し、次いで、20μlの、33mM Tris−酢酸(pH7.8)、66mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、1mM DTT、および1mM ATP中に溶解し、次いで、2単位のエキソヌクレアーゼV(例えば、Plasmid Safe;EpiCentre,Inc.、Madison、WI)を添加し、そしてその混合物を、37℃で30分間インキュベートした。
【0381】
次いで、Whatman GF/Cフィルター上に30μlの反応混合物をスポットし、フィルターを10% TCA+1% NaPPiで1回、10分間洗浄し、5%TCAで3回、各5分間洗浄し、そしてエタノールで2回、各5分間洗浄することによって、サンプルを、TCA洗浄した。次いで、フィルターを加熱ランプ下で乾燥させ、シンチレーションバイアル中に移し、そしてβ液体シンチレーション計数管(LSC)にて計数した。
【0382】
このアッセイの背後にある原理は、エキソヌクレアーゼV切断の後、二本鎖環状DNAのみが、酸不溶性形態で残存することである。遊離末端を有するすべてのDNA基質および産物が切断されて酸可溶性形態になり、フィルター上に残存しない。従って、分子内組み込みおよび分子間組み込みの両方が完了した後に環状形態である、3H標識attB線状DNAのみが、切断に対して抵抗性であり、そして酸不溶性産物として回収される。従って、このClonase組成物における最適な酵素処方物および緩衝液処方物は、最高レベルの環状化した3H標識attB含有配列を、LSC中の最高のcpmによって測定した場合に生じた処方物である。このアッセイは、GATEWAYTM BP ClonaseTM Enzyme Mix組成物(Int+IHF)の最適化のために設計したが、同じ型のアッセイを、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix組成物(Int+IHF+Xis)を最適にするために実施し得、ただし、その反応混合物は、1000ngのAttR(AttPの代わり)および600ngのAttL(AttBの代わり)、および40ngのHis6−カルボキシタグ化Xis(XisH6)を、IntH6およびIHFに加えて含む。
【0383】
(実施例19:エントリーベクターおよび目的ベクターの機能性の試験)
本発明の特定のベクターの機能性の評価の一環として、そのベクターが組換わる能力を機能的に試験することが重要である。この評価は、組換えクローニング反応を(図2、4、および5Aおよび5Bに図式化され、そして本明細書中に記載され、そして共有に係る米国特許出願番号08/486,139(1995年6月7日出願)、同08/663,002(1996年6月7日出願)(現在米国特許第5,888,732号)、同09/005,476(1998年1月12日出願)、および同09/177,387(1998年10月23日出願)(これらのすべての開示は、本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載されるように)実施し、E.coliを形質転換し、そしてコロニー形成単位をスコア化することによって、実行し得る。しかし、代替的アッセイもまた、アガロースゲル電気泳動による所定のエントリーベクターまたは目的ベクターの機能性のより迅速でより簡単な評価を可能にするために実施し得る。以下が、このようなインビトロアッセイの説明である。
【0384】
(材料および方法:)
プラスミドテンプレートpEZC1301(図84)およびpEZC1313(図85)(各々、単一の野生型att部位を含む)を、それぞれ、attLまたはattR部位を含むPCR産物の生成のために使用した。プラスミドテンプレートを、AlwNIを用いて直鎖状にし、フェノール抽出し、エタノール沈殿して、1ng/μlの濃度までTE中に溶解した。
【0385】
【表7】
PCRプライマーを、500pmol/μlの濃度までTE中に溶解した。プライマー混合物を調製した。プライマー混合物を調製し、これは、attL1+attLrightプライマー、attL2+attLrightプライマー、attR1+attRrightプライマー、およびattR2+attRrightプライマーからなり、各混合物は、20pmol/μlの各プライマーを含んでいた。
【0386】
(PCR反応:)
1μlのプラスミドテンプレート(1ng)
1μlのプライマー対(各々、20ピコモル)
3μlのH2O
45μlのPlatinum PCR SuperMix(登録商標)(Life Technologies,Inc.)。
【0387】
(サイクリング条件(MJサーモサイクラーで行った):)
95℃/2分
94℃/30秒
58℃/30秒および72℃/1.5分間の25サイクル
72℃/5分
5℃/維持。
【0388】
得られたattL PCR産物は1.5kbであり、そして得られたattR PCR産物は、1.0kbであった。
【0389】
PCR反応物を、150μlのH2Oおよび100μlの3×PEG/MgCl2溶液を添加することによりPEG/MgCl2沈澱し、次いで、遠心分離した。このPCR産物を50μlのTE中に溶解した。PCR産物の定量を、これを1μl、ゲル電気泳動で行い、50〜100ng/μlであると評価した。
【0390】
attLまたはattR部位を含むPCR産物の、GATEWAYTMプラスミドとの組換え反応を以下の通りに行った:
8μlのH2O
2μlのattLまたはattRのPCR産物(100〜200ng)
2μlのGATEWAYTMプラスミド(100ng)
4μlの5×目的(Destination)緩衝液
4μlのGATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix 総容量20μl(反応を、構成成分の容量を上記で示した量の約1/4に調節することにより総容量5μlにスケールダウンし得るが、化学量論性は同じに維持する)。
【0391】
Clonase反応物を25℃で2時間インキュベートした。2μlのプロテイナーゼK(2mg/ml)を添加して、反応を停止させる。次いで、10μlを1%アガロースゲル上で泳動する。陽性コントロール反応を、attL1 PCR産物(1.0kb)とattR1 PCR産物(1.5kb)とを反応させ、そしてattL2 PCR産物とattR2産物とを同様に反応させることにより行って、より大きな(2.5kb)組換え反応産物の形成を観察した。陰性コントロールを、attL1 PCR産物とattR2 PCR産物とを反応させ、そしてその逆もまた同様に反応させるか、またはattL PCR産物とattLプラスミドとの反応になどより行った。
【0392】
代替的アッセイにおいて、attB エントリーベクターを試験するために、単一のattP部位を含有するプラスミドを用いた。単一のatt部位を含有するプラスミドをまた、全てのエントリーおよび目的(Destination)ベクター(すなわち、それらは、attL、attR、attBおよびattPを含む)を試験するために、一般に、組換え基質として使用し得た。これは、PCR反応を行う必要性を排除する。
【0393】
(結果:)
目的(Destination)およびエントリー(Entry)プラスミドは、適切なatt含有PCR産物と反応した場合、直鎖状の組換え分子を形成し、この組換え分子は、attLのPCR産物も、attRのPCR産物も含まないコントロール反応物と比較した場合に、アガロースゲル上で容易に視覚化され得た。従って、本発明に従って構築された目的(Destination)およびエントリーベクターの機能性は、図2、4、ならびに5Aおよび5Bに記載されるように、目的(Destination)またはエントリーいずれかの組換え反応を行うことによって決定されうるか、または本実施例に記載の直鎖化アッセイを行うことによりより迅速に決定されうる。
【0394】
(実施例20:Universal アダプター−プライマーを用いたPCRクローニング)
本明細書中に記載のように、GATEWAYTM PCR Cloning System(Life Technologies,Inc.;Rockville,MD)を用いたPCR産物のクローニングは、PCR反応において使用される遺伝子特異的プライマーの末端にattB部位(attB1およびattB2)の付加を必要とする。先の実施例において記載されたプロトコルは、ユーザーが、遺伝子特異的プライマーに29bp(attB部位を含有する25bpおよび4つのG残基)を付加することを示唆する。アダプターに特定の重複を含むより短い遺伝子特異的プライマーを組み合わせてUniversal attBアダプター−プライマーを用い、attB含有PCR産物を作製することは、GATEWAYTM PCR Cloning Systemの高容量ユーザーに有利である。以下の実験は、6bp〜18bpの種々の長さの重複を含むUniversal attBアダプター−プライマーおよび遺伝子特異的プライマーを用いて、このストラテジーの有用性を実証する。この結果により、10bp〜18bpの重複を有する遺伝子特異的プライマーが、Universal attBアダプター−プライマーとともにPCR増幅に首尾よく使用されて、全長PCR産物が作製されうることを実証する。次いで、これらのPCR産物を、GATEWAYTM PCR Cloning Systemを用いて特定の配向において高い忠実度で首尾よくクローニングし得る。
【0395】
(材料および方法:)
Universal attBアダプター−プライマーが、PCR反応物中に部分的attB部位を含む遺伝子特異的プライマーとともに使用されて、全長PCR産物を生成しうることを実証するために、ヒトヘモグロビンcDNAの小さな256bp領域を標的として選択し、その結果、中間サイズの産物は、アガロースゲル電気泳動により全長産物とは区別し得る。
【0396】
以下のオリゴヌクレオチドを使用した:
【0397】
【化25】
これらの実験の目的は、単純かつ効率的なUniversalアダプターPCR方法を開発して、GATEWAYTM PCR Cloning Systemにおける使用のために適切な、attB含有PCR産物を生成することであった。反応混合物およびサーモサイクリング条件は、UniversalアダプターPCR方法が、いずれのPCR産物クローニング適用に対しても慣用的に適用可能であり得るように単純かつ効率的であるはずである。
【0398】
18bpおよび15bp重複を含有する遺伝子特異的プライマーをUniversal attBプライマーとともに使用して、優先的に全長PCR産物を首尾よく増幅し得るPCR反応条件を最初に見いだした。これらの条件は以下に概略を述べる:
10ピコモルの遺伝子特異的プライマー
10ピコモルのUniversal attBアダプター−プライマー
1ngの、ヒトヘモグロビンcDNA含有プラスミド
100ngのヒト白血球cDNAライブラリーDNA
5μlの10×PLATINUM Taq HiFi(登録商標)反応緩衝液(Life Technologies,Inc.)
2μlの50mM MgSO4
1μlの10mM dNTP
0.2μlのPLATINUM Taq HiFi(登録商標)(1.0ユニット)
H2Oで総反応容量を50μlにする。
【0399】
(サイクリング条件:)
【0400】
【表8】
この方法の効率を評価するために、50μlのPCR反応物のうち2μl(1/25)を3%アガロースゲル−1000ゲルで電気泳動した。12bp以下の重複では、1つUniversal attBアダプターを含むか、またはUniversal attBアダプターを含まない、より小さな中間産物がこの反応で目立った。PCR反応条件のさらなる最適化は、遺伝子特異的プライマーおよびUniversal attBアダプター−プライマーの量を滴定することによって得た。PCR反応系を、添加したプライマーの量が以下であったことを除いて、以下に概説するように設定した:
0、1、3または10ピコモルの遺伝子特異的プライマー
0、10、30または100ピコモルのアダプター−プライマー。
【0401】
(サイクリング条件:)
【0402】
【表9】
制限量の遺伝子特異的プライマー(3ピコモル)および過剰なアダプター−プライマー(30ピコモル)の使用により、より小さな中間産物の量が減少した。これらの反応条件を使用して、目立った全長PCR産物を得るために必要な重複は、12bpに減少した。遺伝子特異的プライマーおよびアダプタープライマーの量を、以下のPCR反応においてさらに最適化した:
0、1、2または3ピコモルの遺伝子特異的プライマー
0、30、40または50ピコモルのアダプター−プライマー。
【0403】
(サイクリング条件:)
【0404】
【表10】
2ピコモルの遺伝子特異的プライマーおよび40ピコモルのアダプター−プライマーの使用により、中間産物の量はさらに減少し、そして11bpの重複を含有する遺伝子特異的プライマーを有する全長PCR産物が目立って生じた。PCR反応の成功を、アダプターなしのコントロールを行うことにより任意のPCR増幅物において評価しうる。制限量の遺伝子特異的プライマーの使用により、1/25〜1/10のPCR反応物が標準的なアガロースゲル上で電気泳動した場合に、わずかに見えるバンドまたはほとんど見えないバンドが得られるはずである。Universal attBアダプター−プライマーの添加は、はるかに多くの全収量の産物を伴う強いPCR反応産物を生じるはずである。
【0405】
18bp、15bp、12bp、11bpおよび10bp重複の遺伝子特異的プライマーを使用した反応からのPCR産物は、CONCERT(登録商標)Rapid PCR Purification Systemを使用して精製した(500bpより大きなPCR産物をPEG沈澱しうる)。精製したPCR産物を、引き続き、GATEWAYTM PCR Cloning System(Life Technologies,Inc.;Rockville,MD)を用いてattP含有プラスミドベクターにクローニングし、そしてE.coliに形質転換した。コロニーを選択し、そして適切な抗生物質培地上で計数し、そして正しい挿入物および配向についてPCRによりスクリーニングした。
【0406】
ヒトβグロビン(Hgb)遺伝子の一部のプラスミドクローンのattBアダプターPCRからの未処理の(raw)PCR産物(未精製)も、GATEWAYTM PCR Cloning System反応において使用した。完全attB B1/B2−Hgb、12B1/B2、11B1/B2および10B1/B2のattB重複Hgbプライマーで生成したPCR産物を、GATEWAYTM pENTR21 attPベクター(図49)に首尾よくクローニングした。各々から24コロニー(合計24×4=96)を試験し、そして各々をPCRにより正確な挿入物を含むことを確認した。cfu/mlで表したクローニング効率を以下に示す:
【0407】
【表11】
興味深いことに、重複PCR産物は、完全attB PCR産物より高効率でクローニングされた。おそらく、そしてアガロースゲル上で可視化することにより確認されるように、アダプターPCR産物は、完全attBPCR産物よりわずかに明瞭であった。コロニー生成量(output)の差異はまた、インタクトなattB部位を有するPCR産物分子の割合を反映しうる。
【0408】
attBアダプターPCR方法を使用すると、12bp attB重複を有するPCRプライマーを使用して、白血球cDNAライブラリーおよびHeLaの総RNAから調製した第1鎖cDNAから、異なるサイズのcDNAを増幅した(1〜4kbの範囲)。4つのcDNAのうち3つをこの方法により増幅し得たが、非特異的増幅産物もまた観察された(いくつかの条件下で遺伝子特異的増幅を妨害した)。この非特異的産物は、attBアダプター−プライマー単独を含有するが、いずれの遺伝子特異的重複プライマーも存在しない反応系において増幅した。この非特異的増幅産物は、PCR反応のストリンジェンシーを増大させ、そしてattBアダプターPCRプライマー濃度を低下させることにより減少した。
【0409】
これらの結果は、この実施例に記載されるアダプター−プライマーPCRアプローチがクローニングした遺伝子について十分に機能することを示す。これらの結果はまた、GATEWAYTM PCR Cloning Systemと適合するPCR産物を増幅するために単純かつ効率的な方法の開発を実証した。GATEWAYTM PCR Cloning Systemは、部分的にUniversal attBアダプター−プライマーと重複するより短い遺伝子特異的プライマーの使用を可能にする。慣用的PCRクローニング適用において、12bp重複の使用が推奨されている。そのため、この実施例に記載の方法は、17残基以上までに遺伝子特異的プライマーの長さを減少し、結果としてGATEWAYTM PCR Cloning Systemの高容量ユーザーに対するオリゴヌクレオチド費用のかなりの節減を生じる。さらに、この実施例に記載の方法およびアッセイを使用すると、当業者は、他の組換え部位に基づくまたはこれを含む類似のプライマー−アダプターまたはそのフラグメント(例えば、attL、attR、attP、lox、FRTなど)を、慣用的な実験法のみを用いて設計および使用しうる。
【0410】
(実施例21:バクテリオファージλ attLおよびattR部位の変異分析:部位特異的組換えにおけるatt部位特異性の決定因子)
att部位特異性の決定因子を調査するために、バクテリオファージλ attLおよびattR部位を体系的に変異誘発した。本明細書中に示されるように、特異性の決定因子を、15bpコア領域(GCTTTTTTATACTAA)内の7bpの重複領域(TTTATAC、これは、インテグラーゼタンパク質の切断部位により規定され、そして鎖交換が生じる領域である)に対して以前に位置づけた。この15bpコア領域は、4つのλatt部位全て(すなわち、attB、attP、attLおよびattR)で同一である。しかし、このコア領域は、これまで体系的に変異誘発されておらず、そして変異がatt部位特異性における独特な変化を生じることを正確に規定するとは考察されてこなかった。
【0411】
従って、部位特異性に対するatt配列の効果を試験するために、変異attLおよびattR部位をPCRにより生成し、そしてインビトロ部位特異的組換えアッセイにおいて試験した。このようにして、コアatt部位の7bp重複領域内の全ての可能な単一塩基対変化を生成し、15bpコアatt部位ではない7bp重複の外側で5つのさらなる変化もまた生成した。各attL PCR基質を、attR PCR基質の各々とともに、インビトロ組換えアッセイにおいて試験した。
【0412】
(方法)
変異体attL部位およびattR部位の組換えの効率および特異性の両方を試験するために、単純なインビトロの部位特異的組換えアッセイを開発した。attLおよびattRのコア領域は、これらの部位の端部近くにあるので、所望のヌクレオチド塩基変化をPCRプライマー内に取り込み、そして変異体attLおよびattR部位を含む一連のPCR産物を生成することが可能であった。attLおよびattR部位を含むPCR産物を、GATEWAYTM LR ClonaseTM Enzyme Mix(Life Technologies,Inc.;Rockville,MD)とのインビトロ反応における基質として使用した。1.5kbのattL PCR産物と、1.0kbのattR PCT産物との間の組換えは、2.5kbの組換え分子を生じ、これを、アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロミド染色を使用して、モニターした。
【0413】
プラスミドテンプレートpEZC1301(図84)およびpEZC1313(図85)(各々が単一の野生型attLおよびattR部位をそれぞれ含む)を、組換え基質の生成のために使用した。以下の列挙は、L×R Clonase反応における基質として使用したattL PCR産物を生成するためのPCR反応において使用したプライマーを示す(大文字は、野生型配列からの変化を示し、そして下線は、15bpコアatt部位内の7bpオーバーラップ領域を表す;類似のセットのPCRプライマーを使用して、マッチング変位を含むattR PCR産物を調製した):
GATEWAYTM部位(注:GATEWAYTMプラスミド内のattL2配列は「accca」で開始し、一方でこの例におけるattL部位は、「agcct」で開始し、コア領域の外側の野生型attLを反映する。):
【0414】
【化26】
注:最初の9の塩基がgggg agccaであるさらなるベクター(すなわち、15bpコア領域にすぐ先行する位置のチミンをアデニンで置換する)(これは、上で概説した単一の塩基対の置換(または欠失)を含んでも含まなくてもよく、またこれらの実験において使用され得る)。
【0415】
attL含有PCR産物およびattR含有PCR産物の組換え反応を、以下のように実施した:
【0416】
【表12】
Clonase反応物を、25℃で2時間インキュベートした。
2μlの10×Clonase停止溶液(プロテイナーゼK、2mg/ml)を添加して、この反応を停止した。
10μlを1%アガロースゲル上で泳動した。
【0417】
(結果)
各attL PCR基質を、attR PCR基質の各々を用いて、インビトロ組換えアッセイで試験した。7bpオーバーラップの最初の3つの位置(TTTATAC)での変化は、組換えの特異性を強力に変化させた。これらの変異att部位の各々は、野生型と同程度に、その同種パートナー変異体のみで組換えられた;これらは他のいかなるatt部位変異によっても検出可能には組換えられなかった。対照的に、最後の4つの位置(TTTATAC)の変化は、部分的にのみ特異性を変化させた;これらの変異体は、その同種の変異att部位ならびに野生型att部位で組換えられ、そして7bpオーバーラップの最初の3つの位置に変異を有する部位以外の他の全ての変異att部位で部分的に組換えられた。7bpオーバーラップの外側での変化は、組換えの特異性に影響を与えず、いくらかは組換えの効率に影響を与えることが見出された。
【0418】
これらの結果に基づいて、att部位特異性に関する以下の規則が決定された:
・7bpオーバーラップにおける変化のみが、特異性に影響を与える。
・最初の3つの位置における変化が、特異性に強力に影響を与える。
・最後の4つの位置における変化が、特異性に弱く影響を与える。
【0419】
組換え反応の全体の効率に影響を与えた変異もまた、本方法によって評価された。これらの実験において、attLT1A基質およびattLC7T基質でわずかに増加した(2倍未満)組換え効率が、これらの基質がその同種attRパートナーと反応した場合に、観察された。attLA6G、attL14およびattL15を含む、組換え効率(約2〜3倍)を減少させる変異もまた観察された。これらの変異は、恐らく、コアatt部位で結合するIntタンパク質に影響を与える変化を反映する。
【0420】
これらの実験の結果は、7bpの最初の3つの位置(TTTATAC)における変化が、組換えの特異性を強力に変化させた(すなわち、1つ以上の変異を最初の3つのチミジンに有するatt配列は、その同種パートナーとのみ組換わり、そして他のいかなるatt部位変異とも交差反応しない)ことを実証する。対照的に、最後の4つの位置(TTTATAC)における変異は、部分的にのみ特異性を変化させた(すなわち、1つ以上の変異を最後の4つの塩基位置に有するatt配列は、7bpオーバーラップの最初の3つの位置の1つ以上に変異を有する部位以外の、野生型att部位および全ての他の変異att部位と部分的に交差反応する)。7bpオーバーラップの外側の変異は、組換えの特異性に影響を与えないことがわかり、いくらかは組換えの効率に影響を与える(すなわち、組換えの効率の減少を引き起こす)ことがわかった。
【0421】
(実施例22: GATEWAYTM クローニング反応のクローニング効率を増加させるatt部位変異の発見)
att部位特異性の決定を理解するために設計される実験において、attLのコア領域における点変異を作製した。次いで、これらの変異attL配列を含む核酸分子を、LR反応において、同種attR部位(すなわち、attL部位の変異に対応する変異を含むattR部位)を含む核酸分子と反応させ、そして組換え効率を上記のように決定した。att部位のコア領域に位置するいくつかの変異を、組換え反応の効率をわずかに増加した(2倍未満)かまたは減少した(2倍〜4倍の間)のいずれかと記載した(表3)。
【0422】
【表13】
これらの変異は、恐らく、インテグラーゼタンパク質のコアatt部位を結合するための相対的親和性を、それぞれ増加または減少させるいずれかの変化を反映することもまた、注目された。インテグラーゼコア結合部位のコンセンサス配列(CAACTTNNT)は、文献で推定されているが、直接的には試験されていない(例えば、RossおよびLandy、Cell 33:261−272(1983)を参照のこと)。このコンセンサスコアインテグラーゼ結合配列は、attPおよびattBに見出される4つのコアatt部位の各々の配列、ならびにコア配列に類似し、そしてインビトロでインテグラーゼが結合することが示された5つの非att部位の配列を比較することによって、確立された。これらの実験は、インテグラーゼのコアatt部位への結合を増加させる、従ってGATEWAYTMクローニング反応の効率を増加させる、多くのatt部位変異が同定され得ることを示唆する。
【0423】
(実施例23: 組換え効率に対するコア領域変異の効果)
att部位コア領域における変異のクローニング効率を直接比較するために、単一の塩基の変化を、attB1−TET−attB2 PCR産物のattB2部位に作製した。次いで、これらの変異attB2配列を含む核酸分子を、BP反応において、非同種attP部位(すなわち、野生型attP2)を含む核酸分子と反応させ、そして組換え効率を上記のように決定した。標準的なattB1−TET−attB2 PCR産物と比較した、これらの変異attB2含有PCR産物のクローニング効率を、表4に示す。
【0424】
【表14】
上記で注目したように、attB2.2部位における単一の塩基の変化は、attB1−TET−attB2 PCR産物と比較して、attB1−TET−attB2.2 PCR産物のクローニング効率を131%に増加させた。興味深いことに、この変異は、attB2のインテグラーゼコア結合部位を、提案されるコンセンサス配列にさらに近くマッチする配列に変化させる。
【0425】
さらなる実験を実施して、attB1−TET−attB2 PCR産物のクローニング効率を、インテグラーゼコア結合部位の提案されるコンセンサス配列(実施例22を参照のこと)を含むattB部位を含むPCR産物と、直接比較した。以下のattB部位を使用して、attB−TET PCR産物を増幅した:
【0426】
【化27】
BP反応を、300ng(100fmole)のpDONR201(図49A)と、20μl容量の80ng(80fmole)のattB−TET PCR産物との間で、25℃で1.5時間のインキュベーションによって実施し、pENTR201−TET エントリークローンを作製した。上記attB部位の、BP反応におけるクローニング効率の比較を、表5に示す。
【0427】
【表15】
これらの結果は、インテグラーゼコア結合部位に関して提案されるコンセンサス配列と完全にマッチする配列を含むattB PCR産物が、標準的なGateway attB1およびattB2 PCR産物より4倍高い効率で、エントリークローンを産生し得ることを実証する。
【0428】
次いで、上記で産生されたエントリークローンを、LR反応(20μl容量のそれぞれのpENTR201−TET エントリークローンの50ng(77fmole)と混合した300ng(64fmole)pDEST20;25℃で1時間インキュベートした)を介してpDEST20(図40A)へと変換した。これらの反応に関するクローニングの効率を、表6で比較する。
【0429】
【表16】
これらの結果は、attB1.6およびattB2.10中に導入された、遺伝子をエントリークローン(entry clone)に移入させる変異が、LR反応の効率をわずかに上昇させることを実証する。従って、本発明は、組換え効率を上昇させるattB部位での変異のみならず、BP反応によって作製されるattL部位を生じる対応する変異をもまた包含する。
【0430】
一定範囲のPCR産物量にわたるattB1.6−TET−attB2.10 PCR産物のクローニング効率の上昇を試験するために、上記の実験と類似の実験を実施した。この実験では、attB PCR産物の量を反応混合物中に滴定した。この結果を表7に示す。
【0431】
【表17】
これらの結果は、20ngの量において、標準のattB1−TET−attB2 PCR産物と比較してattB1.6−TET−attB2.10 PCR産物で、6倍程度高いクローニング効率における上昇が達成されることを実証する。
【0432】
(実施例24:最適組換え効率のためのattB配列必要要件の決定)
attBについての配列必要要件を試験するため、そしてどのattB部位が縮重attB部位の集団の中から最高に効率良くクローン化するかを決定するために、一連の実験を実施した。attB部位の中のB−アームにおいて5塩基の縮重性を含んだ縮重PCRプライマーを設計した。従って、これらの縮重配列は、BP反応において遺伝子をエントリークローンに移入し、引き続いてLR反応においてこの遺伝子を発現クローンに移入する。従って、縮重attBおよびattL部位の集団は、かなり多数のサイクルでattBからattLに行きつ戻りつしつつ循環され得る。各移入工程で反応条件を変更することにより(例えば、反応時間を減少させることにより、および/またはDNA濃度を減少させることにより)、反応は、各サイクルでますますよりストリンジェントになされ得、従って、より効率的に反応するattBおよびattL部位の集団に富化され得る。
【0433】
以下の縮重PCRプライマーを使用して、pUC18からlacZαフラグメントを含んだ500bpのフラグメントを増幅した(各プライマーのattB部分のみを示す):
【0434】
【化28】
縮重att部位の開始集団のサイズは、45すなわち1024分子である。2つのBP反応および2つのLR反応を通して、4つの異なる集団を移入した。各反応の形質転換後、適切な選択抗生物質を含有する液体培地において増殖することによって、形質転換体の集団を増幅した。このクローンの集団から、アルカリ溶解ミニプレップ法によってDNAを調製し、そして次の反応に用いた。BPおよびLRクローニング反応の結果を以下に示す。
【0435】
【表18】
これらの結果は、各々の連続した移入で、att部位の集団全体のクローニング効率が上昇し、そしてattB部位の規定において相当量の可撓性が存在することを実証する。特定のクローンを、上記反応から単離し得、組換え効率について個々に試験し得、そして配列決定し得る。次いで、このような新たな特異性を、既知の例と比較して、新たな組換え特異性を有する新たな配列の設計を導き得る。さらに、本明細書中に記載される富化およびスクリーニングのプロトコールに基づいて、当業者は、このような配列を含む核酸分子を使用する組換え反応において特異性の上昇を生じさせる他の組換え部位(例えば、他のatt部位、lox、FRTなど)における配列を容易に同定し得、そしてそれを使用し得る。
【0436】
(実施例25:att部位PCRアダプタープライマーの設計)
5’末端に12bpのattB1およびattB2を有する遺伝子特異的プライマーを設計するために、さらなる研究を実施した。attを含むプライマーについての最適プライマー設計は、任意のPCRプライマーについての最適プライマー設計と同じである:プライマーの遺伝子特異的部分は、理想的には、50mM塩で50℃より高いTmを有するべきである(Tmの計算は、式59.9+41(%GC)−675/nに基づく)。
プライマー:
【0437】
【化29】
(プロトコール)
(1)200ngのcDNAライブラリーまたは1ngのプラスミドクローンDNA(あるいは、ゲノムDNAまたはRNAが使用され得る)と10pmolの遺伝子特異的プライマーとを50μlのPCR反応物中で、DNAポリメラーゼ活性を有する1つ以上のポリペプチド(例えば、本明細書中に記載されるもの)を使用して、混合する(10pmolより多い遺伝子特異的プライマーの添加は、attB PCR産物の収率を減少し得る)。さらに、RNAが使用される場合には、標準的な逆転写PCR(RT−PCR)プロトコールに従うべきである:例えば、Gerard,G.F.ら、FOCUS 11:60(1989);Myers,T.W.およびGelfand,D.H.、Biochem.30:7661(1991);Freeman,W.N.ら、BioTechniques 20:782(1996);ならびに米国特許出願番号09/064,057(1998年4月22日出願)(これらのすべての開示が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0438】
(1stPCRプロフィール)
【0439】
【表19】
(2)各々35pmolのattB1およびattB2アダプタープライマーを含む40μlのPCR反応混合物に、10μlを移す。
【0440】
(2ndPCRプロフィール)
【0441】
【表20】
(留意点)
1.生成されたattB PCR産物の収率を評価するために、アダプターなしのプライマーコントロールを実施することが有用である。
2.直線化されたテンプレートは通常、わずかにより高いPCR産物収率を生じる。
【0442】
(実施例26:GATEWAYTMクローニングシステムを使用する1チューブ組換えクローニング)
GATEWAYTMクローニングシステムを使用して、より容易かつより迅速なクローニングを提供するために、本発明者らは、BPおよびLR反応が、単一チューブ内で実施され得るプロトコール(「1チューブ」プロトコール)を設計した。以下が、このような1チューブプロトコールの例である:本実施例では、BP反応のアリコートを、LR成分を添加する前に採取するが、BPおよびLR反応は、最初にBPのアリコートを採取することを伴わずに、1チューブプロトコールにおいて実施され得る。
【0443】
【表21】
上記成分を単一チューブ内で混合した後、反応混合物を25℃で4時間インキュベートした。反応混合物の5μlのアリコートを取り出し、そして0.5μlの10×停止溶液をこの反応混合物に添加し、そして37℃で10分間インキュベートした。次いで、コンピテント細胞を、100μlの細胞あたり1〜2μlのBP反応物を用いて形質転換した;この形質転換は、個々のエントリークローン(Entry clone)の単離およびBP反応効率の定量のためのエントリークローン(Entry clone)のコロニーを産生した。
【0444】
残存する20μlのBP反応混合物に、LR反応の以下の成分を添加した。
【0445】
【表22】
上記成分を単一チューブ内で混合した後、反応混合物を25℃で2時間インキュベートした。3μlの10×停止溶液を添加し、そしてこの混合物を37℃で10分間インキュベートした。次いで、コンピテント細胞を、100μlの細胞あたり1〜2μlの反応混合物を用いて形質転換した。
【0446】
(留意点)
1.所望される場合、目的ベクター(Destination Vector)を、開始BP反応に添加し得る。
2.所望される場合、反応を1/2倍スケールダウンし得る。
3.BPおよび/またはLR反応についてより短いインキュベーション時間が用いられ得る(所望される反応のクローニング効率に対して増減する)が、より少ないコロニー数を代表的に生じる。
4.得られるコロニー数を数倍増加させるために、BP反応物を6〜20時間インキュベートし、そしてLR反応を3時間まで増加させる。エレクトロポレーションはまた、1〜2μlのPK処理反応混合物で十分に作用する。
5.約5kbより長いPCR産物は、BP反応において有意により低いクローニング効率を示し得る。この場合、BPおよびLR工程の両方について、より長いインキュベーション時間(例えば、6〜18時間)で1チューブ反応を使用することを本発明者らは推奨する。
【0447】
(実施例27:LR反応の間の目的ベクター(Destination Vector)の緩和)
LR反応をさらに最適化するために、LR反応緩衝液の組成を上記から改変し、そしてこの改変された緩衝液をプロトコールにおいて使用して、LR反応の間の目的ベクター(Destination Vector)の酵素的緩和の影響を試験した。
【0448】
LR反応は、5×BP反応緩衝液(実施例5を参照のこと)をLR反応に使用したことを除いて、通常通り(例えば、実施例6を参照のこと)に設定した。LR反応の間の目的ベクター(Destination Vector)の緩和を達成するために、トポイソメラーゼI(Life Technologies,Inc.、Rockville,MD:カタログ番号38042−016)を、反応物中の総DNA 1μgあたり約15Uの最終濃度で、この反応混合物に添加した(例えば、20μlのLR反応物中で合計400ngのDNAを有する反応混合物に対して、約6ユニットのトポイソメラーゼIを添加した)。反応混合物を以下のように設定した。
【0449】
【表23】
反応混合物を25℃で1時間インキュベートし、次いで、2μlの2μg/μlのプロテイナーゼKを添加し、そして混合物を37℃で10分間インキュベートしてLR反応を停止した。次いで、コンピテント細胞を、前述の実施例に記載のように形質転換した。これらの研究の結果により、トポイソメラーゼIを使用するLR反応での基質の緩和が、トポイソメラーゼIの包含を伴わずに実施されたLR反応と比較して、コロニー産生において2〜10倍の増加を生じることが実証された。
【0450】
ここで、理解の明瞭さのために例証および実施例によって幾分詳細に本発明を完全に記載してきたが、本発明またはその任意の特定の実施形態の範囲に影響することなく、幅広くかつ等価な範囲の条件、処方および他のパラメーターで本発明を改変または変更することによって、同じことが実施され得ること、そしてこのような改変または変更が、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されると意図されることは、当業者に明らかである。
【0451】
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関係する分野の当業者の技術のレベルの指標であり、そして個々の各刊行物、特許または特許出願が、参考として援用されると明確かつ個々に示される場合と同程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0452】
【表24】
【0453】
【表25】
【0454】
【表26】
【0455】
【表27】
【0456】
【表28】
【0457】
【表29】
【0458】
【表30】
【0459】
【表31】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一般的な方法の1つを示し、ここで開始(親)DNA分子は、環状または直鎖状であり得る。目標は、新しいサブクローニングベクターDを、本来のクローニングベクターBと交換することである。1つ実施形態において、ADについて、かつ全ての他の分子(融合体(Cointegrate)を含む)に対して選択することが望ましい。四角と丸は、組換え部位である:例えば、lox(例えば、loxP)部位、att部位、など。例えば、セグメントDは、発現シグナル、タンパク質融合ドメイン、新しい薬剤マーカー、新しい複製起点、またはDNAのマッピングあるいは配列決定のための特定化された機能を含み得る。融合体分子が、セグメントA(挿入物)に隣接するセグメントD(目的ベクター)を含み、それによってD内の機能的エレメントが、A内の挿入物と並列することに注意するべきである。このような分子は、セグメントB+D内の選択マーカーについて選択することによって、インビトロで(例えば、プロモーターが、インビトロ転写/翻訳のための遺伝子に隣接して位置する場合に)、またはインビボで(ccdB保有ベクターを増殖可能な細胞内での単離後)直接使用され得る。当業者は、この1段階方法は、本発明の特定の想像された適用において有用であることを理解する。
【図2】 図2は、本発明の組換えクローニング系のより詳細な描写であり、本明細書中では「GATEWAYTM Cloning System」と言及される。この図は、「目的反応」(本明細書中において「LR反応」とも言及され得る)を介する発現クローンの産生を示す。attL1部位とattL2部位との間に局在化した目的のDNA分子(例えば、遺伝子)を含むkanrベクター(本明細書中において「エントリークローン」とも言及される)は、attR1部位とattR2部位の間に局在化した毒性または「死」遺伝子を含む、amprベクター(本明細書において「目的ベクター」と言及される)と、GATEWAYTMLR ClonaseTMEnzyme Mix(Int、IHFおよびXisの混合物)の存在下で反応される。25℃で約60分間のインキュベーション後、この反応は、attB1部位とattB2部位との間に部位局在化した目的のDNA分子、およびkanr副産物を含むampr発現クローン、ならびに中間体を得る。次いで、反応混合物は、細胞をアンピシリンを含む培地にプレートし、そしてamprコロニーを選ぶことによって選択され得る目的の核酸分子を含む宿主細胞(例えば、E.coli)およびクローンに形質転換され得る。
【図3】 図3は、種々の発現クローンを産生するためのエントリークローンからの多重型の目的ベクターへの核酸分子のクローニングの概略図である。所定のエントリークローンと異なる型の目的ベクター(示さず)との間の組換えは、図2に示されるLR反応を介して、種々の適用および宿主細胞型における使用についての複数の異なる発現クローンを産生する。
【図4】 図4は、「BP反応」(本明細書中において「エントリー反応」または「ゲートウェイ(Gateward)反応」とも言及される)を介するエントリークローンの産生の詳細な図である。この図において示される例において、attB1部位とattB2部位との間に局在化した目的のDNA分子(例えば、遺伝子)を含むampr発現ベクターは、kanrドナーベクター(例えば、attPベクター;本明細書中では、GATEWAYTMBP ClonaseTMEnzyme Mix(IntおよびIHFの混合物)の存在下で、attP1部位とattP2部位との間に局在化した毒性または「死」遺伝子を含むGATAWAYTMpDONR201(図49A〜Cを参照のこと))と反応される。25℃で60分のインキュベーション後、反応は、attL1とattL2部位との間に局在化した目的のDNA分子を含むkanrエントリークローン、およびampr副産物遺伝子を与える。次いでエントリークローンは、宿主細胞(例えば、E.coli)に形質転換され得、そしてエントリークローンを含むクローン(および従って目的の核酸分子)は、細胞をカナマイシン含有培地にプレートし、そしてkanrコロニーを選ぶことによって選択され得る。この図はkanrドナーベクターの使用の例を示すが、本明細書中に記載されるように他の選択マーカー(例えば、ゲンタマイシン耐性マーカー、テトラサイクリン耐性マーカー)を含むドナーベクターを使用することもまた可能である。
【図5】 図5は、LR(「目的」)反応(図5A)、およびGATEWAYTMCloning SystemのBP(「エントリー」または「ゲートウェイ」)反応(図5B)のより詳細な概略図であり、各反応の反応物質、産物、および副産物を示す。
【図6】 図6は、発現クローンを作製するための目的ベクターへのサブクローニング後の目的の遺伝子に隣接するattB1部位およびattB2部位の配列を示す。
【図7】 図7は、本発明の組成物および方法を使用するエントリークローンを作製するための4つの方法の概略図である:1.制限酵素およびリガーゼを使用する;2.attLエントリーベクター内に調整されたcDNAライブラリーで開始する;3.B×P反応を介してattB発現ベクター内に調整されたライブラリー由来の発現クローンを使用する;および4.B×P反応を介して末端attB部位を有するPCRフラグメントの組換えクローニング。アプローチ3および4は、選択マーカー(例えば、kanr、genr、tetrなど)を保有するエントリークローンを提供するドナーベクター(本明細書中では、attPベクター(例えば、pDONR201(図49A〜Cを参照のこと)、pDONR202(図50A〜Cを参照のこと)、pDONR203(図51A〜Cを参照のこと)、pDONR204(図52A〜Cを参照のこと)、pDONR205(図53A〜Cを参照のこと)、またはpDONR206(図54A〜Cを参照のこと)))との組換えに依存する。
【図8】 図8は、B×P(エントリーまたはゲートウェイ)反応によるPCR産物のクローニングの概略図である。25bpの末端attB部位(+4つのG)を有するPCR産物は、B×P反応のための基質として示される。遺伝子のattB−PCR産物とドナーベクターとの間の組換え(kanrを保有するエントリーベクターに寄与する)は、PCR産物のエントリークローンを生じる。
【図9】 図9は、本明細書中で、attB1、attB2、attP1、attP2、attL1、attL2、attR1およびattR2として示される組換え部位のヌクレオチド配列の表である。配列は、従来的に5’〜3’に記載される。
【図10】本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示す。図10は、エントリーベクターpENTR1Aの物理的マップおよびクローニング部位(図10A)、およびヌクレオチド配列(図10B)の概略図である。
【図11】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図11に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図11は、エントリーベクターpENTR2Bのクローニング部位(図11A)およびヌクレオチド配列(図11B)の概略図である。
【図12】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図12に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図12は、エントリーベクターpENTR3Rのクローニング部位(図12A)およびヌクレオチド配列(図12B)の概略図である。
【図13】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図13に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図13は、エントリーベクターpENTR4のクローニング部位(図13A)およびヌクレオチド配列(図13B)の概略図である。
【図14】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図14に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図14は、エントリーベクターpENTR5のクローニング部位(図14A)およびヌクレオチド配列(図14B)の概略図である。
【図15】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図15に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図15は、エントリーベクターpENTR6のクローニング部位(図15A)およびヌクレオチド配列(図15B)の概略図である。
【図16】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図16に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図16は、エントリーベクターpENTR7のクローニング部位(図16A)およびヌクレオチド配列(図16B)の概略図である。
【図17】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図17に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図17は、エントリーベクターpENTR8のクローニング部位(図17A)およびヌクレオチド配列(図17B)の概略図である。
【図18】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図18に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図18は、エントリーベクターpENTR9のクローニング部位(図18A)およびヌクレオチド配列(図18b)の概略図である。
【図19】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図19に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図19は、エントリーベクターpENTR10のクローニング部位(図19A)およびヌクレオチド配列(図19B)の概略図である。
【図20】 本明細書中に示されたすべてのエントリーベクターについてのプラスミドバックボーンは、同じであり、そしてエントリーベクターpENTR1Aについて図10Aに示される。図20に示される他のエントリーベクターについて、各図のセットについて図「A」に示される配列のみ(すなわち、図11A、図12Aなど)が、図10に示される配列(attL1−attL2カセット内)とは異なる。プラスミドバックボーンは、同一である。図20は、エントリーベクターpENTR11のクローニング部位(図19A)およびヌクレオチド配列(図20B)の概略図である。
【図21】 図21は、目的ベクターpDEST1の開始コドンから−35と−10のプロモーター配列を示す物理的マップおよびTrc発現カセット(図21A)、およびヌクレオチド配列(図21B〜D)の概略図である。このベクターはまた、pTrc−DEST1とも言われる。
【図22】 図22は、目的ベクターpDEST2の、物理的マップ、および開始コドンから−35および−10でのプロモーター配列を示すHis6発現カセットの概略的描写(図22A)、ならびにヌクレオチド配列(図22B〜D)である。このベクターはまた、pHis6−DEST2としても好ましくあり得る。
【図23】 図23は、目的ベクターpDEST3の、物理的マップ、および開始コドンから−35および−10でのプロモーター配列を示すGST発現カセットの概略的描写(図23A)、ならびにヌクレオチド配列(図23B〜D)である。このベクターはまた、pGST−DEST3としても好ましくあり得る。
【図24】 図24は、目的ベクターpDEST4の、物理的マップ、および開始コドンから−35および−10でのプロモーター配列ならびにTEVプロテアーゼ切断部位を示すHis6−Trx発現カセットの概略的描写(図24A)、ならびにヌクレオチド配列(図24B〜D)である。このベクターはまた、pTrx−DEST4としても好ましくあり得る。
【図25】 図25は、目的ベクターpDEST5のattR1およびattR2部位(図25A)、物理的マップの概略的描写(図25B)、ならびにヌクレオチド配列(図25C〜D)である。このベクターはまた、pSPORT(+)−DEST5としても好ましくあり得る。
【図26】 図26は、目的ベクターpDEST6のattR1およびattR2部位(図26A)、物理的マップの概略的描写(図26B)、ならびにヌクレオチド配列(図26C〜D)である。このベクターはまた、pSPORT(−)−DEST6としても好ましくあり得る。
【図27】 図27は、目的ベクターpDEST7のattR1部位、CMVプロモーター、および物理的マップの概略的描写(図27A)、ならびにヌクレオチド配列(図27B〜C)である。このベクターはまた、pCMV−DEST7としても好ましくあり得る。
【図28】 図28は、目的ベクターpDEST8のattR1部位、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーター、および物理的マップの概略的描写(図28A)、ならびにヌクレオチド配列(図28B〜D)である。このベクターはまた、pFastBac−DEST8としても好ましくあり得る。
【図29】 図29は、目的ベクターpDEST9のattR1部位、Semliki Forest Virusプロモーター、および物理的マップの概略的描写(図29A)、ならびにヌクレオチド配列(図29B〜E)である。このベクターはまた、pSFV−DEST9としても好ましくあり得る。
【図30】 図30は、目的ベクターpDEST10のattR1部位、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーター、His6融合ドメイン、および物理的マップの概略的描写(図30A)、ならびにヌクレオチド配列(図30B〜D)である。このベクターはまた、pFastBacHT−DEST10としても好ましくあり得る。
【図31】 図31は、目的ベクターpDEST11の、テトラサイクリン調節CMVプロモーターを含むattR1部位および物理的マップの概略的描写(図31A)、ならびにヌクレオチド配列(図31B〜D)である。このベクターはまた、pTet−DEST11としても好ましくあり得る。
【図32】 図32は、目的ベクターpDEST12.2のattR1部位、CMVプロモーターのmRNAの開始、および物理的マップの概略的描写(図32A)、ならびにヌクレオチド配列(図32B〜D)である。このベクターはまた、pCMVneo−DEST12、pCMV−DEST12、またはpDEST12としても好ましくあり得る。
【図33】 図33は、目的ベクターpDEST13のattR1部位、λPLプロモーター、および物理的マップの概略的描写(図33A)、ならびにヌクレオチド配列(図33B〜C)である。このベクターはまた、pλPL−DEST13としても好ましくあり得る。
【図34】 図34は、目的ベクターpDEST14のattR1部位、T7プロモーター、および物理的マップの概略的描写(図34A)、ならびにヌクレオチド配列(図34B〜D)である。このベクターはまた、pPT7−DEST14としても好ましくあり得る。
【図35】 図35は、目的ベクターpDEST15のattR1部位、T7プロモーター、およびN末端GST融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図35A)、ならびにヌクレオチド配列(図35B〜D)である。このベクターはまた、pT7 GST−DEST15としても好ましくあり得る。
【図36】 図36は、目的ベクターpDEST16のattR1部位、T7プロモーター、およびN末端チオレドキシン融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図36A)、ならびにヌクレオチド配列(図36B〜D)である。このベクターはまた、pT7 Trx−DEST16としても好ましくあり得る。
【図37】 図37は、目的ベクターpDEST17のattR1部位、T7プロモーター、およびN末端His6融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図37A)、ならびにヌクレオチド配列(図37B〜D)である。このベクターはまた、pT7 His−DEST17としても好ましくあり得る。
【図38】 図38は、目的ベクターpDEST18のattR1部位およびp10バキュロウイルスプロモーターの概略的描写、ならびに物理的マップ(図38A)、ならびにヌクレオチド配列(図38B〜D)である。このベクターはまた、pFBp10−DEST18としても好ましくあり得る。
【図39】 図39は、目的ベクターpDEST19のattR1部位、および39kバキュロウイルスプロモーターの概略的描写、ならびに物理的マップ(図39A)、ならびにヌクレオチド配列(図39B〜D)である。このベクターはまた、pFB39k−DEST19としても好ましくあり得る。
【図40】 図40は、目的ベクターpDEST20のattR1部位、polhバキュロウイルスプロモーター、およびN末端GST融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図40A)、ならびにヌクレオチド配列(図40B〜D)である。このベクターはまた、pFB GST−DEST20としても好ましくあり得る。
【図41】 図41は、目的ベクターpDEST21の、DNA結合ドメインを有する2ハイブリッドベクター、attR1部位、およびADHスプロモーターの概略的描写、ならびに物理的マップ(図41A)、ならびにヌクレオチド配列(図41B〜E)である。このベクターはまた、pDB Leu−DEST21としても好ましくあり得る。
【図42】 図42は、目的ベクターpDEST22の、活性化ドメインを有する2ハイブリッドベクター、attR1部位、およびADHスプロモーターの概略的描写、ならびに物理的マップ(図42A)、ならびにヌクレオチド配列(図42B〜D)である。このベクターはまた、pPC86−DEST22としても好ましくあり得る。
【図43】 図43は、目的ベクターpDEST23のattR1およびattR2部位、T7プロモーター、およびC末端His6融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図43A)、ならびにヌクレオチド配列(図43B〜D)である。このベクターはまた、pC−term−His6−DEST23としても好ましくあり得る。
【図44】 図44は、目的ベクターpDEST24のattR1およびattR2部位、T7プロモーター、およびC末端GST融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図44A)、ならびにヌクレオチド配列(図44B〜D)である。このベクターはまた、pC−term−GST−DEST24としても好ましくあり得る。
【図45】 図45は、目的ベクターpDEST25のattR1およびattR2部位、T7プロモーター、およびC末端チオレドキシン融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図45A)、ならびにヌクレオチド配列(図45B〜D)である。このベクターはまた、pC−term−Trx−DEST25としても好ましくあり得る。
【図46】 図46は、目的ベクターpDEST26のattR1部位、CMVプロモーター、およびN末端His6融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図46A)、ならびにヌクレオチド配列(図46B〜D)である。このベクターはまた、pCMV−SPneo−His−DEST26としても好ましくあり得る。
【図47】 図47は、目的ベクターpDEST27のattR1部位、CMVプロモーター、およびN末端GST融合配列の概略的描写、ならびに物理的マップ(図47A)、ならびにヌクレオチド配列(図47B〜D)である。このベクターはまた、pCMV−Spneo−GST−DEST27としても好ましくあり得る。
【図48】 図48は、attBクローニングベクタープラスミドpEXP501についての物理的マップ(図48A)、クローニング部位(図48B)、およびヌクレオチド配列(図48C〜D)の描写である。このベクターは、本明細書中でpCMV・SPORT6、pCMVSPORT6、およびpCMVSport6として同等に好ましくあり得る。
【図49】 図49は、BP反応においてカナマイシン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR201についての物理的マップの描写(図49A)、およびヌクレオチド配列(図49B〜C)である。このベクターはまた、pAttPkanrドナープラスミド、またはpAttPkanドナープラスミドとしても好ましくあり得る。
【図50】 図50は、BP反応においてカナマイシン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR202についての物理的マップ(図50A)、およびヌクレオチド配列(図50B〜C)の描写である。
【図51】 図51は、BP反応においてカナマイシン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR203についての物理的マップ(図51A)、およびヌクレオチド配列(図51B〜C)の描写である。
【図52】 図52は、BP反応においてカナマイシン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR204についての物理的マップ(図52A)、およびヌクレオチド配列(図52B〜C)の描写である。
【図53】 図53は、BP反応においてテトラサイクリン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR205についての物理的マップ(図53A)、およびヌクレオチド配列(図53B〜C)の描写である。
【図54】 図54は、BP反応においてゲンタマイシン耐性ベクターを提供するドナープラスミドpDONR206についての物理的マップ(図54A)、およびヌクレオチド配列(図54B〜C)の描写である。このベクターはまた、pENTR22 attPドナープラスミド、pAttPGenrドナープラスミド、またはpAttPgentドナープラスミドとしても好ましくあり得る。
【図55】 図55は、目的ベクターpDEST2(図22)中にサブクローニングされたCATのエントリークローン(pENTR7)の、attB1部位、および物理的マップを示す。
【図56】 図56は、実施例16、pEZC7102およびattB−ter−PCRに記載される単一チューブBxP反応の反応BのDNA成分を示す。
【図57】 図57は、実施例16、tetx7102に記載の単一チューブBxP反応の、反応Bの所望される産物の物理的マップである。
【図58】 図58は、目的ベクターpEZC8402の物理的マップである。
【図59】 図59は、tetx7102(図57)およびpEZC8402(図58)を用いるLxR反応から生じる、予期されるtetrサブクローン産物、tetx8402の物理的マップである。
【図60】 図60は、E.coliにおけるバクテリオファージλ組換え経路の概略的描写である。
【図61】 図61は、LR反応に加わるDNA分子の概略的描写である。attL1およびattR1またはattL2およびattR2が最初に再結合するか否かに依存して、LR反応(このうち1つのみが本明細書で示される)の間に、2つの異なる同時統合物が形成する。1つの局面において、本発明は、目的の核酸分子の指向性クローニングを提供する。なぜなら、組換え部位は特異性を伴って反応するためである(attL1はattR1と反応し;attL2はattR2と反応し;attB1はattP1と反応し;そしてattB2はattP2と反応する)。したがって、この部位の位置決めは、所望の配向で組換えフラグメントを有する所望のベクターの作成を可能にする。
【図62】 図62は、組換えクローニング方法および本発明の組成物を使用する、自然のタンパク質および融合タンパク質の発現の描写である。上の図は、天然のタンパク質の発現を示し、全ての翻訳開始シグナルはattB1部位とattB2部位との間に含まれている;そのために、これらのシグナルはエントリークローンの開始において存在しなくてはならない。下の図は、融合タンパク質の発現を示す(本明細書では、融合タンパク質を作製するために、リボソームがattB1およびattB2を通って読み取るように、N末端およびC末端の融合タグの両方の発現を示す)。天然のタンパク質発現ベクターとは異なり、N末端融合ベクターは、attB1部位の上流の翻訳開始シグナルを有する。
【図63】 図63は、3つのGATEWAYTMクローニングシステムカセットの概略的描写である。3つの平滑末端カセットが示され、これは標準的発現ベクターを目的ベクターに変換する。示される各々のカセットは、3つの可能なリーディングフレームのうち1つのアミノ末端融合物を提供し、そしてその各々が、示されるような特有の制限切断部位を有する。
【図64】 図64は、3つのattRリーディングフレームカセット、pEZC15101(リーディングフレームA;図64A)、pEZC15102(リーディングフレームB;図64B)、およびpEZC15103(リーディングフレームC;図64C)を含むプラスミドの物理的マップを示す。
【図65】 図65は、本発明のクローニング方法によって、pBR322由来のtetrおよびampr遺伝子を増幅するために使用されるattBプライマーを示す。
【図66】 図66は、図65に示されるプライマーを使用して作製されたtetrおよびamprPCR産物の、組換えクローニングの結果を列挙する表である。
【図67】 図67は、PCR産物のクローニング効率上のPCRプライマーの5’末端上に含まれるグアニン(G’s)数の効果を示すグラフである。しかし、グアニンの近くの他のヌクレオチド(A、T、C、Uまたはこれらの組合わせを含む)は、PCR産物のクローニング効率を増大するために、PCRプライマー上の5’伸長としてしようされ得ることが注目される。
【図68】 図68は、BxP反応におけるattPおよびattB反応物の種々の量の滴定、およびPCR産物のクローニング効率の効果を示すグラフである。
【図69】 図69は、256bpのPCR産物の、コロニーの形成の際の種々の重さ(図69A)またはモル数(図69B)の効果、および256bpのPCR産物の、ドナーベクターへのクローニングの効率(図69C)を示す一連のグラフである。
【図70】 図70は、1kbのPCR産物の、コロニーの形成の際の種々の重さ(図70A)またはモル数(図70B)の効果、および1kbのPCR産物の、ドナーベクターへのクローニングの効率(図70C)を示す一連のグラフである。
【図71】 図71は、1.4kbのPCR産物の、コロニーの形成の際の種々の重さ(図71A)またはモル数(図71B)の効果、および1.4kbのPCR産物の、ドナーベクターへのクローニングの効率(図71C)を示す一連のグラフである。
【図72】 図72は、3.4kbのPCR産物の、コロニーの形成の際の種々の重さ(図72A)またはモル数(図72B)の効果、および3.4kbのPCR産物の、ドナーベクターへのクローニングの効率(図72C)を示す一連のグラフである。
【図73】 図73は、4.6kbのPCR産物の、コロニーの形成の際の種々の重さ(図73A)またはモル数(図73B)の効果、および4.6kbのPCR産物の、ドナーベクターへのクローニングの効率(図73C)を示す一連のグラフである。
【図74】 図74は、BxP反応における6.9kbのPCR産物の滴定の臭化エチジウム染色ゲルの写真である。
【図75】 図75は、10.1kbのPCR産物のドナーベクターへのクローニングの際のコロニー形成の際の、10.1kbのPCR産物の種々の量の効果を示すグラフである。
【図76】 図76は、BxP反応における10.1kbのPCR産物の滴定の臭化エチジウム染色ゲルの写真である。
【図77】 図77は、0.256kb〜6.9kbのサイズ範囲のPCRフラグメントについての、図69〜74に示されるPCR産物クローニング効率実験の結果を要約した表である。
【図78】 図78は、attRカセットの末端での配列を示す。Cmr−ccdBカセットによって寄与される配列が示され、これは隣接attR部位の外側末端を含む(囲み)。Intについてのねじれ切断部位が囲み領域において示される。エントリークローンでの組換えに続いて、attR部位の外側の配列のみが、発現クローンの得られたattB部位に寄与する。両方の末端の下線部の配列は、融合タンパク質についての異なるリーディングフレームを示す(2つの代替のリーディングフレームCカセットと共に、リーディングフレームA、B、またはCが示される)。
【図79】 図79は、コードされたタンパク質のアミノ末端で、融合コドンを提供し得るいくつかの異なるattRカセット(リーディングフレームA,B,またはCにおいて)を示す。
【図80】 図80は、本発明のattRリーディングフレームAカセットにおけるシングルカット制限部位を示す。
【図81】 図81は、本発明のattRリーディングフレームBカセットにおけるシングルカット制限部位を示す。
【図82】 図82は、図78に示される本発明の2つの代替のattRリーディングフレームCカセットにおけるシングルカット制限部位を示す(図82Aおよび82B)。
【図83】 図83は、本発明のattRリーディングフレームCカセット(図78および82の代替A)を含む、attRリーディングフレームC親プラスミドprfC親IIIについての、物理的マップ(図83A)、およびヌクレオチド配列(図83B〜C)を示す。
【図84】 図84は、プラスミドpEZC1301の物理的マップである。
【図85】 図85は、プラスミドpEZC1313の物理的マップである。
【図86】 図86は、プラスミドpEZ14032の物理的マップである。
【図87】 図87は、プラスミドpMAB58の物理的マップである。
【図88】 図88は、プラスミドpMAB62の物理的マップである。
【図89】 図89は、本発明の2対の相同プライマーを使用する合成反応を示す。
【図90】 図90は、目的ベクターpDEST28の物理的マップの概略的描写(図90A)、およびヌクレオチド配列(図90B〜D)である。
【図91】 図91は、目的ベクターpDEST29の、物理的地図の概略図(図91A)、およびヌクレオチド配列(図91B−D)である。
【図92】 図92は、目的ベクターpDEST30の、物理的地図の概略図(図92A)、およびヌクレオチド配列(図92B−D)である。
【図93】 図93は、目的ベクターpDEST31の、物理的地図の概略図(図93A)、およびヌクレオチド配列(図93B−D)である。
【図94】 図94は、目的ベクターpDEST32の、物理的地図の概略図(図94A)、およびヌクレオチド配列(図94B−E)である。
【図95】 図95は、目的ベクターpDEST33の、物理的地図の概略図(図95A)、およびヌクレオチド配列(図95B−D)である。
【図96】 図96は、目的ベクターpDEST34の、物理的地図の概略図(図96A)、およびヌクレオチド配列(図96B−D)である。
【図97】 図97は、BP反応においてゲンタマイシン耐性ベクターを提供する(donate)ドナープラスミドpDONR207について、物理的地図の描写(図97A)、およびヌクレオチド配列(図97B−C)の描写(depiction)である。
【図98】 図98は、2−ハイブリッドベクターpMAB85の、物理的地図の概略図(図98A)、およびヌクレオチド配列(図98B−D)である。
【図99】 図99は、2−ハイブリッドベクターpMAB86の、物理的地図の概略図(図99A)、およびヌクレオチド配列(図99B−D)である。
Claims (18)
- 単離された核酸分子であって、ヌクレオチド配列ATTATACを含み、該ヌクレオチド配列は、インテグラーゼ組換えタンパク質によって認識される組換え部位内に位置する、核酸分子。
- インテグラーゼ組換えタンパク質によって認識される2以上の組換え部位を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- インテグラーゼ組換えタンパク質によって認識される前記組換え部位が、転写調節配列とオープンリーディングフレームとの間に位置し、該転写調節配列と該オープンリーディングフレームとが作動可能に連結されている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記転写調節配列がプロモーターである、請求項3に記載の単離された核酸分子。
- ベクターである、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記ベクターがプラスミドである、請求項5に記載の単離された核酸分子。
- 少なくとも1つの複製起点をさらに含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 少なくとも2つの複製起点を含む、請求項7に記載の単離された核酸分子。
- 原核生物細胞中での前記核酸分子の複製を可能にする少なくとも1つの複製起点を含む、請求項7に記載の単離された核酸分子。
- 前記原核生物細胞がEscherichia coli細胞である、請求項9に記載の単離された核酸分子。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子を1つ以上含む、単離された宿主細胞。
- 1以上の組換え部位を含む核酸分子を生成するための方法であって、該方法は、該核酸分子にハイブリダイズする2以上のプライマーの存在下で該核酸分子を増幅する工程を包含し、ここで、該プライマーのうちの1以上が、ヌクレオチド配列ATTATACを含む、方法。
- 前記核酸分子が、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅される、請求項12に記載の方法。
- 2以上の核酸分子を組換えるための方法であって、該方法は、以下:
(a)該2以上の核酸分子および少なくとも2つの組換えタンパク質を含む反応混合物を調製する工程;ならびに
(b)該反応混合物を、該2以上の核酸分子間の組換えが起こるに充分な条件下でインキュベートする工程
を包含し、ここで、該核酸分子の各々が、少なくとも1つのヌクレオチド配列ATTATACを含む、方法。 - 前記少なくとも1つのヌクレオチド配列が、att配列である組換え部位内に位置する、請求項14に記載の方法。
- 前記少なくとも2つの組換えタンパク質が、バクテリオファージλのゲノムによってコードされる、請求項14に記載の方法。
- 前記少なくとも2つの組換えタンパク質が、Int、IHF、XisおよびCreからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記少なくとも2つの組換えタンパク質が、Int、IHFおよびXisからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
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