JP4579867B2 - 化学物質検出用チップ - Google Patents

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本発明は、液体試料中に存在する化学物質(たとえば、生体関連物質、環境汚染物質、健康影響物質など)を、電気化学的または光学的な方法によって、簡便、好感度、かつ選択的に測定することを可能にするチップに関する。
液体試料中の化学物質を測定する1つの方法論として、分子認識材料を使用することが知られている。この方法は、測定対象物質に選択的な相互作用(結合形成、反応など)を行う分子認識材料をチップ上にあらかじめ固定化しておき、そこへ液体試料を流して、測定対象物質/分子認識材料間の相互作用の有無を電気化学的または光学的に測定するものである。用いることができる電気化学的測定方法は、測定対象物質を電極上で直接酸化することによる方法、および酵素を用いて測定対象物質の酵素反応生成物を電極上で酸化あるいは還元する方法を含み、これらの方法によって測定対象物質を定量することができる。光学的測定方法を用いる場合、たとえば、蛍光物質または吸光物質を結合させた分子認識材料をチップ上に固定化することが行われる。
一方、液体試料中の測定対象分子と固定化された分子認識材料との相互作用を直接観察可能な方法として、全反射光学系を用いる方法が知られている。全反射光学系の中でも、基板表面に形成された金属薄膜での全反射により励起される表面プラズモンの試料による吸収を利用した表面プラズモン共鳴(SPR)測定法、あるいは基板表面と試料との屈折率差による全反射により励起されるエバネッセント波の試料による吸収を利用する減衰全反射型(ATR)測定法が、よく用いられている。
電気化学的測定法または光学的測定法のいずれを用いる場合においても、ポンプを用いて測定試料を送液しながら連続的に測定を行うことで、高感度化が実現されている。ポンプを用いることなしに送液を行う技術として、電気浸透流、毛管現象、エレクトロウェッティング、加熱による体積変化、気泡の生成を利用するものが検討されてきている。中でも、高分子膜を流路として用い、該高分子膜の毛管現象によって送液する技術は、ポンプなどの外部機器を必要としないため、チップの小型化および低コスト化に有効である。高分子膜の毛管現象を用いた代表的な技術として、イムノクロマトグラフィー(Immunochromatography)が挙げられる(非特許文献1)。イムノクロマトグラフィーのように分離機能を有してはいないが親水性ポリマーは凍結乾燥させた流路を用いたチップについても報告がある(非特許文献2)。
一方、送液を行わずに測定する手法は、主にポイント・オブ・ケア用として用いられている。例えば、血糖値センサーのような実用化商品がある。
Y. M. Kim, S. W. OH, S. Y. Jeong, D. J. Pyo, E. Y. Choi, Environ. Sci. Technol., 2003, 37, 1899-1904 森本克也、サンジェイ・アパジャー、大上直人、日下部均、鈴木博章、Chemical Sensors, vol. 22, Supplement A (2006) 、p76-p78
分子認識材料を用いたチップによる微小量試料の高感度測定を可能にするために、チップの検出部における流路の深さをできる限り減少させ、固定化された分子認識材料の近傍のみを試料が流れるような構造とすることが望ましい。このような目的のために、分子認識材料を固定化した親水性の高分子膜を流路として用いることが考えられる。
しかしながら、最初に親水性の高分子材料に分子認識材料を結合させて、その高分子材料を基板上に塗布して流路を作製しようとする場合、塗布において有機溶媒を使用する場合があり、該高分子上に固定化された分子認識材料が有機溶媒の作用によって失活する恐れがある。一方、親水性高分子膜を基板上に形成した後に、分子認識材料を固定化しようとする場合には、固定化条件によっては親水性高分子膜の構造が影響を受け、送液機能が損なわれる恐れがある。したがって、当該技術において、良好な送液機能と分子認識材料の安定的な固定化とを同時に達成することができる高分子膜構造が要求されている。
以上の点に鑑みて、分子認識材料を安定的に固定化することができ、かつ試料を円滑に送液することができる流路構造を備え、それによって微小量の試料の高感度測定を可能とするチップを提供することが本発明の課題の1つである。また、ポンプなどの外部機器を用いることなしに測定試料を連続的に送液することができるチップを提供することが本発明の別の課題である。
本発明の化学物質検出用チップは、検出部における高分子膜の流路としての機能および分子認識材料を固定化する機能を分離し、流路としての親水性高分子膜と、分子認識材料の担体としての分子認識膜との積層構造を用いる。特に、分子認識膜を第1の基板上に形成し、親水性高分子膜を第2の基板上に形成することが望ましい。この構成をとることによって、分子認識膜の形成を、分子認識材料の安定的な固定化に最適な条件で行うことが可能となる。同様に、親水性高分子膜についても、良好な送液機能を得るために最適な条件で形成することによって、極微小量分析が可能なチップを構築することができる。また、親水性高分子膜の試料排出側に試料吸引性高分子膜を設けることによって、ポンプなどの外部機器を用いなくても、円滑な連続送液が可能となる。
上記の構成をとることによって、チップの試料流路として親水性高分子膜を用いることにより流路の深さを微小化し、分子認識材料を固定化した膜を別個に設けることにより、安定的な分子認識材料の固定化および良好な送液機能の実現が可能となる。また、試料排出側に設けた試料吸引性高分子膜を用いることによって、連続的に送液をしながらの測定が可能となる。これらの効果が相乗的に作用して、微小量の試料中に存在する低濃度成分の高感度分析が可能となる。
本発明の化学物質検出用チップは、第1支持体と、第1支持体上に形成された分子認識膜とを含む第1基板、および第2支持体と、第2支持体上に形成された親水性高分子膜からなる流路膜とを含む第2基板から構成され、それら第1および第2基板が、分子認識膜および流路膜が接触して検出部を形成するように貼り合わせられている。さらに、本発明の化学物質検出用チップは、流路膜に液体的に連絡する試料導入口、流路膜に液体的に連絡し、検出部の試料導入口とは反対側に設けられた試料排出口、ならびに試料排出口内に設けられ、前記流路膜に液体的に連絡する試料吸収用高分子材を含むものである。
第1基板を形成するための第1支持体は、ガラス、プラスチック樹脂(アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などを含む)などの当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。第1支持体の表面を1つまたは複数の無機材料で被覆してもよい。表面被覆のための無機材料は、たとえばSiO、Alなどの酸化物、Si、AlNなどの窒化物など当該技術において知られている任意の材料を用いることができる。
分子認識膜は、液体試料中の測定対象分子を特異的に認識する分子認識材料を含む膜である。分子認識材料としては、測定対象分子と特異的に反応するかまたは複合体を形成する、酵素、抗体、核酸(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)などを用いることができる。これら分子認識材料を、高分子材料また単分子膜(チオール類による自己組織化膜など)中に固定することによって、分子認識膜を形成することができる。たとえば、分子認識材料としてグルコース酸化酵素を用いる場合、牛血清アルブミンなどのタンパク質をグルタルアルデヒドのような架橋剤を用いて架橋させることによって固定化を行うことができる。また、抗体(抗ヒトIpGなど)を用いる場合には、ポリスチレンなどの高分子材料を用いて固定化を行うことができる。
第2基板を形成するための第2支持体は、ガラス、樹脂(アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などを含む)などの当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。第2支持体の表面を1つまたは複数の無機材料で被覆してもよい。表面被覆のための無機材料は、たとえばSiO、Alなどの酸化物、Si、AlNなどの窒化物など当該技術において知られている任意の材料を用いることができる。
第2支持体上に形成される流路膜は、親水性高分子膜から形成される多孔性の膜である。用いることができる親水性高分子材料は、ニトロセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体、アルブミン類、ポリウレタン類、パルプなどを含む。これら親水性高分子材料を溶剤中に溶解または分散させた塗布液を、当該技術において知られている任意の手段によって第2支持体上の所望の区域に塗布し、その後に有機溶剤を蒸発させて除去することにより、流路膜を形成することができる。あるいはまた、第2支持体に突起部を設け、その上に流路膜を形成してもよい。
以上のようにして得られる第1および第2基板を、第1基板上の分子認識膜が第2基板上の流路膜と接触するように貼り合わせる。スペーサを介して第1基板と第2基板とを貼り合わせてもよい。用いることができるスペーサは、第1基板上の分子認識膜が第2基板上の流路膜と接触するための開口部を備えた部材であり、第1支持体または第2支持体の上に設けられた高分子膜(たとえば、フォトレジストなどを用いて形成することができる)、所望の形状に加工された自立性基板(ガラス、樹脂などを用いて形成することができる)、またはそれらの組み合わせであってもよい。特に第1基板と第2基板の寸法が大きく異なる場合には、自立性基板を使用ないし併用することが好ましい。第1基板、第2基板およびスペーサの貼り合わせは、たとえば紫外線硬化型接着剤などの、当該技術において知られている任意の手段を用いて実施することができる。
本発明の化学物質検出用チップは、流路膜に液体的に連絡する試料導入口と、流路膜に液体的に連絡し、検出部の試料導入口とは反対側に設けられた試料排出口とをさらに含む。試料導入口および試料排出口は、それぞれ、第1支持体または第2支持体のいずれか一方に設けられた貫通孔、凹部または溝、スペーサに設けられた貫通孔、凹部または溝、またはそれらの組み合わせによって構成されていてもよい。
加えて、本発明の化学物質検出用チップは、試料排出口内に設けられ、前記流路膜に液体的に連絡する試料吸収用高分子材を含む。試料吸収用高分子材は、高分子吸収体(たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム)、ゼラチンまたは寒天(アガロース誘導体)のような天然高分子、あるいは綿状パルプなどの親水性の多孔質材料を用いて形成することができる。試料排出口内に試料吸収用高分子材を設けることによって、ポンプなどの外部機器を用いない液体試料の連続送液をより円滑に実施することが可能となる。特に微小量の試料の送液を行う場合、試料吸収用高分子材の使用は、機械的動作部分がないために流量変動が少ないというさらなる利点も提供する。
分子認識膜と流路膜との積層構造が、本発明の化学物質検出用チップの検出部である。検出部において、流路膜を流れる液体試料中の測定対象分子が分子認識膜中の分子認識材料との相互作用(反応、複合体形成など)を起こし、その相互作用を電気化学的または光学的手法により検出する。たとえば、電気化学的手法による検出を行う場合、分子認識膜の流路膜とは反対側に検出用電極群(たとえば作用電極、対向電極および参照電極によって構成される)を形成する。この場合には、参照電極を基準として作用電極を適切な電位に設定し、測定対象分子自身の電極反応、または測定対象分子と分子認識材料との相互作用による生成物の電極反応に起因して作用電極/対向電極間に流れる電流を測定することによって、液体試料中の測定対象分子を検出することができる。
測定対象分子の検出のための光学的手法として、表面プラズモン共鳴(SPR)測定法を用いることができる。表面プラズモン共鳴測定法を用いる場合には、第1支持体を表面プラズモン発生のために用いるレーザ光に対して透明な材料から形成し、分子認識膜の流路膜と反対側の面に、反射膜として用いる金属薄膜を設ける。この場合には、液体試料中の測定対象分子と分子認識材料との相互作用による金属薄膜界面の近傍の分子認識膜の屈折率変化に起因する共鳴角度の変化または反射率の変化を測定することによって、液体試料中の測定対象分子を検出することができる。
測定対象分子の検出のための別の光学的手法として、共焦点蛍光顕微鏡法を用いることができる。たとえば、分子認識膜中に、測定対象分子と反応を起こす材料(酵素など)と、該反応の生成物と相互作用してその蛍光性ないし発光性が変化する蛍光材料ないし発光材料を組み込むことができる。あるいはまた、測定対象分子と特異的に結合して複合体を形成し、その結果として、蛍光性ないし発光性が変化する蛍光材料ないし発光材料を用いることもできる。そして、照明光を分子認識膜に合焦させ、前述のような相互作用による蛍光ないし発光の変化を測定することによって、液体試料中の測定対象分子を検出することができる。この場合には、照明光ならびに分子認識膜からの蛍光または発光に対して、第1支持体または第2支持体のいずれか一方が透明であることが望ましく、特に透過型の構成を用いる場合には第1支持体および第2支持体の両方が透明であることが望ましい。
(実施例1)
本発明による電気化学的手法による検出を行う化学物質検出用チップの模式図を、図1および図2に示す。図1(a)は、第2基板を示し、ポリジメチルシロキサンポリマー(PDMS)を用いた第2支持体40と、第2支持体40に設けられた2つの貫通孔である試料導入口52および試料排出口54と、試料導入口52および試料排出口54の間の第2支持体40上に、セルロース誘導体を用いて形成された流路膜60とを有する。
図1(b)は、第1基板を示し、ガラス基板である第1支持体10と、電極群20と、電極群20の上に設けられた分子認識膜30とを有する。分子認識膜30は、牛血清アルブミンおよびグルタルアルデヒドを用いて固定されたグルコース酸化酵素を含む膜である。また、電極群20は、図2に示すように、白金製の作用電極22、白金製の対向電極24、および銀製の参照電極26で構成されている。
第1基板および第2基板を貼り合わせて本発明の化学物質検出用チップが形成され、図1(c)に該チップの断面図を示し、図1(d)に該チップの上面図を示した。貼り合わせを行うに当たり、流路膜60と分子認識膜30とが接触するようにし、および試料排出口54内部に試料吸収用高分子材70を配設した。そして、作用電極22、対向電極24、および参照電極26を電気化学測定装置に接続した。
測定試料として、グルコースを含むリン酸緩衝溶液(PBS)を調製した。はじめに、PBSのみを試料導入口52に滴下して、流路膜60を通して試料吸収用高分子材70へとPBSが流れることを確認した。その後、参照電極26を基準として600mVの電位を作用電極22に印加し、PBSに代えて試料導入口52に対して1mM(本明細書において、「M」はモル/dmを示す)のグルコースを含むPBSを導入したところ、作用電極22/対向電極24間に100nAの電流が流れた。続いて、液体試料を100nMのグルコースを含むPBSを導入したところ、作用電極22/対向電極24間に10pAの電流が流れた。すなわち、液体試料中の測定対象分子(グルコース)と応答電流値の間に良好な直線関係が得られた。また、本実施例の構成では、ポンプなどの機械的送液を行っていないために送液上のノイズが小さく、より低濃度の溶液でも測定が可能である。
(実施例2)
本発明による表面プラズモン共鳴測定法による検出を行う化学物質検出用チップの構造を図3に示す。図3(a)は、第2支持体140の上に形成された流路膜160を含む第2基板の断面図である。第2支持体は、その中央の1mm平方の領域に高さ0.6mmの突起部を有し、該突起部の上面にセルロース誘導体を用いて流路膜160を形成した。
図3(c)は第1基板を示す断面図であり、第1支持体110としてのBK7ガラス基板(OHARA製)上に厚膜のフォトレジスト(SU−8、Microchem Corp.製)を塗布し、パターニングを施してその一部を除去して、スペーサ115および深さ0.1mmの液体流路を形成した。液体流路の中央の1mm平方の領域に金薄膜120を形成し、その上に分子認識膜130を形成した。分子認識膜130は、抗ヒトIgGを固定したポリスチレンを用いて形成した。次いで、試料導入口152および試料排出口154の一部をなす2つの貫通孔、ならびに分子認識膜130に対応する位置に第2基板を挿入するための1mm平方の貫通孔を有する厚さ0.5mmの封止基板180(図3(c)参照)を、紫外線硬化型接着剤を用いて第1基板と貼り合わせた。貼り合わせた際に、封止基板180の前記2つの貫通孔の一方と、その下方の液体流路とから、それぞれ、試料導入口152および試料排出口154が形成される。また、貼り合わせを行う際に、試料排出口154内部に試料吸収用高分子材170を配設した。
そして、封止基板180の中央の貫通孔に、第2基板の突起部を挿入することによって、本実施例の化学物質検出用チップを得た。図3(d)に断面図を示し、図3(e)に上面図を示す。得られたチップにおいて、流路膜160は、スペーサ115によって画定されている液体流路内に露出し、分子認識膜130と接触し、かつ試料導入口152および試料排出口154(および、その中にある試料吸収用高分子材170)と液体的に連絡している。
以上のように作製したチップを、表面プラズモン共鳴測定装置に設置した。次に、試料導入口152からヒトIgGを含むPBS溶液を導入して測定を行った。1ng/mlのヒトIgG溶液を用いたた場合、3×10−6deg/sの表面プラズモンの共鳴角度変化を観測することができた。このような高感度測定が可能となったのは、試料流路を高分子膜としたダウンサイジングによる濃縮効果、抗体をより安定に固定する分子認識膜130と試料を流すための流路膜160とを分離したことによる多くの抗体をより安定な固定および試料溶液の円滑な送液、ならびに、試料吸収用高分子材170を用いることによるノイズ(脈動などによる流量変動)が小さい連続送液が可能となったためである。
(実施例3)
本発明による共焦点蛍光顕微鏡法による検出を行う化学物質検出用チップの構造を図4に示す。図4(a)は、第2支持体240としてのガラス基板上に形成された流路膜260を含む第2基板の断面図である。流路膜260はセルロース誘導体を用いて形成した。
図4(b)は、第1基板の断面図である。本実施例では、第1支持体210としてのガラス基板の中央部に深さ200nmの凹部212を形成し、次いで、ダイシングソーを用いて、凹部212から第1支持体210の周縁に到達する深さ200μmの試料導入口252および試料排出口254を形成した。そして、凹部212の上面に、グルコース酸化酵素、およびヒドロキシフェニルフルオレセイン(Hydroxyphenyl Fluoresein)を含む牛血清アルブミン溶液と、グルタルアルデヒド溶液を混合した塗布液をキャストし、分子認識膜230を形成した。ここで、ヒドロキシフェニルフルオレセインは、過酸化水素に反応して蛍光を発する蛍光材料である。
次に、流路膜260と分子認識膜230とが接触するように、紫外線硬化型接着剤を用いて第1基板および第2基板を貼り合わせて、本実施例の化学物質検出用チップを得た。本実施例のチップの断面図を図4(c)に示し、上面図を図4(d)に示した。なお貼り合わせの際に、試料排出口254内部に試料吸収用高分子材270を配設した。本実施例のチップにおいては、測定対象分子であるグルコースと分子認識材料であるグルコース酸化酵素との酵素反応において発生する過酸化水素が、ヒドロキシフェニルフルオレセインと反応して発する蛍光を測定することによって、測定対象分子の測定を行う。すなわち、液体試料中のグルコース濃度を、過酸化水素濃度に変換して測定を行う。
作製したチップに対して、0〜1.0μMの範囲の濃度のグルコース溶液を試料導入口252から導入し、共焦点蛍光顕微鏡(励起光波長490nm)を用いて蛍光強度の測定を行った。その結果、グルコース濃度に対して蛍光強度は直線的に変化した。蛍光測定においても良好な測定結果が得られ、本チップ構成が種々の測定系に適用可能であることを示した。なお、本実施例では、深さ200nmの凹部212を形成したが、形成しない場合においても同様な効果が得られる。
本発明による電気化学的手法による検出を行う化学物質検出用チップの模式図であり、(a)は第2基板の断面図であり、(b)は第1基板を示す断面図であり、(c)は化学物質検出用チップの断面図であり、(d)は該チップの上面図である。 本発明の電気化学的手法による検出を行う化学物質検出用チップにおける電極群を示す概略図である。 本発明による表面プラズモン共鳴測定法による検出を行う化学物質検出用チップの模式図であり、(a)は第2基板の断面図であり、(b)は封止基板を示す断面図であり、(c)は第1基板を示す断面図であり、(d)は化学物質検出用チップの断面図であり、(e)は該チップの上面図である。 本発明による電気化学的手法による検出を行う化学物質検出用チップの模式図であり、(a)は第2基板の断面図であり、(b)は第1基板を示す断面図であり、(c)は化学物質検出用チップの断面図であり、(d)は該チップの上面図である。
符号の説明
10、110、210 第1支持体
20 電極群
22 作用電極
24 対向電極
26 参照電極
30、130、230 分子認識膜
40、140、240 第2支持体
52、152、252 試料導入口
54、154、254 試料排出口
60、160、260 流路膜
70、170、270 試料吸収用高分子材
115 スペーサ
180 封止基板
212 凹部

Claims (9)

  1. 第1支持体と、第1支持体上に形成された分子認識膜とを含む第1基板、および第2支持体と、第2支持体上に形成された親水性高分子膜からなる流路膜とを含む第2基板を、前記分子認識膜および前記流路膜が接触して検出部を形成するように貼り合わせられ、前記流路膜と液体的に連絡する試料導入口、前記流路膜と液体的に連絡し、前記検出部の試料導入口とは反対側に設けられた試料排出口、ならびに前記試料排出口内に設けられ、前記流路膜に液体的に連絡する試料吸収用高分子材をさらに含むことを特徴とする化学物質検出用チップ。
  2. 前記検出部において、前記分子認識膜の前記流路膜とは反対側の面に接触している作用電極、対向電極および参照電極をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化学物質検出用チップ。
  3. 前記第1支持体が透明であり、および前記検出部において、前記分子認識膜の前記流路膜とは反対側の面に接触している金属薄膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学物質検出用チップ。
  4. 前記第1支持体および前記第2支持体が透明であり、および前記分子認識膜が蛍光材料または発光材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学物質検出用チップ。
  5. 前記第2支持体と前記第1支持体とが、少なくとも前記検出部を形成する部分に貫通孔を有するスペーサを用いて貼り合わせられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の化学物質検出用チップ。
  6. 前記第2支持体が突起部を有し、前記流路膜が前記突起部に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の化学物質検出用チップ。
  7. 請求項2に記載の化学物質形成用チップの作用電極、対向電極および参照電極を電気化学測定装置に接続する工程と、前記試料導入口に試料を導入する工程と、前記電気化学測定装置による電気化学測定を行う工程とを含むことを特徴とする測定方法。
  8. 請求項3に記載の化学物質形成用チップを表面プラズモン共鳴測定装置に載置する工程と、前記試料導入口に試料を導入する工程と、前記表面プラズモン共鳴測定装置による表面プラズモン共鳴測定を行う工程とを含むことを特徴とする測定方法。
  9. 請求項4に記載の化学物質形成用チップを共焦点蛍光顕微鏡に載置する工程と、前記試料導入口に試料を導入する工程と、前記共焦点蛍光顕微鏡による蛍光測定を行う工程とを含むことを特徴とする測定方法。
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